【解決手段】この通信システム100は、複数台の機器10と、複数台の機器10に接続されるとともに、機器10に関するデータを取得し、取得したデータを外部システム200に送信する通信装置20と、を備える。通信装置20は、少なくとも一部の機器10と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行うように構成されている。
前記通信装置は、前記通信装置から、前記機器へのデータ要求通信を行い、通信エラーが発生した場合、前記機器が正常に接続されていないと判定するように構成されている、請求項1または2に記載の通信システム。
前記通信装置は、無線通信を用いて前記外部システムと通信を行うとともに、有線通信を用いて前記機器としての測定器と通信を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、上記特許文献1に記載されるような環境監視システムでは、管理装置とガス検知器とが正常に接続されていない場合があると考えられる。この場合、管理装置から、接続されていないガス検知器への通信を行わないことが考えられる。しかしながら、管理装置から、接続されていないガス検知器への通信を行わないと、管理装置とガス検知器との接続が正常に復帰した場合に、管理装置とガス検知器との通信を迅速に行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、通信装置と機器との接続が正常に復帰した場合に、通信装置と機器との通信を迅速に行うことが可能な通信システムおよび通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による通信システムは、複数台の機器と、複数台の機器に接続されるとともに、機器に関するデータを取得し、取得したデータを外部システムに送信する通信装置と、を備え、通信装置は、少なくとも一部の機器と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による通信システムでは、上記のように、通信装置を、少なくとも一部の機器と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行うように構成する。これにより、少なくとも一部の機器と正常に接続されていないことが検出された場合に、通信装置から、接続されていない機器への通信を全く行わない場合と異なり、第2の条件を満たす場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行う(継続する)ことができる。その結果、通信装置と機器との接続が正常に復帰した場合に、通信装置と機器との通信を迅速に行うことができる。また、第1の条件を満たす場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行わない(停止する)ので、通信を必要としない場合には、通信を不必要に行うことを防止することができる。
【0009】
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、第1の条件は、通信装置の起動時に、機器が正常に接続されていないと判定されることであり、第2の条件は、通信装置の起動後に、機器が正常に接続されていないと判定されることである。このように構成すれば、通信装置の起動時に、機器が正常に接続されていないと判定された場合、通信装置から、接続されていない機器への通信を行わないようにすることができる。その結果、通信装置の起動時に機器が接続されていないと判定され、通信を必要としない場合には、通信を不必要に行うことを防止することができる。また、通信装置の起動後に、機器が正常に接続されていないと判定された場合、通信装置から、接続されていない機器への通信を行うようにすることができる。その結果、通信装置の起動後に機器が接続されていないと判定されたが、通信装置と機器との接続が正常に復帰する可能性がある場合には、通信装置から、接続されていない機器への通信を行う(継続する)ことができる。これにより、通信装置の起動後に機器が接続されていないと判定されたが、通信装置と機器との接続が正常に復帰した場合に、通信装置と機器との通信を迅速に行うことができる。
【0010】
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、通信装置は、通信装置から、機器へのデータ要求通信を行い、通信エラーが発生した場合、機器が正常に接続されていないと判定するように構成されている。このように構成すれば、データ要求通信時に、通信装置と機器とが正常に接続されていないことを判定することができる。その結果、通信装置と機器とが正常に接続されていないことを容易に判定することができる。
【0011】
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、通信装置は、複数台の機器を識別する識別情報を予め記憶するように構成されている。このように構成すれば、識別情報により複数台の機器の各々を識別することができる。その結果、複数台の機器のうちいずれの機器が通信装置と正常に接続されていないかを容易に判定することができる。
【0012】
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、通信装置は、無線通信を用いて外部システムと通信を行うとともに、有線通信を用いて機器としての測定器と通信を行うように構成されている。このように構成すれば、有線通信を用いて機器としての測定器から機器としての測定器に関するデータを取得しつつ、無線通信を用いて機器としての測定器に関するデータを外部システムに送信することができる。その結果、機器としての測定器が無線通信機能を有していない場合にも、離れた外部システムに機器としての測定器に関するデータを送信することができる。
