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特開2021-175226入力電源電圧調整機能を有するモータ駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-175226(P2021-175226A)
(43)【公開日】2021年11月1日
(54)【発明の名称】入力電源電圧調整機能を有するモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20211004BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20211004BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20211004BHJP
【FI】
   H02P27/06
   H02M7/48 E
   H02M7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-75566(P2020-75566)
(22)【出願日】2020年4月21日
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】黒木 渉
【テーマコード(参考)】
5H006
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H006BB05
5H006CA01
5H006CA02
5H006CA03
5H006CA05
5H006CA07
5H006CB01
5H006CB08
5H006DC05
5H006DC08
5H505AA18
5H505BB02
5H505BB06
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD06
5H505EE49
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA06
5H505HA09
5H505HA10
5H505HA13
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505LL07
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL41
5H505LL44
5H505LL45
5H505LL46
5H505MM06
5H770AA02
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770EA01
5H770GA19
5H770HA02Z
5H770HA03W
5H770HA06Z
5H770HA07Z
5H770JA11W
5H770JA13W
5H770JA17W
(57)【要約】
【課題】モータの発熱を抑制しつつモータを効率良く制御することができるモータ駆動装置を実現する。
【解決手段】モータ駆動装置1は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧に変換して出力する交流安定化電源装置11と、入力電源電圧を直流電圧に変換してDCリンクへ出力するコンバータ12と、DCリンクにおける直流電圧をモータ3の駆動のための交流電圧に変換して出力するインバータ13と、モータ3に対するモータ駆動指令に基づき、インバータ13による変換動作を制御するモータ制御部14と、モータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に要求される精度を判定する制御判定部15と、制御判定部15による判定結果に応じて、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を制御する入力電源電圧制御部16とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の交流電圧を、入力電源電圧に変換して出力する交流安定化電源装置と、
前記入力電源電圧を直流電圧に変換してDCリンクへ出力するコンバータと、
前記DCリンクにおける直流電圧をモータの駆動のための交流電圧に変換して出力するインバータと、
前記モータに対するモータ駆動指令に基づき、前記インバータによる変換動作を制御するモータ制御部と、
前記モータ駆動指令に基づき、前記モータの動作軌跡に要求される精度を判定する制御判定部と、
前記制御判定部による判定結果に応じて、前記交流安定化電源装置が出力する前記入力電源電圧を制御する入力電源電圧制御部と、
を備える、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記入力電源電圧制御部は、前記制御判定部による判定結果に応じて、前記交流安定化電源装置が出力する前記入力電源電圧を制御するための電圧指令値を生成して前記交流安定化電源装置へ送信し、
前記交流安定化電源装置は、前記交流電源の交流電圧を、前記入力電源電圧制御部から受信した前記電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記入力電源電圧制御部は、
前記制御判定部により前記モータ駆動指令が前記モータの動作軌跡に精度を要しない指令であると判定された場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧に代えてより高い入力電源電圧を出力させる前記電圧指令値を生成し、
前記制御判定部により前記モータ駆動指令が前記モータの動作軌跡に精度を必要とする指令であると判定された場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧に代えてより低い入力電源電圧を出力させる前記電圧指令値を生成する、
請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記モータの温度を取得する温度取得部をさらに備え、
前記入力電源電圧制御部は、前記制御判定部による判定結果及び前記温度取得部により取得された温度に応じて、前記交流安定化電源装置が出力する前記入力電源電圧を制御する、請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記入力電源電圧制御部は、前記温度取得部により取得された前記モータの温度が第1の温度閾値より低く、かつ、前記制御判定部により前記モータ駆動指令が前記モータの動作軌跡に精度を要しない指令であると判定された場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧に代えてより高い入力電源電圧を出力させる前記電圧指令値を生成する、請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記入力電源電圧制御部は、前記温度取得部により取得された前記モータの温度が前記第1の温度閾値より低く、かつ、前記制御判定部により前記モータ駆動指令が前記モータの動作軌跡に精度を必要とする指令であると判定された場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧に代えてより低い入力電源電圧を出力させる前記電圧指令値を生成する、請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記入力電源電圧制御部は、前記温度取得部により取得された前記モータの温度が前記第1の温度閾値より低い第2の閾値より低く、かつ、前記制御判定部により前記モータ駆動指令が前記モータの動作軌跡に精度を必要とする指令であると判定された場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧に代えてより低い入力電源電圧を出力させる前記電圧指令値を生成する、請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記入力電源電圧制御部は、前記温度取得部により取得された前記モータの温度が前記第1の温度閾値と前記第2の温度閾値との間にあり、かつ、前記制御判定部により前記モータ駆動指令が前記モータの動作軌跡に精度を必要とする指令であると判定された場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧を維持する前記電圧指令値を生成する、請求項7に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
