【課題】ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、離型性、熱安定性を損なうことなく、誘電特性に優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物及びその樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)40〜80重量%、および、1GHzにおける誘電率が5.0以下であり、誘電正接が0.002以下である低誘電ガラス繊維(B)20〜60重量%を含む樹脂組成物100重量部に対して、亜リン酸エステル系化合物(C)0.01〜0.2重量部、および、脂肪酸エステル(D)0.1〜2重量部を含有することを特徴とする、繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂(A)40〜80重量%、および、1GHzにおける誘電率が5.0以下であり、誘電正接が0.002以下である低誘電ガラス繊維(B)20〜60重量%を含む樹脂組成物100重量部に対して、亜リン酸エステル系化合物(C)0.01〜0.2重量部、および、脂肪酸エステル(D)0.1〜2重量部を含有することを特徴とする、繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
前記低誘電ガラス繊維(B)が、エポキシ系集束剤またはウレタン系集束剤で処理され、平均直径が6〜20μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
前記低誘電ガラス繊維(B)が、エポキシ系集束剤またはウレタン系集束剤で処理され、断面積を真円に換算したときの繊維径が3〜35μm、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2〜10である扁平断面を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
前記一般式(1)で表される亜リン酸エステル系化合物(C)が、3,9−ビス[2,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン)及び3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンから選択された1種以上の化合物である、請求項7に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0021】
本発明の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)40〜80重量%、および、1GHzにおける誘電率が5.0以下であり、誘電正接が0.002以下である低誘電ガラス繊維(B)20〜60重量%を含む樹脂組成物100重量部に対して、亜リン酸エステル系化合物(C)0.01〜0.2重量部、および、脂肪酸エステル(D)0.1〜2重量部を含有することを特徴とする。ここで、繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、絶縁性を維持する点で、導電性の炭素繊維を含まないことが好ましい。
【0022】
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0023】
前記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
【0024】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0025】
さらに、前記ジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
【0026】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは16000〜30000、さらに好ましくは19000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0027】
ポリカーボネート樹脂(A)の配合量は、40〜80重量%であるが、50〜70重量%が好ましい。80重量%を越えると剛性に劣り、40重量%未満では熱安定性に劣る成形品が発生することがあるため好ましくない。
【0028】
本発明で使用する低誘電ガラス繊維(B)は、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1〜1.5の断面がほぼ円形の円形断面ガラス繊維であっても、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2〜10の扁平断面ガラス繊維であってもよい。長径と短径の比の平均値は、引張強度及びノッチ付きシャルピー衝撃強さと、ガラス繊維の製造容易性との両立の観点から、2.2〜6.0が好ましく、3.2〜4.5がより好ましい。なお、ガラス繊維が複数本のガラスフィラメントが集束されて形成される場合、ガラス繊維の断面形状は、ガラス繊維を形成するガラスフィラメントの断面形状を意味する。
【0029】
また、前記ガラス繊維において、換算繊維径は、ガラス繊維強化樹脂成形品の高い引張強度及びノッチ付きシャルピー衝撃強さと、ガラス繊維又はガラス繊維強化樹脂成形品を製造する際の製造容易性との両立の観点から、6.0〜20μmが好ましく、6.5〜16μmがより好ましい。なお、ガラス繊維が複数本のガラスフィラメントが集束されて形成される場合、ガラス繊維の繊維径は、ガラス繊維を形成するガラスフィラメントの繊維径を意味する。
【0030】
本発明で使用する低誘電ガラス繊維(B)は、1GHzにおける誘電率が5.0以下で、誘電正接が0.002以下の低誘電ガラスである。
【0031】
低誘電ガラス繊維は、52.0〜57.0質量%のSiO
2と、13.0〜17.0質量%のAl
2O
3と、15.0〜21.5質量%のB
2O
3と、2.0〜6.0質量%のMgOと、2.0〜6.0質量%のCaOと、1.0〜4.0質量%のTiO
2と、1.5質量%未満のF
2とを含み、かつ、Li
2O、Na
2O及びK
2Oの合計量が0.6質量%未満の組成であることが好ましい。
【0032】
ガラス繊維の全量に対するSiO
2の含有量が52.0質量%未満であると、誘電率が大きくなり過ぎるとともに、耐水性及び耐酸性が低下して、ガラス繊維及びガラス繊維強化樹脂成形品の劣化を引き起こす。一方、前記ガラス繊維において、ガラス繊維の全量に対するSiO
