【課題】染毛を所望する毛髪全体に均一な染色が実現可能であり、毛髪損傷が低減可能な酸化染毛剤の提供、当該酸化染毛剤の構成剤である酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤の提供、並びに当該酸化染毛剤を用いた染毛方法の提供。
【解決手段】(A)トルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミンの群から選ばれる1種又は2種以上、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、及びメタアミノフェノールの群から選ばれる1種又は2種以上、並びに、(C)アルカリ剤が配合された酸化染毛剤用第1剤と、(D)酸化剤、及び、(E)無機酸又は有機酸が配合された酸化染毛剤用第2剤と、を備えた酸化染毛剤。また、当該酸化染毛剤の構成剤である酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤、並びに当該酸化染毛剤を用いた染毛方法。
前記酸化染毛剤用第1剤には、トルエン−2,5−ジアミン及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール、パラフェニレンジアミン及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−2,5−ジアミン及びα−ナフトール、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びα−ナフトール、パラフェニレンジアミン及びα−ナフトール、並びに、パラフェニレンジアミン及びメタアミノフェノールの群から選ばれるいずれかが少なくとも配合されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化染毛剤。
(A)トルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミンの群から選ばれる1種又は2種以上、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、及びメタアミノフェノールの群から選ばれる1種又は2種以上、並びに、(C)アルカリ剤が配合された酸化染毛剤用第1剤と、酸化染毛剤用第2剤と、を備えた酸化染毛剤における酸化染毛剤用第2剤であって、
(D)酸化剤、及び、(E)無機酸又は有機酸が配合された酸化染毛剤用第2剤。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0020】
(1)酸化染毛剤
本実施形態の酸化染毛剤は、少なくとも酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤を備えたものである。本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤用第1剤と、酸化染毛剤用第2剤とを適宜の量で混合した後、毛髪に塗布する染毛処理を行い、毛髪を染色するものである。
なお、本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤、並びに酸化染毛剤に配合可能な成分を配合した他の剤(酸化染毛剤用第3剤等)を備えたものであっても良い。本実施形態の酸化染毛剤が、他の剤を備える場合には、酸化染毛剤用第1剤、酸化染毛剤用第2剤、及び他の剤を適宜の量で混合した後、毛髪に塗布する染毛処理を行い、毛髪を染色することができる。
【0021】
[酸化染毛剤用第1剤]
本実施形態の酸化染毛剤に係る酸化染毛剤用第1剤(以下、「本実施形態に係る第1剤」と表記することがある。)は、(A)トルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミンの群から選ばれる1種又は2種以上と、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、及びメタアミノフェノールの群から選ばれる1種又は2種以上と、(C)アルカリ剤とが配合されたものである。
【0022】
なお、以下の記載において、トルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミンの群から選ばれる1種又は2種以上の成分を総称して又は個別に「(A)成分」と表記することがある、また、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール及び、メタアミノフェノールの群から選ばれる1種又は2種以上の成分を総称して又は個別に「(B)成分」と表記することがある。また、アルカリ剤を「(C)成分」と表記することがある。
【0023】
<(A)成分:トルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミン>
本実施形態に係る第1剤は、(A)成分であるトルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミンの群から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。(A)成分は、後述する(B)成分とともに本実施形態に係る第1剤に配合されることで、本実施形態の酸化染毛剤を用いた染毛処理により、毛髪を青色又は紫色を含んだ色に染毛することが可能となる。
【0024】
(トルエン−2,5−ジアミン)
本実施形態に係る第1剤に配合されるトルエン−2,5−ジアミンとしては、トルエン−2,5−ジアミン塩(塩酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸トルエン−2,5−ジアミンなど)、及びトルエン−2,5−ジアミンから選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
本実施形態に係る第1剤におけるトルエン−2,5−ジアミンの配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。前記「トルエン−2,5−ジアミンの配合量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合されるトルエン−2,5−ジアミンとしての配合量であり、トルエン−2,5−ジアミン塩を用いる場合には、塩を含まないトルエン−2,5−ジアミンの配合量を意味する(以下の記載において同様)。
本実施形態に係る第1剤におけるトルエン−2,5−ジアミンの配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤におけるトルエン−2,5−ジアミンの配合量の上限値は、染毛処理において酸化重合されない未重合のトルエン−2,5−ジアミンが生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、9.0質量%以下が好ましく、7.0質量%以下がより好ましい。
【0026】
(2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール)
本実施形態に係る第1剤に配合される2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールとしては、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール塩(塩酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールなど)、及び2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールから選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
