【解決手段】コネクタ付き電線10は、被覆電線22と前記被覆電線22の端部に設けられた端子部品30とを含む端子付電線20と、キャビティ63が形成された本体部品61と前記本体部品61に装着されたカバー部品70とを含むコネクタハウジング60と、を備える。前記端子部品30の先端部は前記キャビティ63に収容され、前記端子部品30の後端部は前記キャビティ63の外に突出して前記カバー部品70に又は前記カバー部品70と前記本体部品61とに覆われ、前記カバー部品70は、前記端子部品30の前記後端部が前記キャビティ63の外に突出した状態で、前記キャビティ63の長手方向と交差する方向へのスライド移動を伴って前記本体部品61に装着可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタ付きハウジングは、次の通りである。
【0011】
(1)被覆電線と前記被覆電線の端部に設けられた端子部品とを含む端子付電線と、キャビティが形成された本体部品と前記本体部品に装着されたカバー部品とを含むコネクタハウジングと、を備え、前記端子部品の先端部は前記キャビティに収容され、前記端子部品の後端部は前記キャビティの外に突出して前記カバー部品に又は前記カバー部品と前記本体部品とに覆われ、前記カバー部品は、前記端子部品の前記後端部が前記キャビティの外に突出した状態で、前記キャビティの長手方向と交差する方向へのスライド移動を伴って前記本体部品に装着可能である、コネクタ付き電線である。カバー部品が装着される前の本体部品のキャビティに端子部品が挿入されることによって、キャビティへの端子部品の挿入量が少なくなる。キャビティへの端子部品の挿入後にカバー部品が本体部品に装着されることによって、端子部品の後端部が覆われる。これらより、端子付電線がコネクタハウジングに容易に収容されることができる。
【0012】
(2)(1)のコネクタ付き電線において、前記カバー部品は、前記キャビティに挿入された前記端子部品の前記後端部が前記キャビティの外に突出した状態で、前記本体部品に対して互いに交差する方向へのスライド移動を伴って装着可能な第1カバー部品と第2カバー部品とを含み、前記第1カバー部品は前記端子部品の前記後端部のうち周方向に沿った一部を覆う第1壁部を有し、前記第2カバー部品は前記端子部品の前記後端部のうち周方向に沿った他の一部を覆う第2壁部を有してもよい。これにより、本体部品に装着された2つのカバー部品によって端子部品の後端部の全周を覆うことができる。
【0013】
(3)(1)のコネクタ付き電線において、前記本体部品は前記キャビティの一方開口部が形成される端面に形成されて前記端子部品の前記後端部のうち周方向に沿った他の一部を覆う第1壁部を有し、前記カバー部品は前記端子部品の前記後端部のうち周方向に沿った一部を覆う第2壁部を有してもよい。これにより、本体部品に1つのカバー部品が装着されて、本体部品とカバー部品とによって端子部品の後端部の全周を覆うことができる。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記本体部品及び前記カバー部品には装着状態を維持する嵌合部及び被嵌合部が設けられ、前記嵌合部及び前記被嵌合部は前記キャビティの長手方向と交差する方向への前記本体部品及び前記カバー部品のスライド移動の方向に嵌合してもよい。これにより、キャビティの長手方向と交差する方向への本体部品及びカバー部品のスライド移動時に、嵌合部及び被嵌合部を嵌合させることができる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記端子付電線は前記端子部品の中間部に装着されたシール部材をさらに含み、前記シール部材が前記キャビティの内部に配置され、前記端子部品のうち前記シール部材が装着される部分よりも後端部が前記キャビティから外方に突出していてもよい。これにより、シール部材がキャビティ内を移動する量が少なくなる。これにより、コネクタハウジングへ端子付電線が容易に収容されることができる。
【0016】
(6)(5)のコネクタ付き電線において、前記キャビティのうち前記シール部材が配置される部分における横断面形状は円形状であり、前記端子部品の前記後端部の周囲は4つの壁部に覆われ、前記4つの壁部は合わさって四角筒状をなしていてもよい。これにより、シール部材とキャビティ内面とが密着しやすくなる。また端子部品の後端部を覆う壁部の形状が簡易な形状となる。
【0017】
(7)また、本開示のコネクタハウジングは、端部に端子部品が設けられた端子付電線が収容されるコネクタハウジングであって、前記端子部品の先端部を挿入可能なキャビティが形成された本体部品と、前記本体部品に装着されたカバー部品と、を備え、前記端子部品の後端部は前記キャビティの外に突出して前記カバー部品に又は前記カバー部品と前記本体部品とに覆われ、前記カバー部品は、前記端子部品の前記後端部が前記キャビティの外に突出した状態で、前記キャビティの長手方向と交差する方向へのスライド移動を伴って前記本体部品に装着可能である、コネクタハウジングである。カバー部品が装着される前の本体部品のキャビティに端子部品が挿入されることによって、端子部品のキャビティへの挿入量が少なくなる。キャビティへの端子部品の挿入後にカバー部品が本体部品に装着されることによって、端子部品の後端部が覆われる。これらより、端子付電線がコネクタハウジングに容易に収容されることができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ付き電線及びコネクタハウジングの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるコネクタ付き電線10及びコネクタハウジング60について説明する。
図1は実施形態1にかかるコネクタハウジング60及びそれを備えるコネクタ付き電線10を示す縦断面図である。
【0020】
コネクタ付き電線10は、端子付電線20とコネクタハウジング60とを備える。端子付電線20の端部がコネクタハウジング60の収容空間に収容されてコネクタ付き電線10とされる。コネクタハウジング60は本体部品61とカバー部品70、80とを含む。本体部品61にキャビティ63が形成されている。端子付電線20の先端部がキャビティ63に挿入される。カバー部品70、80は端子付電線20のうちキャビティ63から突出する部分の少なくとも一部を覆う壁部を有する。壁部によって囲まれる空間とキャビティ63とがコネクタハウジング60における収容空間とされる。本開示において、本体部品61におけるキャビティ63の長手方向に沿う断面が縦断面とされ、キャビティ63の長手方向に直交する断面が横断面とされる。また本開示において、
