(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-176469(P2021-176469A)
(43)【公開日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】紫外線利用血中ウィルス不活性化装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20211015BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20211015BHJP
【FI】
A61M1/36 171
A61N5/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-106534(P2020-106534)
(22)【出願日】2020年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】520219221
【氏名又は名称】田中 誠一
(71)【出願人】
【識別番号】520219346
【氏名又は名称】小島 裕道
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠一
【テーマコード(参考)】
4C077
4C082
【Fターム(参考)】
4C077AA09
4C077BB10
4C077EE01
4C077NN15
4C082PA03
4C082PC10
4C082PE01
(57)【要約】
【課題】近年頻繁にウィルス感染症が発症し、多くの犠牲者が出ている。新しいウィルスに対してウィルスごとの対応が必要であり、多くの時間と経済損失が生じている。
【解決手段】従来から紫外線は殺菌に使用されており、確立された技術であるが、さらに最近ウィルスに対して不活化効果と増殖抑制の効果あることが分かった。この発見により、患者の体内からの血液に対して紫外線放射を行いウィルスを弱体化し体に戻す装置を提案するものである。これにより患者固有のカスタムワクチンを実現しウィルスの種類に限らず全てのウィルスに有効な治療装置を提供するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を送る管と、血液に紫外線を照射するための紫外線発光装置と、血流量を調整する血流量調整装置からなる血中ウィルス不活性化装置
【請求項2】
血液に照射される紫外線の量を、紫外線発光装置の出力W、血液を導く管の半径r、単位時間当たりの血液の体積Vにより調節する請求項1の血中ウィルス不活性化装置
【請求項3】
血液中のウィルスRNAの複製と転写を抑制するのを主目的として照射する場合はUVAの紫外線、ウィルスの不活性化と殺菌を主目的とする場合はUVB又はUVC紫外線を利用する請求項1の血中ウィルス不活性化装置
【請求項4】
患者が人工心肺、人工透析を同時に必要とする場合に紫外線暴露装置と人工心肺装置、人工透析装置が直列に接続されている請求項1の血中ウィルス不活性化装置
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0002】
紫外線や、太陽光により殺菌するという事は水処理などで従来から行われている。紫外線を発生する装置も水銀ランプ、半導体発光装置と数多くある。血液を体の外に取り出して加工し体に戻す装置も腎臓透析、人工心肺装置で広く行われている。ウィルス病は繰り返し人類に襲いかかっており、ウィルスの種類ごとに異なるワクチン開発が必要である。本発明はウィルスの種類に拠らず、紫外線を体外に取り出した血液に照射する治療方法を提供するものである。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−2390 光触媒によるウィルスの感染価低下方法
【0004】
【非特許文献1】[研究成果報告]紫外線発光ダイオード(UV−LED)照射によるA型インフルエンザウイルス不活化機構の解明‐高病原性鳥インフルエンザウイルスの不活化にも効果的 https://www.tokushima−u.ac.jp/docs/2018121200023/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウィルスの感染症の流行は、数年おきに起きている。新しいウィルスが発生する毎にそのウィルス特有のワクチンを開発するする必要がある。新しいワクチンの開発には長い時間と多くの費用が必要である。どのようなウィルスにも素早く対応できる方法が待たれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非特許文献で明らかなように、紫外線はUVC(280nm),UVB(310nm),UVA(365nm)の順にウィルスの不活化する効果が高いとなっている。一般的にUVCは細胞を損傷する危険があると言われている。
【0007】
