【解決手段】本発明の絶縁性フイルは、プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムにおいて、アンカーコート層を、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤を少なくとも含む層とすることを特徴とする。
プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムであって、アンカーコート層が、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤を少なくとも含む層であることを特徴とする絶縁性フイルム。
【背景技術】
【0002】
従来、食料品、医薬品、衣料品等の製品の包装袋に使用する包装材としてプラスチックフイルムが使用され、該プラスチックフイルムとして、包装袋の外観に金属光沢を付与することで、製品の購入者の目を引きつけて他の製品との差別化を行う目的等の為、プラスチックフイルム上に、アルミニウム薄膜層等の金属薄膜層が形成された優れた金属光沢を有する金属蒸着フイルムが一般的に広く使用されている。
また、上記製品自体、または上記製品を包装袋内に梱包する工程で金属異物が混入することがあり、安全衛生上、出荷前に金属探知機を使用するなどして金属異物を探知し除去することも行われている。
【0003】
しかしながら、優れた金属光沢を有する一般的な上記金属蒸着フイルムを使用して包装袋とした場合、該金属蒸着フイルムに形成されたアルミニウム薄膜層等の金属薄膜層は通常導電性を有しており、該金属薄膜層自体が金属異物として反応してしまう為、金属探知機で金属異物の有無を検査する製品の包装袋に使用する包装材として上記金属蒸着フイルムを使用することができず、プラスチックフイルム上に、不連続な島状構造の金属で導電性のない絶縁性金属薄膜層が形成されている絶縁性フイルムを使用する必要があった。
【0004】
そして、特許文献1には、プラスチックフイルム上に、島状構造の金属蒸着層(絶縁性金属薄膜層)が形成された蒸着フイルム(絶縁性フイルム)が記載されている。
【0005】
また、上記絶縁性フイルムの絶縁性金属薄膜層は、不連続な島状構造の金属で形成されており、電子レンジの電磁波が通過する。その為、該絶縁性金属薄膜層が形成されている絶縁性フイルムは、電磁波を利用する電子レンジを使用して温めたり、調理等する食品の包装袋に使用する包装材として使用されている。
【0006】
また、最近では一般的にRFID(Radio Frequency IDentification)タグと呼ばれる製品情報が埋め込まれた電子タグを製品に付け、RFIDタグから発せられる電磁波等を専用の機器で読み込むRFIDシステムを利用して製品の在庫管理等を行うことも広く行われるようになっている。
そして、絶縁性金属薄膜層が形成されている絶縁性フイルムは、前記のように不連続な島状構造の金属で形成され絶縁性金属薄膜層が電磁波等を通過するものである為、RFIDシステムを利用して製品管理を行う製品の包装袋に使用する包装材としても使用されている。
【0007】
また、特許文献2には、プラスチックフイルム上に、離型層、保護層、模様状の水溶性塗料層を形成した後、該模様状の水溶性塗料層上に、金属光沢と絶縁性を兼ね備えた不連続な島状構造の金属で形成された絶縁性金属薄膜層が形成された絶縁性転写フイルムの記載があり、絶縁性金属薄膜層を島のサイズが10Å〜2μm(1nm〜2μm)で、島の間隔が20Å〜5000Å(2nm〜500nm)である島状構造となるような薄膜とすることがよいと記載されている。
そして、絶縁性金属薄膜層を上記島のサイズと島の間隔の島状構造とするには、プラスチックフイルム/離型層/保護層/模様状の水溶性塗料層/絶縁性金属薄膜層からなる積層体の水溶性塗料層が存在しない部分の全光線透過率を10〜50%とするのがよいと記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プラスチックフイルム上に、島状構造の金属蒸着層(絶縁性金属薄膜層)が形成された特許文献1記載の蒸着フイルムに代表される従来の絶縁性フイルムは、絶縁性を発揮する為に、該絶縁性フイルムに形成された絶縁性金属薄膜層を、不連続な島状構造の金属で形成された層とする必要がある。
そして、該従来の絶縁性フイルムは、アルミニウム薄膜層等の金属薄膜層が形成された一般的な金属蒸着フイルムと比べ、光沢度が低く、くすんだ黒っぽい金属光沢となり、優れた金属光沢を発揮できない為、従来の絶縁性フイルムを使用した包装袋は、購入者の目を引きつけて他の製品との差別化する効果が減衰していた。
【0010】
上記欠点は、特許文献2に記載のように、プラスチックフイルムと絶縁性金属薄膜層との間に保護層や模様状の水溶性塗料層に代表される従来のアンカーコート層が形成された絶縁性フイルムであっても解決することができなかった。
【0011】
絶縁性フイルムの光沢度と絶縁性は、一般的に絶縁性金属薄膜層を形成する金属の付着量が関係しており、絶縁性金属薄膜層を形成する際に、絶縁性フイルムの全光線透過率を調整することで金属の付着量を調整している。
【0012】
