【解決手段】被検出者が含まれる撮像画像を撮像装置から取得する撮像画像取得部と、撮像画像と、撮像画像取得部が過去の所定の期間内に取得した撮像画像との差分を示す差分画像データを生成する画像生成部と、被検出者から放射される熱をサーモグラフィーカメラが画像化した熱分布画像データを取得する熱分布画像取得部と、差分画像データと熱分布画像データとを比較することにより、差分画像データのうち、熱分布画像データにおいて被検出者が発した熱に対応する領域に含まれていない領域の画像データを、被検出者が保持している保持物に対応する保持物画像データとして特定する特定部とを備える画像処理装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<画像処理システム10の構成例>
図1は、本実施形態に係る画像処理システム10の構成例を示す。画像処理システム10は、撮像装置およびサーモグラフィーカメラによる画像を解析することにより、撮像画像に含まれている物体のうち人が保持している物体を特定して、人が何を保持しているのかを推定する。
【0017】
なお、本実施形態においては、物体を保持する人を被検出者20とする。また、被検出者20が保持する物体を保持物30とする。ここで、被検出者20が保持物30を保持する動作は、保持物30を手に持った場合、保持物30を手に持って保持した場合、保持物30を身に付けた場合、保持物30を被検出者20が持っているカゴに入れた場合等を含む。画像処理システム10は、撮像装置110と、サーモグラフィーカメラ120と、制御装置130と、画像処理装置200と、表示装置300とを備える。
【0018】
撮像装置110は、所定の領域を撮像して撮像画像を生成する。撮像装置110は、複数の静止画像または動画を撮像画像として生成する。撮像装置110は、撮像する領域を固定して撮像画像を生成することが望ましい。撮像装置110は、例えば、予め定められた位置に固定され、予め定められた領域を継続して撮像する。この場合、撮像装置110は、被検出者20が通過することが予想される領域を予め定められた期間だけ継続して撮像することが望ましい。
【0019】
サーモグラフィーカメラ120は、所定の領域内の被写体から放射される熱を熱分布画像として画像化する。サーモグラフィーカメラ120は、撮像装置110が撮像する領域の少なくとも一部を含む領域を熱分布画像として出力する。サーモグラフィーカメラ120は、撮像装置110が撮像する領域の全部を含む領域を熱分布画像とするように設置されていることが望ましい。例えば、サーモグラフィーカメラ120が画像化した熱分布画像データの画角は、撮像装置110が撮像した撮像画像の画角とほとんど一致するように設置されている。サーモグラフィーカメラ120は、撮像装置110の近辺に固定され、予め定められた期間だけ継続して撮像することが望ましい。
【0020】
以上のように、撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120は、同一の期間に共通の領域を撮像する。このような撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120は、一例として、監視カメラとして機能する。
図1は、商品を陳列している商品棚40を含む領域を共通の領域としている例を示す。そして、商品棚40の前を被検出者20が通過すると、撮像装置110は、被検出者20が含まれる撮像画像を出力する。また、サーモグラフィーカメラ120は、被検出者20から放射される熱の熱分布を含む熱分布画像を出力する。
【0021】
制御装置130は、撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120を制御して、所定の領域を撮像させる。また、制御装置130は、撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120の撮像結果を画像処理装置200に供給させてもよい。制御装置130は、画像処理装置200に対して、撮像結果の取得タイミングを通知してもよい。制御装置130は、例えば、CPU等である。制御装置130は、画像処理装置200に含まれていてもよい。
【0022】
画像処理装置200は、撮像画像と熱分布画像とを取得し、撮像画像および熱分布画像に基づいて、撮像画像から被検出者20が保持している保持物30に対応する保持物画像データを特定する。画像処理装置200は、保持物画像データを解析することにより、保持物30が何であるかを推定してもよい。画像処理装置200は、例えば、保持物30のカテゴリー、種類、製造会社、品名等の(以下、「品名等」という)場合がある。