【0013】
この発明の第2の局面による通信装置は、複数台の機器に接続される通信部と、通信部を介して、機器に関するデータを取得し、取得したデータを外部システムに送信する制御部と、を備え、制御部は、少なくとも一部の機器と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、接続されていない機器への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、接続されていない機器への通信を行うように構成されている。
【0014】
この発明の第2の局面による通信装置では、上記のように、制御部を、少なくとも一部の機器と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、接続されていない機器への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、接続されていない機器への通信を行うように構成する。これにより、上記第1の局面による通信システムと同様に、通信装置と機器との接続が正常に復帰した場合に、通信装置と機器との通信を迅速に行うことが可能な通信装置を提供することができる。また、上記第1の局面による通信システムと同様に、通信を必要としない場合には、通信を不必要に行うことを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、通信装置と機器との接続が正常に復帰した場合に、通信装置と機器との通信を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜
図6を参照して、一実施形態による通信システム100の構成について説明する。
【0019】
(通信システムの構成)
図1に示すように、通信システム100は、外部システム(上位システム)200と共に、工場の状態を監視するように構成されている。通信システム100は、複数台の機器(電子機器)10と、通信装置20とを備えている。複数台の機器10は、測定対象(検知対象)を測定する測定器(検知器)として設けられている。具体的には、複数台の機器10は、測定対象のガスを測定するガス測定器として設けられている。複数台の機器10は、たとえば、ガス配管により測定個所に流体的に接続されている。通信装置20は、複数台の機器10に接続されるとともに、機器10に関するデータを取得し、取得したデータを外部システム200に送信するように構成されている。機器10に関するデータは、機器10のステータス情報およびガス濃度情報などを含んでいる。
【0020】
外部システム200は、ユーザ側の監視システムである。外部システム200は、通信装置201と、制御装置202と、表示装置203とを備えている。通信装置201は、通信装置20と通信を行い、機器10に関するデータを受信するように構成されている。制御装置202は、機器10に関するデータを取得し、取得したデータに基づいて所定の処理を行うように構成されている。表示装置203は、制御装置202の指令に基づいて、警報に関する情報などを表示するように構成されている。
【0021】
通信装置20は、無線通信を用いて外部システム200と通信を行うように構成されている。具体的には、通信装置20は、長距離広域無線ネットワークを用いて外部システム200と通信を行うように構成されている。長距離広域無線ネットワークとは、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)である。通信装置20は、機器10、後述する機器30および機器50から取得した信号をLoRaWANの無線信号に変換する機能を有する無線変換器である。
【0022】
また、通信装置20は、有線通信を用いて機器10と通信を行うように構成されている。具体的には、通信装置20は、Modbus(登録商標)を用いて機器10と通信を行うように構成されている。また、機器10は、通信装置20に数珠つなぎに接続されている。これにより、通信装置20に1台の機器10を接続するだけでよいので、通信装置20に多数の接続ポートを設ける必要がない。通信装置20と機器10とは、Modbusに対応するケーブルにより接続されている。また、機器10同士も、Modbusに対応するケーブルにより接続されている。通信装置20は、末端の端末であるエンドポイントとして設けられている。
【0023】
また、通信システム100は、機器30と、複数台の機器40とを備えている。機器30は、複数台の機器10を介して通信装置20に接続されている。機器30は、有線通信を用いて通信装置20と通信を行うように構成されている。機器30は、Modbusに対応するケーブルにより機器10に接続されている。また、複数台の機器40は、測定対象(検知対象)を測定する測定器(検知器)として設けられている。具体的には、複数台の機器40は、測定対象のガスを測定するガス測定器として設けられている。また、複数台の機器40は、4−20mAのアナログ出力に対応するケーブルにより機器30に接続されている。機器30は、機器40から取得した4−20mAのアナログ出力信号をModbus信号に変換する機能を有している。これにより、Modbus非対応の機器40を通信装置20に接続することができる。機器40は、Modbus非対応の機器である。
【0024】
また、通信システム100は、機器50を備えている。機器50は、通信装置20に接続されている。機器50は、有線通信を用いて通信装置20と通信を行うように構成されている。機器50は、4−20mAのアナログ出力に対応するケーブル、および、Modbus以外のデジタル出力に対応するケーブルの2つのケーブルにより通信装置20に接続されている。機器50は、Modbus非対応の機器である。
