【解決手段】製品検査装置1は、製品群Gの秤量信号から、測定タイミングTを可変させて取得した部分計量値と所定の基準値から計量誤差Eを算出する。計量誤差Eと測定タイミングTの関係(
)に基づいて、計量誤差Eが閾値未満になるような測定タイミングTを決定すれば、実際に製品群Gを計量した場合に製品Wごとに得られる重量値の信頼性が高くなり、高価な設備を用いることなく個々の製品が内包する物品の過不足を低コストで精度よく検査できる。
所定個数の物品(A)を収容した製品(W)が所定数連続してなる製品群(G)を搬送しながら計量して取得した計量値に基づいて各製品に収容された物品の個数の過不足を検査する製品検査装置(1)であって、
製品群の全体が載置される長さの計量コンベア(2)と、
前記計量コンベアに搬送される製品を計量して秤量信号を出力する秤(3)と、
前記計量コンベアに搬入される製品を検知するセンサ(4)と、
前記センサが製品を検知したタイミングを基準として前記秤から出力される秤量信号を記憶する記憶部(6)と、
前記記憶部の秤量信号を用いて、測定タイミングを変化させて取得した一部の製品の重量値である部分計量値と、所定の基準値との差分である計量誤差を算出する算出部(8)と、
前記計量誤差を、前記測定タイミングと対応させて出力する出力部(10)と、
を具備することを特徴とする製品検査装置(1)。
前記記憶部(6)は、前記物品(A)の個数について過不足がある過不足製品(WB)を少なくとも1つ含むサンプル製品群(SG)から得られたサンプル秤量信号を記憶し、
前記算出部(8)は、前記秤量信号として前記サンプル秤量信号を用いて、前記計量誤差を算出することを特徴とする請求項1に記載の製品検査装置(1)。
前記記憶部(6)は、前記物品(A)の個数について過不足がない正規製品(WG)を少なくとも1つ含む前記サンプル製品群(SG)から得られたサンプル秤量信号を記憶し、
前記算出部(8)は、前記サンプル秤量信号を用いて、前記サンプル製品群の各製品に関する前記計量誤差を算出し、
前記出力部(10)は、前記サンプル製品群における該計量誤差を、前記測定タイミングと対応させて出力することを特徴とする請求項2に記載の製品検査装置(1)。
前記算出部(8)は、前記物品(A)の個数について過不足がないn個の正規製品(WG)からなるサンプル製品群(SG)の重量に対応する総計量値をnで除算して得た値に基づいて前記基準値を算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の製品検査装置(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された重量選別機によれば、パック詰めされた製品に含まれる物品の個数が正規の個数であるか否かを判定することはできるが、包装材に所定個数の物品を収容した製品が所定個数連続しているような製品群を対象とした場合、連なった製品群の全体の重量を測定することはできても、個々の製品に収容された物品の過不足を検査することはできなかった。
【0006】
前記特許文献2に開示されたX線質量測定装置によれば、上述したような製品群、すなわち連包ワークにおける欠品検査を行なうことは可能であるが、X線を用いた装置であるため高価であり、さらに次の様な問題があった。すなわち、X線を用いても、包装材の中身である物品が均一な状態の粉や液体であれば有効であるが、物品の成分や素材が均一でなかったり、物品が複雑な形状であったり、包装材の中で物品同士の重なり姿勢が変化してしまう等の事情がある場合には、X線透過画像の画像処理による判別(個々の物品の識別)が安定せず、包装された製品の中にある物品の個数の検査を精度よく行なうことができない。
【0007】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、連続品の個々の製品が内包する物品の過不足を低コストで精度よく検査できる製品検査装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された製品検査装置1は、
所定個数の物品Aを収容した製品Wが所定数連続してなる製品群Gを搬送しながら計量して取得した計量値に基づいて各製品に収容された物品Aの個数の過不足を検査する製品検査装置1であって、
製品群Gの全体が載置される長さの計量コンベア2と、
前記計量コンベア2に搬送される製品Wを計量して秤量信号を出力する秤3と、
前記計量コンベア2に搬入される製品Wを検知するセンサ4と、
前記センサ4が製品Wを検知したタイミングを基準として前記秤3から出力される秤量信号を記憶する記憶部6と、
前記記憶部6の秤量信号を用いて、測定タイミングを変化させて取得した一部の製品Wの重量値である部分計量値と、所定の基準値との差分である計量誤差を算出する算出部8と、
前記計量誤差を、前記測定タイミングと対応させて出力する出力部10と、
を具備している。
【0009】
請求項2に記載された製品検査装置1は、請求項1に記載の製品検査装置1において、 前記記憶部6は、前記物品Aの個数について過不足がある過不足製品WBを少なくとも1つ含むサンプル製品群SGから得られたサンプル秤量信号を記憶し、