本実施形態に係る第1剤における2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。前記「2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合される2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールとしての配合量であり、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール塩を用いる場合には、塩を含まない2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量を意味する(以下の記載において同様)。
本実施形態に係る第1剤における2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤における2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量の上限値は、染毛処理において酸化重合されない未重合の2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールが生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、4.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。
【0028】
(パラフェニレンジアミン)
本実施形態に係る第1剤に配合されるパラフェニレンジアミンとしては、パラフェニレンジアミン塩(塩酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミンなど)、及びパラフェニレンジアミンから選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】
本実施形態に係る第1剤におけるパラフェニレンジアミンの配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。前記「パラフェニレンジアミンの配合量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合されるパラフェニレンジアミンとしての配合量であり、パラフェニレンジアミン塩を用いる場合には、塩を含まないパラフェニレンジアミンの配合量を意味する(以下の記載において同様)。
本実施形態に係る第1剤におけるパラフェニレンジアミンの配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤におけるパラフェニレンジアミンの配合量の上限値は、染毛処理において酸化重合されない未重合のパラフェニレンジアミンが生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、6.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
【0030】
本実施形態に係る第1剤に配合されるトルエン−2,5−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、及びパラフェニレンジアミンの群から選ばれる1種又は2種以上の成分の合計配合量(以下、「(A)成分の合計配合量」という)は、特に限定されず、適宜設定することができる。(A)成分の合計配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、(A)成分の合計配合量の上限値は、染毛処理において酸化重合されない未重合の(A)成分が生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、9.0質量%以下が好ましく、7.0質量%以下がより好ましい。
【0031】
なお、本実施形態に係る第1剤に後述する(A)成分以外の染料中間体が更に配合されたものとする場合には、本実施形態に係る第1剤に配合される染料中間体全体((A)成分及び(A)成分以外の染料中間体)の合計配合量を100%としたときの(A)成分の合計配合量の割合が、例えば、50%以上である。
【0032】
<(B)成分:2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、及びメタアミノフェノール>
本実施形態に係る第1剤は、(B)成分である2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、及びメタアミノフェノールの群から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。(B)成分は、後述する(A)成分とともに本実施形態に係る第1剤に配合されることで、本実施形態の酸化染毛剤を用いた染毛処理により、毛髪を青色又は紫色を含んだ色に染毛することが可能となる。
【0033】
(2,4−ジアミノフェノキシエタノール)
本実施形態に係る第1剤に配合される2,4−ジアミノフェノキシエタノールとしては、2,4−ジアミノフェノキシエタノール塩(塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、硫酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールなど)、及び2,4−ジアミノフェノキシエタノールから選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
本実施形態に係る第1剤における2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。前記「2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合される2,4−ジアミノフェノキシエタノールとしての配合量であり、2,4−ジアミノフェノキシエタノール塩を用いる場合には、塩を含まない2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量を意味する(以下の記載において同様)。
本実施形態に係る第1剤における2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤における2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量の上限値は、染毛処理において(A)成分と酸化重合されない未重合の2,4−ジアミノフェノキシエタノールが生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
【0035】
(α−ナフトール)
本実施形態に係る第1剤に配合されるα−ナフトールとしては、ナフタレンの水素が1つヒドロキシ基に置換された化合物であるα−ナフトール(別名1−ナフトール)を用いることができる。
【0036】
本実施形態に係る第1剤におけるα−ナフトールの配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態に係る第1剤におけるα−ナフトールの配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤におけるα−ナフトールの配合量の上限値は、染毛処理において(A)成分と酸化重合されない未重合のα−ナフトールが生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、4.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。
【0037】
(メタアミノフェノール)
本実施形態に係る第1剤に配合されるメタアミノフェノールとしては、メタアミノフェノール塩(塩酸メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノールなど)、及びメタアミノフェノールから選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
本実施形態に係る第1剤におけるメタアミノフェノールの配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。前記「メタアミノフェノールの配合量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合されるメタアミノフェノールとしての配合量であり、メタアミノフェノールを用いる場合には、塩を含まないトルエン−2,5−ジアミンの配合量を意味する(以下の記載において同様)。
