【解決手段】積載トレーラー1は、可動位置決め部5を含む位置決め部25において、積載物50における上下方向の移動を規制する固定装置を備える。固定装置は、位置決め部開口部25aに対して着脱可能である。少なくとも一つの位置決め部25は可動位置決め部5である。可動位置決め部5は以下を備える。幅方向と長手方向とに形成される面方向を平面方向としたとき、長手方向に沿う方向に形成された長手方向案内部7を備える。幅方向に沿う方向に形成され、平面方向において長手方向案内部7と相対的に移動可能であり、上下方向において互いに係合して相対的に移動が規制される幅方向案内部8を備える。さらに、長手方向案内部7、又は幅方向案内部8に案内されて平面方向に移動可能な可動部9を備える。
前記長手方向案内部と前記幅方向案内部のいずれか一方を第一案内部(7)とし、他方を第二案内部(8)とし、前記可動部は前記第一案内部が延びる方向に沿って案内されるとき、
前記第二案内部は、少なくとも上側にひさし部(8f)が形成された少なくとも一部がL字状の部材であり、
前記可動部は、前記第二案内部に近接したときに該可動部の一部が前記ひさし部の下側に侵入するように、上下方向の下側に向かって凹み部(9h)が形成され、
さらに、前記凹み部には前記可動部における上側の面と同一の高さとなるよう凹み補助プレート(9j)を取り付け可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の積載トレーラー。
前記位置決め部は、前記積載物における前記長手方向及び前記幅方向の角部の4箇所にあり、少なくとも前記長手方向において、前記位置決め部と前記位置決め部との間に補助位置決め部(17)を備え、
前記補助位置決め部は、
補助長手方向案内部(22)と、前記補助長手方向案内部に沿って移動可能な補助可動ユニット(18)を備え、
前記補助可動ユニットは、
前記幅方向への移動が可能な補助可動部(18a)と、
前記補助可動部の前記幅方向への移動を案内する補助案内部(18b)と、
前記補助可動部の移動の調整及び規制をする補助移動調整部(18c)を備え、
前記補助移動調整部は、
前記補助可動部の移動を許容する補助案内部開口部(18e)と、
前記補助可動部と前記補助案内部とが締結されて、前記補助可動部の移動が規制される第一補助締結部材(18f)を備え、
前記補助可動部には、前記上下方向の上側が開口する補助可動部開口部(18g)が形成され、前記積載物を前記位置決め部に固定する前記固定装置が着脱可能であり、
前記補助長手方向案内部は前記基台に形成され、前記補助可動ユニットを前記幅方向から挟んで前記長手方向に案内し、
前記補助可動部が、前記補助案内部に沿って前記幅方向に移動するとき、前記第一補助締結部材の一部は、前記補助案内部開口部に挿入された状態で前記補助可動部と共に移動し、
前記補助可動部が所定の位置に移動したとき、前記補助可動部と前記補助案内部とが、前記第一補助締結部材によって締結されて相対的に移動が規制されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の積載トレーラー。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明を具現化した積載トレーラー1を説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0030】
<積載トレーラー1共通の構成>
図面を参照して、本発明に係る積載トレーラー1の構成を説明する。各実施形態の積載トレーラー1の構成はそれぞれ後述するが、まず、共通の構成を説明する。
図2に示すように、積載トレーラー1は、幅方向に所定の幅を有し、幅方向に直交する方向を長手方向としたときに、長手方向に延びた基台2と、基台2の長手方向における前側の端部にあって、牽引車に牽引される牽引ユニット3とを備える。
【0031】
図2に示すように、積載トレーラー1は、基台2の幅方向及び長手方向に直交する方向である上下方向の下側にあって、幅方向の中心線CN1に対して互いに等間隔に取り付けられたタイヤ部4を備える。積載物50の積載位置を決める、複数の可動位置決め部5を含む位置決め部25が、基台2の上下方向の上側に形成されている。後述する
図8に示すように、可動位置決め部5を含む位置決め部25において、積載物50における上下方向の移動を規制する固定装置6を備える。基台2は、鋼材、木材その他の材料を使用することができる。
【0032】
図1等に示すように、可動位置決め部5を含む位置決め部25は、上下方向の上側が開放され、上下方向に沿って開口された位置決め部開口部25aが形成されている。固定装置6は、位置決め部開口部25aに対して着脱可能である。少なくとも一つの位置決め部25は、可動位置決め部5である。可動位置決め部5は以下を備える。幅方向と長手方向とに形成される面方向を平面方向としたとき、長手方向に沿う方向に形成された長手方向案内部7を備える。幅方向に沿う方向に形成され、平面方向において長手方向案内部7と相対的に移動可能であり、上下方向において互いに係合して相対的に移動が規制される幅方向案内部8を備える。さらに、長手方向案内部7、又は幅方向案内部8に案内されて平面方向に移動可能な可動部9を備える。
【0033】
図1、
図4〜
図6に示すように、可動位置決め部5は、可動部9が移動する移動量を調整するとともに、可動部9が移動した後に、可動部9と長手方向案内部7又は幅方向案内部8との間の移動を規制する第一移動調整部5aを備える。さらに、長手方向案内部7と幅方向案内部8とが相対的に移動する移動量を調整するとともに、長手方向案内部7と幅方向案内部8との間の相対的な移動を規制する第二移動調整部5bを備える。位置決め部開口部25aのうち、可動部9に形成された開口部が可動部開口部9aである。
【0034】
図1、
図5、及び
図6に示すように、第一移動調整部5aと第二移動調整部5bによって、可動部9は平面方向において、可動部9と長手方向案内部7と幅方向案内部8とが互いに相対的に移動することにより、移動可能な範囲内で自在に移動可能な状態となる。さらに、第一移動調整部5aによって、可動部9と長手方向案内部7又は幅方向案内部8との間の移動が規制される状態と、第二移動調整部5bによって、長手方向案内部7と幅方向案内部8との間の相対的な移動が規制される状態とを選択可能である。これにより、可動部9は基台2に対する移動可能な状態と、移動が規制される状態とを選択可能である。
【0035】
次に、
図1、
図2を参照して、長手方向案内部7と幅方向案内部8の構成を説明する。長手方向案内部7は、2つの部材からなる第一レール状部材7aによって形成され、可動部9を挟んで幅方向案内部8に沿って移動可能である。幅方向案内部8は、2つの部材からなる第二レール状部材8aによって形成され、長手方向案内部7を挟んだ状態で基台2に固定されている。
【0036】
図2に示すように、例として、位置決め部25は基台2において対角上の四隅に形成されている。位置決め部25は、少なくとも一つが可動位置決め部5である。例えば、位置決め部25のうちの1箇所のみが基台2に対して固定され、他の位置決め部25がすべて可動位置決め部5でもよい。この場合、基台2に固定された位置決め部25を基準位置として、他の可動位置決め部5が、積載物50の位置に応じて可動部9が追従して移動してもよい。位置決め部25は、どの位置を可動位置決め部5とするかは任意に選択が可能であり、全てが可動位置決め部5であってもよい。
【0037】
次に、図示しないが、長手方向案内部7と幅方向案内部8の別の構成を説明する。幅方向案内部8は、2つの部材からなる第三レール状部材(図示せず)によって形成され、可動部9を挟んで長手方向案内部7に沿って移動可能である。長手方向案内部7は、2つの部材からなる第四レール状部材(図示せず)によって形成され、幅方向案内部8を挟んだ状態で基台2に固定されている。
図1の構成と、図示しない構成とのいずれを選択するかは、基台2の構成その他によって選択可能であり、いずれであっても良い。
【0038】
次に、積載トレーラー1に共通する構成をさらに詳細に説明する。
図1は、位置決め部25のうちの可動位置決め部5の例を示したもので、
図2に示すA部の斜視図でもある。可動位置決め部5を含む位置決め部25は他の箇所にも形成可能であり、例えば、
図2に示す例では、基台2の角部の4箇所に形成されている。
【0039】
