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特開2021-171906ロボットハンド及びそれを用いた移し替え装置並びに連包品の折り畳み方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-171906(P2021-171906A)
(43)【公開日】2021年11月1日
(54)【発明の名称】ロボットハンド及びそれを用いた移し替え装置並びに連包品の折り畳み方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20211004BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20211004BHJP
   B65G 57/30 20060101ALI20211004BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20211004BHJP
   B65B 35/18 20060101ALI20211004BHJP
   B65B 63/04 20060101ALN20211004BHJP
【FI】
   B25J15/06 Z
   B65G47/91 D
   B65G57/30
   B65G47/52 Z
   B65B35/18
   B65B63/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-80593(P2020-80593)
(22)【出願日】2020年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平澤 勝人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一也
【テーマコード(参考)】
3C707
3E054
3E056
3F029
3F044
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707CY36
3C707DS05
3C707ET01
3C707ET08
3C707EU18
3C707EV21
3C707EW14
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT08
3C707FT13
3C707HS14
3C707HS20
3C707NS02
3E054AA12
3E054CA08
3E054DC02
3E054DC12
3E054DE02
3E054EA01
3E054EA03
3E054FA02
3E054FE10
3E054GA06
3E054GC05
3E056AA05
3E056BA01
3E056CA02
3E056DA05
3E056EA05
3E056FG08
3E056HA10
3F029BA13
3F029CB03
3F044AA08
3F044BA03
3F044BB07
3F044CD01
3F072AA30
3F072JA03
3F072KA01
3F072KD03
3F072KD12
3F072KD17
3F072KD24
3F072KD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】展開状態の連包品を折り畳む処理と、ピックアップして所定の場所に供給する移し替える処理を行えるロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットハンド20は、ベース部材21の下側に、2つの袋体が繋がった連包品5のうちの一方を吸着する吸引ノズル22を備え、ベース部材の上方に配置したロータリーアクチュエーター29の正逆回転を受けて支持アーム31の先端に装着された付勢バー32が振り子のように移動し、吸着されずに垂れ下がった状態の袋体を付勢して持ち上げ、2つの袋体を、その接続部分から折り曲げて上下に重なり折り畳まれた状態にするとともに、その折り畳まれた状態を保持する(図3内(b)→図3内(c))。製品1の上方において、シリンダ27により付勢バーを袋体から離反させるとともに吸引を解除することで、折り畳まれた状態の連包品を製品の上に供給する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一袋体と第二袋体が繋がった連包品のうちの前記第一袋体を吸着する吸着手段と、