図1に示すようにキャビティ63の長手方向がX方向とされ、キャビティ63の長手方向に直交する2方向がY方向及びZ方向とされる。
【0021】
<端子付電線>
図1に加えて
図2を参照しつつ端子付電線20について説明する。
図2は端子付電線20を示す分解斜視図である。
【0022】
端子付電線20は被覆電線22と端子部品30とを含む。端子部品30と、被覆電線22のうち端子部品30に接続される部分とがコネクタハウジング60における収容空間に収容される。被覆電線22のうち端子部品30に接続される部分よりも他端側部分がコネクタハウジング60における収容空間から外方に延びている。端子部品30の先端部は収容空間のうちキャビティ63に収容される。端子部品30の後端部はキャビティ63の外に突出している。端子部品30の後端部は収容空間のうち壁部によって囲まれる空間に収容されている。
【0023】
被覆電線22は導体芯線24と絶縁被覆26とを有する。ここでは導体芯線24は撚線である。撚線は複数の素線が撚られて形成されている。かかる素線は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導体を材料に形成される。絶縁被覆26は導体芯線24を覆う。絶縁被覆26は導体芯線24の周りに樹脂材料が押出成型されたり、絶縁塗料が塗布されたりして形成される。導体芯線24の先端は絶縁被覆26より外方に突出し、芯線露出部をなしている。
【0024】
端子部品30は被覆電線22と接続される電線接続部33と相手側端子と接続される相手側接続部41とを含む。ここでは端子部品30はジョイント端子32とコネクタ端子40と中継導体46との3つの部品によって構成されている。電線接続部33はジョイント端子32に設けられる。相手側接続部41はコネクタ端子40に設けられる。中継導体46がジョイント端子32及びコネクタ端子40にそれぞれ接続される。ジョイント端子32とコネクタ端子40とは中継導体46を介して接続される。
【0025】
ジョイント端子32は、電線接続部33と中継導体接続部36とを含む。ここでは、ジョイント端子32は、被覆電線22及び中継導体46それぞれに圧着されて接続されている。ジョイント端子32は、例えば、導体板が折り曲げられて形成される。もっとも、ジョイント端子32は被覆電線22又は中継導体46に溶接、圧接等によって接続されていてもよい。
【0026】
電線接続部33はワイヤーバレル34とインシュレーションバレル35とを有している。ワイヤーバレル34は導体芯線24における端部の芯線露出部に圧着されている。インシュレーションバレル35は絶縁被覆26に圧着されている。ワイヤーバレル34及びインシュレーションバレル35はオープンバレルである。電線接続部33においてインシュレーションバレル35は省略されてもよい。
【0027】
中継導体接続部36はワイヤーバレル37とインシュレーションバレル38とを有している。ワイヤーバレル37は中継導体46に圧着されている。インシュレーションバレル38はシール部材50に圧着されている。ワイヤーバレル37及びインシュレーションバレル38はオープンバレルである。中継導体接続部36においてインシュレーションバレル38は省略されてもよい。
【0028】
コネクタ端子40は相手側接続部41と中継導体接続部42とを含む。上記したように相手側接続部41はオス端子形状に形成されている。相手側接続部41はメス端子形状に形成されていてもよい。ここでは、コネクタ端子40は、中継導体46に圧着されて接続されている。コネクタ端子40は、例えば、導体板が折り曲げられて形成される。もっとも、コネクタ端子40は中継導体46に溶接、圧接等によって接続されていてもよい。
【0029】
相手側接続部41は箱状に形成された箱部と導体ピンとを有する。導体ピンは箱部の先端面から突出している。導体ピンの先端部は、キャビティ63から外に突出している。導体ピンは相手側のメス端子に挿入される。相手側のメス端子の内部には適宜バネ接点部等が設けられる。相手側のメス端子の内部においてバネ接点部等と導体ピンとが接続される。
【0030】
中継導体接続部42はワイヤーバレル43とインシュレーションバレル44とを有している。ワイヤーバレル43は中継導体46に圧着されている。インシュレーションバレル44はシール部材50に圧着されている。中継導体接続部42においてインシュレーションバレル44は省略されてもよい。
【0031】
中継導体46は1つの導体として形成されている。中継導体46は円柱状の棒状に形成される。中継導体46は円筒状の棒状に形成されてもよい。中継導体46はシール部材50よりも長尺に設けられている。中継導体46の長手方向に沿った両端部はシール部材50の外方に突出している。中継導体46の両端部はワイヤーバレル37、43にそれぞれ圧着されている。
【0032】
端子付電線20には装着部48が設けられている。装着部48にシール部材50が装着されている。装着部48は外面が円形状に形成される。ここでは中継導体46の長手方向に沿った中間部が装着部48とされる。
【0033】
ここでは端子付電線20はシール部材50をさらに含む。シール部材50は端子部品30の中間部に装着されている。シール部材50は装着部48に装着されている。シール部材50もコネクタハウジング60における収容空間に収められる。ここではシール部材50は収容空間のうちキャビティ63に収められる。
【0034】
シール部材50はシール本体52と被保持部54とを有している。シール部材50には貫通孔56が形成されている。貫通孔56に中継導体46が通される。シール本体52及び被保持部54は貫通孔56の軸方向に沿って並んでいる。ここではシール本体52の両側に被保持部54が設けられている。シール本体52のいずれか一方のみに被保持部54が設けられていてもよい。被保持部54は省略されてもよい。
【0035】
シール本体52は端子付電線20がキャビティ63に挿入された状態で、キャビティ63の一方開口部と他方開口部との間を止水する部分である。シール本体52の外面において環状凹部と環状凸部とが長手方向に沿って交互に連なっている。シール本体52は長手方向に沿ってジョイント端子32及びコネクタ端子40の間に位置する。シール本体52における環状凸部は、ジョイント端子32及びコネクタ端子40よりも径方向に沿って外側に突出する。