前記算出部8は、前記秤量信号として前記サンプル秤量信号を用いて、前記計量誤差を算出することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載された製品検査装置1は、請求項2に記載の製品検査装置1において、 前記記憶部6は、前記物品Aの個数について過不足がない正規製品WGを少なくとも1つ含む前記サンプル製品群SGから得られたサンプル秤量信号を記憶し、
前記算出部8は、前記サンプル秤量信号を用いて、前記サンプル製品群SGの各製品Wに関する前記計量誤差を算出し、
前記出力部10は、前記サンプル製品群SGにおける該計量誤差を、前記測定タイミングと対応させて出力することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載された製品検査装置1は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の製品検査装置1において、
前記算出部8は、前記物品Aの個数について過不足がないn個の正規製品WGからなるサンプル製品群SGの重量に対応する総計量値をnで除算して得た値に基づいて前記基準値を算出することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載された製品検査装置1は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の製品検査装置1において、
前記出力部10は、前記計量誤差と前記測定タイミングとの関係を示すグラフを表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された製品検査装置によれば、製品群を計量して得られた秤量信号を用いて、一部の製品に関する部分計量値を測定タイミングをずらして取得し、この部分計量値と所定の基準値との差分である計量誤差を算出することができる。この計量誤差と測定タイミングの関係に基づいて、計量誤差が小さくなるような測定タイミングを決定すれば、実際に製品群を計量した場合に、製品ごとに算出される重量値の信頼性が高くなる。このため、X線検査装置などの高価な設備を用いることなく、製品群の個々の製品が内包する物品の過不足を低コストで精度よく検査することができる。
【0014】
請求項2に記載された製品検査装置によれば、過不足がある過不足製品を含むサンプル製品群を用いているので、過不足品の計量誤差が把握できまる。また、過不足を判定するための閾値を、製品の生産管理基準としての標準重量値を基準としてではなく、過不足のある製品の計量値に基づいて、適切に設定できる。
【0015】
請求項3に記載された製品検査装置によれば、過不足がある過不足製品に加え、過不足のない正規製品を含んだサンプル製品群を用いて計量誤差を得るので、当該計量誤差と、過不足製品を含むサンプル製品群を用いて把握した計量誤差との中間の値を閾値とすることもでき、過不足の判定がより高い精度で行える。
【0016】
また、サンプル製品群から得られたサンプル秤量信号を用いて各製品に関する計量誤差を測定タイミングと対応させて出力するので、各製品について、製品に含まれる物品の位置のばらつきの影響を加味した測定タイミングとすることができ、過不足の判定が精度よくできる。例えば、製品1 個中に含まれる物品の個数が少ない場合は、1個や2個の欠品であっても、製品1個の計量値に対する影響が大きいため、算出される計量誤差は大きくなるので、計量誤差と測定タイミングの関係だけに基づいて、各製品の物品の個数の過不足を正確に判定することは比較的容易である。しかし、製品1個中に含まれる物品の個数が多い場合には、欠品があったとしても、その欠品数が少ないと、製品1個の計量値の減少は小さく、算出される計量誤差は小さくなる傾向にあるため、各製品の物品の個数の過不足の判断は比較的困雖となる。このような場合は、計量誤差と測定タイミングの関係から好ましい測定タイミングの範囲を定めたとしても、その測定タイミングの範囲において、過不足がある過不足製品に含まれる物品の位置のばらつきで計量誤差が閾値内に入ってしまうことがありうる。
【0017】
しかしながら、請求項3に記載された製品検査装置によれば、過不足のない正規製品の計量誤差と測定タイミングの関係に基づいて、好ましい測定タイミングを決定した後、過不足がある過不足製品の計量誤差と測定タイミングの関係に基づいて、過不足がある過不足製品が閾値内に入ってしまう測定タイミングの範囲を、先に決めた好ましい測定タイミングから除くことにより、過不足のない正規製品のみについて計量誤差が閾値内に入るような最良の測定夕イミングを決定することができる。
【0018】
請求項4に記載された製品検査装置によれば、製品群を構成する製品の数を一般化してnとした場合に、不足がないn個の正規製品からなる正規サンプル製品群の重量に対応する総計量値をnで除算して得た値に基づいて基準値を算出することにより、その基準値とn個目の製品Wの重量値である部分計量値とからn個目の製品に係る計量誤差を算出することができる。
