【解決手段】自車両の周辺を撮影する撮像部と、前記自車両の周辺に存在する他車両に関する情報を受信する通信部と、前記通信部を介して取得した前記情報に基づいて、前記自車両から所定の範囲内かつ前記自車両と同一車線上に前記他車両が存在するか否かを判定する他車両判定部と、前記他車両が前記自車両から前記所定の範囲内かつ前記自車両と同一車線上に存在すると判定されたとき、当該他車両を画像判定対象車両とし、前記撮像部が撮影した画像に基づいて前記画像判定対象車両の運転状況が所定の状況か否かを判定する状況判定部と、前記画像判定対象車両の運転状況が所定の状況であると判定されると、前記画像に関する情報を記憶する記憶部と、を備える。
前記状況判定部は、前記自車両から前記画像判定対象車両までの距離、前記画像判定対象車両の走行用前照灯の点灯状態、前記画像判定対象車両の操舵状態のうち、少なくともいずれか一つを用いて、前記画像判定対象車両が煽り運転を行っている状況であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の車載装置。
前記通信部は、前記他車両に関する情報として、前記他車両の位置情報、進行方向情報、舵角情報のうち、少なくともいずれか一つを取得することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
前記他車両判定部は、前記自車両から所定の範囲内かつ前記自車両と同一車線上に所在し、さらに前記自車両との速度差が所定値以上である他車両が存在するか否かを判定し、
前記状況判定部は、前記自車両から所定範囲内で、前記自車両と同一車線上を走行し、前記自車両との速度差が所定値以上である他車両を前記画像判定対象車両とする
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
前記状況判定部は、前記自車両から所定範囲内で、前記自車両と同一車線上を走行し、前記自車両との速度差が所定値以上で、前記自車両に接近する他車両が存在する場合に、当該他車両に対して注意喚起を行い、該注意喚起の後も前記自車両への接近が継続するときに、当該他車両を前記画像判定対象車両とすることを特徴とする請求項7に記載の車載装置。
前記状況判定部は、前記自車両から所定範囲内で、前記自車両と同一車線上を走行し、前記自車両との速度差が所定値以上で、前記自車両に接近する他車両が存在する場合に、当該他車両の回避に係る処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の車載装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る運転状況判定についての説明図である。
図1では、後述する車載装置1を搭載した自車両C1と、自車両C1の周囲を走行する他車両C2及び他車両C3を示している。
【0010】
自車両C1に搭載した車載装置1は、車載カメラや電子ミラー等の撮像部を備え、自車両C1の周辺を撮影することができる。また、車載装置1は、自車両の周辺に存在する他車両に関する情報を受信する通信部を備え、通信による他車両判定を行う(1)。具体的には、車載装置1は、通信部を介して取得した情報に基づいて、自車両C1から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に他車両が存在するか否かを判定する。
【0011】
図1の例では、他車両C2が「自車両C1から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上」の条件に該当する。車載装置1は、この条件に該当する他車両C2を画像判定対象車両とし、撮像部が撮影した画像に基づいて他車両C2の運転状況が所定の状況か否かを判定する(2)。詳細については後述するが、車載装置1は、画像による状況判定により他車両C2が煽り運転を行っている状況であるか否かを判定する。
【0012】
他車両C2が煽り運転を行っている状況であると判定したならば、車載装置1は、データ保管を実行する(3)。データ保管は、他車両C2の画像に関する情報を記憶する処理である。画像に関する情報とは、例えば画像自体であってもよいし、画像を加工して生成したデータ(例えば、他車両C2の像を切り出したデータや、他車両C2の車両識別番号の読み取り結果など)でもよい。また、画像撮像時の日時、位置、自車両の状態なども他車両C2の画像に関する情報に含めることができる。
【0013】
