撹拌装置100は、シートを収容する収容部2と、前記収容部2に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部3と、前記収容部2に収容された前記シートを撹拌する撹拌部8とを備えた。また、前記構成において、前記撹拌部8は、前記収容部2を、回転軸87を軸心に回転させる駆動部89を備えた。そして、前記各構成において、前記収容部2は、前記シートを収容する収容本体25と、収容本体に対し開閉自在な蓋体24とを備えた。更に、前記各構成において、前記殺菌部3は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を前記収容部に供給する供給部31を備えた。
前記収容部から回収された空気を前記装置本体の外部へ取り出す取出経路、または前記収容部の周辺空気を吸引する吸引部で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部で殺菌された空気を前記装置本体の外部へ排気する排気経路の少なくともいずれかに、装置本体の外部へ排出する空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部が設置される請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の撹拌装置。
前記シートを収容本体に収容して撹拌し、前記収容本体に対し開閉自在な蓋体を開放して前記収容本体からシートを取り出す請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載のシートの撹拌方法。
前記シートの撹拌中、前記収容部内の空気を前記収容部から回収し、当該回収された空気を、循環させ、再度収容部へ流入させる請求項14乃至請求項21のいずれか一項に記載のシートの撹拌方法。
殺菌処理の終了後、前記収容部内の空気を回収し、回収された空気から殺菌成分を除去し、殺菌成分を除去した空気を前記装置本体の外部へ取り出し、前記収容部に前記装置本体の外部の空気を取り入れる請求項14または請求項22に記載のシートの撹拌方法。
シートの殺菌を行うための殺菌成分を前記収容部に供給するための供給経路と、前記収容部の周辺の空気を吸引し、前記殺菌成分と混合して殺菌処理を実施する吸引殺菌部へ前記殺菌成分を流入させる吸引殺菌経路とを切り換える請求項14乃至請求項24のいずれか一項に記載のシートの撹拌方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撹拌されるシートにウィルスや細菌、カビ等が付着している場合、撹拌装置から取り出したシートに触れた人が感染する恐れがある。特に、選挙の開票作業では、開披台上で人手によって投票用紙を混ぜ合わせる作業が行われる。その際仮に、投票者の中に感染者がいた場合、投票用紙に汚染物質が付着している危険性があり、ウィルスが付着した投票用紙に、開票作業者がふれると、多数の作業者が感染する恐れがある。
【0005】
また、投票用紙は、不特定多数の人が触れたものであるため、特に感染症が流行している場合においては、投票用紙にウィルスが付着している可能性が高くなる。投票用紙を混ぜ合わせる作業においては、投票用紙に付着しているウイルスが飛散する危険性が高く、集団感染を引き起こす可能性が高くなる。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、撹拌されるシートに触れる作業者が、感染する危険性を低減可能な撹拌装置及びシートの撹拌方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる撹拌装置は、シートを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部と、前記収容部に収容された前記シートを撹拌する撹拌部とを備えた。
【0008】
また、前記構成において、前記撹拌部は、前記収容部を、回転軸を軸心に回転させる駆動部を備えた。
【0009】
そして、前記各構成において、前記収容部は、前記シートを収容する収容本体と、収容本体に対し開閉自在な蓋体とを備えた。
【0010】
更に、前記各構成において、前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を前記収容部に供給する供給部を備えた。
【0011】
更に、前記各構成において、前記殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器を備えた。
【0012】
更に、前記各構成において、前記収容部内の空気を、前記収容部から回収する回収部を備えた。
【0013】
更に、前記各構成において、前記回収部で回収された空気を前記供給部へ循環させる循環経路を備えた。
【0014】
更に、前記各構成において、前記回収部で回収された空気を装置本体の外部へ取り出す取出経路と、前記収容部に前記装置本体の外部の空気を取り入れる取入経路とを備えた。
【0015】
更に、前記各構成において、前記収容部の周辺空気を吸引する吸引部と、前記吸引部で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部と、前記吸引殺菌部で殺菌された空気を前記装置本体の外部へ排気する排気経路とを備えた。
【0016】
更に、前記各構成において、前記殺菌成分を前記供給部へ流入させる供給経路と、前記殺菌成分を前記吸引殺菌部へ流入させる吸引殺菌経路と、前記供給経路と前記吸引殺菌経路とを切り換える殺菌切換部とを備えた。
【0017】
更に、前記各構成において、前記収容部から回収された空気を前記装置本体の外部へ取り出す取出経路、または前記収容部の周辺空気を吸引する吸引部で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部で殺菌された空気を前記装置本体の外部へ排気する排気経路の少なくともいずれかに、装置本体の外部へ排出する空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部が設置される。
【0018】
本発明に係るシートの撹拌方法は、収容部に収容されたシートを撹拌し、撹拌される前記シートに対し殺菌処理を実施する。
【0019】
