【解決手段】部品本体51及びこの部品本体51に取り付けられた複数の端子511〜518を有する電子部品5を撮像した撮像データから、電子部品5の状態を評価する電子部品評価方法を、複数の端子511〜518の少なくとも一つについて、この端子の複数の基準点Pm1〜Pm32の位置情報及び第一高さ情報の少なくとも一方を含む基準点情報を取得する基準点情報取得工程(ステップS501)と、複数の基準点情報に基づいて、電子部品5の形状に係る状態を判定する状態判定工程(ステップS502)と、を含むように構成する。
前記状態判定工程は、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記第一高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした第二高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程と、を含み、前記有効平面を基準にする複数の前記端子でなる端子群の平坦度を検出する、請求項1に記載の電子部品評価方法。
前記仮想平面作成工程は、前記電子部品が前記端子を二つ有する場合には一つの前記端子上にある二つの前記選択点を通る仮想平面を作成し、四つ以上の前記端子を有する場合には一つの前記端子上にある複数の前記選択点を通る仮想平面を作成しない、請求項2に記載の電子部品評価方法。
前記基準点情報取得工程は、n個の前記基準点を有するm個の前記端子について、異なる前記端子の前記基準点情報を予め設定された順番で取得する処理をn回繰り返し、取得の順番と、得られた前記基準点情報とを対応つけて、前記順番をmで除算した場合の余りが等しい前記端子及び前記順番が当該余りに一致する前記基準点情報を同一のグループとする、請求項1から4のいずれか一つに記載の電子部品評価方法。
前記端子が前記電子部品の実装面に沿う平面部を有し、前記基準点が前記平面部の上に複数配置され、前記状態判定工程は、前記端子の傾きの大きさ及び方向を判定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品評価方法。
前記撮像が複数の前記電子部品に対して順次連続して行われ、前記状態判定部は、先に撮像される第一電子部品の撮像終了から後に撮像される第二電子部品の撮像開始までの時間の少なくとも一部の間に前記第一電子部品の形状に係る状態を判定する、請求項7に記載の電子部品評価装置。
部品本体及び当該部品本体に取り付けられた複数の端子を有する電子部品を撮像した撮像データから、前記電子部品の状態を評価する電子部品評価装置において実行される電子部品評価プログラムであって、
コンピュータに、
複数の前記端子の少なくとも一つについて、当該端子の複数の基準点の位置情報及び第一高さ情報の少なくとも一方を含む基準点情報を取得する基準点情報取得機能と、
複数の前記基準点情報に基づいて、前記電子部品の形状に係る状態を判定する状態判定機能と、を実現させる、電子部品評価プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[概略]
先ず、本発明の実施形態の説明に先立って、その概略について説明する。本実施形態の電子部品評価方法は、部品本体及びこの本体に取り付けられた複数の端子を有する電子部品を撮像した撮像データから、電子部品の状態を評価することに適用される。
上記の電子部品は、部品本体と端子とを有している。部品本体は、コイル部品や半導体素子といった電気部品を封入した樹脂製のパッケージで、端子はパッケージ内の部品等と電気的、機械的に接続される金属製の部材である。本発明の電子部品評価方法等は、実装基板に搭載される前の電子部品を評価対象とする。
【0012】
電子部品の撮像データは、電子部品の外観を一方向から撮像した二次元のデータと、上面視における高さ方向から撮像して得た高さのデータの少なくとも一方を含む。撮像により測定された高さを、本実施形態では「第一高さ」と記す。基準点情報は、端子上の点を撮像して得た二次元のデータから得られる位置の情報、及び第一高さの情報の少なくとも一方である。
本実施形態は、このような基準点を複数の端子の各々について複数設定する。例えば、8つの端子を持つ電子部品に対して一つの端子に4つの基準点を設定した場合、一つの電子部品の基準点は合計32個になる。
複数の基準点情報に基づいて端子の形状に係る状態を判定するとは、例えば一つの端子の複数の基準点情報、または上記の32個の基準点情報を用い、端子の個々の形状や複数の端子(端子群)の状態を判定することをいう。
【0013】
以下、本発明の第一実施形態、第二実施形態の電子部品評価方法、電子部品評価装置及び電子部品評価プログラムについて図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、本実施形態の図面は、いずれも本発明の構成や機構及び動作を説明するための模式的な図であり、その寸法形状や縦横比等を正確に示すものとは限らない。
電子部品の形状に係る状態とは、部品本体、端子及び両者の形状や位置関係によって決まる電子部品の一部または全体の状態を指す。このような状態は、例えば、実装後の電子部品の傾きの角度や方向であってもよいし、端子の実装面からの浮きの有無や、浮きの程度であってもよい。
【0014】
[第一実施形態]
図1(a)は、第一実施形態の電子部品評価方法等によって評価される電子部品5を例示した斜視図である。
図1(b)は、
図1(a)に示した電子部品5を上方から撮像した画像を例示する図である。本実施形態においては、
図1に示したx,y,z座標軸のz方向を「上」と記し、z軸のz方向と反対の図示しない−z方向を「下」と記す。ただし、このような上下方向は、電子部品5が基板に実装されて使用される際の上下方向と反対になる。すなわち電子部品5の底面側に設けられた実装面の側を本実施形態では上側と記す。
図1(a)に示したように、電子部品5は、部品本体51と、複数(8個)の端子511から端子518を有している。このような電子部品5の端子511〜518は、リードを部品本体51の側(内側)にJ字形に曲げて構成される、SOJ(Small Outline J-leaded)と呼ばれるものである。また、端子511〜518の各々について、z方向に向かう面(上面)上にある点のうち、例えば所定の位置にある4つの点を基準点Pmとする。
【0015】
端子511〜518は、例えば、鉄及びニッケルの合金を材料としてプレス加工によって形成される。ただし、第一実施形態は、SOJの端子を有する電子部品に適用されることに限定されず、主に面実装式の電子部品の端子の評価に好適である。他の端子としては、例えば、実装基板に半田付されて実装されるリードフレームがある。また、端子には、用途や精度に応じて適宜金やニッケル合金及びはんだ等によりメッキ処理がなされている。また、リードフレームは、リン青銅をプレス加工により打ち抜き、鈴メッキを施したものであってもよい。