【0023】
表示装置300は、画像処理装置200が特定した保持物画像データ、および/または、保持物30の品名等の推定結果を表示する。表示装置300は、一例として、撮像装置110が撮像した撮像画像と共に、保持物画像データ、および/または、保持物30の品名等の推定結果を表示する。
【0024】
例えば、被検出者20が商品棚40から商品を手に取って保持した場合、画像処理装置200は、被検出者20が手にした商品に対応する保持物画像データを撮像画像の中から特定する。また、被検出者20が物体を保持したまま商品棚40の前を通過した場合、画像処理装置200は、被検出者20が保持した物体に対応する保持物画像データを撮像画像の中から特定する。このような画像処理装置200について、次に説明する。
【0025】
<画像処理装置200の構成例>
図2は、本実施形態に係る画像処理装置200の構成例を示す。画像処理装置200は、撮像画像取得部210と、熱分布画像取得部220と、記憶部230と、画像生成部240と、特定部250と、第1解析部260と、保持物推定部270とを備える。
【0026】
撮像画像取得部210は、被検出者20が含まれる撮像画像を撮像装置110から取得する。撮像画像取得部210は、撮像装置110が撮像してデータベース等に記憶した撮像画像を、当該データベースから取得してもよい。撮像画像取得部210は、例えば、ネットワーク等を介して撮像画像を取得する。
【0027】
熱分布画像取得部220は、被検出者20から放射される熱をサーモグラフィーカメラ120が画像化した熱分布画像データを取得する。熱分布画像取得部220は、サーモグラフィーカメラ120が画像化してデータベース等に記憶した熱分布画像データを、当該データベースから取得してもよい。熱分布画像取得部220は、例えば、ネットワーク等を介して熱分布画像データを取得する。
【0028】
記憶部230は、取得した撮像画像および熱分布画像データの情報を記憶する。また、記憶部230は、画像処理装置200が動作の過程で生成する、または動作の過程で利用する、中間データ、算出結果、閾値、およびパラメータ等を記憶してもよい。記憶部230は、例えば、撮像画像および熱分布画像データを、撮像した時刻に対応付けて記憶する。記憶部230は、画像処理装置200内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
【0029】
記憶部230は、コンピュータが画像処理装置200として動作する場合、画像処理装置200として機能するOS(Operating System)、およびプログラムの情報を格納してもよい。また、記憶部230は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、コンピュータは、記憶部230に記憶されたプログラムを実行することによって、画像処理装置200の撮像画像取得部210、熱分布画像取得部220、画像生成部240、特定部250、第1解析部260および保持物推定部270の少なくともいずれかとして機能する。また、コンピュータは、制御装置130の機能を更に有してもよい。
【0030】
記憶部230は、例えば、コンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、および作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部230は、HDD(Hard Disk Drive)および/またはSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。また、コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。このようなコンピュータは、例えば、サーバ、パソコン(PC)、携帯型PC、タブレット型PC、スマートフォン等である。また、画像処理装置200と表示装置300とは一体化された装置であってもよい。
【0031】
画像生成部240は、撮像画像と、撮像画像取得部210が過去の所定の期間内に取得した撮像画像との差分を示す差分画像データを生成する。所定の期間内に撮像画像取得部210が取得する撮像画像は、例えば、撮像装置110が撮像する領域の背景画像である。この場合、差分画像データは、撮像画像から背景画像を差し引いた背景除去画像を示す画像データとなる。ここで、所定の期間は、被検出者20が撮像範囲に滞在していないことが想定される時間に基づいて定められており、例えば、画像処理装置200の初期設定等の期間である。