【0019】
請求項5に記載された製品検査装置によれば、秤量信号から算出した計量誤差が小さくなるような好ましい測定タイミングを決定するに際し、計量誤差と測定タイミングの関係を示すグラフを、表示部に表示することができる。このため、製品群の計量誤差が小さくなるような好ましい測定夕イミングを視覚的にも容易に認識することができ、測定タイミングの設定作業の容易化に資することとなる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態について
図1〜
図3を参照して説明する。
図1に示す第1実施形態の製品検査装置1は、同図中の上部に示す連結された2個の製品Wから構成される製品群Gを対象としている。
図1は、前段の搬送手段CVによって搬送されている製品群Gが製品検査装置1に順次搬入される状況を示す。
【0022】
図1に示す製品群Gは、包装材に所定個数の物品Aを収容した製品Wを2個含んでおり、2個の製品Wは包装材Pの一部において連結されている。ここで、特に搬送方向の先方の製品Wを先方製品WFと称し、搬送方向の後方の製品Wを後方製品WRと称する。また連結とは各製品Wの一部(この場合は包装材P)が互いに結合されていることを意味する。製品群Gを構成する2個の製品W(WF,WR)は、製品群Gを一単位として製造されているため、製造又は包装工程において、製品群Gの全体としては物品Aの個数が規定通りであっても、一方の製品Wに入るべき物品Aが他方の製品Wに入ってしまう場合があり、製品Wによって入数に過不足が生じる場合があるため、これを検査する必要が生じる。
【0023】
このような製品群Gにおける物品Aの個数の過不足の検査では、製品群Gとして重量を測定しても物品Aの個数の過不足を検出することはできないが、以下に説明するように、本第1実施形態の製品検査装置1及び方法によれば、製品群Gを構成する個々の製品Wにおける物品Aの個数の過不足を低コストで精度よく検査できる。
【0024】
図1に示すように、第1実施形態の製品検査装置1は、製品群Gの全体を載置できるだけの長さを備えた計量コンベア2と、計量コンベア2を支持する秤3と、製品群Gを検出するセンサ4と、製品検査装置1の全体を制御して製品群Gの各製品Wに収容された物品Aの過不足を判定する制御手段5を有している。
【0025】
図1に示す例では、秤3は一つの製品群Gに属する2個の製品W(WF,WR)を計量コンベア2で搬送しながら計量し、
図2に示すような秤量信号を出力する。
図2に示す秤量信号の波形は、秤3が出力する秤量信号の波形そのものではなく、これを後述する信号処理部7のフィルタで整形した状態として示したものである。この第1実施形態では、製品群Gは2個の製品W(WF,WR)からなるため、
図2から理解されるように、製品群Gの秤量信号には、先方の1個の製品W(先方製品WF)が計量コンベア2に載り込んだ時(時間t1)に計量された計量値M1と、計量コンベア2が2個の製品W(WF,WR)を搬送している時(時間t2)に計量された2個の製品Wの計量値M2が含まれる。
なお、以後、製品群Gの一部の製品Wの重量値を「部分計量値」と称し、製品群Gの全体の重量値を「総計量値」と称するものとする。
【0026】
なお、
図2のグラフ中には符号では示していないが、秤量信号には、時間t2よりも後に計量値が略一定となる水平な部分で示すように、先方の1個の製品W(先方製品WF)が計量コンベア2から下りた時に計量された後方の1個の製品W(後方製品WR)の計量値が含まれるので、この計量値を利用してもよい。この後方製品WRの計量値は前述した「部分計量値」である。
図1に示すように、秤3からの秤量信号は制御手段5に入力され、記憶部6に記憶される。
【0027】
図1に示すように、センサ4は、計量コンベア2に製品群Gが搬入される搬入位置に設けられており、製品群Gの通過を検知して検知信号を出力する。
図1に示すように、センサ4からの検知信号は制御手段5に入力され、秤3が出力した秤量信号から前述した計量値M1,M2等を算出するタイミングを計るために使用される。
【0028】
図1に示すように、制御手段5は、前述した記憶部6の他、信号処理部7と、算出部8と、過不足判定部9と、表示部10及び操作部11を備えている。
【0029】
信号処理部7は、記憶部6に記憶された秤量信号を用いて計量値を算出するために、必要な時間帯について秤量信号に必要なフィルタ処理を行なうための手段であり、フィルタ処理された秤量信号は算出部8に送られる。
【0030】
算出部8は、センサ4が製品群Gを検知したタイミングと、製品Wが計量コンベア2に載り込むために必要な載り込み時間T1と、製品Wが計量コンベア2に載り込んだ後に秤の状態が安定するまでの安定時間T2を考慮して、計量値を算出するのに好ましい測定タイミングT(前記時間t1及びt2に相当)を定め、計量コンベア2上の製品Wに対応する前記計量値M1,M2等を、信号処理部7で処理された秤量信号から算出する。これらの計量値のうち、計量値M1は先方製品WFの重量を示しており、計量値M2は先方製品WFと後方製品WRの合計の重量を示している。従って算出部8は、計量値M1を先方製品WFの重量値とし、計量値M2から計量値M1を減じた値を後方製品WRの重量値とすることができる。