図1を参照して可動位置決め部5の構成を詳細に説明する。長手方向案内部7は、コの字状の断面形状を有する2本の第一レール状部材7aによって形成され、幅方向案内部8は、コの字状の断面形状を有する2本の第二レール状部材8aによって形成されている。長手方向案内部7は、上下方向において幅方向案内部8に挟まれて上下方向の移動が規制されている。この構成により、長手方向案内部7は、幅方向への移動が可能となる。
【0040】
図5、
図6に示すように、可動部9は、可動部開口部9aを有する角パイプ状部材9bと、角パイプ状部材9bに繋がって長手方向の両側に可動部ひさし部9qが上下方向の上側に形成され、可動部ひさし部9qは角パイプ状部材9dに繋がっている。可動部ひさし部9qは、第一レール状部材7aに対して上下方向の上側にある。角パイプ状部材9bと角パイプ状部材9dは、幅方向において2本の第一レール状部材7aに挟まれて案内されている。この構成により、可動部9は、長手方向案内部7に対して上下方向への移動が規制され、長手方向への移動が案内される。可動部9は長手方向案内部7に対して長手方向に移動可能であり、長手方向案内部7は幅方向案内部8に対して幅方向に移動可能である。よって、可動部9は、基台2に対して相対的に平面方向に自在に移動可能である。
【0041】
図示しないが、
図1及び
図12に対して、長手方向案内部7と幅方向案内部8との関係が逆でもよい。すなわち、幅方向案内部8が長手方向案内部7に対して移動可能な構成であり、可動部9は、幅方向案内部8に対して移動可能である。詳細な構成説明は省略する。
【0042】
なお、長手方向案内部7は、必ずしも長手方向に平行に形成する必要は無く、長手方向に沿う方向に形成されていれば良い。また、幅方向案内部8は、必ずしも幅方向に平行に形成する必要は無く、幅方向に沿う方向に形成されていれば良い。可動部9が平面方向を自在に移動可能な構成であればよい。可動位置決め部5を構成する長手方向案内部7、幅方向案内部8、可動部9は、鋼材等の金属、木材、樹脂、その他の材料を使用することができる。
【0043】
<第一移動調整部5aの説明>
次に、
図1、
図4〜
図6を参照して、第一移動調整部5aの構成と作用を説明する。積載トレーラー1の第一移動調整部5aは、可動部9に形成された雌ネジ部9cと、雌ネジ部9cに螺合するとともに可動部9が移動する方向に延びる雄ネジ部材7dを備える。また、可動部9が案内される長手方向案内部7又は幅方向案内部8において、可動部9の移動を許容する第一案内部開口部7bを備える。さらに、可動部9が案内される長手方向案内部7又は幅方向案内部8と、可動部9とが締結されて、可動部9の移動が規制される第一締結部材7cを備える。雄ネジ部材7dは、規格ネジ(JIS、ISO)の他、ボールネジ、特殊ネジを含み、雌ネジ部9cは雄ネジ部材7dの形態に対応したナット形状等のものを含む。
【0044】
可動部9は、雄ネジ部材7dを回転させることによって移動し、可動部9が移動するとき、第一締結部材7cの一部は、第一案内部開口部7bに挿入された状態で可動部9と共に移動する。可動部9が所定の位置に移動したとき、可動部9と、可動部9が案内される長手方向案内部7又は幅方向案内部8とが、第一締結部材7cによって締結されて相対的に移動が規制される。
【0045】
図4〜
図6を参照して、第一移動調整部5aの構成を詳細に説明し、可動部9の位置調整を行う方法を具体的に説明する。雄ネジ部材7dは、長手方向の全長に渡って雄ネジが形成されている。
図4、
図6(b)に示すように、雄ネジ部材7dは2本の第二レール状部材8aに形成された第二案内部開口部8bに通され、長手方向の前側と後側に取り付けられたダブルナットである雄ネジ用ナット8dによってそれぞれの第二レール状部材8aの外側から挟まれている。雄ネジ部材7dは、雄ネジ用ナット8dが、それぞれの第二レール状部材8aに対して回転可能なように隙間をもって互いに締め付けられている。従って、雄ネジ用ナット8dは、第二レール状部材8aに対して常時回転可能である。合わせて、雄ネジ部材7d及び雄ネジ用ナット8dは、第二案内部開口部8bに沿って幅方向に常に移動可能である。
【0046】
図4、
図6(a)に示すように、第一締結部材7cは、ボルト7gとナット7h、及びボルト7kとナット7hからなる。ボルト7g及びボルト7kは、先端部分に雄ネジが形成され、角パイプ状部材9dに通されてナット7hによってそれぞれ締結される。第一締結部材7cは4箇所にあり、
図4、
図6(a)に示すように可動部9の長手方向前側において、ボルト7kは角パイプ状部材9dとの間に雌ネジ部9cが形成された雌ネジ板9pを挟んでいる。
【0047】
可動部9を長手方向に移動させるときは、第一締結部材7cのナット7hを弛め、ボルト7gを第一案内部開口部7bに沿って移動させる。
図5に示すように、長手方向において、第一案内部開口部7bが形成された範囲が、可動部9が移動できる範囲である。可動部9を積載物50に合わせた所定の位置へ移動させた後は、第一締結部材7cのボルト7gとナット7h、及びボルト7kとナット7hとをそれぞれ締結する。この一連の作業により、可動部9を所定の位置に固定させることができる。
【0048】
<第二移動調整部5bの説明>
次に、
図1、
図4、
図6(b)を参照して、第二移動調整部5bの構成と作用を説明する。第二移動調整部5bは、長手方向の前側と後側の第二レール状部材8aに形成された第二案内部開口部8bと、長手方向案内部7の前側と後側に形成された側板7mに取り付けられた第二締結部材8cであるボルト8gとナット8hからなる。
図4に示すように、ボルト8gは、第二案内部開口部8bに通され、側板7mの内側にそれぞれ溶接或いは接着によって固定されている。
【0049】
可動部9を含む長手方向案内部7を幅方向に移動させるときは、ナット8hを弛める。長手方向案内部7は、第二案内部開口部8bが形成された範囲内で積載物50に合わせた幅方向の所定の位置に移動させる。長手方向案内部7は、移動させた後に第二締結部材8cのボルト8gとナット8hとを絞めることにより、幅方向への移動を規制することができる。
【0050】
<可動部9と長手方向案内部7及び幅方向案内部8との関係>
次に、
図5、
図7を参照して、可動部9における凹み部9hを説明する。長手方向案内部7と幅方向案内部8のいずれか一方を第一案内部とし、他方を第二案内部とし、可動部9は第一案内部が延びる方向に沿って案内されるとする。第二案内部は、上側にひさし部8fが形成された少なくとも一部がL字状の部材である。可動部9は、第二案内部に近接したときに可動部9の一部がひさし部8fの下側に侵入するように、上下方向の下側に向かって凹み部9hが形成されている。さらに、凹み部9hには可動部9における上側の面と同一の高さとなるよう凹み補助プレート9jを取り付け可能である。
図5(a)は、凹み補助プレート9jが取り付けられた状態を示す。
【0051】
図7に示すように、凹み補助プレート9jは可動部9がひさし部8fに近接しないときに、ネジ9kによって可動部9に取り付けられる。可動部9は、凹み補助プレート9jが取り付けられたとき、上側の面は同一の高さをなり、積載物50を載置可能である。可動部9が移動してひさし部8fに接近するときは、凹み補助プレート9jは取り外されて凹み部9hが露出する。凹み部9hは、ひさし部8fの下側に潜り込み、可動部9とひさし部8fとが干渉することはない。
【0052】
次に、
図1、
図4を参照して可動部9と長手方向案内部7、及び幅方向案内部8との関係の一例を説明する。長手方向案内部7は、2つの部材からなる第一レール状部材7aによって形成され、可動部9を挟んで幅方向案内部8に沿って移動可能である。幅方向案内部8は、2つの部材からなる第二レール状部材8aによって形成され、長手方向案内部7を挟んだ状態で基台2に固定されている。
【0053】
次に、
図8を参照して、固定装置6と、可動位置決め部5を含む位置決め部25と、積載物50との関係を説明する。固定装置6は、積載物50に応じて複数種類の形態のものを使用可能である。ここでは、固定装置6は例として3種類のものを概説する。3種類の固定装置6は、全て可動位置決め部5の可動部開口部9aを含む位置決め部25の位置決め部開口部25aに着脱可能である。詳細は後述する。
【0054】
図8(a)は、積載物50aに第一積載物接続部材52aが備えられ、内部に第一支持面90a(ここでは図示せず)と支持面開口部14(ここでは図示せず)が形成されている場合を示し、固定装置6が第一固定装置6aである。
図8(b)は、積載物50bに第二積載物接続部材52bが備えられ、開口する係合凹部90bが形成されている場合であり、固定装置6が第二固定装置6bである。
図8(c)は、積載物50cに第三積載物接続部材52cが備えられ、積載物50cから突出する係合凸部90cが形成されている場合であり、固定装置6が第三固定装置6cである。