【0032】
なお、所定の期間において被検出者20が撮像範囲に滞在していても、被検出者20が移動していれば、画像生成部240が移動前の撮像画像と移動後の撮像画像との差分を算出することにより、背景除去画像を示す画像データを生成できる。この場合、所定の期間は、被検出者20が撮像範囲に滞在していることが想定される時間に基づいて定められており、例えば、数秒程度以内の期間である。一例として、所定の期間は、5秒以内の期間である。
【0033】
なお、被検出者20が立ち止まっている場合、所定の期間が経過しても差分のデータがほとんど零になってしまうことがある。この場合、画像生成部240は、所定の期間を延長して差分画像データを生成してもよい。また、画像生成部240は、所定の期間に取得された複数の撮像画像から複数の差分画像を生成し、複数の異なる差分画像を合成することで背景画像を生成してもよい。この場合、画像生成部240は、撮像画像と合成した背景画像との差分を示す差分画像データを生成する。
【0034】
以上のように、画像生成部240は、被検出者20が含まれている撮像画像から背景画像を除去した画像を生成する。したがって、画像生成部240が生成した差分画像データは、被検出者20と被検出者20が保持する保持物30とを示す画像データとなる。
【0035】
特定部250は、差分画像データと熱分布画像データとを比較することにより、被検出者20が保持している保持物30に対応する保持物画像データを特定する。特定部250は、例えば、差分画像データのうち、熱分布画像データにおいて被検出者20が発した熱に対応する領域に含まれていない領域の画像データを、保持物画像データとして特定する。特定部250は、領域決定部251と、被検出者除去部252とを有する。
【0036】
領域決定部251は、熱分布画像データにおいて予め定められた温度以上を示す領域を被検出者領域とする。被検出者20は、体温によって一定の温度範囲の分布を有する。また、背景および保持物30等の被検出者20以外の領域は、例えば、室温程度であり、被検出者20の一定の温度範囲とは異なる温度となる。この場合、熱分布画像データにおいて、被検出者20の体温に基づく予め定められた温度範囲を示す領域は、被検出者20を示す領域となる。そこで、領域決定部251は、熱分布画像データの温度分布に基づいて、被検出者20を示す領域を決定できる。
【0037】
被検出者除去部252は、差分画像データにおいて被検出者領域に対応する画像データを除去した画像データを保持物画像データとして出力する。差分画像データは、被検出者20および保持物30を示す画像データなので、被検出者除去部252が差分画像データから被検出者領域に対応する画像データを除去することにより、保持物30を示す画像データを抽出することができる。
【0038】
第1解析部260は、保持物画像データを画像解析する。第1解析部260は、例えば、抽出された保持物画像データを画像解析することにより、保持物30の特徴を抽出する。保持物画像データは、背景、被検出者20等が除去されており、保持物30の一部または全部を示す画像データとなっているので、既知の画像解析を施すことにより、保持物30の特徴を容易に抽出できる。例えば、第1解析部260は、保持物30の形状、色、材質、印字されている文字、表示、マーク等を抽出する。また、第1解析部260は、画像比較等を施して、既知の物品等と類似しているか否かを判定してもよい。
【0039】
保持物推定部270は、第1解析部260の解析結果に基づき、保持物画像データに対応する保持物30のカテゴリー、種類、製造会社、品名等を推定する。第1解析部260および保持物推定部270は、ネットワークを介して接続されている外部のデータベース等に記憶されている情報を用いて、保持物30の画像解析と推定を実行してもよい。なお、保持物30の画像解析および推定に用いる技術は既知の技術でよく、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置200は、撮像画像および熱分布画像に基づいて、被検出者20が保持している保持物30を撮像画像から特定して品名等を推定する。このような画像処理装置200の処理動作について、次に説明する。
【0041】
<画像処理装置200の動作フローの一例>
図3は、本実施形態に係る画像処理装置200の動作フローの一例を示す。画像処理装置200は、
図3のS310からS390の動作を実行することにより、被検出者20が保持している保持物30の品名等を推定する。