【0031】
なお、先方製品WFが計量コンベア2から下りた時に後方製品WRの計量値が取得されているなら、これを後方製品WRの重量値とし、計量値M2から後方製品WRの計量値を減じた値を前方製品WFの重量値とすることもできる。
【0032】
さらに、まず製品群Gの先方製品WFの計量を行い、次に先方製品WFと後方製品WRの計量を行なうだけでなく、一つ目の先方製品WFが計量コンベア2から降りるタイミングで後方製品WRの計量を行なった場合には、これら三つの計量値を用いた平均値の演算により、先方製品WFと後方製品WRのより正確な重量値を得ることができる。
【0033】
過不足判定部9は、対象となっている製品Wに含まれる物品Aの1個の重量データと、対象となっている製品Wに含まれる物品Aの正規の個数のデータ(正規入数)を保有している。これらのデータは、操作部11から入力することができる。過不足判定部9は、算出部8から送られた各製品Wの重量を物品Aの1個の重量で除して、当該製品Wに含まれる物品Aの個数を算出する。そして過不足判定部9は、各製品Wの重量が、物品Aの1個の重量に正規入数を乗じた値に基づいて設定される許容範囲内にあるか否かで過不足を判定し、その結果を表示部10に表示する。具体的には、先方製品WF又は後方製品WRの各々について、物品Aの実際の個数と、正規入数と、物品Aの個数と正規入数に対応する重量との差分(重量)と、合否判定を表示部10に表示する。
【0034】
以上のように、第1実施形態の製品検査装置1によれば、部分計量値と総計量値を用いた演算により、各製品Wの重量を算出し、各製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足を検査することができる。
【0035】
しかしながら、計量値M2のような総計量値の測定は、すべての製品Wが計量コンベア2に載っているため、部分計量値の測定に較べて相対的に安定しているとしても、計量値M1のような部分計量値を正確に算出するためには、部分計量値の算出に好ましい測定タイミングT(前記時間t1に相当)を適切に設定しなければならない。先に説明したように、測定タイミングTは、製品Wが計量コンベア2に載り込むために必要な載り込み時間T1と、製品Wが計量コンベア2に載り込んだ後に秤の状態が安定するまでの安定時間T2を考慮して定めるのであるが、これら各時間T1,T2を見極めて最適な測定タイミングTを設定することは必ずしも容易ではない。測定タイミングTが適当でない場合には、演算誤差が大きくなり、個々の製品Wごとに得られる重量値の信頼性が低下し、結果として製品群Gの各製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足の検査結果も信頼性が低下してしまう。
【0036】
そこで、本第1実施形態の製品検査装置1は、部分計量値を算出する測定タイミングTを適切に設定するための構成を備えている。
第1実施形態の製品検査装置1によって、ある製品群Gの実際の検査を行なう場合には、製品群Gの実際の測定に先立って、測定タイミングTを適切に設定するための作業及び設定を行なう。まず、各製品Wが含む物品Aの個数について過不足がない正規製品WGからなる製品群Gである正規製品群GGを、サンプル製品群SGとして使用する。この正規製品群GGを計量コンベア2で搬送しながら計量し、
図2に示すような秤量信号を取得して記憶部6に記憶する。算出部8は、信号処理部7で処理された記憶部6の前記秤量信号を用いて次のような演算を行なう。
【0037】
算出部8は、計量値の測定タイミングTに相当する秤量信号の時間t1を、時間軸の適当な範囲で可変させ、可変させた各時間tにおいて、部分計量値である計量値M1をそれぞれ算出する。また、総計量値である計量値M2から、部分計量値である計量値M1を減じる演算(M2−M1)を行い、複数の演算結果を算出する。総計量値から部分計量値である計量値M1を減じた計量値(M2−M1)は、後方製品WRの計量値に対応する。
【0038】
本実施形態では、所定の基準値を正規製品WGの標準的な重量とするが、仮に基準値を0gとすれば、計量誤差は計量により得られた重量値と同じ値になる。このように、基準値は、正規製品WGの生産管理基準で定められた標準的な重量値でもよいし、正規製品WGを実際に計量して得られた正規重量値や、複数の正規重量値の平均値でもよい。なお、正規重量値を用いた場合、包装材料の分も風袋として加味された値とすることもできる。
【0039】
そして、算出部8は、部分計量値である計量値M1から、基準値を減ずる演算を、各計量値M1ごとに行う。この演算結果を「計量誤差」(符号Eで示す。)と称する。従って、測定タイミングTに相当する可変させた多数の時間t1ごとに、計量誤差Eが取得される。計量誤差Eは、1個の製品Wを単位とする計量値の基準値に対する差分である。