具体的には、絶縁性フイルムの全光線透過率が低くなるにつれて、絶縁性金属薄膜層の金属の付着量が多くなり、光沢度が上がるものの、金属が島状構造を形成しづらくなる為、絶縁性が発揮しづらくなる(導電性を発揮しやすくなる)。また反対に、絶縁性フイルムの全光線透過率が高くなるにつれて、絶縁性金属薄膜層の金属の付着量が少なくなり、金属が島状構造を形成しやすくなる為、絶縁性を発揮しやすくなるものの、光沢度が下がり、優れた金属光沢を発揮しづらくなる。
【0013】
そして、一般的な絶縁性フイルムは、特許文献2に記載のように、絶縁性フイルムの全光線透過率を10%〜50%の範囲に調整することで、絶縁性金属薄膜層を金属の島のサイズと島の間隔を前記範囲の島状構造を形成することができる。
しかしながら、該絶縁性フイルムは、絶縁性金属薄膜層の金属の島のサイズと島の間隔を前記範囲とすれば島状構造を形成することができるものの、形成された絶縁性金属薄膜層は、金属の大きい島と小さい島が混在し、また島の間隔も狭い箇所や広い箇所が混在し、バラツキが大きく不均一な島状構造の絶縁性金属薄膜層が形成されていた。
【0014】
その為、従来の絶縁性フイルムは、優れた絶縁性を有したものであるものの、プラスチックフイルム上に、アルミニウム薄膜層等の金属薄膜層が形成された一般的な金属蒸着フイルムと比べ、光沢度が低く、くすんだ黒っぽい金属光沢となり、優れた金属光沢を発揮できず、優れた金属光沢と、優れた絶縁性の両方を兼ね備えたものではない欠点があった。
【0015】
また、仮に優れた金属光沢を得る目的で、絶縁性フイルムの全光線透過率を10%未満とした場合には、絶縁性フイルムの全光線透過率を10%〜50%の範囲とした場合と比べ、金属の付着量が増え光沢度が高くなり、優れた金属光沢を得る目的を達成することができた。
しかしながら、得られた絶縁性フイルムは、絶縁性金属薄膜層が、金属の島が大きくなったり、島の間隔が狭くなったりして、前記範囲内におさまらなくなり、場合によっては島の間隔が狭くなり島同士がつながり前記範囲を超える大きな島が形成される等、確実に島状構造とならず導電性を有したものとなった。
その結果、従来の絶縁性フイルムは、確実に優れた金属光沢と、優れた絶縁性の両方を兼ね備えたものとならない欠点があった。
【0016】
また、上記欠点は、特許文献2に記載のような、プラスチックフイルムと絶縁性金属薄膜層との間にアンカーコート層が形成された絶縁性フイルムであっても解決することができなかった。
【0017】
このことから、従来の絶縁性フイルムは、優れた絶縁性を有したものであるものの、優れた金属光沢を発揮するものではない為、金属探知機で金属異物の有無を検査する製品、電子レンジで調理等する食品、RFIDシステム利用して製品管理を行う製品等の包装袋の包装材等に使用した場合に、包装袋に消費者の目を引きつける効果(他の製品との差別化する効果)が減衰してしまい、確実に、優れた絶縁性と優れた金属光沢の両方を兼ね備える絶縁性フイルムが切望されていた。
【0018】
また、従来の絶縁性フイルムは、絶縁性金属薄膜層が不連続な島状構造の金属で形成されている為、上記欠点の他にガスバリア性(水蒸気透過度及び酸素透過度)を有していない欠点があった。
【0019】
また、絶縁性フイルムを製品の包装袋の包装材として使用するには、絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとが樹脂層を介して貼り合わせされている積層フイルムを使用することが一般的であり、該積層フイルムは、従来の絶縁性フイルムと同様の欠点があった。
【0020】
本発明の課題は、確実に、優れた絶縁性と優れた金属光沢の両方を兼ね備える絶縁性フイルム、及び積層フイルムを提供することである。
【0021】
尚、本明細書でいう優れた絶縁性とは、JIS K 6911法に準拠して測定した絶縁性金属薄膜層の表面抵抗値が5×10
5オーム以上であることをいい、優れた金属光沢とは、JIS Z 8741法(60°)に準拠して測定した光沢度が500以上であることをいう。
また、本明細書でいう優れたガスバリア性とは、JIS K 7129A法に準拠して測定した水蒸気透過度が、1.0g/m
2・day以下、かつJIS K 7126B法に準拠して測定した酸素透過度が、1.0cc/m
2 ・day以下であることをいう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[1]本発明は、プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムであって、アンカーコート層が、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤を少なくとも含む層であることを特徴とする絶縁性フイルムである。
[2]本発明は、シランカップリング剤がアミノ系シランカップリング剤である上記[1]記載の絶縁性フイルムである。
[3]本発明は、絶縁性金属薄膜層に使用する金属が錫、またはインジウムのいずれかである上記[1]、または[2]記載の絶縁性フイルムである。
[4]本発明は、プラスチックフイルムとアンカーコート層との間に、透明な金属酸化物薄膜層がさらに形成されている上記[1]〜[3]いずれか記載の絶縁性フイルムである。