【0025】
通信装置20は、Modbus、4−20mAのアナログ出力、および、Modbus以外のデジタル出力の互いに異なる複数の通信形式に対応するマルチ入力可能な装置である。通信装置20が互いに異なる複数の通信形式で入力可能(マルチ入力可能)なことにより、通信装置20が1つの通信形式でのみ入力可能な場合に比べて、通信装置20の利便性を高めることができる。
【0026】
また、通信システム100は、警報装置60を備えている。警報装置60は、通信装置20に接続されている。警報装置60は、通信装置20からの接点出力に基づいて、警報を行うように構成されている。警報装置60は、光により警報を行う表示灯および音により警報を行うスピーカなどを含んでいる。警報装置60は、たとえば、機器10、機器40および機器50のいずれかにより外部システム200への通知が必要なしきい値を超える測定対象が測定された場合、光および音などにより警報を行うように構成されている。
【0027】
(機器の構成)
次に、機器10の詳細な構成について説明する。
【0028】
図2に示すように、機器10は、センサ部11と、第1通信部12と、第2通信部13と、表示部14と、操作部15と、記憶部16と、制御部17とを備えている。なお、
図2では、最も上流側(通信装置20に近い側)の機器10の構成を図示している。
【0029】
センサ部11は、測定対象(検知対象)を測定(検知)するように構成されている。具体的には、センサ部11は、測定対象のガス濃度を測定するように構成されている。測定対象のガスは、測定個所に応じて適宜決定されるが、たとえば、水素、酸素、硫化水素、および、一酸化炭素などであり得る。センサ部11は、たとえば、熱線型半導体式の水素測定用のガスセンサ素子、隔膜ガルバニ電池式の酸素測定用のガスセンサ素子、定電位電解式の硫化水素測定用のガスセンサ素子、および、定電位電解式の一酸化炭素測定用のガスセンサ素子などを含んでいる。なお、センサ部11は、1種類のガスを測定するように1つのみ設けられていてもよいし、複数種類のガスを測定するように複数設けられていてもよい。
【0030】
第1通信部12は、通信装置20に通信可能に接続されている。第1通信部12は、Modbusに対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。なお、最も上流側の機器10以外の機器10では、第1通信部12は、1つ上流側(通信装置20に近い側)の機器10に接続されている。機器10は、第1通信部12を介して、上流側の装置(通信装置20または機器10)と信号を送受信可能に構成されている。第2通信部13は、1つ下流側(通信装置20から遠い側)の機器10に通信可能に接続されている。第2通信部13は、Modbusに対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。なお、最も下流側の機器10では、第2通信部13は、機器30に接続されている。機器10は、第2通信部13を介して、下流側の装置(機器10または機器30)と信号を送受信可能に構成されている。
【0031】
表示部14は、機器10のステータス(正常状態、警報状態、エラー状態など)に関する情報、および、ガス濃度に関する情報などを表示するように構成されている。表示部14は、情報を表示するための液晶パネルを含む液晶表示部である。操作部15は、機器10の電源のオンオフ操作、および、機器10のモードの切替操作などを受け付けるように構成されている。操作部15は、押しボタン式のボタン操作部である。
【0032】
記憶部16は、機器10に関する情報を記憶するように構成されている。具体的には、記憶部16には、機器10を識別する識別情報Aが記憶されている。識別情報Aは、特に限られないが、たとえば、機器10を識別する番号であり得る。複数台の機器10の各々は、自身を識別する識別情報Aを記憶部16に記憶している。記憶部16は、たとえばフラッシュメモリなどの書き換え可能な記録媒体を含んでいる。制御部17は、CPU(中央処理装置)を含み、機器10の全体の動作を制御する制御回路である。制御部17は、通信装置20との通信動作、および、測定対象ガスの測定動作などを制御するように構成されている。
【0033】
(通信装置の構成)
次に、通信装置20の詳細な構成について説明する。
【0034】
図3に示すように、通信装置20は、第1通信部21と、第2通信部22と、第3通信部23と、第4通信部24と、出力部25と、記憶部26と、制御部27とを備えている。なお、第2通信部22は、特許請求の範囲の「通信部」の一例である。
【0035】
第1通信部21は、外部システム200に通信可能に接続されている。第1通信部21は、LoRaWANに対応する無線信号を送受信するためのアンテナを含む無線通信部である。通信装置20は、第1通信部21を介して、外部システム200と信号を送受信可能に構成されている。第2通信部22は、通信装置20に最も近い機器10に通信可能に接続されている。これにより、第2通信部22は、複数台の機器10に通信可能に接続されている。第2通信部22は、Modbusに対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。通信装置20は、第2通信部22を介して、複数台の機器10の各々と信号を送受信可能に構成されている。
【0036】