【0036】
端子付電線20がキャビティ63に挿入される前の状態で、シール本体52の外径はキャビティ63の内径と同じかそれよりも大きく設定される。収容状態でシール本体52の環状凸部はキャビティ63の内面に全周にわたって密着する。
【0037】
被保持部54は中継導体46に被さった状態でインシュレーションバレル38、44にそれぞれ圧着される部分である。これにより、被保持部54がコネクタ端子40及びジョイント端子32に位置決め保持され、シール部材50が端子付電線20に位置決め保持される。被保持部54が省略される場合、装着部48はシール部材50を位置決め保持可能な形状にされると良い。例えば装着部48に溝が形成されてもよい。溝にシール部材50が収まることによってシール部材50が装着部に位置決め保持される。
【0038】
収容状態において、シール部材50はキャビティ63に収まっている。シール部材50が設けられることによってキャビティ63の一方開口部と他方開口部との間が止水されている。シール部材50による止水対象となる液体としては、水、オイル等が想定される。オイルは、例えば、自動変速機において自動変速の制御動作を行うためのオイル(作動油)である。キャビティ63の一方開口部と他方開口部との間の止水は例えば以下のようにしてなされる。
【0039】
装着部48の内部は中実に形成されている。これにより装着部48の内部を伝って液体がキャビティ63の一方開口部と他方開口部との一方から他方に浸透することが抑制される。装着部48の内部は中空であってもよい。この場合でも、長手方向に沿って装着部48の少なくとも一方が閉塞されていれば装着部48の内部を伝って液体がキャビティ63の一方開口部と他方開口部との一方から他方に浸透することが抑制される。
【0040】
シール本体52における内面(貫通孔56の内周面)は円形状とされる。収容状態で、シール本体52における内面は周方向全体にわたって装着部48の外面に密着している。シール本体52がこれによりシール本体52と装着部48との間を伝って液体がキャビティ63の一方開口部と他方開口部との一方から他方に浸透することが抑制される。なおシール本体52において長手方向に沿った少なくとも一部における内面が全周にわたって装着部48の外面に密着していればよい。シール本体52における内面は装着部48に装着される前の状態で装着部48の外面よりも小さく形成されていてもよい。収容状態でキャビティ63からの圧力を受けてシール本体52における内面が装着部48における外面に押し付けられていてもよい。
【0041】
シール本体52における外面は円形状とされる。収容状態で、シール本体52において環状凸部における外面は、キャビティ63の内面に全周にわたって密着している。これによりシール本体52とコネクタハウジング60との間を伝って液体がキャビティ63の一方開口部と他方開口部との一方から他方に浸透することが抑制される。
【0042】
シール部材50がキャビティ63の内部に配置されている。端子部品30のうちシール部材50が装着される部分よりも後端部がキャビティ63から外方に突出している。ここでは中継導体46の端部とジョイント端子32とがキャビティ63の外方に位置する。
【0043】
<コネクタハウジング>
コネクタハウジング60について
図1に加えて
図3から
図5を参照しつつ詳述する。
図3は実施形態1にかかるコネクタハウジング60を示す斜視図である。
図4は実施形態1にかかるコネクタハウジング60を示す分解斜視図である。
図5は実施形態1にかかるコネクタハウジング60を示す分解斜視図である。
図3及び
図4は同じ方向から見た斜視図であり、
図5は、
図3及び
図4とは異なる方向から見た斜視図である。
【0044】
コネクタハウジング60は本体部品61と本体部品61に装着されたカバー部品70、80とを含む。
【0045】
本体部品61はハウジング本体62を含む。ここでは本体部品61は第1嵌合部66をさらに含む。本体部品61は絶縁性を有する樹脂等を材料として形成される。本体部品61は、例えば射出成型品である。
【0046】
ハウジング本体62にキャビティ63が形成されている。キャビティ63は少なくとも1つ形成される。ここではキャビティ63は複数形成されている。複数のキャビティ63は、複数段、複数列に並ぶように形成されている。複数のキャビティ63は、1段、複数列に並ぶように形成されていてもよい。
図4において、Z方向が段方向とされ、Y方向が列方向とされる。
図4に示す例では、複数のキャビティ63は、4段、5列に並ぶように形成されている。
【0047】
キャビティ63はハウジング本体62を貫通するように形成されている。キャビティ63の一方開口部はハウジング本体62の一方端面(X方向負の側を向く端面)に開口する。キャビティ63の他方開口部はハウジング本体62の他方端面(X方向正の側を向く端面)に開口する。
【0048】
端子付電線20は一方開口部からキャビティ63内に挿入される。端子付電線20とハウジング本体62とは、例えばランスなどによって所定の位置に位置決め保持される。他方開口部はオス端子に設けられた導体ピンが通る部分である。なお本例は、キャビティ63に収められる端子がオス端子の場合の事例である。この場合、当該オス端子に設けられた導体ピンが他方開口部を通ってキャビティ63外に突出する。そして、キャビティ63外でオス端子に設けられた導体ピンと相手側のメス端子とが接続される。他方開口部は相手側接続部41における箱状部分よりも小さく形成されると共に導体ピンよりも大きく形成されるとよい。これにより、キャビティ63内に収められたオス端子が他方開口部から抜けることが抑制される。もっとも、キャビティ63に収められる端子がメス端子であってもよい。この場合、相手側コネクタのオス端子に設けられた導体ピンが他方開口部を通ってキャビティ63内に挿入される。そして、キャビティ63内においてメス端子と相手側のオス端子に設けられた導体ピンとが接続される。
【0049】
端子付電線20がキャビティ63内における所定の位置に配置された状態で、シール部材50もキャビティ63内における所定の位置に配置される。ここではキャビティ63のうちシール部材50が配置される部分における横断面形状は円形状である。
