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特開2021-173075耐震用レンガ及びそれを用いたレンガ構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-173075(P2021-173075A)
(43)【公開日】2021年11月1日
(54)【発明の名称】耐震用レンガ及びそれを用いたレンガ構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/36 20060101AFI20211004BHJP
   E04C 1/39 20060101ALI20211004BHJP
   E04B 2/40 20060101ALI20211004BHJP
【FI】
   E04B2/36
   E04C1/39 112
   E04B2/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-78144(P2020-78144)
(22)【出願日】2020年4月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000188962
【氏名又は名称】松本煉瓦株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】松本 好眞
(57)【要約】
【課題】縦筋部の壁厚を一枚積みにでき、かぶり厚さを20mm超確保でき、耐震構造を実現でき、塀の高さも構造計算で1.2m超の高さにすることができる耐震用レンガ、及び、それを用いたレンガ構造物を提供することを課題とする。
【解決手段】長手を化粧面とする、最大外形寸法が規格品レンガと同じ大きさの耐震用レンガであって、平面視で、長手の長辺の略中央部を中心として片側の胴面は半マスで、他の片側の胴面は長手側を残した半ヨウカンで、平面視で前記半マスと前記半ヨウカンとにより前記胴面の形状を略L字形とし、前記略L字形の略直交する2面の内側が、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を可能とする型枠面となることを特徴とする耐震用レンガにより課題解決できた。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手を化粧面とする、最大外形寸法が規格品レンガと同じ大きさの耐震用レンガであって、平面視で、長手の長辺の略中央部を中心として片側の胴面は半マスで、他の片側の胴面は長手側を残した半ヨウカンで、平面視で前記半マスと前記半ヨウカンとにより前記胴面の形状を略L字形とし、前記略L字形の略直交する2面の内側が、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を可能とする型枠面となることを特徴とする耐震用レンガ。
【請求項2】
レンガ構造物が、縦筋部と前記縦筋部間を連結する塀とを備える長手積みのレンガ塀であって、
前記縦筋部が、平面視で、壁厚を一枚積みとし、請求項1に記載の2つの耐震用レンガの半マス同士を、1辺の長さが前記規格品レンガの幅と略同じ長さの略四角形の貫通穴を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴の周壁面を型枠面とした、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の形態となるレンガ塀であることを特徴とするレンガ構造物。
【請求項3】
レンガ構造物がレンガ柱体であって、平面視で、壁厚を一枚積みとし、請求項1に記載の2つの耐震用レンガの半マス同士を、1辺の長さが前記規格品レンガの幅と略同じ長さの略四角形の貫通穴を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴の周壁面を型枠面とした、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造のレンガ柱体であることを特徴とするレンガ構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震を目的としたレンガ構造物に使用される耐震用レンガ及びそれを用いたレンガ構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
塀などに使用される規格品レンガ2としては、一般的に国内規格レンガ(例:普通レンガ:長さ210mm×幅100mm×厚さ60mm)、オーストラリア規格レンガ、イギリス規格レンガ等が流通しており、長さ210〜230mm×幅100〜110mm×厚さ60〜76mmで、長さ:幅:厚さの寸法比が1:約1/2:約1/3が多く、耐震目的として、規格品レンガ2に設けた35〜40mmの縦方向の貫通穴41に直径約10mm以上の補強鉄筋7を挿設しモルタル又はコンクリートを充填させている。また、前記国内の規格品レンガ2には、普通レンガ及び化粧レンガがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
