【解決手段】端子付電線20は導体芯線24と前記導体芯線24を覆う絶縁被覆26とを含む被覆電線22と、前記導体芯線24と接続されているジョイント端子30と、相手側端子と接続されるコネクタ端子40と、一端が前記ジョイント端子30に接続されていると共に他端が前記コネクタ端子40に接続されている単芯の中継導体46と、前記中継導体46の中間部に被さるシール部材50と、を備える。前記ジョイント端子30の長手方向に沿った同じ位置において前記導体芯線24及び前記中継導体46に前記ジョイント端子30のワイヤーバレル32が圧着されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の端子付電線は、次の通りである。
【0011】
(1)導体芯線と前記導体芯線を覆う絶縁被覆とを含む被覆電線と、前記導体芯線と接続されているジョイント端子と、相手側端子と接続されるコネクタ端子と、一端が前記ジョイント端子に接続されていると共に他端が前記コネクタ端子に接続されている単芯の中継導体と、前記中継導体の中間部に被さるシール部材と、を備え、前記ジョイント端子の長手方向に沿った同じ位置において前記導体芯線及び前記中継導体に前記ジョイント端子のワイヤーバレルが圧着されている、端子付電線である。ジョイント端子の長手方向に沿った同じ位置において導体芯線及び中継導体にジョイント端子のワイヤーバレルが圧着されている。このため、ジョイント端子の長手方向に沿って異なる位置において導体芯線及び中継導体にそれぞれワイヤーバレルが圧着される場合と比べて、ジョイント端子を短くできる。これにより、端子付電線のうちコネクタハウジングのキャビティに配置される部分の長さ寸法を短くすることができる。
【0012】
(2)(1)の端子付電線において、前記ワイヤーバレルに圧着される部分において前記導体芯線及び前記中継導体が前記ジョイント端子の高さ方向に並んでいてもよい。これにより、圧着方向に導体芯線及び中継導体が並ぶことができる。
【0013】
(3)(2)の端子付電線において、前記導体芯線及び前記中継導体のうち前記導体芯線が前記ジョイント端子の底部側に位置してもよい。これにより、中継導体が導体芯線の上方を覆うことができる。
【0014】
(4)(1)の端子付電線において、前記ワイヤーバレルに圧着される部分において前記導体芯線及び前記中継導体が前記ジョイント端子の幅方向に並んでいてもよい。これにより、圧着方向と交差する方向に導体芯線及び中継導体が並ぶことができる。
【0015】
(5)(4)の端子付電線において、前記ワイヤーバレルが一対の圧着片を含み、前記導体芯線が前記一対の圧着片の一方に包まれ、前記中継導体が前記一対の圧着片の他方に包まれていてもよい。これにより、導体芯線及び中継導体がそれぞれ別の圧着片によって圧着されることができる。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの端子付電線において、前記シール部材はコネクタハウジングのキャビティ内面に接触可能なシール本体と前記シール本体の一方側に設けられた被圧着部とを含み、前記被圧着部は前記ジョイント端子と前記コネクタ端子とのうちいずれかに圧着されていてもよい。これにより、シール本体の両側に被圧着部が設けられ、両側の被圧着部がジョイント端子及びコネクタ端子にそれぞれ圧着される場合と比べて、シール部材を短くできる。これにより、端子付電線のうちコネクタハウジングのキャビティに配置される部分の長さ寸法を短くすることができる。
【0017】
(7)また、本開示のコネクタ付き電線は、キャビティが形成されたコネクタハウジングと、前記キャビティに収められた(1)から(6)のいずれか1つの端子付電線と、を備える、コネクタ付き電線である。端子付電線のうちコネクタハウジングのキャビティに配置される部分の長さ寸法を短くすることができる。これにより、キャビティ自体も短くすることができることによって、コネクタの小型化を図ることができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子付電線及びコネクタ付き電線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる端子付電線及びそれを備えるコネクタ付き電線について説明する。
図1は実施形態1にかかる端子付電線20及びコネクタ付き電線1を示す断面図である。
図1においてコネクタハウジング10はキャビティ14の長手方向に平行な面に沿って切断されている。