同じく非特許文献ではウィルスが細胞に吸着する力は(吸着性能)は、紫外線照射により変化がない事が示されている。
【0008】
さらに非特許文献によると、紫外線照射により宿主細胞内のウィルスのvRNA,cRNA,mRNAの増殖が抑制され、宿主細胞内でのウィルスRNAの複製と転写の両方が抑制されている。
特記すべき事はこの効果は波長が一番長く、安全性の高いUVA紫外線も有しているという事である。
【0009】
このような良い性質を持つ紫外線をウィルス感染症の治療に応用するために、体内の血液を管により体外に導き、その管の中に一定の速度で血液を流し、血液の流れの途中で紫外線の透過率が大きい例えばクォーツガラスのような材質を使用し、
【0010】
この管の周りから紫外線を照射する事により、血液中のウィルスを不活性化し、あるいはウィルスの増殖能力を抑制し、あるいはウィルスそのものを殺菌する。
【0011】
以上のように改変されたウィルスを含んだ血液を体に戻す装置。
【0012】
体外に血液を導く場合に人工肺、または人工心臓の装置の一部として本発明の装置を組み入れた装置。
【0013】
血液に紫外線を照射する紫外線暴露箱において、ウィルスの不活性化を目的とするUVA紫外線による照射の場合には血液が流れている管の表面に積算で1平方センチ当たり5ジュール以上のUVAが照射されることを特徴とする装置。
【0014】
血液に紫外線を照射する上記紫外線暴露箱において、ウィルスの不活性化を目的とするUVB紫外線による照射の場合には血液が流れている管の表面に積算で1平方センチ当たり0.5ジュール以上のUVBが照射されることを特徴とする装置。
【0015】
血液に紫外線を照射する上記紫外線暴露箱において、ウィルスの殺菌を目的とするUVC紫外線による照射の場合には血液が流れている管の表面に積算で1平方センチ当たり0.1ジュール以上のUVCが照射されることを特徴とする装置。
【発明の効果】
【0016】
非特許文献によるとウィルスに一番安全なUVA紫外線を照射した場合でも、紫外線を1平方センチメーター当たり5ジュール以上の場合は10の1.5乗分の一以上に活性度が減る。
UVB紫外線照射の場合は、1平方センチメーター当たり0.5ジュール以上の場合は100分の1以上に活性度が減る。
【0016】
UVA,UVB,UVCのいずれの紫外線を宿主細胞内でウィルスに照射すると、ウィルスRNAの転写と複製が抑制され、ウィルスの増殖が抑制される。
【0017】
活性力が低く増殖力も低下したウィルスを含んだ血液をウィルス病感染者の血液の中に戻すと、ウィルス病感染者の免疫が発動し、あたかもウィルス病感染者固有のカスタムワクチンと同じ効果をもたらす。またウィルスの種類に拠らずすべてのウィルスに有効でワクチン開発を個別に行う必要がない。
【0018】
本発明は、すでにある、心肺装置や人工透析と組み合わせて、既往症を持つ患者に対してウィルス治療も同時に行える手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】治療を受けるものの血液を体外に取り出し血液処理装置に導くことを示す図。
【
図2】体外に取り出した血液を紫外線暴露装置に血流を調節しながら導くことを示す図。
【
図3】本発明を人工心肺と組み合わせて利用することを示す図。
【
図4】血液を紫外線に暴露する紫外線暴露装置を示す図。
【
図5】照射紫外線の量とウィルスの不活率、生存率の関係を示す図。(非特許文献1から)
【
図6】照射紫外線がウィルスRNAの複製と転写を抑制した事を示す図。(非特許文献1から)
【
図6】発光装置の光が血液に照射される計数αを決定する方法を示す図。
【符号の説明】
【0020】
1 血液を患者から取り込み血液を処理する血液処理装置
2 血液を取り込む管
3 処理した血液を戻す管
4、6 血液の流量を制御する血流量調整装置
5 血液を紫外線に暴露する紫外線暴露装置
7 紫外線を血液に照射し、血流を制御する両方の機能を有する紫外線暴露システム
8 紫外線暴露システムが人工心肺、透析など他、他の液処理システムと組み合わされた血液処理装置
9 人工心肺または、人工透析などの装置
10 紫外線発光装置
11 受光装置
12 電力計
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に本発明の実施例を示す。体外に取り出された血液は管2を通り、血液処理装置1に導かれる。処理された血液は管3を通り人体に返される。
【0022】
血液処理装置1の中に
図2ごとく血流の流量を制御する装置4または6と紫外線暴露装置5を有する紫外線暴露システム7を配す。血流制御装置4又は6は血液流量が充分制御されている場合はどちらか一つだけでもよい。
【0023】
図4では紫外線暴露装置5において患者から導かれた血液が、管2を通り紫外線暴露装置を通過する間に紫外線を1平方センチ当たり積算0.5ジュール以上のUVB紫外線が暴露する。UVA紫外線の場合は30ジュール以上を照射する。