第3通信部23は、機器50に通信可能に接続されている。第3通信部23は、4−20mAのアナログ出力に対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。通信装置20は、第3通信部23を介して、機器50と信号を送受信可能に構成されている。第4通信部24は、機器50に通信可能に接続されている。第4通信部24は、Modbus以外のデジタル出力に対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。通信装置20は、第4通信部24を介して、機器50と信号を送受信可能に構成されている。出力部25は、警報装置60に接続されている。出力部25は、接点出力を行うためのリレーを含む接点出力部である。通信装置20は、警報時に、出力部25を介して、警報装置60に接点出力を行い、警報を行わせるように構成されている。
【0037】
記憶部26は、機器10との通信に関する情報を記憶するように構成されている。具体的には、記憶部26には、複数台の機器10を識別する識別情報Aが記憶されている。通信装置20は、複数台の機器10を識別する識別情報Aを記憶部26に予め記憶するように構成されている。複数台の機器10の個別の識別情報Aにより、通信装置20は、複数台の機器10の各々を指定した通信を行うことが可能である。記憶部26は、たとえばフラッシュメモリなどの書き換え可能な記録媒体を含んでいる。制御部27は、CPU(中央処理装置)を含み、通信装置20の全体の動作を制御する制御回路である。制御部27は、機器10との通信動作、および、外部システム200との通信動作などを制御するように構成されている。
【0038】
(データ要求通信)
図4(A)(B)に示すように、通信装置20は、複数台の機器10にデータ要求通信を行い、複数台の機器10からデータを取得し、取得したデータを外部システム200に送信するように構成されている。
【0039】
具体的には、通信装置20の制御部27(
図3参照)は、機器10に関するデータを要求するデータ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うように構成されている。また、機器10の制御部17(
図2参照)は、データ要求通信により要求された自身のデータ(ステータス情報およびガス濃度情報など)を通信装置20に返信するように構成されている。これにより、通信装置20の制御部27は、複数台の機器10の各々のデータを順次取得するように構成されている。
【0040】
より具体的には、通信装置20の制御部27は、No.1の機器10の識別情報A(
図3参照)に基づいてNo.1の機器10にデータ要求通信を行い、No.1の機器10からデータを受信し、No.2の機器10の識別情報Aに基づいてNo.2の機器10にデータ要求通信を行い、No.2の機器10からデータを受信し・・・というように、データ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うように構成されている。なお、
図2では、便宜上、No.1の機器10およびNo.2の機器10のデータ要求通信のみを図示している。しかしながら、実際には、複数台の機器10の全てにデータ要求通信が行われる。
【0041】
通信装置20の制御部27は、定期的(たとえば、30秒毎)に、複数台の機器10にデータ要求通信を有線通信を用いて行い、複数台の機器10の各々のデータを有線通信を用いて取得するように構成されている。そして、通信装置20の制御部27は、定期的に、取得した複数台の機器10のデータを無線信号に変換して無線通信を用いて外部システム200に送信するように構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、機器10へのデータ要求通信時には、機器30(
図1参照)へのデータ要求通信も行われる。
【0042】
ここで、本実施形態では、通信装置20の制御部27は、少なくとも一部の機器10と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行うように構成されている。具体的には、第1の条件は、通信装置20の起動時(電源オン時)に、機器10が正常に接続されていないと判定されることである。また、第2の条件は、通信装置20の起動後(駆動中)に、機器10が正常に接続されていないと判定されることである。
【0043】
図5に示すように、通信装置20は、起動時に、複数台の機器10に初期設定情報を要求するデータ要求通信を行うように構成されている。初期設定情報は、測定対象ガスの濃度のフルスケールの情報、および、測定対象ガスの警報のしきい値の情報などを含んでいる。通信装置20の起動時には、ユーザが意図して機器10(
図5では、No.2の機器10)を取り外している場合があるため、通信装置20と機器10とが正常に接続されていないことが検出される場合がある。なお、この場合には、取り外された機器10の前後の機器10(
図5では、No1の機器10とNo.3の機器10)が、Modbusに対応するケーブルにより接続されている。
【0044】
通信装置20の制御部27(
図3参照)は、起動時に、通信装置20から、複数台の機器10へのデータ要求通信を行い、通信エラーが発生した場合、機器10が正常に接続されていない(正常に通信可能に接続されていない)と判定するように構成されている。たとえば、
図5に示す例では、通信装置20の制御部27が、No.1の機器10の識別情報Aに基づいてNo.1の機器10にデータ要求通信を行い、No.1の機器10からデータを受信し、No.2の機器10の識別情報Aに基づいてNo.2の機器10にデータ要求通信を行い・・・というように、データ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うと、No.2の機器10が取り外されているため、No.2の機器10からデータが返信されず、No.2の機器10からデータを受信することができない。この場合、たとえばタイムアウトエラーにより通信装置20において通信エラーが発生するため、通信装置20の制御部27により、No.2の機器10が正常に接続されていないと判定される。