【0055】
<積載トレーラー1に共通の解決すべき課題と効果>
以上説明したように、積載トレーラー1は、種々の課題を解決しその効果を奏する。従来例は、例えば先行技術文献である特許文献1(特開平7−52702)に示される。建物ユニットの柱部分を支持する支持部材である添え柱を固定し、これらの4本の添え柱介して荷台に支持されるので、トラックの荷台に積載物できるサイズが固定されてしまう。すなわち、積載物のサイズに対応したトラックが製造され、サイズが異なる場合は添え柱の位置をそれぞれ変えて固定する必要があり、生産性が悪くフレキシビリティーに欠けるという問題があった。また、従来の積載トレーラーは、積載物を支持する固定装置である添え柱を固定し、これらの4本の添え柱を介して荷台に支持されるが、荷台に対して積載物が上下方向に移動することを規制することができない。すなわち、積載物は、トラックに積載した状態で輸送すると、トラックの振動によって荷台に対して上下方向に移動する恐れがある。積載物は、荷台に対して上下方向に振動することにより、損傷等が発生する恐れがあるという問題があった。
【0056】
この課題に対し、
図1等に示すように、本発明の積載トレーラー1は、積載物50が積載される位置を決める位置決め部25の少なくとも一つが可動位置決め部5である。可動部9は長手方向案内部7と幅方向案内部8との間で、特定の範囲において相対的に移動することで平面方向に自在に移動可能である。可動位置決め部5を含む位置決め部25において積載物50を固定する固定装置6は、可動部開口部9aを含む位置決め部開口部25aに対して着脱可能である。よって、積載物50と可動位置決め部5の可動部9は、基台2に対する移動可能な状態と移動が規制される状態とを選択可能なので、積載物50のサイズに応じて可動部9を移動させ、さらに可動部9の移動を規制することができる。固定装置6は可動部開口部9aに装着されて可動部9と共に移動するので、積載物50に応じて移動した可動位置決め部5において上下方向の移動を規制することができる。また、固定装置6は可動部開口部9aを含む位置決め部開口部25aに着脱可能なので、積載物50の形態に合わせて適切な固定装置6を選んで使用することができる。
【0057】
また、積載トレーラー1は、固定装置6が積載物50における積載物接続部材52と係合するとき、固定装置6と積載物50とは、上下方向及び平面方向において相対的な移動が規制される。固定装置6が可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載され、固定機構部10によって固定装置6と可動位置決め部5を含む位置決め部25とが接続されるとき、固定装置6と可動位置決め部5を含む位置決め部25とは、上下方向及び平面方向において相対的な移動が規制される。よって、積載物50は、基台2に対する平面方向の位置が定められ、かつ上下方向への移動が規制されるので、基台2に対して上下方向に振動することによる損傷等が発生することを防止できる。
【0058】
また、積載トレーラー1は、積載物50のサイズが種々に異なる場合に備えて、可動部9の位置を調整するために移動量を自在に調整するという課題がある。この課題を解決するために、積載トレーラー1における第一移動調整部5aは、可動部9を移動させるために雄ネジ部材7dと、可動部9に雄ネジ部材7dと螺合する雌ネジ部9cが形成されている。可動部9は、雄ネジ部材7dを回転させることで移動させることができる。可動部9は、雄ネジ部材7dの回転量に対して移動量が減速されるので、移動量を微細に調整することができる。
【0059】
図1、
図4に示す例では、第一移動調整部5aは、可動部9が長手方向案内部7に対して移動する際に移動量を調整する。積載物50は、特に長手方向においてサイズが異なる場合が多いことと、同じ規格の積載物であっても長手方向におけるサイズのばらつきがみられる。よって、可動部9は第一移動調整部5aによって微細に位置を調整することができる。
【0060】
また、可動部9は、可動位置決め部5に対して広範囲に移動させたいという課題がある。すなわち、可動位置決め部5における平面方向に移動可能な範囲において、可動部9が移動できる範囲が限定されると、積載トレーラー1に対して積載物50を積載できる範囲が限定されてしまうという課題がある。特に、長手方向案内部7と幅方向案内部8のいずれか一方を第一案内部とし、他方を第二案内部とし、可動部9は第一案内部が延びる方向に沿って案内されるとする。第二案内部は、上側にひさし部8fが形成された少なくとも一部がL字状の部材である。
図5、
図7に示す例では、第二案内部は幅方向案内部8であり、可動部9が幅方向案内部8に近接したときにひさし部8fとの干渉が課題となる。
【0061】
この課題に対して、可動部9は、第二案内部に近接したときに可動部9の一部がひさし部8fの下側に侵入するように、上下方向の下側に向かって凹み部9hが形成されている。よって、可動部9はひさし部8fとの干渉を防止できる。さらに、
図7(a)に示すように、凹み部9hには可動部9における上側の面と同一の高さとなるよう凹み補助プレート9jを取り付け可能である。よって、可動部9が第二案内部に近接しないときは凹み補助プレート9jを取り付けることで、積載物50が載置される範囲を広げることができる。
【0062】
また、積載トレーラー1の可動位置決め部5は、基台2に固定された幅方向案内部8に対して長手方向案内部7を移動させ、さらに長手方向案内部7に対して可動部9を移動させることにより、可動部9を平面方向に自在に移動させることができる。
【0063】
<積載物50の構成>
次に、
図8を参照して、積載トレーラー1に積載される積載物50の形態を説明する。積載物50には、3つのタイプが想定される。第一の例として、詳細は後述するが、
図8(a)に示す積載物50aは、内部に第一支持面90aと支持面開口部14を有することで、第一固定装置6aが適用されるタイプである。第二の例として、
図8(b)に示す積載物50bは、一部に外周方向からの凹みである係合凹部90bを有することで、第二固定装置6bが適用されるタイプである。第三の例として、
図8(c)に示す積載物50cは、外周方向に突出する部分である係合凸部90cを有することで、第三固定装置6cが適用されるタイプである。
【0064】
図9〜
図11を参照して、積載トレーラー1に積載される積載物50(積載物50aから50cに共通する構成)の例を説明する。積載物50は、外枠が柱部材51で形成され、角部の柱部材51は積載物接続部材52によって支持されている。積載物接続部材52には支持面90が形成され、後述するように、固定装置6が係合する状態と係合しない状態とを選択可能である。ここで、積載物接続部材52は、後述する第一積載物接続部材52aから第三積載物接続部材52cを含めたものである。
【0065】
積載物接続部材52に形成された柱支持部30b、30cを説明する。柱支持部30b、30cは、長手方向と幅方向、及び上方向に延びて形成されている。
図10(b)、
図11(b)に示すように、積載トレーラー1の柱支持部30bは、四方が囲われた形状であり、挿入される柱部材51の四面を覆うよう形成されている。これに対し、別の形態も可能である。
図10(c)、
図11(c)に示すように、柱支持部30cは、上下方向の上側が開放されている。柱部材51は、柱支持部30cに挿入するときに、平面方向からのみならず上下方向の上側から下側に向かって挿入可能である。また、積載物接続部材52は、柱支持部30bの強度を上げるために補強リブ30pが形成されている。なお、図示しないが、柱支持部30cの場合は、上下方向に延びる部分に延長して補強リブ30pが形成される。また、柱支持部30b、30cは、上方向には形成されず、長手方向と幅方向にのみ延びてもよい。
【0066】
図10に示すように、積載物接続部材52は、積載物50が可動位置決め部5を含む位置決め部25に接続されるときに、積載物50の外側に向かって平面方向に沿う方向に開口する支持凹部15を備える。なお、
図10は第一実施形態の積載トレーラー1aを示した図であるが、支持凹部15の構成は、各実施形態に共通である。支持凹部15は、後述する
図25に示すように、ジャッキ21を挿入し、ジャッキ21を上下方向に作動させることによって積載物50を上下させるためのものである。
【0067】
次に、
図10を参照して、さらに第一積載物接続部材52aの構成を説明する。第一積載物接続部材52aは、積載物50が可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載されるときに、積載物50の外側に向かって平面方向に沿う方向に開口する支持凹部15を備える。支持凹部15は、
