【解決手段】制御装置が、複数のシートの加工ジョブに関する情報を取得する取得部と、分離送風装置から複数のシートに向かって送風される風量を、取得部により取得された加工ジョブに関する情報に基づいて、あるいは、ユーザの操作により設定可能な風量設定部と、分離送風装置を制御して、風量設定部により設定された風量で複数のシートに向かって送風させる送風制御部とを備える。風量設定部は、風量がユーザにより第1風量から第1風量とは異なる第2風量に変更された場合、風量がユーザにより第2風量から第2風量とは異なる風量に変更されるまで、取得された加工ジョブに関する情報にかかわらず、風量を第2風量のまま維持する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0012】
本発明の一実施形態のシート処理装置1は、
図1に示すように、給送装置7と、第一加工装置21および第二加工装置22と、排出トレイ(図示せず)と、制御装置6とを備えている。
【0013】
なお、以下の説明において、シート100の搬送方向Fの下流側を「前方」又は「下流側」とする。シート100の搬送方向Fの上流側を「後方」又は「上流側」とする。搬送経路10を挟んだ上下を「上側」又は「下側」とする。また、シート幅方向(すなわち、搬送方向Fと直交する水平方向)を「左右方向」とし、後方からシート処理装置1を見た状態を基準として「右方」および「左方」を規定している。
【0014】
給送装置7は、
図1に示すように、給送台30と、分離送風装置31と、吸着搬送装置8とを有している。この給送装置7は、給送台30に積載された複数枚のシート100を上から順に1枚ずつ搬送方向Fに沿って搬送経路10に送り出すように構成されている。
【0015】
なお、搬送経路10は、給送装置7から排出トレイまで搬送方向Fに沿って延びている。
図1に示すように、搬送経路10には、複数の搬送ローラ4が離間して配設されている。各搬送ローラ4は、シート100を挟持可能に配置された一対のローラ部から構成されている。また、
図2に示すように、搬送経路10には、シート位置検出センサ36が設けられている。この実施形態では、一例として、複数のシート位置検出センサ36が設けられている。
【0016】
給送台30は、
図1に示すように、複数枚のシート100を上下方向に積層した状態で載置可能に構成されている。なお、各シート100には、紙製シートはもちろん、樹脂製シートも含まれる。
【0017】
給送台30の搬送方向Fにおける前方側の端部には、前面ストッパ15が設けられている。前面ストッパ15は、各シート100の搬送方向Fへの移動を規制して、給送台30に載置された各シート100を位置決めする。また、前面ストッパ15の上端部には、捌き部材34が設けられている。捌き部材34は、分離送風装置31からの送風によって分離された最上位シート101を吸着搬送装置8によって搬送する際に、最上位シート101よりも下位のシート100が最上位シート101と共に搬送されるのを阻止する。なお、最上位シート101は、給送台30に載置された複数枚のシート100のうち、給送台30から上下方向において最も離れて配置されたシートである。
【0018】
また、給送台30は、給送台昇降モータ42(
図3に示す)により上下方向に昇降可能に構成され、給送台30の移動範囲における上限位置および下限位置には、それぞれ上限センサ32(
図3に示す)および下限センサ33(
図3に示す)が配置されている。給送台30の移動範囲の上限位置は、載置された複数枚のシート100のうちの最上位シート101が吸着搬送装置8によって吸着搬送できるように設定されている。
【0019】
分離送風装置31は、
図1に示すように、給送台30よりも、給送台30から複数のシート100の載置方向(すなわち、上下方向)に交差する搬送方向Fに向かって延びる搬送経路10の下流に配置されている。この分離送風装置31は、一例として、送風ファンで構成され、搬送方向Fの前方から複数のシート100に向かって送風可能に構成されている。分離送風装置31からの送風により、給送台30に載置された複数のシート100のうちの最上位シート101が他の複数のシート100から上下方向に分離される。
【0020】
吸着搬送装置8は、
図1に示すように、給送台30の搬送方向Fにおける下流側の端部で、分離送風装置31によって分離されていない状態の最上位シート101に対して上下方向に隙間110を空けて配置されている。この吸着搬送装置8は、環状のベルト13と、ベルト駆動モータ41(
図4に示す)と、ベルト13で取り囲まれた空間に配置された吸引箱120(
図2に示す)と、吸引箱120の内部に配置された吸引ファン47(
図2に示す)とを有する。
【0021】
ベルト13は、搬送方向Fおよび上下方向に対する直交方向(すなわち、