本実施形態に係る第1剤におけるメタアミノフェノールの配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、メタアミノフェノール(メタアミノフェノール塩を用いる場合には、塩を含まないメタアミノフェノールの配合量)として、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤におけるメタアミノフェノールの配合量の上限値は、メタアミノフェノール(メタアミノフェノール塩を用いる場合には、塩を含まないメタアミノフェノールの配合量)として、染毛処理において(A)成分と酸化重合されない未重合のメタアミノフェノールが生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、4.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。
【0039】
本実施形態に係る第1剤に配合される2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、及びメタアミノフェノールの群から選ばれる1種又は2種以上の成分の合計配合量(以下、「(B)成分の合計配合量」という)は、特に限定されず、適宜設定することができる。(B)成分の合計配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、(B)成分の合計配合量の上限値は、染毛処理において(A)成分と酸化重合されない未重合の(B)成分が生じる恐れを低減することにより所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、4.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。
【0040】
なお、本実施形態に係る第1剤に後述する(B)成分以外のカップラーが配合されたものとする場合には、本実施形態に係る第1剤に配合されるカップラー全体((B)成分及び(B)成分以外のカップラー)の合計配合量を100%としたときの(B)成分の合計配合量の割合が、例えば、50%以上である。
【0041】
本実施形態に係る第1剤に配合される(A)成分及び(B)成分の組み合わせとしては、例えば、トルエン−2,5−ジアミン及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール、パラフェニレンジアミン及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−2,5−ジアミン及びα−ナフトール、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びα−ナフトール、パラフェニレンジアミン及びα−ナフトール、並びに、パラフェニレンジアミン及びメタアミノフェノール等が挙げられる。本実施形態に係る第1剤には、少なくとも上記組み合わせのいずれかが配合されたものとして良い。
【0042】
なお、本実施形態に係る第1剤における(A)成分のモル濃度と、本実施形態に係る第1剤における(B)成分のモル濃度とのモル比(以下、「(A)成分:(B)成分(モル比)」と表記することがある)は、染毛処理において(A)成分と(B)成分との酸化重合によって得られる重合物をより十分に確保して毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、(A)成分:(B)成分(モル比)が2:1〜1:2であると好ましい。
【0043】
<(C)成分:アルカリ剤>
本実施形態に係る第1剤は、(C)成分であるアルカリ剤が1種又は2種以上配合されたものである。アルカリ剤は、酸化染毛剤に含まれる酸化剤の作用を促進させるとともに、毛髪を膨潤させて染料の毛髪内への浸透性を向上させることにより、毛髪内に浸透した酸化染料の酸化重合を促進して、毛髪への酸化染料の染着性を向上させる働きがある。
【0044】
前記アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩;リン酸ナトリウム等の金属リン酸塩;アンモニア;炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のアルカノールアミン;等が挙げられる。
本実施形態に係る第1剤に配合されるアルカリ剤としては、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色し、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、アンモニア若しくはアンモニウム塩、又はその両者を用いることが好ましい。
【0045】
本実施形態に係る第1剤におけるアルカリ剤の配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
前記アルカリ剤の配合量の下限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、0.1質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。また、前記アルカリ剤の配合量の上限値は、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0046】
なお、アルカリ剤としてアンモニアを用いる場合、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色し、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、その配合量は0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。また、アルカリ剤としてアンモニウム塩を用いる場合、アンモニアを用いる場合と同様の観点から、その配合量は0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。また、アルカリ剤としてアンモニア及びアンモニウム塩を用いる場合、アンモニア又はアンモニウム塩を用いる場合と同様の観点から、アンモニア及びアンモニウム塩の合計配合量は、0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0047】
<任意成分>
本実施形態に係る第1剤には、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分以外の任意成分を適宜配合することができる。当該任意成分は、酸化染毛剤用第1剤に配合可能な公知の成分を用いることができ、例えば、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、炭化水素、油脂、多価アルコール、酸化防止剤、キレート剤、(A)成分及び(B)成分以外の他の酸化染料、直接染料、水が挙げられる。
なお、任意成分の中でも、本実施形態に係る第1剤の粘度を向上させて、染毛後の毛髪に柔軟な手触りを付与する観点から、本実施形態に係る第1剤には、カチオン界面活性剤、高級アルコール、及び水が配合されたものが好ましい。
【0048】
本実施形態に係る第1剤に任意に配合可能なカチオン界面活性剤は、化粧品又は医薬部外品に配合可能なカチオン界面活性剤である。本実施形態に係る第1剤には、1種又は2種以上のカチオン界面活性剤を配合してもよい。カチオン界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などが挙げられる。本実施形態に係る第1剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0049】
本実施形態に係る第1剤に任意に配合可能なノニオン界面活性剤は、化粧品又は医薬部外品に配合可能なノニオン界面活性剤である。本実施形態に係る第1剤には、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤を配合してもよい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。本実施形態に係る第1剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0050】