[5]本発明は、少なくとも、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとが、樹脂層を介して貼り合わせされていることを特徴とする積層フイルムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の絶縁性フイルムは、プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムであって、アンカーコート層が、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤を少なくとも含む層であることを特徴とする絶縁性フイルムである。
その為、従来の絶縁性フイルムでは、絶縁性金属薄膜層を金属の島状構造で確実に形成されるほど金属の付着量を多くした場合であっても、本発明の絶縁性フイルムは、上記内容のアンカーコート層が形成されている為、絶縁性金属薄膜層を比較的均一な島状構造で確実に形成された層とすることができる。
その結果、本発明の絶縁性フイルムは、確実に、優れた絶縁性と優れた金属光沢の両方を兼ね備えたものとなる。
【0024】
このことから、本発明の絶縁性フイルムは、従来の絶縁性フイルムの前記欠点を解消し、優れた絶縁性と優れた金属光沢の両方を兼ね備えたものである為、本発明の絶縁性フイルムを使用した包装袋に消費者の目を引きつける効果(他の製品との差別化する効果)が減衰することなく、優れた絶縁性と優れた金属光沢が切望されていた製品、例えば金属探知機で金属異物の有無を検査する製品、電子レンジで調理等する食品、RFIDシステム利用して製品管理を行う製品等の包装袋に使用する包装材として使用することができる。
【0025】
さらに、本発明の絶縁性フイルムは、絶縁性金属薄膜層に使用する金属を錫、またはインジウムのいずれかを使用すれば、島状構造に形成された絶縁性金属薄膜層の島のサイズと、島の間隔を、容易に所望のサイズと間隔にすることができ、本発明の絶縁性フイルムの前記効果をより確実に発揮することができる。
【0026】
そして、本発明の絶縁性フイルムは、プラチックフイルムとアンカーコート層との間に透明な金属酸化物薄膜層が形成されたものとすれば、本発明の絶縁性フイルムの前記効果に加えて、さらに優れたガスバリア性(水蒸気透過度及び酸素透過度)を発揮することができる。
【0027】
また、本発明の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとが、樹脂層を介して貼り合わせされている本発明の積層フイルムは、容易に袋状に製袋しやすく、包装袋に使用する包装材として、最適なものであり、本発明の絶縁性フイルムの前記効果のすべてを発揮するものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(プラスチックフイルム)
本発明の絶縁性フイルムに使用するプラスチックフイルムは、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム等、各種従来公知のプラスチックフイルムが使用できる。
プラスチックフイルムは、無延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでもよく、また、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤等の各種添加剤を含んでいても構わない。
また、プラスチックフイルムの種類は、所望の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0029】
プラスチックフイルムは、プラスチックフイルムと後述のアンカーコート層や金属酸化物薄膜層との密着力を強くする目的で、プラスチックフイルム上に、易接着コート、コロナ処理等の表面処理がされたものでも構わず、これら表面処理がされたプラスチックフイルムも、本明細書のプラスチックフイルムに含まれる。
【0030】
プラスチックフイルムの厚さは、特に制限なく使用することができるが、2〜250μmの範囲とすることが好ましく、9〜125μmの範囲であることがより好ましい。
プラスチックフイルムの厚さが、2μmよりも薄いと、本発明の絶縁性フイルムを製造する際に、カールやシワ等が発生しやすくなるおそれがあり好ましくなく、プラスチックフイルムの厚さが、250μmよりも厚いと、本発明の絶縁性フイルムを製造する際に、作業性が悪くなり、また製造コストも上がる為、好ましくない。
【0031】
(アンカーコート層)
本発明の絶縁性フイルムに形成されているアンカーコート層は、本発明の絶縁性フイルムが優れた金属光沢を発揮させる目的、及び耐腐食性を発揮させる目的で、プラチックフイルム上に形成される層であり、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤を少なくとも含む層である。
【0032】
そして、従来のアンカーコート層上に、後述の不連続な島状構造の金属で形成される絶縁性金属薄膜層を形成した場合には、金属の大きい島と小さい島が混在し、また島の間隔も狭い箇所や広い箇所が混在する不均一な島状構造の絶縁性金属薄膜層が形成されていたが、本発明の絶縁性フイルムの上記アンカーコート層上に、絶縁性金属薄膜層を形成した場合には、金属の大きい島と小さい島が混在せず、また島の間隔も狭い箇所や広い箇所が混在しない比較的均一な島状構造の絶縁性金属薄膜層が形成される。
その為、本発明の絶縁性フイルムが、前記効果をすべて確実に発揮するものとなるのである。