【0042】
撮像画像取得部210は、所定の期間において撮像装置110が撮像した撮像画像を撮像装置110から取得する(S310)。なお、S310において撮像画像取得部210が取得する撮像画像は、背景画像である例を説明する。また、撮像装置110が背景画像を撮像した後に、制御装置130は、撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120による所定の領域の撮像を開始させているものとする。
【0043】
図4は、本実施形態に係る撮像画像取得部210が取得した背景画像の一例を示す。
図4に示す背景画像は、商品棚40と、商品棚40に陳列されている複数の商品41の一例を示す。
【0044】
そして、所定の領域内を被検出者20が通過すると、撮像画像取得部210は、被検出者20が含まれる撮像画像を撮像装置110から取得する(S320)。なお、S320において撮像画像取得部210が取得した撮像画像には、被検出者20と被検出者20が保持している保持物30とが含まれている例を説明する。
図5は、本実施形態に係る撮像画像取得部210が取得した撮像画像の一例を示す。
【0045】
次に、熱分布画像取得部220は、被検出者20から放射される熱をサーモグラフィーカメラ120が画像化した熱分布画像データを取得する(S330)。熱分布画像取得部220が取得する熱分布画像データは、S320において撮像画像取得部210が取得した撮像画像を撮像装置110が撮像した時間とほぼ同時刻にサーモグラフィーカメラ120が画像化したデータであることが望ましい。
【0046】
図6は、本実施形態に係る熱分布画像取得部220が取得した熱分布画像データの一例を示す。
図6に示す熱分布画像データは、被検出者20の体温によって、被検出者20の体の形状に対応する領域が一定の温度以上の分布を有する画像データとなっている例を示す。
【0047】
次に、画像生成部240は、撮像画像から背景画像を差し引いた差分画像データを生成する(S340)。画像生成部240は、例えば、
図5に示す撮像画像の画像データのうち、
図6に示す背景画像の画像データとほぼ一致するデータを差し引いて、差分画像データを生成する。
図7は、本実施形態に係る画像生成部240が生成した差分画像データの一例を示す。差分画像データには、被検出者20と保持物30とが含まれている。なお、差分画像データにおいて、除去した背景画像に対応する領域のデータは、無くてもよく、これに代えて、零等の値が埋め込まれていてもよい。
【0048】
次に、特定部250は、被検出者20が保持している保持物30に対応する保持物画像データを特定する。領域決定部251は、熱分布画像データにおいて予め定められた温度以上を示す領域を被検出者領域と定める(S350)。領域決定部251は、熱分布画像データにおいて予め定められた温度範囲の領域を被検出者領域と決定してもよい。被検出者領域は、例えば、
図6に示す被検出者20の体の形状に対応する領域である。
【0049】
そして、被検出者除去部252は、差分画像データにおいて被検出者領域に対応する画像データを除去した画像データを保持物画像データとして出力する(S360)。被検出者除去部252は、例えば、
図7に示す差分画像データにおいて、被検出者領域に対応する領域を差し引いて、
図8に示す保持物画像データを生成する。このように、
図8は、本実施形態に係る被検出者除去部252が生成した保持物画像データの一例を示す。なお、保持物画像データにおいて、差分画像データから除去した領域のデータは、無くてもよく、これに代えて、零等の値が埋め込まれていてもよい。
【0050】
次に、第1解析部260は、保持物画像データを画像解析する(S370)。第1解析部260は、保持物画像データのうち、データのある領域または零でない領域の画像データを解析する。次に、保持物推定部270は、第1解析部260の解析結果に基づき、保持物画像データに対応する保持物30の品名等を推定する(S380)。
【0051】
画像処理装置200は、保持物30の推定動作を継続する場合(S390:Yes)、S320に戻り、次の撮像画像に対してS320からS390の動作を繰り返す。また、画像処理装置200は、ユーザから動作停止の指示が入力された場合、予め定められた時間が経過した場合、予め定められた回数の推定動作を実行した場合等に、保持物30の品名等の推定動作を停止する(S390:No)。
【0052】