本実施形態に係る第1剤には、化粧品又は医薬部外品に配合可能な高級アルコールを1種又は2種以上、任意に配合してもよい。高級アルコールとしては、例えば、炭素数12〜24の1価アルコールを用いることができる。高級アルコールの具体例としては、例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖状の高級アルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の分岐鎖状の高級アルコールが挙げられる。本実施形態に係る第1剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、1質量%以上20質量%以下である。
【0051】
本実施形態に係る第1剤には、化粧品又は医薬部外品に配合可能な多価アルコールを1種又は2種以上、任意に配合してもよい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールが挙げられる。本実施形態に係る第1剤における多価アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0052】
本実施形態に係る第1剤には、化粧品又は医薬部外品に配合可能な炭化水素を1種又は2種以上、任意に配合してもよい。炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。本実施形態に係る第1剤における炭化水素の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0053】
本実施形態に係る第1剤には、化粧品又は医薬部外品に配合可能な油脂を1種又は2種以上、任意に配合してもよい。油脂としては、例えば、硬化油、アーモンド油、アボガド油、オリーブ油、シア脂油、月見草油、ツバキ油、ピーナッツ油、ローズヒップ油等が挙げられる。本実施形態に係る第1剤における油脂の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0054】
本実施形態に係る第1剤には、化粧品又は医薬部外品に配合可能な酸化防止剤を1種又は2種以上、任意に配合してもよい。酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸又はその塩が挙げられる。本実施形態に係る第1剤における酸化防止剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0055】
本実施形態に係る第1剤には、水を任意に配合してもよい。本実施形態に係る第1剤における水の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、40質量%以上90質量%以下である。
【0056】
(他の酸化染料)
本実施形態に係る第1剤には、(A)成分及び(B)成分以外の他の酸化染料を1種又は2種以上、任意に配合してもよい。他の酸化染料の配合により、毛髪を青色又は紫色を含む様々な色調に染めることが可能になる。
【0057】
本実施形態に係る第1剤に他の酸化染料として、(A)成分以外の染料中間体を更に配合されたものとする場合には、トルエン−3,4−ジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;パラメチルアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール等のフェノール誘導体;等の染料中間体を用いることができる。
また、本実施形態に係る第1剤に他の酸化染料として、(B)成分以外のカップラーを更に配合する場合には、メタフェニレンジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;5−アミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、等のアミノフェノール誘導体;レゾルシン;等のカップラーを用いることができる。
【0058】
本実施形態に係る第1剤における他の酸化染料の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上5.0質量%以下である。
【0059】
なお、本実施形態に係る第1剤は、例えば、他の酸化染料が配合されないか、又は、他の酸化染料の配合量が、第1剤に配合された酸化染料全体の合計配合量((A)成分、(B)成分、及び他の酸化染料の各配合量の合計)を100%としたときの割合が50%以下であっても良い。
【0060】
本実施形態に係る第1剤には、アルカリ剤との中和反応による製造時の発熱又は吸熱による本実施形態に係る第1剤の温度変化を防ぐ観点から、無機酸又は有機酸を配合しないか、又は、無機酸若しくは有機酸の配合量が1.0質量%以下であると好適である。
【0061】
<粘度>
本実施形態に係る第1剤における粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、5000mPa・s以上50000mPa・s以下である。ここで、本実施形態に係る第1剤の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、12rpmであると良い。
【0062】
<pH>
本実施形態に係る第1剤のpHは、8.0以上12.0以下が好ましく、8.5以上11.5以下がより好ましい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0063】
<アルカリ度>
本実施形態に係る第1剤のアルカリ度は、例えば、1.0以上25.0以下である。ここで「アルカリ度」とは、1gの酸化染毛剤用第1剤を中和するために必要な0.1mol/L塩酸の容量である(アルカリ度の単位:ml)。なお、アルカリ度は、上記アルカリ剤を用いて調整すれば良い。
【0064】
<剤型>
本実施形態に係る第1剤の剤型は、適宜設定すればよい。剤型としては、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、粉末状が挙げられる。
【0065】
[酸化染毛剤用第2剤]
本実施形態の酸化染毛剤に係る酸化染毛剤用第2剤(以下、「本実施形態に係る第2剤」と表記することがある。)は、(D)酸化剤、及び、(E)無機酸又は有機酸が配合されたものである。
【0066】
なお、以下の記載において、酸化剤を「(D)成分」と表記することがあり、無機酸又は有機酸を総称して又は個別に「(E)成分」と表記することがある。
【0067】
<(D)成分:酸化剤>
本実施形態に係る第2剤は、(D)成分である酸化剤が1種又は2種以上配合されたものである。酸化剤は、酸化反応により、酸化染毛剤に配合された酸化染料の酸化重合を促進させる働きがある。
前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩等が挙げられる。酸化剤としては、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色し、毛髪に対するブリーチ作用(毛髪におけるメラニン色素の脱色作用)により優れる観点から、過酸化水素が好ましい。
【0068】
本実施形態に係る第2剤における酸化剤の配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
前記酸化剤の配合量の下限値は、酸化染料の酸化重合をより促進して毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、2.5質量%以上が良く、3.0質量%以上が好ましく、3.5質量%以上がより好ましく、4.0質量%以上がさらに好ましい。また、前記酸化剤の配合量の上限値は、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、7.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましい。