更に、前記構成において、前記シートを、回転軸を軸心に回転する収容部によって撹拌する。
【0020】
更に、前記各構成において、前記シートを収容本体に収容して撹拌し、前記収容本体に対し開閉自在な蓋体を開放して前記収容本体からシートを取り出す。
【0021】
更に、前記各構成において、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、供給部によって前記収容部に供給する。
【0022】
更に、前記各構成において、殺菌成分発生器で前記殺菌成分を発生させる。
【0023】
更に、前記各構成において、回収部によって前記収容部内の空気を前記収容部から回収する。
【0024】
更に、前記各構成において、前記シートの撹拌中、前記回収部で回収された空気を前記供給部へ循環させる。
【0025】
更に、前記各構成において、殺菌処理の終了後、前記回収部で回収された空気を前記装置本体の外部へ取り出し、前記収容部に前記装置本体の外部の空気を取り入れる。
【0026】
更に、前記各構成において、前記殺菌成分発生器で発生させた殺菌成分を、前記収容部から回収した空気と混合し、前記収容部へ流入させる。
【0027】
更に、前記各構成において、前記収容部の周辺の空気を吸引し、吸引された空気に対し殺菌処理を実施し、殺菌処理後の空気を前記装置本体の外部に排気する。
【0028】
更に、前記各構成において、前記殺菌成分を前記供給部へ流入させる供給経路と、前記収容部の周辺の空気を吸引し、前記殺菌成分と混合して殺菌処理を実施する吸引殺菌部へ流入させる吸引殺菌経路とを切り換える。
【0029】
更に、前記各構成において、装置本体の外部へ排出する空気から、殺菌成分を除去する。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる撹拌装置によれば、シートを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記シートを撹拌する撹拌部と、前記収容部に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部とを備えたので、撹拌されたシートに触れる作業者が、感染する危険性を低減可能である。
【0031】
また、前記撹拌部は、前記収容部を、回転軸を軸心に回転させる駆動部を備えた場合は、シートを効率よく撹拌することができる。
【0032】
そして、前記収容部は、前記シートを収容する収容本体と、収容本体に対し開閉自在な蓋体とを備えた場合は、蓋体を開放することで作業者は容易にシートを収容部から取り出すことができる。
【0033】
更に、前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を前記収容部に供給する供給部を備えた場合は、殺菌成分によって、シートを容易に殺菌することができる。
【0034】
更に、前記殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器を備えた場合は、殺菌成分発生器によって、容易に殺菌成分を発生させることができる。
【0035】
更に、前記収容部内の空気を、前記収容部から回収する回収部を備えた場合は、収容部内の空気を容易に回収することができる。
【0036】
更に、前記回収部で回収された空気を前記供給部へ循環させる循環経路を備えた場合は、循環経路を流通した空気を用いて、再度シートを殺菌することができる。
【0037】
更に、前記回収部で回収された空気を装置本体の外部へ取り出す取出経路と、前記収容部に前記装置本体の外部の空気を取り入れる取入経路とを備えた場合は、取出経路及び取入経路を用いて収容部内の空気を装置本体の外部の空気に入れ替えることができる。
【0038】
更に、前記収容部の周辺空気を吸引する吸引部と、前記吸引部で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部と、前記吸引殺菌部で殺菌された空気を前記装置本体の外部へ排気する排気経路とを備えた場合は、収容部の周辺に汚染物質が飛散するのを抑制することができる。
【0039】
更に、前記殺菌成分を前記供給部へ流入させる供給経路と、前記殺菌成分を前記吸引殺菌部へ流入させる吸引殺菌経路と、前記供給経路と前記吸引殺菌経路とを切り換える殺菌切換部とを備えた場合は、供給部または吸引殺菌部のうちいずれに殺菌成分を流入させるかを容易に選択できる。
【0040】
更に、前記収容部から回収された空気を前記装置本体の外部へ取り出す取出経路、または前記収容部の周辺空気を吸引する吸引部で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部で殺菌された空気を前記装置本体の外部へ排気する排気経路の少なくともいずれかに、装置本体の外部へ排出する空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部が設置される場合は、装置本体の外部に殺菌成分を多く含む空気が排出されるのを抑制可能である。
【0041】
本発明に係るシートの撹拌方法は、収容部に収容されたシートを撹拌し、撹拌される前記シートに対し殺菌処理を実施するので、撹拌されるシートに触れた作業者が、感染する危険性を低減可能である。
【0042】
また、前記シートを、回転軸を軸心に回転する収容部によって撹拌する場合は、シートを効率よく撹拌することができる。
【0043】
そして、前記シートを収容本体に収容して撹拌し、前記収容本体に対し開閉自在な蓋体を開放して前記収容本体からシートを取り出す場合は、作業者は蓋体を開放して容易にシートを収容部から取り出すことができる。
【0044】
更に、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、供給部によって前記収容部に供給する場合は、殺菌成分によって、シートを容易に殺菌することができる。
【0045】
更に、殺菌成分発生器で前記殺菌成分を発生させる場合は、殺菌成分発生器によって、容易に殺菌成分を発生させることができる。
【0046】
更に、回収部によって前記収容部内の空気を前記収容部から回収する場合は、収容部内の空気を容易に回収することができる。
【0047】
更に、前記シートの撹拌中、前記回収部で回収された空気を前記供給部へ循環させる場合は、循環経路を流通した空気を用いて、再度シートを殺菌することができる。