【0016】
さらに、電子部品5の部品本体51は、図示しないコイル部品や半導体素子等をひとまとめにして封止した電子部品である。封止材には、例えば熱硬化型の液体樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては例えばエポキシ樹脂が使用され、充填材としては例えばシリカフィラーが使用される。ただし、封止材はこのような材料に限定されるものでなく、部品等や端子材料との高密着性、低イオン不純物性、低応力性、高耐熱性及び成形の容易性等を考慮して適切な材料が選択される。
【0017】
図1(b)に示した画像は、
図3、
図4に示す三次元画像が撮像可能なカメラ(以下、「3Dカメラ」と記す)によって撮像された画像である。3Dカメラは、例えば撮像センサから部品本体51の上面までの最短距離(距離h)を測定する。画像は、測定された高さである第一高さに応じて異なる色によって表される。
図1(b)では、色の相違を密度の異なる網掛けによって表している。また、画像は、電子部品評価装置のディスプレイ画面等を介して電子部品評価を行う作業者に提供される。作業者は、画像を見て電子部品5の各基準点の凡その第一高さを直感的に理解することが可能である。
【0018】
図2(a)、
図2(b)は、電子部品5上に設定された複数の基準点を説明するための図である。
図2(a)は電子部品5の全体を示す図であって、
図2(b)は
図2(a)のうちの端子518を拡大して示す図である。
図2(a)においては、端子511〜518の各基準点を明確に示すために部品本体51を破線で示している。第一実施形態では、端子511〜518の各々に4つの基準点を定め、電子部品5には合計32個の基準点Pm1〜Pm32が設定されている。基準点は、いずれも各端子の上面視における四つの辺の交点(以下、「エッジ部分」と記す)よりわずかに各端子の中央部分に近い位置にある。この理由は、エッジ部分は撮像データにおいてぼやける傾向にあり、位置決めすることに適切でないためであり、エッジ部分と基準点Pm1〜Pm32の各々との距離は、3Dカメラによって撮像される二次元の画像の3画素から10画素分程度が好ましい。
【0019】
第一実施形態では、
図2(b)に示すように、端子が部品本体に沿って折り曲げられる折り曲げ部E及び電子部品5の実装面に沿う平面部を有している。ここで、実装面は、電子部品5が実装される際に基板に向かう面である。第一実施形態は、基準点情報取得工程に先立って電子部品5の表面全体を三次元撮像(
図1(b))し、少なくとも折り曲げ部Eと平面部との高さの差を識別表示する全体画像を生成する予備工程をさらに含んでいる。予備工程においては、折り曲げ部Eと平面部Cとの境界よりも平面部Cの内側から基準点Pm2、Pm10、Pm18、Pm26が選択される、
【0020】
ここで、識別表示は、
図1(b)のように撮像画像が測定された第一高さに応じて異なる色によって表されることを示している。第一実施では、例えば画像処理によって端子518の折り曲げ部Eではない平面部Cを判定し、この範囲に基準点Pm2、Pm10、Pm18、Pm26を設定するようにする。このような処理によれば、折り曲げられている部分の曲面に照射された光の反射光が散乱し、画像においてぼやける部分が基準点に設定されることを回避することができる。
なお、上記した平面部Cは、凹凸や傾きのない面を指すものでなく、折り曲げ部Eのような曲面でないことを指している。
【0021】
なお、このような画像処理は、例えば、折り曲げ部Eよりも高さが高い平面部Cであると判定される色が出現する範囲を選択する処理であってもよいし、予め定められた色が予め設定された面積より大きい範囲を選択する処理であってもよい。ただし、第一実施形態は、平面部Cの選択を画像処理によらず、作業者が手動で行うものであってもよい。
【0022】
端子511には、基準点Pm1、Pm9、Pm17、Pm25の四つが設定されている。同様に、端子518には基準点Pm2、Pm10、Pm18、Pm26、端子517には基準点Pm3、Pm11、Pm19、Pm27、端子516には基準点Pm4、Pm12、Pm20、Pm28、端子515には基準点Pm5、Pm13、Pm21、Pm29、端子514には基準点Pm6、Pm14、Pm22、Pm30、端子513には基準点Pm7、Pm15、Pm23、Pm31、端子512には基準点Pm8、Pm16、Pm24、Pm32が各々設定されている。「Pm」に続く数字は複数の基準点を測定する順番を示していて、
図2に示すように、第一実施形態では異なる端子の基準点が連続して測定されるように構成されている。また、端子511から端子518まで基準点を一個ずつ測定することを以降「一巡する」とも記す。
ただし、本明細書において、基準点を区別する必要がない場合、基準点を単に基準点Pmとも記す。
【0023】
(電子部品評価装置、電子部品評価方法)
図3は、第一実施形態の電子部品評価方法を説明するためのフローチャートである。
図3に示す処理は、第一実施形態において実行される電子部品評価プログラムによって実行される。この電子部品評価プログラムは、コンピュータに、複数の端子の少なくとも一つについて、この端子の複数の基準点の位置情報及び第一高さ情報の少なくとも一方を含む基準点情報を取得する基準点情報取得機能と、複数の基準点情報に基づいて、端子の形状に係る状態を判定する状態判定機能と、を実現させるものである。基準点情報取得機能及び状態判定機能は、いずれもコンピュータを有する電子部品評価装置のハードウェア上で動作するプログラムである。
【0024】
図3に示す電子部品形状評価方法は、端子511〜518の少なくとも一つについて、この端子511〜518の複数の基準点Pm1〜Pm32の基準点情報を取得する基準点情報取得工程(ステップS501)と、複数の基準点情報に基づいて、端子の形状に係る状態を判定する状態判定工程(ステップS502)と、を含んでいる。さらに、第一実施形態では、ステップS502で判定された結果を予め設定されている仕様の条件に照らし合わせて電子部品5が良品であるか、不良品であるかを判定する(ステップS503)。さらに、第一実施形態では、良品、不良品の結果を出力し、作業者に向けて表示する(ステップS504)。
以上の処理を、この処理を実行する電子部品評価装置の構成と共に具体的に説明する。
【0025】
図4は、第一実施形態の電子部品評価装置7を含む電子部品評価システム6を説明するためのブロック図であって、電子部品評価システム6のうち、3Dカメラ2を含む機械的な構成を示している。