【0069】
本実施形態に係る第2剤における(D)成分の配合量に対する本実施形態に係る第1剤における(C)成分の配合量の質量比(以下、「質量比(C)/(D)」と表記することがある)は、特に限定されないが、例えば、質量比(C)/(D)が0.1以上10以下である。
【0070】
<(E)成分:無機酸又は有機酸>
本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤は、(E)成分である無機酸又は有機酸が1種又は2種以上配合されたものである。そのため、本実施形態の整髪用組成物は、無機酸又は有機酸のいずれかが配合されたものであっても良く、無機酸及び有機酸の両方を配合されたものであっても良い。無機酸又は有機酸の配合によって、酸化染毛剤を用いた染毛処理における毛髪損傷が低減可能となる。
【0071】
前記無機酸としては、例えば、リン酸、硫酸、塩酸、ホウ酸等が挙げられる。無機酸の中でも、染毛を所望する毛髪全体に対する均一な染色により優れ、毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、リン酸が好ましい。
前記有機酸としては、例えば、クエン酸、レブリン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸等が挙げられる。有機酸の中でも、染毛を所望する毛髪全体に対する均一な染色により優れ、毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、クエン酸が好ましい。
【0072】
本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤には、染毛処理において(A)成分と(B)成分との酸化重合によって得られる重合物をより十分に確保することで所望する色味(青色又は紫色を含んだ色)への染毛がより実現可能となる観点から、無機酸が配合されたものが好ましい。
また、上記の観点とは別に、本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤に酸化剤として過酸化水素が配合されたものである場合には、第2剤に配合された過酸化水素の保存安定性をより向上する観点から、本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤には、無機酸が配合されたものが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤における無機酸又は有機酸の配合量は特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤における無機酸又は有機酸の配合量の下限値は、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、1.0質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤における無機酸又は有機酸の配合量の上限値は、毛髪を青色又は紫色を含んだ色により濃く染色する観点から、10.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
【0074】
本実施形態に係る第2剤に配合される(D)成分の配合量に対する(E)成分の配合量の質量比(以下、「質量比(E)/(D)」と表記することがある)は、特に限定されないが、例えば、質量比(E)/(D)が0.1以上5.0以下である。
【0075】
<任意成分>
本実施形態に係る第2剤には、(D)成分及び(E)成分以外の任意成分を適宜配合することができる。前記任意成分は、酸化染毛剤用第2剤に配合可能な公知の成分を用いることができ、例えば、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、炭化水素、油脂、多価アルコール、酸化防止剤、キレート剤、水が挙げられる。
なお、前記任意成分の中でも、本実施形態に係る第2剤の粘度を向上させる観点から、本実施形態に係る第2剤にノニオン界面活性剤、高級アルコール、及び水が配合されることが好ましい。
【0076】
本実施形態に係る第2剤に任意に配合可能なノニオン界面活性剤は、化粧品又は医薬部外品に配合可能なノニオン界面活性剤である。本実施形態に係る第2剤には、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤を配合してもよい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。本実施形態に係る第2剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0077】
本実施形態に係る第2剤には、化粧品又は医薬部外品に配合可能な高級アルコールを1種又は2種以上、任意に配合してもよい。前記高級アルコールとしては、炭素数12〜24の1価アルコールを用いることができる。高級アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖状の高級アルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の分岐鎖状の高級アルコールが挙げられる。本実施形態に係る第2剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0078】
本実施形態に係る第2剤には、水を任意に配合してもよい。本実施形態に係る第2剤における水の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、50質量%以上90質量%以下である。
【0079】
<粘度>
本実施形態に係る第2剤の粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、100mPa・s以上30000mPa・s以下である。ここで、本実施形態に係る第1剤の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、12rpmであると良い。
【0080】
<pH>
本実施形態に係る第2剤のpHは、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤のpHの下限値は、例えば、0.5以上である。なお、第2剤に過酸化水素が配合されたものである場合、第2剤に配合された過酸化水素の保存安定性をより向上する観点から、pHの下限値は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。
また、本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤のpHの上限値は、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0081】
<剤型>
本実施形態に係る第2剤の剤型は、適宜設定すればよい。剤型としては、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、粉末状が挙げられる。
【0082】
[酸化染毛剤の製造方法]
本実施形態の酸化染毛剤の製造方法としては、化粧品の公知の製造方法を採用すれば良い。本実施形態に係る第1剤、及び本実施形態に係る第2剤の製造方法も同様に、化粧品の公知の製造方法を採用すれば良い。
【0083】
[酸化染毛剤の使用方法]
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤の公知の使用方法を採用できる。本実施形態の酸化染毛剤の使用方法として、例えば、酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤を適宜の量で混合して酸化染毛剤を得たのち(第1剤と第2剤の混合比は、例えば、第1剤:第2剤=1質量部:0.3〜3質量部。)、当該酸化染毛剤を濡れた又は乾いた毛髪に塗布して所定時間放置した後(放置時間は、例えば、5分以上30分以下。なお、十分な染毛を行う観点から、放置時間は15分以上30分以下が好適である。)、すすぎ流して毛髪を乾燥させて染毛する使用方法が挙げられる。