前記入力電源電圧制御部は、前記温度取得部により取得された前記モータの温度が前記第1の温度閾値以上の場合は、前記交流安定化電源装置が出力していた入力電源電圧に代えてより高い入力電源電圧を出力させる前記電圧指令値を生成する、請求項5〜8のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項10】
前記モータの動作軌跡に精度を要しないモータ駆動指令は、前記モータにより駆動される送り軸の早送り指令である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項11】
前記モータの動作軌跡に精度を必要とするモータ駆動指令は、前記モータにより駆動される送り軸によるワークの切削加工用、塑性加工用または成型加工用の指令である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電源電圧調整機能を有するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、鍛圧機械、射出成形機、産業機械、あるいは各種ロボット内のモータを駆動するモータ駆動装置においては、交流電源から供給される交流電圧をコンバータ(整流器)にて直流電圧に変換してDCリンクへ出力し、さらにインバータにてDCリンクにおける直流電圧を交流電圧に変換して、この交流電圧を駆動軸ごとに設けられたモータに駆動電圧として供給している。
【0003】
例えば、交流電圧を直流電圧に変換して出力するコンバータと、前記出力された直流電圧を交流電圧に変換して負荷となるモータに出力するインバータとを有するモータ駆動部と、前記モータに対する所定動作を指示する指令演算部からの指令を受けて、前記コンバータには所定の直流電圧指令を与え、一方前記インバータには所定のモータ駆動指令を与えるモータ制御部と、を備えるモータ駆動装置において、前記モータの運転状況を逐次判定する状況判定手段を設け、該状況判定手段は判定した前記運転状況に応じて前記直流電圧指令を適応的に設定し、該直流電圧指令に従って前記コンバータからの前記直流電圧を可変とすることを特徴とするモータ駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
例えば、周期的負荷(6)に対して電動機(5)の回転速度変動を抑制するようにインバータ(4)から電動機(5)に印加する電圧または電流を制御する電動機制御方法において、回転速度変動の抑制に優先して前記インバータ(4)のパワーデバイスの電流最大値をオーバーしないように前記電圧または電流を制御することを特徴とする電動機制御方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
例えば、電流指令に基づいて電動機の電流を制御する電流フィードバック制御ループを構成してインバータ主回路に備わるスイッチング素子のゲートまたはベースに駆動信号を供給する制御回路において、前記電動機の電流検出点から該検出電流のフィードバック信号を電流指令に加算する加算点までの後ろ向きループの信号導電部分と、前記加算点から前記ゲートまたは前記ベース駆動信号までの前向きループの信号導電部分とを、共に外部の雰囲気に触れることなく密封したことを特長とする電流制御回路が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−110172号公報
【特許文献2】特開2012−100534号公報
【特許文献3】特開2000−217367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モータ駆動装置にてモータを駆動する際にコンバータ、インバータ及びモータに流れる電流に比例する発熱により、コンバータ、インバータ及びモータの温度は上昇する。コンバータ、インバータ及びモータの温度が非常に高いと、モータ駆動装置の力率の低下や誤動作を招き、加工精度の低下やモータ駆動装置及び各種周辺機器の破損、寿命短縮をもたらす。
【0008】
例えば、モータ駆動装置の入力電源電圧を高くすると、モータ駆動装置におけるコンバータとインバータとの間のDCリンクにおける電圧(以下、単に「DCリンク電圧」と称する。)は高くなる。ある一定のモータ出力を維持してモータを駆動する場合、モータ駆動装置におけるDCリンク電圧が高いほど、コンバータ及びモータに流れる電流が少なくなるので、コンバータ及びモータの発熱を抑制することができるというメリットがある。また、モータの発熱が少ないので、モータの出力を大きくし易いというメリットがある。一方で、DCリンク電圧が高くなることで、インバータに対する電圧指令の実分解能が低下するので、モータ制御の精度が悪化するというデメリットがある。よって、高いDCリンク電圧を有するモータ駆動装置は、モータの速度制御などのように精度を要しない制御には適しているが、モータの位置制御などのように精度を必要とする制御には不向きである。また、インバータのスイッチング損失が増加するのでインバータの発熱が大きくなるというデメリットがある。
【0009】
例えば、モータ駆動装置の入力電源電圧を低くすると、DCリンク電圧は低くなる。ある一定のモータ出力を維持してモータを駆動する場合、モータ駆動装置におけるDCリンク電圧が低いほど、コンバータ及びモータに流れる電流が多くなるので、コンバータ及びモータの発熱が大きくなってしまうというデメリットがある。また、モータの発熱が大きいので、モータの出力を大きくしにくいというデメリットがある。一方で、DCリンク電圧が低くなることで、インバータに対する電圧指令の実分解能が向上するので、モータを高精度に制御することができるというメリットがある。よって、低いDCリンク電圧を有するモータ駆動装置は、モータの位置制御などのように精度を必要とする制御には適しているが、モータの速度制御などのように精度を要しない制御には不向きである。また、インバータのスイッチング損失が減少するのでインバータの発熱は小さくなるというメリットがある。
【0010】
したがって、モータ駆動装置においては、前述のトレードオフが存在するため、モータの発熱を抑制しつつモータを効率良く制御することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様によれば、モータ駆動装置は、交流電源の交流電圧を、入力電源電圧に変換して出力する交流安定化電源装置と、入力電源電圧を直流電圧に変換してDCリンクへ出力するコンバータと、DCリンクにおける直流電圧をモータの駆動のための交流電圧に変換して出力するインバータと、モータに対するモータ駆動指令に基づき、インバータによる変換動作を制御するモータ制御部と、モータ駆動指令に基づき、モータの動作軌跡に要求される精度を判定する制御判定部と、制御判定部による判定結果に応じて、交流安定化電源装置が出力する入力電源電圧を制御する入力電源電圧制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、モータの発熱を抑制しつつモータを効率良く制御することができるモータ駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施形態によるモータ駆動装置を示す図である。
図2】本開示の第1の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の動作フローを示すフローチャートである。
図3】本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置を示す図である。
図4】本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の第1の形態を示すフローチャートである。
図5】本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の第2の形態を示すフローチャートである。
図6】本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の第3の形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、入力電源電圧調整機能を有するモータ駆動装置について説明する。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。図面に示される形態は実施するための一つの例であり、図示された実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本開示の第1の実施形態によるモータ駆動装置を示す図である。
【0016】
