(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-173995(P2021-173995A)
(43)【公開日】2021年11月1日
(54)【発明の名称】2軸傾動装置、カメラ装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20211004BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20211004BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20211004BHJP
G03B 5/08 20210101ALI20211004BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20211004BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20211004BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20211004BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/56 A
G03B15/00 V
G03B15/00 P
G03B5/08
H04N5/232 480
H04N5/222 100
H04N5/225 100
H04N5/225 700
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-45482(P2021-45482)
(22)【出願日】2021年3月19日
(31)【優先権主張番号】202010362755.1
(32)【優先日】2020年4月30日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 厚吉
【テーマコード(参考)】
2H105
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA11
2H105AA17
2H105AA55
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA14
2K005CA22
2K005CA42
2K005CA53
5C122DA14
5C122EA41
5C122GD01
5C122GD08
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】カメラユニットのブレを抑制できる2軸傾動装置、カメラ装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】2軸傾動装置10は、XYZ直交座標系において、被傾動部材100の側面130に空間を隔てて対面する枠体200と、被傾動部材100が傾動するように駆動する傾動駆動機構と、を備え、枠体200が、Y−Z平面方向に広がる被傾動部材の2つの側面130A、130Bと対向する第1ジンバル枠210と、X−Z平面方向に広がる被傾動部材の他の2つの側面130C、130Dと対向する第2ジンバル枠220と、を有し、第1ジンバル枠210が外部の部材と連結され、第2ジンバル枠220が被傾動部材100と傾動自在に連結され、第1ジンバル枠210と第2ジンバル枠220とが互いに傾動自在に連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
XYZ直交座標系において、
被傾動部材の側面に空間を隔てて対面する枠体と、
前記被傾動部材が傾動するように駆動する傾動駆動機構と、を備え、
前記枠体が、Y−Z平面方向に広がる前記被傾動部材の2つの前記側面と対向する第1ジンバル枠と、X−Z平面方向に広がる前記被傾動部材の他の2つの前記側面と対向する第2ジンバル枠と、を有し、
前記第1ジンバル枠が外部の部材と連結され、前記第2ジンバル枠が前記被傾動部材と傾動自在に連結され、前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠とが互いに傾動自在に連結されている、2軸傾動装置。
【請求項2】
前記第2ジンバル枠は、前記第1ジンバル枠と、Y軸方向に沿って延在する第1ジンバル軸で連結されることにより、当該第1ジンバル軸周りに傾動自在であり、前記被傾動部材は、前記他の2つの前記側面が前記第2ジンバル枠とX軸方向に沿って延在する第2ジンバル軸で接続されることにより、当該第2ジンバル軸周りに傾動自在である、請求項1記載の2軸傾動装置。
【請求項3】
前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠は、Z軸方向から見た場合に、それぞれ長辺と短辺とを有する長方形状であり、前記第1ジンバル枠の短辺の内側に前記第2ジンバル枠の長辺が配置され、前記第2ジンバル枠の短辺の内側に前記第1ジンバル枠の長辺が配置され、前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠の長辺に相当する前記枠体の内面が前記被傾動部材の前記側面に直接対向する、請求項2記載の2軸傾動装置。