【0024】
非特許文献には、ウィルスの不活性率と照射した紫外線の面積当たりのエネルギー(ジュール)の関係が記載されている。また照射エネルギーは紫外線ランプの出力(W)と次の関係で表せられる。
【数1】
ここでσは非特許文献での単位面積当たりの照射エネルギー。rは
図4の中の血
を暴露する長さ、tは血液が紫外線暴露装置5の中で紫外線に暴露されている時間である。Wは紫外線ランプの出力、αは紫外線発光装置10と管2の物理的配置で決まる定数である。
血液が紫外線に暴露される時間tは管2の中の血液の速度vと毎秒送り込まれ
【数2】
以上の2式から
【数3】
これにより、紫外線発光装置10の出力W,血液を取り込む管2の半径r、装置に送り込む毎秒の血液の体積Vを調整し、血液に所定の単位面積当たりの紫外線のエネルギーを調整する。
αの値は紫外線発光装置10と血液が流れる管2の間の物理的位置により決定するが、実際は以下のように決定する。
受光装置11を管2の中を移動させ、紫外線発光装置10の紫外線を受光し、その強度を電力計12で計測する。
その移動時間をTとすると
【数3】
ここで、Wは紫外線発光装置10の出力、W’は電力計12で読み取られた受光装置11で受光した光の強度である。
【0025】
図5で、ウィルスに対する目標とする処理が、殺菌を目的とするものか、活性を抑制するものか、増殖を抑えるものかでσの値と紫外線の種類が決められる。
【0026】
図3では紫外線暴露システムと人工心肺、または透析装置と組み合わせた実施例を示している。人工心肺や透析装置はすでに知られた装置だが、患者にさらにウィルス感染している場合には
図3のように組み合わせて使用するのが効果的である。紫外線暴露システムとその他の血液処理装置はどちらの順番にするかは現場の事情に合わせて適宜行ってよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は近年ますます頻繁に発生する様々なウィルス感染に対して、ユニバーサルな新しい医療手段を提供するものである。
【手続補正書】
【提出日】2020年8月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0002】
紫外線や、太陽光により殺菌するという事は水処理などで従来から行われている。紫外線を発生する装置も水銀ランプ、半導体発光装置と数多くある。血液を体の外に取り出して加工し体に戻す装置も腎臓透析、人工心肺装置で広く行われている。ウィルス病は繰り返し人類に襲いかかっており、ウィルスの種類ごとに異なるワクチン開発が必要である。本発明はウィルスの種類に拠らず、紫外線を体外に取り出した血液に照射する治療方法を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−023970号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】(研究成果報告)紫外線発光ダイオード(UV-LED)照射によるA型インフルエンザウイルス不活化機構の解明―高病原性鳥インフルエンザウイルスの不活化にも効果的、インターネット<URL:https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2018121200023/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウィルスの感染症の流行は、数年おきに起きている。新しいウィルスが発生する毎にそのウィルス特有のワクチンを開発するする必要がある。 新しいワクチンの開発には長い時間と多くの費用が必要である。どのようなウィルスにも素早く対応できる方法が待たれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非特許文献で明らかなように、紫外線はUVC(280nm),UVB(310nm),UVA(365nm)の順にウィルスの不活化する効果が高いとなっている。一般的にUVCは細胞を損傷する危険があると言われている。
【0007】
同じく非特許文献ではウィルスが細胞に吸着する力は(吸着性能)は、紫外線照射により変化がない事が示されている。
【0008】
さらに非特許文献によると、紫外線照射により宿主細胞内のウィルスのvRNA,cRNA,mRNAの増殖が抑制され、宿主細胞内でのウィルスRNAの複製と転写の両方が抑制されている。
特記すべき事はこの効果は波長が一番長く、安全性の高いUVA紫外線も有しているという事である。
【0009】
このような良い性質を持つ紫外線をウィルス感染症の治療に応用するために、体内の血液を管により体外に導き、その管の中に一定の速度で血液を流し、血液の流れの途中で紫外線の透過率が大きい例えばクォーツガラスのような材質を使用し、この管の周りから紫外線を照射する事により、血液中のウィルスを不活性化し、あるいはウィルスの増殖能力を抑制し、あるいはウィルスそのものを殺菌する。