【0048】
更に、殺菌処理の終了後、前記回収部で回収された空気を前記装置本体の外部へ取り出し、前記収容部に前記装置本体の外部の空気を取り入れる場合は、収容部内の空気を装置本体の外部の空気に容易に入れ替えることができる。
【0049】
更に、前記殺菌成分発生器で発生させた殺菌成分を、前記収容部から回収した空気と混合し、前記収容部へ流入させる場合は、殺菌成分を繰り返し殺菌に利用することができる。
【0050】
更に、前記収容部の周辺の空気を吸引し、吸引された空気に対し殺菌処理を実施し、殺菌処理後の空気を前記装置本体の外部に排気する場合は、収容部の周辺に汚染物質が飛散するのを抑制することができる。
【0051】
更に、前記殺菌成分を前記供給部へ流入させる供給経路と、前記収容部の周辺の空気を吸引し、前記殺菌成分と混合して殺菌処理を実施する吸引殺菌部へ流入させる吸引殺菌経路とを切り換える場合は、供給部または吸引殺菌部のうちいずれに殺菌成分を流入させるかを容易に選択できる。
【0052】
更に、装置本体の外部へ排出する空気から、殺菌成分を除去する場合は、装置本体の外部に殺菌成分を多く含む空気が排出されるのを抑制可能である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる撹拌装置100の外観斜視図である。
図2は、撹拌装置100の正面図である。
図3は、
図2のA-A線矢視断面図である。
図4は、
図2のB-B線矢視断面図である。各図において、撹拌装置100を構成する装置本体1の前後及び左右の筐体を取り除き、内部構成を視認可能として示している。
【0055】
撹拌装置100は、収容部2、殺菌部3、シート受部4及び支持部5を備える。支持部5の内方には、複数のダクト6及び複数の送風機7が設置され、空気の流通経路60が形成されている。
【0056】
収容部2は、シートを収容する。収容部2は、本第1の実施形態では、正八角形の角柱状に形成され、横置きされている。収容部2は、中空の筒体21及び左右一対の閉塞板22を備える。筒体21の左右両端部が閉塞板22によって閉塞される。筒体21は、角柱の高さ方向に沿って2つに分割されている。筒体21を構成する2つの部材のうちの一方のは、蓋体24を構成する。他方の筒体21の部材と左右の閉塞板22とは、収容本体25を構成する。
【0057】
このように、収容部2は、シートを収容する収容本体25と、収容本体25に対し開閉自在な蓋体24とを備える。
図5に蓋体24を開放した状態を示す。蓋体24は、収容本体25を構成する筒体21の側面に図示しないヒンジにより連結される。蓋体24と収容本体25とは、ロック機構26により施錠できるようになっている。また、蓋体24には、把手27が設けられている。
【0058】
蓋体24を開放したときに形成される開口部28の大きさは、例えば投票箱のようなシートを移し変える入れ物の開口部より大きく形成されている。本実施形態においては、蓋体24と収容本体25とが係合するロック機構26が2つ設置された角柱の側面部分の長さが、シートの収納箱や容器のうちの開口部を構成する少なくとも一辺の長さより長く形成される。これより、作業者は蓋体24を開放し、容易にシートを収容本体25へ移し替えることができる。
【0059】
筒体21及び閉塞板22は、透明に形成されることが好ましい。シートが投票用紙である場合、筒体21及び閉塞板22が透明に形成されることで、開票等の作業中の不正を防止し、公正を確保できる。
【0060】
筒体21が透明である場合、材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、プラスチックが挙げられる。より詳しくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、環状ポリオレフィン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)等のポリシクロアルキレンテレフタレート、ビスフェノールとフタル酸で構成された樹脂等のポリアリレートやこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂等を用いることができる。
【0061】
収容部2に収容されたシートは、撹拌部8によって撹拌される。撹拌部8は、収容部2を、回転軸87を軸心に回転させる。撹拌部8は、回転軸87、連結機構82、駆動部89を備える。
【0062】
回転軸87は、左右の閉塞板22の中心部を貫通して設置される。回転軸87は連結機構82を介して駆動部89に連結される。駆動部89を駆動することで、収容部2が所定方向に回転される。収容部2の回転方向は、一方向のみであってもよく、正逆の双方向に回転可能であってもよい。回転軸87は、支持部5を構成する左右の側壁51により軸支される。
【0063】
回転軸87は中空に形成される。
図5に示すように、収容部2の内方に位置する回転軸87の一方の端部は、複数の通気孔85が設けられたキャップ86で覆われている。回転軸87の他方の端部は開口した状態で、側壁51の内部に設置されたダクト6に接続される。
【0064】
殺菌部3は、収容部2に収容されたシートの殺菌を行うためのものである。殺菌部3は、供給部31、回収部32、複数のダクト6、複数の切換部9及び殺菌成分発生器33を備える。供給部31はシートの殺菌を行うための殺菌成分を収容部2に供給する。回収部32は、収容部2内の空気を、該収容部2から回収する。供給部31及び回収部32は左右の回転軸87によって構成される。回転軸87は、撹拌部8を兼ねて、供給部31及び回収部32を構成する。
【0065】
殺菌成分発生器33は殺菌成分を発生させる。殺菌成分発生器33は、支持部5を構成する支持台58の内方に設置される。殺菌成分発生器33としては、オゾン発生装置、紫外線発生装置、エチレンオキサイド発生器、イオン消毒剤発生器、ガスプラズマ発生装置、気相過酸化水素発生装置、酢酸発生装置及びグルタルアルデヒド発生装置、塩素化合物発生装置等が含まれる。
【0066】
また、本発明の殺菌成分には、新型コロナウイルス(COVID−19)、SARS(重症急性呼吸器感染症候群)ウイルスなどのコロナウイルス、インフルエンザウイルス、食中毒菌であるノロウイルス、結核菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、レジオネラ菌、カンピロバクター、O−157等の各種ウイルス、菌、カビ、ダニ、花粉、微生物、細菌胞子等の汚染物質や有害物質を殺菌するために用いられる物質である。