図10に示すように幅方向の側面(
図10では、左側の側面)に備えられているが、例えば、
図11に支持凹部15が現れても良い(長手方向の後側の側面)。第一固定装置6aの位置によって支持凹部15は任意の位置に設けても良い。
【0068】
支持凹部15は、
図25に示すように、ジャッキ21を挿入し、ジャッキ21を上下方向に作動させることによって積載物50を上下させるためのものである。例えば、第一固定装置6aが積載物50の四隅に備えられる場合、4箇所の支持凹部15にジャッキ21を挿入し、ジャッキ21を作動させることで積載物50を昇降させることができる。
【0069】
柱部材51は、柱支持部30b(30c)内部のストッパー壁(図示しない)まで挿入させる。第一積載物接続部材52aと柱部材51とは、柱結合部30dであるボルト及びナット、木ネジのようなセルフタップタイプのネジ等、その他締結部品、或いは接着によって結合される。例えば、ボルト及びナットが使用される場合、柱部材51には予め通し穴が形成されている。
【0070】
なお、積載物50は積載物接続部材52を備える場合を説明したが、必ずしも積載物接続部材52は無くてもよい。例えば、積載物50aは、内部に支持面開口部14と第一支持面90aに相当する開口と面があればよい。また、積載物50bは、部分的な凹部があって係合凹部90bに相当する部分があれば良い。さらに、積載物50cは、外形の一部に突出部があり、係合凸部90cに相当する部分があれば良い。
【0071】
<第一実施形態の積載トレーラー1aの構成>
次に、
図9〜
図13を参照して、本発明に係る第一実施形態の積載トレーラー1aについて説明する。なお、後述する第二実施形態の積載トレーラー1b、及び第三実施形態の積載トレーラー1cを含めて、固定装置6以外の構成はすでに説明した構成であり、共通である。
図12に示すように、積載トレーラー1aに積載される積載物50aは、第一積載物接続部材52aに第一支持面90aと支持面開口部14を備える。積載トレーラー1aの固定装置6である第一固定装置6aは、後述するように一部の部材が支持面開口部14に挿入され、第一支持面90aと係合して上下方向の移動を規制する状態と、第一支持面90aと係合しない非係合状態とを選択可能である。
【0072】
第一固定装置6aを詳細に説明する。積載トレーラー1は、固定装置6である第一固定装置6aが、可動部開口部9aを含む位置決め部開口部25aに案内されて着脱可能な固定凸部10dと、積載物50aと可動位置決め部5を含む位置決め部25との間において、上下方向の相対的な移動を規制する第一固定機構部10aを備える。
図10、
図11に示すように、第一固定機構部10aは、ネジ部12と、頭部11と、調整部13を備える。
図12、
図13に示すように、頭部11は、平面視にて第一短径11aと第一長径11bとを有する楕円形状又は矩形形状である。
図10(a)に示すように、ネジ部12は、上下方向の上側に形成されたネジ頭部12aと、ネジ部12と同期回転する回転つまみ12bと、上下方向における少なくとも一部に雄ネジ部12cを備える。
【0073】
ネジ頭部12aは、ネジ部12と回転方向及び上下方向とにおいて一体的に移動する。頭部11は、ネジ頭部12aに対してネジ部12の回転方向において係合し、ネジ部12が回転したときに同じ方向に回転する。調整部13は、第一固定機構部10aが可動位置決め部5を含む位置決め部25に装着される状態において、位置決め部25の下側であって位置決め部25を挟んで雄ネジ部12cに取り付けられた調整ナット13aと、調整ナット13aを回転させる調整機構部13bを備える。
【0074】
第一固定装置6aは、固定凸部10dが可動部開口部9aを含む位置決め部開口部25aに案内されて挿入される。積載物50aが基台2に積載されるときに、積載物50aが、基台2に対向して平面方向の所定の範囲に第一支持面90aを有する。
図13に示すように、第一支持面90aにおいて平面視にて頭部11の第一短径11aよりも大きい第二短径14aと、第一長径11bよりも大きい第二長径14bを有し、かつ第二短径14aは第一長径11bよりも小さく形成された支持面開口部14を有する。
【0075】
第一固定機構部10aにおいて、頭部11は、回転つまみを回転させることにより、ネジ頭部12aの回転を介して第一支持面90aと係合し、
図13(b)に示すように、第一長径11bが第二長径14bと交差する方向のときに、第一支持面90aと係合して上下方向の下側への移動が規制される。
図13(a)に示すように、頭部11は、第一長径11bが第二長径14bに沿う方向のときに、支持面開口部14に対して上下方向に挿抜可能である。
【0076】
図11(a)に示すように、調整部13は、第一固定装置6aが位置決め部25に装着された状態において、可動位置決め部5を含む位置決め部25の可動部下側板9eを含む下側板25eを挟んでネジ部12に取り付けられた調整ナット13aと、調整ナット13aを回転させる調整機構部13bを備える。
図10(a)に示すように、頭部11は、回転つまみ12bを回転させることにより、ネジ頭部12aの回転を介して第一支持面90aと係合する。
【0077】
ネジ頭部12aは、調整ナット13aを回転させることにより、上下方向に移動して調整される。ネジ頭部12aが上下方向の下側に向かって移動するときに、積載物50aの第一支持面90aが、頭部11を介して基台2に押しつけられる方向に力を受ける。
【0078】
次に、
図12を参照して、第一固定装置6aにおける頭部補助部材110を説明する。第一固定装置6aは、さらに頭部補助部材110を備え、頭部補助部材110は、平面視にて少なくとも一部が第三短径111aと第三長径111bとを有し、楕円形状或いは矩形形状である補助部111と、ネジ部12が挿入される頭部補助部材穴112を備える。第三短径111aは第二短径14a以下であり、第三長径111bは第二長径14b以下であり、第三長径111bは第三短径111aよりも大きく形成されている。頭部補助部材110は頭部11と調整部13との間にあって、頭部11が第一支持面90aと係合したとき、補助部111は支持面開口部14に挿入された状態である。
【0079】
より詳細には、第三短径111aは、第二短径14aとの間に所定の隙間が生じる寸法に設定され、第三長径111bは、第二長径14bとの間に所定の隙間が生じる寸法に設定される。この所定の隙間は、積載物50aが基台2に載置されるときの位置ずれ誤差、或いは積載物50aの柱部材51を支持する固定装置6の取付誤差又は製作上の寸法誤差を吸収するための隙間である。なお、所定の隙間の上限は、第一固定機構部10aが移動して不安定にならない程度に制限される。すなわち、第三短径111aは、第二短径14a以下であって、かつ第二短径14aとの間に所定の隙間が生じる寸法の範囲であり、第三長径111bは、第二長径14b以下であって、かつ第二長径14bとの間に所定の隙間が生じる寸法の範囲である。
【0080】
図11(a)に示すように、第一固定装置6aには窓部30eが形成され、頭部11がどのような状態(
図13の(a)の状態であるか或いは(b)の状態であるか)にあるかを確認することができる。なお、窓部30eを設ける代わりに、図示しないが頭部11の一部にピン挿入穴を設け、第一固定装置6aに形成されたピン穴から確認ピンが挿入できたときが
図13(a)の係合状態であることが確認できてもよい。
【0081】
ネジ部12はボルトが使用され、ネジ頭部12aとは一体的に形成されている。なお、ネジ頭部12aとネジ部12の他の部分とが別体であって、ネジ頭部12aと他のネジ部12とが、回転方向と上下方向に同期する構成でも良い。ネジ部12の下側には、回転つまみ12bが備えられている。ネジ部12は回転つまみ12bを回転することで回転する。
図11(a)に示すように、回転つまみ12bはリング状の板状の形状であって、ナット12dと一体で形成されている。ナット12dと固定ナット13cとはダブルナットになっていて、互いに締め合うことで固定され、回転つまみ12bを回すとネジ頭部12aが一体的に回転する。なお、回転つまみ12bは、ナット12dと一体になった構成を説明したが、ネジ部12に一体的に形成されていてもよい。
【0082】