前記第一袋体を吸着した状態で、吸着されずに垂れ下がった状態の前記第二袋体を付勢して持ち上げ、前記第一袋体と前記第二袋体の接続部分から折り曲げて前記第一袋体と前記第二袋体が上下に重なり折り畳まれた状態にするとともに、その折り畳まれた状態を保持する付勢手段と、を備えたロボットハンド。
【請求項2】
前記付勢手段は、
前記第二袋体に接触する付勢部材と、
前記付勢部材を円弧状の軌跡で往復移動させる機構を備え、
その円弧状の軌跡は、前記吸着手段の吸着面の下方空間を通過するとともに、前記吸着面より上方に位置するものである請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記付勢手段は、
前記吸着手段の上方所定位置に配置される回転軸と、
その回転軸を回転させる駆動源と、
前記回転軸に連結され、その回転軸とともに回転するアーム部材と、
そのアーム部材の先端側に連結され、そのアーム部材とともに前記回転軸を中心に前記吸着手段の吸着面の下方空間を移動する付勢部材を備え、
前記回転軸を平行移動させるための駆動手段を有し、前記回転軸の平行移動とともに前記付勢部材が移動することで、前記折り畳まれた状態の前記連包品を支持する前記付勢部材を前記連包品から離反させるようにした請求項1または2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記回転軸を、吸着手段の吸着面に対して接近離反させる機能を備える請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のロボットハンドと、
そのロボットハンドを移動させるロボットを備えることを特徴とする移し替え装置。
【請求項6】
第一袋体と第二袋体が繋がった連包品のうちの前記第一袋体をロボットハンドで吸着した状態でその第一袋体を上昇移動させることで、前記第一袋体と前記第二袋体の接続部分が折り曲がり前記第二袋体を垂れ下がった状態にし、
前記ロボットハンドがその垂れ下がった状態の前記第二袋体を付勢して持ち上げ、前記第一袋体と前記第二袋体が上下に重なり折り畳まれた状態にし、
その折り畳まれた状態を保持しながら移動可能にする連包品の折り畳み方法。
【請求項7】
前記第一袋体を上昇移動させて前記第二袋体を垂れ下がった状態にする際に、前記ロボットハンドを傾けて、前記第一袋体の姿勢を前記接続部分が上に位置するように傾斜させ、前記第一袋体と前記第二袋体のなす角を鋭角にした状態で、前記第二袋体を付勢する請求項6に記載の連包品の折り畳み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びそれを用いた移し替え装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば2つの袋体がつながった連包品を折り畳んだ状態で、別の製品の上などの所定位置に移し替える場合、例えば特許文献1に開示された装置のように、2つの袋体が開いた状態で搬送される連包品を二つ折りして折り畳まれた状態にする2つ折り装置と、その折り畳まれた状態の連包品を所定の位置に供給する装置を備えた移し替え措置を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−70297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の移し替え装置は、2台の装置を必要とし、装置の大型化を招く。また、移し替え対象の連包品が、例えば、搬送ピッチや向きが一定でなかったり、山積みされていたりする場合に、さらに一列縦隊にそろえる整列装置が別途必要となる。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のロボットハンドは、(1)第一袋体と第二袋体が繋がった連包品のうちの前記第一袋体を吸着する吸着手段と、前記第一袋体を吸着した状態で、吸着されずに垂れ下がった状態の前記第二袋体を付勢して持ち上げることで、前記第一袋体と前記第二袋体の接続部分から折り曲げて前記第一袋体と前記第二袋体が上下に重なり折り畳まれた状態にするとともに、その折り畳まれた状態を保持する付勢手段と、を備えるようにした。
【0007】
このようにすると、ロボットハンドで第一袋体を吸着保持した状態でそのロボットハンドを上昇させると、第二袋体は接続部分から仮曲げられて垂れ下がった状態になるので、付勢手段により第二袋体を所定方向すなわち第一袋体とのなす角が狭くなる方向に付勢することで第二袋体を持ち上げて、連包品を折り畳まれた状態にすることができる。よって、その折り畳まれた状態を保持したまま、例えばロボットハンドを移動すると、折り畳まれた連包品を任意の位置に運ぶことができ、その状態で吸引と第二袋体の保持を解除することで、任意の位置に当該折り畳まれた連包品を供給できる。