【0067】
殺菌成分には、例えば、オゾン、紫外線、エチレンオキサイド、イオン消毒剤、ガスプラズマ、過酸化水素、酢酸、グルタルアルデヒド、塩素、次亜塩素酸ソーダ、塩素化合物、ホルマリン、銀、亜鉛などの無機物、焼成Caや焼成Mgなどのアルカリ性物質、TBZ、OPP、ジフェニル等の有機物、各種アルコール剤、各種持続的アルコール剤等及びこれらから選ばれた1種又は2種以上の混合物が含まれる。
【0068】
そして、本実施形態の殺菌には、新型コロナウイルス(COVID−19)などの上記各種、有害物質や汚染物質の低減、死滅、除去、減菌、抗菌、滅菌、消毒、衛生化、除染、消臭、防カビ、防腐、漂白、生物汚染物や病原性生物の不活性化等が含まれる。そして、本実施形態の殺菌には、シートに付着し、または空気中に浮遊している全ての菌やウイルス等の物質を死滅できていない場合も含まれる。
【0069】
シート受部4は、収容部2の下方に設置される。シート受部4は、上面が開放された箱状に形成される。シート受部4は、撹拌及び殺菌が行われ、収容部2から取り出されたたシートを受け止める。シートを受け止める際、蓋体24が開放され、手作業で、または収容本体25が適宜所定量回転されることで自動的により落下されたシートを受け止める。シート受部4の前面に把手49が設けられる。
【0070】
支持部5は、左右一対の側壁51及び支持台58を備える。左右一対の側壁51は、回転軸87を回動自在に軸支する。側壁51は中空に形成され、内部に複数のダクト6及び連結機構82が設置される。
図2において右側に示す側壁51の前面に操作部36が設けられる。
【0071】
左右の側壁51の上部に、それぞれ吸引部55が設けられる。吸引部55は、収容部2の周辺空気を吸引する。吸引部55は、左右側壁51の閉塞板22に対向する面に形成された複数の通気口によって構成される。吸引部55は、側壁51の内部に設置されたダクト6に接続される。吸引部55は主として収容部2の前方かつ上方の空気を吸引するが、制御装置90が送風機7の風量を調整することで、収容部2の前後や下方といったより広範囲の空気を吸引可能である。
【0072】
支持台58は収容部2及びシート受部4の下方に位置する。支持台58の上面にシート受部4が取り外し可能に設置される。また、支持台58の内部に、複数のダクト6、駆動部89を構成するモータ、殺菌成分発生器33及び複数の送風機7が設置される。支持台58の前面下部に吸気口77が設けられる。また、支持台58の背面下部に複数の排気口78が設けられる。
【0073】
排気口78には、装置本体1の外部へ排出される空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部79が設置される。除去部79は、空気に含まれる殺菌成分を、低濃度化または無害化し、臭気を低減するために設けられ、殺菌成分を完全に除去できていないこともある。除去部79は殺菌成分に加え、排気される空気に含まれるウイルス、菌等の汚染物質や有害物質を低減することもできる。
【0074】
除去部79として、例えば、粒子フィルター、炭フィルター、チャコールフィルター、逆浸透フィルター、活性炭フィルター、セラミック炭素フィルター、蒸留フィルター、イオン化フィルター、イオン交換フィルター、紫外線フィルター、バックフラッシュフィルター、磁性フィルター、エネルギーフィルター、ボルテックスフィルター、化学的酸化フィルター、化学的添加フィルター、パイウォーターフィルター、樹脂フィルター、膜ディスクフィルター、マイクロ濾過膜フィルター、ニトロセルロース膜フィルター、スクリーンフィルター、シーブフィルター、篩フィルタ−、微孔性フィルターまたは微多孔フィルターなどの各種濾過フィルター、金属酸化物の触媒を用いる方法や、熱分解および紫外線やX線、ガンマ線等の電磁放射線の照射、及びそれらの組み合わせ等を用いることができる。
【0075】
図6に、装置本体1内における空気及び殺菌成分の流通経路60の概略図を示す。装置本体1内には、第1−6ダクト61-66、循環ダクト67、第1−3殺菌ダクト41-43、第1、2吸引ダクト68、69、排気ダクト45、合流部91、第1、2切換部92、93、殺菌切換部94、第1,2送風機71、72、第1、2排気口11、12及び吸気口77が設置されている。
【0076】
切換部9は空気または殺菌成分の流通経路を切り換える開閉弁、電磁バルブ、等により構成することができる。送風機7は、プロペラファン、シロッコファン、等により構成することができる。
【0077】
第1ダクト61の一方の端部は供給部31に接続される。第1ダクト61の他方の端部は合流部91に接続される。
【0078】
第2ダクト62の一方の端部は合流部91に接続される。第2ダクト62の他方の端部は、第1送風機71に接続される。
【0079】
第3ダクト63の一方の端部は、第1送風機71に接続される。第3ダクト63の他方の端部は、第1切換部92に接続される。
【0080】
第4ダクト64の一方の端部は、第1切換部92に接続される。第4ダクト64の他方の端部は、吸気口77に接続される。
【0081】
第5ダクト65の一方の端部は、回収部32に接続される。第5ダクト65の他方の端部は、第2切換部93に接続される。
【0082】
第6ダクト66の一方の端部は、第2切換部93に接続される。
図4では、第2切換部93が開閉弁96によって構成される場合を示す。第6ダクト66の他方の端部は、第1排気口11に接続される。
【0083】
循環ダクト67の一方の端部は、第2切換部93に接続される。循環ダクト67の他方の端部は、第1切換部92に接続される。
【0084】
第1殺菌ダクト41の一方の端部は、殺菌成分発生器33に接続される。第1殺菌ダクト41の他方の端部は、殺菌切換部94に接続される。
図4では、殺菌切換部94がバルブ97によって構成される場合を示す。
【0085】
第2殺菌ダクト42の一方の端部は、殺菌切換部94に接続される。第2殺菌ダクト42の他方の端部は、合流部91に接続される。
【0086】
第3殺菌ダクト43の一方の端部は、殺菌切換部94に接続される。第3殺菌ダクト43の他方の端部は、第2送風機72に接続される。