図10のうち部分断面図で示すように、頭部11の内部はネジ頭部12aの形状に合わせた凹部が形成され、ネジ頭部12aが回転すると頭部11も同期して回転するよう形成されている。また、頭部11とネジ頭部12aとは、上下方向においても同期して移動するよう形成されている。ネジ頭部12aの鍔部が、頭部11のうちの下側の面と係合し、ネジ頭部12aにおいて上下方向の下側に向けた力が発生したときは、頭部11も同様に下側に向けた力が発生し、第一固定装置6aを下側の方向へ押す。
【0083】
図11(a)に示すように、ネジ部12は上下方向で可動部9を挟むように調整ナット13aが備えられている。調整ナット13aは、ネジ頭部12aと協働して第一固定装置6aの第一支持面90aを可動部9と同時に基台2の側へ押しつける機能を有する。可動部9は、長手方向案内部7との間で上下方向の移動が規制され、長手方向案内部7は、幅方向案内部8との間で上下方向の移動が規制される。幅方向案内部8は、上下方向において基台2に固定されている。従って、第一固定装置6aは、可動部9が下側へ押しつけられると、基台2の側へ押しつけられることになる。すなわち、積載物50aは、第一積載物接続部材52aに係合されていると、可動位置決め部5を含む位置決め部25に対して上下方向の移動が規制される。
【0084】
調整ナット13aは、調整機構部13bによって回転され、上下方向の位置が調整される。調整機構部13bは伝達方向の切り替え可能なラチェット機構を備え、一方向に回転すると調整ナット13aに回転を伝達し、他方向に回転したときは空回りする。調整機構部13bは、切り替えスイッチにより、伝達方向が調整ナット13aを締め付ける方向(可動部9に対して締め付ける方向)と、弛める方向(可動部9に対して弛める方向)のいずれかを選択して使用する。調整ナット13aが締め付けられる方向に回転すると、ネジ頭部12aと協働して第一支持面90aを基台2の側へ押しつける。
【0085】
調整機構部13bのレバー部は、使用されない通常時は所定の位置にて移動が規制される。すなわち、調整機構部13bのレバー部は、ストッパーネジ13dが通されてストッパーナット上13eとの間に挟まれ、ストッパーネジ13dは、ストッパーナット下13fに締結される。よって、調整機構部13bは、回転方向と上下方向への移動が規制される。逆に、調整機構部13bが使用されるときは、ストッパーネジ13dが取り外される。なお、図示しないが、調整機構部13bはラチェット機構を備えず、レンチが形成されていてもよい。
【0086】
<積載トレーラー1aの第一固定装置6aの詳細説明>
次に、
図1、
図9〜
図11を参照して積載トレーラー1aの固定装置6である第一固定装置6aをさらに詳細に説明する。
図10等に示すように、第一固定装置6aは、積載物50aの第一支持面90aと係合し、可動部9の可動部開口部9aを含む位置決め部25の位置決め部開口部25aに装着される。
図9〜
図11に示すように、積載物50aの第一積載物接続部材52aは、長手方向と幅方向と上下方向の3方に柱支持部30b(30c)を備え、積載物50aの外形を形成する柱部材51が挿入されて結合される。
【0087】
図10、
図11に示すように、第一固定装置6aは、第一固定機構部10aによって可動位置決め部5を含む位置決め部25に接続される。第一固定機構部10aは、頭部11と、ネジ部12と、調整部13とによって構成されている。頭部11は、積載物50aに取り付けられた第一積載物接続部材52aの第一支持面90aに係合して、積載物50aが上下方向に移動することを規制する役割を果たす。頭部11は、略台形形状の側面を有し、
図13に示すように平面視においては略矩形形状を有する。頭部11は強度を増すために、複数のリブが形成されている。頭部11は、ネジ部12のネジ頭部12aに連結されている。
【0088】
図12、
図13を参照して、頭部11と第一固定装置6aの第一支持面90aとの関係を説明する。第一支持面90aには支持面開口部14が形成されている。
図12(a)、
図13(a)は、頭部11が支持面開口部14に対して挿抜可能な状態を示す。支持面開口部14は、第二短径14aと第二長径14bを有する略矩形形状の穴である。これに対して、頭部11は平面視で第一短径11aと第一長径11bを有する略矩形形状である。第二短径14aは第一短径11aよりも大きく、第二長径14bは第一長径11bよりも大きい。さらに、第一短径11aは第一長径11bよりも小さく、第二短径14aは第二長径14bよりも小さい。
【0089】
図12(a)、(b)、
図13(a)に示すように、第一長径11bが第二長径14bに沿う方向になったとき、頭部11は支持面開口部14に対して挿抜可能である。これに対して、
図12(c)、
図13(b)に示すように、頭部11が平面視で反時計回りに約90度回転すると、頭部11の下側の面と第一支持面90aとが係合した状態となる。なお、頭部11が必要以上に回転しないように、ストッパーリブ14cが形成されている。頭部11は、ストッパーリブ14cによって所定の角度範囲(約95度)に限定して回転可能である。
【0090】
<第一実施形態の積載トレーラー1aの解決すべき課題と効果>
以上説明したように、第一実施形態の積載トレーラー1aは、種々の課題を解決しその効果を奏する。従来は、積載トレーラーの基台に積載物を積載した後に、何らかの手段によって基台上で積載物が移動しないような工夫がなされていた。しかしながら、積載物のサイズ、或いは構造によって積載物が確実に移動しないようにすることが難しく、例えば、上下方向において一定の隙間を生じた状態で移動を規制しているのが一般的である。しかしながら、この場合、積載物を移動中に振動が発生し、積載物がダメージを受けたり、場合によっては積載物が基台からずれてしまうといった課題があった。
【0091】
積載トレーラー1aは、この課題を解決するものである。積載トレーラー1aは、第一固定装置6aによって、積載物50aとの上下方向の相対的な移動を規制する。積載トレーラー1aは、回転つまみ12bを回転させることにより、頭部11がネジ頭部12aの回転を介して第一支持面90aと係合する。ネジ頭部12aは、調整ナット13aを回転させることにより、上下方向に移動して調整される。ネジ頭部12aが上下方向の下側に向かって移動する力が生じたときに、第一固定装置6aが頭部11を介して基台2に押しつけられる方向に力が生じる。
【0092】
よって、頭部11と第一固定装置6aとの間の隙間が無くなるので、第一固定装置6aが上下方向に移動することを防止できる。積載物50aが第一固定装置6aと係合されている場合は、積載物50aが上下方向に移動する事を防止できる。
【0093】
また、ネジ頭部12aは、上下方向への移動の調整がなされないとき、調整機構部13bのレバー部は、所定の位置にて移動が規制される。よって、不可抗力によって調整機構部13bのレバーが動いてしまい、ネジ頭部12aが動いてしまうことを防止できる。
【0094】
第一固定機構部10aは次の課題が想定される。
図12を参照すると、支持面開口部14は前後方向と幅方向において、ネジ部12との隙間が生じる。積載物50aに前後方向或いは幅方向への荷重がかかったとき、第一固定機構部10aは隙間分移動する可能性があり、不安定である。
【0095】
この課題に対して、ネジ部12が頭部補助部材穴112に挿入され、頭部補助部材110の補助部111は支持面開口部14に挿入されるので、第一固定機構部10aが平面方向に移動することを制限できる。よって、積載トレーラー1aに積載物50aが積載されて輸送されるとき、積載物50aが移動することを防止できる。
【0096】
<積載トレーラー1bと積載トレーラー1cの共通の構成>
次に、第二実施形態の積載トレーラー1bと第三実施形態の積載トレーラー1cに共通の構成を説明する。積載トレーラー1bと積載トレーラー1cの固定装置6である第二固定装置6bと第三固定装置6cとの共通の構成を説明する。
図14〜
図19に示すように、固定装置6(6b、6c)は、以下を備える。位置決め部25に積載物50が積載されるときに案内となる壁部80mが形成された位置決め中間部材80(80b、80c)を備える。位置決め中間部材80に形成されて、位置決め部開口部25aに案内されて着脱可能な固定凸部10dを備える。積載物50と基台2との間において、上下方向の相対的な移動を規制する固定機構部10を備える。さらに、位置決め中間部材80を、位置決め部25に固定する締結部20を備える。
【0097】
固定凸部10dは、位置決め部開口部25aに案内されて挿入され、締結部20は、固定凸部10dの上下方向の下側と位置決め部25とを締結する。固定機構部10は、積載物50が基台2に対向して平面方向の所定の範囲に支持面90を有するとき、支持面90に沿って進退可能である。固定機構部10(10b、10c)は、積載物50(50b、50c)と可動位置決め部5を含む位置決め部25との間において、上下方向の相対的な移動を規制する。