【請求項4】
前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠は、それぞれ前記長方形状の各角部分に切欠き部を有しており、同一配置状態から、前記第2ジンバル枠を前記X軸周りあるいは前記Y軸周りに180°反転させ、かつ前記Z軸回りに90°回転させて、前記切欠き部同士が重なり合うように前記第1ジンバル枠上に組み合わせた、請求項3記載の2軸傾動装置。
【請求項5】
前記被傾動部材の前記側面には前記傾動駆動機構としての磁石又はコイルの一方が配置され、前記第1ジンバル枠、前記第2ジンバル枠の、それぞれ前記被傾動部材の前記側面と直接対向する前記枠体の内面には前記磁石又は前記コイルの他方が配置される、請求項1から4いずれか1項に記載の2軸傾動装置。
【請求項6】
前記第1ジンバル枠をZ軸周りに回動させる回動機構を備えた請求項5に記載の2軸傾動装置。
【請求項7】
前記回動機構は、前記Z軸方向に延在して前記第1ジンバル枠を支持する軸部材と、当該軸部材を支持する軸受を有する、請求項6記載の2軸傾動装置。
【請求項8】
前記被傾動部材としてのカメラユニットと、請求項1から7いずれか1項に記載の2軸傾動装置と、を備えたカメラ装置。
【請求項9】
請求項8記載のカメラ装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2軸傾動装置、カメラ装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けられるドライブレコーダの撮影装置として、カメラユニットと、このカメラユニットを支持するホルダとを有するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−244614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に取り付けられるドライブレコーダは、カメラユニットが車両に直接取り付けられるため走行中の振動や衝撃によってブレが生じ易く、鮮明な画像を残せない場合がありうる。
【0005】
本発明は、カメラユニットのブレを抑制することができる2軸傾動装置、カメラ装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、2軸傾動装置であって、この装置は、XYZ直交座標系において、被傾動部材の側面に空間を隔てて対面する枠体と、前記被傾動部材が傾動するように駆動する傾動駆動機構と、を備え、前記枠体が、Y−Z平面方向に広がる前記被傾動部材の2つの前記側面と対向する第1ジンバル枠と、X−Z平面方向に広がる前記被傾動部材の他の2つの前記側面と対向する第2ジンバル枠と、を有し、前記第1ジンバル枠が外部の部材と連結され、前記第2ジンバル枠が前記被傾動部材と傾動自在に連結され、前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠とが互いに傾動自在に連結されている、2軸傾動装置である。
【0007】
また、好適には、前記第2ジンバル枠は、前記第1ジンバル枠と、Y軸方向に沿って延在する第1ジンバル軸で連結されることにより、当該第1ジンバル軸周りに傾動自在であり、前記被傾動部材は、前記他の2つの前記側面が前記第2ジンバル枠とX軸方向に沿って延在する第2ジンバル軸で接続されることにより、当該第2ジンバル軸周りに傾動自在である。
【0008】
また、好適には、前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠は、Z軸方向から見た場合に、それぞれ長辺と短辺とを有する長方形状であり、前記第1ジンバル枠の短辺の内側に前記第2ジンバル枠の長辺が配置され、前記第2ジンバル枠の短辺の内側に前記第1ジンバル枠の長辺が配置され、前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠の長辺に相当する前記枠体の内面が前記被傾動部材の前記側面に直接対向する。
【0009】
また、好適には、前記第1ジンバル枠と前記第2ジンバル枠は、それぞれ前記長方形状の各角部分に切欠き部を有しており、同一配置状態から、前記第2ジンバル枠を前記X軸周りあるいは前記Y軸周りに180°反転させ、かつ前記Z軸回りに90°回転させて、前記切欠き部同士が重なり合うように前記第1ジンバル枠上に組み合わせている。
【0010】
また、好適には、前記被傾動部材の前記側面には前記傾動駆動機構としての磁石又はコイルの一方が配置され、前記第1ジンバル枠、前記第2ジンバル枠の、それぞれ前記被傾動部材の前記側面と直接対向する前記枠体内面には前記磁石又は前記コイルの他方が配置される。
【0011】
また、好適には、前記第1ジンバル枠を前記Z軸周りに回動させる回動機構を備えている。
【0012】
また、好適には、前記回動機構は、前記Z軸方向に延在して前記第1ジンバル枠を支持する軸部材と、当該軸部材を支持する軸受を有する。
【0013】
本発明の他の態様は、前記被傾動部材としてのカメラユニットと、上記発明のいずれかの態様の2軸傾動装置と、を備えたカメラ装置である。