図1において端子付電線20は断面図とされていない。
【0020】
コネクタ付き電線1は、コネクタハウジング10と端子付電線20とを備える。コネクタハウジング10にはキャビティ14が形成されている。端子付電線20の先端部は、キャビティ14における所定の位置に収められた状態(以下、収容状態という)とされる。端子付電線20にはシール部材50が設けられている。収容状態で、シール部材50が所定のシール位置(ここではキャビティ14の長手方向に沿った中間部の位置)に位置する。収容状態において、シール部材50によってキャビティ14の一方開口部と他方開口部とが止水されている。
【0021】
<コネクタハウジング>
コネクタハウジング10は、ハウジング本体12を備える。ハウジング本体12にキャビティ14が形成されている。キャビティ14は少なくとも1つ形成される。ここではキャビティ14は複数形成されている。複数のキャビティ14は、複数段、複数列に並ぶように形成されていてもよい。複数のキャビティ14は、1段、複数列に並ぶように形成されていてもよい。
【0022】
キャビティ14はハウジング本体12を貫通するように形成されている。キャビティ14の一方開口部はハウジング本体12の一方端面に開口する。この一方開口部からキャビティ14内に端子付電線20が挿入される。キャビティ14の他方開口部はハウジング本体12の他方端面に開口する。他方開口部はオス端子に設けられた導体ピンが通る部分である。
【0023】
なお
図1に示す例は、キャビティ14に収められる端子付電線20の端子がメス端子の場合の事例である。この場合、相手側コネクタのオス端子に設けられた導体ピンが他方開口部を通ってキャビティ14内に挿入される。そして、キャビティ14内においてメス端子と相手側のオス端子に設けられた導体ピンとが接続される。もっとも、キャビティ14に収められる端子がオス端子であってもよい。この場合、当該オス端子に設けられた導体ピンが他方開口部を通ってキャビティ14外に突出する。そして、キャビティ14外でオス端子に設けられた導体ピンと相手側のメス端子とが接続される。他方開口部は導体ピンよりも大きく形成されると共にメス端子よりも小さく形成される。これにより、キャビティ14内に収められたメス端子が他方開口部から抜けることが抑制される。
【0024】
コネクタハウジング10に車両取付部16が設けられている。車両取付部16はハウジング本体12の側面から外方に突出するように設けられている。車両取付部16はコネクタハウジング10を車両に取付けるための部分である。車両取付部16には装着孔17が形成されている。装着孔17にボルト等が挿入されて車両取付部16が車両に取付けられる。装着孔17に金属リングなどが設けられていてもよい。コネクタハウジング10において車両取付部16は省略されてもよい。
【0025】
またコネクタハウジング10に封止材装着部18が設けられている。封止材装着部18はハウジング本体12の側面の一部が環状に凹むように設けられている。封止材装着部18は車両取付部16の両側に設けられる。封止材装着部18には、Oリング等の封止材Sが装着される。コネクタハウジング10において封止材装着部18は省略されてもよい。
【0026】
コネクタハウジング10は絶縁性を有する樹脂等を材料として形成される。コネクタハウジング10は例えば射出成形品である。
【0027】
<端子付電線>
実施形態1にかかる端子付電線20について、
図1に加えて、
図2及び
図3を参照しつつ詳述する。
図2は実施形態1にかかる端子付電線20を示す平面図である。
図3は実施形態1にかかる端子付電線20を示す分解斜視図である。
【0028】
端子付電線20は被覆電線22とジョイント端子30とコネクタ端子40と中継導体46とシール部材50とを備える。被覆電線22の端部にジョイント端子30が設けられる。ジョイント端子30の先端側にコネクタ端子40と中継導体46とが設けられる。中継導体46がジョイント端子30及びコネクタ端子40にそれぞれ接続される。ジョイント端子30とコネクタ端子40とは中継導体46を介して接続される。被覆電線22のうちジョイント端子30に接続される部分及びそれよりも一端側部分がキャビティ14に収まっている。被覆電線22のうちジョイン端子に接続される部分よりも他端側部分が一方開口部からキャビティ14の外方に延びている。
【0029】