2の含有量が57.0質量%を超えると、紡糸時に粘度が高くなり過ぎて、繊維化が困難となる場合がある。SiO
2の含有量は、52.5〜56.8質量%が好ましく、53.0〜56.6質量%がより好ましく、53.5〜56.5質量%がさらに好ましく、53.8〜56.3質量%が特に好ましく、54.0〜56.2質量%が最も好ましい。
【0033】
ガラス繊維全量に対するAl
2O
3の含有量が13.0質量%未満であると、分相を生じ易く、そのため耐水性が悪くなる。一方、ガラス繊維において、ガラス繊維全量に対するAl
2O
3の含有量が17.0質量%を超えると、液相温度が高くなるため作業温度範囲が狭くなってガラス繊維の製造が困難になる。Al
2O
3の含有量は、13.3〜16.5質量%が好ましく、13.7〜16.0質量%がより好ましく、14.0〜15.5質量%がさらに好ましく、14.3〜15.3質量%が特に好ましく、14.5〜15.1質量%が最も好ましい。
【0034】
ガラス繊維全量に対するB
2O
3の含有量が15.0質量% 未満であると、誘電率、誘電正接が大きくなり過ぎる。一方、前記ガラス繊維において、ガラス繊維全量に対するB
2O
3の含有量が2 1.5質量%を超えると、紡糸時にB
2O
3の揮発量が高く、ブッシングノズル付近へ付着するB
2O
3の汚れによるガラス繊維の切断がみられ、作業性、生産性において問題となる場合がある。さらに、均質なガラスを得ることができず、耐水性が悪くなり過ぎる場合がある。B
2O
3の含有量は、15.5〜21.0質量%が好ましく、16.0〜20.5質量%がより好ましく、16.5〜20.0質量%がさらに好ましく、17.0〜19.5質量%が特に好ましく、17.5〜19.4質量%が最も好ましい。
【0035】
ガラス繊維全量に対するMgOの含有量が2.0質量%未満であると、脈理が増加し、B2O3の揮発量が多くなる。一方、MgOの含有量が6.0質量%を超えると、分相性が強くなって耐水性が低下し、また誘電率、誘電正接が大きくなり過ぎる。MgOの含有量は、2.5〜5.9質量%が好ましく、2.9〜5.8質量%がより好ましく、3.3〜5.7質量%がさらに好ましく、3.6〜5.3質量%が特に好ましく、4.0〜4.8質量%が最も好ましい。
【0036】
ガラス繊維全量に対するCaOの含有量が2.0質量%未満であると、溶融性が悪くなるとともに、耐水性が悪くなり過ぎる。一方、ガラス繊維全量に対するCaOの含有量が6 .0質量%を超えると、誘電率、誘電正接が大きくなり過ぎる。ガラス繊維全量に対するCaOの含有量は、2.6〜5.5質量%が好ましく、3.2〜5.0質量%がより好ましく、3.7〜4.7質量%がさらに好ましく、3.9〜4.5質量%が特に好ましく、4.0〜4.4質量%が最も好ましい。
【0037】
ガラス繊維全量に対するTiO
2の含有量が1.0質量%未満であると、誘電正接を下げ、粘性を低下させ、初期溶融時における溶融分離を抑制し、炉表面で発生するスカムを減少させる効果が小さくなる。一方、TiO
2の含有量が4.0質量%を超えると、分相を生じ易く、化学的耐久性が悪くなる。TiO
2の含有量は、1.3〜3.0質量%が好ましく、1.5〜2.5質量%がより好ましく、1.6〜2.3質量%の範囲とすることがさらに好ましく、1.7〜2.1質量%が特に好ましく、1.8〜2.0質量%が最も好ましい。
【0038】
ガラス繊維全量に対するF
2の含有量が1.5質量% 以上であると、ガラスが分相しやすくなるとともに、ガラスの耐熱性が悪くなることがある。一方、F
2を含むことでガラスの粘性が低下して溶融しやすくなるだけでなく、ガラスの誘電率及び特に誘電正接を低下させることができる。F
2の含有量は、0.1〜1.4質量%が好ましく、0.3〜1.3質量%がより好ましく、0.4〜1.2質量%がさらに好ましく、0.5〜1.1 質量%特に好ましく、0 . 6 〜 1 . 0 質量% の範囲とすることが最も好ましい
【0039】
ガラス繊維全量に対するLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合計量が0.6質量%以上であると、誘電正接が高くなり過ぎ、また耐水性も悪くなる。一方、Li
2O、Na
2O及びK
2Oを含むことでガラスの粘性が低下し、ガラスを溶融しやすくなる。ガラス繊維全量に対するLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合計量の含有量は、0.02〜0.50質量%が好ましく、0.03〜0.40質量%がより好ましく、0.04〜0.30質量%がさらに好ましく、0.05〜0.25質量が特に好ましい。
【0040】
また、組成物に含まれるガラス繊維は、ガラス繊維の全量に対して0.4質量%未満の不純物を含みうる。前記ガラス繊維が含みうる不純物としては、Fe
2O
3、Cr
2O
3、ZrO
2、MoO
3、SO
3、Cl
2等が挙げられる。これらの中でも、溶融ガラス中の輻射熱の吸収やガラス繊維の着色に影響するため、ガラス繊維全量に対するFe
2O
3の含有量は0.05〜0.15質量%が好ましい。
【0041】
なお、本発明のガラス繊維強化樹脂成形品に含まれるガラス繊維において、前述した各成分の含有率の測定は、軽元素であるLiについてはICP発光分光分析装置を用いて、その他の元素は波長分散型蛍光X線分析装置を用いて行うことができる。
【0042】
低誘電ガラス繊維(B)は、ポリカーボネート樹脂との密着性を向上させる目的でアミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤などにより表面処理を行う事が出来る。また、ガラス繊維を取り扱う際、取り扱い性を向上させる目的でウレタンやエポキシ等の集束材などにより集束させることが出来る。
【0043】
低誘電ガラス繊維(B)の配合量は、20〜60重量%であるが、30〜50重量%が好ましく、40〜45重量%がより好ましい。60重量%を越えると外観性に劣る成形品が発生する事があり、20重量%未満では強度、剛性に劣る。
【0044】
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、亜リン酸エステル系化合物(C)が配合されている。亜リン酸エステル系化合物(C)を配合することにより、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する機械的強度等の特性が損なわれることがなく、熱安定性に優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