【0040】
図3は、以上のように正規製品群GGの秤量信号から算出された、部分計量値である計量値M1に係る計量誤差E(縦軸)と、測定タイミングT(横軸)との関係を示すグラフFGである。算出部8が計量誤差Eの演算を行なってグラフFGを取得した場合、そのデータは表示部10に送られて表示される。このグラフFGの縦軸には、物品の個数の過不足を判定する許容範囲を規定する値としての閾値が表示されている。この閾値は、製品群Gにおいて、製品Wについて許容されている重量のばらつきを考慮して設定される。すなわち、製品Wが含む物品Aの重量にはばらつきがあるため、各製品Wの重量は必ずしも同じにはならないが、重量が同じでなくても製品Wが正規品として許容される限度があり、これを考慮して閾値を設定する。この第1実施形態では、仮に製品Wに含まれる物品Aの生産管理基準上の標準重量値が4gであるとした場合、閾値の具体例として、これよりやや重い5g(ここでは簡単のため絶対値として±5gを指すがこれに限らない)を例示した。閾値は操作部11から設定する。
【0041】
図3は、過不足製品群GBの秤量信号から複数のタイミングでの演算で得られたグラフFBと、正規製品群GGの秤量信号から得られたグラフFGと同一座標面上に示したもので、製品群Gのうちのある製品Wに対応する計量誤差Eが、ほぼ同じ測定タイミングT0において谷を形成した例である。このグラフFBが、図示のような形状であるとき、計量誤差EがT0近辺で谷の底となって安定し、又は谷がなければ傾きの緩やかな範囲で安定すれば、そこでの計量誤差EBが把握される。この計量誤差EBを仮に7gとし、ばらつきを考慮して、これよりも若干小さい6gあるいは5gを閾値とし、この閾値よりも計量誤差Eが小さければ、製品群Gにおける製品Wには物品Aが過不足なく収容されていると判定する。
【0042】
すなわち、計量誤差EBが必ずしも物品Aの一個分の重量に相当するかが定かでなくても、実際に過不足が1個ある製品Wに対する秤量信号から計量誤差Eを把握することにより、閾値を決定できるようになり、収容された物品Aの過不足を判定するためには必ずしも製品Wの正確な重量を得る必要がない。
【0043】
一方で、製品Wの正確な重量を得る必要がないという点に関して、過不足のない製品Wを計量したときの計量誤差Eが、必ずしも0g( ±0g) となるかも定かでないことがある。これに対しては、
図3に示すグラフFGが用いられる。つまり、過不足のない製品Wの秤量信号から計量誤差Eを把握し、上記した過不足のある製品Wの計量誤差EBとの関係により、過不足を判定するために信頼性の高い閾値を設定できる。
【0044】
正規製品群GGの秤量信号から得られたグラフFGによって過不足のない正規製品WGについて計量誤差Eが得られれば(先に示した例では最小値の1g)、上述した6gもしくは5gの閾値が1gから7gの間にあって妥当であることが把握できるうえ、さらに正規製品群GGの計量誤差の最小値と、前述した過不足製品群GBの計量誤差EBの中間点(この具体例では4g)を閾値とすることもでき、より過不足の判定が精度よくできる。
【0045】
製品Wについて物品Aの過不足を判定するための閾値が決定されると、この閾値によって過不足を信頼性高く判定できる測定タイミングTの範囲が把握できるようになる。すなわち、過不足のない製品Wの計量誤差Eが閾値未満となり、過不足のある製品Wの計量誤差Eが閾値以上となるような測定タイミングTを設定する。
【0046】
図3に示すグラフFGによれば、計量誤差Eが閾値を下回る測定タイミングTの範囲TG1内で測定タイミングTを個々の製品Wの重量のばらつきが閾値である5g未満になるように定めることができる。例えば、グラフFGにおいて、計量誤差Eが最小値の1gとなる測定タイミングT0を検査時の計量値M1の測定タイミングTとして定めればよいし、
図3に示すグラフFGのように明らかな谷となる測定タイミングT0が設定できない場合であっても、範囲TG1内で計量誤差Eの変動が小さい安定点を測定タイミングTに設定できるようになる。このようにして測定タイミングTを設定すれば、計量値M1と計量値M2を用いた演算で得られる個々の製品Wの重量値の信頼性が担保され、従って製品群Gの各製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足の検査についても信頼性が確保される。
【0047】
計量値M1の好ましい測定タイミングTは、表示部10に表示されたグラフFGを見たユーザーが目視で認識し、操作部11から入力、設定して以後の検査時に有効となるようにしてもよいし、自動的に設定されるようにしてもよい。
【0048】
以上、計量値M1を用いた演算で得られる製品Wの重量値の信頼性を担保する手法として、計量誤差Eと測定タイミングTの関係を示すグラフFGを用いる手法を
図3を参照して説明したが、次に、この手法の変形例を説明する。先に説明した手法では、サンプル製品群SGとして正規製品群GGを用いたが、変形例では、サンプル製品群SGとして過不足製品群GBを用いることにより、過不足製品WBの計量誤差を把握する。過不足製品群GBは、過不足製品WBを少なくとも一つ含む製品群Gである。