図4に示すようにここではキャビティ63のうち一方開口部の横断面形状は円形状である。キャビティ63のうち一方開口部からシール部材50が配置される部分までの横断面形状は円形状である。キャビティ63のうちシール部材50が配置される部分から他方開口部までの横断面形状は適宜設定される。
【0050】
本体部品61には突出壁部64が設けられている。突出壁部64はキャビティ63の一方開口部が形成された一方端面から突出する。突出壁部64は段方向に並ぶキャビティ63の間に設けられる。突出壁部64はキャビティ63に対してZ方向にずれて位置する。突出壁部64は第2カバー部品80で覆えない部分を覆うために設けられる。突出壁部64は省略されてもよい。突出壁部64の突出寸法(X方向の寸法)は第1カバー部品70においてスリット72の先端と第1カバー部品70の端面との間隔と同程度である。突出壁部64の幅寸法(Y方向の寸法)はキャビティ63の幅寸法と同程度である。突出壁部64の厚み寸法(Z方向の寸法)は2つのキャビティ63の間にある隙間の寸法と同じかそれよりもわずかに小さい。
【0051】
なお、ここでは、2段目のキャビティ63と3段目のキャビティ63との間隔が他の段の間における間隔よりも大きい。このため、2段目のキャビティ63と3段目のキャビティ63との間に突出壁部64が2つ設けられる。
【0052】
本体部品61には突出枠部65が設けられている。突出枠部65は第1カバー部品70を位置決めする。突出枠部65はキャビティ63の一方開口部が形成された一方端面から突出する。突出枠部65は複数のキャビティ63を囲むように設けられる。突出枠部65は一方(Z方向の正の側)が開口している。当該開口から突出枠部65の内側に第1カバー部品70が挿入される。突出壁部64の突出寸法(X方向の寸法)は突出壁部64の突出寸法と同様に、第1カバー部品70においてスリット72の先端と第1カバー部品70の端面との間隔と同程度である。突出枠部65の端部(突出枠部65の開口に対してY方向にずれた部分)に第1嵌合部66が設けられている。
【0053】
第1嵌合部66は第1カバー部品70に設けられる第1被嵌合部74に嵌合する。第1嵌合部66については詳しくは第1被嵌合部74と共に後述する。
【0054】
本体部品61にフード67が設けられている。フード67はハウジング本体62の他方端面からX方向に突出する。フード67はオス端子の導体ピンの周りを囲う。コネクタハウジング60においてフード67は省略されてもよい。例えばコネクタハウジング60がメス端子を収容する場合、フード67は省略されてもよい。
【0055】
本体部品61に車両取付部68が設けられている。車両取付部68はハウジング本体62の側面から外方に突出するように設けられている。車両取付部68はコネクタハウジング60を車両に取付けるための部分である。車両取付部68には装着孔68hが形成されている。装着孔68hにボルト等が挿入されて車両取付部68が車両に取付けられる。装着孔68hに金属リングなどが設けられていてもよい。コネクタハウジング60において車両取付部68は省略されてもよい。
【0056】
また本体部品61に封止材装着部69が設けられている。封止材装着部69はハウジング本体62の側面の一部が環状に凹むように設けられている。封止材装着部69は車両取付部68に対して一方側に設けられる。封止材装着部69には、Oリング等の封止材Sが装着される。コネクタハウジング60において封止材装着部69は省略されてもよい。
【0057】
カバー部品70、80は、本体部品61に装着されている。ここではカバー部品70は第1カバー部品70と第2カバー部品80とを含む。
【0058】
第1カバー部品70は、本体部品61に装着されている。第1カバー部品70は端子部品30の後端部がキャビティ63の外に突出した状態で、キャビティ63の長手方向(ここではX方向)と交差する方向(ここではZ方向)へのスライド移動を伴って本体部品61に装着可能である。第1カバー部品70は第1壁部71と第1連結壁部73とを含む。ここでは第1カバー部品70は第1被嵌合部74及び第2嵌合部75、76をさらに含む。第1カバー部品70は絶縁性を有する樹脂等を材料として形成される。第1カバー部品70は、例えば射出成型品である。
【0059】
第1壁部71は端子部品30の後端部のうち周方向に沿った一部を覆う。ここでは第1壁部71は端子部品30の後端部をY方向両側から覆う。第1壁部71はXZ平面に沿って広がる平板状に形成される。ここではキャビティ63が5列設けられているため、第1壁部71は6つ設けられている。6つの第1壁部71のうち4つの第1壁部71aは5列のキャビティ63の間に設けられる。4つの第1壁部71aは複数のキャビティ63の列の間を仕切る。4つの第1壁部71aの厚み寸法は、突出壁部64の厚み寸法と同様に、2つのキャビティ63の間にある隙間の寸法と同程度である。6つの第1壁部71のうち2つの第1壁部71bは5列のキャビティ63の外側に設けられる。2つの第1壁部71bは複数のキャビティ63を囲う。
【0060】
第1壁部71にはスリット72が形成されている。スリット72は第1壁部71のX方向負の側の端面からX方向正の側に向けて延びる。スリット72は第1壁部71のX方向正の側の端面までは達していない。スリット72は段方向に並ぶキャビティ63の間に設けられる。スリット72は突出壁部64に対応する位置に設けられる。スリット72に後述する第2壁部81が通される。第1壁部71のX方向正の側の端面からスリット72の先端までのX方向に沿った寸法は突出壁部64の寸法と同程度である。
【0061】
第1連結壁部73は複数(ここでは6つ)の第1壁部71を連結する。第1連結壁部73はXY平面に沿って広がる平板状に形成される。第1壁部71のうちZ方向正の側の端面が第1連結壁部73のZ方向負の側を向く面に連結されている。第1連結壁部73のZ方向負の側を向く面からZ方向負の側に第1壁部71が突出している。ここでは第1連結壁部73にはスリット72は形成されていない。ここでは第1連結壁部73は1段目(
図4の最上段)のキャビティ63に挿入される端子部品30の後端部をZ方向から覆う。
【0062】
第1被嵌合部74は第1嵌合部66に嵌合している。第1嵌合部66及び第1被嵌合部74は本体部及び第1カバー部品70の装着状態を維持する。第1嵌合部66及び第1被嵌合部74はキャビティ63の長手方向(ここではX方向)と交差する方向への本体部品61及び第1カバー部品70のスライド移動の方向(ここではZ方向)に嵌合する。