図1の紙面貫通方向)に複数個並んだ状態で、最上位シート101を吸着可能に配置されている。各ベルト13は、搬送方向Fに離間して配置された一対のベルト駆動ローラ12の各々に掛け渡され、一対のベルト駆動ローラ12を介して、ベルト駆動モータ41より駆動される。すなわち、一対のベルト駆動ローラ12とベルト駆動モータ41とで、ベルト13を駆動する駆動部を構成している。
【0022】
吸引箱120は、
図2および
図3に示すように、吸込口121と、吹出口122と、吸込口121および吹出口122に接続された空気通路123とを有している。吸込口121は、最上位シート101に対して上下方向に対向して配置されている。吹出口122は、複数のシート100に対して搬送方向Fおよび上下方向に交差する方向(すなわち、
図3の左右方向)に対向して配置されている。空気通路123は、吸引箱120の内部に設けられている。
【0023】
吸引ファン47は、
図2および
図3に示すように、吸引箱120内の空気通路123に配置されている。この吸引ファン47は、吸込口121を介して吸引箱120の外部の空気(すなわち、隙間110の空気)を空気通路123に吸引して、最上位シート101を吸引箱120に向かって吸引すると共に、吹出口122を介して空気通路123の空気を複数のシート100の側縁に向かって送風する。
【0024】
すなわち、吸着搬送装置8は、分離送風装置31によって分離された最上位シート101を吸引ファン47によってベルト13に吸着しつつ、ベルト13によって搬送経路10に沿って搬送可能に構成されている。
【0025】
第一加工装置21および第二加工装置22は、
図1に示すように、搬送経路10の給送装置7の下流に、搬送方向Fに沿って順に配置されている。第一加工装置21および第二加工装置22は、それぞれ第一加工用モータ44(
図4に示す)および第二加工用モータ45(
図4に示す)を有し、給送装置7から送り出されたシート100に対して所定の加工を施し可能に構成されている。シート100の加工(例えば、裁断)によって発生した裁断屑は、シート処理装置1の底部に設けられた図示しないゴミ箱に回収される。
【0026】
なお、第一加工装置21および第二加工装置22は、単に2つの加工装置を意味するのでなく、2つ以上の加工装置を含む広い概念として規定される。第一加工装置21および第二加工装置22の各々は、例えば、縦裁断加工装置、横裁断加工装置、縦折り型加工装置、横折り型加工装置、縦ミシン目加工装置、横ミシン目加工装置、丸め加工装置、エンボス加工装置、印刷装置、疑似接着装置、接着装置および製本装置であり、シート100の加工用途に応じて、適宜選択される。
【0027】
制御装置6は、一例として、演算等を行うCPUと、シート処理装置1の作動に必要なプログラムあるいはデータ等を記憶しておくROMおよびRAMなどの各種メモリとを備え、給送装置7を含むシート処理装置1の全体の動作を制御する。詳しくは、
図4に示すように、制御装置6は、操作表示パネル5あるいは制御装置6に有線または無線で接続された外部コンピュータ等の外部端末(図示せず)を介してユーザにより入力された加工ジョブに関する情報と、シート位置検出センサ36、CCDセンサ38、上限センサ32、下限センサ33および斜行検出センサ39などの各種センサにより検出された情報とに基づいて、給送装置7、第一加工装置21および第二加工装置22などを制御する。
【0028】
なお、シート位置検出センサ36は、例えば、発光素子および受光素子が搬送経路10を上下方向に挟んで配置された透過型フォトセンサで構成されている、このシート位置検出センサ36は、吸着搬送装置8により搬送された最上位シート101が、吸着搬送装置8よりも搬送経路10の下流に配置された基準位置P1、P2(
図2に示す)に到達したか否かを検出する。
【0029】
CCDセンサ38は、例えば、シート100に形成されたバーコードなどを読み取り可能に構成されたセンサである。例えば、バーコードに加工ジョブに関する情報を記憶させておき、このバーコードをCCDセンサ38で読み取ることで、加工ジョブに関する設定を自動的に行うことができる。
【0030】
斜行検出センサ39は、例えば、搬送経路10を挟んで対向配置された一対の発光素子及び受光素子で構成された透過型フォトセンサであり、シート100が斜行搬送の有無を検出する。
【0031】
また、制御装置6は、取得部61と、風量設定部62と、送風制御部63とを有している。なお、取得部61、風量設定部62および送風制御部63の各々は、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。
【0032】