図4に示すように、電子部品評価システム6は、3Dカメラ2と、出力装置4と、電子部品評価装置7と、によって構成されている。電子部品評価装置7は、部品本体51及び部品本体51に取り付けられた複数の端子511〜518を有する電子部品を撮像した撮像データから、電子部品5の状態を評価するものである。電子部品評価装置7は、端子511〜518の少なくとも一つについて、この端子の複数の基準点Pm1〜Pm32の基準点情報を取得し、複数の基準点情報に基づいて、端子511〜518の形状に係る状態を判定する状態判定部45を備えている。
【0026】
図4に示す構成では、基準点情報を取得する基準点情報取得部44を備え、撮像データから基準点情報を取得している。ただし、電子部品評価装置7は、基準点情報を取得する構成を備えるものに限定されず、他の機器で生成された基準点情報を入力するものであってもよい。また、第一実施形態の電子部品評価装置7は、状態判定部45の判定の結果を予め定められている仕様と比較して、この電子部品5が出荷可能な良品(ОK)か、あるいは出荷できない不良品(NG)かを判定する良・不良判定部36を備えている。
【0027】
電子部品評価装置7は、上記の状態判定部45及び良・不良判定部36の機能全般を制御するCPUと、CPUの制御に使用されるデータやプログラムを記憶する、あるいはCPUのワークメモリとして使用されるメモリ装置等のハードウェア装置と、ハードウェア装置を動作させるソフトウェアと、を有している。ハードウェア装置は、電子部品評価装置7の機能に専用のものであってもよいし、汎用的なパーソナルコンピュータ(Personal Computer)を構成するものであってもよい。
以下、
図4に示す各構成を順に説明する。
【0028】
(3Dカメラ)
図5に示すように、3Dカメラ2は、基台62と天板61とを有するテーブル上に置かれた電子部品5を天板61の上方から撮像する。天板61の高さは昇降ネジ63によって変更可能である。このため、3Dカメラ2は、電子部品5の高さによらず電子部品5の基準点に焦点を合わせることが可能になる。
【0029】
電子部品5は、下面51bが天板61に接するように置かれ、上面51aが3Dカメラ2の側に向かっている。3Dカメラ2は、電子部品5に対して斜めに縞状のライン光を投光する光源25、投光されたライン光を上面51a上に集光する投光レンズユニット26、上面51a上で反射されたライン光を集光し、ハーフミラー23に導く集光レンズユニット24、ハーフミラー23に導かれた光により結像するCMOSセンサ21a、21b及びハーフミラー23とCMOSセンサ21a、21bとの間で光を平行光にする結像レンズ22a、22bを備えている。3Dカメラ2が二つのCMOSセンサ21a、21bを備えるのは、一方で電子部品5全体が撮像できる低倍率の画像を生成し、他方で電子部品5の部分が観察できる高倍率の画像を生成するためである。第一実施形態では、CMOSセンサ21aの側で高倍率画像を撮像するものとする。
また、このようなシステムは、3Dカメラ2を二つ備えて二方向から電子部品5を撮像し、画像において影になる部分が生じないようにしてもよい。
【0030】
上記構成により、CMOSセンサ21a、21b上で結像された画像は、撮像データとして電子部品評価装置7の入力部35に出力される。ただし、第一実施形態の3Dカメラ2は、このように画像データを出力する構成に限定されるものではない。例えば、3Dカメラ2は、撮像データ中の基準点の座標を求める図示しない測距部を備え、測距部によって測定された位置情報を電子部品評価装置7に出力するものであってもよい。
【0031】
また、第一実施形態は、TOF(Time Of Flight)方式によって3Dカメラ2から端子511〜518までの距離を測定するものとする。このような3Dカメラ2においては、図示しない測距部が、光源25が電子部品5にライン光を投光してからその反射光がCMOSセンサ21a、21bに撮像(受光)されるまでの時間を所定の数の画素ごとに検出する。第一実施形態では、3Dカメラ2は縞状にライン光を投光し、各ライン光に対応する時間をライン光に対応付けて記録するものとする。
【0032】
検出された時間は、入力部35を介して状態判定部45に入力されている。ただし、第一実施形態は、ライン光の投光から反射光の受光までの時間を電子部品評価装置7に入力する構成に限定されず、図示しない測距部が時間を距離に変換し、電子部品評価装置7に出力するようにしてもよい。
なお、TOF方式では、ライン光を高速のパルス光とし、投射光に対する反射光の位相遅れを計測するようにしてもよい。ただし、第一実施形態は、TOF方式を使って高さ情報を得ることに限定されず、撮像データから高さを得るものであれば、三角測距方式等の他の方法によって高さ情報を求めるものであってもよい。
【0033】
(入力部)
3Dカメラ2から撮像データを直接入力する場合、入力部35は、データの入力インターフェースとして機能する。ただし、第一実施形態は、電子部品評価装置3に3Dカメラ2を接続してリアルタイムで撮像データを入力するものに限定されるものではない。例えば、3Dカメラ2によって生成された撮像データを記録媒体に保存し、後に入力部35から電子部品評価装置7に入力して処理するものであってもよい。また、第一実施形態は、3Dカメラ2と電子部品評価装置7とを離れた場所に設置し、3Dカメラ2によって生成された撮像データを、ネットワーク回線等を通じて電子部品評価装置7に送信するものであってもよい。このよう構成にあっては、電子部品評価装置7に設けられた受信装置が入力部35として機能する。
【0034】
(基準点情報取得部)
基準点情報取得部44は、
図3に示すステップS501の処理を実行する。基準点情報の取得にあたり、基準点情報取得部44は、例えば、撮像データから端子511〜518の基準点Pm1〜Pm32を検出する。基準点Pm1〜Pm32の検出は、例えば、端子511〜518のエッジ部分を検出し、検出されたエッジ部分を撮影した画素から予め定められた距離及び方向に移動した位置にある画素によって撮像された点が基準点Pm1〜Pm32であると判断するようにしてもよい。そして、基準点情報取得部44は、例えば、エッジ部分を撮像した画素の既知の座標から基準点Pm1〜Pm32を撮像した画素の方向及び距離により基準点Pm1〜Pm32の座標を算出するようにしてもよい。
また、基準点情報取得部44は、縞状のライン光のうち、基準点Pm1〜Pm32に投光されたライン光の投光から受光までの時間差によって生じる位相差を算出して電子部品5の表面からCMOSセンサまでの距離hを算出する。算出された高さが第一高さとなる。
【0035】
(状態判定部)
状態判定部45は、
図3に示すステップS502の処理を実行する。
図2(a)に示すように、第一実施形態の端子511等は、いずれも電子部品5の実装面に沿う平面部を有し、基準点Pmが平面部の上に複数配置されている。第一実施形態では、状態判定部45が端子511等の傾きの大きさ及び方向を判定する例を挙げて説明する。