【0087】
第1吸引ダクト68の一方の端部は、第1吸引部55に接続される。第1吸引ダクト68の他方の端部は、第2送風機72に接続される。
【0088】
第2吸引ダクト69の一方の端部は第2吸引部55に接続される。第2吸引ダクト69の他方の端部は、第2送風機72に接続される。
【0089】
排気ダクト45の一方の端部は、第2送風機72に接続される。排気ダクト45の他方の端部は、第2排気口12に接続される。
【0090】
空気及び殺菌成分の流通経路60は、供給経路14、循環経路15、取出経路17、取入経路16、吸引経路18、吸引殺菌経路19及び排気経路13を備える。供給経路14は、殺菌成分発生器33で発生させた殺菌成分を供給部31へ供給するための経路である。供給経路14は、第1殺菌ダクト41、殺菌切換部94、第2殺菌ダクト42、合流部91及び第1ダクト61により構成される。
【0091】
循環経路15は、回収部32で回収された収容部2内部の空気を供給部31へ循環させる。循環経路15は、第5ダクト65、第2切換部93、循環ダクト67、第1切換部92、第3ダクト63、第1送風機71、第2ダクト62、合流部91及び第1ダクト61により構成される。
【0092】
取出経路17は、回収部32で回収された空気を装置本体1の外部へ取り出す。取出経路17は、第5ダクト65、第2切換部93、第6ダクト66及び第1排気口11により構成される。
【0093】
取入経路16は、収容部2に装置本体1の外部の空気を取り入れる。取入経路16は、吸気口77、第4ダクト64、第1切換部92、第3ダクト63、第1送風機71、第2ダクト62、合流部91及び第1ダクト61により構成される。
【0094】
吸引経路18は、吸引部55で吸引された収容部2の周辺空気を、空気の殺菌を行うための吸引殺菌部39へ送る。吸引殺菌部39は、第2送風機72及び排気ダクト45により構成される。第2送風機72において、第1,2吸引ダクト68,69からの空気と、第3殺菌ダクト43からの空気とが混合される。混合された空気は、排気ダクト45内を流通し、第2排気口12から装置本体1の外部へ排出される。排気ダクト45を流通する間に、殺菌成分によって吸引部55で吸引された空気の殺菌が行われる。吸引経路18は、第1吸引ダクト68、第2吸引ダクト69、第1送風機71により構成される。
【0095】
吸引殺菌経路19は、殺菌成分発生器33で発生させた殺菌成分を吸引殺菌部39へ供給するための経路である。吸引殺菌経路19は、第1殺菌ダクト41、殺菌切換部94、第3殺菌ダクト43、第2送風機72により構成される。
【0096】
排気経路13は、吸引殺菌部39で殺菌された空気を装置本体1の外部へ排気する。排気経路13は、第2送風機72及び排気ダクト45、第2排気口12を備える。
【0097】
第1、2排気口11,12には、取出経路17を構成する第1排気口11、または排気経路13を構成するに、残存する殺菌成分を除去する除去部79が設置される
【0098】
本実施形態で撹拌され、殺菌が行われるシートは、特に限定されず、例えば、投票用紙、抽選くじ、葉書、封書等の各種用紙や紙類、紙製、合成樹脂製または表面加工処理の施されたカード、磁気カード、フィルム、薄板等が挙げられる。
【0099】
制御装置90は、CPU、ROM、RAM等により、実現されている。制御装置90には、各種検出部(図示省略)から送信された検出結果を受信する。また、制御装置90は、操作部36からの情報を受信する。制御装置90には、シートを撹拌し、殺菌するための各種プログラムが記憶されている。制御装置90は各種検出部からの検出結果及び操作部36からの情報に基づき、プログラムに従って、駆動部89、送風機7、殺菌成分発生器33を駆動し、切換部9を切り換え、バルブ97、開閉弁96を開閉する。必要により、図示しない表示部に適宜必要な表示を行う。
【0100】
そして、制御装置90は、内部に備えた時計によって、駆動時間を計測する。制御装置90は、収容部2に収容されたシートを撹拌し、撹拌されるシートに対し殺菌処理を実施するよう制御する。その際、制御装置90は、駆動部89を駆動し、回転軸87を軸心に収容部2を回転させることでシートを撹拌する。また、制御装置60は、殺菌成分発生器33を駆動し、殺菌成分を発生させ、収容部2に供給するよう制御する。さらに、制御装置90は所定のタイミングで複数の切換部9を切り換え、送風機7を動作させて空気の流通経路60を適宜変更する。
【0101】
次に、本実施形態にかかる撹拌装置100の動作を以下に説明する。撹拌装置100は、吸引工程、撹拌工程、停止準備工程の各工程を実施可能である。撹拌装置100を使用する際、作業者はまず、電源スイッチを操作し、電源をいれる。電源投入後、制御装置90は、まず吸引工程を実施する。
【0102】
吸引工程は、吸引部55から収容部2周辺の空気を吸引し、殺菌を行って排気する動作である。制御装置90は、吸引部55から吸引するため第2送風機72を作動する。尚、必要により、電源投入後、制御装置90が自動で第2送風機72を作動させるのに替えて、作業者が第2送風機72を作動させるための操作を実施するのを待って、第2送風機72を作動させてもよい。
【0103】
第2送風機72が作動すると、吸引部55から収容部2周辺の空気が吸引される。特に、蓋体24を開放し、シートを収容本体25へ投入する際に、収容本体25の開口部分周辺の空気を多く吸引することができる。そして、制御装置90は、殺菌切換部94を第1殺菌ダクト41と第3殺菌ダクト43とを接続する方向へ切り替える。さらに、制御装置90は殺菌成分発生器33を作動させる。
【0104】
これより、吸引部55から第1,2吸引ダクト68、69へ流入した空気は、吸引経路18を流通し、第2送風機72に至る。そして、殺菌成分発生器33で発生した殺菌成分は、吸引殺菌経路19を流通し、第1殺菌ダクト41から殺菌切換部94を経て第3殺菌ダクト43へ流入し、第2送風機72に至る。
【0105】
第2送風機72において、吸引部55からの空気と殺菌成分発生器33からの殺菌成分とが混合される。吸引部55からの空気は、殺菌成分によって殺菌される。殺菌処理後の空気は、排気経路13を流通し、第2送風機72から排気ダクト45を経て第2排気口12へ至り、装置本体1の外部へ排気される。
【0106】