【0049】
本変形例によれば、製品Wにおける物品Aの過不足を判定するための閾値(
図3では一具体例として5gとした。)を、製品の生産管理基準としての標準重量値を基準としてではなく、物品Aの入数に過不足のある製品Wの計量値M1に基づいて、より適切な閾値を設定できる。一般的には、物品Aの過不足が1個ある製品Wを判定するためには、物品Aの1個分の重量に基づいて閾値を設定するが、重量そのものを正確に測定することがそもそも困難という前提とし、いかに過不足を精度よく、すなわち過不足製品WBと正規製品WGとを過誤なく判定するかという観点からすれば、必ずしも製品Wに収容された物品A1個分の重量を閾値にすることが適切とは限らない。
【0050】
具体的には、本来20gとなるはずの正規製品WGであっても、前後の製品Wの影響(特に連結されている場合)により、測定結果が20gになるとは限らない。同様に、正規製品WGなら本来20gとなるはずの製品Wの測定において、物品Aが1個4gなので閾値を仮に±4gに設定したとしても、物品Aの過不足がある製品Wを実際に測定した場合に例えば実際に16g又は24gになるか否かは不明であり、計量値を把握しないと適切な閾値かどうかはわからない。
【0051】
さらに、本変形例において、過不足製品WG、正規製品WGともに複数のデータが得られれば、両者について計量誤差Eのばらつきが把握できるので、これに基づいて設定される閾値の信頼性はより向上する。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態の製品検査装置1によれば、製品群Gの秤量信号から、測定タイミングTを可変させて複数の部分計量値を算出し、この部分計量値と所定の基準値との差分として複数の計量誤差Eを算出できる。これら複数の計量誤差Eと測定タイミングTの関係(
図3)に基づいて、計量誤差Eが閾値未満になるような測定タイミングTを決定すれば、実際に製品群Gを計量した場合に、製品Wごとに得られる重量値の信頼性が高くなる。このため、X線検査装置などの高価な設備を用いることなく、製品群の個々の製品が内包する物品の過不足を低コストで精度よく検査できるという効果が確実に得られることとなる。
【0053】
また、そのような好ましい測定タイミングを決定するに際し、計量誤差Eと測定タイミングTの関係を示すグラフを表示部10に表示し、測定タイミングTを視覚的に容易に認識できるようにしているため、測定タイミングTの設定を手動で行なうとしても、その作業は容易になる。
【0054】
次に、第2実施形態を、
図4を参照して説明する。
第2実施形態の製品検査装置の構成は第1実施形態と同一であるが、部分計量値の測定タイミングTの設定方法が第1実施形態とはやや異なるので、相違する部分を中心に説明し、その他の部分については第1実施形態の説明を援用する。
【0055】
第1実施形態のように、正規製品群GGの秤量信号から得た計量誤差Eと測定タイミングTの関係から、部分計量値の測定タイミングTの好ましい範囲を具体的に定めたとしても、物品Aの個数について過不足がある製品Wを含む過不足製品群GBを対象とした場合には、過不足製品群GBの製品Wの計量誤差Eが閾値未満になってしまう場合がありうる。
【0056】
例えば、1個の製品W中に含まれる物品Aの正規入数が少ない場合は、1個や2個の欠品であっても、製品Wの計量値に対する影響が大きいため、算出される計量誤差Eは大きくなるので、正規製品群GGの計量誤差Eと測定タイミングTの関係だけに基づいて、各製品Wの物品Aの個数の過不足を正確に判定することは比較的容易である。
【0057】
しかし、1個の製品Wに含まれる物品Aの正規入数が多い場合には、欠品があったとしても、それが例えば1個や2個といった少数に止まる場合には、製品Wの計量値の減少は小さく、算出される計量誤差は小さくなる傾向にあるため、各製品Wの物品Aの個数の過不足の判断は比較的困難となる。
【0058】
このような場合は、正規製品群GGの計量誤差Eと測定タイミングTの関係(
図3)から好ましい測定タイミングTの範囲を定めたとしても、その測定タイミングTの範囲において、製品Wに含まれる物品Aの位置のばらつきの影響で、過不足製品群GBの秤量信号から得た計量誤差Eが許容範囲内に入ってしまうことがありうる。例えば、物品Aの過不足が2個乃至3個といった程度の大きい過不足のある製品Wでは、物品Aの収容位置が偏る場合があり、計量誤差Eが測定タイミングT0で谷を形成しないことがある。
【0059】
そこで、第2実施形態では、好ましい測定タイミングTを決定した後、さらに、過不足数が異なる過不足製品群GBについても計量誤差Eと測定タイミングTの関係を求め、両方のグラフを表示部10に表示させ、好ましい測定タイミングTの設定について修正を図るものとした。
【0060】
図4は、
図3に示したグラフFGと、グラフFGと同様の計量及び演算に基づき、物品Aの個数が2個過剰である製品Wを含む過不足製品群GBについて取得したグラフFBとを、一つの座標軸上にグラフとして重ねて示した図である。このグラフも表示部10で表示される。