【0063】
より詳細には、第1被嵌合部74は2つの第1壁部71の外側にそれぞれ設けられる。第1被嵌合部74は第1壁部71のうちスリット72が形成されていない端面側に設けられる。第1被嵌合部74はZ方向に長い直方体状に設けられる。
【0064】
第1嵌合部66は突出片66aと凸部66bとを有する。突出片66aは、突出枠部65の端部からハウジング本体62の一方端面と間隔をあけつつZ方向に突出する。突出片66aは、片持ち梁状に設けられる。凸部66bはハウジング本体62の一方端面のうち突出片66aに対向する部分に設けられる。凸部66bは突出片66aに向けてX方向に突出する。突出片66aと凸部66bとの間に第1被嵌合部74が挿入される。凸部66b及び突出片66aのうち第1被嵌合部74が挿入される側の面(Z方向正の側を向く面)にはガイド面が設けられる。
【0065】
凸部66bは、1つの角部を含む部分が第1被嵌合部74の形状に応じた直方体状に切り欠かれた形状に形成される。当該1つの角部は凸部66bにおいてZ方向負の側であって、Y方向に沿ってハウジング本体62の中心側に位置する角部である。凸部66bのうち切り欠かれた部分に第1被嵌合部74が収まる。凸部66bのうち切り欠かれた部分に対してZ方向正の側の一部が残り、段差部66cとされる。段差部66cは、第1嵌合部66に挿入された第1被嵌合部74の後方を押さえる。これにより、第1カバー部品70が本体部品61に対してZ方向正の側に抜けることが抑制される。第1嵌合部66に挿入された第1被嵌合部74の前方は突出枠部65が押さえる。
【0066】
凸部66bのうち切り欠かれた部分に対してY方向に沿ってハウジング本体62の外側の一部が残り、段差部66dとされる。段差部66dは、第1嵌合部66に挿入された第1被嵌合部74の側方を押さえる。これにより、第1カバー部品70と本体部品61とがY方向に位置決めされる。
【0067】
本体部品61の突出枠部65と第1カバー部品70の壁部とがY方向及びZ方向に接触している。これにより、第1カバー部品70と本体部品61とがY方向に位置決めされると共に、第1カバー部品70が本体部品61に対してZ方向負の側に抜けることが抑制される。
【0068】
第2嵌合部75、76は第2カバー部品80に設けられる第2被嵌合部83に嵌合する。第2嵌合部75、76について詳しくは第2被嵌合部83と共に後述する。
【0069】
第2カバー部品80は第1カバー部品70に装着されている。従って、第2カバー部品80は第1カバー部品70を介して本体部品61に装着されている。第1カバー部品70と第2カバー部品80とはキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部がキャビティ63の外に突出した状態で、本体部品61に対して互いに交差する方向(ここではY方向)へのスライド移動を伴って装着可能である。第2カバー部品80は第2壁部81と第2連結壁部82とを有する。ここでは第2カバー部品80は第2被嵌合部83をさらに含む。ここでは第2カバー部品80は電線規制部84をさらに含む。第2カバー部品80は絶縁性を有する樹脂等を材料として形成される。第2カバー部品80は、例えば射出成型品である。
【0070】
第2壁部81は端子部品30の後端部のうち周方向に沿った他の一部を覆う。ここでは第2壁部81は端子部品30の後端部をZ方向から覆う。第2壁部81はXY平面に沿って広がる平板状に形成される。第2壁部81は6つ設けられている。6つの第2壁部81のうち4つの第2壁部81aは4段のキャビティ63の間に設けられる。ここではキャビティ63が4段であるが、2段目と3段目と間が広いため、その間に2つの第2壁部81aが設けられる。4つの第2壁部81aはスリット72に挿入されている。4つの第2壁部81aは複数のキャビティ63の段の間を仕切る。4つの第2壁部81aの厚み寸法は、突出壁部64の厚み寸法と同様に、2つのキャビティ63の間にある隙間の寸法と同程度である。6つの第2壁部81のうち2つの第2壁部81bは4段のキャビティ63の外側に設けられる。2つの第2壁部81bは複数のキャビティ63を囲う。なおここでは2つの第2壁部81bは第1カバー部品70を囲う。2つの第2壁部81bのうち一方は第1連結壁部73の外側に設けられる。このため、2つの第2壁部81bのうち一方は端子部品30に面していない。
【0071】
第2連結壁部82は、6つの第2壁部81を連結する。第2連結壁部82はハウジング本体62の一方端面に応じた湾曲板状に形成される。第2壁部81及び第2連結壁部82は突出枠部65よりもZ方向負の側に位置する。
【0072】
第2被嵌合部83は2つ設けられる。2つの第2被嵌合部83は第2嵌合部75、76にそれぞれ嵌合している。第2嵌合部75、76及び第2被嵌合部83は第1カバー部品70及び第2カバー部品80の装着状態を維持する。第2嵌合部75、76及び第2被嵌合部83はキャビティ63の長手方向と交差する方向への第1カバー部品70及び第2カバー部品80のスライド移動の方向(ここではY方向)に嵌合する。
【0073】
より詳細には、第2被嵌合部83は2つの第2壁部81bの内側に設けられる。2つの第2壁部81bの一部がZ方向に沿って外側に突出している。当該突出部分の内側に溝83aが形成されている。溝83aはY方向に沿って延びる。溝83aの端部に嵌合孔83bが形成されている。
【0074】
第2嵌合部75は第1連結壁部73の外面に設けられる。第2嵌合部75は凸部75aと抜止片75bとを有する。凸部75aはY方向に長い直方体状に形成されている。凸部75aは第1連結壁部73におけるY方向負の側の端面からY方向中間部まで延びる。抜止片75bは凸部75aの先端に設けられる。抜止片75bは凸部75aよりもZ方向に突出している。
【0075】
第2嵌合部76は第1壁部71のZ方向負の側の端面に設けられる。第2嵌合部76は4つの第1壁部71からそれぞれ突出する4つの凸部76aと、4つの凸部76aの1つに設けられた抜止片76bとを有する。第2嵌合部76は第2嵌合部75から第1壁部71の間の部分を切り欠いた形状に形成されている。
【0076】
第2嵌合部75、76は溝83aを伝って第2被嵌合部83に挿入される。抜止片75b、76bが嵌合孔83bを抜けて嵌合孔83bの周縁部に嵌合することによって、第2嵌合部75、76と第2被嵌合部83とが嵌合する。