まず、本発明における耐震用レンガ1、規格品レンガ2の部位の名称について説明する。図1(a)及び図2に示すように、耐震用レンガ1、規格品レンガ2は、それぞれの面を長手11、小口12、胴面13という。そして、図7(a)に示すように胴面13全体の形状を全形14、図7(b)に示すように胴面の全形14を長手の胴面13側の辺の中央部のa−a断面で切断した形状を半マス15、図7(c)に示すように胴面13の全形14を小口の胴面13側の辺の中央部のb−b断面で切断した形状をヨウカン16、図7(d)に示すように胴面13の全形14を長手11の胴面13側の辺の中央部のa−a断面及び小口12の胴面13側の辺の中央部のb−b断面で切断した形状を半ヨウカン17という。
【0004】
そして、図8に示すように、耐震目的として、規格品レンガ2の胴面13に設けた水平断面が円形状の貫通穴41に補強鉄筋7を挿設し、前記貫通穴41に充填材8としてモルタル又はコンクリートを充填する。そして、補強鉄筋7のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さ18は、前記貫通穴41の周壁と補強鉄筋7の外周面との間の間隔をいい、補強鉄筋7をモルタル又はコンクリートがどれだけ取り巻いているかを意味する。耐震構造の中心は鉄筋又は鉄骨であり、鉄筋の場合は前記鉄筋をモルタル又はコンクリートで包み込むことによって錆を防ぎ強度を持続させることができる等、かぶり厚さはレンガ構造物において重要であります。
【0005】
また、長手積みとは、図3又は図5に示すように、ジグザグに積み上げて長手11のみを壁面にするという組積パターンであり、長手積みの場合の壁厚30は、図3又は図4に示すように壁厚30が規格品レンガ2の長さと略同じ約210〜約230mmの内のいずれかの場合の一枚積みと、図5又は図6に示すように壁厚30が規格品レンガ2の幅である約100〜約110mmの内のいずれかの場合の半枚積みがある。
【0006】
次に、背景技術である規格品レンガ2に係る問題を説明する。規格品レンガ2で塀を施工するときに、縦筋部5において、前記規格品レンガ2の直径35〜40mmの貫通穴41に直径約10mm以上の補強鉄筋7を1本挿設すると、補強鉄筋7の接着材8としてのモルタル又はコンクリートによるかぶり厚さ18が15mm以下になるので、構造計算をすることができる規定である、かぶり厚さ18を20mm超確保することができず、耐震構造ではないと判断されて、レンガ塀の高さを1.2m以下に規制されるという問題があった。
【0007】
また、組積パターンを長手積みの場合の壁厚の積み方は、半枚積み又は一枚積みであるが、壁厚が狭いため、いずれであっても一般的な規格品レンガでは、かぶり厚さ20mm超を確保できないという問題があった。
【0008】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、縦筋部の壁厚を一枚積みにでき、かぶり厚さを20mm超確保でき、耐震構造を実現でき、塀の高さも構造計算で1.2m超の高さにすることができる耐震用レンガ、及び、それを用いたレンガ構造物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においてレンガ構造物とは、レンガ塀又はレンガ柱体等のレンガを積み上げて施工する構造物を意味する。また、本発明において規格品レンガとは、オーストラリア規格レンガ、イギリス規格レンガ、及び、普通レンガ又は化粧レンガのJIS規格レンガを意味する。
【0010】
請求項1に記載の耐震用レンガは、長手を化粧面とする、最大外形寸法が規格品レンガと同じ大きさの耐震用レンガであって、平面視で、長手の長辺の略中央部を中心として片側の胴面は半マスで、他の片側の胴面は長手側を残した半ヨウカンで、平面視で前記半マスと前記半ヨウカンとにより前記胴面の形状を略L字形とし、前記略L字形の略直交する2面の内側が、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を可能とする型枠面となることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載のレンガ構造物は、レンガ構造物が、縦筋部と前記縦筋部間を連結する塀とを備える長手積みのレンガ塀であって、前記縦筋部が、平面視で、壁厚を一枚積みとし、請求項1に記載の2つの耐震用レンガの半マス同士を、1辺の長さが前記規格品レンガの幅と略同じ長さの略四角形の貫通穴を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴の周壁面を型枠面とした、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の形態となるレンガ塀であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載のレンガ構造物は、レンガ構造物がレンガ柱体であって、平面視で、壁厚を一枚積みとし、請