【0033】
また、本発明の絶縁性フイルムは、アンカーコート層を形成することで、アンカーコート層と絶縁性金属薄膜層との密着強度も強いものとなる。
【0034】
また、アンカーコート層は、本発明の絶縁性フイルムの前記効果を損なわない範囲で、帯電防止性、紫外線吸収性、着色、熱安定性、スベリ性等を付与する目的で、各種添加剤が1種類以上添加されていてもよく、各種添加剤の種類や添加量は、所望の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0035】
アンカーコート層をプラスチックフイルム上に形成する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、バーコート法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0036】
アンカーコート層の厚さは、0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。アンカーコート層の厚さが、0.05μmよりも薄いと均一にアンカーコート層を形成することが困難となり、島状構造の絶縁性金属薄膜層の島のサイズと、島の間隔を、所望のサイズと間隔にすることが困難となり、所望の光沢度が得られなくなるおそれがある為、好ましくなく、アンカーコート層の厚さが、1.0μmよりも厚いと、プラスチックフイルムとアンカーコート層との密着強度が低くなってしまうおそれがある為、好ましくない。
【0037】
アンカーコート層に使用するウレタン系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基等、各種官能基を有したものであっても構わず、所望の目的に応じて適宜選択すればよく、また水系、溶剤系のどちらであっても構わない。
【0038】
また、アンカーコート層に使用する、硬化剤は、特に制限無く、イソシアネート等、従来公知の硬化剤が使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0039】
アンカーコート層に使用するシランカップリング剤は、ビニル系、エポキシ系、スチリル系、メタクリル系、アクリル系、アミノ系、イソシアヌレート系、ウレイド系、メルカプト系、スルフィド系、イソシアネート系等、各種シランカップリング剤を使用することができ、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
特に、シランカップリング剤に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤を使用すれば、絶縁性金属薄膜層の金属の島のサイズと島の間隔を容易に所望のサイズと間隔にすることができる為、好ましく、特に3−アミノプロピルトリエトキシシランを使用すれば万全である。
【0040】
アンカーコート層のウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤の重量比は、ウレタン系樹脂:硬化剤:シランカップリング剤=100:1〜20:0.01〜5の範囲とすることが好ましい。
ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤の重量比が、上記重量比の範囲でないと、前記本発明の絶縁性フイルムの前記効果をすべて発揮することができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0041】
(絶縁性金属薄膜層)
本発明の絶縁性フイルムに形成されている絶縁性金属薄膜層は、金属光沢と絶縁性を兼ね備えた層であり、アンカーコート層上に不連続な島状構造の金属で形成されている層である。
【0042】
絶縁性金属薄膜層に使用する金属は、錫、インジウム、鉛、ビスマス、亜鉛、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、珪素、ゲルマニウム等の金属、またはこれらの合金を使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよい。
特に、金属に錫、またはインジウムを使用すれば、絶縁性金属薄膜層を容易に不連続な島状構造とすることができる為、好ましい。
【0043】
また、絶縁性金属薄膜層を形成する金属の島のサイズは、1〜1000nmの範囲、かつ島の間隔は2〜200nmの範囲とすることが好ましい。
【0044】
さらに、本発明の絶縁性フイルムが、確実に、優れた絶縁性と優れた金属光沢の両方を兼ね備えたものとなる為には、絶縁性金属薄膜層を前記のとおり比較的均一な島状構造とする必要がある。そうする為には、金属の島のサイズ、及び島の間隔がそれぞれプラスマイナス50%の範囲、より好ましくはプラスマイナス30%の範囲とすることが好ましい。
【0045】
絶縁性金属薄膜層を形成する金属の島のサイズ、島の間隔、及びそれぞれのバラツキの範囲を上記範囲内としておけば本発明の絶縁性フイルムが確実に、優れた金属光沢、及び優れた絶縁性の両方を発揮することができるので万全である。
【0046】
また、本発明の絶縁性フイルムに形成される絶縁性金属薄膜層は、絶縁性フイルムの透過率にかかわらず、いいかえると金属の付着量にかかわらず、絶縁性金属薄膜層を形成する金属の島の大きさ、及び島の間隔はバラツキが小さく比較的均一な島状構造で形成される。