取得部61は、例えば、操作表示パネル5を介してユーザにより入力された情報、あるいは、CCDセンサ38により読み取られた情報から、分離送風装置31の風量設定の指標となる情報を取得する。この情報は、例えば、給送台30に載置された各シート100の加工ジョブに関する情報の一部を構成する。すなわち、取得部61は、分離送風装置31の風量設定の指標となる指標情報を含む、各シート100の加工ジョブに関する情報を取得する。加工ジョブに関する情報には、指標情報として、例えば、各シート100の種類、各シート100の大きさ、給送台30に載置された複数のシート100に向かって送風する風の風量(すなわち、風量に関する情報)の少なくともいずれかを含むことができる。また、加工ジョブに関する情報には、指標情報のほかに、例えば、シート100に施される加工の種類、成果物(例えば、印刷部分)の配置、数量および寸法を含むことができる。なお、シート100の種類とは、例えば、坪量、樹脂シート・上質紙シート・ラミネート紙・コート紙(例えばUVコート紙)シートなどの品種、シート表面の摩擦抵抗値、静電気の帯び易さ、および、カール量(すなわち、シートの湾曲度合)の少なくとも何れかの概念によって分類されたまとまりを意味する。
【0033】
なお、加工ジョブに関する情報は、シート処理装置1の制御部6の記憶部(図示せず)または制御装置6に有線または無線で接続された外部コンピュータ等の外部端末の記憶部(図示せず)に記憶させておくことができる。この場合、ユーザは、制御装置6または外部端末の記憶部から所望する加工ジョブに関する情報を呼び出すことにより、加工ジョブの設定を自動的に行うことができる。
【0034】
風量設定部62は、分離送風装置31から給送台30に載置された複数のシート100に向かって送風される風量を設定する。この風量は、例えば、取得部61により取得された情報(すなわち、加工ジョブに関する情報)に基づいて、あるいは、操作表示パネル5を介して行われるユーザの操作により設定される。
【0035】
具体的には、風量設定部62は、風量が操作表示パネル5を介してユーザにより設定されているか否かを判定する。そして、風量がユーザにより設定されている場合は、ユーザにより設定された風量を分離送風装置31から送風される風量として設定する。一方、風量がユーザにより設定されていない場合は、取得部61で取得される情報に風量に関する情報が含まれているか否かを判定する。取得部61で取得される情報に風量に関する情報が含まれている場合、取得部61で取得された情報に含まれる風量を分離送風装置31から送風される風量として設定する。また、取得部61で取得される情報に風量に関する情報が含まれていない場合、例えば、取得部61により取得された情報(例えば、シート100の種類または大きさ)に基づいて風量を算出し、算出した風量を分離送風装置31から送風される風量として設定する。
【0036】
言い換えると、風量設定部62は、風量がユーザにより第1風量から第1風量とは異なる第2風量に変更された場合、風量がユーザにより第2風量から第2風量とは異なる風量に変更されるまで、取得部61により取得された情報にかかわらず、風量を第2風量のまま維持する。
【0037】
なお、ユーザにより設定された風量は、制御装置6の記憶部(図示せず)に記憶してもよいし、制御装置6に有線または無線で接続された外部コンピュータ等の外部端末の記憶部(図示せず)に記憶してもよい。ユーザにより各種加工ジョブに関する設定が行われた場合に、加工ジョブに関する情報に含まれる指標情報としての風量に関する情報を制御装置6または外部端末の記憶部に記憶してもよい。
【0038】
また、風量設定部62は、吸着搬送装置8が駆動された後、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されない場合に、風量を大きくする。吸着搬送装置8が駆動しているにもかかわらず、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されない場合、最上位シート101が他のシート100から十分に分離できておらず、空送り状態であることが予想される。このような場合、分離送風装置31から送風される風量を設定されている風量よりも一時的に大きくし、最上位シート101を他のシート100からより確実に分離させて、シート100の空送り状態を解消している。
【0039】
なお、この場合の風量の上昇値については、例えば、取得部61で取得された加工ジョブに関する情報(例えば、シート100の種類および大きさ)に基づいて決定する。また、風量を一時的に大きくした後、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されると、風量設定部62は、分離送風装置31から送風される風量を小さくして、設定されている風量に戻す。
【0040】
また、風量設定部62は、最上位シート101がベルト13に吸着された場合に、風量を小さくする。最上位シート101がベルト13に吸着されたにもかかわらず、分離送風装置31から送風される風量をそのままにしておくと、次の最上位シート101が分離送風装置31からの送風によって分離され、上方に吹き上げられて、複数枚のシート100(すなわち、ベルト13に吸着された先の最上位シート101および分離され吹き上げられた次の最上位シート101)が重なった状態で吸着搬送装置8によって搬送される(すなわち、重送される)可能性がある。このため、最上位シート101がベルト13に吸着された場合に風量を小さくすることで、シート100が重送される可能性を低減している。