このように、車載装置1は、通信により取得した情報に基づいて自車両C1の周囲における他車両の存在を判定し、所定の範囲内かつ同一車線上に存在する他車両を画像判定対象車両として、画像による状況判定を行う。このため、画像処理に係る消費電力及び処理負荷の低減と、リアルタイム性とを両立させ、適切に他車両の危険な運転を判定することができる。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る車載装置の構成図である。
図2に示すように、車載装置1は、自車両状態情報取得部2、自車位置検出部3、無線通信部4、走行車線・車両認識部5、記憶部6、情報通知部7、情報制御コントローラ8及びデータ保管部9を備えて構成される。
【0015】
自車両状態情報取得部2は、自車両に搭載された各種センサからそれぞれ出力されたセンサ信号に基づいてECU(Engine Control Unit))等のセンサ信号処理部14により検出された自車両の状態を表す情報(以下、これを自車両状態情報と呼ぶ)を取得して情報制御コントローラ8に提供するインタフェースである。
【0016】
実際上、自車両状態情報取得部2には、車速センサ10から出力された車速パルス信号に基づいてセンサ信号処理部14により検出された自車両の車速を表す車速情報や、サイドブレーキに設けられたサイドブレーキセンサ11から出力されたサイドブレーキ信号に基づきセンサ信号処理部14により判定されたサイドブレーキが掛けられているか否かを表すサイドブレーキ情報、ジャイロ12から出力された回転検出信号に基づきセンサ信号処理部14により検出された自車両の回転角度を表す回転情報、及び、加速度センサ13から出力された加速度信号に基づきセンサ信号処理部14により検出された自車両の加速度を表す加速度情報などが与えられる。かくして自車両状態情報取得部2は、これらの自車両状態情報を取得し、これらの自車両状態情報を情報制御コントローラ8に出力する。
【0017】
自車位置検出部3は、GPS(Global Positioning System)情報受信部20から構成される。GPS情報受信部20は、3つ以上のGPS衛星からの電波信号をGPSアンテナ21を介して受信し、受信したこれらの電波信号に基づいて自車両の現在位置を測位し、測位結果を自車位置情報として情報制御コントローラ8に出力する。
【0018】
無線通信部4は、自車両周辺の他車両との間で車々間通信を行う機能部であり、送信部22及び受信部23を備えて構成される。無線通信部4は、情報制御コントローラ8から与えられた自車両の車両情報を含むCAM(Cooperative Awareness Message)や、必要な情報を含むDENM(Decentralized Environmental Notification Message)を送信部22によりアンテナ24を介して周辺の他車両に送信し、アンテナ24を介して受信部23が受信した他車両からのCAMやDENMを周辺車両情報として情報制御コントローラ8に出力する。
【0019】
走行車線・車両認識部5は、ミリ波レーダ又はレーザレーダなどのレーダ25と、赤外線カメラ、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの車載カメラ26と、電子ミラー27などから構成され、前方の走行車線や周辺車両を検出・認識し、検出・認識結果を走行車線・車両認識結果情報として情報制御コントローラ8に出力する。なお、電子ミラー27は、撮像部と表示部を有し、サイドミラーやルームミラーに相当する機能を実現する装置である。
【0020】
記憶部6は、例えば、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成され、地図データ28や、車両識別情報29及び特定エリア情報30などが格納される。地図データ28には、道路ごとの種別(一般道又は高速道路)や車線数などの情報が含まれる。また車両識別情報29は、DENMにおける緊急車両を表す情報が格納されるフィールドの位置やその情報の値などの情報を含み、特定エリア情報30は、一般道及び高速道路の各特定エリアの位置情報及びその範囲を表す情報を含む。
【0021】
情報通知部7は、車々間通信により得られた情報をドライバに通知するための機能部であり、液晶パネルなどから構成される表示部31と、スピーカから構成される音声出力部32と、ステアリングやシートを振動させる振動発生部33となどから構成される。
【0022】
情報制御コントローラ8は、無線通信部4を介して周辺の他車両と車々間通信を行い、かくして得られたこれら他車両の位置及び速度などの車両情報と、自車両状態情報取得部2を介して取得した自車両状態情報と、自車位置検出部3から与えられる自車位置情報と、走行車線・車両認識部5から与えられる走行車線・車両認識結果情報と、記憶部6に格納された地図データ28、車両識別情報29及び特定エリア情報30とに基づいて自車両の運転を支援するための情報を情報通知部7を介してドライバに適宜提供する。例えば、情報制御コントローラ8は、必要な情報を情報通知部7の表示部31に表示させたり、必要な音声メッセージを情報通知部7の音声出力部32から出力させる。また情報制御コントローラ8は、必要に応じて情報通知部7の振動発生部33を動作させてステアリングやシートを振動させることにより、ドライバに警告を与える。