【0098】
図10〜
図19に示すように、平面方向において、可動部9が積載物50に対応した位置にあるとき、固定機構部10は、一部が可動部開口部9aに挿入されて、固定装置6と可動位置決め部5を含む位置決め部25とが接続される。上下方向において、位置決め部25と固定装置6とは相対的に移動が規制される。積載物50は、固定機構部10に係合されて可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載されるとき、基台2に対する平面方向の位置が定められ、かつ上下方向への移動が規制される。支持面90は後述する係合凹部90b及び係合凸部90cが相当する。
【0099】
積載トレーラー1bと積載トレーラー1cは次の課題が想定される。可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載物50を積載する際に、案内となる部材があると、積載が容易であると想定される。さらに、積載物50を積載した後に、固定装置6が可動位置決め部5を含む位置決め部25に対して容易に固定されることが望まれる。この二つの課題に対して、固定装置6(6b、6c)は、可動位置決め部5を含む位置決め部25において壁部80mを備えた位置決め中間部材80(80b、80c)を介して可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載されるので、積載物50はスムーズに可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載される。また、固定機構部10(10b、10c)は、支持面90(90b、90c)に対して進退可能である。よって、固定装置6が可動位置決め部5を含む位置決め部25に対して移動することを規制する状態と規制しない状態とを選択できる。
【0100】
<第二実施形態の積載トレーラー1bの構成>
次に、
図14〜
図16を参照して、本発明に係る第二実施形態の積載トレーラー1bを説明する。固定装置6のうちの第二固定装置6bを説明する。第二固定装置6bは、支持面90が、積載物50bの一部に形成され積載物50bの外側に向かって開口した係合凹部90bに形成されているときに適用する。固定機構部10である第二固定機構部10bは、係合凹部90bと係合して上下方向への移動を規制する状態と、係合凹部90bと係合しない非係合状態とを選択可能である。
【0101】
さらに、積載トレーラー1bを詳細に説明する。積載トレーラー1bに積載される積載物50bの支持面90は、第二積載物接続部材52bに形成され、積載物50bの外側に向かって開口した係合凹部90bを備える。積載トレーラー1bの第二固定装置6bは、位置決め中間部材80bと、第二固定機構部10bと、位置決め部開口部25aに挿入可能な固定凸部10dを備える。さらに、固定凸部10dの上下方向の下側と可動位置決め部5を含む位置決め部25とを結合する締結部20を備える。第二固定機構部10bは、位置決め中間部材80bに備えられ、係合凹部90bと係合して上下方向への移動を規制する状態と、係合凹部90bと係合しない非係合状態とを選択可能である。位置決め中間部材80bは、積載物50bが可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載されるときに案内される壁部80mが形成されている。
【0102】
第二固定機構部10bは、積載物50bの幅方向の側面、長手方向における前側の面、又は後側の面のいずれかに形成された凹部である係合凹部90bと係合して上下方向への移動を規制する状態と、係合凹部90bと係合しない非係合状態とを選択可能である。
図15に示すように、締結部20はボルト20aとナット20bからなり、ボルト20aが固定凸部10dの下端部80nと係合する。ナット20bは、可動位置決め部5を含む位置決め部25の可動部下側板9eを含む下側板25eと係合する。
【0103】
図14〜
図16を参照して、第二固定機構部10bをさらに詳細に説明する。なお、第二固定機構部10bは、種々の構成が可能であるが、そのうちの一例について説明する。積載トレーラー1bは、第二固定機構部10bが、位置決め中間部材80bにおいて平面方向に延びて形成された規制部材支持部61と、補助部材62とを備える。調整部締結手段63は、第一上側締結部64と、補助部材62に形成された第一下側締結部65を備える。支点部締結手段66は、第二上側締結部67と、補助部材62に形成された第二下側締結部68を備える。
【0104】
規制部材69は、規制部材支持部61の上下方向の上側にあり、調整部締結手段63と支点部締結手段66は、規制部材69と一体的に移動可能である。支点部締結手段66は、第二上側締結部67と第二下側締結部68が規制部材69を挟む。調整部締結手段63は、規制部材支持部61の所定の位置において、第一上側締結部64と第一下側締結部65が規制部材69を挟む。支点部締結手段66は、規制部材69が上下方向に所定量移動可能な状態で締結されている。規制部材69は、調整部71において調整部締結手段63によって上下方向に昇降して調整される。
【0105】
規制部材69は、規制部材支持部61の上側にあり、
図15、
図16に示すようにコの字状の箱型形状である。規制部材69は、上板部69aと下板部69bのそれぞれに第一下側締結部65である固定ボルトが挿入される調整上板穴69cと調整下板穴69dと、第二下側締結部68である固定ボルトが挿入される支点下板穴69eを備える。補助部材62は、規制部材支持部61の下側にあり、補助部材調整穴62aと補助部材支点穴62bを備える。第一下側締結部65である固定ボルトと、第二下側締結部68である固定ボルトは、補助部材62に溶接されている。
【0106】
支点部70は、第二下側締結部68である固定ボルトに対して、第二上側締結部67であるナットと補助締結部72であるナットとが締結される。補助締結部72であるナットは、第二上側締結部67であるナットのゆるみ止めの役割を果たす。調整部71は、第一下側締結部65である固定ボルトに対して、第一上側締結部64である蝶ナットが締結される。
【0107】
規制部材69は、調整部71が緩んだ状態で規制部材支持部61に対して移動可能である。移動方向は、支点部70と調整部71とが並んだ方向であり、係合凹部90bに対して挿抜可能な方向である。規制部材69が移動するときは、支点部70と調整部71とが一体的に移動する。規制部材69は、支点部70とは反対側に係合部73を備える。係合部73は弾性部材74を備え、規制部材69が係合凹部90bに挿入されるとき、係合凹部90bと係合する。なお、係合部73が弾性部材74を備える代わりに、係合凹部90bに高さ調整部材75が備えられてもよい。
図15、
図16は、例として係合凹部90bが高さ調整部材75を備えた例を示している。なお、第二固定機構部10bを構成する各要素は、種々の材料を選択することができるが、強度を要する場合は金属を採用することが望ましい。
【0108】
<積載トレーラー1bにおける積載物50bの積載手順>
次に、
図14〜
図16を参照して、積載トレーラー1bにおける積載物50bの積載手順を説明する。積載物50bは、位置決め中間部材80bを案内として可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載される。その際、積載物50bは、位置決め中間部材80bとの間に保護部材101aを介して積載される。保護部材101aは、係合凹部90bに対応する部分は開口している。
【0109】
積載物50bを昇降させるときは、
図14、
図16に示すように規制部材69は係合凹部90bから離間させ、規制部材69と係合凹部90bとが干渉しないようにする。このとき、調整部71の調整部締結手段63は締結されていない緩んだ状態である。支点部70と調整部71の締結作業は、規制部材69が係合凹部90bから離間した状態で行われる。従って、ユーザーは、係合凹部90bを含む積載物50bの外側で作業できる。
【0110】
支点部70は、第二上側締結部67と第二下側締結部68が、規制部材69を挟んで固定してしまうのではなく、所定の隙間を空けて規制部材69の可動域を設けておく。支点部70は、支点部締結手段66によって予め締結されおり、積載物50bを積載する際に締結作業を行う必要は無い。
【0111】
次に、