【0084】
<酸化染毛剤の対象毛髪>
本実施形態の酸化染毛剤によって処理を行う対象毛髪としては、特に限定されず、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がない毛髪等を対象毛髪とすることができる。
【0085】
(2)酸化染毛剤を用いた染毛方法
本実施形態の染毛方法は、本実施形態の酸化染毛剤を用いた染毛方法である。
本実施形態の染毛方法は、本実施形態の酸化染毛剤を用いる以外には、酸化染毛剤を用いた公知の染毛方法を採用すればよい。本実施形態の染毛方法としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態に係る第1剤と、本実施形態に係る第2剤とを適宜の量で混合した本実施形態の酸化染毛剤を得たのち(第1剤と第2剤の混合比は、例えば、第1剤:第2剤=1質量部:0.3〜3質量部。)、濡れた又は乾いた毛髪に塗布して所定時間放置した後(放置時間は、例えば、5分以上30分以下である。なお、十分な染毛を行う観点から、放置時間は15分以上30分以下が好適である。)、すすぎ流して毛髪を乾燥させて染毛方法である。
【実施例】
【0086】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0087】
[1]染毛評価
下記に示す通り、染毛評価を行った。
【0088】
(酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤の調製)
染毛評価に用いた本実施形態に係る酸化染毛剤用第1剤の処方1−1〜処方1−7、及び本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤の処方2−1〜処方2−4を下記の通りに調製した。
【0089】
(処方1−1〜処方1−7)
本実施形態に係る酸化染毛剤用第1剤の処方1−1〜処方1−7は、表1に示す組成となるように混合して調製した。表1の配合成分の欄において、数字は質量%を示し、「−」は未配合であることを示す。なお、処方1−1〜処方1−7において、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、パラフェニレンジアミンの配合量はモル濃度で各1mM、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、メタアミノフェノールの配合量はモル濃度で各0.5mMである。また、処方1−1〜処方1−7のpH(25℃)は、いずれも10.0であった。
【0090】
【表1】
【0091】
本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤の処方2−1〜処方2−4を表2に示す組成となるように混合して調製した。表2の配合成分の欄において、数字は質量%を示し、「−」は未配合であることを示す。
なお、処方2−1のpH(25℃)は1.1であり、処方2−2のpH(25℃)は1.7であり、処方2−3のpH(25℃)は4.0であり、処方2−4のpH(25℃)は4.6であった。
【0092】
【表2】
【0093】
(染毛処理1)
上記調製した処方1−1〜処方1−7の酸化染毛剤用第1剤と、上記調製した処方2−1〜2−3の酸化染毛剤用第2剤とを、以下の表4、表6、表8、表10、表12、表14、又は表16に示す組み合わせで、酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤を各50gずつ質量比が1:1となるように100mLバイアル瓶に混合して、実施例1a〜2g及び比較例1a〜2gの酸化染毛剤をそれぞれ得た。つづいて、各酸化染毛剤が入った100mLバイアル瓶に白色毛束(ビューラックス社製ヤク毛束「BM−YK−A」)を入れ、25℃に設定した恒温槽で、10分、20分、30分の各時間で振とうして染毛を行った。染毛時間10分の毛束、染毛時間20分の毛束、及び染毛時間30分の毛束は、各染毛時間終了後すぐに、100mLバイアル瓶から各毛束を取り出して温水で洗い流し、さらに各毛束をシャンプー(ミルボン社製のディーセス ノイドゥーエ シルキーリュクス シャンプー)で洗浄した後、櫛通しを行いながら各毛束を温風で乾燥させた。なお、各実施例又は各比較例で染毛した染毛時間10分、20分、又は30分の各毛束は、各条件でN=3となるように染毛処理を行った。
【0094】
(K/S値を用いた毛髪への染色の評価)
実施例1a〜2g又は比較例1a〜2gの酸化染毛剤で染毛処理後1日経過した各毛束に対して、分光測色計(CM−5、コニカミノルタ社製)を用いて、測定モードをSCE測定(正反射光除去)にて、測定部位を変えつつ6回測定し、360nm〜740nmの波長領域における反射率(Rλ)の値を測定した。また、同様に染毛処理をしていない毛束の反射率(Rλ)の値を測定した。
【0095】
次に、各波長領域における反射率(Rλ)の値を用いて、各実施例1a〜2g、比較例1a〜2gの酸化染毛剤で処理した毛束の反射率(Rλ)の測定値の平均値(N=3)を用いて、KuBellka−Munk関数により変換したK/S値を算出した。K/S値の算出式は次の通りである。
K/S値={1−(各吸収波長(nm)における反射率(Rλ)の値の平均値(N=3)/100)}
2/{2×(各吸収波長(nm)における反射率(Rλ)の値の平均値(N=3)/100)}
なお、K/S値は毛束における表面染料濃度を評価するものであり、K/S値が高いほど毛束における表面染料濃度が高いことを意味する。
【0096】
次に、実施例1a〜2g又は比較例1a〜2gの酸化染毛剤で染毛した毛束から算出したK/S値から、各酸化染毛剤の染毛時間10分におけるK/S値の最大値を示した吸収波長を選定した。そして、当該吸収波長における各酸化染毛剤の染毛時間10分、20分、30分のK/S値を用いて、次の計算式に従って、「染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)」を求めた。
染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)={(染毛時間30分のK/S値)−(染毛時間20分のK/S値)}/{(染毛時間20分のK/S値)−(染毛時間10分のK/S値)}
【0097】
この染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)は、染毛時間10分から染毛時間20分までのK/S値の変化値と、染毛時間20分から染毛時間30分までのK/S値の変化値を用いて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行を評価するものである。そのため、表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいほど、染毛時間10分から染毛時間20分のK/S値(表面染料濃度)の差に比べて、染毛時間20分から染毛時間30分のK/S値(表面染料濃度)の差が小さいことを示すから、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていると評価できる。そして、酸化染毛剤において十分な染毛を実現するためには、約20分程度の染毛時間を要する場合が多いことから、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっている(表面染料濃度の変化量(x)の値が小さくなる)と評価された酸化染毛剤は、所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であるといえる。
【0098】
なお、上述した各酸化染毛剤の染毛時間10分におけるK/S値の最大値を示す吸収波長は、下記の値であった。
実施例1a、2a及び比較例1a、2a:620nm
実施例1b、2b及び比較例1b、2b:640nm
実施例1c、2c及び比較例1c、2c:600nm
実施例1d、2d及び比較例1d、2d:570nm
実施例1e、2e及び比較例1e、2e:620nm
実施例1f、2f及び比較例1f、2f:560nm
実施例1g、2g及び比較例1g、2g:540nm