【0061】
図4に示すグラフFG及びグラフFBにおいて、前述した測定タイミングTの範囲TG1から、グラフFBの計量誤差Eが閾値を下回る測定タイミングTの範囲を除去し、修正された好ましい測定タイミングTの範囲TG2とした。
【0062】
図4において、測定タイミングTの範囲TG1内において、グラフFBの計量誤差Eが閾値を越える領域Xでは、過不足製品群GBの計量誤差Eが製品Wに許される重量値のばらつきを越えているので、当該製品Wが不良品であることは検出できる。しかし、グラフFBの計量誤差Eが閾値を下回る領域Yでは、過不足製品群GBの計量誤差Eが製品Wに許される重量値のばらつきよりも小さいために、当該製品Wが良品か不良品かの区別がつかない。このため、測定タイミングTのこの領域Yは、正規製品群GGに基づいて設定した好ましい測定タイミングTの範囲TG1から除外するものとした。
【0063】
第2実施形態では、測定タイミングTは範囲TG2内で設定すればよく、例えばグラフFGにおいて計量誤差Eが最小値の1gとなる測定タイミングT0を検査時の計量値M1の測定タイミングTとして定めればよい。このようにして設定した測定タイミングTによれば、正規製品群GGの製品Wの計量誤差Eが許容範囲内に入るため、良品を良品として判断できるとともに、過不足製品群GBの製品Wについては、正規製品群GGの製品Wと確実に識別することができる。
【0064】
次に、第3実施形態を、
図5を参照して説明する。
第3実施形態の製品検査装置の構成は第1実施形態と同一であるが、対象とする製品群Gの構成が異なるので、計量誤差Eの演算方法について説明し、その他の部分については第1及び第2実施形態の説明を援用する。
【0065】
第3実施形態における製品群Gは、包装材Pに所定個数の物品Aを収容した製品Wを3個含んでおり、3個の製品Wは包装材の一部において連結されている。ここで、特に搬送方向の先方の製品Wを先方製品WFと称し、搬送方向の中間の製品Wを中間製品WMと称し、搬送方向の後方の製品Wを後方製品WRと称する。
【0066】
図5に示す例では、秤3は一つの製品群Gに属する3個の製品W(WF,WM,WR)を計量コンベア2で搬送しながら計量し、
図5に示すような秤量信号を出力する。
図5に示す秤量信号の波形は、秤3が出力する秤量信号の波形そのものではなく、これを信号処理部7のフィルタで整形した状態として示したものである。第3実施形態では、製品群Gは3個の製品W(WF,WM,WR)からなるため、
図5から理解されるように、製品群Gの秤量信号には、先方の1個の製品W(先方製品WF)が計量コンベア2に載り込んだ時(時間t1)に計量された計量値M1と、計量コンベア2に2個の製品W(WF,WM)が載り込んだ時(時間t2)に計量された2個の製品Wの計量値M2と、計量コンベア2に3個の製品W(WF,WM,WR)が載り込んだ時(時間t3)に計量された3個の製品Wの計量値M3が含まれる。
【0067】
なお、
図5のグラフ中には符号では示していないが、秤量信号には、時間t3よりも後の計量値が略一定となる2つの部分で示すように、先方の1個の製品W(先方製品WF)が計量コンベア2から下りた時に計量された後方の2個の製品W(WM,WR)の計量値と、先方の2個の製品W(WF,WM)が計量コンベア2から下りた時に計量された後方の1個の製品W(後方製品WR)の計量値が含まれるので、これらの計量値を利用してもよい。
【0068】
第3実施形態における各製品Wにおける物品Aの個数の過不足の検査方法は第1実施形態と同様である。すなわち、部分計量値である計量値M1,M2と、総計量値である計量値M3から算出した基準値を用いた演算により、先方製品WFと中間製品WMと後方製品WRの重量を算出し、各製品Wに含まれる物品Aの個数を求めて、その過不足を判断する。
【0069】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足を適切に判定するため、秤量信号から部分計量値(計量値M1,M2)を適切に算出するため、部分計量値(計量値M1,M2)の測定タイミングTをそれぞれ適切に設定する必要がある。そこで、3つの製品WF,WM,WRからなる製品群Gを対象とする第3実施形態では、2つの部分計量値の測定タイミングを好ましく決定するため必要な計量誤差Eを、次のような演算式で算出する。
【0070】
先方製品WFに係る計量誤差EF=(M1)−(M3/3)…式(1)
中間製品WMに係る計量誤差EM=(M2−M1)−(M3/3)…式(2)
中間製品WMに係る計量誤差EMを演算するための上記式(2)は、(M2/2)−(M3/3)としてもよい。
【0071】
すなわち、算出部8は、先方製品WFに係る計量誤差EFを算出するために、計量値の測定タイミングTに相当する秤量信号の時間t1を時間軸の適当な範囲で可変させ、各時間において、部分計量値である計量値M1を複数算出する。そして、式(1)に示すように、総計量値である計量値M3を製品Wの個数である3で除して製品W1個の重量値を取得してこれを基準値とし、また部分計量値である計量値M1から前記基準値を減じて先方製品WFに係る計量誤差EFを演算する。そして、算出された計量誤差EFと測定タイミングTの関係を