被覆電線22は導体芯線24と絶縁被覆26とを有する。ここでは導体芯線24は撚線である。撚線は複数の素線が撚られて形成されている。かかる素線は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導体を材料に形成される。絶縁被覆26は導体芯線24を覆う。絶縁被覆26は導体芯線24の周りに樹脂材料が押出成形されたり、絶縁塗料が塗布されたりして形成される。導体芯線24の先端は絶縁被覆26より外方に突出し、芯線露出部をなしている。
【0030】
ジョイント端子30は、被覆電線22及び中継導体46に圧着されて接続されている。ジョイント端子30はワイヤーバレル32とインシュレーションバレル34、36とを含む。ワイヤーバレル32及びインシュレーションバレル34、36はオープンバレルである。ワイヤーバレル32は一対の圧着片32a、32bを有する。インシュレーションバレル34は一対の圧着片34a、34bを有する。インシュレーションバレル36は一対の圧着片36a、36bを有する。三対の圧着片32a、32b、34a、34b、36a、36bは、ジョイント端子30における底部31につながっている。
【0031】
底部31は平板状又は半筒状などに形成される。底部31は一方に長く形成される。底部31の長手方向がジョイント端子30の長手方向である。三対の圧着片32a、32b、34a、34b、36a、36bは、底部31の長手方向に沿って一端側から他端側に向けて一対ずつ圧着片34a、34b、圧着片32a、32b、圧着片36a、36bの順に並んでいる。一対の圧着片32a、32bは底部31の幅方向両側から突出する。他の対の圧着片についても同様である。底部31の幅方向がジョイント端子30の幅方向である。三対の圧着片32a、32b、34a、34b、36a、36bは、底部31に対して一方側に突出する。底部31から圧着片32a、32b、34a、34b、36a、36bが突出する方向がジョイント端子30の高さ方向である。かかるジョイント端子30は、例えば、導体板が折り曲げられて形成される。
【0032】
ワイヤーバレル32は導体芯線24における端部の芯線露出部と中継導体46とに圧着されている。ワイヤーバレル32が導体芯線24及び中継導体46に圧着された部分は接続部分CP1とされる。接続部分CP1について詳しくは後述する。
【0033】
インシュレーションバレル34は、絶縁被覆26に圧着されている。インシュレーションバレル36が絶縁被覆26に圧着された部分は被覆保持部とされる。インシュレーションバレル36はシール部材50に圧着されている。インシュレーションバレル36がシール部材50に圧着された部分はシール部材保持部とされる。インシュレーションバレル34、36は省略されてもよい。
【0034】
コネクタ端子40は相手側接続部41と中継導体接続部42とを含む。上記したように相手側接続部41はメス端子形状に形成されている。相手側接続部41はオス端子形状に形成されていてもよい。コネクタ端子40は、中継導体46に圧着されて接続されている。コネクタ端子40は、例えば、導体板が折り曲げられて形成される。もっとも、コネクタ端子40は中継導体46に溶接、圧接等によって接続されていてもよい。
【0035】
相手側接続部41は箱状に形成され、前端部が開口している。当該開口から相手側接続部41の内部にオス端子が挿入される。相手側接続部41の内部には適宜バネ接点部等が設けられる。相手側接続部41の内部においてバネ接点部等とオス端子とが接続される。
【0036】
中継導体接続部42はワイヤーバレル43とインシュレーションバレル44とを有している。ワイヤーバレル43は中継導体46に圧着されている。インシュレーションバレル44はシール部材50に圧着されている。中継導体接続部42においてインシュレーションバレル44は省略されてもよい。
【0037】
中継導体46は単芯の1つの導体として形成されている。中継導体46は円柱状の棒状に形成される。中継導体46は円筒状の棒状に形成されてもよい。中継導体46はシール部材50よりも長尺に設けられている。中継導体46の長手方向に沿った両端部はシール部材50の外方に突出している。中継導体46の両端部はワイヤーバレル32、43にそれぞれ圧着されている。中継導体46の長手方向に沿った中間部にシール部材50が装着されている。
【0038】
シール部材50はシール本体52と被圧着部54、55とを有している。シール部材50には貫通孔56が形成されている。貫通孔56に中継導体46が通される。シール本体52及び被圧着部54、55は貫通孔56の軸方向に沿って並んでいる。ここではシール本体52の一方側に被圧着部54が設けられ、他方側に被圧着部55が設けられている。シール本体52のいずれか一方のみに被圧着部が設けられていてもよい。被圧着部54、55のいずれか一方又は両方は省略されてもよい。