求項1に記載の2つの耐震用レンガの半マス同士を、1辺の長さが前記規格品レンガの幅と略同じ長さの略四角形の貫通穴を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴の周壁面を型枠面とした、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造のレンガ柱体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の耐震用レンガは、規格品レンガと最大長さ・最大幅・厚さは同じでありながら、L字形の2つを組み合わせることにより、壁厚が規格品レンガの長さとほぼ同じ寸法の幅の一枚積みでありながら、一辺が規格品レンガの幅とほぼ同じ約100mm強の四角形の貫通穴を形成させることができ、前記貫通穴の内壁面を型枠面として鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を施工させることができる。
【0014】
前記耐震用レンガと規格品レンガとは、最大長さ・最大幅・厚さが同じであるので、本発明の耐震用レンガを用いて施工するときに、規格品レンガは一般的に流通しているので調達コストを抑制でき利便性がよいという効果を奏する。
【0015】
請求項2に記載のレンガ構造物のレンガ塀は、壁厚が一枚積みで規格品レンガの長さと略同じ寸法の厚さ(普通レンガで約210mm)でありながら、規格品レンガの幅(普通レンガで約100mm)の寸法と目地約10mmを加算した約100mm以上を1辺の長さとする四角形の貫通穴の周壁面を型枠面としてモルタル又はコンクリートを充填した、補強鉄筋のモルタル又はコンクリートによるかぶり厚さを20mm超にすることができるので、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を施工するときと同じ構造計算が可能であるので、これにより積み上げ高さを1.2m超にすることができ、フェンスを立設させることができる。
【0016】
規格品レンガの幅(普通レンガで約100mm)と略同じ寸法の四角形の型枠から造られる鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を施工でき、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さを20mm超確保できながら、壁面全体を化粧面である長手のみにする長手積みができ、壁厚を規格品レンガの長さ(普通レンガで約210mm)にできる。
【0017】
壁厚が一枚積みで、組積パターンが長手積みにおいて、規格品レンガ又は耐震用レンガをジグザグに積み上げるが、長手の長辺の略中央部で半マスと半ヨウカンとを分けたことによって、平面視で各段の貫通穴の位置は略同位置とすることができ、貫通穴が狭まれることがない。これにより、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さが不足することはない。
【0018】
請求項3に記載のレンガ構造物のレンガ柱体は、壁厚が一枚積みで規格品レンガの長さと略同じ寸法の厚さ(普通レンガで約210mm)でありながら、規格品レンガの幅(普通レンガで約100mm)の寸法と目地約10mmを加算した約100mm以上を1辺の長さとする四角形の貫通穴の周壁面を型枠面として接着材であるモルタル又はコンクリートを充填した、補強鉄筋のモルタル又はコンクリートによるかぶり厚さを20mm超にすることができるので、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を施工するときと同じ構造計算が可能であるので、これにより積み上げ高さを1.2m超にすることができる。
【0019】
塀は面外の転倒に対する抵抗要素として控壁・控柱を必要とすると定めてあるが、都市部では一般に敷地が狭小なため、建物と隣地境界との間は狭く、控壁が造りにくい場合が多いため、重要な構造要素が欠落していて、地震に対して不利な実情がある。これに対して、本発明のレンガ柱体を設置すれば、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さが20mm超であるので、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を施工できるので、都市部の敷地が狭小な場所においても塀の転倒防止を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の耐震用レンガの斜視図で、(a)が斜視図で、(b)が2つを組み合わせた状態の説明図である。
図2】規格品レンガの斜視図である。
図3】本発明のレンガ構造物の内のレンガ塀の概要説明図で、壁厚が一枚積みで組積パターンが長手積みのレンガ壁の斜視説明図である。
図4図3における各段の配列の説明図で、(a)がa列のレンガの配列説明図で、(b)がb列のレンガの配列説明図である。