一例として、商用の交流電源2に接続されたモータ駆動装置1により、交流モータ(以下、単に「モータ」と称する。)3を1個制御する場合について説明する。モータ3の個数は本実施形態を特に限定するものではなくこれ以外の個数であってもよい。なお、交流電源2及びモータ3の相数は本実施形態を特に限定するものではなく、例えば三相であっても単相であってもよい。交流電源2の一例を挙げると、三相交流400V電源、三相交流200V電源、三相交流600V電源、単相交流100V電源などがある。また、モータ3の種類についても本実施形態を特に限定するものではなく、例えば誘導モータであっても同期モータであってもよい。ここで、モータ3が設けられる機械には、例えば工作機械、ロボット、鍛圧機械、射出成形機、産業機械などが含まれる。
【0017】
図1に示すように、本実施形態によるモータ駆動装置1は、交流安定化電源装置11と、コンバータ12と、インバータ13と、モータ制御部14と、制御判定部15と、入力電源電圧制御部16と、指令演算部18とを備える。図1では、一例として、モータ制御部14、制御判定部15、入力電源電圧制御部16、及び指令演算部18は、制御装置100内に設けられる。制御装置100は、例えば工作機械の数値制御装置あるいはロボットを制御するロボットコントローラであってもよい。
【0018】
交流電源2とコンバータ12との間に交流安定化電源装置11を設け、コンバータ12に対する入力電源電圧として、交流安定化電源装置11から出力される交流電圧を用いる。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16から受信した電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。一般に交流電源2から得られる交流電圧の値や波形は、給電線に接続された各種負荷や給電線自体のインピーダンスなどの影響を受ける。これに対して、交流安定化電源装置11は、入力された交流電圧の値や波形の変動があったとしても、その影響を排除して、電圧指令値通りの安定した交流電圧を出力することができる。
【0019】
交流安定化電源装置11から出力される交流電圧(すなわちコンバータ12に対する入力電源電圧)は、入力電源電圧制御部16によって制御される。すなわち、交流安定化電源装置11は、入力電源電圧制御部16から受信した電圧指令値と入力電源電圧検出部24によって検出された入力電源電圧とに基づいて、交流電源2から入力された交流電圧を、入力電源電圧制御部16から受信した電圧指令値に応じた交流電圧に変換し、これをコンバータ12で用いられる入力電源電圧として出力する。これにより、コンバータ12は、電圧指令値に応じた安定した入力電源電圧の供給を交流安定化電源装置11から受けることになる。交流安定化電源装置11の具体例としては、ACスタビライザ(AVR)及び周波数コンバータ(CVCF)がある。ACスタビライザには、マルチタップのトランス及び半導体スイッチを備えたタップ切替方式によるもの、スライダック及びサーボモータを備えたスライダック方式によるもの、半導体スイッチ及び共振回路を備えた位相制御方式によるもの、及びリニアアンプ方式によるものなどがある。周波数コンバータには、インバータ方式によるもの、及びリニアアンプ方式によるものなどがある。交流安定化電源装置11が作り出すことができる交流電圧の範囲としては、例えば200V〜240Vの範囲、380V〜480Vの範囲などがある。
【0020】
コンバータ12は、交流安定化電源装置11から供給された入力電源電圧を直流電圧に変換してDCリンクへ出力する。コンバータ12は、交流直流変換部21と、入力電源電圧検出部24とを有する。
【0021】
コンバータ12内の交流直流変換部21は、交流電力を直流電力に変換することができるものであればよく、例えば、ダイオード整流回路、あるいは内部にスイッチング素子を備えるPWMスイッチング制御方式の整流回路などがある。交流直流変換部21は、入力電源電圧が三相電圧である場合は三相のブリッジ回路として構成され、入力電源電圧が単相電圧である場合は単相ブリッジ回路で構成される。交流直流変換部21がPWMスイッチング制御方式の整流回路である場合は、パワー素子及びこれに逆並列に接続されたダイオードのブリッジ回路からなる。この場合、パワー素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO(Gate Turn−OFF thyristor:ゲートターンオフサイリスタ)、トランジスタなどがあるが、パワー素子の種類自体は本実施形態を限定するものではなく、その他のパワー素子であってもよい。
【0022】
入力電源電圧検出部24は、コンバータ12に対する入力電源電圧(すなわち交流安定化電源装置11から出力される交流電圧)の値を検出する。入力電源電圧検出部24により検出された入力電源電圧の値は、入力電源電圧制御部16に送られて交流安定化電源装置11の制御に用いられるとともに、モータ制御部14に送られてコンバータ12内の交流直流変換部21の電力変換制御及びインバータ13内の直流交流変換部22の電力変換制御に用いられる。なお、図1では、一例として、入力電源電圧検出部24をコンバータ12内に設けたが、コンバータ12の外部に設けてもよい。
【0023】
コンバータ12の交流入力側には、電磁接触器25及び交流リアクトル26が接続される。電磁接触器25は、モータ制御部14から受信した指令に応じて、交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を結ぶ電路を開閉する。交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を電気的に接続する閉動作は、電磁接触器25の接点が閉成することにより実現され、交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を電気的に遮断する開動作は、電磁接触器25の接点が開離することにより実現される。なお、モータ制御部14により閉指令を受信した場合に交流安定化電源装置11からコンバータ12への交流電力の流入を遮断できるものであれば、電磁接触器25に代えて、例えばリレーやパワー半導体スイッチ素子などであってもよい。
【0024】
コンバータ12の直流出力側とインバータ13の直流入力側とは、DCリンクを介して並列接続される。DCリンクには、DCリンクコンデンサ23が設けられる。DCリンクコンデンサ23は、コンバータ12が出力する直流電圧の脈動分を抑える機能とともにDCリンクにおいて直流電力を蓄積する機能を有する。DCリンクコンデンサ23の例としては、例えば電解コンデンサやフィルムコンデンサなどがある。なお、DCリンク電圧はモータ制御部14によるインバータ13の制御に用いられるが、図1ではDCリンク電圧を検出するための検出部については図示を省略している。
【0025】
インバータ13は、DCリンクにおける直流電圧をモータ3の駆動のための交流電圧に変換して出力する。このため、インバータ13は、直流交流変換部22を有する。
【0026】
インバータ13内の直流交流変換部22は、直流電力を交流電力に変換することができるものであればよく、例えば、内部にスイッチング素子を備えるPWMインバータ回路などがある。直流交流変換部22は、モータ3が三相交流モータである場合は三相のブリッジ回路として構成され、モータ3が単相モータである場合は単相ブリッジ回路で構成される。直流交流変換部22は、モータ制御部14からの指令を受けてDCリンクにおける直流電圧をモータ駆動のための交流電圧に変換してモータ3へ出力するとともにモータ回生時にはモータ3で回生された交流電圧を直流電圧に変換してDCリンク側へ戻す。直流交流変換部22がPWMインバータ回路で構成される場合は、パワー素子及びこれに逆並列に接続されたダイオードのブリッジ回路からなる。この場合、パワー素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、パワー素子の種類自体は本実施形態を限定するものではなく、その他のパワー素子であってもよい。
【0027】
制御装置100内には、モータ制御部14と、制御判定部15と、入力電源電圧制御部16と、指令演算部18とが設けられる。
【0028】
指令演算部18は、モータ3の動作プログラムに基づき、モータ3の回転子の位置もしくは速度、またはモータ3のトルクを指令するモータ駆動指令を生成する。なお、指令演算部18は、上位制御装置(図示せず)からの指令に基づいて、モータ駆動指令を生成してもよい。モータ駆動指令には、例えば、工作機械において、モータ3により駆動される送り軸によるワークの切削加工用の指令、塑性加工用の指令、成型加工用の指令、及び、モータ3により駆動される送り軸の早送り指令などがある。生成されたモータ駆動指令は、モータ制御部14及び制御判定部15に送られる。