【0047】
また、従来の絶縁性フイルムが、絶縁性フイルムの全光線透過率を低く調整することで金属の付着量を多くした結果、絶縁性金属薄膜層を島状構造で形成することができなかった場合であっても、本発明の絶縁性フイルムは、島のサイズと島の間隔が、確実に上記範囲で形成され、金属の大きい島と小さい島が混在せず、また島の間隔も狭い箇所や広い箇所が混在しない比較的均一な島状構造で絶縁性金属薄膜層を形成することができる。
その為、本発明の絶縁性フイルムは、優れた金属光沢、及び優れた絶縁性の両方を確実に発揮することができるものとなる。
ただし、絶縁性金属薄膜層の金属の付着量を際限なく多くした場合には、島のサイズ、及び島の間隔が前記範囲内におさまらなくなり、島の間隔が狭くなり島同士がつながる等する為、得られた絶縁性フイルムは、優れた金属光沢を発揮するものの、絶縁性金属薄膜層が島状構造で形成されずに導電性を有したものとなる。
【0048】
絶縁性金属薄膜層をアンカーコート層上に形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング蒸着法、化学気相蒸着法(CVD法)等、従来公知の絶縁性金属薄膜層を形成する方法が使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0049】
(金属酸化物薄膜層)
また、本発明の絶縁性フイルムは、本発明の絶縁性フイルムが前記効果に加え、さらに優れたガスバリア性(水蒸気透過度及び酸素透過度)を兼ね備えたものとする目的で、本発明の絶縁性フイルムの前記効果を損なわない範囲で、プラスチックフイルムとアンカーコート層との間に透明な金属酸化物薄膜層が形成されたものとしても構わない。
【0050】
金属酸化物薄膜層をプラスチックフイルムとアンカーコート層との間に形成することで所望のガスバリア性を得ることができる為、好ましい。
【0051】
上記金属酸化物薄膜層は、酸化アルミニウム薄膜層、酸化珪素薄膜層、酸化スズ薄膜層等の金属酸化物薄膜層が例示できるが、中でも安定したガスバリア性が得られる酸化アルミニウム薄膜層が好ましい。
【0052】
金属酸化物薄膜層の厚さは、ガスバリア性の点から3〜20nmが好ましく、5〜15nmであればより好ましい。
【0053】
金属酸化物薄膜層の厚さが上記範囲でないと所望のガスバリア性が得られなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0054】
金属酸化物薄膜層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング蒸着法、化学気相蒸着法(CVD法)等、従来公知の金属酸化物薄膜層を形成する方法が使用できる。
【0055】
(トップコート層)
また、本発明の絶縁性フイルムは、本発明の絶縁性フイルムの前記効果を損なわない範囲で、絶縁性金属薄膜層上に、絶縁性金属薄膜層等の傷つきを防止する等の目的の為に、従来公知の樹脂からなるトップコート層が形成されていても構わない。尚、該トップコート層に使用する樹脂、トップコート層の厚さ、及び形成する方法は、特に制限なく使用することができ、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0056】
(積層フイルム)
本発明の積層フイルムは、少なくとも、本発明の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとが、樹脂層を介して貼り合わせされている積層フイルムである。
また、本発明の絶縁性フイルムの絶縁性金属薄膜層上やプラスチックフイルム上、または他のプラスチックフイルムの片面または両面に、印刷層、トップコート層等の各種機能層が形成されていても構わず、各種機能層が形成される位置は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0057】
本発明の積層フイルムに使用する他のプラスチックフイルムは、低密度ポリエチレンフイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム等、従来公知のプラスチックフイルムを使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよい。
また、他のプラスチックフイルムは、無延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでもよく、また、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤等の各種添加剤を含んでいても構わない。
また、他のプラスチックフイルムに使用するプラスチックフイルムの種類や厚さは、所望の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0058】
本発明の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとを貼り合わせる方法は、ドライラミネート法、押出しラミネート法等、従来公知のラミネート法を使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0059】