【0045】
この場合、通信装置20の制御部27は、その後の定期通信時において接続されていないNo.2の機器10へのデータ要求通信を行わないように構成されている。すなわち、通信装置20の制御部27は、その後の定期通信時において、No.1の機器10の識別情報Aに基づいてNo.1の機器10にデータ要求通信を行い、No.1の機器10からデータを受信し、No.3の機器10の識別情報Aに基づいてNo.3の機器10にデータ要求通信を行い、No.3の機器10からデータを受信し、・・・というように、接続されていないNo.2の機器10を飛ばして、データ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うように構成されている。このように、第1の条件を満たす場合には、その後の定期通信時に起動時に非接続の機器(上記例の場合No.2の機器10)には通信を行わないので、同じ機器10が第1の条件と第2の条件とを同時に満たすことはない。ただし異なる機器10が、第1の条件と第2の条件とをそれぞれ満たすことはあり得る。
【0046】
図6に示すように、通信装置20は、起動後に、複数台の機器10にステータス情報およびガス濃度情報などを要求するデータ要求通信を定期的に行うように構成されている。ここで、通信装置20の起動時には正常に接続されていることが検出される場合にも、通信装置20の起動後に、機器10の故障(
図6では、No.2の機器10の故障)などに起因して通信装置20と機器10とが正常に接続されていないことが検出される場合がある。なお、この場合には、
図5に示す場合とは異なり、故障した機器10の前後の機器10(
図6では、No1の機器10とNo.3の機器10)が、Modbusに対応するケーブルにより故障した機器10に接続されたままである。この場合にも、ケーブルを介した信号の伝送自体は可能であるため、故障した機器10を介して上流側および下流側の機器10に信号を伝送することは可能である。
【0047】
通信装置20の制御部27(
図3参照)は、起動後に、通信装置20から、複数台の機器10へのデータ要求通信を行い、通信エラーが発生した場合、機器10が正常に接続されていない(正常に通信可能に接続されていない)と判定するように構成されている。たとえば、
図6に示す例では、通信装置20の制御部27が、No.1の機器10の識別情報Aに基づいてNo.1の機器10にデータ要求通信を行い、No.1の機器10からデータを受信し、No.2の機器10の識別情報Aに基づいてNo.2の機器10にデータ要求通信を行い・・・というように、データ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うと、No.2の機器10が故障しているため、No.2の機器10からデータが返信されず、No.2の機器10からデータを受信することができない。この場合、たとえばタイムアウトエラーにより通信装置20において通信エラーが発生するため、通信装置20の制御部27により、No.2の機器10が正常に接続されていないと判定される。
【0048】
この場合、通信装置20の制御部27は、その後の定期通信時において接続されていないNo.2の機器10へのデータ要求通信を行うように構成されている。すなわち、通信装置20の制御部27は、その後の定期通信時において、No.1の機器10の識別情報Aに基づいてNo.1の機器10にデータ要求通信を行い、No.1の機器10からデータを受信し、No.2の機器10の識別情報Aに基づいてNo.2の機器10にデータ要求通信を行い・・・というように、接続されていないNo.2の機器10を飛ばさずに、データ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うように構成されている。
【0049】
(データ処理)
次に、
図7を参照して、本実施形態の通信装置20によるデータ処理をフローチャートに基づいて説明する。ステップS1〜S4は、起動時の処理である。また、ステップS5〜S9は、起動後の処理である。
【0050】
図7に示すように、電源が投入される(起動される)と、ステップS1において、制御部27のCPUの初期設定が行われる。そして、ステップS2において、設定情報の読み出しが行われる。そして、ステップS3において、機器10の接続確認が終了されたか否かが判定される。ステップS3において、機器10の接続確認が終了されていないと判定された場合、ステップS4に進む。
【0051】
そして、ステップS4において、起動時の接続確認および通常動作時の接続先の決定が行われる。すなわち、ステップS4では、複数台の機器10に初期設定情報を要求するデータ要求通信が行われる。そして、ステップS4では、通信エラーが発生した場合、機器10が正常に接続されていないと判定される。また、ステップS4では、通信エラーが発生せずに正常に接続されていると判定された機器10が接続先として決定される。その後の定期通信時には、接続されていないと判定された機器10へのデータ要求通信は行われず、接続されていると判定された機器10へのデータ要求通信のみが行われる。
【0052】
また、ステップS3において、機器10の接続確認が終了されていると判定された場合、ステップS5に進む。そして、ステップS5において、有線通信タイミング(Modbus通信タイミング)であるか否かが判定される。すなわち、ステップS5では、通信装置20から、機器10へのデータ要求通信の定期通信タイミングであるか否かが判定される。ステップS5において、有線通信タイミングでないと判定された場合、ステップS6およびS7の処理を飛ばして、ステップS8に進む。また、ステップS5において、有線通信タイミングであると判定された場合、ステップS6に進む。
【0053】