【0029】
モータ制御部14は、指令演算部18から受信したモータ駆動指令、モータ3の速度(速度フィードバック)、及び、モータ3の巻線に流れる電流(電流フィードバック)などに基づいて、インバータ13による変換動作を制御するためのスイッチング指令を生成する。インバータ13は、スイッチング指令に従い直流交流変換部22内のスイッチング素子をスイッチング動作させることで、DCリンクにおける直流電圧をモータ3の駆動のための交流電圧に変換して出力する。モータ3は、インバータ13から供給される交流電圧により駆動される。このように、モータ制御部14は、インバータ13の変換動作を制御することで、モータ3が所定の動作パターンに従って動作するよう制御する。なお、ここで説明したモータ制御部14及び指令演算部18の構成はあくまでも一例であって、例えば、位置指令作成部、トルク指令作成部、及びスイッチング指令作成部などの用語を含めてモータ制御部14及び指令演算部18の構成を規定してもよい。
【0030】
またさらに、モータ制御部14は、電磁接触器25の開閉動作を制御する。
【0031】
制御判定部15は、指令演算部18から受信したモータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に要求される精度を判定する。制御判定部15は、例えば、指令演算部18から受信したモータ駆動指令が、モータ3により駆動される送り軸の早送り指令である場合は、モータ3の動作軌跡に精度を要しないと判定する。また、制御判定部15は、例えば、指令演算部18から受信したモータ駆動指令が、モータ3により駆動される送り軸によるワークの切削加工用、塑性加工用または成型加工用の指令である場合は、モータ3の動作軌跡に精度を必要とすると判定する。ここで挙げたモータ駆動指令についての制御判定部15による判定例は一例であり、これ以外のモータ駆動指令について、モータ駆動装置1の用途に応じて、モータ3の動作軌跡に精度を要しない指令と、モータ3の動作軌跡に精度を必要とする指令とを切り分けて判定してもよい。制御判定部15による判定結果は、入力電源電圧制御部16に送られる。
【0032】
このように、制御判定部15は、指令演算部18から受信したモータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に要求される精度を判定する。この変形例として、指令演算部18がモータ駆動指令の生成に用いるモータ3の動作プログラムに基づき、モータ3の動作軌跡に要求される精度を判定するようにしてもよい。一般に、モータ3の動作プログラムには、どのタイミングでどのようなモータ駆動指令を生成すべきかが規定されている。したがって、モータ3の動作プログラムから読み取ったモータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に要求される精度を判定することもできる。
【0033】
入力電源電圧制御部16は、制御判定部15による判定結果に応じて、交流安定化電源装置11が出力する「コンバータ12に対する入力電源電圧」を制御する。より詳細には、入力電源電圧制御部16は、制御判定部15による判定結果に応じて、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を制御するための電圧指令値を生成して交流安定化電源装置11へ送信する。なお、図1では、一例として、入力電源電圧制御部16は、制御装置100内に設けられているが、制御装置100の外部の演算処理装置内に設けられてもよい。
【0034】
第1の実施形態では、入力電源電圧制御部16は、制御判定部15によりモータ駆動指令がモータ3の動作軌跡に精度を要しない指令であると判定された場合は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えてより高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなる。また、入力電源電圧制御部16は、制御判定部15によりモータ駆動指令がモータ3の動作軌跡に精度を必要とする指令であると判定された場合は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えてより低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも低くなる。
【0035】
ここで、コンバータ12の入力電源電圧と、モータ3の動作軌跡に要求される精度と、モータ3の温度との関係について説明する。
【0036】
モータ駆動装置1でモータ3を出力一定にて駆動させる場合において、コンバータ12の入力電源電圧を現状よりも高くすると、DCリンク電圧(コンバータ12内の交流直流変換部21が全波整流回路である場合、入出力電圧波高値×√2)はより高くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は低下する。つまり、モータ3の発熱は抑制される。その一方で、DCリンク電圧が高くなることでインバータ13のスイッチング損失が増加し、インバータ13の温度は上昇する。また、インバータ13は、このような高いDCリンク電圧を、モータ3の出力を一定に維持して駆動するための交流電圧に変換するので、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が低下するので、モータ3の位置制御などのように精度を必要とする制御には不向きである。そこで、第1の実施形態では、制御判定部15によりモータ駆動指令がモータ3の動作軌跡に精度を要しない指令であると判定された場合に、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えてより高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。つまり、モータ3の動作軌跡に精度を要しない場合は、モータ3の発熱を抑制することを優先して、交流安定化電源装置11からは、より高い入力電源電圧を出力させる。なお、モータ3の出力一定駆動にこだわらず、コンバータ12の入力電源電圧を現状よりも高くしてモータ3を駆動すると、インバータ13は、高いDCリンク電圧を、モータ3を駆動するための交流電圧に変換するので、当該交流電圧はより高くなり、モータ3の出力は大きくなるというメリットがある。
【0037】
モータ駆動装置1でモータ3を出力一定にて駆動させる場合において、コンバータ12の入力電源電圧を現状よりも低くすると、DCリンク電圧はより低くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流は増加する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は上昇する。その一方で、DCリンク電圧が低くなることでインバータ13のスイッチング損失は減少し、インバータ13の温度は低下する。また、インバータ13は、このような低いDCリンク電圧を、モータ3の出力を一定に維持して駆動するための交流電圧に変換するので、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が向上するのでモータ3を高精度に制御することができる。そこで、第1の実施形態では、制御判定部15によりモータ駆動指令がモータ3の動作軌跡に精度を必要とする指令であると判定された場合に、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えてより低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。つまり、モータ3の動作軌跡に精度を必要とする場合は、モータ3の発熱は多少許容し、モータ3を高精度に制御することを優先して、交流安定化電源装置11からは、より低い入力電源電圧を出力させる。
【0038】
入力電源電圧制御部16の制御により、交流安定化電源装置11から出力される入力電源電圧(すなわちコンバータ12に対する入力電源電圧)をどのように上下させるかについては、モータ駆動装置1の用途や周辺環境などに応じて適宜設定すればよい。例えば、モータ3の制御に高精度及び低精度のうちのいずれが要求されるのか、モータ3の高精度制御と低精度制御とがどのような頻度や割合で切り替えられるのか、及び/または、モータ3の温度をどのように制御したいか、などによって、入力電源電圧制御部16による交流安定化電源装置11の制御内容が決定される。