状態判定部45は、上記のようにして取得した基準点Pmの座標及び第一高さから各測定点の傾き(高低差)の大きさを取得することができる。さらに、面状の端子511等の上に二次元の広がりを持って基準点が配置されているので、面内において傾きの方向が複数ある場合、この方向を識別、評価することも可能である。第一実施形態の状態判定部45は、基準点Pmの座標から電子部品5が置かれた天板61の面方向の傾きを算出し、また、基準点Pmの第一高さにより端子511〜518の面方向と直交する方向の傾きを算出する。
【0036】
図6(a)、
図6(b)は、端子511の傾きを例示する図である。
図6(a)は、端子511を
図4に示す上面51aから撮像した画像を示す図である。
図6(b)は、
図6(a)に示す端子511を側方から見た状態を示す図である。状態判定部45は、
図6(a)の画像から基準点Pm1、Pm9、Pm17、Pm25(
図6(a)においては一部不図示)の二次元座標を取得する。各基準点の座標により、状態判定部45は、端子511の天板61の面と直交する軸を中心に回転する方向の傾きθ1を算出する。また、状態判定部45は、基準点Pm1、Pm9、Pm17、Pm25の第一高さ情報を取得し、この面と直交する方向の傾きθ2を算出する。このような第一実施形態によれば、端子511を
図6(a)に示す上面51aの側の一方向から撮像することによって、平面方向の傾きθ1ばかりでなく、
図6(b)に示す平面方向に直交する方向の傾きθ2を算出することができる。
【0037】
電子部品評価装置7においては、3Dカメラ2による撮像が複数の電子部品に対して順次連続して行われ、状態判定部45は、先に撮像される第一の電子部品5(以下、「先行部品」と記す)の撮像終了から後に撮像される第二の電子部品5(以下、「後続部品」と記す)の撮像開始までの時間の少なくとも一部の間に先行部品の端子の状態を判定する。なお、先行部品は、撮像の終了後に天板61の3Dカメラ2の撮像位置から移動して、代わりに後続部品が撮像位置に移動する。先行部品及び後続部品の移動は、作業者が手動で行うものであってもよいし、ロボットアーム等で自動的に行ってもよい。また、先行部品及び後続部品の移動は、天板61を一方向に移動するように構成し、先行部品と後続部品とを移動方向に並べておくことによって行ってもよい。さらに、第一実施形態では、基準点情報取得部44による基準点情報の取得も先行部品と後続部品との交換の時間に行ってもよい。
【0038】
このようにすれば、先行部品の撮像終了後に状態判定部45が先行部品の端子の状態を判定する処理を実行し、この間を後続部品の撮像位置へのセットや撮像の時間に充てることができる。つまり、第一実施形態によれば、先発部品の処理にかかる時間と後続部品の処理にかかる時間を一部重複させて、連続する複数の電子部品5の全体の撮像及び状態評価処理時間を短縮することができる。
さらに、第一実施形態は、3Dカメラ2の画角を一度に複数の電子部品5を撮像可能に設定することができる。このようにすれば、一回の撮像で二つの電子部品5の撮像データを取得することができて、いっそうの処理の短時間化を図ることができる。なお、電子部品5の撮像の処理時間は、状態判定部45の状態判定処理よりも十分長い。このため、一回の撮像の処理時間に二つの電子部品5の状態を判定することは十分可能である。
【0039】
また、第一実施形態は、以上説明したように、SOJの端子を有する電子部品に適用されることに限定されず、例えば、リードフレームの端子を有する電子部品にも適用することができる。
図7(a)は、リードフレーム521において複数の基準点Pm41、Pm42、Pm43を設定した状態を説明するための図である。
図7(a)に示す例では、リードフレーム521に半田Sが付けられていて、画像においては半田Sの縁部に基準点Pm41〜Pm43が設定されている。このような画像は、リードフレーム521を有する電子部品8を上面81aの側から電子部品5と同様に撮像することによって撮像することができる(
図4)。
【0040】
また、電子部品8をリードフレーム521に半田Sを塗布してから上面81aの側から撮像すると、撮像されるリードフレーム521の表面には半田Sがあって、基準点Pm41、Pm42、Pm43が設定される。
ただし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものではなく、半田Sを塗布する以前に電子部品8のリードフレーム521を撮影し、リードフレーム521上に基準点Pm41〜Pm43を設定するものであってもよい。
【0041】
図7(b)は、リードフレームを使った電子部品の良品、不良の判定を説明するための図である。
図7(b)に示す電子部品8は、部品本体81と、複数のリードフレームと、を有している。
図7(b)においてはリードフレーム521、522が示されているが、電子部品8にはより多数のリードフレームが紙面奥の側に向かって形成されている。
電子部品の端子の状態に要求される条件は様々であり、例えば、
図7(b)のように、リードフレーム521が基端部521bから先端部521aに向かって高くなるように傾くか、リードフレーム522が基端部522bから先端部522aに向かって低くなるように傾くかを判定することができる。
【0042】
例えば、良、不良の判定において、リードフレーム521のように先端部521aが実装基板から浮く方向に傾くリードフレームがある場合にこれをNGとする仕様では、電子部品8は不良品と判定される。また、リードフレーム522のように先端部522aが下方に傾くリードフレームがある場合にこれをNGとする仕様では、電子部品8は不良品と判定される。さらに、リードフレームの傾き方向によらず、その傾く角度の大きさにより電子部品8の良、不良を判定する場合、状態判定部45は、判定されたリードフレーム521、リードフレーム522の傾く角度に応じて電子部品8の良、不良を判定する。
【0043】
良・不良判定部36は、予め定められている電子部品5の良、不良の基準の判定データを取得している。判定データの取得は、例えばネットワーク回線を通じて行うものであってもよいし、判定データが保存されている記録媒体を電子部品評価装置7に接続して行うものであってもよい。判定データは、電子部品5の種類や製品種別によって入れ替え可能であり、良・不良判定部36は、多様な電子部品5に対応することができる。
【0044】
以上説明したように、第一実施形態は、複数の端子の少なくとも一つについて、この端子の複数の基準点を定めている。そして、この基準点の位置及び第一高さの情報から端子の形状に係る状態を判定しているので、一度の撮影で端子の複数の方向について端子の傾きを検出し、簡易かつ高精度に各端子の形状を判定することができる。