【0041】
なお、最上位シート101がベルト13に吸着されたか否かは、例えば、吸引ファン47の駆動開始から所定時間(例えば、3秒)が経過したか否かで判定してもよいし、最上位シート101のベルト13への吸着を検出するセンサを設け、このセンサにより最上位シート101のベルトへの吸着が検出されるか否かで判定してもよい。
【0042】
また、風量設定部62は、吸着搬送装置8の待機中、風量をゼロよりも大きく、かつ、最上位シート101を分離するときに設定される風量(すなわち、第1風量および第2風量)よりも小さい第3風量に変更する。シート処理装置1では、分離送風装置31からの送風によって最上位シート101が分離しない程度の微風を第3風量としている。このように、吸着搬送装置8が動作していない待機中であっても分離送風装置31を動作させておくことで、給送装置7を待機状態から動作状態にする際の待機時間を短縮している。
【0043】
送風制御部63は、分離送風装置31を制御して、風量設定部62により設定された風量で複数のシート100に向かって送風させる。また、送風制御部63は、吸着搬送装置8が待機中であっても、分離送風装置31を制御して、第3風量で複数のシート100に向かって送風させる。なお、分離送風装置31は、一例として、PWM(Pulse Width Modulation)制御により制御されている。
【0044】
次に、分離送風装置31から送風される風量の設定処理について、
図5を参照して説明する。なお、以下に説明する処理は、制御装置6が所定のプログラムを実行することで実施される。
【0045】
図5に示すように、取得部61が、加工ジョブに関する情報を取得し(ステップS1)、風量設定部62が、操作表示パネル5を介してユーザにより風量が設定されたか否かを判定する(ステップS2)。
【0046】
ユーザにより風量が設定されたと判定された場合、風量設定部62が、ユーザにより設定された風量を分離送風装置31から送風される風量として設定する。そして、送風制御部63が、分離送風装置31を制御して、ユーザにより設定された風量で複数のシート100に向かって送風させる(ステップS3)。
【0047】
一方、ユーザにより風量が設定されていないと判定された場合、風量設定部62が、取得部61で取得された情報に基づいて風量を設定する。そして、送風制御部63が、分離送風装置31を制御して、取得部61で取得された情報に基づいて設定された風量で複数のシート100に向かって送風させる(ステップS4)。
【0048】
分離送風装置31の複数のシート100への送風が開始されると、風量設定部62は、最上位シート101がベルト13に吸着されたか否かを判定する(ステップS5)。最上位シート101がベルト13に吸着されたと判定されなかった場合、最上位シート101がベルト13に吸着された判定されるまで、ステップS5が繰り返される。
【0049】
最上位シート101がベルト13に吸着されたと判定された場合、風量設定部62が、設定された風量を小さくし、送風制御部63が、分離送風装置31を制御して、小さくされた風量で複数のシート100に向かって送風させる(ステップS6)。
【0050】
最上位シート101がベルト13に吸着されてベルト13が駆動されると、制御装置6は、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されているか否かを判定する(ステップS7)。
【0051】
シート位置検出センサ36により最上位シート101基準位置P1、P2への到達が検出されていると判定された場合、送風制御部63が、分離送風装置31を制御して、設定された風量で複数のシート100に向かって送風させる(ステップS8)。
【0052】
一方、シート位置検出センサ36により最上位シート101基準位置P1、P2への到達が検出されていない判定された場合、風量設定部62が、設定された風量を大きくする。そして、送風制御部63が、分離送風装置31を制御して、大きくされた風量で複数のシート100に向かって送風させる(ステップS9)。その後、再びステップS7に戻り、再び、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されているか否かが判定される。シート位置検出センサ36により最上位シート101基準位置P1、P2への到達が検出されていると判定されると、風量設定部62は、大きくした風量を設定された風量に戻す。そして、送風制御部63が、分離送風装置31を制御して、設定された風量で複数のシート100に向かって送風させる(ステップS9)。
【0053】