【0039】
シール本体52は端子付電線20がキャビティ14に挿入された状態で、一方開口部と他方開口部との間を止水する部分である。シール本体52の外面において環状凹部と環状凸部とが長手方向に沿って交互に連なっている。シール本体52は長手方向に沿ってジョイント端子30及びコネクタ端子40の間に位置する。シール本体52における環状凸部は、ジョイント端子30及びコネクタ端子40よりも径方向に沿って外側に突出する。端子付電線20がキャビティ14に挿入される前の状態で、シール本体52の外径は所定のシール位置におけるキャビティ14の内径と同じかそれよりも大きく設定される。端子付電線20がキャビティ14に挿入された状態で、シール本体52の外面はキャビティ14の内面に密着する。
【0040】
2つの被圧着部54、55は中継導体46に被さった状態でインシュレーションバレル36、44にそれぞれ圧着される部分である。これにより、被圧着部54、55がジョイント端子30及びコネクタ端子40に位置決め保持され、シール部材50が端子付電線20に位置決め保持される。被圧着部54、55の両方が省略される場合、中継導体46はシール部材50を位置決め保持可能な形状にされると良い。例えば中継導体46に環状の溝が形成されてもよい。環状の溝にシール部材50が収まることによってシール部材50が中継導体46に位置決め保持される。
【0041】
収容状態において、シール部材50が設けられることによってキャビティ14の一方開口部と他方開口部との間が止水されている。シール部材50による止水対象となる液体としては、水、オイル等が想定される。オイルは、例えば、自動変速機において自動変速の制御動作を行うためのオイル(作動油)である。キャビティ14の一方開口部と他方開口部との間の止水は例えば以下のようにしてなされる。
【0042】
中継導体46の内部は中実に形成されている。これにより中継導体46の内部を伝って液体がキャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。中継導体46の内部は中空であってもよい。この場合でも、長手方向に沿って中継導体46の少なくとも一方が閉塞されていれば中継導体46の内部を伝って液体がキャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。
【0043】
シール本体52における内面(貫通孔56の内周面)は円形状とされる。収容状態で、シール本体52における内面は周方向全体にわたって中継導体46の外面に密着している。シール本体52がこれによりシール本体52と中継導体46との間を伝って液体がキャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。なおシール本体52において長手方向に沿った少なくとも一部における内面が全周にわたって中継導体46の外面に密着していればよい。シール本体52における内面は中継導体46に装着される前の状態で中継導体46の外面よりも小さく形成されていてもよい。収容状態でキャビティ14からの圧力を受けてシール本体52における内面が中継導体46における外面に押し付けられていてもよい。
【0044】
シール本体52の環状凸部における外面は円形状とされる。収容状態で、シール本体52の環状凸部における外面は、シール位置におけるキャビティ14の内面に全周にわたって密着している。これによりシール本体52とコネクタハウジング10との間を伝って液体がキャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。
【0045】
<接続部分CP1>
接続部分CP1について
図4及び
図5を参照しつつ詳述する。
図4は
図2のIV−IV線に沿って切断された断面図であり、接続部分CP1を示す断面図である。
図5は導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30に接続される様子を示す説明図である。
図4はワイヤーバレル32が圧着された後の状態を示している。
図5はワイヤーバレル32が圧着される前の状態を示している。
【0046】