なお、第一実施形態は、一つの端子の傾きの状態を判定する例を挙げて説明したが、第一実施形態は、このような構成に限定されるものではない。例えば、第一実施形態は、複数の端子の形状を検出し、この電子部品が傾きながらも端子と実装基板との十分な電気伝導を得られるか否か(良品であるか否か)を判定するようにしてもよい。このようにすれば、第一実施形態は、一つの端子の形状ばかりでなく、複数の端子の形状によって決まる端子の浮きや電気的導通の状態を評価することができる。
【0045】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態は、第一実施形態が端子511〜518の個々の形状を判定しているのに対し、複数の端子511〜518の形状によって決まる端子の浮きや実装面に対する電子部品5の傾きといった状態を判定する点で相違する。第二実施形態では、電子部品評価装置3が電子部品5の傾き(平坦度)を評価する例を挙げて説明する。
【0046】
なお、ここで「平坦度」とは、電子部品5を水平な面においたときに電子部品5が水平方向の軸を中心として回動する度合いを指している。電子部品5が置かれた面に対して上記回動する場合、電子部品5は傾きの異なる複数の仮想的な面に対して接地可能になる。第一実施形態は、複数の仮想的な平面の各々に対する電子部品5の平坦度を検出するため、いずれの平面に対する電子部品5の平坦度をも保障することができる。
【0047】
(電子部品評価方法)
図8は、第二実施形態の電子部品評価装置3を使って行われる電子部品評価方法を説明するためのフローチャートである。
図9は、
図8に示す処理を実行する電子部品評価装置3を説明するための機能ブロック図であって、電子部品評価装置3に3Dカメラ2及び出力装置4を組み合わせた電子部品評価システム1を示している。
第二実施形態の電子部品評価方法は、状態判定工程が、複数の基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の位置情報及び第一高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程(ステップS605)と、選択点を除く基準点の仮想平面を基準にした第二高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程(ステップS607)と、を含んでいる。そして、第二実施形態では、有効平面を基準にして複数の端子でなる端子群の平坦度を検出する。
【0048】
ここで、端子群は、端子511〜518のうちの複数をいい、端子511〜518の全てでなくてもよい。端子群の平坦度は、端子群に含まれる複数の端子と有効平面との距離によって表される。後述するように、端子群に含まれる複数の端子の間で有効平面との距離のばらつきが大きいほど電子部品5の「ガタツキ」が大きくなる。
【0049】
上記処理を実行する電子部品評価装置3は、
図9に示すように、入力部35、基準点情報取得部44、プレ処理部37、仮想平面作成部32、仮想平面判定部33、平坦度検出部34、良・不良判定部36を備えている。プレ処理部37は、仮想三角形作成部38及び仮想三角形判定部39を備えている。入力部35及び基準点情報取得部44は、
図8に示すステップS601を実行する。プレ処理部37及び仮想平面作成部32は、ステップS605を実行する。仮想平面判定部33は、ステップS607を実行する。平坦度検出部34は、ステップS607で判定された有効平面を基準にして端子の平坦度を検出する。
以下、このような構成について、具体的に説明する。
【0050】
(基準点情報取得部)
第二実施形態では、基準点情報取得部44が、基準点情報を取得する工程を実行する(ステップS601)。ステップS601においては、32(n)個の基準点を有する8(m)個の端子511〜518について、異なる端子の基準点を予め設定された順番で測定する処理を8回繰り返す。第二実施形態では、端子511〜518に対して端子511、518、517、516、515、514、513、512の順番で基準点情報を取得する。このとき、第二実施形態では、各端子の4つの基準点のうち、対応する基準点の基準点情報を取得し、一巡すると再度他の基準点について端子511、518、517、516、515、514、513、512の順番で基準点情報を取得する。
具体的には、基準点情報取得部44は、一巡目で基準点Pm1からpm8の基準点情報を取得する。次に、基準点情報取得部44は、二巡目で基準点Pm9からPm16の基準点情報を取得し、三巡目で基準点Pm17からPm24の基準点情報を取得し、四巡目で基準点Pm25からPm32の基準点情報を取得する。
【0051】
次に、基準点情報取得部44は、基準点報取得の順番と、得られた基準点情報とを対応つけて、この順番を8で除算した場合の余りが等しい端子及び順番がこの余りに一致する基準点情報を同一のグループとする。
すなわち、第二実施形態では、基準点Pの後に続く1、2、・・・32の数字が基準情報取得の順番を示し、この順番を8で除算する処理を実行する。この結果、端子511の基準点Pm9、Pm17、Pm25の順番を8で除算すると余りはいずれも1となり、8以下の順番も1である。基準点情報取得部44は、このような基準点情報を対応する基準点Pm1、Pm9、Pm17、Pm25に対応つけて記憶すると共に、基準点Pm1、Pm9、Pm17、Pm25を一つのグループにする。このような処理によれば、同一の端子にある基準点の基準点情報をグループ化する処理を自動的、かつ簡易に行うことが可能になる。なお、この処理は、後に実行する仮想三角形の作成処理の負荷を軽減するものである。
【0052】
(プレ処理部)
プレ処理部37は、仮想三角形作成部38及び仮想三角形判定部39を有している。仮想三角形作成部38は、32個の基準点から三つの基準点を選択する。そして、選択された三つの基準点の基準位置情報を取得する。さらに、仮想三角形作成部38は、各基準点を頂点にする三角形を作成する。このような処理によれば、
32C
3通りの仮想三角形を作成することになる。
【0053】
上記処理量を軽減するため、第二実施形態では、仮想平面作成工程において、電子部品5が四つ以上の端子を有する場合には一つの端子上にある複数の選択点を通る仮想平面を作成しないように処理している。同一の端子の基準点のうちの複数を選択して作成された三角形は、後述する仮想三角形の判定で仮想平面の作成の対象外であると判定されるとみなすためである。第二実施形態では、仮想三角形の作成に先立って処理対象となる基準点の数を減じておき、プレ処理部37の処理量を少なくしている。ただし、第二実施形態は、電子部品5が二つの端子を有する場合には、一つの端子上にある二つの選択点を通る仮想平面を作成するようにしてもよい。
【0054】
次に、第二実施形態の仮想三角形作成部38は、選択された三つの各基準点Pmを頂点にして三角形(仮想三角形)を作成する。仮想三角形は、
図5において、上面51aよりもCMOSセンサ21aの側(以下、上方とも記す)にある面となる。