【0099】
[2]毛髪損傷の評価
下記に示す通り、毛髪損傷を評価した。
【0100】
(酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤の調製)
毛髪損傷の評価に用いた酸化染毛剤用第1剤の処方1−8〜処方1−14を下記の通り調製した。酸化染毛剤用第2剤は上記の染毛評価において調製した表2の処方2−1〜処方2−4を用いた。
【0101】
(処方1−8〜処方1−14)
本実施形態に係る酸化染毛剤用第1剤の処方1−8〜処方1−14は、表1に示す処方組成から、(A)成分、(B)成分、及び精製水以外の配合成分とその配合成分の配合量を表1の処方1−1と同様にして、(A)成分及び(B)成分を表3に示す種類及び配合量とし(表3中の数字は質量%)、精製水で合計100質量%となるように混合して調製した。なお、処方1−8〜処方1−14において、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、パラフェニレンジアミンの配合量はモル濃度で各1μM、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、α−ナフトール、メタアミノフェノールの配合量はモル濃度で各0.5μMである。また、処方1−8〜処方1−14のpH(25℃)は、いずれも10.0であった。
【0102】
【表3】
【0103】
(染毛処理2)
上記調製した処方1−8〜処方1−14の酸化染毛剤用第1剤と、上記調製した処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤とを、以下の表5、表7、表9、表11、表13、表15、又は表17に示す組み合わせで、酸化染毛剤用第1剤及び酸化染毛剤用第2剤を各50gずつ質量比が1:1となるように100mLバイアル瓶に混合して、実施例3a〜4g及び比較例3a〜4gの酸化染毛剤をそれぞれ得た。つづいて、各酸化染毛剤が入った100mLバイアル瓶に黒髪毛束(ビューラックス社製人毛黒毛束「BS−B−A」)を入れ、25℃に設定した恒温槽で30分振とうして染毛を行った。染毛時間終了後すぐに、100mLバイアル瓶から各毛束を取り出して温水で洗い流し、さらに各毛束をシャンプー(ミルボン社製のディーセスノイドゥーエシルキーリュクスシャンプー)で洗浄した後、櫛通しを行いながら各毛束を温風で乾燥させた。なお、各条件でN=3となるように染毛処理を行った。
【0104】
(毛髪損傷の評価)
実施例3a〜4g又は比較例3a〜4gの酸化染毛剤で染毛処理後1日経過した各毛束、及び染毛処理を行っていない黒髪毛束(未処理毛束)に対して、分光測色計(CM−5、コニカミノルタ社製)を用いて、測定モードをSCE測定(正反射光除去)にて、測定部位を変えつつ6回測定した。そして、染毛処理を行った各毛束のL*値の平均値(N=3)から未処理毛束の平均値(N=3)のL*値の差をΔL*として算出した。
なお、上記の△L*の値は、その値が小さいほどに、未処理毛髪の明度の値に近いものであるから、毛髪に対する酸化反応を伴うブリーチ作用(毛髪におけるメラニン色素の脱色作用)が弱いことを示すから、染毛処理における酸化反応による毛髪損傷が低減されていることを表す。
【0105】
[評価結果]
各実施例又は比較例を用いた染毛評価、及び毛髪損傷の評価の各評価結果を表4〜17に示す。
【0106】
(評価結果1)
下記の表4及び表5は、処方1−1又は処方1−8の酸化染毛剤用第1剤(いずれも硫酸トルエン−2,5−ジアミン及び塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1a〜4a、比較例1a〜4aの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
上記表4に示す評価結果から、実施例1a(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合の処方2−1)及び実施例2a(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合の処方2−2)は、比較例2a(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合の処方2−4)と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0110】
上記表5に示す評価結果から、実施例3a(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4a(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3a(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0111】
表4及び表5に示す結果を併せて考えると、硫酸トルエン−2,5−ジアミン及び塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0112】
(評価結果2)
下記の表6及び表7は、処方1−2又は処方1−9の酸化染毛剤用第1剤(いずれも硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及び塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1b〜4b、比較例1b〜4bの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
上記表6に示す評価結果から、実施例1b(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例2b(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例2b(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−4))と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0116】
上記表7に示す評価結果から、実施例3b(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4b(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3b(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0117】
表6及び表7に示す結果を併せて考えると、硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及び塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0118】
(評価結果3)
下記の表8及び表9は、処方1−3又は処方1−10の酸化染毛剤用第1剤(いずれもパラフェニレンジアミン及び塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1c〜4c、比較例1c〜4cの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
上記表8に示す評価結果から、実施例1c(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例2c(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例1c及び比較例2c(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3、処方2−4))と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0122】
上記表9に示す評価結果から、実施例3c(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4c(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3c(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0123】