【0023】
さらに、情報制御コントローラ8は、無線通信部4を介して取得した他車両に関する情報、すなわち周辺車両情報に基づいて、通信による他車両判定を行い、画像判定対象車両が存在するかどうかを判定する。例えば、自車両から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に他車両が存在するか否かを判定する。通信による他車両判定には、「自車両から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に他車両が存在するか否か」だけではなく、「所定範囲内、同一車線、かつ速度差が所定値以上」や、「所定範囲内、同一車線、かつ速度差が所定値以上で接近。さらに、注意喚起後も接近継続」等が含まれる。そして、例えば、他車両が自車両から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に存在すると判定したとき、当該他車両を画像判定対象車両とし、車載カメラ26や電子ミラー27などの撮像部が撮影した画像に基づいて、例えば特徴点を抽出して特徴点の時間変化を観測する等の公知の画像認識手法を用いて、画像判定対象車両の運転状況が所定の状況か否かを判定する。換言すると、自車両から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に他車両が存在しないとき、画像認識による画像判定対象車両の運転状況の判定を行わない。このように、画像認識等の画像処理を常に実施することを避けて必要なときのみ画像処理を行うことで、消費電力が大きくなったり、画像処理の負荷が高くなったりすることを防ぐことができる。また、画像判定対象車両の運転状況が所定の状況か否かを画像認識等の画像処理によって行うため、車々間通信のみで判定対象車両の運転状況を判定する場合と比較して通信帯域の混雑等の影響を受けずによりリアルタイムに運転状況を判定できる。このように、情報制御コントローラ8は、特許請求の範囲における他車両判定部としての機能と、状況判定部としての機能を実現する。
【0024】
さらに、情報制御コントローラ8は、画像判定対象車両の運転状況が所定の状況であると判定すると、画像に関する情報を所定の記憶媒体に格納する。この格納先は、記憶部6であってもよいし、データ保管部9であってもよい。データ保管部9は、メモリカード34や内蔵メモリ35を含む。例えば、記憶部6の所定容量を常時録画用に割り当てて上書きしつつ使用し、所定の状況にかかる画像については記憶部6からデータ保管部9のメモリカード34や内蔵メモリ35に複製することで、上書されないように保管すればよい。
【0025】
図3は、車載装置1による運転状況判定の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、自車両の走行中に繰り返し実行される。処理手順を開始した車載装置1は、まず、通信範囲を決定する(ステップS101)。この通信範囲は、例えば自車両の走行速度、道路種別(一般道か高速道路かなど)、現在位置の場所の種別(道路上か駐車場かなど)、周辺状況(渋滞など)に基づいて定めればよい。
【0026】
車載装置1は、決定した通信範囲内に所在する他車両などと通信し、他車両の情報を受信する(ステップS102)。そして、受信した他車両の情報を用い、通信による他車両判定を行う(ステップS103)。
【0027】
通信による他車両判定の結果、画像判定対象車両が存在しなければ(ステップS104;No)、そのまま処理を終了する。一方、画像判定対象車両が存在するならば(ステップS104;Yes)、車載装置1は、車載カメラ26や電子ミラー27などの撮像部が撮影した画像による状況判定を行う(ステップS105)。判定の結果、煽り運転を検知しなければ(ステップS106;No)、そのまま処理を終了する。煽り運転を検知したならば(ステップS106;Yes)、車載装置1は、煽り対応処理を行って(ステップS107)、処理を終了する。
【0028】
図4は、判定と処理の具体例についての説明図である。
図4では、通信による他車両判定の条件として、「所定範囲内かつ同一車線。」、「所定範囲内、同一車線、かつ速度差が所定値以上。」、「所定範囲内、同一車線、かつ速度差が所定値以上で接近。さらに、注意喚起後も接近継続。」を例示している。