【0008】
(2)前記付勢手段は、前記第二袋体に接触する付勢部材と、前記付勢部材を円弧状の軌跡で往復移動させる機構を備え、その円弧状の軌跡は、前記吸着手段の吸着面の下方空間を通過するとともに、前記吸着面より上方に位置するように構成するとよい。
【0009】
このようにすると、簡単な構成で付勢部材により第二袋体を付勢して持ち上げるとともに、持ち上げた第二袋体を保持することができる。さらに、付勢部材が吸着面より上方に位置することで、簡単な構成で第一袋体のピックアップ時に付勢部材が連包品に干渉しないようにすることができる。
【0010】
(3)前記付勢手段は、前記吸着手段の上方所定位置に配置される回転軸と、その回転軸を回転させる駆動源と、前記回転軸に連結され、その回転軸とともに回転するアーム部材と、そのアーム部材の先端側に連結され、そのアーム部材とともに前記回転軸を中心に前記吸着手段の吸着面の下方空間を移動する前記付勢部材を備え、前記回転軸を平行移動させるための駆動手段を有し、前記回転軸の平行移動とともに前記付勢部材が移動することで、前記折り畳まれた状態の前記連包品を支持する前記付勢部材を前記連包品から離反させるようにするとよい。回転は、正逆回転と同一方向に回転、所定角度範囲内での回転並びに360度の回転の何れも含む。
【0011】
簡単な構成で付勢部材により第二袋体を付勢して持ち上げるとともに、持ち上げた第二袋体を保持することができる。さらに、付勢部材が吸着面より上方に位置することで、簡単な構成で第一袋体のピックアップ時に付勢部材が連包品に干渉しないようにすることができる。駆動手段は、例えば実施形態ではシリンダに対応する。
【0012】
(4)前記回転軸を、吸着手段の吸着面に対して接近離反させる機能を備えるとよい。このようすると、付勢部材が接触する第二袋体の位置を調整可能となる。
【0013】
(5)本発明の移し替え装置は、(1)から(4)のいずれかに記載のロボットハンドと、そのロボットハンドを移動させるロボットを備えるとよい。このようにすると、1つの装置で展開状態の連包品を折り畳む処理と、ピックアップして所定の場所に供給する移し替え機能を備え、コンパクトとなる。
【0014】
(6)本発明の連包品の折り畳み方法は、第一袋体と第二袋体が繋がった連包品のうちの前記第一袋体をロボットハンドで吸着した状態でその第一袋体を上昇移動させることで、前記第一袋体と前記第二袋体の接続部分が折り曲がり前記第二袋体を垂れ下がった状態にし、前記ロボットハンドがその垂れ下がった状態の前記第二袋体を付勢して持ち上げ、前記第一袋体と前記第二袋体が上下に重なり折り畳まれた状態にし、その折り畳まれた状態を保持しながら移動可能にするとよい。
【0015】
(7)前記第一袋体を上昇移動させて前記第二袋体を垂れ下がった状態にする際に、前記ロボットハンドを傾けて、前記第一袋体の姿勢を前記接続部分が上に位置するように傾斜させ、前記第一袋体と前記第二袋体のなす角を鋭角にした状態で、前記第二袋体を付勢するようにするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1つの装置で展開状態の連包品を折り畳む処理と、ピックアップして所定の場所に供給する移し替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る製品移し替え装置が実装されるシステムの一例を示す平面図である。
図2】本発明に係るロボットハンドの好適な一実施形態を示す図である。
図3】その作用を説明する図である。
図4】その作用を説明する図である。
図5】本発明に係るロボットハンドの好適な別の実施形態を示す図である。
図6】その斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1は、本発明に係る移し替え装置が実装されるシステムの一例を示す。本形態では、製品1を所定ピッチで搬送する第一搬送コンベア2と、2つの袋体3がつながった連包品5を開いた姿勢で搬送する第二搬送コンベア6と、その第二搬送コンベア6上で搬送される連包品5をピックアップして第一搬送コンベア2上の製品1の上にセットする移し替え装置10を備える。
【0020】