仮想三角形作成部38は、三つの選択点の組み合わせを変更しながら全ての組み合わせについて仮想三角形を作成する。
【0055】
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)は、プレ処理部37によって行われるプレ処理を具体的に説明するための図である。プレ処理では、仮想三角形判定部39が、電子部品5において、入力部35及び基準点情報取得部44によって取得された基準点情報により規定される規定点と、部品の設計上規定される設計点との距離により仮想三角形が無効である(無効三角形)であるか有効(有効三角形)であるかを判定する。第二実施形態では、電子部品5の規定点を、三つの端子それぞれの基準点Pmを頂点とする仮想三角形tの重心点o2としている。また、設計点を電子部品5の重心点o1とする。そして、仮想三角形判定部39は、仮想三角形tの重心点o2と重心点o1との距離が予め設定されている閾値以下である場合、仮想三角形tが有効三角形であると判定する。
【0056】
図10(a)は、端子512、513、518の基準点Pmを頂点とする仮想三角形tと重心点o1とを示している。
図10(a)に示した例では、重心点o1と仮想三角形tの重心点o2とが閾値よりも離れている。このため、仮想三角形判定部39は、端子512、513、518の基準点Pmを頂点とする仮想三角形tが無効三角形であると判定する。
図10(b)は、端子512、515、517の基準点Pmを頂点とする仮想三角形tと重心点o1とを示している。
図10(b)に示した例では、重心点o1と重心点o2との距離は閾値以下である。このため、仮想三角形判定部39は、端子512、515、517の基準点Pmを頂点とする仮想三角形tが有効三角形であると判定する。また、
図10(c)は、端子512、517、518の基準点Pmを頂点とする仮想三角形tと重心点o1とを示している。
図10(c)に示した例では、重心点o1と重心点o2とが閾値よりも離れている。このため、仮想三角形判定部39は、端子512、517、518を頂点とする仮想三角形が無効三角形であると判定する。
【0057】
なお、第二実施形態は、電子部品5が4端子以上ある場合、同一の端子上にある複数の基準点を通る仮想平明を作成しないため、このような基準点を頂点とする三角形も作成せずに有効、無効の判定も行わないものとする。このような処理によれば、第二実施形態の電子部品評価装置7は、演算の処理量をいっそう低減することが可能になる。
【0058】
なお、プレ処理は、上記例に限定されるものではない。例えば、プレ処理は、設計点を重心点o1、規定点を重心点o2にすることに限定されるものではなく、設計点及び規定点は電子部品5全体の傾きを推定することに有効な点であればどのような点であってもよい。例えば、第二実施形態は、設計点を電子部品5の部品本体51の上面視における設計上の中心点とし、仮想三角形tの中心点と比較するようにしてもよい。
このようなプレ処理によれば、多くの場合、端子511〜518のうちの隣接する端子を含む三端子によって規定された仮想三角形が無効三角形であると判定される。このような三端子は、電子部品5を支えられない可能性が高いためである。
以上の処理は、上面51aの局所的な傾きや凹凸が反映された仮想平面が有効平面として採用されることを防ぐことができる。
【0059】
(オフセット処理)
さらに、プレ処理は、重心点o1が仮想三角形tに含まれている場合に仮想三角形tが有効三角形であると認定してもよい。そして、このような場合、製品の製造上のばらつきや測定のばらつきにより有効三角形の判定がばらつくことを、以下のようにして抑えている。
図11(a)、
図11(b)は、仮想三角形の内部に重心点o1があるか外部にあるかによって有効三角形であるか否かを判定する場合に、判定のばらつきを抑えるオフセット処理を説明するための図である。
図11(a)はこの処理の対象となる電子部品を示し、
図11(b)は、処理の具体例を示している。
【0060】
オフセット処理は、複数の基準点Pmのうちの三つを選択して三角形を作成し、三角形の範囲内に電子部品の重心点o1がある三角形を有効三角形と判定する処理において行われる処理である。そして、オフセット処理では、三角形の辺上に重心点o1がある場合、この重心点o1と距離xの間隔を隔てた点о11が設定される。第二実施形態のオフセット処理は、点о11が三角形の範囲内にある場合、この三角形を有効三角形と判定する。
具体的には、オフセット処理の対象となる電子部品は、
図11(a)に示すように、辺が重心点o1を通るように仮想三角形tが生成されるものである。このような電子部品にあっては、この三角形tが有効三角形であるか否かの判断がばらつくことにより、本来有効三角形であると判定されるものが無効三角形と判断されることがある。また、反対に、無効三角形であると判定されるものが有効三角形と判断されることがある。このようなことにより、第二実施形態では、後に行われる良品、不良品の判定に用いられる端子高さのばらつきが大きくなって端子高さの測定の信頼性が低下する。オフセット処理は、良品、不良品の判定時の端子高さのばらつきを小さくし、判定の精度を高めることに有効な処理である。
【0061】
図11(a)に例示した電子部品に対しては、
図11(b)に示すように、重心点o1を複数の方向に距離xだけ移動させ、移動後の点о11が三角形tの中に入るか否かを判定する。
図11(b)に示す例では、重心点o1を中心にした半径xの円の円周上に等間隔に合計8つの点о11を設定した。このような8つの点о11は、隣接するもの同士が45度変位した状態になっている。距離xは、電子部品を撮像した画像の画素を基準にして決定するものであってもよい。このとき、例えば、重心点o1から数画素分離れた画素の位置を点о11とすることができる。
第二実施形態のオフセット処理では、8つの点о11のうちの一つでも三角形tの内部にある場合、この三角形tを有効三角形と判断する。そして、有効三角形と判断された三角形tを使って後の仮想平面の作成処理を実行する。
【0062】
(仮想平面作成部)
仮想平面作成部32は、複数の基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の位置情報及び第一高さ情報により仮想平面を作成する。この際、仮想平面作成部32は、仮想三角形判定部39の判定結果に基づいて、有効三角形のみを抽出する。そして、有効三角形の頂点となった三つの基準点Pmの基準点情報により仮想平面を作成する(ステップS605)。仮想平面は、三つの基準点Pmを通る平面であり、第二実施形態でいう仮想平面の作成は、このような平面を表す演算式、あるいは平面に含まれる点を表すデータの集合を作成することによって行われる。
【0063】
(仮想平面判定部)