図5】本発明のレンガ構造物の内のレンガ柱体を配置したレンガ塀の概要説明図で、壁厚が半枚積みで組積パターンが長手積みで、縦筋部位が柱体のレンガ壁の斜視説明図である。
図6図5における各段の配列の説明図で、(a)がc列のレンガの配列説明図で、(b)がd列のレンガの配列説明図である。
図7】規格品レンガの平面図で、(a)が全形で、(b)が半マスで、(c)がヨウカンで、(d)が半ヨウカンの説明図である。
図8】かぶり厚さの説明図である。
図9】補強鉄筋及び接着材を図示しないレンガ柱体の1段目の配列の説明図である。
図10】補強鉄筋及び接着材を図示しないレンガ柱体の2段目の配列の説明図である。
図11】補強鉄筋及び接着材を図示しないレンガ柱体の3段目の配列の説明図である。
図12】本発明のレンガ構造物の内のレンガ柱体の斜視概要説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の耐震用レンガ1は、図1(a)に示すように、長手11を化粧面とする、最大外形寸法(長さA×幅B×厚さC)が、図2に示す規格品レンガ2(長さA×幅B×厚さC)と同じ大きさの耐震用レンガ1であって、平面視で、長手11の長辺の略中央部を中心として片側の胴面13は半マス15で、他の片側の胴面13は長手11側を残した半ヨウカン17で、平面視で前記半マス15と前記半ヨウカン17とにより前記胴面13の形状を略L字形とし、前記略L字形の略直交する2面の内側が、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を可能とする型枠面4となる耐震用レンガ1である。
【0022】
前記耐震用レンガ1は、図1又は図2に示すように、最大長さA・最大幅B・厚さCを、オーストラリアレンガ、イギリスレンガ、及び、普通レンガ又は化粧レンガの大きさを規定したJIS規格のレンガ等の規格品レンガ2と同じにしている。このため、調達しやすい規格品レンガ2と組み合わせてレンガ塀なるレンガ構造物を施工することができる。
【0023】
また、図1(a)に示すように、平面視で胴面13の形状が、長手11の長辺の略中央部を中心として片側は半マス15で他の片側は半ヨウカン17からなる略L字形であり、図1(b)に示すように、2つのL字形の耐震用レンガ1の半マス15を突き合わせて、壁厚30が規格品レンガ2の長さA(普通レンガで約210mm)でありながら、規格品レンガ2の幅B(普通レンガの場合約100mm)の長さと目地幅約10mmを加算した長さB1を一辺とする略四角形の貫通穴40を、中央部に形成させることができ、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さ18を20mm超確保でき、該貫通穴40の側面を、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造が施工可能な型枠面4とすることができる。
【0024】
また、前記半マス15と前記半ヨウカン17からなる長手11を残してあるので、化粧面である長手11をレンガ塀やレンガ門柱の壁面にすることができる。
【0025】
したがって、前記耐震用レンガ1を使用することによって、壁厚30が規格品レンガ2の長さAの一枚積みでありながら、一辺が規格品レンガ2の幅B(規格品レンガ2の長さAの略半分の長さである。)とほぼ同じ100mm強の四角形の貫通穴40を形成させることができ、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さ18を20mm超にすることができ、前記貫通穴40の内壁面を型枠面4として鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を施工させることができ、さらにレンガ塀の壁面を化粧面である長手11のみにすることができる。
【0026】
次に、本発明のレンガ構造物のレンガ塀20について説明する。図2図3図4に示すように、レンガ構造物が、縦筋部5と前記縦筋部5間を連結する塀35とを備える長手積みのレンガ塀20であって、前記縦筋部5が、平面視で、壁厚30を一枚積みとし、前記2つの耐震用レンガ1の半マス15同士を、1辺の長さが前記規格品レンガ2の幅Bと略同じ長さの略四角形の貫通穴40を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴40の周壁面を型枠面4とした、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の形態となるレンガ塀20である。
【0027】
図3に示すように、レンガ壁20の前記縦筋部5の壁厚30と塀35の壁厚31とは同じ厚さにすることができ、壁厚30又は壁厚31は規格品レンガ2の長さAとほぼ同じである。そして、図3及び図4に示すように、前記縦筋部5及び前記塀35の壁面を化粧面である長手11で揃えることができる。
【0028】