本システムは、例えば包装システムの一部をなし、第一搬送コンベア2の下流側に例えば包装機本体を備え、製品1の上に連包品5が置かれた状態のまま、例えばピロー包装など各種の包装処理が為されるとよい。製品1が、例えば2個の乾麺や、2個の生麺をそれぞれ収納した袋体を上下に重ねたものであり、連包品5は個々の袋体3にその麺用のスープが収納されたものとするとよい。また、このように2つの袋体3にそれぞれスープを収納するのではなく、例えば製品1が単品の乾麺等であり、2つの袋体3にそれぞれスープと薬味のように異なるものを収納するものとしてもよい。
【0021】
移し替え装置10は、ロボット本体11と、そのロボット本体11により動作するロボットアーム12と、ロボットアーム12の先端に取り付けたロボットハンド20を備える。ロボット本体11は、ロボットアーム12を動作させ、その先端に取り付けたロボットハンド20を所定の軌跡等で移動させ、第二搬送コンベア6上の連包品5の上方所定位置と、第一搬送コンベア2上の製品1の上方所定位置との間で往復するように制御する。
【0022】
ロボットハンド20は、連包品5を吸着保持する機能と、2枚の袋体3の接続部分を折り曲げ、当該2つの袋体3を折り畳むとともに、その畳んで閉じた姿勢を保持する機能を備える。係る機能を実現するため、ロボットハンド20は、例えば以下のような構成を備える。
【0023】
図2等に示すように、ロボットハンド20は、扁平な矩形状のベース部材21の下面側に複数の吸引ノズル22を備える。吸引ノズル22は、例えばベース部材21の四隅付近に合計4個設ける。この4個の吸引ノズル22が、1つの袋体3の表面に接触し、4点支持でその袋体3を吸着保持可能とする。吸引ノズル22への配管は、ベース部材21内を通り外部の吸引ポンプに連係され、適宜のタイミングで吸引のON/OFFがなされる。
【0024】
吸引ノズル22は、蛇腹状に構成される。これにより、例えば、吸着面となる吸引ノズル22の下端の開口部を塞いだ状態で吸引すると、下端の位置が上昇する。よって、上記のように4つの吸引ノズル22をそれぞれ1つの袋体3の表面に接触した状態で吸引すると、4つの吸引ノズル22の下端位置が上昇し、吸引ノズル22に吸着保持された袋体3も上昇する。
【0025】
ベース部材21の下方には、ガイド部材23が設置される。ガイド部材23は、帯板状の底板部23aの長手方向の両端部23bを上方に向けて折り曲げて起立させ、その両端部23bを、ベース部材21の側面に取り付け固定する。底板部23aの所定位置に貫通孔を設け、その貫通孔を介して吸引ノズル22を、ガイド部材23の下方に突出配置する。
【0026】
これにより、上述したように吸引ノズル22により吸着保持されて上昇移動する袋体3は、例えばその表面がガイド部材23の底板部23aの下面に接触するとそれ以上の上昇が抑止され、ベース部材21に対する相対位置を一定に保った状態で、ロボットハンド20に保持される。以後、ロボットハンド20に吸着保持された袋体3は、ロボットアーム12によるロボットハンド20の移動と一体となって移動する。また、本実施形態では、2枚の袋体3のうちの一方のみを吸着保持する。そして、上述したように吸着により吸引ノズル22の下端位置が上昇し、吸着された袋体3も上昇すると、吸着されていない袋体3もその接続側が上昇する。また、ロボットアーム12によりロボットハンド20が移動すると、吸着されていない袋体3も、ぶら下がった状態で一体に移動する。
【0027】
一方、ベース部材21の上面の四隅には、柱状の支持部材25を起立形成し、その支持部材25の上端に天板26を取り付ける。そして天板26の下面に、シリンダ27を装着する。このシリンダ27は、例えばベース部材21の上面と平行な平面内でベース部材21の所定の1辺と平行な第一方向に沿ってシリンダロッド27aを往復動作させるように配置する。シリンダロッド27aの先端には、連結プレート28を介してロータリーアクチュエーター29を取り付ける。ロータリーアクチュエーター29により正逆回転する回転軸30が、ベース部材21の上面と平行な平面内で、シリンダロッド27aの動作方向である第一方向と直交する第二方向に延びるように配置する。そしてこの回転軸30の両端には、それぞれ支持アーム31を連結し、その一対の支持アーム31の先端側に渡すように付勢バー32を取り付ける。これにより、回転軸30の正逆回転に追従して支持アーム31も正逆回転し、それに伴い付勢バー32が回転軸30を回転中心として振り子のように移動する。
【0028】