そして、ステップS6において、接続先に選択されている機器10へのステータス情報およびガス濃度情報などを要求するデータ要求通信が行われる。そして、機器10から要求したデータが返信されて取得される。そして、ステップS7では、機器10から取得されたデータへの通信情報処理が行われる。この際、通信エラーが発生し、機器10が正常に接続されていないと判定されたとしても、その後の定期通信時には、接続されていると判定された機器10へのデータ要求通信だけでなく、接続されていないと判定された機器10へのデータ要求通信も行われる。
【0054】
そして、ステップS8において、無線通信タイミング(LoRaWAN通信タイミング)であるか否かが判定される。すなわち、ステップS8では、通信装置20から、外部システム200へのデータ送信の定期通信タイミングであるか否かが判定される。ステップS8において、無線通信タイミングでないと判定された場合、ステップS9の処理を飛ばして、ステップS5に戻る。また、ステップS8において、無線通信タイミングであると判定された場合、ステップS9に進む。そして、ステップS9において、外部システム200へのデータ送信が行われる。そして、ステップS5に戻る。その後、電源オンの間、ステップS5〜S9の処理が適宜行われる。
【0055】
なお、接続先に選択されている機器10のいずれかにより外部システム200への通知が必要なしきい値を超える測定対象ガスが測定された場合には、定期通信時でなくても、通信装置20から、外部システム200に即時に機器10から取得したデータが送信される。
【0056】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
本実施形態では、上記のように、通信装置20を、少なくとも一部の機器10と正常に接続されていないことが検出された場合、第1の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行わず、第2の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行うように構成する。これにより、少なくとも一部の機器10と正常に接続されていないことが検出された場合に、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を全く行わない場合と異なり、第2の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行う(継続する)ことができる。その結果、通信装置20と機器10との接続が正常に復帰した場合に、通信装置20と機器10との通信を迅速に行うことができる。また、第1の条件を満たす場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行わない(停止する)ので、通信を必要としない場合には、通信を不必要に行うことを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、第1の条件は、通信装置20の起動時に、機器10が正常に接続されていないと判定されることである。また、第2の条件は、通信装置20の起動後に、機器10が正常に接続されていないと判定されることである。これにより、通信装置20の起動時に、機器10が正常に接続されていないと判定された場合、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行わないようにすることができる。その結果、通信装置20の起動時に機器10が接続されていないと判定され、通信を必要としない場合には、通信を不必要に行うことを防止することができる。また、通信装置20の起動後に、機器10が正常に接続されていないと判定された場合、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行うようにすることができる。その結果、通信装置20の起動後に機器10が接続されていないと判定されたが、通信装置20と機器10との接続が正常に復帰する可能性がある場合には、通信装置20から、接続されていない機器10への通信を行う(継続する)ことができる。これにより、通信装置20の起動後に機器10が接続されていないと判定されたが、通信装置20と機器10との接続が正常に復帰した場合に、通信装置20と機器10との通信を迅速に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、通信装置20を、通信装置20から、機器10へのデータ要求通信を行い、通信エラーが発生した場合、機器10が正常に接続されていないと判定するように構成する。これにより、データ要求通信時に、通信装置20と機器10とが正常に接続されていないことを判定することができる。その結果、通信装置20と機器10とが正常に接続されていないことを容易に判定することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、通信装置20を、複数台の機器10を識別する識別情報Aを予め記憶するように構成する。これにより、識別情報Aにより複数台の機器10の各々を識別することができる。その結果、複数台の機器10のうちいずれの機器10が通信装置20と正常に接続されていないかを容易に判定することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、通信装置20を、無線通信を用いて外部システム200と通信を行うとともに、有線通信を用いて機器10としての測定器と通信を行うように構成する。これにより、有線通信を用いて機器10としての測定器から機器10としての測定器に関するデータを取得しつつ、無線通信を用いて機器10としての測定器に関するデータを外部システム200に送信することができる。その結果、機器10としての測定器が無線通信機能を有していない場合にも、離れた外部システム200に機器10としての測定器に関するデータを送信することができる。