導体芯線24及び中継導体46に1つのワイヤーバレル32が圧着されて接続部分CP1とされている。ジョイント端子30の長手方向に沿った同じ位置において導体芯線24及び中継導体46にジョイント端子30のワイヤーバレル32が圧着されている。1つのワイヤーバレル32からジョイント端子30の長手方向一方側に導体芯線24が延び、他方側に中継導体46が延びる。ここではワイヤーバレル32に圧着される部分において導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30の高さ方向に並んでいる。ここでは導体芯線24及び中継導体46のうち導体芯線24が底部31側に位置する。一対の圧着片32a、32bは互いに先端側部分を突き合わせつつ導体芯線24及び中継導体46を覆っている。
【0047】
かかる接続部分CP1は、
図5に示すように、圧着金型80によって圧着されることによって形成されることができる。圧着金型80はクリンパ82及びアンビル84を有する。クリンパ82及びアンビル84は1つの方向に並んでいる。端子圧着機においてクリンパ82及びアンビル84はこの方向に接近離間移動可能に支持される。ジョイント端子30は、圧着時にジョイント端子30の高さ方向がクリンパ82及びアンビル84の並ぶ方向となるように配置される。クリンパ82及びアンビル84はジョイント端子30の高さ方向に接近して、ジョイント端子30を圧着する。クリンパ82には一対の圧着片32a、32bの先端部を曲げ変形させるためのガイド面が形成される。一対の圧着片32a、32bの先端部はガイド面に接触した後、ガイド面に沿って変形し内向きに倒れ込む。クリンパ82が一対の圧着片32a、32bを曲げ変形させている最中にアンビル84は底部31の外面(
図5の紙面における下面)を支持する。
【0048】
図5に示すように、一対の圧着片32a、32bの間において、導体芯線24及び中継導体46のうち導体芯線24が底部31側に位置する状態で圧着が開始される。このとき導体芯線24の上方が1つの中継導体46によって覆われる。これにより、圧着時に導体芯線24における一部の素線が一対の圧着片32a、32bの間などからワイヤーバレル32の外方に突出したりすることが抑制される。
【0049】
圧着前の導体芯線24の素線及び中継導体46は円柱状である。圧着前のワイヤーバレル32において一対の圧着片32a、32bが底部31から上方に向けて延びる。これにより、圧着前のワイヤーバレル32において一対の圧着片32a、32bの間が開口する。圧着後のワイヤーバレル32において一対の圧着片32a、32bの先端部が曲げ変形し、開口が閉じられる。圧着後のワイヤーバレル32は、圧着金型80の形状に応じた形状に変形する。ワイヤーバレル32の変形に伴い、圧着後の導体芯線24における素線及び中継導体46はワイヤーバレル32に潰されて、ワイヤーバレル32の内面に応じた形状に変形する。
図4の二点鎖線に示す導体芯線24における素線及び中継導体46は圧着後の状態を示す模式図である。導体芯線24における複数の素線は例えば、一部の素線同士が重なったりしながら、底部31の幅方向に広がった状態とされる。
【0050】
図6は導体芯線24及び中継導体46の接続部分CP1の変形例を示す説明図である。
図6において実線で示されるワイヤーバレル32及びその内部に二点鎖線で示される導体芯線24及び中継導体46は圧着後の状態を示す。
図6において二点鎖線で示されるワイヤーバレル32及びその内部に二点鎖線で示される導体芯線24及び中継導体46は圧着前の状態を示す。
【0051】
図6に示す接続部分CP2においても、
図4に示す接続部分CP1と同様にワイヤーバレル32に圧着される部分において導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30の高さ方向に並んでいる。
図6に示す接続部分CP2では、導体芯線24及び中継導体46のうち中継導体46が底部31側に位置する。このような接続部分CP2は、一対の圧着片32a、32bの間において、導体芯線24及び中継導体46のうち中継導体46が底部31側に位置する状態で圧着が開始されることによって形成される。
【0052】
図7は導体芯線24及び中継導体46の接続部分CP1の別の変形例を示す説明図である。
図7において実線で示されるワイヤーバレル32及びその内部に二点鎖線で示される導体芯線24及び中継導体46は圧着後の状態を示す。
図7において二点鎖線で示されるワイヤーバレル32及びその内部に二点鎖線で示される導体芯線24及び中継導体46は圧着前の状態を示す。
【0053】