また、図3のa列21を図4(a)に示し、前記a列21の1段下の図3のb列22を図4(b)に示すように、前記半マス15と前記半ヨウカン17との境界を長手11の長辺の略中央部としたことにより、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を可能とする前記貫通穴40の周壁面である型枠面4の位置は、平面視で略同じ位置にすることができるので、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さ18が20mm以下になることはない。
【0029】
また、塀35の規格品レンガ2の上下間の目地9には、耐震用として、直径約6mmの亜鉛メッキ又はステンレスの細筋45が両端を縦筋部位5に挿設した鉄筋又は鉄骨と固定させた状態で埋設されている。
【0030】
次に、本発明のレンガ構造物のレンガ柱体3について説明する。前記レンガ柱体3は、図5又は図6に示すように、レンガを組積させた塀35を横筋45等を介して支える縦筋の柱としてレンガ塀23に活用でき、図12に示すように、前記レンガ柱体3自体を門柱として活用できる。
【0031】
レンガ構造物がレンガ柱体3であって、前記レンガ柱体3は、図5に示すように、平面視で、壁厚30を一枚積みとし、前記2つの耐震用レンガ1の半マス15同士を、1辺の長さが前記規格品レンガ2の幅と略同じ長さの略四角形の貫通穴40を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴40の周壁面を型枠面4とした、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造のレンガ柱体3である。
【0032】
前記レンガ柱体3は、図9図11に示すように積み上げる。まず、図示はしていないが、鉄筋又は鉄骨を基礎に固定させて立設する。そして、接着材8としてモルタルを目地9に充填しながら、補強鉄筋7(図示なし)を挿設した貫通穴40にはモルタル又はコンクリートを充填しながら、図9に示す配置になるように1段目を造る。なお、図9図11では鉄筋又は鉄骨、ならびに、モルタル又はコンクリートを図示していない。
【0033】
このときに、平面視で、壁厚30を一枚積みとし、2つの耐震用レンガ1の半マス15同士を、1辺の長さが前記規格品レンガ2の幅Bと略同じ長さの略四角形の貫通穴40を略中央部に形成するように突き合わせた状態とし、前記貫通穴40の周壁面を型枠面4として鉄筋コンクリート造又は鉄骨造を造る。
【0034】
次に、2段目は、図10に示すように、1段目とは耐震用レンガ1と規格品レンガ2とがジグザグになるように、目地にモルタルを充填し、補強鉄筋7(図示なし)を挿設した貫通穴40にはモルタル又はコンクリートを充填しながら積み上げる。次に、3段目は図11に示すように、図9に示す1段目と略同じ配置で耐震用レンガ1と規格品レンガ2とを配置し、目地にモルタルを充填し、補強鉄筋7(図示なし)を挿設した貫通穴40にはモルタル又はコンクリートを充填しながら積み上げる。予め設定した積み上げ数まで繰り返してレンガ柱体3を造る。
【0035】
前記レンガ柱体3の活用例として、図5図6に示すようなレンガ塀23や、図12に示すようなレンガ門柱38がある。
【0036】
次に、前記レンガ塀23について説明する、前記レンガ塀23は、図5又は図6に示すように、縦筋部5と前記縦筋部5間を連結する塀35とを備えるレンガ塀23であって、組積パターンが長手積みで、塀35の壁厚31が半枚積みで、縦筋部5のレンガ柱体3の壁厚30が一枚積みである。
【0037】
また、図5のc列24を図6(a)に示し、前記c列24の1段下の図5のd列25を図6(b)に示すように、前記半マス15と前記半ヨウカン17との境界を長手11の長辺の略中央部としたことにより、前記貫通穴40の周壁面である型枠面4の位置は、平面視で略同じ位置にすることができるので、鉄筋又は鉄骨のモルタル又はコンクリートによる、かぶり厚さ18が20mm以下になることはない。
【0038】
前記縦筋部5のレンガ柱体3が鉄筋コンクリート造又は鉄骨造であるので耐震力があり、かつ壁厚30が規格品レンガ2の長さAの寸法しかないので、都市部の敷地が狭小な場所においても塀の転倒防止を図ることができる。
【0039】
次に、前記レンガ門柱38について説明する。前記レンガ門柱38は、図12に示すように、前記レンガ柱体3とほぼ同じ構成である。壁厚30が規格品レンガ2の長さAの寸法しかないので、都市部の敷地が狭小な場所においても高い耐震性を有するレンガ門柱38を造ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 耐震用レンガ
2 規格品レンガ
3 レンガ柱体
4 型枠面
5 縦筋部
7 補強鉄筋
8 接着材
9 目地
11 長手
12 小口
13 胴面
14 全形
15 半マス
16 ヨウカン
17 半ヨウカン
18 かぶり厚さ
20 レンガ塀
21 a列
22 b列
23 レンガ塀
24 c列
25 d列
30 壁厚
31 壁厚
35 塀
38 レンガ門柱
40 貫通穴
41 貫通穴
45 細筋
A 長さ
B 幅
B1 長さ
C 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12