【0077】
電線規制部84は収容空間の外方に延びる被覆電線22の経路を規制する。ここでは電線規制部84は収容空間からX方向負の側に向けて延びる被覆電線22をY方向負の側に曲げる。具体的には電線規制部84はガイド部84aと規制部84bとを有する。ガイド部84aは2つの第2壁部81b及び第2連結壁部82から規制部84bに向けて傾斜するように形成される。ガイド部84aは徐々に横断面が小さくなるように形成される。ガイド部84aによって収容空間からZ方向にばらけた状態で延びる被覆電線22がZ方向に集約される。規制部84bはガイド部84aにつながる部分と、Y方向負の側を向く部分とが開口する枠状に形成される。規制部84bは被覆電線22のX方向負の側を覆う。これにより、被覆電線22がY方向負の側に曲がる。コネクタハウジング60において電線規制部84が設けられていなくてもよい。
【0078】
<コネクタ付き電線の製造方法>
コネクタ付き電線10を製造するにあたって、まず、端子付電線20及び分解された状態のコネクタハウジング60が用意される。そして、本体部品61に端子付電線20が挿入されていく。この際、本体部品61のキャビティ63の長さ寸法は端子部品30の長さ寸法よりも短いため、キャビティ63への端子付電線20の挿入量が短くて済む。またキャビティ63の一方開口部の外側において、突出壁部64が設けられていない部分では端子部品30をつかんだまま端子付電線20をキャビティ63へ挿入できる。これにより、キャビティ63への挿入時に、端子付電線20がキャビティ63の内面に接触しても、折れ曲がりにくい。またキャビティ63のうち一方開口部に近い位置にシール部材50が収まる部分があるため、キャビティ63内においてシール部材50の移動量が少なくて済む。これらによってキャビティ63への端子付電線20の挿入が容易となる。
【0079】
本体部品61に端子付電線20が挿入されたら、
図6及び
図7に示すように、本体部品61に第1カバー部品70が装着される。
図6及び
図7は本体部品61に第1カバー部品70が装着される様子を示す説明図である。
図6は断面図であり、
図7は正面図である。
【0080】
本体部品61に対して第1カバー部品70がZ方向負の側からスライド移動して装着される。ここでは4つの第1壁部71が列方向に並ぶ端子部品30及び突出壁部64の間に挿入される。また2つの第1壁部71が突出枠部65と突出壁部64及び端子部品30との間に挿入される。また第1被嵌合部74が第1嵌合部66に挿入される。このとき第1カバー部品70のX方向正の側の端面をハウジング本体62の一方端面に突き合わせた状態で第1カバー部品70を摺動させることによって、本体部品61に第1カバー部品70を装着することができる。またこのとき、第1被嵌合部74の挿入よりも先に、第1壁部71の挿入がなされることによって、本体部品61と第1カバー部品70とが嵌合される向き合わせがなされる。これらより、本体部品61と第1カバー部品70とが装着されやすい。
【0081】
本体部品61に第1カバー部品70が装着されたら、
図8及び
図9に示すように、第1カバー部品70に第2カバー部品80が装着される。
図8及び
図9は第1カバー部品70に第2カバー部品80が装着される様子を示す説明図である。
図8は断面図であり、
図9は正面図である。
【0082】
本体部品61に装着された第1カバー部品70に対して第2カバー部品80がY方向正の側からスライド移動して装着される。ここでは4つの第2壁部81がスリット72に挿入される。4つの第2壁部81が段方向に並ぶ端子部品30の間に挿入される。また2つの第2壁部81の間に第1カバー部品70が挿入される。また第2嵌合部75、76が第2被嵌合部83に挿入される。このとき第2カバー部品80のX方向正の側を向く端面を突出枠部65のX方向負の側を向く端面に突き合わせた状態で第2カバー部品80を摺動させることによって、第1カバー部品70に第2カバー部品80を装着することができる。またこのとき、第2嵌合部75、76の挿入よりも先に、第2壁部81の挿入がなされることによって、第1カバー部品70と第2カバー部品80とが嵌合される向き合わせがなされる。これらにより、第1カバー部品70と第2カバー部品80とが装着されやすい。
【0083】
本体部品61に第1カバー部品70及び第2カバー部品80が装着されることによって、端子部品30の後端部の周囲は4つの壁部に覆われる。4つの壁部は合わさって四角筒状をなす。つまり、4つの壁部に囲まれる空間は、横断面形状が四角形状をなす。ここでは端子部品30の後端部を覆う4つの壁部の組み合わせは、端子部品30が挿入されるキャビティ63の位置、及びキャビティ63からの端子部品30の突出位置などに応じて異なっている。
【0084】
より詳細には、1段目(
図9の最上段)のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部のうちキャビティ63に近い部分は2つの第1壁部71と1つの突出壁部64と1つの第1連結壁部73とによって四方が覆われる。1段目のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部のうちキャビティ63から遠い部分は2つの第1壁部71と1つの第2壁部81と1つの第1連結壁部73とによって四方が覆われる。
【0085】
2段目及び3段目(
図9の上から2段目、3段目)のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部のうちキャビティ63に近い部分は2つの第1壁部71と2つの突出壁部64とによって四方が覆われる。2段目及び3段目のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部のうちキャビティ63から遠い部分は2つの第1壁部71と2つの第2壁部81とによって四方が覆われる。
【0086】
4段目(
図9の最下段)のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部のうちキャビティ63に近い部分は2つの第1壁部71と1つの突出壁部64と1つの突出枠部65とによって四方が覆われる。4段目のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部のうちキャビティ63から遠い部分は2つの第1壁部71と2つの第2壁部81とによって四方が覆われる。