支持アーム31は、適宜の長さを有し、例えばベース部材21の上面に対して直交する方向に延びる姿勢では、その先端ひいては付勢バー32がベース部材21に取り付けられたガイド部材23の下面より下方に位置し、その状態から支持アーム31が正逆回転すると、付勢バー32はベース部材21,ガイド部材23と干渉することなくその下側空間で移動する。
【0029】
さらにシリンダロッド27aが本体内に収納された状態では、例えば図2(a),図3(a)〜(c)に示すように、支持アーム31の回転中心となるロータリーアクチュエーター29がベース部材21,ロボットハンド20の一方端部側に位置する。また、シリンダロッド27aが往動作して本体から突出した状態では、例えば図3(d)に示すように、支持アーム31の回転中心となるロータリーアクチュエーター29がベース部材21,ロボットハンド20の一方端部と対辺側の他方端部側に位置する。
【0030】
係る機能を備えたロボットハンド20を備えた移し替え装置10は、例えば以下に示す動作により、展開状態で第二搬送コンベア6上を搬送される連包品5を、折り畳んで2つの袋体3を重ねた姿勢に変更して製品1の上に移し替えることができる。例えば、図3(a)に示すように、付勢バー32の先端がベース部材21の一端側であって、ガイド部材23の底板部23aの下面よりも上方に位置する待機姿勢の状態で、ロボットアーム12は、ロボットハンド20を第二搬送コンベア6上の展開状態の連包品5の流れ方向下流側の袋体3の上に位置させ、その袋体3の表面に吸引ノズル22を接触させる。
【0031】
ロボットアーム12は、ロボットハンド20,ベース部材21の一端側は、連包品5の流れ方向の上流側に位置するように、ロボットハンド20を位置させる。そして待機姿勢では、支持アーム31の先端は吸引ノズル22の下端よりも上方に位置しているため、付勢バー32は連包品5の上方空間に位置し、非接触となる。
【0032】
次いで、吸引ノズル22の吸引を開始すると、流れ方向の下流側の袋体3は、吸引ノズル22により吸着・保持され、吸引ノズル22の下端の上昇に伴い第二搬送コンベア6の搬送面から離れて浮き上がる。
【0033】
その吸着保持した状態のままロボットハンド20が上昇すると、吸着された袋体3はそのまま上昇し、吸着されていない袋体3もその接続側から上昇し、所定距離上昇すると、例えば図3(b)に示すように吸着されていない袋体3が、垂れ下がった状態となり、連包品5は、係る状態のままロボットハンド20とともに移動する。
【0034】
次いで、ロータリーアクチュエーター29が動作し、支持アーム31が回転して付勢バー32が一端側から他端側に向けて移動する。これにより、図3(b)に示すように、ぶら下がっていた吸着されていない袋体3は、付勢バー32に付勢されて上方に持ち上げられ、両袋体3の接続部分から折り曲げられて上下に重なった折り畳まれた状態となる。このように折り畳まれた連包品5は、下側に位置する吸着されていない袋体3の一端側(非接続側)が、付勢バー32で支えられ下降移動を抑止されるため、その折り畳まれた状態のままロボットハンド20とともに移動する。またこの付勢バー32による袋体3の持ち上げ処理、連包品5の折りたたみ処理は、ロボットハンド20が第一搬送コンベア2の製品1の上方に位置する前に行うとよい。
【0035】
そして、ロボットアーム12は、ロボットハンド20を第一搬送コンベア2上の所定の製品1の上方の所定位置に位置させる。これにより、連包品5は、製品1の上方の接近した位置まで移動される。この状態でシリンダ27を動作させてシリンダロッド27aを往動作させ、付勢バー32を袋体3の下側から離反させる(図3(d)等参照)。また、この離反に合わせて、吸引ノズルによる吸引を解除するとともに、ロボットハンド20を下降移動する。これにより、吸着保持が解除された連包品5は、折り畳まれた状態のまま製品1の上に移し替えられる。
【0036】
さらに本実施形態では、この移替の際にロボットハンド20を、付勢バー32側が上になるように傾斜させる。このようにすることで、例えば、図3(c)の状態からシリンダ27の往動作により付勢バー32が水平移動して、吸引ノズル22の下端よりも下側(ロボットハンド20が水平の姿勢)に位置していても、付勢バー32が製品1に干渉せず、移替ができる。
【0037】
また、例えば、ロータリーアクチュエーター29の回転により、付勢バー32を、吸引ノズル22の下端よりも上方より好ましくはガイド部材23の底板部23aの下面よりも上方に移動させるように構成するとよい。係る構成を採ると、上述したようにロボットハンド20を傾斜させなくても、付勢バー32と製品1の解消が抑制できる。なお、係る構成を採った場合でも、ロボットハンド20を傾斜させてもよい。