【0062】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0063】
たとえば、上記実施形態では、機器が、ガス測定器として設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機器が、ガス測定器以外の圧力測定器(圧力センサ)および温度測定器(温度センサ)などの測定器として設けられていてもよい。また、通信装置に接続される機器は、1種類(ガス測定器のみなど)に限られず、複数種類(ガス測定器、圧力測定器および温度測定器の3種類など)であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、通信装置が、LoRaWANを用いて外部システムと通信を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、LoRaWAN以外のSIGFOXやNB―IoT、WiFiなどの無線通信を用いて機器と通信を行うように構成されていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、通信装置が、Modbusを用いて機器と通信を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、Modbus以外のPoE(Power over Ethernet)などの有線通信を用いて機器と通信を行うように構成されていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、通信システムが、アナログ出力信号をModbus信号に変換する機器を備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信システムが、アナログ出力信号をModbus信号に変換する機器を備えていなくてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、複数台の機器が、通信装置に数珠つなぎに接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数台の機器の各々が、通信装置に直接接続されていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、通信システム100が、機器30、50、60を備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、通信システム100が、機器30、50、60の少なくともいずれかを備えていなくてもよく、全てを備えていなくてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、機器40が、Modbus非対応の機器とする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、機器40が、4−20mAのアナログ出力信号とModbus信号とのどちらも出力可能であってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、通信装置20の第4通信部24が、Modbus以外のデジタル出力に対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第4通信部24が、Modbusにも対応するように構成されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、通信装置20が、複数台の機器10の個別の識別情報Aにより、複数台の機器10の各々を指定した通信を行うことが可能な例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、記憶部26の内容によらず、全ての機器10を指定して通信を行うことが可能なようにしてもよい。また、複数台の機器10の各々を指定した通信と全ての機器10を指定しての通信のどちらも実施可能なようにしてもよい。この場合、いずれか一方の通信態様を特殊な操作(たとえば、スイッチを押した状態で電源オンとする)を行うことで実施するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、通信装置が、通信装置から、機器へのデータ要求通信を行い、通信エラーが発生した場合、機器が正常に接続されていないと判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、通信装置から、機器へのデータ要求通信を行うことなく、機器が正常に接続されていないと判定してもよい。たとえば、通信装置が、電圧などの各種のパラメータに基づいて機器の接続を判定可能な場合には、電圧などの各種のパラメータに基づいて、機器が正常に接続されていないと判定してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、外部システムに対して、1つの通信装置が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外部システムに対して、複数台の通信装置が設けられていてもよい。この場合、複数台の通信装置の各々の定期通信周期は、たとえば機器番号に基づいて設定された乱数に基づいて決めてもよい。このようにすれば、複数台の通信装置の定期通信のタイミングが重なることを抑制することができる。
【0074】
また、本発明では、通信装置および機器は、防爆仕様であってもよいし、非防爆仕様であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。