【0087】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成されたコネクタ付き電線10によると、カバー部品70、80が装着される前の本体部品61のキャビティ63に端子部品30が挿入されることによって、キャビティ63への端子部品30の挿入量が少なくなる。キャビティ63への端子部品30の挿入後にカバー部品70、80が本体部品61に装着されることによって、端子部品30の後端部が覆われる。これらより、端子付電線20がコネクタハウジング60に容易に収容されることができる。
【0088】
また第1カバー部品70に設けられた第1壁部71と第2カバー部品80に設けられた第2壁部81とによって端子部品30の後端部の全周を覆うことができる。これにより、本体部品61に装着された2つのカバー部品70、80によって端子部品30の後端部の全周を覆うことができる。
【0089】
また第1嵌合部66及び第1被嵌合部74はキャビティ63の長手方向と交差する方向への本体部品61及び第1カバー部品70のスライド移動の方向に嵌合する。これにより、キャビティ63の長手方向と交差する方向への本体部品61及び第1カバー部品70のスライド移動時に、第1嵌合部66及び第1被嵌合部74を嵌合させることができる。同様に第2嵌合部75、76及び第2被嵌合部83はキャビティ63の長手方向と交差する方向への第1カバー部品70及び第2カバー部品80のスライド移動の方向に嵌合する。これにより、キャビティ63の長手方向と交差する方向への第1カバー部品70及び第2カバー部品80のスライド移動時に、第2嵌合部75、76及び第2被嵌合部83を嵌合させることができる。
【0090】
シール部材50がキャビティ63の内部に配置され、端子部品30のうちシール部材50が装着される部分よりも後端部がキャビティ63から外方に突出する。これにより、シール部材50がキャビティ63内を移動する量が少なくなる。これによりコネクタハウジング60へ端子付電線20が容易に収容されることができる。
【0091】
またキャビティ63のうちシール部材50が配置される部分における横断面形状は円形状である。これにより、シール部材50とキャビティ63内面とが密着しやすくなる。また端子部品30の後端部を覆う4つの壁部が合わさって四角筒状をなしている。これにより、端子部品30の後端部を覆う壁部の形状が簡易な形状となる。
【0092】
[実施形態2]
実施形態2にかかるコネクタハウジングについて説明する。
図10は実施形態2にかかるコネクタハウジング160を示す分解斜視図である。
図11は本体部品161にカバー部品80を装着する様子を示す説明図である。なお、以下の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0093】
コネクタハウジング160は本体部品161とカバー部品80とを備える。コネクタハウジング160においても、端子部品30の後端部が本体部品161のキャビティ63から外に突出している。そして端子部品30の後端部は第1壁部171及び第2壁部81によって覆われる。第1壁部171は端子部品30の後端部のうち周方向に沿った一部を覆い、第2壁部81は端子部品30の後端部のうち周方向に沿った他の一部を覆う。コネクタハウジング160はカバー部品80が1つである点で上記コネクタハウジング60とは異なる。カバー部品80が1つであるため、第1壁部171は本体部品161に設けられている。第2壁部81はカバー部品80に設けられている。
【0094】
なお
図10、
図11に示す例では、本体部品161は実施形態1における本体部品61と第1カバー部品70とが合わさった形状から、一部の構成(例えば、突出壁部64、突出枠部65、第1嵌合部66及び第1被嵌合部74など)が省略されたり、追加されたりした形状に形成される。カバー部品80は上記第2カバー部品80と同一である。従って、本例の本体部品161における第1壁部171は上記第1カバー部品70における第1壁部71に応じた形状に形成される。本例のカバー部品80における第2壁部81は、上記第2カバー部品80における第2壁部81と同一である。
【0095】
図11に示すように、カバー部品80は端子部品30の後端部がキャビティ63の外に突出した状態で、キャビティ63の長手方向(X方向)と交差する方向(Y方向)へのスライド移動を伴って本体部品161に装着可能である。これにより、本体部品161に1つのカバー部品80が装着されて、本体部品161とカバー部品80とによって端子部品30の後端部の全周を覆うことができる。また本体部品161とカバー部品80とは嵌合部175及び被嵌合部83によって嵌合される。
【0096】
より詳細には、本体部品161には第1壁部171と第1連結壁部173と嵌合部175とが設けられる。第1壁部171と第1連結壁部173とはキャビティ63の一方開口部が形成される端面から突出する。本体部品161におけるキャビティ63は実施形態1と同様に4段5列並ぶように設けられる。第1壁部171は上記第1壁部71に形成されたスリット72が第1壁部71の他方端面まで達して、分割されたような配置とされる。つまり、第1壁部171はY方向において各キャビティ63の両側を覆う。第1壁部171は1段につき6つずつ設けられる。隣り合う段の第1壁部171同士はX方向に離れている。
【0097】
第1連結壁部173は2つ設けられる。2つの第1連結壁部173は上記第1カバー部品70における第1連結壁部73と同一の形状に形成される。2つの第1連結壁部173のうち1つは第1連結壁部73と同様に1段目(
図11の最上段)のキャビティ63の外側に位置する。当該第1連結壁部173は1段目のキャビティ63の隣に設けられた6つの第1壁部171をつなぐ。もう1つの第1連結壁部173は4段目(
図11の最下段)のキャビティ63の外側に位置する。当該第1連結壁部173は4段目のキャビティ63の隣に設けられた6つの第1壁部171をつなぐ。
【0098】
嵌合部175は2つ設けられる。2つの嵌合部175は第1連結壁部173の外側にそれぞれ設けられる。2つの嵌合部175は上記第2嵌合部75と同一の形状に形成される。2つの嵌合部175のうち1つの嵌合部175は上記第2嵌合部75と同一の位置に形成される。2つの嵌合部175のうちもう1つの嵌合部175は上記第2嵌合部76と同一の位置に形成される。従って、上記第2嵌合部76が省略されて、代わりに嵌合部175が設けられる。