第2送風機72から第2排気口12までの経路長を長く設定することで、吸引部55からの空気の殺菌成分と混合され、殺菌される時間を十分に長くすることができる。
【0107】
作業者は、吸引部55から収容部2周辺の空気が吸引され、殺菌されている状態で、投票箱等のシートが入った箱や入れ物、容器等から、該シートを取り出して収容本体25へ移し変える。そして、蓋体24を閉じ、容易に開かないよう固定する。
【0108】
これより、収容部2の蓋体24を開放し、シートを他の容器等から収容本体25に移し変える際、シートに付着している粉塵やウィルス、細菌、カビ等の汚染物質や有害物質が空気中に飛散し、作業者に悪影響を及ぼすのを抑制できる。
【0109】
吸引部55による吸引動作開始後、所定時間にわたり、作業者がシートの移し変えや撹拌動作を開始しない場合、制御装置90は、例えば吸引開始から20分といったあらかじめ設定した所定時間経過後に、第2送風機72及び殺菌成分発生器33を停止し、待機状態とする。待機状態への移行後、作業者が収容部2の周辺の空気を殺菌処理するための操作を行った場合、制御装置90は、この吸引工程を再び実行する。
【0110】
このように、作業者がシートを収容本体25へ移し変える作業を行うことなく、所定時間経過した場合には、撹拌装置100は自動で待機状態へ移行される。よって、殺菌成分発生器33で殺菌成分が必要量を超えて生成され、該殺菌成分の濃度が撹拌装置100の設置場所周辺で高くなり、作業者の人体に悪影響を及ぼすのを抑制できる。また、オゾンや塩素など殺菌成分が臭気を有する場合に、作業者が気分を悪くするのを抑制することができる。
【0111】
撹拌工程では、収容部2に収容したシートを撹拌しつつ、撹拌されるシートに対し殺菌処理を実施する。撹拌工程において、作業者が撹拌開始の操作を行うと、制御装置90は待機中に動作させていた第2送風機72を停止する。尚、制御装置90は第2送風機72を動作させたままとしてもよい。そして、制御装置90は、装置本体1内の空気の流通経路60を殺菌切換部94、第1切換部92及び第2切換部93を切り換えて、循環経路15へと移行する。
【0112】
その際、制御装置90は、殺菌切換部94を第1殺菌ダクト41と第2殺菌ダクト42とを接続する方向へ切り替える。これより、供給経路14を流通した殺菌成分が収容部2に供給される。尚、制御装置90は撹拌工程においても第2送風機72を動作させたままとし、吸引工程の吸引動作を継続する場合、殺菌成分切換部94を、第1殺菌ダクト41から第2殺菌ダクト42及び第3殺菌ダクト43の双方へ流通できるようにする。これより、撹拌中に、収容部2の周辺の空気を殺菌できる。
【0113】
また、制御装置90は、第1切換部92を第3ダクト63と循環ダクト67とを接続する方向へ切り替える。制御装置90は、第2切換部93を循環ダクト67と第5ダクト65とを接続する方向へ切り替える。これより、装置本体1内に循環経路15が形成される。
【0114】
さらに、制御装置90は第1送風機71、殺菌成分発生器33及び駆動部89を動作させる。第1送風機71の駆動により、循環経路15内にある空気が循環しつつ流通される。収容部2内の空気は、回収部32から回収され、第5ダクト65へ流入し、第2切換部93に至り、更に循環ダクト67を流通し、第1切換部92に至ったのち、第3ダクト63を経て、第1送風機71に吸い込まれる。その後、第1送風機71から流出した空気は、第2ダクト62から合流部91に至り、第1ダクト61を経て収容部2へ戻る。
【0115】
殺菌成分発生器33の駆動により、殺菌成分発生器33でシートの殺菌を行うための殺菌成分が発生される。発生された殺菌成分は、第1殺菌ダクト41、殺菌切換部94及び第2殺菌ダクト42を流通し、合流部91に至る。合流部91において、殺菌成分は、循環経路15を流通する空気と混合され、第1ダクト61へ流入し、供給部31によって収容部2に供給される。
【0116】
また、駆動部89の駆動によって、連結機構82を介し回転軸87が回転され、収容部2が回転される。シートは、回転軸87を軸心に回転する収容部2によって撹拌される。収容部2の回転方向は、撹拌中常時一方向のみの回転とすることができる。また、これに替えて、所定時間ごとに正方向と逆方向とを切り換えることとしてもよい。また、シートが適切に撹拌されるため、シートの枚数や経過時間等に応じた回転速度を、予め設定しておき、これに基づき収容部の回転速度を調整してもよい。この場合、経過時間に合わせ回転速度を変更してもよい。
【0117】
収容部2の回転によってシートは、撹拌される。シートは重なった部分がバラバラに捌かれ、空気の層が含まれ、所定濃度の殺菌成分に晒される。シートの表面に付着したウィルスや細菌、カビ等は、殺菌、消毒される。また、収容部2内で飛散し、浮遊するウィルスや菌等も殺菌成分に衝突し、殺菌、死滅される。
【0118】
殺菌処理中、予め設定した所定時間にわたり殺菌成分発生器33での殺菌成分の発生を継続する。発生された殺菌成分は供給経路14を介して収容部2へ供給され続ける。収容部2から回収された空気は循環経路15を流通し、合流部91において殺菌成分発生器33で新たに発生された殺菌成分が追加される。これより、収容部2へ流入する殺菌成分の濃度は、殺菌処理の時間経過と共に高くなる。殺菌成分の濃度は、装置本体1内に設置した測定器等を用いて測定することができる。
【0119】
制御装置90は、得られた殺菌成分の測定値をフォードバックし、これに基づき殺菌成分発生器33で発生させる殺菌成分の量を調整することができる。制御装置90は、収容部2に収容されたシートの量に応じて、必要な濃度に至るための量の殺菌成分を発生させ、収容部2に供給するよう制御することができる。
【0120】
また、殺菌処理のために必要となる殺菌成分の濃度、発生量、供給量、発生時間、曝気時間等を、シートの量に応じて実験を行っておき、これらを設定しておいてもよい。この場合、高価な測定機器を装置本体1内に設置する必要がないので、コストを削減できる。
【0121】
さらに、装置本体1内に設置した測定器によって、単位時間毎の殺菌成分の濃度を計測することも可能である。制御装置90は設定値と計測値とを比較し、これらを基に殺菌成分発生器33、第1送風機71、駆動部89の動作を制御することができる。
【0122】