【0045】
亜リン酸エステル系化合物(C)は特に限定されないが、たとえば下記一般式(1)〜(4)で表される化合物が挙げられる。なかでも一般式(1)〜(3)で表される化合物が好ましい。
【0046】
一般式(1):
【化2】
(式中、R
9及びR
10は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、b及びcは、それぞれ独立して、0〜3の整数を示す。)
【0047】
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトは、ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−24G」として商業的に入手可能である。(株)ADEKA製のアデカスタブPEP−36(「アデカスタブ」は登録商標)が商業的に入手可能である。
【0048】
一般式(2):
【化3】
(式中、R
1は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、0〜3の整数を示す)
【0049】
前記式(2)において、R
1は、炭素数1〜20のアルキル基であるが、さらには、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
【0050】
式(2)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好適であり、例えば、BASF社製のイルガフォス168(「イルガフォス」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標)として商業的に入手可能である。
【0051】
一般式(3):
【化4】
(式中、R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。R
4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR
7−(ここで、R
7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される基を示す。Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR
8−(ここで、R
8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素側の結合手であることを示す)で表される基を示す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0052】
一般式(3)において、R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。
【0053】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0054】
R
2、R
3及びR
5は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。特に、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基又は1−メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。特に、R
3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基であることがさらに好ましい。
【0055】
R
6は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0056】
一般式(3)において、R
4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R
2、R
3、R
5及びR
6の説明にて例示したアルキル基が挙げられる。特に、R
4は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0057】
一般式(3)において、Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR
7−で表される基を示す。ここで、式:−CHR
7−中のR
7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、それぞれ前記R
2、R
3、R
5及びR
6の説明にて例示したアルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。特に、Xは、単結合、メチレン基、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等で置換されたメチレン基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0058】
一般式(3)において、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR
8−で表される基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また、式:*−COR
8−におけるR
8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。R
8を示す炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、前記Aの説明にて例示したアルキレン基が挙げられる。R
8は、単結合又はエチレン基であることが好ましい。また、式:*−COR
8−における*は、酸素側の結合手であり、カルボニル基がフォスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。
【0059】
一般式(3)において、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R
2、R
3、R
5及びR
6の説明にて例示したアルキル基が挙げられる。
【0060】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。これらの中でも、特に光学特性が求められる分野に、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合には、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好適であり、例えば、住友化学(株)製のスミライザーGP(「スミライザー」は登録商標)として商業的に入手可能である。