本発明の積層フイルムの樹脂層は、本発明の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとを貼りわせる目的で、本発明の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとの間に形成される樹脂からなる層である。
また樹脂層に使用する樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等、各種公知の樹脂が使用でき、これらのいずれか1種、または2種以上の混合樹脂としてもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0060】
樹脂層の厚さは、特に制限なく、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0061】
また、本発明の積層フイルムの樹脂層は、前記効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、硬化剤等、各種添加剤が1種類以上添加されていてもよく、各種添加剤の種類や添加量は、所望の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0062】
以上のとおり、本発明の絶縁性フイルムは、プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムであって、アンカーコート層が、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びシランカップリング剤を少なくとも含む層であることを特徴とする絶縁性フイルムである。
その為、従来の絶縁性フイルムが、絶縁性フイルムの全光線透過率を10%未満のような絶縁性金属薄膜層を島状構造で完全に形成することができなかった場合であっても、本発明の絶縁性フイルムは、絶縁性金属薄膜層を、金属の大きい島と小さい島が混在せず、また島の間隔も狭い箇所や広い箇所が混在しない比較的均一な島状構造で形成された層とすることができ、本発明の絶縁性フイルムの前記効果のすべてを確実に発揮することができるものとなり、さらに本発明の絶縁性フイルムのアンカーコート層のシランカップリング剤を、アミノ系シランカップリング剤とすれば万全である。
【0063】
また、本発明の絶縁性フイルムの絶縁性金属薄膜層に使用する金属を錫、またはインジウムのいずれかとすれば、絶縁性金属薄膜層を形成する金属の島のサイズと島の間隔を容易に所望のサイズと間隔にすることができ、優れた絶縁性と優れた金属光沢の両方を容易に得ることができる。
【0064】
また、本発明の絶縁性フイルムは、透明な金属酸化物薄膜層がプラスチックフイルムとアンカーコート層との間に形成されたものとすれば、本発明の絶縁性フイルムの前記効果に加え、さらに優れたガスバリア性(水蒸気透過度及び酸素透過度)を発揮することもできる。
【0065】
そして、本発明の絶縁性フイルムと他のプラスチックフイルムとが、樹脂層を介して貼り合わせされた積層フイルムは、本発明の絶縁性フイルムの前記効果をすべて発揮することができ、優れた絶縁性と優れた金属光沢を必要とする製品の包装袋に使用する積層フイルムとして最適である。
【実施例】
【0066】
[実施例1]
以下の(工程1)、及び(工程2)を順に行い、プラスチックフイルムの片面に、アンカーコート層、及び絶縁性金属薄膜層が順次積層された実施例1の本発明の絶縁性フイルムを得た。
(工程1)厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、ウレタン系樹脂(三井化学株式会社製 商品名:タケラックW−605)100重量部と、硬化剤としてイソシアネート(三井化学株式会社製 商品名:タケネートWD−725)9重量部、シランカップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ダウ・東レ株式会社製 商品名:DOWSIL Z6011)1重量部を混合して得た混合樹脂をグラビアコート法でコーティングして、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
(工程2)上記アンカーコート層上に、蒸着材料に錫を使用し、真空蒸着機にて真空蒸着法を用いて不連続な島状構造の錫で形成されている絶縁性金属薄膜層(錫薄膜層)を、絶縁性フイルムの全光線透過率が6%となるように形成した。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島の大きさが700nmプラスマイナス70nm(バラツキの範囲:プラスマイナス10%)であり、大きい島と小さい島が混在せず、また錫の島の間隔も150nmプラスマイナス10nm(バラツキの範囲:プラスマイナス6.6%)で狭い箇所や広い箇所が混在しない比較的均一な島状構造で形成された層であった。
【0067】
[実施例2]
以下の(工程1)〜(工程3)を順に行い、プラスチックフイルムの片面に、金属酸化物薄膜層、アンカーコート層、及び絶縁性金属薄膜層が順次積層された実施例2の本発明の絶縁性フイルムを得た。