シートが殺菌成分で殺菌されるのに要する時間は、殺菌成分の濃度が高ければ短くてよく、低ければ長い時間を要する。殺菌に要する時間は、例えば、20秒〜60分とすることができ、好ましくは30秒〜30分、より好ましくは1分〜20分である。収容部2中の殺菌成分の濃度(質量ppm)と処理時間(分)の積であるCT値は、好ましくは100〜6000ppm・分であり、より好ましくは200〜4000ppm・分であり、さらに好ましくは300〜2000ppm・分である。CT値が適正範囲のとき、ウイルスや菌、カビ等を適正に死滅することができ、処理後のシートの汚染物質や有害物質の残存量を少なくできる。
【0123】
シートが十分撹拌され、殺菌されると、制御装置90は、停止準備工程に移行する。停止準備工程ではシートの撹拌を停止するための準備を行う。制御装置90は、装置本体1のいずれかの場所に設置した安全センサ(図示省略)が動作上の危険を検出したときや、作業者が撹拌又は殺菌の処理を停止する操作を行ったときにも、停止準備工程を実施することができる。
【0124】
停止準備工程では、収容部2に供給され、収容部2に滞留する殺菌成分の低減、除去、無毒化、無害化を行う。収容部2において殺菌に使用された殺菌成分は、空気中の濃度が低下され、除去された上で装置本体1の外部へ排出される。その後シートの撹拌が停止される。
【0125】
停止準備工程において、制御装置90は、まず、殺菌成分発生器33を停止する。次に、第2切換部93を切り換え、第5ダクト65が循環ダクト67から第6ダクト66へ接続されるようにする。このとき第1送風機71及び駆動部89は動作を継続している。
【0126】
続いて、制御装置90は、第1切換部92を切り換え、第3ダクト63が循環ダクト67から第4ダクト64へ接続されるよう変更する。これより、空気の流通経路60は、循環経路15から取入経路16に切り換わる。取入経路16では、吸気口77から装置本体1内へ吸い込まれた空気が第4ダクト64、第1切換部92、第3ダクト63、第1送風機71、第2ダクト62、合流部91、第1ダクト61の順に流通して収容部2に至る。
【0127】
このため、撹拌工程において、循環経路15を流通していた空気は順次取出経路17へ流入される。収容部2から回収部32によって回収された空気は、第5ダクト65から第6ダクト66へ流入し、第1排気口11から装置本体1の外部へ排出される。
【0128】
装置本体1内を流通した空気に含まれる殺菌成分は、第1排気口11に設けた除去部79において、殺菌成分が除去される。そして、第1排気口11から装置本体1の外部へ排気される。
【0129】
取入経路16での空気の流通を開始した後、収容部2内の空気が吸気口77から取り入れた外部の空気で満たさされるのに必要な所定時間が経過すると、制御装置90は、駆動部89を停止する。これより収容部2の回転が停止される。さらに制御部は、第1送風機71を停止し、待機状態に移行する。
【0130】
このように停止準備工程において、収容部2内の空気を、所定濃度の殺菌成分を含んだ状態から、順次殺菌成分をほとんど含まない装置本体1の外部の空気に入れ替える。撹拌工程で、シートの殺菌が行われている状態では、循環経路15を循環しながら流通する空気が、所定量の殺菌成分を含んでおり、装置本体1の外部の空気より、殺菌成分の濃度が高い状態となっている。
【0131】
この殺菌成分濃度の高い状態のままでシートを取り出すために、駆動部89を停止し、蓋体24を開放したとすると、作業者は、所定濃度の殺菌成分を鼻や口から体内に吸い込む恐れがある。そこで、作業者が蓋体24を開放し、収容部2内の空気に触れる前の段階で、収容部2の内部及び循環経路15内の空気を殺菌成分濃度の低い装置本体1の外部の空気と入れ替える。これより、蓋体24を開放しても作業者は、殺菌成分濃度の高い空気に接触したり、体内に吸い込んだりするリスクを回避できる。
【0132】
作業者は、収容部2からシート受部4へシートを取り出すための操作をする。制御装置90は、駆動部89を所定量駆動し、シートをシート受部4へ取り出すための取出位置まで収容部2を回転させる。尚、制御装置90は、第1送風機71の停止後、再度駆動部89を駆動するのに替えて、停止準備工程で、駆動部89を停止する際に、このシート受部4への取出位置で、収容部2を停止させるよう制御してもよい。
【0133】
収容部2がシート受部4への取出位置に位置する状態で、作業者が手動で蓋体24を開放する。尚、制御装置90が自動で蓋体24を開放してもよい。シートは下方に設置されたシート受部4に落下する。
【0134】
以上より、本実施形態にかかる撹拌装置100は、シートを収容する収容部2と、収容部2に収容されたシートを撹拌する撹拌部8と、収容部2に収容されたシートの殺菌を行うための殺菌部3とを備えたので、シートを撹拌する作業において、シートにウィルスや菌、カビ、花粉等が付着している場合であっても撹拌されたシートに触れる作業者が、感染する危険性を低減可能である。そして、手作業で行っていたシートの撹拌作業を自動で行うことができ、作業効率を向上できる。
【0135】
また、撹拌部8は、収容部2を、回転軸87を軸心に回転させる駆動部89を備えたのでは、駆動部89によって収容部2を回転することでシートを効率よく撹拌することができる。シートを殺菌成分に効率よく晒すことができるので、殺菌効率を向上可能である。
【0136】
そして、収容部2は、シートを収容する収容本体25と、収容本体25に対し開閉自在な蓋体24とを備えたので、蓋体24を開放することで作業者は容易にシートを収容部2から取り出すことができる。また、蓋体24を閉止することで容易に収容部2を密閉空間とすることができ、殺菌効率を向上可能である。
【0137】
更に、殺菌部3は、シートの殺菌を行うための殺菌成分を収容部2に供給する供給部31を備えたので、収容部2の外部で生成された殺菌成分を容易に収容部2に供給することができ、殺菌成分によって、シートを容易に殺菌することができる。
【0138】
更に、殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器33を備えたので、殺菌成分発生器によって、容易に殺菌成分を発生させることができる。
【0139】
更に、収容部2内の空気を、収容部2から回収する回収部32を備えたので、収容部2内の空気を容易に回収することができる。
【0140】