【0038】
また、第一搬送コンベア2が製品1を間欠搬送する場合、一時停止中の製品1に対して折り畳まれた連包品5を供給すると良い。またそのように間欠搬送することなく、第一搬送コンベア2が製品1を連続して搬送するタイプの場合、ロボットハンド20は、製品1と同期して移動しながら連包品5を製品1の上に供給するとよい。
【0039】
上述したように、本実施形態のロボットハンド20によれば、連包品を二つ折りして折り畳まれた状態にする2つ折り機能と、その折り畳まれた状態の連包品を所定の位置に供給する機能を備える。
【0040】
また、本実施形態によれば、例えば第二搬送コンベア6上をランダムに搬送されてくる連包品5であっても、ロボットハンド20の向きを連包品の向きに合わせて一つの袋体の上に対向させることで対応できる。
【0041】
また、ロータリーアクチュエーター29は、天板26に対して相対的に離反及び近接可能に構成するとよい。このようにすると、例えば天板26から離反させることで、連包品5の垂れ下がっている袋体3の接続付近ではなく、吸着されていない袋体3の中央部、または吸着されていない袋体3の自由端部付近の表面に付勢バー32を接触して折り畳むようにすることができる。これにより、例えば、付勢バー32が袋体3の接続部分付近に接触して付勢した場合に、吸引ノズル22の吸着力や付勢バー32の不勢力等の関係から吸引ノズル22の吸着が解除されるようなことが生じるような場合でも、袋体3の自由端部付近の表面を付勢することでかかる事態の発生を可及的に抑制できる。
【0042】
またこのようにロータリーアクチュエーター29ひいては回転軸が天板26に対して接近離反する構成にした場合、例えば、天板26から離反させて付勢バー32が、吸着されていない袋体3の中央部、または吸着されていない袋体3の自由端部付近の表面に接触した後、回転軸30の回転中の適宜のタイミングで回転軸30を天板26側に移動するようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、一方の袋体3を吸着したロボットハンド20(図3(a)参照)は、その後に平行移動して上昇し、図3(b)等に示すように吸着された袋体3は水平姿勢となり、吸着されていない袋体3は自重により上下方向に延びる垂直姿勢となり、なす角が略90度となるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、2つの袋体3の接続部分が上方に位置するようにロボットハンド20を傾斜させ(図4(a)等参照)、2つの袋体3のなす角が鋭角になるようにし、その状態で付勢バー32によって吸着されていない袋体3を付勢し(図4(b)等参照)、2つ折りにするとよい。このようにすると、上述した予期せずに吸着が解除される事態の発生を可及的に抑制できる。
【0044】
また、上述した実施形態では、展開状態の連包品の流れ方向の下流側の袋体を吸着保持したが、吸着する対象の袋体は任意であり、ロボットハンド20は、連包品5の流れ方向上流側の袋体3を吸着保持してもよい。また、シリンダ27も、シリンダロッド27aを伸ばした状態で待機し、縮めることで袋体の支持を解除するようにするなど、各種の態様がとれる。
【0045】
また、上述した実施形態では、ロータリーアクチュエーター29による正逆回転と支持アーム31により、付勢バー32を振り子のように移動させて垂れ下がった袋体を付勢して折り畳むとともに、その状態を指示するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、シリンダその他の駆動手段により付勢バー32を往復直線運動させるようにしてもよい。但し、付勢バー32を往復直線運動させるようにした場合には、第二搬送コンベア6上の展開状態の連包品をピックアップする際に、付勢バー32を吸着ノズルの下端よりも上方に位置させるための機構・装置が必要となる。
【0046】
これに対し、本実施形態のように振り子式にすることで、回転移動に伴い付勢バー32の高さ位置も昇降するため、簡単な構成で、袋体3の付勢と、付勢バー32の待避を行うことができるのでよい。
【0047】