(工程1)厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、蒸着材料にアルミニウムを使用して、真空蒸着機にて酸素ガスを導入しながら真空蒸着し、金属酸化物薄膜層として厚さ6nmの酸化アルミニウム薄膜層を形成した。
(工程2)上記酸化アルミニウム薄膜層上に、ウレタン系樹脂(三井化学株式会社製 商品名:タケラックW−605)100重量部と、硬化剤としてイソシアネート(三井化学株式会社製 商品名:タケネートWD−725)9重量部、シランカップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ダウ・東レ株式会社製 商品名:DOWSIL Z6011)1重量部を混合して得た混合樹脂をグラビアコート法でコーティングして、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
(工程3)上記アンカーコート層上に、蒸着材料に錫を使用し、真空蒸着機にて真空蒸着法を用いて不連続な島状構造の錫で形成されている絶縁性金属薄膜層(錫薄膜層)を、絶縁性フイルムの全光線透過率が6%となるように形成した。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島の大きさが700nmプラスマイナス70nm(バラツキの範囲:プラスマイナス10%)であり、大きい島と小さい島が混在せず、また錫の島の間隔も150nmプラスマイナス10nm((バラツキの範囲:プラスマイナス6.6%)で狭い箇所や広い箇所が混在しない比較的均一な島状構造で形成された層であった。
【0068】
[実施例3]
実施例1の絶縁性金属薄膜層(錫薄膜層)を、絶縁性フイルムの全光線透過率が15%となるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の絶縁性フイルムを得た。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島の大きさが500nmプラスマイナス50nm(バラツキの範囲:プラスマイナス10%)であり、大きい島と小さい島が混在せず、また錫の島の間隔も180nmプラスマイナス15nm(バラツキの範囲:プラスマイナス8.3%)で狭い箇所や広い箇所が混在しない比較的均一な島状構造で形成された層であった。
【0069】
[比較例1]
実施例1のアンカーコート層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の絶縁性フイルムを得た。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島状構造が確認できなかった。
【0070】
[比較例2]
実施例1のアンカーコート層からシランカップリング剤を除き、ウレタン系樹脂と硬化剤からなる層としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の絶縁性フイルムを得た。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島状構造が確認できなかった。
【0071】
[比較例3]
実施例1のアンカーコート層を形成しなかったことと、絶縁性金属薄膜層(錫薄膜層)を、絶縁性フイルムの全光線透過率が15%となるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の絶縁性フイルムを得た。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島の大きさが1100nmプラスマイナス800nm(バラツキの範囲:プラスマイナス72.7%)で大きい島と小さい島が混在しており、また錫の島の間隔も280nmプラスマイナス200nm(バラツキの範囲:プラスマイナス71.4%)で狭い箇所や広い箇所が混在する不均一な島状構造で形成された層であった。
【0072】
[比較例4]
実施例1のアンカーコート層からシランカップリング剤を除き、ウレタン系樹脂と硬化剤からなる層としたことと、絶縁性金属薄膜層(錫薄膜層)を、絶縁性フイルムの全光線透過率が15%となるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の絶縁性フイルムを得た。
尚、絶縁性金属薄膜層は、錫の島の大きさが1200nmプラスマイナス700nm(バラツキの範囲:プラスマイナス58.3%)で大きい島と小さい島が混在しており、また錫の島の間隔も280nmプラスマイナス200nm(バラツキの範囲:プラスマイナス71.4%)で狭い箇所や広い箇所が混在する不均一な島状構造で形成された層であった。
【0073】
[各種物性の測定]
実施例1〜3で得た本発明の絶縁性フイルム、及び比較例1〜4で得た絶縁性フイルムを試験試料として、以下の物性の評価試験を行い絶縁性フイルムの各種物性を測定した。
【0074】
[光沢度の測定]
(測定方法)
試験試料を、JIS Z 8741法(60°)に準拠して光沢度を測定した。
【0075】
[表面抵抗値の測定]
(測定方法)
試験試料を、JIS K 6911法に準拠して、表面抵抗値を測定した。
【0076】
[水蒸気透過度の測定]
(測定方法)
試験試料を、JIS K 7129A法に準拠して、温度40℃、湿度90%の雰囲気下で、水蒸気透過度測定装置(スイス リッシー社製 L80−4000J)を使用して測定した。