【0039】
例えば、入力電源電圧制御部16は、モータ3の動作軌跡に精度を要しない場合は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧よりも「ある一定値」だけ高い入力電源電圧を出力させ、モータ3の動作軌跡に精度を必要とする場合は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧よりも「ある一定値」だけ低い入力電源電圧を出力させる、といった電圧指令値を生成するようにしてもよい。
【0040】
また例えば、複数の電圧指令値を事前に規定しておき、入力電源電圧制御部16は、制御判定部15による判定結果に応じて、規定された電圧指令値のうちのいずれかを出力するようにしてもよい。例えば、モータ3の動作軌跡に精度を要しない場合に用いられる第1の電圧指令値と、モータ3の動作軌跡に精度を必要とする場合に用いられる第2の電圧指令値(すなわち第1の電圧指令値よりも低い値)の2種類を事前に規定しておき、入力電源電圧制御部16は、制御判定部15による判定結果に応じて、第1の電圧指令値または第2の電圧指令値を出力するようにしてもよい。ここで、例示した「2種類」はあくまでも一例であって、より多数の種類の電圧指令値を規定してもよい。
【0041】
また例えば、入力電源電圧制御部16は、モータ駆動指令がモータ3の動作軌跡に要求される精度が高いほど、交流安定化電源装置11から出力される入力電源電圧がより低くなるような電圧指令値を生成するようにしてもよい。この場合、モータ3の動作軌跡に要求される精度の高低に対応して、交流安定化電源装置11から出力される入力電源電圧の高低が線形的に変化するような電圧指令値を生成する。
【0042】
図2は、本開示の第1の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の動作フローを示すフローチャートである。
【0043】
第1の実施形態によるモータ駆動装置1において、電磁接触器25を閉動作させて交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を電気的に接続し、モータ制御部14によりインバータ13の電力変換動作を制御してモータ3の駆動を行っている場合において、ステップS101では、制御判定部15は、モータ制御部14がインバータ13の変換動作を制御するために現時点で用いているモータ駆動指令を、指令演算部18から取得する。モータ駆動指令は、指令演算部18による演算処理の結果から得てもよく、あるいは、指令演算部18がモータ駆動指令の生成に用いるモータ3の動作プログラムから読み取ってもよい。
【0044】
ステップS102において、制御判定部15は、指令演算部18から受信したモータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要とされるか否かを判定する。制御判定部15による判定結果は入力電源電圧制御部16へ送られる。ステップS102において、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要と判定された場合はステップS103へ進み、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定された場合(すなわちモータ3の動作軌跡に精度を要しない場合)はステップS104へ進む。
【0045】
ステップS103において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも低くなる。これに伴いDCリンク電圧もより低くなるので、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流は増加し、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は上昇する。ただし、DCリンク電圧が低くなることで、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が向上するので、モータ3を高精度に制御することができる。
【0046】
ステップS104において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなる。これに伴いDCリンク電圧もより高くなるので、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少してコンバータ12の温度及びモータ3の温度は低下し、モータ3の発熱が抑制される。よって、モータ3に対する負担が低減し、モータ3の長寿命化を図ることができる。
【0047】
ステップS103またはS104の後、ステップS101へ戻る。以後、ステップS101〜S104が繰り返し実行される。
【0048】
ここで、一例として、上述の第1の実施形態によるモータ駆動装置1を有する切削加工機の動作について説明する。
【0049】
送り軸の送り動作を行うとき、指令演算部18は、モータ駆動指令として送り軸早送り指令をモータ制御部14及び制御判定部15へ送る。これを受けてモータ制御部14は、モータ3を駆動して送り軸を早送りさせる。制御判定部15が指令演算部18は、受信したモータ駆動指令が早送り指令であるので、ステップS102において、制御判定部15は、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではないと判定する。そして、ステップS104において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなる。これに伴いDCリンク電圧もより高くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は低下し、モータ3の発熱が抑制される。
【0050】
送り軸の早送り動作が終了すると、指令演算部18は、モータ3により駆動される送り軸によるワークの切削加工用の指令を、モータ制御部14及び制御判定部15へ送る。これを受けてモータ制御部14は、モータ3に切削加工用の動作を行わせるので、切削加工機はワークを切削加工する。また、制御判定部15が指令演算部18は、受信したモータ駆動指令が切削加工用の指令であるので、ステップS102において、制御判定部15は、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要と判定する。そして、ステップS103において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも低くなる。これに伴いDCリンク電圧もより低くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流は増加する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は上昇する。その一方で、DCリンク電圧が低くなることでインバータ13のスイッチング損失は減少し、インバータ13の温度は低下する。また、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が向上するので、モータ3を切削加工に適した形で高精度に制御することができる。
【0051】
続いて、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態によるモータ駆動装置において、制御判定部による判定結果に加えてモータの温度についても考慮し、交流安定化電源装置が出力する入力電源電圧を制御するものである。
【0052】
図3は、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置を示す図である。
【0053】
第2の実施形態によるモータ駆動装置1は、モータ3の温度を取得する温度取得部17をさらに備える。入力電源電圧制御部16は、制御判定部15による判定結果及び温度取得部17により取得された温度に応じて、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を制御する。温度取得部17及び入力電源電圧制御部16以外の構成要素の動作については図1に示す構成要素の動作と同様であるので、同一の構成要素には同一符号を付して当該構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0054】
温度取得部17は、例えば温度センサによって構成される。温度取得部17としての温度センサは、モータ3に設けられ、好ましくはモータ3の巻線近傍またはコア近傍などに設けられる。