図5図6は、ロボットハンド20の別の実施形態を示している。本実施形態では、支持アームひいてはそれに支持される付勢バー32の構造を異ならせている。すなわち、上述した実施形態では、支持アーム31は、所定角度範囲内で正逆回転したが、本実施形態では、サーボモータ35の回転出力を受けて、支持アーム31′が長手方向の中央に取り付けた回転軸30を中心に360度回転するようにした。本実施形態では、サーボモータ35の出力軸と回転軸30を直結或いは同軸としたが、適宜の動力伝達機構を設けてモータの出力軸と回転軸30をずらしてもよい。さらに、サーボモータ35により回転する支持アーム31′の両端に片持ち支持構造で2つの付勢バー32を備えるようにした。
【0048】
係る構成をとると、支持アーム31′が180度回転する毎に、1つの連包品5に対する折り畳み処理を行うことができる。すなわち、図示するように、下側の付勢バー32が吸引ノズル22の下端の吸着面より上に位置する状態で、図3(a)と同様に展開状態の連包品5の一方の袋体3の上面に吸引ノズル22を接触させるとともに吸着保持する。次いで、ロボットハンド20を上昇させるとともに、支持アーム31′を所定角度回転させ垂れ下がった吸着されていない袋体3を付勢バー32付勢して折り畳む。さらに、ロボットハンド20を製品1の上方に等に位置させた状態で支持アーム31′を所定角度回転させ、付勢バー32を連包品5から離反させるとともに吸引ノズル22の下端よりも上方さらにはガイド部材23の底板部23aの下面よりも上方に移動させ、その状態で吸引かを解除することで、連包品5を製品1の上等に供給可能となる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上述した実施形態と同様であるため、対応する部材に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
なおまた、本実施形態では、支持アーム31′の両端に付勢バー32を設けたが、付勢バー32は1つでもよい。
【0050】
また、上述した実施形態並びに変形例では、連包品5を製品1の上に載せるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、製品の上ではなく、1つまたは複数の2つ折りにした連包品のみを第一搬送コンベア2に供給してもよい。2つ折りにした連包品を第一搬送コンベア2上に供給セットする際の位置を、搬送方向、または搬送方向の直角方向に一つずつ順にずらし、複数回処理を繰り返すことで、刺身盛りのように重ねた状態に集積した製品群がセットされる。または段積み状態に集積した製品群をセットしてもよい。
【0051】
さらにまた、上述した各実施形態並びに変形例は、その一部を組み合わせて構成するとよい。例えば、図5図6に示す実施形態において、回転軸30を昇降する構成、例えばサーボモータ35並びに支持アーム31′の全体を昇降させるようにし、上方側の付勢バー32が吸着されていない袋体3の中央部、または吸着されていない袋体3の自由端部付近の表面に付勢バー32を接触して折り畳むようにするとよい。係る場合に、上方に位置する付勢バー32が、他の部材に干渉しないように回転軸30を昇降させるとよい。
【0052】
また上述した各実施形態並びに変形例では、シリンダ27の往動作により、付勢バー32を吸引ノズル22の下方空間内で平行移動して、連包品5から離反するようにしたが、回転に伴い付勢バー32が連包品5から離反するように構成すると、シリンダ27のように付勢バー32を平行移動させる機能は必ずしも設けなくてもよい。但し、係る機能を備えると、連包品5からスムーズに離反できるのでよい。
【0053】
また、ロボットハンド20を所望の位置に移動するロボットは、3次元空間の任意の場所に移動可能な6軸ロボットハンド等を備えた垂直多関節ロボット、スカラロボット、パラレルリンクロボット等の各種の産業用ロボットを用いるとよい。
【0054】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0055】
1 :製品
2 :第一搬送コンベア
3 :袋体
5 :連包品
6 :第二搬送コンベア
10 :移し替え装置
11 :ロボット本体
12 :ロボットアーム
20 :ロボットハンド
21 :ベース部材
22 :吸引ノズル
23 :ガイド部材
25 :支持部材
26 :天板
27 :シリンダ
28 :連結プレート
29 :ロータリーアクチュエーター
30 :回転軸
31 :支持アーム
31′ :支持アーム
32 :付勢バー
35 :サーボモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6