【0099】
本体部品161にカバー部品80が装着されることによって、端子部品30の後端部の周囲は4つの壁部に覆われる。4つの壁部は合わさって四角筒状をなす。つまり、4つの壁部に囲まれる空間は、横断面形状が四角形状をなす。ここでは端子部品30の後端部を覆う4つの壁部の組み合わせは、端子部品30が挿入されるキャビティ63の位置に応じて異なっている。
【0100】
より詳細には、1段目(
図11の最上段)及び4段目(
図11の最下段)のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部は、2つの第1壁部171と1つの第2壁部81と1つの第1連結壁部173とによって四方が覆われる。2段目及び3段目(
図11の上から2段目、3段目)のキャビティ63に挿入された端子部品30の後端部は、2つの第1壁部171と2つの第2壁部81とによって四方が覆われる。
【0101】
[変形例]
図12はコネクタハウジングの変形例を示す分解斜視図である。実施形態1において、第1嵌合部66及び第1被嵌合部74はキャビティ63の長手方向と交差する方向への本体部品61及び第1カバー部品70のスライド移動の方向に嵌合するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第1嵌合部及び第1被嵌合部は、
図12に示すように、キャビティ63の長手方向に嵌合するように構成されていてもよい。
【0102】
図12に示すコネクタハウジング260では本体部品261の第1嵌合部266と、第1カバー部品270の第1被嵌合部274とがキャビティ263の長手方向(
図12ではX方向)に沿って嵌合する。この場合、まずX方向に沿って離れた位置で第1カバー部品270が本体部品261に対してX方向と交差する方向(
図12ではZ方向)に沿って移動し、第1カバー部品270の第1壁部271がキャビティ263から突出する端子部品30の間に挿入される。この後、第1カバー部品270が本体部品261に対してX方向に移動し、第1嵌合部266と第1被嵌合部274とが嵌合する。
【0103】
第1カバー部品270と第2カバー部品280とは、上記第1カバー部品70と第2カバー部品80と同様に装着される。すなわち、第1カバー部品270と第2カバー部品280とがY方向にスライド移動して、第2壁部281が第1壁部271に形成されたスリット272に挿入される。また第1カバー部品270と第2カバー部品280とがY方向にスライド移動して、第2嵌合部275と第2被嵌合部283とが嵌合する。第1カバー部品と第2カバー部品もキャビティ263の長手方向に嵌合するように構成されていてもよい。また実施形態2のようにカバー部品が1つの場合に、本体部品とカバー部品とがキャビティの長手方向に嵌合するように構成されていてもよい。
【0104】
なおコネクタハウジング260では第1カバー部品270に封止材装着部277が設けられている。封止材装着部277は第1壁部271にも形成されている。第1カバー部品270はキャビティ263から突出する端子部品30の後端部の間に挿入される部品であるため、X軸回りに完全に環状な形状とされることは難しい。このため、封止材装着部277は第1壁部271の間で周方向に途切れている。
【0105】
このほか、これまで端子部品30がジョイント端子32、コネクタ端子40及び中継導体46との3つの部品を含むものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ジョイント端子32及び中継導体46のいずれか一方又は両方が省略されてもよい。ジョイント端子32及び中継導体46のいずれか一方又は両方が省略される場合、電線接続部33は残る端子部品30に設けられる。また装着部48は残る端子部品30又は導体芯線24に設けられる。
【0106】
より詳細には、ジョイント端子32及び中継導体46の両方が省略される場合、電線接続部がコネクタ端子に設けられる。装着部は、コネクタ端子に設けられてもよいし、導体芯線24に設けられてもよい。装着部がコネクタ端子に設けられる場合、装着部がクローズドバレルのように環状に形成されると共に、装着部のうち相手側接続部側の部分が閉塞されているとよい。装着部が導体芯線24に設けられる場合、導体芯線24が1つの導体からなる単芯線であり、シール本体が絶縁被覆26とコネクタ端子との間に位置するようにシール部材50が導体芯線24に装着されるとよい。
【0107】
ジョイント端子32及び中継導体46のいずれか一方が省略される場合、一方の機能が他方に一体化される。例えば、中継導体にジョイント端子32の機能が一体化されてもよい。この場合、中継導体に電線接続部が設けられる。
【0108】
また端子付電線20において、シール部材50が省略されていてもよい。またキャビティ63の内面が円形状でなくともよい。キャビティ63の内面は四角形状などであってもよい。
【0109】
また
図7に示すように、本体部品61では突出壁部64がキャビティ63の一方開口部に対して端子部品30の高さ方向に形成される。このため本体部品61ではキャビティ63の一方開口部に対して端子部品30の左右方向があく。なお端子部品30において高さ方向は、各バレルにおける底部から圧着片が突出する方向であり、各図におけるZ方向である。また端子部品30において左右方向は、各バレルにおける一対の圧着片の基端部が並ぶ方向であり、各図におけるY方向である。
図11に示すように、本体部品161では第1壁部171がキャビティ63の一方開口部に対して端子部品30の左右方向に形成される。このため本体部品161ではキャビティ63の一方開口部に対して端子部品30の高さ方向があく。本体部品61の突出壁部64が、本体部品161の第1壁部171のようにキャビティ63に対して端子部品30の左右方向に形成され、端子部品30の高さ方向があけられてもよい。また本体部品161の第1壁部171が、本体部品61の突出壁部64のようにキャビティ63に対して端子部品30の高さ方向に形成され、端子部品30の左右方向があけられてもよい。
【0110】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。