【0055】
なお、一般にモータ3には回転子の位置または速度を検出するためのエンコーダが設けられる。このエンコーダに温度センサが予め設けられているものも多い。そこで、エンコーダに設けられた温度センサを、温度取得部17として利用してもよい。
【0056】
またあるいは、モータ3の温度を、上述の温度センサによる実測に代えて、ソフトウェアシミュレーションによる推計により取得してもよい。この場合、温度取得部17の機能は、温度推計プログラムを例えばMPUやDSPなどの演算処理装置に実行させることで実現される。温度推計プログラムに基づく温度取得部17は、例えば制御装置100内の演算処理装置や外部コンピュータ(図示せず)内の演算処理装置内に設けられる。例えば、温度推計プログラムには予めモータ3の動作内容と温度(または温度上昇率)との対応関係または計算式を規定しておき、温度取得部17としての演算処理装置は、温度推計プログラム基づきモータ3の温度を推計する。
【0057】
温度取得部17によって取得されたモータ3の温度に関する情報は、入力電源電圧制御部16へ送られる。モータ3の現在の温度が、例えばモータ3が異常過熱とはならない上限温度よりもある程度低い場合は、モータ3の更なる温度上昇は許容できる。一方、モータ3の現在の温度が、モータ3が異常過熱とはならない上限温度に近い場合あるいは上限温度を超える場合は、モータ3について許容できる温度上昇分が少ない。そこで、第2の実施形態では、入力電源電圧制御部16は、モータ3の動作軌跡に要求される精度及びモータ3の温度に応じて、交流安定化電源装置11から出力される入力電源電圧を高くするか低くするかを決定する。入力電源電圧制御部16は、制御判定部15による判定結果及び温度取得部17により取得された温度に応じて、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を制御する。以下、第2の実施形態における入力電源電圧制御部16による入力電源電圧の制御例についていくつか列記する。
【0058】
まず、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における第1の形態による入力電源電圧制御について説明する。
【0059】
図4は、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の第1の形態を示すフローチャートである。
【0060】
モータ3の現在の温度が、モータ3が異常過熱とはならない上限温度に対してどの程度余裕があるかを判定するために、第1の温度閾値を用いる。第1の温度閾値は、モータ3が異常過熱とはならない上限温度よりも、安全性を考慮して、例えば数度から数十度程度低い値に設定される。ここで示した数値例はあくまでも一例であって、これ以外の値であってもよい。第1の温度閾値については、例えば、モータ3の特性表に記載されているモータ許容温度や耐熱クラスを参考に決定してもよい。一般に、小型のモータはモータ許容温度や耐熱クラスが低く、大型のモータはモータ許容温度や耐熱クラスが高い。また例えば、実験もしくは実際の運用によりモータ駆動装置1を動作させたり、またはコンピュータによるシミュレーションにより、モータ駆動装置1の適用環境やモータ駆動装置1におけるアラーム信号の出力の有無との関係性などを事前に求めたうえで、適宜決定してもよい。なお、第1の温度閾値については、書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶されて外部機器によって書き換え可能であってもよく、これにより、第1の温度閾値を一旦設定した後であっても、必要に応じて適切な値に変更することができる。
【0061】
図4に示すように、第2の実施形態によるモータ駆動装置1において、電磁接触器25を閉動作させて交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を電気的に接続し、モータ制御部14によりインバータ13の電力変換動作を制御してモータ3の駆動を行っている場合において、ステップS201では、温度取得部17はモータ3の現在の温度を取得する。取得された温度は入力電源電圧制御部16へ送られる。
【0062】
ステップS202において、入力電源電圧制御部16は、温度取得部17により取得されたモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いか否かを判定する。ステップS202において、モータ3の温度が、第1の温度閾値よりも低いと判定された場合はステップS203へ進み、第1の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値以上の場合)はステップS206へ進む。
【0063】
ステップS202においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値以上の場合)は、モータ3について許容できる温度上昇分が少ないので、モータ3の更なる発熱を抑制するために、ステップS206において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。その結果、モータ3の温度は低下し、モータ3の発熱は抑制される。
【0064】
ステップS202においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定された場合は、ステップS203において、制御判定部15は、モータ制御部14がインバータ13の変換動作を制御するために現時点で用いているモータ駆動指令を、指令演算部18から取得する。モータ駆動指令は、指令演算部18による演算処理の結果から得てもよく、あるいは、指令演算部18がモータ駆動指令の生成に用いるモータ3の動作プログラムから読み取ってもよい。
【0065】
ステップS204において、制御判定部15は、指令演算部18から受信したモータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要とされるか否かを判定する。制御判定部15による判定結果は入力電源電圧制御部16へ送られる。ステップS204において、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要と判定された場合はステップS205へ進み、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定された場合(すなわちモータ3の動作軌跡に精度を要しない場合)はステップS206へ進む。
【0066】
ステップS204においてモータ3の動作軌跡に高い精度が必要と判定された場合は、ステップS205において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも低くなり、DCリンク電圧もより低くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流は増加する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は上昇する。ただし、ステップS204の判定処理を実行する場合においては、ステップS202においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと既に判定されているので、モータ3の更なる温度上昇は許容できる状態にあることから、モータ3が異常過熱となる可能性は低い。また、DCリンク電圧が低くなることで、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が向上するので、モータ3を高精度に制御することができる。
【0067】
ステップS204においてモータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定された場合(すなわちモータ3の動作軌跡に精度を要しない場合)は、ステップS206において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなり、DCリンク電圧もより高くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は低下し、モータ3の発熱が抑制される。なお、ステップS204においてモータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定される場合は、必ずステップS202においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定されているので、モータ3の更なる温度上昇は許容できる状態にある。また、モータ3を高精度に制御する必要のない状態でもある。ステップS202〜S204及びS206の処理を実行することによってモータ3の制御精度よりもモータ3の発熱の抑制を優先し、モータ3に対する負担を低減することで、モータ3の長寿命化を図る。