表8及び表9に示す結果を併せて考えると、パラフェニレンジアミン及び塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0124】
(評価結果4)
下記の表10及び表11は、処方1−4又は処方1−11の酸化染毛剤用第1剤(いずれも硫酸トルエン−2,5−ジアミン及びα−ナフトールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1d〜4d、比較例1d〜4dの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0125】
【表10】
【0126】
【表11】
【0127】
上記表10に示す評価結果から、実施例1d(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例2d(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例1d及び比較例2d(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3、処方2−4))と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降への毛髪の染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0128】
上記表11に示す評価結果から、実施例3d(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4d(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3d(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0129】
表10及び表11に示す結果を併せて考えると、硫酸トルエン−2,5−ジアミン及びα−ナフトールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0130】
(評価結果5)
下記の表12及び表13は、処方1−5又は処方1−12の酸化染毛剤用第1剤(いずれも硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びα−ナフトールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1e〜4e、比較例1e〜4eの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0131】
【表12】
【0132】
【表13】
【0133】
上記表12に示す評価結果から、実施例1e(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例2e(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例1e及び比較例2e(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3、処方2−4))と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0134】
上記表13に示す評価結果から、実施例3e(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4e(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3e(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0135】
表12及び表13に示す結果を併せて考えると、硫酸2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びα−ナフトールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0136】
(評価結果6)
下記の表14及び表15は、処方1−6又は処方1−13の酸化染毛剤用第1剤(いずれもパラフェニレンジアミン及びα−ナフトールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1f〜4f、比較例1f〜4fの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0137】
【表14】
【0138】
【表15】
【0139】
上記表14に示す評価結果から、実施例1f(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例2f(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例1f及び比較例2f(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3、処方2−4))と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0140】
上記表15に示す評価結果から、実施例3f(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4f(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3f(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0141】
表14及び表15に示す結果を併せて考えると、パラフェニレンジアミン及びα−ナフトールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0142】
(評価結果7)
下記の表16及び表17は、処方1−7又は処方1−14の酸化染毛剤用第1剤(いずれもパラフェニレンジアミン及びメタアミノフェノールの組み合わせを配合)及び処方2−1〜2−4の酸化染毛剤用第2剤のいずれかを用いた実施例1g〜4g、比較例1g〜4gの酸化染毛剤による評価結果を示す。
【0143】
【表16】
【0144】
【表17】
【0145】
上記表16に示す評価結果から、実施例1g(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例2g(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例2g(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−4))と比べて、染毛時間20分以降の表面染料濃度の変化量(x)の値が小さいものであり、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていることが分かる。
【0146】
上記表17に示す評価結果から、実施例3g(酸化染毛剤用第2剤にリン酸配合(処方2−1))及び実施例4g(酸化染毛剤用第2剤にクエン酸配合(処方2−2))は、比較例3g(酸化染毛剤用第2剤に無機酸又は有機酸を未配合(処方2−3))と比べて、ΔL*の値が低いものとなっており、毛髪損傷の低減に優れることが分かる。
【0147】
表16及び表17に示す結果を併せて考えると、パラフェニレンジアミン及びメタアミノフェノールが配合された酸化染毛剤において、さらにリン酸又はクエン酸が配合されたものは、リン酸又はクエン酸を配合しないものに比べて、染毛時間20分以降の毛髪への染色の進行が遅くなっていたことから所望する毛髪全体に均一な染毛が実現可能であり、且つ毛髪損傷の低減に優れるものであると理解できる。
【0148】
[3]酸化染毛剤用第2剤の調製
酸化染毛剤用第2剤(処方例2−5)を下記の組成となるように混合して調製した。
なお、処方例2−5のpH(25℃)は、1.3であった。
【0149】
(処方例2−5)
過酸化水素水 6質量%
リン酸 1.0質量%
キレート剤 0.2質量%
精製水 92.8質量%