【0014】
本発明の他の態様は、上記発明のカメラ装置を備えた、電子機器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カメラユニットである被傾動部材が傾動するように駆動する傾動駆動機構を備えて、第1ジンバル枠が外部の部材と連結され、第2ジンバル枠が被傾動部材と傾動自在に連結され、第1ジンバル枠と第2ジンバル枠とが互いに傾動自在に連結されている。これにより、被傾動部材のブレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1のドライブレコーダ10の外観斜視図である。
【
図2】
図1のドライブレコーダ10の主要部分を、Z軸方向前面から見るとともに、一部分を切断して断面が見えるようにした平面図である。
【
図3】
図2の一部切断した状態のドライブレコーダ10の外観斜視図である。
【
図4】
図1のドライブレコーダ10を分解した分解斜視図である。
【
図5】実施形態2のドライブレコーダ10Aの外観斜視図である。
【
図6】実施形態2のドライブレコーダ10Aの、実施形態1のドライブレコーダ10との相違部分を分解した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の2軸傾動装置、カメラ装置、及び電子機器を例示して示すものであり、本発明を以下の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0018】
[第1実施形態]
図1〜
図4に示すように、第1実施形態の電子機器としてのドライブレコーダ10は、カメラ装置と、取付部材500と、を備えている。カメラ装置は、被傾動部材としてのカメラユニット100と、カメラユニット100を2軸で傾動させる2軸傾動装置と、を備えている。カメラユニット100には、電源ケーブル400が接続されている。2軸傾動装置は、カメラユニット100の周囲を包囲する枠体200と、カメラユニット100を傾動させるための傾動駆動機構を含む。傾動駆動機構は、後述する電流供給制御ユニットと傾動駆動デバイス600を有する。
【0019】
カメラユニット100は、直方体形状の箱体として形成される。カメラユニット100は、X−Y平面方向に広がる略正方形の前面110、前面110に対して平行な底面120、および4つの側面130A〜130Dを有する。前面110と底面120は略同一形状、同一寸法である。前面110、底面120は、長方形であってもよい。4つの側面130A〜130DはそれぞれZ軸方向に所定高さ、Y軸方向又はX軸方向に所定長さを有する略同一の大きさの長方形である。側面130A、130Bは、Y−Z平面方向に広がっており、側面130C、130Dは、X−Z平面方向に広がっている。
【0020】
カメラユニット100の前面110には、Z軸方向を光軸方向とするレンズ140が配置される。また、カメラユニット100の内部には、このレンズ140を通した被写体からの光を受ける撮像素子(図示せず)が、レンズ140に対して平行に配置されている。また、カメラユニット100の内部には、後述する傾動駆動デバイス600のコイルに電流を供給する電流供給制御ユニット(図示せず)が設けられる。さらに、SDカード等の記憶媒体を格納する記憶媒体格納部(図示せず)や、撮像素子で撮影された映像を処理して記憶媒体に記憶させる映像制御ユニット(図示せず)が設けられてもよい。
【0021】
枠体200は、第1ジンバル枠210と、第2ジンバル枠220と、を含む。第1ジンバル枠210と第2ジンバル枠220は、それぞれZ軸方向両側が開いた中空の筒状部材であり、カメラユニット100の周囲を包囲する。第1ジンバル枠210と第2ジンバル枠220は、Z軸方向から見た場合に、それぞれ長辺と短辺とを有する略同一形状の長方形状である。
【0022】
第1ジンバル枠210は、長側板211A、211B、短側板211C、211Dを含む。長側板211A、211Bは、Y−Z平面方向に広がり、特にY軸方向に沿って長尺である。長側板211A、211Bは、カメラユニット100の側面130A、130Bに対して空間を隔てて直接対面する。短側板211C、211Dは、X−Z平面方向に広がり、特にX軸方向に沿って長尺である。短側板211C、211DのX軸方向の長さは、長側板211A、211BのY軸方向の長さよりも短い。長側板211A、211B、短側板211C、211DのZ軸方向の高さは、カメラユニット100のZ軸方向の高さと略等しい。
【0023】
また、第1ジンバル枠210の、Z軸方向から見た場合の長方形の四つの角部分には切欠き部212が設けられている。各切欠き部212は、各側板の+Z方向側の端辺から−Z方向側に向かって中央付近まで形成される。第1ジンバル枠210の長側板211A、211Bの内面には、後述する第1磁石620A、620Bが配置される。
【0024】