【0077】
[酸素透過度の測定]
(測定方法)
試験試料を、JIS K 7126B法に準拠して、温度23℃、湿度75%の雰囲気下で、酸素透過度測定装置(米国 モコン社製 MOCON OX−TRAN)を使用して酸素透過度を測定した。
【0078】
(試験結果)
各種評価試験の測定結果は表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1のとおり、実施例1〜3で得た本発明の絶縁性フイルム、及び比較例3、4で得た絶縁性フイルムは、いずれも表面抵抗値が5×10
13オームであり優れた絶縁性を発揮するものであったのに対して、比較例1、及び2で得た絶縁性フイルムの表面抵抗値は、5×10
3オームであり絶縁性がなく導電性を有していた。
また、実施例1〜3で得た本発明の絶縁性フイルムと、比較例1、及び2で得た絶縁性フイルムは、いずれも光沢度が500以上であり、優れた金属光沢を発揮するものであるのに対して、比較例3、及び4で得た絶縁性フイルムは、いずれも光沢度が500未満であり、優れた金属光沢を発揮するものではなく、くすんだ黒っぽい金属光沢であった。
【0081】
このことから、実施例1〜3で得た本発明の絶縁性フイルムは、いずれも優れた絶縁性、及び優れた金属光沢の両方を兼ね備えたものであることが確認できた。
【0082】
また、実施例2で得た本発明の絶縁性フイルムは、水蒸気透過度が0.5g/m
2・day、及び酸素透過度が0.5cc/m
2 ・dayであり優れたガスバリア性を有するものであったのに対して、実施例1、3で得た本発明の絶縁性フイルム、比較例1〜4で得た絶縁性フイルムは、いずれも優れたガスバリア性を発揮することができないものであった。
【0083】
[積層フイルムの作成、及び金属探知試験]
[実施例4、5]
実施例1、実施例2で得た本発明の絶縁性フイルムのそれぞれの絶縁性金属薄膜層上に、ウレタン系樹脂(三井化学株式会社製 タケラックA310)、及び硬化剤(三井化学株式会社製 タケネートA3)からなる樹脂をグラビアコート法で、樹脂層として厚さ3μmの接着剤層を形成し、該接着剤層を介して、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフイルム(LLDPEフイルム)を貼り合わせして、実施例4、実施例5の本発明の積層フイルムをそれぞれ作成した。
【0084】
[比較例6]
実施例4で使用した実施例1の本発明の絶縁性フイルムにかえて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、厚さ4nmのアルミニウム薄膜層が形成されている市販の金属蒸着フイルム(株式会社麗光製 商品名:ダイアラスターHE)を使用したこと以外は実施例4と同様にして比較例5の積層フイルムを得た。
【0085】
実施例4、実施例5で得た本発明の積層フイルム、及び比較例5で得た積層フイルムをそれぞれ直鎖状低密度ポリエチレンフイルム(LLDPEフイルム)が内側になるようにしてヒートシールし、綿のハンカチのみを内包した包装袋と、綿のハンカチと鉄製ネジを内包した包装袋をそれぞれ1個作成し金属探知機にて金属探知試験を行った。
【0086】
[金属探知試験の結果]
実施例4、実施例5で得た本発明の積層フイルムを使用した包装袋のうち、綿のハンカチのみを内包した包装袋は、いずれも金属は探知されなかったのに対して、綿のハンカチと鉄製ネジを内包した包装袋は、いずれも金属が探知され、鉄製ネジを金属異物として探知することができた。
それに対して、比較例5で得た積層フイルムを使用した包装袋(綿のハンカチのみを内包した包装袋と、綿のハンカチと鉄製ネジを内包した包装袋)は、いずれも、該積層フイルムに使用した金属蒸着フイルムに形成されたアルミニウム薄膜層を金属異物として探知し、鉄製ネジを金属異物として探知することができなかった。
【0087】
このことから、実施例4、実施例5で得た本発明の積層フイルムは、優れた絶縁性と優れた金属光沢を必要とする製品の包装材に最適な積層フイルムであることが確認できた。
プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムであって、下記の(A)〜(D)の条件をすべて満足することを特徴とする絶縁性フイルム。
(A)アンカーコート層が、ウレタン系樹脂、硬化剤、及びアミノ系シランカップリング剤を少なくとも含む層である。
(B)上記(A)のアミノ系シランカップリング剤が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、または3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのいずれかである。
(C)アンカーコート層の厚さが、0.05〜1.0μmの範囲である。
(D)絶縁性金属薄膜層を形成する金属の島のサイズが、1〜1000nmの範囲、島の間隔が2〜200nmの範囲であり、かつ金属の島のサイズ、及び島の間隔のバラツキの範囲がそれぞれプラスマイナス50%の範囲である。
[1]本発明は、 プラスチックフイルムの片面に、少なくともアンカーコート層、及び不連続な島状構造の金属で形成されている絶縁性金属薄膜層が順次積層されている絶縁性フイルムであって、