【0029】
条件「所定範囲内かつ同一車線。」を用いるならば、車載装置1は、所定範囲内かつ同一車線を走行する他車両を画像判定対象車両として検知する。同様に、条件「所定範囲内、同一車線、かつ速度差が所定値以上。」を用いるならば、車載装置1は、所定範囲内かつ同一車線を走行する他車両が存在し、速度差が所定値以上であるときに、この他車両を画像判定対象車両として検知する。
【0030】
条件「所定範囲内、同一車線、かつ速度差が所定値以上で接近。さらに、注意喚起後も接近継続。」を用いるならば、車載装置1は、所定範囲内かつ同一車線を走行する後続の他車両が所定値以上の速度差で接近するときに、この他車両に注意喚起の通知を行い、通知の後も接近が継続した場合にこの他車両を画像判定対象車両として検知する。
【0031】
また、
図4では、画像による状況判定の条件として「車間距離が所定距離未満。」、「幅寄せの検知。」、「パッシングの検知。」、「蛇行の検知。」を例示している。条件「車間距離が所定距離未満。」を用いるならば、車載装置1は、画像認識等の画像処理により画像判定対象車両との車間距離を測定し、所定距離未満の状態が継続または断続的に発生した場合に煽り運転として検知する。同様に、条件「幅寄せの検知。」を用いるならば、画像判定対象車両が自車両の側方から接近し、画像判定対象車両までの距離が閾値以下となった場合に煽り運転として検知する。
【0032】
また、条件「パッシングの検知。」を用いるならば、走行用前照灯(ハイビーム)とすれ違い用前照灯(ロービーム)との切り替えを識別することで、煽り運転を検知する。また、条件「蛇行の検知。」を用いるならば、画像認識等の画像処理により画像判定対象車両が蛇行していると判定した場合に、煽り運転として検知する。
【0033】
また、
図4では、煽り対応処理として「画像データの保管。」、「自車両の運転手への報知、操作支援、自車両の制御。」、「通報。」、「相手車両に通知。」を例示している。「画像データの保管。」はこれまで説明したように、煽り運転を行っている車両の画像に関する情報を保管する処理である。なお、常時録画から保管対象のデータを複製する場合には、煽り運転の検知よりも前の時点、すなわち煽り運転を行った車両の像が画像内に現れた時点から遡って保管してもよい。
【0034】
「自車両の運転手への報知、操作支援、自車両の制御。」を行う場合には、例えば、煽り運転が発生していることの報知、回避操作の支援、通報操作の支援、回避のための車両制御の実行などを行う。「通報。」は、警察や警備会社への通報を自動実行するものである。「相手車両に通知。」は、例えば煽り運転として記録を開始する旨などを通知するものである。このように、車載装置1は、煽り運転を検知した場合に、画像に関する情報の保管に限らず、各種対応を行うことができる。
【0035】
次に、各種具体例について説明する。
図5は、接近する後続車両を回避する場合の説明図である。
図5では、自車両C1の車載装置1は、自車両C1より15km/h以上速い後続車両である他車両C2が、同一車線の150m以内に接近したことを通信により検知している。そして、車載装置1は、道路の形状と周囲の車両の位置から、車線変更による回避が可能であると判定し、回避に係る操作(ウインカーやハンドルの操作)などをトリガーに回避行動を行うことを他車両C2に通知する。もしくは、自車両C1の動作を制御して回避行動を実行する。このように、通信による他車両判定の後、回避行動が行われ、他車両C2が同一車線でなくなれば、他車両C2を画像判定対象車両とする必要はない。
【0036】
図6は、接近する後続車両を回避できない場合の説明図である。
図6では、自車両C1の車載装置1は、自車両C1より15km/h以上速い後続車両である他車両C2の接近を検知したが、車線変更による回避ができないまま他車両C2が接近を続けている。この結果、他車両C2までの距離が10m以内となったならば、車載装置1は、他車両C2を画像判定対象車両として、画像による煽り運転の判定を行う。画像認識等の画像処理により、例えば、異常接近と追い回し、ハイビーム、幅寄せなどを認識したならば、車載装置1は、煽り運転を検知したと判定して、データ保管などの対応を行うことになる。
【0037】
図7は、前方からの煽り運転についての説明図である。
図7に示した例では、自車両C1の前方に他車両C2が走行しているが、この他車両C2は異常な減速や低速運転を行ったならば、自車両C1の車載装置1は、煽り運転と判定し、データを保管することができる。
【0038】
図8は、他車両に関する情報を当該他車両から受信する場合の説明図である。