【0068】
続いて、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における第2の形態による入力電源電圧制御について説明する。
【0069】
図5は、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の第2の形態を示すフローチャートである。第2の形態による入力電源電圧制御では、上述の第1の温度閾値よりも低い第2の温度閾値を設定する。モータ駆動指令がモータ3の動作軌跡に精度を必要とする指令であり、かつモータ3の現在の温度が第2の閾値より低い場合は、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧をより低くする。モータ3の動作軌跡に精度を必要とする指令であり、かつモータ3の現在の温度が第1の温度閾値と第2の温度閾値との間にある場合は、交流安定化電源装置11は、現状の入力電源電圧を維持する。交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を低くすることでDCリンク電圧を低くするとモータ3は発熱するが、第2の形態による入力電源電圧制御では、モータ3の温度が、第1の温度閾値よりもさらに低い温度閾値よりも低い場合にのみ、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を低くする。また、モータ3の温度が第1の温度閾値と第2の温度閾値との間にある場合は、交流安定化電源装置11は現状の入力電源電圧を維持する。よって、第2の形態による入力電源制御によれば、図4を参照して説明した第1の入力電源電圧制御に比べ、モータ3が異常過熱となる可能性はより一層低くなり、より安全である。
【0070】
第2の温度閾値は、モータ3が異常過熱とはならない上限温度よりも、安全性を考慮して、第1の温度閾値よりもさらに例えば数度から数十度程度低い値に設定される。ここで示した数値例はあくまでも一例であって、これ以外の値であってもよい。第2の温度閾値については、例えば、モータ3の特性表に記載されているモータ許容温度や耐熱クラスを参考に決定してもよい。また例えば、実験もしくは実際の運用によりモータ駆動装置1を動作させたり、またはコンピュータによるシミュレーションにより、モータ駆動装置1の適用環境やモータ駆動装置1におけるアラーム信号の出力の有無との関係性などを事前に求めたうえで、適宜決定してもよい。なお、第2の温度閾値については、書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶されて外部機器によって書き換え可能であってもよく、これにより、第2の温度閾値を一旦設定した後であっても、必要に応じて適切な値に変更することができる。
【0071】
図5に示すように、第2の実施形態によるモータ駆動装置1において、電磁接触器25を閉動作させて交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を電気的に接続し、モータ制御部14によりインバータ13の電力変換動作を制御してモータ3の駆動を行っている場合において、ステップS301では、温度取得部17はモータ3の現在の温度を取得する。取得された温度は入力電源電圧制御部16へ送られる。
【0072】
ステップS302において、入力電源電圧制御部16は、温度取得部17により取得されたモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いか否かを判定する。ステップS302において、モータ3の温度が、第1の温度閾値よりも低いと判定された場合はステップS303へ進み、第1の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値以上の場合)はステップS308へ進む。
【0073】
ステップS302においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値以上の場合)は、モータ3について許容できる温度上昇分が少ないので、モータ3の更なる発熱を抑制するために、ステップS308において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなり、DCリンク電圧もより高くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少する。その結果、モータ3の温度は低下し、モータ3の発熱は抑制される。
【0074】
ステップS302においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定された場合は、ステップS303において、制御判定部15は、モータ制御部14がインバータ13の変換動作を制御するために現時点で用いているモータ駆動指令を、指令演算部18から取得する。モータ駆動指令は、指令演算部18による演算処理の結果から得てもよく、あるいは、指令演算部18がモータ駆動指令の生成に用いるモータ3の動作プログラムから読み取ってもよい。
【0075】
ステップS304において、制御判定部15は、指令演算部18から受信したモータ駆動指令に基づき、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要とされるか否かを判定する。制御判定部15による判定結果は入力電源電圧制御部16へ送られる。ステップS304において、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要と判定された場合はステップS305へ進み、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定された場合(すなわちモータ3の動作軌跡に精度を要しない場合)はステップS308へ進む。
【0076】
ステップS304においてモータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定された場合(すなわちモータ3の動作軌跡に精度を要しない場合)は、ステップS308において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなり、DCリンク電圧もより高くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は低下し、モータ3の発熱が抑制される。なお、ステップS304においてモータ3の動作軌跡に高い精度が必要ではない判定される場合は、必ずステップS302においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定されているので、モータ3の更なる温度上昇は許容できる状態にある。また、モータ3を高精度に制御する必要のない状態でもある。ステップS302〜S304及びS308の処理を実行することによってモータ3の制御精度よりもモータ3の発熱の抑制を優先し、モータ3に対する負担を低減することで、モータ3の長寿命化を図る。
【0077】
ステップS304においてモータ3の動作軌跡に高い精度が必要と判定された場合は、ステップS305において、入力電源電圧制御部16は、温度取得部17により取得されたモータ3の温度が第2の温度閾値よりも低いか否かを判定する。ステップS305において、モータ3の温度が、第2の温度閾値よりも低いと判定された場合はステップS306へ進み、第2の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第2の温度閾値以上の場合)はステップS307へ進む。
【0078】
ステップS305においてモータ3の温度が第2の温度閾値よりも低いと判定された場合は、ステップS306において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも低くなり、DCリンク電圧もより低くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流は増加する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は上昇する。ただし、ステップS305では、モータ3の温度が第1の温度閾値よりさらに低い第2の温度閾値よりも低いと判定されているので、モータ3の更なる温度上昇は許容できる状態にあることから、モータ3が異常過熱となる可能性は非常に低い。また、DCリンク電圧が低くなることで、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が向上するので、モータ3を高精度に制御することができる。