図15に示すように、規制部材69を係合部73が係合凹部90bと係合する位置まで移動させ、調整部71の第一上側締結部64と第一下側締結部65とを締結する。このとき、調整部71を締結すると支点部70を支点として規制部材69が回転運動を伴って下側に移動し、係合部73(或いは高さ調整部材75を介して)が、係合凹部90bを下側へ押しながら係合する。係合部73又は高さ調整部材75が弾性材によって形成されていると、係合部73は弾性変形を伴って係合凹部90bと係合する。積載物50bを基台2から昇降させる場合は、以上説明した手順と逆の手順を行う。
【0112】
<第二実施形態の積載トレーラー1bの解決すべき課題と効果>
以上説明したように、第二実施形態の積載トレーラー1bは、種々の課題を解決しその効果を奏する。積載トレーラー1bは、積載トレーラー1aと同様の課題に加えて、積載物から突出する部分を形成することなく積載物を固定したいというニーズがあり、課題でもある。積載トレーラー1bは、この課題を解決するものである。
【0113】
図15、
図16に示すように、積載トレーラー1bは、第二固定装置6bが第二固定機構部10bを備え、係合凹部90bと係合して上下方向への移動を規制する状態と、係合凹部90bと係合しない非係合状態とを選択可能である。よって、第二固定機構部10bは積載物50bに形成されている凹部である係合凹部90bを利用するので、積載物50bに特別な加工を施す必要が無く、積載物50bが上下方向へ移動することを防止できる。
【0114】
さらに、
図15、
図16を参照して、第二固定機構部10bの効果を詳細に説明する。積載トレーラー1bは、調整部締結手段63が緩んだ状態のとき、規制部材69が支点部70と調整部71が並ぶ方向に沿って移動可能である。調整部締結手段63と支点部締結手段66とは、規制部材69と一体的に移動可能である。よって、規制部材69の係合部73は、係合凹部90bに対して平面方向の移動を伴いながら係合可能である。また、規制部材69は、調整部71において調整部締結手段63によって上下方向に昇降して調整される。つまり、係合部73は、上下方向への移動を伴いながら係合凹部90bに係合する。よって、ユーザーは簡単な操作で積載物50bが上下方向へ移動することを防止できる。
【0115】
さらに、
図15、
図16に示すように、規制部材69は積載物50bの外側へ移動可能なので、支点部70の締結作業を広い空間で行うことができる。また、調整部71は、規制部材69を係合凹部90bに挿入した状態においても係合凹部90bの外側に位置するので、調整部71の締結作業が容易である。また、第一下側締結部65は、補助部材62に溶接されているので、特別の工具を用いることなく第一上側締結部64を締結することができる。
【0116】
<第三実施形態の積載トレーラー1cの構成>
次に、
図17〜
図19を参照して、本発明に係る第三実施形態の積載トレーラー1cを説明する。固定装置6のうちの第三固定装置6cを説明する。第三固定装置6cは、支持面90が積載物50cの一部に形成され、外側に向かって突出した係合凸部90cに形成されているときに適用する。固定機構部10である第三固定機構部10cは、係合凸部90cと係合して上下方向への移動を規制する状態と、係合凸部90cと係合しない非係合状態とを選択可能である。
【0117】
さらに、積載トレーラー1cの構成を詳細に説明する。なお、第二実施形態の積載トレーラー1bと共通の機能を有する要素は同様の符号を付し、説明を行わない場合がある。
積載トレーラー1cに積載される積載物50cの支持面90は、第三積載物接続部材52cに形成され、積載物50cの外側に向かって突出した係合凸部90cである。積載トレーラー1cの第三固定装置6cは、位置決め中間部材80cと、第三固定機構部10cと、位置決め部開口部25aに挿入可能な固定凸部10dを備える。さらに、固定凸部10dの上下方向の下側と可動位置決め部5を含む位置決め部25とを結合する締結部20を備える(図示せず)。第三固定機構部10cは、位置決め中間部材80cに備えられ、係合凸部90cと係合して上下方向への移動を規制する状態と、係合凸部90cと係合しない非係合状態とを選択可能である。ここで、位置決め部開口部25a、固定凸部10d、及び締結部20は積載トレーラー1bの構成と同様なので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0118】
図17に示す例は、係合凸部90cが積載物50の後側に形成されている。なお、係合凸部90cは、他の前側、右側、左側のいずれかに形成されてもよく、その場合は位置決め中間部材80cの構成と第三固定機構部10cは係合凸部90cの位置に対応した形態及び取付位置となる。
【0119】
第三固定機構部10cは、第二固定機構部10bと同様な構成部分の詳細な説明は省略する。第三固定機構部10cのうち、支点部70、調整部71等の構成は第二固定機構部10bと同様である。第三固定機構部10cは、第三積載物接続部材52cの外側に形成された係合凸部90cに対して進退可能である。
図17、
図18は、第三固定機構部10cが係合凸部90cに対して係合される状態を示す。
図19は、第三固定機構部10cが係合凸部90cに対して非係合状態を示す。
【0120】
第三固定機構部10cは、規制部材69にボルト穴69fが形成され、蝶型ボルトである接合ボルト92を挿入可能である。係合凸部90cには、接合ボルト92を挿入可能な穴91が形成されている。上下方向において、係合凸部90cと可動位置決め部5を含む位置決め部25との間に接合ボルト92が挿入される穴を備えたスペーサ102が取り付けられ、さらに可動位置決め部5を含む位置決め部25には接合ボルト92が挿入される穴が形成され、その下側には接合ナット93が溶接されている。第三固定機構部10cが係合凸部90cに係合した状態において、規制部材69に接合ボルト92が挿入され、可動位置決め部5を含む位置決め部25の接合ナット93に対して締結される。これにより、第三固定機構部10cの移動が規制され、第三固定機構部10cが係合凸部90cに係合した状態が保持される。
【0121】
図19に示すように、第三固定機構部10cを係合凸部90cから非係合状態にするときは、接合ボルト92が外され、規制部材69が係合凸部90cから待避され、接合ボルト92が位置決め中間部材80cの上に乗った状態である。これにより、接合ボルト92が接合ナット93から外された状態でも紛失すること無く規制部材69に保持される。
【0122】
<積載トレーラー1cにおける積載物50cの積載手順>
次に、
図17〜
図19を参照して、積載トレーラー1cにおける積載物50cの積載手順を説明する。積載物50cは、積載トレーラー1bと同様に、位置決め中間部材80cを案内として可動位置決め部5を含む位置決め部25に積載される。その際、積載物50cは、位置決め中間部材80cとの間に保護部材101bを介して積載される。
【0123】
積載物50cを昇降させるときは、
図19に示すように規制部材69は係合凸部90cから離間させ、規制部材69と係合凸部90cとが干渉しないようにする。このとき、調整部71の調整部締結手段63は締結されていない緩んだ状態である。支点部70と調整部71の締結作業は、規制部材69が係合凸部90cから離間した状態で行われる。従って、ユーザーは、積載物50cの外側で作業できる。
【0124】
支点部70において、第二上側締結部67と第二下側締結部68は、規制部材69を挟んで固定してしまうのではなく、所定の隙間を空けて規制部材69の可動域を設けておく。支点部70は、支点部締結手段66によって予め締結されおり、積載物50cを積載する際に締結作業を行う必要は無い。
【0125】
次に、
図17、
図18に示すように、規制部材69を係合部73が係合凸部90cと係合する位置まで移動させ、調整部71の第一上側締結部64と第一下側締結部65とを締結する。このとき、調整部71を締結すると支点部70を支点として規制部材69が回転運動を伴って下側に移動し、高さ調整部材75を介して係合部73が、係合凸部90cを下側へ押しながら係合する。係合部73又は高さ調整部材75が弾性部材74によって形成されていると、係合部73は弾性変形を伴って係合凹部90bと係合する。合わせて、接合ボルト92をボルト穴69fと調整部材穴75a、及び穴91に通して、可動位置決め部5を含む位置決め部25に溶接された接合ナット93に締結する。積載物50cを基台2から昇降させる場合は、以上説明した手順と逆の手順を行う。なお、以上の作業は工具を準備する必要はなく、第三固定機構部10cに備え付けられた要素のみで行うことができる。
【0126】