次に、仮想平面判定部33は、選択点を除く基準点の仮想平面を基準にした第二高さ情報により、この仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する。そして、この有効平面を基準にする端子の平坦度を検出する。
すなわち、仮想平面判定部33は、全ての基準点Pm1〜Pm32についてCMOSセンサ21aから基準点Pmまでの距離hで表されている高さ情報(第一高さ)を、仮想平面作成部32によって作成された仮想平面から各基準点Pmまでの高さ情報(第二高さ)に変換する。変換により、高さ情報は高さの基準がCMOSセンサ21aの受光面から仮想平面に変化する。なお、変換前の高さ情報の基準はCMOSセンサ21aの受光面に限定されるものでなく、任意の点でよい。
仮想平面判定部33は、仮想平面作成部32によって作成された複数の仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるかを判定する。ここで、有効平面は、第二実施形態において電子部品5が適正に実装された実装基板の面を模擬したものである。有効平面は一つではない場合もあり、電子部品5の置かれる方向や置かれた状態の重心の位置等によって複数存在し得る。無効平面は、全ての仮想平面から有効平面と判定された仮想平面を除いたものである。
【0064】
仮想平面判定部33は、仮想平面作成部32によって作成された複数の仮想平面を基準にし、それぞれの仮想平面から三つの選択点を除く他の端子の基準点Pmまでの高さ情報を計算、分析する。その結果、一つの仮想平面について、この仮想平面よりも基準点Pmが電子部品5から遠い位置にある場合、つまり端子がその仮想平面の上方に突出するという演算結果を得た場合、仮想平面判定部33は、この仮想平面を無効平面であると判定する。無効平面であると判定された仮想平面は、有効平面から排除される。
このような処理は、基準点Pmが仮想平面よりも上方に突出すると、電子部品5の端子が実装面に向かうように実装した際に端子が実装面に埋まることになるからである。第二実施形態は、
図1(a)から
図2に示したように表面実装型の端子511〜518に適用されるので、端子511〜518が実装面に埋まることは起こり得ないとして仮想平面が無効平面であると判定している。
言い換えれば、実際の実装においては、端子を実装面に埋め込むことは不可能であるので、上方に基準点Pmがあるとの演算結果が得られた仮想平面は実際の実装面と相違する。実状に則した実装面を求めるため、このような結果を得た仮想平面は有効平面から排除される。
【0065】
なお、第二実施形態では、以降、基準点Pm1〜Pm32が仮想平面よりも上方に凸であることを高さ情報が示す場合、基準点Pm1〜Pm32に対応する端子が仮想平面よりも高いとも記す。また、反対に、第二実施形態では、基準点Pm1〜Pm32が下方に凸であることを高さ情報が示す場合、基準点Pm1〜Pm32に対応する端子が仮想平面よりも低いとも記す。端子が仮想平面よりも低い場合、端子は電子部品5と実装面との間で「浮いた」状態になっている。
【0066】
(平坦度検出部)
平坦度検出部34は、仮想平面判定部33によって有効平面であると判定された仮想平面のみに基づいて、有効平面から各端子の基準点Pm1〜Pm32までの高さにより電子部品5の平坦度(傾き)を算出する。第二実施形態でいう平坦度は、電子部品5を図示しない実装基板上に置いたときの「ガタツキ」の指標となる。ガタツキは、電子部品5の傾きや端子の取り付け角度等によって基準点Pm1〜Pm32、すなわち端子511〜518の高さにばらつきがあるときに生じる。このため、第二実施形態では、平坦度検出部34が端子511〜518の有効平面を基準にした高さを検出することによって平坦度を検出している。ただし、このときに電子部品5が天板61に対して傾いて接している場合、端子の高さを正確に検出することができなくなる。このため、第二実施形態は、基準点Pm1〜Pm32の高さを有効平面のみを基準にして測定し、電子部品5の傾きによらず端子それぞれの有効平面を基準にした高さを正確に検出することができる。
【0067】
平坦度検出部34は、全ての基準点Pm1〜Pm32の有効平面からの高さを検出する。第二実施形態では、平坦度の検出工程において、例えば有効平面を基準(0)にし、0から基準点Pm1〜Pm32までの距離を第二高さである基準点Pm1〜Pm32の高さとする。これらの有効平面から基準点Pm1〜Pm32までの高さは、電子部品5の平坦度を表している。また、第二実施形態は、複数の仮想平面が有効平面であると判定された場合、平坦度検出部34が複数の有効平面の各々について平坦度を検出するようにしてもよい。そして、複数の有効平面を基準にして得られた複数の平坦度のうち、端子高さの最大値と最小値とを求めるようにしてもよいし、平均値を求めるものであってもよい。
【0068】
(良・不良判定部)
良・不良判定部36は、例えば基準点Pm1〜Pm32の高さが予め定められている許容範囲内にない場合、この基準点Pm1〜Pm32を持つ電子部品5を不良品と判定する。また、基準点Pm1〜Pm32の高さが全て許容範囲内にある場合、この端子を持つ電子部品5を良品と判定する。
なお、複数の有効平面が得られた場合、第二実施形態は、複数得られた有効平面のうち、電子部品5が良品と判定されるのに最も不利な有効平面を基準にして平坦度を算出してもよい。電子部品5が良品と判定されるのに最も不利な有効平面とは、例えば、基準点Pm1〜Pm32の高さが許容範囲の上限あるいは下限に最も近くなる有効平面である。このようにすれば、第二実施形態は、電子部品5の検査のマージンを充分にとって信頼性を高めることができる。
【0069】
図12は、出力装置4に出力された結果を例示する図であって、出力装置4の図示しないディスプレイ画面に表示される、あるいは紙等に印刷されて出力される画像70を示している。画像70は、7個の端子711を有する電子部品75の上面の高さを色で示すカラー画像である。画像70に示した例においても、第二実施形態は、有効平面を基準にした端子711の基準点の高さを測定して電子部品75を検査している。なお、
図12に示す例では、基準点を端子ごとにグループ分けし、端子ごとに電子部品75の良、不良を表示している。
【0070】
第二実施形態では、出力装置4のディスプレイ画面に画像70と共に画像71、72を表示している。画像71は、識別番号1〜7で特定される複数の端子711と、各端子の高さの検査結果とを示している。画像71に示す検査結果では、四つの基準点のうち、有効平面を基準にした高さが許容範囲内にない基準点を一つでも有する端子が「NG」と判定される。また、全ての基準点の高さが許容範囲内にある端子については「−」の符号が表記されている。
図7に示したように、複数の端子のいずれかがNGと判定された場合、電子部品5は不良品であると判定される。