以上のように、本実施形態の画像処理装置200は、撮像画像に含まれている1または複数の物体のうち、人が手にした物体、人が保持している物体等を認識できる。ここで、画像処理装置200は、撮像画像と熱分布画像とを比較することで被検出者20が保持している保持物30に対応するデータ領域を特定するので、複雑なデータ処理を用いることなく容易に保持物30を特定して品名等を推定できる。
【0053】
なお、
図3で説明した動作フローにおいて、撮像画像取得部210が取得する撮像画像と熱分布画像取得部220が取得する熱分布画像データには被検出者20が含まれている例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、画像処理システム10が監視システムとして機能する場合、撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120は、静止画または動画を継続して撮像し、画像処理装置200は、撮像した画像を順次取得してもよい。
【0054】
例えば、共通の領域内に被検出者20が存在しない場合、S340において、画像生成部240が撮像画像から背景画像を差し引いて生成する差分画像データには、零以外の意味のあるデータがほとんどなくなる。また、熱分布画像データには一定の温度以上を示す領域が存在しないので、S350において、領域決定部251は被検出者領域を定めることができない。この場合、特定部250は、保持物画像データを出力しなくてよい。
【0055】
また、差分画像データが人物の形状および物体形状とは全く異なる場合、特定部250は、保持物画像データを出力しなくてよい。特定部250は、差分画像データをフィルタリング処理するフィルタを有し、人物形状および物体形状とは異なる形状のデータを除去してもよい。そして、画像処理装置200は、第1解析部260および保持物推定部270の動作を省略してS320に戻り、次の撮像画像の処理に移行してよい。
【0056】
これに代えて、画像処理装置200は、S350において、被検出者領域がほとんどない場合、以降の動作を省略してS320に戻り、次の撮像画像の処理に移行してもよい。また、画像処理装置200は、S340において、差分画像データに零以外の意味のあるデータがほとんどない場合、以降の動作を省略してS320に戻り、次の撮像画像の処理に移行してもよい。これに代えて、画像処理装置200は、S330において、熱分布画像データに一定の温度以上を示す領域がほとんど存在しない場合、以降の動作を省略してS320に戻り、次の撮像画像の処理に移行してもよい。
【0057】
また、共通の領域内に被検出者20が存在しても、被検出者20が保持物30を保持していないこともある。この場合、S360において、被検出者除去部252が生成する保持物画像データには、零以外の意味のあるデータがほとんどなくなる。この場合、特定部250は、保持物画像データを出力しなくてよい。そして、画像処理装置200は、第1解析部260および保持物推定部270の動作を省略してS320に戻り、次の撮像画像の処理に移行してよい。以上により、画像処理装置200は、所定の領域の撮像を継続させつつ、保持物30を保持した被検出者20が所定の領域を通過した場合、または、被検出者20が所定の領域で保持物30を保持した場合に、保持物30を特定して品名等を推定することができる。
【0058】
<画像処理装置200の変形例>
図9は、本実施形態に係る画像処理装置200の変形例を示す。本変形例の画像処理装置200において、
図2に示された本実施形態に係る画像処理装置200の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。変形例の画像処理装置200は、第2解析部262と、検知部280と、通知部290とを更に備える。
【0059】
第2解析部262は、被検出者領域に対応する被検出者画像データを解析して、被検出者20が保持物30を保持している状態を推定する。領域決定部251が熱分布画像データにおいて被検出者20に対応する被検出者領域を決定するので、被検出者除去部252は、差分画像データにおいて被検出者領域に対応する被検出者画像データを抽出することができる。言い換えると、被検出者除去部252は、差分画像データから除去したデータを被検出者画像データとして出力できる。
【0060】
そして、第2解析部262がこのような被検出者画像データを被検出者除去部252から受け取って解析することにより、例えば、保持物30を保持している被検出者20の姿勢、動き、保持物30の持ち方等の特徴を抽出することができる。第2解析部262は、例えば、保持物30を上から保持している状態、保持物30を下から持ち上げている状態、保持物30を両手で持っている状態、保持物30をつまんでいる状態、保持物30を抱えている状態等を抽出する。