<第三実施形態の積載トレーラー1cの解決すべき課題と効果>
以上説明したように、第三実施形態の積載トレーラー1cは、種々の課題を解決しその効果を奏する。積載トレーラー1cは、積載トレーラー1aの課題に加え、積載物50cが可動位置決め部5を含む位置決め部25に対して上下方向への移動が規制される状態と規制されない状態とを形成したいという課題がある。さらに、積載物50cは、内部に係合部を形成することなく、可動位置決め部5を含む位置決め部25と係合させたいという課題がある。さらに、積載物50cが固定された状態を容易に目視確認したいといったニーズがあり、課題でもある。積載トレーラー1cは、この課題を解決するものである。
【0127】
位置決め中間部材80cは、固定凸部10dが位置決め部開口部25aに挿入され締結部20によって可動位置決め部5を含む位置決め部25に締結されるので、積載物50cを積載すべき位置に確実に設置される。また、位置決め中間部材80cに備えられた第三固定機構部10cは、第三固定装置6cの係合凸部90cと係合する状態と非係合状態とを選択できる。よって、積載物50cが可動位置決め部5を含む位置決め部25に対して上下方向への移動が規制される状態と規制されない状態とを形成できる。また、係合凸部90cは積載物50cの外側に位置するので、積載物50が固定された状態を容易に目視確認できる。
【0128】
<補助位置決め部17の説明>
次に、
図20〜
図24を参照して、第一実施形態の積載トレーラー1aから第三実施形態の積載トレーラー1cの全てに共通する補助位置決め部17を説明する。積載トレーラー1の可動位置決め部5を含む位置決め部25は、積載物50における長手方向及び幅方向の角部の4箇所にあり、少なくとも長手方向における位置決め部25と位置決め部25(それぞれの位置決め部25には可動位置決め部5を含む)との間に補助位置決め部17を備える。
【0129】
補助位置決め部17は、補助長手方向案内部22と、補助長手方向案内部22に沿って移動可能な補助可動ユニット18を備える。補助可動ユニット18は、幅方向への移動が可能な補助可動部18aと、補助可動部18aの幅方向への移動を案内する補助案内部18bとを備える。補助案内部18bは、補助可動部18aを長手方向において挟むように2つの部材からなり、断面形状がコの字状の部材である。
【0130】
さらに、補助可動部18aの移動の調整及び規制をする補助移動調整部18cを備える。補助移動調整部18cは、補助可動部18aの移動を許容する補助案内部開口部18eと、補助可動部18aと補助案内部18bとが締結されて、補助可動部18aの移動が規制される第一補助締結部材18fを備える。補助可動部18aには、上下方向の上側が開口する補助可動部開口部18gが形成され、固定装置6が着脱可能である。第一補助締結部材18fは、ボルト18kとナット18mからなる。
【0131】
補助長手方向案内部22は基台2に形成され、補助可動ユニット18を幅方向から挟んで長手方向に案内する。補助可動部18aを移動させるときは、第一補助締結部材18fのボルト18kとナット18mとは互いが弛められた状態にする。補助可動部18aが、補助案内部18bに沿って幅方向に移動するとき、第一補助締結部材18fの一部であるボルト18kは、補助案内部開口部18eに挿入された状態で補助可動部18aと共に移動する。補助可動部18aが所定の位置に移動したとき、補助可動部18aと補助案内部18bとが、第一補助締結部材18fによって締結されて相対的に移動が規制される。
【0132】
次に、
図21、
図22を参照して、補助可動ユニット18が補助長手方向案内部22から取り外し可能である構成について説明する。補助可動ユニット18は、補助案内部18bに接続されて、幅方向に移動して幅方向の長さを調整する補助スライド部18dを備える。補助スライド部18dは、第二補助締結部材18hと第三補助締結部材18tとによって補助案内部18bに挟まれて締結される。第二補助締結部材18hと第三補助締結部材18tは、それぞれボルト18nとナット18pからなる。
図21に示すように、補助可動ユニット18は、補助スライド部18dが幅方向に移動して伸び、第二補助締結部材18hと第三補助締結部材18tとによって補助案内部18bに締結された状態で、補助長手方向案内部22に案内される。
図22に示すように、補助スライド部18dが、第二補助締結部材18hによって締結されない状態で幅方向に移動して縮んだとき、補助長手方向案内部22から取り外し可能である。
【0133】
次に、
図24を参照して、補助位置決め部17における固定装置6について説明する。補助位置決め部17に着脱される固定装置6は、可動位置決め部5を含む位置決め部25と同様の構成である。
図24(a)に示すように、積載物50aの第一積載物補助接続部材53aに対して、第一固定装置6aが使用され、補助可動部開口部18gに着脱可能である。第一固定装置6aと第一積載物補助接続部材53aとの関係は、第一積載物接続部材52aとの関係と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0134】
また、
図24(b)に示すように、積載物50bの第二積載物補助接続部材53bに対しては、第二固定装置6bが使用され、補助可動部開口部18gに着脱可能である。第二固定装置6bと第二積載物補助接続部材53bとの関係は、第二積載物接続部材52bとの関係と同様なので、詳細な説明は省略する。なお、積載物50bと補助位置決め部17との間には、位置決め中間部材80bの代わりに補助位置決め中間部材81bが介される。補助位置決め中間部材81bは壁部81mを備え、積載物50bが積載されるときの案内となる。さらに、積載物50bと補助位置決め中間部材81bとの間に保護部材103bが挟まれる。補助位置決め中間部材81bは、位置決め中間部材80bに比べて、積載物50bの幅方向の外側のみを覆うよう曲げ起こしがあり、第二固定装置6bが挿入可能な開口を備える。保護部材103bは、保護部材101bに比べて積載物50bの幅方向の外側のみを覆うよう曲げ起こしがあり、第二固定装置6bが挿入可能な開口を備える。
【0135】
さらに、
図24(c)に示すように、積載物50cの第三積載物補助接続部材53cに対しては、第三固定装置6cが使用され、補助可動部開口部18gに着脱可能である。第三固定装置6cと第三積載物補助接続部材53cとの関係は、第三積載物接続部材52cとの関係と同様なので、詳細な説明は省略する。なお、積載物50cと補助位置決め部17との間には、位置決め中間部材80cの代わりに補助位置決め中間部材81cが挟まれる。補助位置決め中間部材81cは壁部81mを備え、積載物50bが積載されるときの案内となる。さらに、積載物50cと補助位置決め中間部材81cとの間に保護部材103cが挟まれる。補助位置決め中間部材81cは、位置決め中間部材80cに比べて、積載物50cの幅方向の外側のみを覆うよう曲げ起こしがある。保護部材103cは、保護部材101cに比べて積載物50cの幅方向の外側のみを覆うよう曲げ起こしがある。
【0136】
また、積載物50が長手方向に長大な場合、例えば四隅の位置決め部25(可動位置決め部5を含む)の固定装置6では、積載トレーラー1に積載された積載物50にズレが生じたり、或いは上下方向へ移動してしまうという課題がある。
【0137】
積載トレーラー1は、この課題を解決するものである。積載トレーラー1は、長手方向における位置決め部25と位置決め部25(それぞれ可動位置決め部5を含む)との間に補助位置決め部17を備えるので、積載物50が長手方向に長大なときに積載位置が決められる。また、補助位置決め部17の補助可動部18aは、基台2に対して相対的に長手方向と幅方向とに移動可能なので、積載物50のサイズに応じて移動させることができる。さらに、補助可動部18aは固定装置6を着脱可能なので、補助位置決め部17において積載物50が上下方向に移動することを規制することができる。補助位置決め部17は、可動位置決め部5を含む位置決め部25と同様に、固定装置6として第一固定装置6a、第二固定装置6b、及び第三固定装置6cを着脱可能である。
【0138】
また、補助可動ユニット18は、積載物50のサイズが長大でない場合等、不要な場合に邪魔になるという課題がある。積載トレーラー1の補助可動ユニット18は、この課題を解決するものである。補助可動ユニット18は、補助スライド部18dを幅方向に移動させることによって基台2から取り外すことができる。よって、積載物50が補助位置決め部17を必要としないときは、積載トレーラー1から補助可動ユニット18を取り外すことができる。