第2ジンバル枠220は、長側板221A、221B、短側板221C、221Dを含む。長側板221A、221Bは、X−Z平面方向に広がり、特にX方向に沿って長尺である。長側板221A、221Bは、カメラユニット100の側面130C、130Dに対して空間を隔てて直接対面する。短側板221C、221Dは、Y−Z平面方向に広がり、特にY軸方向に沿って長尺である。短側板221C、221DのY軸方向の長さは、長側板221A、221BのX軸方向の長さよりも短い。長側板221A、221B、短側板221C、221DのZ軸方向の高さは、カメラユニット100のZ軸方向の高さと略等しい。
【0025】
また、第2ジンバル枠220の、Z軸方向から見た場合の長方形の四つの角部分には切欠き部222が設けられている。各切欠き部222は、各側板の−Z方向側の端辺から+Z方向側に向かって中央付近まで形成される。第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bの内面には、後述する第2磁石620C、620Dが配置される。
【0026】
第1ジンバル枠210と第2ジンバル枠220は、略同一形状であり、同一配置状態から、第2ジンバル枠220をX軸周りあるいはY軸周りに180°回転させ、且つZ軸周りに90°回転させ、第1ジンバル枠210の切欠き部212の上に第2ジンバル枠220の切欠き部222が重なり合うように、第2ジンバル枠220を前記第1ジンバル枠210上に組み合わせられた配置構造を有する。各切欠き部212、222は、第1ジンバル枠210と第2ジンバル枠220が干渉しない程度の深さに形成される。
【0027】
第1ジンバル枠210の短側板211C、211Dと、第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bは、Y軸方向に沿って延在する第1ジンバル軸230A、230Bによって接続される。第2ジンバル枠220の短側板221C、221Dと、カメラユニット100の側面130A、130Bは、X軸方向に沿って延在する第2ジンバル軸230C、230Dによって接続される。第1ジンバル枠210の長側板211A、211Bの中央には、貫通孔が形成され、上記第2ジンバル軸230C、230Dが当該貫通孔を貫通し、第2ジンバル軸230C、230Dの動作を干渉しないようにされる。
【0028】
したがって、第1ジンバル枠210の長側板211A、211Bは、第2ジンバル枠220の短側板221C、221Dの内側にあるとともに、カメラユニット100の側面130A、130Bに直接対向している。また、第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bは、第1ジンバル枠210の短側板211C、211Dの内側にあるとともに、カメラユニット100の側面130C、130Dに直接対向している。さらに、第2ジンバル枠220は、第1ジンバル枠210に対して、第1ジンバル軸230A、230B周りに、つまりY軸周りに傾動自在である。カメラユニット100は、第2ジンバル枠220に対して、第2ジンバル軸230C、230D周りに、つまりX軸周りに傾動自在である。
【0029】
カメラユニット100の底面120には電源ケーブル400が接続されている。電源ケーブル400は、カメラユニット100に格納された電流供給制御ユニット、記憶媒体格納部、映像制御ユニットに電源を供給する。
【0030】
取付部材500は、棒材510と、固定部材520と、を有する。棒材510の一端510Aは、枠体200に固定され、例えば第1ジンバル枠210の短側板211Dの外面に固定される。棒材510の他端510Bには、球体510Cが形成される。固定部材520は、車両のフロントガラス等に貼り付けられる貼り付け面を有する固定板521とこの貼り付け面と反対側に突出する円筒部522を有する。円筒部522と球体510Cは、いわゆるボールジョイントを構成しており、円筒部522は、球体510Cを包み込むように保持し、棒材510は、ある程度の自由度で、固定部材520に対して向きや角度を調節できるように支持される。
【0031】
傾動駆動デバイス600は、カメラユニット100の側面130A〜130Dに配置されたコイル610と、枠体200の第1ジンバル枠210長側板211A、211B、第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bのそれぞれの内面に配置された磁石620を含んで構成される。コイル610は、第1コイル610A、610B、第2コイル610C、610Dを有し、磁石620は、第1磁石620A、620B、第2磁石620C、620Dを有する。具体的には、X軸方向に対して垂直な側面130A、130Bには、第1コイル610A、610Bが配置され、Y軸方向に対して垂直な側面130C、130Dには、第2コイル610C、610Dが配置される。
図4に示すように、側面130A、130B内に第1ヨーク630を埋め込み、同様に、側面130C、130D内に第2ヨーク640を埋め込んでもよい。
【0032】
第1コイル610A、610Bは、それぞれ全体形状がY軸方向に長い長円形であり、Y軸方向に沿って平行に延在する2つの直線状部分とその両端を接続するC字形状の湾曲部分とから構成されている。同様に、第2コイル610C、610Dは、それぞれ全体形状がX軸方向に長い長円形であり、X軸方向に沿って平行に延在する2つの直線状部分とその両端を接続するC字形状の湾曲部分とから構成されている。第1コイル610A、610B、第2コイル610C、610Dは、カメラユニット100内部に設けられた電流供給制御ユニット(図示せず)と接続される。