【0062】
(式中、R
11〜R
18は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基を示す。R
11とR
12、R
13とR
14、R
15とR
16、R
17とR
18とは、互いに結合して環を形成していても良い。R
19〜R
22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。d〜gは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。X
1〜X
4は、それぞれ独立に、単結合または炭素原子を示す。X
1〜X
4が単結合である場合、R
11〜R
22のうち、当該単結合に繋がった官能基は一般式(3)から除外される)
【0063】
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、例えばビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトが挙げられる。これは、Dover Chemical社製、商品名「Doverphos(登録商標) S−9228」、ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−45」(ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト)として商業的に入手可能である。
【0064】
亜リン酸エステル系化合物(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)40〜80重量%及び低誘電ガラス繊維(B)20〜60重量%を含む樹脂組成物100重量部に対して0.01〜0.2重量部であるが、0.03〜0.15重量部が好ましく、0.05〜0.1重量部がより好ましい。配合量が0.2重量部を越えると熱安定性が逆に悪くなる。0.01重量部未満だと熱安定性に劣る。
【0065】
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、脂肪酸エステル(D)が配合されている。脂肪酸エステル(D)を配合することにより、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する機械的強度等の特性が損なわれることがなく、離型性及び熱安定性に優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
【0066】
脂肪酸エステル(D)としては、通常の脂肪族カルボン酸とアルコールとの縮合化合物を用いることができる。
【0067】
前記脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。なお、該脂肪族カルボン酸には、脂環式カルボン酸も含まれる。これらの中でも、炭素数6〜36の、モノカルボン酸及びジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。
【0068】
前記脂肪族カルボン酸の具体例としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
【0069】
前記アルコールとしては、飽和又は不飽和の、一価アルコール及び多価アルコールが挙げられ、これらのアルコールは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、炭素数30以下の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の、脂肪族飽和一価アルコール及び脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、脂肪族アルコールには、脂環式アルコールも含まれる。
【0070】
前記アルコールの具体例としては、例えば、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0071】
脂肪酸エステル(D)の具体例としては、例えば、ベヘニルベヘネート、オクチルドデシルベヘネート、ステアリルステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ペンタエリスリトールステアレートが好適であり、例えば、コグニス社製ロキシオールVPG861等が商業的に入手可能である。
【0072】
脂肪酸エステル(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)40〜80重量%及び低誘電ガラス繊維(B)20〜60重量%を含む樹脂組成物100重量部に対して0.1〜2重量部であるが、0.3〜1.5重量部が好ましく、0.5〜1.0重量部がより好ましい。配合量が2重量部を越えると安定生産が困難になる。0.1重量部未満だと離型性に劣る。
【0073】
本発明のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物において、例えば、ポリカーボネート樹脂を第一フィーダー(原料供給口)から押出機バレル内に供給し、樹脂を十分に溶融した後に低誘電ガラス繊維を第二フィーダー(充填剤供給口)から押出機バレル内に供給した後、混練に用いるスクリューに一般的に入手可能なディスク(例えば、ニーディングディスク)等を適用し、公知の手法によりこのディスクをスクリュー構成として複数用いたり、ディスクの配置を適宜変えたりする等により調整して混練を行うことにより可能である。低誘電ガラス繊維を引きながらポリカーボネート樹脂を当該繊維に含浸させる引き抜き成形法も使用することができる。
【0074】
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に各種の樹脂、酸化防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料、カーボンブラック、充填材、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ゴム、軟化材、展着剤(流動パラフィン、エポキシ化大豆油等)、難燃剤、有機金属塩等の添加剤、滴下防止用ポリテトラフルオロエチレン樹脂等を配合しても良い。
【0075】