図8では、自車両C1の後続車両が他車両C2である。そして、自車両C1の車載装置1は、他車両C2から他車両C2に関する情報を受信している。具体的には、他車両C2について位置情報、進行方向情報、舵角情報、速度情報を受信し、受信した情報を用いて他車両C2を画像判定対象車両とするか否かを決定する。
【0039】
図9は、他車両に関する情報を当該他車両以外から受信する場合の説明図である。
図9では、自車両C1の後続車両が他車両C2と他車両C3である。そして、自車両C1の車載装置1は、他車両C3から他車両C2と他車両C3に関する情報を受信している。具体的には、他車両C2について位置情報、進行方向情報、舵角情報、速度情報を受信し、他車両C3について位置情報、進行方向情報、舵角情報、速度情報を受信している。
【0040】
他車両C2についての情報は、他車両C3が先行車両の情報として取得したものである。すなわち、他車両C3が先行車両である他車両C2との車間距離、相対進行方向、舵角情報、相対速度を取得することで、他車両C2についての情報を生成し、自車両C1に提供している。他車両C2が通信機能を有していない場合であっても、このように他車両C3から他車両C2についての情報を取得し、他車両C2を画像判定対象車両とするか否かを決定することができる。
【0041】
上述してきたように、本実施の形態によれば、車載装置1は、自車両の周辺を撮像部により撮影するとともに、自車両の周辺に存在する他車両に関する情報を通信部により受信する。そして、通信部を介して取得した情報に基づいて、自車両から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に他車両が存在するか否かを判定する。車載装置1は、他車両が自車両から所定の範囲内かつ自車両と同一車線上に存在すると判定されたとき、当該他車両を画像判定対象車両とし、撮像部が撮影した画像に基づいて画像判定対象車両の運転状況が所定の状況か否かを判定する。車載装置1は、画像判定対象車両の運転状況が所定の状況であると判定されると、画像に関する情報を記憶する。かかる構成及び動作により車載装置1は、画像処理に係る消費電力及び処理負荷の低減と、リアルタイム性とを両立させ、より適切に他車両の危険な運転を判定することができる。
【0042】
具体的には、車載装置1は、画像判定対象車両の運転状況が自車両にとって危険な運転状況であるか否かを判定する。たとえば、車載装置1は、自車両から画像判定対象車両までの距離、画像判定対象車両の走行用前照灯の点灯状態、画像判定対象車両の操舵状態のうち、少なくともいずれか一つを用いて、画像判定対象車両が煽り運転を行っている状況であるか否かを判定することができる。
【0043】
また、車載装置1は、他車両に関する情報として、他車両の位置情報、進行方向情報、舵角情報のうち、少なくともいずれか一つを取得して、判定に利用している。この他車両に関する情報は、当該他車両から受信してもよいし、当該他車両以外から受信することも可能である。
【0044】
また、車載装置1は、自車両から所定範囲内で、自車両と同一車線上を走行し、自車両との速度差が所定値以上である他車両を画像判定対象車両とすることもできる。このように、速度差をさらに利用することで、画像判定対象とする他車両を絞り込み、より効率的に判定が可能である。
【0045】
また、車載装置1は、自車両から所定範囲内で、自車両と同一車線上を走行し、自車両との速度差が所定値以上で、自車両に接近する他車両が存在する場合に、当該他車両に対して注意喚起を行い、該注意喚起の後も自車両への接近が継続するときに、当該他車両を画像判定対象車両とすることができる。また、自車両から所定範囲内で、自車両と同一車線上を走行し、自車両との速度差が所定値以上で、自車両に接近する他車両が存在する場合に、当該他車両の回避に係る処理を行うこともできる。このように、注意喚起や回避により、自車両の安全に寄与することが可能である。
【0046】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、構成及び動作を適宜変形して実施することができる。例えば、各種判定の順序や内容は適宜変更可能である。一例として、通信による他車両の判定を行う場合に、自車両との速度差が所定値以上である他車両をまず抽出し、距離、車線の順で絞り込みを行うことで、画像判定対象の候補となる車両数を早期に削減し、処理を効率化することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、他車両に関する情報を車々間通信によって取得する場合を例に説明を行ったが、車両以外の路上に設置された装置などから他車両に関する情報を取得する構成として実施してもよい。