【0061】
この場合、保持物推定部270は、第1解析部260による保持物画像データの解析結果と第2解析部262による被検出者画像データの解析結果とに基づき、保持物30の品名等を推定する。例えば、第2解析部262による被検出者画像データの解析結果が、重量物を持っている被検出者20の姿勢である場合、保持物推定部270は、重量物に合致する保持物30の品名等を推定する。
【0062】
また、第1解析部260および第2解析部262は、時系列に並ぶ複数の保持物画像データおよび被検出者画像データをそれぞれ解析してもよい。例えば、第2解析部262は、被検出者20が左手で第1の保持物30を固定したまま右手で第2の保持物30を徐々に第1の保持物30に近づけてから手を放す動きを、被検出者画像データの特徴として抽出する。この場合、保持物推定部270は、例えば、第1の保持物30としてカゴ等の商品を入れるための容器に合致する品名等を推定し、第2の保持物30として店舗に陳列している商品に合致する品名等を推定する。
【0063】
以上のように、変形例の画像処理装置200は、保持物30を保持している被検出者20の特徴も解析する。これにより、保持物推定部270は、より多くの特徴を用いて保持物30を推定することができ、保持物30の品名等の推定精度をより向上できる。また、保持物推定部270は、保持物30を保持している被検出者20の状態も推定できる。例えば、保持物推定部270は、被検出者20が保持物30を手に持っていること、保持物30を体に身に付けていること、保持物30をカバンの中に入れたこと、保持物30を胸ポケットに入れたこと等を推定できる。
【0064】
検知部280は、被検出者20が保持物30を保持している状態の推定結果に基づき、異常を検知する。例えば、画像処理システム10が店舗に設けられており、顧客を被検出者20として監視している場合を考える。顧客が入店して商品を手に持つと、画像処理装置200は、顧客が手にした商品が何であるかを推定できる。また、画像処理装置200は、顧客が商品を手に持ったままの状態、顧客が商品を元に戻す動作、顧客が商品をカゴに入れる動作、顧客が商品をカバンの中に入れる動作等も推定できる。
【0065】
ここで、店舗が準備しているカゴではなく、顧客が手に持っているカバンの中に商品を入れる動作は、顧客の通常の動作とは異なる。そこで、検知部280は、保持物推定部270による被検出者20の状態の推定結果にこのような異常が発生していることを検知する。例えば、記憶部230には、保持物推定部270の複数の推定結果が被検出者20の正常動作または異常動作と対応付けられて予め記憶されていることが望ましい。これにより、検知部280は、保持物推定部270の推定結果に対応する動作が異常および正常のいずれであるかを検知できる。
【0066】
通知部290は、異常が検知されたことに応じて、予め登録されている通知先に異常を通知する。通知部290は、例えば、画像処理システム10のユーザの端末、ユーザが契約している管理会社、警備会社等の端末等に以上を通知する。また、通知部290は、表示装置等に異常の発生を表示させてもよい。これに代えて、または、これに加えて、通知部290は、警報等を鳴らしてもよい。これにより、画像処理装置200は、例えば、被検出者20が店内で商品を万引きする状況を検出して店主等に通知することができる。
【0067】
以上の本実施形態に係る画像処理システム10は、一例として、商品を販売する店舗に設けられている監視システムとして機能できる。この場合、撮像装置110およびサーモグラフィーカメラ120は、複数の領域を監視できるように、店舗内に複数配置されていることが望ましい。
【0068】
また、画像処理システム10は、1つの監視領域に対して、異なる角度から被検出者20を撮像してステレオ画像を生成する2つの撮像装置110を有していてもよい。これにより、撮像画像には被検出者20と保持物30とが立体的に写るので、画像処理装置200による保持物30の特定および推定の精度を向上させることができる。この場合、サーモグラフィーカメラ120は、2つの撮像装置110の間に配置されていることが望ましい。これにより、サーモグラフィーカメラ120が画像化した熱分布画像データの画角を、2つの撮像装置110が撮像した撮像画像の画角に合わせやすくすることができる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。