このように、制御装置6によれば、複数のシート100の加工ジョブに関する情報を取得する取得部61と、分離送風装置31から複数のシート100に向かって送風される風量を、取得部61により取得された加工ジョブに関する情報に基づいて、あるいは、ユーザの操作により設定可能な風量設定部62と、分離送風装置31を制御して、風量設定部62により設定された風量で複数のシート100に向かって送風させる送風制御部63とを備える。風量設定部62は、風量がユーザにより第1風量から第1風量とは異なる第2風量に変更された場合、風量がユーザにより第2風量から第2風量とは異なる風量に変更されるまで、取得された加工ジョブに関する情報にかかわらず、風量を第2風量のまま維持する。このような構成により、例えば、シート100の種類に応じて給送台30に載置された複数のシート100に送風される風の風量が予め設定されている場合で、特定の種類のシート100に対して、ユーザが予め設定されている第1風量とは異なる第2風量を設定した場合、給送台に載置されたシート100が特定の種類のシートに変更される毎に、ユーザが第1風量から第2風量に設定することなく、第2風量の風が複数のシート100に送風される。その結果、給送装置7の利便性を高めることができる制御装置6を実現できる。
【0054】
なお、「風量がユーザにより第2風量から第2風量とは異なる風量に変更された場合」には、例えば、ユーザにより設定されていた風量が取り消されて、風量がユーザにより設定されていない状態になった場合も含まれる。
【0055】
また、風量設定部62が、吸着搬送装置8が駆動された後、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されない場合に、風量を大きくする。このような構成により、シート100が空回りしている可能性が考えられる場合に、最上位シート101を他のシート100からより確実に分離させて、仮にシート100が空回りしていた場合、シート100の空送り状態を解消することができる。
【0056】
また、風量設定部62は、最上位シート101がベルト13に吸着された場合に、風量を小さくする。このような構成により、シート100の重送を防ぐことができる。
【0057】
また、風量設定部62は、吸着搬送装置8の待機中、風量をゼロよりも大きくかつ第1風量および第2風量よりも小さい第3風量に変更する。このような構成により、給送装置7を待機状態から動作状態にする際の待機時間を短縮できる。
【0058】
また、制御装置6により、利便性の高い給送装置7を実現できる。
【0059】
また、給送装置7の吸着搬送装置8が、最上位シート101に対して載置方向に対向して配置された吸込口121と、複数のシート100に対して搬送方向Fおよび載置方向に交差する方向に対向して配置された吹出口122と、吸込口121および吹出口122にそれぞれ接続された空気通路123とを有する吸引箱120と、空気通路123に配置されて、吸込口121を介して吸引箱120の外部の空気(すなわち、隙間110の空気)を空気通路123に吸引して、最上位シート101を吸引箱120に向かって吸引すると共に、吹出口122を介して空気通路123の空気を複数のシート100の側縁に向かって送風する吸引ファン47とを有する。このような構成により、分離送風装置31に加えて、吸引ファン47から給送台30の複数のシート100に向かって送風されるので、最上位シート101を他の複数のシート100からより確実に分離させることができる。また、吸引ファン47を利用するので、吹出口122から複数のシート100の側縁に向かって送風するための独立した送風ファンを設ける必要がないため、給送装置7の製造コストを低減できる。
【0060】
なお、給送装置7を構成する給送台30、分離送風装置31および吸着搬送装置8の各々は、前記実施形態に限らず、給送装置7またはシート処理装置1の設計などに応じて、適宜変更することができる。
【0061】
例えば、シート位置検出センサ36を含む各種センサは、いずれか1つまたは2つ以上を省略してもよいし、さらに異なるセンサを追加してもよい。
【0062】
また、吸引箱120の吹出口122は、複数のシート100に対して搬送方向Fおよび載置方向に交差する方向に対向して配置される場合に限らず、例えば、複数のシート100に対向しない位置に配置してもよい。
【0063】
風量設定部62は、少なくとも、風量がユーザにより第1風量から第1風量とは異なる第2風量に変更された場合、風量がユーザにより第2風量から第2風量とは異なる風量に変更されるまで、取得部61により取得された情報にかかわらず、風量を第2風量のまま維持するように構成されていればよい。すなわち、風量設定部62は、吸着搬送装置8が駆動された後、シート位置検出センサ36により最上位シート101の基準位置P1、P2への到達が検出されない場合に、風量を大きくするように構成されていなくてもよいし、最上位シート101がベルト13に吸着された場合に、風量を小さくするように構成されていなくてもよいし、吸着搬送装置8の待機中、風量をゼロよりも大きくかつ第1風量および第2風量よりも小さい第3風量に変更するように構成されていなくてもよい。
【0064】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。