図3と同様なグラフに表し、部分計量値である計量値M1の算出に最も適した測定タイミングTを設定する。
【0072】
また算出部8は、中間製品WMに係る計量誤差EMを算出するために、計量値の測定タイミングTに相当する秤量信号の時間t2を時間軸の適当な範囲で可変させ、各時間において、部分計量値である計量値M2を複数算出する。そして、式(2)に示すように、総計量値である計量値M3を製品Wの個数である3で除して製品W1個の重量値を取得してこれを基準値とし、また部分計量値である計量値M2から部分計量値である計量値M1を減じて中間製品WMの重量値を取得し、この中間製品WMの重量値から前記基準値を減じることによって中間製品WMに係る計量誤差EFを演算する。そして、算出された計量誤差EFと測定タイミングTの関係を
図3と同様なグラフに表し、部分計量値である計量値M1の算出に最も適した測定タイミングTを設定する。
【0073】
以上説明したように、第3実施形態の製品検査装置1によれば、第1実施形態と同様、製品群Gを計量した場合に、製品Wごとに得られる重量値の信頼性が高くなるので、X線検査装置などの高価な設備を用いることなく、製品群の個々の製品が内包する物品の過不足を低コストで精度よく検査できるという効果が確実に得られることとなる。なお、第3実施形態においても、予め過不足製品群GBの製品Wを用いて測定タイミングTの適正範囲の修正を行なってもよい。また、基準値は、第1実施形態と同様正規製品WGの生産管理基準で定められた標準的な重量値等を用いてもよい。
【0074】
次に、第4実施形態を説明する。
第4実施形態の製品検査装置1の構成は第1実施形態と同一であるが、対象とする製品群Gは、製品Wの数を一般化してn個としている。そして、製品検査装置1は、このような製品群Gを計量コンベア2で搬送しながら秤3で計量し、得られた秤量信号を記憶部6に記憶する。そして算出部8は、この秤量信号において、1〜(n−1)個目の各製品Wが計量コンベア2に載り込んだ後の各部分計量値の測定ごとに、当該部分計量値の測定タイミングTを可変させ、次の式に従って各部分計量値ごとに複数の計量誤差Eを演算する。
【0075】
製品Wの数がn個である製品群Gに関する計量誤差Eの演算方法は、次のような符合及び表記要領に従って説明する。
[個数]
製品Wの総個数:n
製品Wの個数:m(<n)
[計量値]
製品群Gの1個目の製品Wの計量値(部分計量値):M1
製品群Gの2個目までの製品Wの計量値(部分計量値):M2
製品群Gのm個目までの製品Wの計量値(部分計量値):Mm
製品群Gの全体の計量値(総計量値):Mn
[計量誤差]
1個目の製品Wに係る計量誤差:E1
2個目の製品Wに係る計量誤差:E2
m個目の製品Wに係る計量誤差:Em
【0076】
以上のような符合及び表記要領に従えば、1〜m個目の各製品がそれぞれ計量コンベア2に載り込んだ際の測定タイミングTで算出される各計量誤差Eは、次の演算式で表される。
計量誤差E1=M1−(Mn/n)
計量誤差E2=(M2−M1)−(Mn/n)
…
計量誤差Em=(Mm−M(m−1))−(Mn/n)
…
上記演算式の第1項は、一部の製品の重量値を、部分計量値又は部分計量値に基づく演算で表した項である。すなわち、m個目の製品Wの計量誤差Emは、m個目までの製品Wの計量値から(m−1)個目までの製品Wの計量値を減じたものである。また、上記演算式の第2項は、所定の基準値として、総計量値Mnと総個数nの除算で得られた製品の重量値の平均値を示す項である。
【0077】
算出部8は、1〜(n−1)個目の各製品Wが計量コンベア2に載り込んだ後の各部分計量値の測定ごとに、測定タイミングTを可変させて複数の計量誤差Eを算出し、各部分計量値の測定タイミングTごとに、
図2又は
図5に示したようなグラフを取得することができる。従って、このような複数の計量誤差Eと測定タイミングTの関係に基づいて、計量誤差Eが閾値未満になるような測定タイミングTを決定すれば、実際に製品群Gを計量した場合に、第1実施形態と同様、製品Wごとに得られる重量値の信頼性が高くなる。このため、X線検査装置などの高価な設備を用いることなく、製品群の個々の製品が内包する物品の過不足を低コストで精度よく検査できるという効果が確実に得られることとなる。
【0078】
このように、第4実施形態によれば、製品群Gを構成する製品Wの数を一般化して
nとした場合にあっても、部分計量値から得た製品Wの1個あたりの計量値と、部分外計量値から得た製品Wの1個あたりの計量値から、簡易な演算によってm(<n)個目の製品Wに係る計量誤差を安定して算出することができる。
【0079】
以上説明した各実施形態では、対象となる製品群Gは、複数の製品Wが包装材Pの一部で連結された所謂連包品であったが、複数の製品Wからなる製品Wの組が、複数組連続して群を構成するような製品群であっても本発明の対象となりうる。