各種の樹脂としては、例えば、ハイインパクトポリスチレン、ABS、AES、AAS、AS、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上で併用してもよい。
【0076】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に使用され、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。とりわけ、下記構造式に示される化合物が好適に用いられる。該酸化防止剤としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製Irganox1076などが挙げられる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲においては、任意に変更乃至改変して実施することができる。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」及び「部」は、それぞれ重量基準に基づく「重量%」及び「重量部」を示す。
【0078】
使用した原料の詳細は以下のとおりである。
1.ポリカーボネート樹脂(A):
(住化ポリカーボネート社製 SDポリカ200−13、粘度平均分子量21000)
【0079】
2.低誘電ガラス繊維(B):
(日東紡績社製 NEガラス繊維、長径28μm、短径7μm、繊維長3mm、
エポキシ/ウレタン系集束剤、
1GHzの誘電率4.8、1GHzの誘電正接0.0015)
【0080】
3.亜リン酸エステル系化合物(C):
ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(IUPAC名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン)
【化6】
[ADEKA製のアデカスタブPEP−36(商品名)、以下(C4)ともいう]
【0081】
4.脂肪酸エステル(D):
ペンタエリスリトールステアレート
ロキシオールVPG861(商品名、コグニス社製、以下、「D1」と略記)
【0082】
実施例1〜2および比較例1〜2
前述の各種配合成分を表1に示す配合比率にて、二軸押出機(東芝機械社製TEM−37SS)を用いて、溶融温度300℃にて混練し、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を得た。具体的には、ポリカーボネート樹脂、亜リン酸エステル系化合物、脂肪酸エステルを第一フィーダー(原料供給口)から押出機バレル内に供給し、樹脂組成物を十分に溶融した後に、低誘電ガラス繊維を第二フィーダー(充填剤供給口)から押出機バレル内に供給した。
【0083】
<熱安定性>
得られた各種樹脂組成物のペレット及び曲げ弾性率(剛性)を測定した試験片をジクロロメタンに溶解し、No.1濾紙を用いて溶解液中の不溶物をろ過した。この濾液をドライアップし、得られたポリマーの一定量(0.25g)をジクロロメタン50mlに溶解した。キャノン・フェンスケ粘度計を用いてジクロロメタン希薄溶液の粘度を23℃で測定し、シュネルの式を用いて各試験片の粘度平均分子量を求めた。
(シュネルの式) [η]=1.23×10
−4・M
0.83
[η]:固有粘度、M:粘度平均分子量
なお、熱安定性の指標である分子量低下は、ペレットの粘度平均分子量から試験片の粘度平均分子量を減じた値(ΔMv)が、1000未満を良好(表中「◎」で示す)、1000以上2000未満を使用可(表中「○」で示す)、2000以上を不良(表中「×」で示す)とした。
【0084】
<離型性>
得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(ファナック株式会社製、ROBOSHOT S2000i100B)を用いて、シリンダー設定温度300℃、金型温度50℃、冷却時間20秒の条件にて、離型性を評価した。金型には、コップ型の離型抵抗金型(成形品の形状:直径70mm、高さ20mm、厚み4mm)を用いて、カップ型成形品を成形する際の突き出しピンにかかる突き出し荷重を測定し、離型抵抗値を求めた。評価の基準として、離型抵抗値が800N未満を使用可(表中「○」で示す)、800N以上を不良(表中「×」で示す)とした。
【0085】
<曲げ弾性率>
得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(ファナック株式会社製、ROBOSHOT S2000i100B)を用いて設定温度300℃、射出圧力100MPaにてISO試験法に準じた厚み4mmの試験片を作製し、得られた試験片を用いてISO 178に準じ曲げ弾性率(剛性)を測定した。曲げ弾性率が、6000MPa以上を使用可(表中「○」で示す)、6000MPa未満を不良(表中「×」で示す)とした。
【0086】
<誘電率および誘電正接>
得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(ファナック株式会社製、ROBOSHOT α−S150iA)を用いて設定温度320℃、射出圧力90MPaにて120mm×120mm×厚み3.2mmの試験片を作製した。得られた試験片を用いて自由空間法により、周波数28GHzにおける誘電率および誘電正接を測定した。周波数28GHzにおける誘電率が、3.5未満を良好(表中「○」で示す)、3.5以上を不良(表中「×」で示す)とした。また、周波数28GHzにおける誘電正接が、0.01未満を良好(表中「○」で示す)、0.01以上を不良(表中「×」で示す)とした。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例1〜2に示すように、本発明の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性、離型性、曲げ弾性率を維持したうえで、高い誘電率を有していた
【0089】
一方、比較例1の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、誘電率は低く、誘電正接は満足いく値であったが、熱安定性、離型性は良好ではあるものの、いずれも低い値であって、曲げ弾性率は極めて低い値であった。比較例2の繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、造粒することができないために成形品を得ることができず、これらの物性を測定することができなかった。