図7に示す接続部分CP3では、ワイヤーバレル32に圧着される部分において導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30の幅方向に並んでいる。
図7に示す接続部分CP3では、導体芯線24が一対の圧着片32a、32bの一方の圧着片32aに包まれている。中継導体46が一対の圧着片32a、32bの他方の圧着片32bに包まれている。このような接続部分CP3は、一対の圧着片32a、32bの間において、導体芯線24及び中継導体46が幅方向に並んだ状態で圧着が開始されることによって形成される。
【0054】
導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30の幅方向に並ぶ接続部分CP3において、導体芯線24と中継導体46との導体サイズ(導体断面積)が異なる場合、小さい方の導体が一対の圧着片32a、32bの一方に包まれる。大きい方の導体が一対の圧着片32a、32bの他方からはみ出していてもよい。大きい方の導体の一部が一対の圧着片32a、32bの一方に覆われたり、噛み込まれたりしていてもよい。
【0055】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成された端子付電線20及びコネクタ付き電線1によると、ジョイント端子30の長手方向に沿った同じ位置において導体芯線24及び中継導体46にジョイント端子30のワイヤーバレル32が圧着されている。このため、ジョイント端子30の長手方向に沿って異なる位置において導体芯線24及び中継導体46にそれぞれ別のワイヤーバレルが圧着される場合と比べて、ジョイント端子30を短くできる。これにより、端子付電線20のうちコネクタハウジング10のキャビティ14に配置される部分の長さ寸法を短くすることができる。
【0056】
コネクタがトランスミッションなどの振動機器に接続される場合、振動時に端子付電線20とコネクタハウジング10とにがたつきが生じる。この際、がたつきが大きくなると、シール部材50の内面又は外面において相手部材との密着状体が解消されうる。またいずれかの導体部分に集中する応力が大きくなり、導体部分が破断したり、金属疲労が早まったりする恐れがある。端子付電線20のうちキャビティ14に配置される部分が短尺化されることによって、振動時における端子付電線20とコネクタハウジング10との大きながたつきを抑制できる。これにより、シール性能の低下及びいずれかの導体部分に集中する応力が大きくなることを抑制できる。
【0057】
端子付電線20のうちキャビティ14に配置される部分が短尺化されることによって、キャビティ14への端子付電線20の挿入作業が容易となる。また、キャビティ14自体も短くすることができることによって、コネクタの小型化を図ることができる。
【0058】
ここでは端子付電線20のうちシール部材50よりも後方の部分(被覆電線22側の部分)が短くなる。これにより、キャビティ14の一方開口部からシール部材50の所定位置までのシール部材50の移動量が小さくなる。これにより、端子付電線20の挿入作業が容易となる。
【0059】
また接続部分CP1、CP2では、ワイヤーバレル32に圧着される部分において導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30の高さ方向に並んでいる。これにより、圧着方向に導体芯線24及び中継導体46が並ぶことができる。また接続部分CP1では、導体芯線24及び中継導体46のうち導体芯線24がジョイント端子30の底部31側に位置する。これにより、中継導体46が導体芯線24の上方を覆うことができる。
【0060】
また接続部分CP3では、ワイヤーバレル32に圧着される部分において導体芯線24及び中継導体46がジョイント端子30の幅方向に並んでいる。これにより、圧着方向と交差する方向に導体芯線24及び中継導体46が並ぶことができる。また接続部分CP3では、導体芯線24が一対の圧着片32a、32bの一方の圧着片32aに包まれ、中継導体46が一対の圧着片32a、32bの他方の圧着片32bに包まれている。これにより、導体芯線24及び中継導体46がそれぞれ別の圧着片32a、32bによって圧着されることができる。
【0061】
[実施形態2]
実施形態2にかかる端子付電線について説明する。
図8は実施形態2にかかる端子付電線120を示す分解斜視図である。図はである。なお、以下の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