【0079】
ステップS305においてモータ3の温度が第2の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値と第2の温度閾値との間にある場合)は、ステップS307において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧を維持する電圧指令値を生成する。これにより、交流安定化電源装置11は現状の入力電源電圧を維持する。図4を参照して説明した第1の形態による入力電源電圧制御では、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要とされる場合は一律に交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧を低くしていた。これに対し、第2の形態による入力電源電圧制御では、モータ3の動作軌跡に高い精度が必要とされる場合であってもモータ3の温度が第1の温度閾値と第2の温度閾値との間にある限りにおいては、モータ3の温度が第1の温度閾値より低い場合に比べて、モータ3に許容される温度上昇分に余裕がないので、交流安定化電源装置11は現状の入力電源電圧を維持し、これ以上の温度上昇を回避することを優先する。
【0080】
続いて、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における第3の形態による入力電源電圧制御について説明する。
【0081】
図6は、本開示の第2の実施形態によるモータ駆動装置における入力電源電圧制御の第3の形態を示すフローチャートである。第3の形態による入力電源電圧制御は、図5を参照して説明した第2の入力電源電圧制御をより簡略化したものである。
【0082】
図6に示すように、第2の実施形態によるモータ駆動装置1において、電磁接触器25を閉動作させて交流安定化電源装置11とコンバータ12との間を電気的に接続し、モータ制御部14によりインバータ13の電力変換動作を制御してモータ3の駆動を行っている場合において、ステップS401では、温度取得部17はモータ3の現在の温度を取得する。取得された温度は入力電源電圧制御部16へ送られる。
【0083】
ステップS402において、入力電源電圧制御部16は、温度取得部17により取得されたモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いか否かを判定する。ステップS402において、モータ3の温度が、第1の温度閾値よりも低いと判定された場合はステップS403へ進み、第1の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値以上の場合)はステップS406へ進む。
【0084】
ステップS402においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値以上の場合)は、モータ3について許容できる温度上昇分が少ないので、モータ3の更なる発熱を抑制するために、ステップS406において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より高い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも高くなり、DCリンク電圧もより高くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流はより減少する。その結果、モータ3の温度は低下し、モータ3の発熱は抑制される。
【0085】
ステップS402においてモータ3の温度が第1の温度閾値よりも低いと判定された場合は、ステップS403において、入力電源電圧制御部16は、温度取得部17により取得されたモータ3の温度が第2の温度閾値よりも低いか否かを判定する。ステップS403において、モータ3の温度が、第2の温度閾値よりも低いと判定された場合はステップS404へ進み、第2の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第2の温度閾値以上の場合)はステップS405へ進む。
【0086】
ステップS403においてモータ3の温度が第2の温度閾値よりも低いと判定された場合は、ステップS404において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧に代えて、より低い入力電源電圧を出力させる電圧指令値を生成する。交流安定化電源装置11は、交流電源2の交流電圧を、入力電源電圧制御部16にて生成された電圧指令値に応じた入力電源電圧に変換して出力する。これにより、交流安定化電源装置11が出力する入力電源電圧はこれまでよりも低くなり、DCリンク電圧もより低くなり、コンバータ12に流れる電流及びモータ3に流れる電流は増加する。その結果、コンバータ12の温度及びモータ3の温度は上昇する。ただし、ステップS403では、モータ3の温度が第1の温度閾値よりさらに低い第2の温度閾値よりも低いと判定されているので、モータ3の更なる温度上昇は許容できる状態にあることから、モータ3が異常過熱となる可能性は非常に低い。また、DCリンク電圧が低くなることで、インバータ13に対する電圧指令の実分解能が向上するので、モータ3を高精度に制御することができる。
【0087】
ステップS403においてモータ3の温度が第2の温度閾値よりも低いと判定されなかった場合(すなわちモータ3の温度が第1の温度閾値と第2の温度閾値との間にある場合)は、ステップS405において、入力電源電圧制御部16は、交流安定化電源装置11が出力していた入力電源電圧を維持する電圧指令値を生成する。これにより、交流安定化電源装置11は現状の入力電源電圧を維持する。モータ3の温度が第1の温度閾値と第2の温度閾値との間にある場合は、モータ3の温度が第1の温度閾値より低い場合に比べて、モータ3に許容される温度上昇分に余裕がないので、交流安定化電源装置11は現状の入力電源電圧を維持し、これ以上の温度上昇を回避する。
【0088】
上述したモータ制御部14、制御判定部15、入力電源電圧制御部16、指令演算部18、及び入力電源電圧検出部24は、例えばソフトウェアプログラム形式で構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。例えばこれらをソフトウェアプログラム形式で構築する場合は、制御装置100内にある例えばMPUやDSPなどの演算処理装置をこのソフトウェアプログラムに従って動作させることで、上述の各部の機能を実現することができる。またあるいは、モータ制御部14、制御判定部15、入力電源電圧制御部16、指令演算部18、及び入力電源電圧検出部24を、各部の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。また、モータ3の温度を、温度センサによる実測に代えて、ソフトウェアシミュレーションによる推計により取得する場合は、温度取得部17の機能は、温度推計プログラムを例えばMPUやDSPなどの演算処理装置に実行させることで実現される。この場合、温度推計プログラムに基づく温度取得部17は、制御装置100内の演算処理装置や外部コンピュータ(図示せず)内の演算処理装置内に設けられる。
【0089】
上述のモータ駆動装置1を例えば、工作機械、ロボット、鍛圧機械、射出成形機、あるいは産業機械の駆動源として用いれば、コンバータ12、インバータ13及びモータ3の発熱を制御することができるので、熱変位が小さくなることによる加工精度の向上、モータ3の軸受けの寿命延長を図ることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 モータ駆動装置
2 交流電源
3 モータ
11 交流安定化電源装置
12 コンバータ
13 インバータ
14 モータ制御部
15 制御判定部
16 入力電源電圧制御部
17 温度取得部
18 指令演算部
21 交流直流変換部
22 直流交流変換部
23 DCリンクコンデンサ
24 入力電源電圧検出部
25 電磁接触器
26 交流リアクトル
100 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6