【0033】
一方、第1ジンバル枠210の長側板211A、211Bの各内面には、第1磁石620A、620Bが配置される。第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bの各内面には、第2磁石620C、620Dが配置される。
【0034】
第1磁石620A、620Bは、それぞれY軸方向に長尺な、磁極面の異なる2枚の板状磁石片を、Z軸方向に並べて配置することにより構成されている。第2磁石620C、620Dも、それぞれX軸方向に長尺な、磁極面の異なる2枚の板状磁石片をZ軸方向に並べて配置することにより構成されている。したがって、第1コイル610A、610Bの各直線状部分と第1磁石620A、620Bとは空間を隔てて対面しており、第2コイル610C、610Dの各直線状部分と第2磁石620C、620Dとは空間を隔てて対面している。第1磁石620A、620B、第2磁石620C、620Dは、Z軸方向に分割された異なる磁極面を有する各1つの磁石片が、それぞれ第1コイル610A、610B、第2コイル610C、610Dの直線状部分に空間を隔てて対面するようにしてもよい。
【0035】
上記説明した本実施形態のドライブレコーダ10の組み立てについて説明する。カメラユニット100の底面120に電源ケーブル400を接続し、側面130A〜130Dにコイル610を取り付ける。また、第1ジンバル枠210の長側板211A、211B、第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bの各内面に磁石620を取り付ける。第1ジンバル枠210の切欠き部212の上に第2ジンバル枠220の切欠き部222が重なり合うように、第2ジンバル枠220を第1ジンバル枠210上に組み合わせる。さらに、第1ジンバル枠210の短側板211C、211Dと、第2ジンバル枠220の長側板221A、221Bを、第1ジンバル軸230A、230Bによって接続する。
【0036】
次いで、カメラユニット100を枠体200内、つまり第1ジンバル枠210、第2ジンバル枠220の内部に挿入する。さらに、カメラユニット100の側面130A、130Bと、第2ジンバル枠220の短側板221C、221Dを、第2ジンバル軸230C、230Dによって接続する。これにより、カメラユニット100は、第2ジンバル枠220に対して第2ジンバル軸230C、230D周りに傾動可能であり、第2ジンバル枠220は、第1ジンバル枠210に対して第1ジンバル軸230A、230B周りに傾動可能な状態となる。即ち、カメラユニット100は、第1ジンバル枠210に対して、X軸方向及びY軸方向に傾動可能な状態である。
【0037】
また、このとき、第1コイル610A、610Bの直線状部分は、第1磁石620A、620Bの異なる磁極面に対して空間を隔てて対面しており、第2コイル610C、610Dの直線状部分は、第2磁石620C、620Dの異なる磁極面に対して空間を隔てて対面した状態となっている。
【0038】
次いで、取付部材500の棒材510の一端510Aを枠体200の第1ジンバル枠210の短側板211Dに固定接続し、他端510Bの球体510Cを固定部材520の円筒部522内に挿入する。
【0039】
次に、本実施形態のドライブレコーダ10の動作について説明する。例えば、コイル610に電流供給制御ユニットから電流を供給して通電させる。磁石620によって生じる磁場内において、コイル610を流れる電流は、コイル610に対してZ軸方向の電磁力を生じさせる。
【0040】
第1コイル610Aと第1コイル610Bには同じ電流を流す。このとき、流す電流の向き、及び第1磁石620A、620Bの磁極面の選択によって、第1コイル610Aと第1コイル610Bには逆向きのZ軸方向の力を生じさせるようにする。これによって、カメラユニット100に対してY軸周りの回動を生じさせることができる。
【0041】
第2コイル610C、610Dに対しても同様であり、同じ電流を流したときに、第2コイル610Cと第2コイル610Dには逆向きのZ軸方向の力を生じさせるようにする。これによって、カメラユニット100に対してX軸周りの回動を生じさせることができる。
【0042】
カメラユニット100の電流供給制御ユニットは、角速度検出デバイス(図示せず)を有する。車両の走行中の振動や衝撃がカメラユニット100に伝わり、角速度検出デバイスによって、X軸周り成分、Y軸周り成分毎に検出される。電流供給制御ユニットは、検出されたX軸及び/又はY軸周り成分の角速度の大きさと方向に応じて、カメラユニット100の第2コイル610C、610D及び/又は第1コイル610A、610Bに電流を供給、あるいは電流の供給量と向きを調節する。これにより、カメラユニット100をX軸及び/又はY軸周りに回動させようとする力を生じさせ、X軸及び/又はY軸周りの元の向きに引き戻すことができる。これにより、カメラユニット100は、車両の揺れから遮断される。
【0043】