【0071】
また、先に説明した第一実施形態においても、第二実施形態のように仮想平面を求め、有効な仮想平面を基準にした端子の角度を判定することができる。画像72は、第一実施形態の電子部品評価方法において有効平面を作成し、有効平面を基準にした角度を測定した例を示している。画像72においては、許容範囲以上の傾きを有する端子が「NG」と判定される。また、傾きの角度が許容範囲内にある端子については「−」の符号が表記されている。
【0072】
以上説明したように、第二実施形態の電子部品評価方法によれば、有効な仮想平面を基準にして基準点、ひいては端子の高さを検出することができるので、電子部品が実装されたときの傾きの程度を実装前に検出することができる。このような第二実施形態によれば、電子部品を実装して製造された機器や部品が不良品と判定される可能性を低減し、電子部品の信頼性を高めることができる。また、第一実施形態の電子部品評価方法は、有効な仮想平面を基準にした傾きの角度を評価して各端子が実装されたときにどのような形状に係る状態になるかを実装以前に判定することができる。このような構成によれば、電子部品の仕様や用途に応じた多様な検査に対応することができるようになる。
【0073】
なお、第二実施形態は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、仮想三角形作成、有効三角形、無効三角形の判定、仮想平面作成、端子高さの検出、有効平面、無効平面の判定、平坦度統計(検出)及び良品、不良品判断の手順で端子を有する電子部品5の平坦度の検出を行うことを説明した。しかし、第二実施形態は、このような手順に限定されるものでなく、上記工程の順番を入れ替えて行うものであってもよい。例えば、三つの基準点Pm(三角形)に基づいて仮想平面を作成し、それらの仮想平面から全ての端子の基準点Pmまでの高さを統計し、有効平面を判断し、有効平面の上記三角形の中心、重心外れ具合を判断し、有効三角形を有する有効平面の上記端子の高さを平坦度として統計し、最後に良品、不良品の判定を行ってもよい。
【0074】
また、以上説明した第一実施形態、第二実施形態は、電子部品として筐体のパッケージを備える例を挙げているが、本発明は、パッケージを有する電子部品ばかりでなく平面実装するものであれば他の構成にも適用することが可能になる。
図13は、他の電気部品に第一実施形態、あるいは第二実施形態の電子部品評価方法を適用する例を説明するための図である。
図13に示す電子部品は、端子部85と巻線部86とを有する面実装の空芯コイルである。このような空芯コイルにあっても、本発明の第一実施形態、第二実施形態によれば、二つの端子部85に基準点Pm111からPm1112の合計12個を設定し、端子部85の高さの面分布を測定することができる。そして、この高さが許容範囲内にあるか否かによって空芯コイルの良、不良を判定することが可能になる。
【0075】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)部品本体及び当該部品本体に取り付けられた複数の端子を有する電子部品を撮像した撮像データから、前記電子部品の状態を評価する電子部品評価方法であって、複数の前記端子の少なくとも一つについて、当該端子の複数の基準点の位置情報及び第一高さ情報の少なくとも一方を含む基準点情報を取得する基準点情報取得工程と、複数の前記基準点情報に基づいて、前記電子部品の形状に係る状態を判定する状態判定工程と、を含む電子部品評価方法。
(2)前記状態判定工程は、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記第一高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした第二高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程と、を含み、前記有効平面を基準にする前記端子の平坦度を検出する、(1)の電子部品評価方法。
(3)前記仮想平面作成工程は、前記電子部品が前記端子を二つ有する場合には一つの前記端子上にある二つの前記選択点を通る仮想平面を作成し、四つ以上の前記端子を有する場合には一つの前記端子上にある複数の前記選択点を通る仮想平面を作成しない、(2)の電子部品評価方法。
(4)前記端子が前記部品本体に沿って折り曲げられた折り曲げ部および前記電子部品の実装面に沿う平面部を有し、前記基準点情報取得工程に先立って前記電子部品の実装面側の表面全体を三次元撮像し、少なくとも前記折り曲げ部と前記平面部との高さの差を識別表示する全体画像を生成する予備工程をさらに含み、前記予備工程においては、前記折り曲げ部と前記平面部との境界よりも前記平面部の内側から前記基準点が選択される、(1)から(3)のいずれか一つの電子部品評価方法。
(5)前記基準点情報取得工程は、n個の前記基準点を有するm個の前記端子について、異なる前記端子の前記基準点情報を予め設定された順番で取得する処理をn回繰り返し、取得の順番と、得られた前記基準点情報とを対応つけて、前記順番をmで除算した場合の余りが等しい前記端子及び前記順番が当該余りに一致する前記基準点情報を同一のグループとする、(1)から(4)のいずれか一つの電子部品評価方法。
(6)前記端子が前記電子部品の実装面に沿う平面部を有し、前記基準点が前記平面部の上に複数配置され、前記状態判定工程は、前記端子の傾きの大きさ及び方向を判定する、(1)から(5)のいずれか一つの電子部品評価方法。
(7)部品本体及び当該部品本体に取り付けられた複数の端子を有する電子部品を撮像した撮像データから、前記電子部品の状態を評価する電子部品評価装置であって、複数の前記端子の少なくとも一つについて、当該端子の複数の基準点の位置情報及び第一高さ情報の少なくとも一方を含む基準点情報を取得する基準点情報取得部と、複数の前記基準点情報に基づいて、前記電子部品の形状に係る状態を判定する状態判定部と、を有する電子部品評価装置。
(8)前記撮像が複数の前記電子部品に対して順次連続して行われ、前記状態判定部は、先に撮像される第一電子部品の撮像終了から後に撮像される第二電子部品の撮像開始までの時間の少なくとも一部の間に前記第一電子部品の形状に係る状態を判定する、(7)の電子部品評価装置。
(9)部品本体及び当該部品本体に取り付けられた複数の端子を有する電子部品を撮像した撮像データから、前記電子部品の状態を評価する電子部品評価装置において実行される電子部品評価プログラムであって、コンピュータに、複数の前記端子の少なくとも一つについて、当該端子の複数の基準点の位置情報及び第一高さ情報の少なくとも一方を含む基準点情報を取得する基準点情報取得機能と、複数の前記基準点情報に基づいて、前記電子部品の形状に係る状態を判定する状態判定機能と、を実現させる、電子部品評価プログラム。