端子付電線120においてシール部材150の形状が上記端子付電線20におけるシール部材50の形状とは異なる。シール部材150において被圧着部55が1つである。被圧着部55がシール本体52の一方側に設けられている。被圧着部55はジョイント端子130とコネクタ端子40とのうちいずれかに圧着されている。これにより、シール本体52の両側に被圧着部54、55が設けられ、両側の被圧着部54、55がジョイント端子130及びコネクタ端子40にそれぞれ圧着される場合と比べて、シール部材150を短くできる。これにより、端子付電線120のうちコネクタハウジング10のキャビティ14に配置される部分の長さ寸法を短くすることができる。
【0063】
ここでは被圧着部55がコネクタ端子40側に設けられている。被圧着部55はジョイント端子130とコネクタ端子40とのうちコネクタ端子40に圧着されている。従ってシール部材150は上記シール部材50における被圧着部54が省略された形状に形成されている。また端子付電線120におけるジョイント端子130は上記ジョイント端子30におけるインシュレーションバレル36が省略された形状に形成されている。ジョイント端子130はワイヤーバレル32とインシュレーションバレル34とを含む。これにより、端子付電線120においてシール本体52よりもジョイント端子130側が短くなる。これにより、キャビティ14内に端子付電線120が挿入される際の、シール部材150の移動量が少なくなる。これにより、キャビティ14内への端子付電線120の挿入が容易となる。
【0064】
シール部材における1つの被圧着部がジョイント端子30側に設けられていてもよい。この場合のシール部材は上記シール部材50における被圧着部55が省略された形状に形成される。またこの場合のコネクタ端子は上記コネクタ端子40におけるインシュレーションバレル44が省略された形状に形成される。
【0065】
[付記]
図9は端子付電線の変形例を示す断面図である。
【0066】
図9に示す変形例にかかる端子付電線220及びこれを備えるコネクタ付き電線101において、ジョイント端子230の形状が上記ジョイント端子30、130の形状とは異なる。具体的には、ジョイント端子230に突起部38が設けられている。端子付電線220において突起部38が設けられている点以外の構成については端子付電線120における構成と同様である。
【0067】
突起部38は、収容状態で、キャビティ14の内周面に当接するように形成される。突起部38はキャビティ14の内周面に当接する。これによりジョイント端子230がハウジング本体12に支持される。突起部38はワイヤーバレル32及びインシュレーションバレル34よりも径方向に沿って外方に突出するように形成される。
図9に示す例において突起部38はジョイント端子230のうちインシュレーションバレル34よりも後端部側に設けられている。ジョイント端子230において突起部38が設けられる位置は如何なる位置であってもよい。例えば突起部38はワイヤーバレル32とインシュレーションバレル34との間に設けられていてもよい。また例えば突起部38はワイヤーバレル32よりも先端側に設けられていてもよい。
【0068】
図9に示す例において突起部38はジョイント端子230の両側方に突出するように設けられている。突起部38はジョイント端子230の下方に突出するように設けられていてもよい。突起部38はジョイント端子230の両側方及び下方の3方に突出するように設けられていてもよい。突起部38はシール本体52よりも径方向に沿って外方に突出するように形成されてもよい。突起部38もワイヤーバレル32、インシュレーションバレル34と同様に導体板が折り曲げられて形成されてもよい。
【0069】
突起部38は収容状態でキャビティ14の内面からの力を受けて径方向に小さくなるように弾性変形した状態であってもよい。例えば、突起部38は板バネ状などのバネ形状に形成されて、キャビティ14の径方向に小さくなるように弾性変形可能とされる。また突起部38はキャビティ14に収容される前の状態でキャビティ14のうち突起部38と当接する部分よりも大きく形成される。この場合、
図9に示すように、突起部38は、後端側に向けて徐々に径方向外側に突出する部分を有するように形成されているとよい。これにより、突起部38はキャビティ14に収容される際、キャビティ14の内面からの力を受けて小さくなる向きに変形しやすくなる。
【0070】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。