枠体200は、第1ジンバル枠210及び第2ジンバル枠220をさらに外側から覆うケースを有してもよい。ケースはその内面に第1ジンバル枠210を固定し、外面に取付部材500を取り付けてもよい。また、ケースは、カメラユニット100の±Z方向側の外側を覆ってもよい。
【0044】
[第2実施形態]
第2実施形態のドライブレコーダ10Aを、
図5、
図6を参照して説明する。第2実施形態のドライブレコーダ10Aは、第1実施形態のドライブレコーダ10と比較した場合、第1ジンバル枠210をZ軸周りに回動可能に保持する背面板が設けられ、取付部材500が背面板に取り付けられる。さらにカメラユニット100の底面120に第3コイルが配置され、背面板に対向する第3磁石が設けられている点が相違しており、それ以外は同一の構造となっている。以下の説明では、第1実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を用いることとし、当該構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0045】
第2実施形態のドライブレコーダ10Aの枠体200は、背面板700を含む。背面板700は、X−Y平面方向に広がる平板矩形状の部材であり、Z軸方向から見た場合に、枠体200の外形と略等しくされるが、他の形状でもよい。背面板700の一つの縁部には取付部材500の棒材510の一端510Aが接続される。背面板700の中央には軸受710が形成される。
【0046】
ドライブレコーダ10Aは、第1ジンバル枠210と背面板700を接続する接続部材800を含む。接続部材800は、カメラユニット100の底面120及び背面板700と平行に延在する帯状の平板部810とその両端からZ軸方向に屈曲して突出したアーム部820を含む。平板部810の中央には、アーム部820の突出方向とは反対方向に突出したシャフト830が設けられる。アーム部820の先端部は、第1ジンバル枠210の長側板211A、211Bの、背面板700側の端部に接続される。シャフト830は、背面板700の軸受710に挿入される。これにより、第1ジンバル枠210は、背面板700に対してZ軸周りに回動可能となる。
【0047】
カメラユニット100の底面120には4つの第3コイル840A〜840Dが固定される。一方、背面板700の、カメラユニット100の底面120と対向する面には、第3磁石850A〜850Dが、それぞれ第3コイル840A〜840Dに対して空間を隔てて対向するように配置される。
【0048】
電源ケーブル400は、カメラユニット100の底面120に、上述の接続部材800、第3コイル840A〜840Dが設けられた箇所を避けて接続される。背面板700には、電源ケーブル400のカメラユニット100の底面120への接続箇所に対応した位置にケーブル導出開口720が形成され、ここから電源ケーブル400が外部に引き出される。
【0049】
第3コイル840A〜840Dは、カメラユニット100の電流供給制御ユニット(図示せず)に接続されており、角加速度検出デバイス(図示せず)によって検出されるZ軸周りの角加速度成分に応じて共通の電流を第3コイル840A〜840Dに供給、あるいは向き、供給量を調節する。すると、第3磁石850A〜850Dが生じる磁場内を流れる電流により、カメラユニット100をZ軸周りに回動させようとする電磁力を生じさせ、Z軸周りの元の向きに引き戻すことができる。
【0050】
なお、カメラユニット100の底面120には、第3コイル840A〜840Dとの間にヨークを設けてもよい。また、背面板700は、第1ジンバル枠210、第2ジンバル枠220及びカメラユニット100を覆うケースの一部として設けてもよい。また、第3コイル840A〜840Dを背面板700に設け、第3磁石850A〜850Dをカメラユニット100に設けてもよい。また、第3コイル840A〜840Dと第3磁石850A〜850Dは、シャフト830を中心にした円周の接線方向の駆動力を発生するのであれば、少なくとも1組あればよい。
【0051】
なお、上記実施形態は、本発明をドライブレコーダに適用した例について説明したが、本発明の適用対象はドライブレコーダに限らず、自転車搭載用やドローン搭載用のカメラ装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
10、10A ドライブレコーダ
100 カメラユニット
110 前面
120 底面
130、130A〜130D 側面
140 レンズ
200 枠体
210 第1ジンバル枠
211A、211B 長側板
211C、211D 短側板
212 切欠き部
220 第2ジンバル枠
221A、221B 長側板
221C、221D 短側板
222 切欠き部
400 電源ケーブル
500 取付部材
510 棒材
510A 一端
510B 他端
510C 球体
520 固定部材
521 固定板
522 円筒部
600 傾動駆動デバイス
610 コイル
620 磁石
700 背面板
710 軸受
720 ケーブル導出開口
800 接続部材
810 平板部
820 アーム部
830 シャフト
840A〜840D 第3コイル
850A〜850D 第3磁石