更に、回収部32で回収された空気を供給部32へ循環させる循環経路15を備えたので、収容部2から回収された殺菌成分を含む空気を、容易に循環経路に流入させ、循環させることができ、この一旦使用済みの殺菌成分を含む空気を再度シートの殺菌に使用することができる。
【0141】
更に、回収部32で回収された空気を装置本体1の外部へ取り出す取出経路17と、収容部2に装置本体1の外部の空気を取り入れる取入経路16とを備えたので、取出経路17を用いて収容部2の空気を容易に取り出すことができ、取入経路16によって収容部2内へ装置本体の外部を容易に取り入れることができる。よって、収容部2の空気を外部の空気と容易に入れ替えることができる。
【0142】
更に、収容部2の周辺空気を吸引する吸引部2と、吸引部2で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部39と、吸引殺菌部39で殺菌された空気を装置本体1の外部へ排気する排気経路13とを備えたので、シートの収容部2への出し入れの際や撹拌中に、収容部2の周辺に汚染物質が飛散するのを抑制することができる。
【0143】
更に、殺菌成分を供給部31へ流入させる供給経路14と、殺菌成分を吸引殺菌部39へ流入させる吸引殺菌経路19と、供給経路14と吸引殺菌経路19とを切り換える殺菌切換部94とを備えたので、殺菌成分の供給先を容易に切り替えることができる。そして、供給部31または吸引殺菌部39のうちいずれに殺菌成分を流入させるかを容易に選択できる。
【0144】
更に、収容部2から回収された空気を装置本体1の外部へ取り出す取出経路17、または収容部2の周辺空気を吸引する吸引部55で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部39で殺菌された空気を装置本体1の外部へ排気する排気経路13の少なくともいずれかに、装置本体1の外部へ排出する空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部79が設置されるので、装置本体1の外部に殺菌成分を多く含む空気が排出されるのを抑制可能である。
【0145】
尚、上記実施形態では、収容部2は正八角形の角柱状に形成され、横置きされたが、これに限定されず、直方体、立方体、球体等の形状であってもよい。
【0146】
また、筒体21は、正八角形角柱状に形成されたが、これに替えて六角形や五角形、十角形等他の多角形角柱状であってもよく、円柱状であってもよい。本実施形態では、正八角形の角柱状に形成されている。
【0147】
また、シートの撹拌は、収容部2を、回転軸87を軸心に回転させる駆動部89により行われたが、これに替えて、撹拌羽根によってシートを撹拌してもよく、送風機からの風圧によって撹拌してもよく、シートの落下を利用してもよく、これらを組み合わせてもよい。その際、収容部に邪魔板を追加で設置したり、収容部の形状を全体的に又は一部分を凹凸形状とする等撹拌効率を上げる構造としてもよい。
【0148】
また、収容部2は、シートを収容する収容本体25と、収容本体25に対し開閉自在な蓋体24とを備えたが、収容部が蓋体のない構成としてもよい。その場合例えば、収容部が伸縮自在に形成され、開口部からシートを出し入れできる構成、シートが通過可能なスリットが形成された構成、またはスナップやファスナー等の留め具によって開口部を閉止可能な構成、収容部内にシートの搬送装置を設置し、シートを撹拌しつつ搬送し、連続的に殺菌を行う構成等採用することができる。
【0149】
また、殺菌部3は、シートの殺菌を行うための殺菌成分を収容部2に供給する供給部31を備えたが、収容部の内部又はその近傍に設置した紫外線照射機によって紫外線をシートに直接照射する等、殺菌成分を用いなくてもよい。また、殺菌成分を収容部内で発生させ殺菌を行ってもよい。
【0150】
また、殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器33を備えたが、撹拌装置の内部に殺菌成分発生器を備えなくてもよい。この場合、別途設置した殺菌成分発生器と撹拌装置を接続し、シートの殺菌を行うことができる。
【0151】
また、収容部2内の空気を、収容部2から回収する回収部32を備えたが、ウイルスや菌が容易に死滅するとともに、殺菌成分が急激に濃度低下し、減少するといった場合には、回収部を設けず、収容部の空気を回収することなく撹拌装置の外部に放出し、拡散させてもよい。
【0152】
また、回収部32で回収された空気を供給部31へ循環させる循環経路13を備えたが、回収された空気を再度収容部に循環させることなく排気してもよい。
【0153】
また、回収部32で回収された空気を装置本体1の外部へ取り出す取出経路17と、収容部2に装置本体1の外部の空気を取り入れる取入経路16とを備えたが、これらを備えず、制御装置が停止準備工程を実施しない構成としてもよい。
【0154】
また、収容部2の周辺空気を吸引する吸引部55と、吸引部55で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部39と、吸引殺菌部39で殺菌された空気を装置本体1の外部へ排気する排気経路13とを備えたが、吸引部を備えず収容部の周辺の空気を吸引しない構成としてもよい。
【0155】
また、殺菌成分を供給部31へ流入させる供給経路14と、殺菌成分を吸引殺菌部39へ流入させる吸引殺菌経路19と、供給経路14と吸引殺菌経路19とを切り換える殺菌切換部94を備えたが、殺菌成分発生器を複数設置し、供給経路と吸引殺菌経路とを切り換えることなく、それぞれの経路に設置された殺菌成分発生器を用いて殺菌成分を発生させ、使用してもよい。
【0156】
また、収容部2から回収された空気を装置本体1の外部へ取り出す取出経路17、または収容部2の周辺空気を吸引する吸引部55で吸引された空気の殺菌を行うための吸引殺菌部39で殺菌された空気を装置本体1の外部へ排気する排気経路13の少なくともいずれかに、装置本体1の外部へ排出する空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部79が設置されたが、除去部を設けない構成としてもよい。
【0157】
また、空気の流通経路60は、複数のダクト6によって形成されたが、配管、パイプ、仕切られた空間等ダクト以外の他の構成によって、形成されてもよい。