【0010】
以上のように改変されたウィルスを含んだ血液を体に戻す装置。
【0011】
体外に血液を導く場合に人工肺、または人工心臓の装置の一部として本発明の装置を組み入れた装置。
【0012】
血液に紫外線を照射する紫外線暴露箱において、ウィルスの不活性化を目的とするUVA紫外線による照射の場合には血液が流れている管の表面に積算で1平方センチ当たり5ジュール以上のUVAが照射されることを特徴とする装置。
【0013】
血液に紫外線を照射する上記紫外線暴露箱において、ウィルスの不活性化を目的とするUVB紫外線による照射の場合には血液が流れている管の表面に積算で1平方センチ当たり0.5ジュール以上のUVBが照射されることを特徴とする装置。
【0014】
血液に紫外線を照射する上記紫外線暴露箱において、ウィルスの殺菌を目的とするUVC紫外線による照射の場合には血液が流れている管の表面に積算で1平方センチ当たり0.1ジュール以上のUVCが照射されることを特徴とする装置。
【発明の効果】
【0015】
非特許文献によるとウィルスに一番安全なUVA紫外線を照射した場合でも、紫外線を1平方センチメーター当たり5ジュール以上の場合は10の1.5乗分の一以上に活性度が減る。
UVB紫外線照射の場合は、1平方センチメーター当たり0.5ジュール以上の場合は100分の1以上に活性度が減る。
【0016】
UVA,UVB,UVCのいずれの紫外線を宿主細胞内でウィルスに照射すると、ウィルスRNAの転写と複製が抑制され、ウィルスの増殖が抑制される。
【0017】
活性力が低く増殖力も低下したウィルスを含んだ血液をウィルス病感染者の血液の中に戻すと、ウィルス病感染者の免疫が発動し、あたかもウィルス病感染者固有のカスタムワクチンと同じ効果をもたらす。またウィルスの種類に拠らずすべてのウィルスに有効でワクチン開発を個別に行う必要がない。
【0018】
本発明は、すでにある、心肺装置や人工透析と組み合わせて、既往症を持つ患者に対してウィルス治療も同時に行える手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、治療を受けるものの血液を体外に取り出し、本実施形態に係る血中ウィルス不活性化装置に導くことを示す図である。
【
図2】
図2は、体外に取り出した血液を本実施形態に係る血中ウィルス不活性化装置に血流を調節しながら導くことを示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る血中ウィルス不活性化装置を人工心肺と組み合わせて利用することを示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る血中ウィルス不活性化装置の紫外線暴露装置(血液を紫外線に暴露する装置)を示す図である。
【
図5】
図5は、照射紫外線の量とウィルスの不活率、生存率の関係を示す図である。(非特許文献1から引用)
【
図6】
図6は、照射紫外線がウィルスRNAの複製と転写を抑制した事を示す図である。(非特許文献1から引用)
【
図7】
図7は、発光装置の光が血液に照射される計数αを決定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に本発明の実施例を示す。体外に取り出された血液は管2を通り、血液処理装置1に導かれる。処理された血液は管3を通り人体に返される。
【0021】
血液処理装置1の中に
図2ごとく血流の流量を制御する装置4または6と紫外線暴露装置5を有する紫外線暴露システム7を配す。血流制御装置4又は6は血液流量が充分制御されている場合はどちらか一つだけでもよい。
【0022】
図4では紫外線暴露装置5において患者から導かれた血液が、管2を通り紫外線暴露装置を通過する間に紫外線を1平方センチ当たり積算0.5ジュール以上のUVB紫外線が暴露する。UVA紫外線の場合は30ジュール以上を照射する。
【0023】
非特許文献には、ウィルスの不活性率と照射した紫外線の面積当たりのエネルギー(ジュール)の関係が記載されている。また照射エネルギーは紫外線ランプの出力(W)と次の関係で表せられる。
【数1】
ここでσは非特許文献での単位面積当たりの照射エネルギー。rは
図4の中の血液が流れる管2の半径、lは紫外線暴露装置5の中の管2の長さすなわち紫外線を暴露する長さ、tは血液が紫外線暴露装置5の中で紫外線に暴露されている時間である。Wは紫外線ランプの出力、αは紫外線発光装置10と管2の物理的配置で決まる定数である。
血液が紫外線に暴露される時間tは管2の中の血液の速度vと毎秒送り込まれる血液の体積Vと管2の長さlから、
【数2】
以上の2式から
【数3】
これにより、紫外線発光装置10の出力W,血液を取り込む管2の半径r、装置に送り込む毎秒の血液の体積Vを調整し、血液に所定の単位面積当たりの紫外線のエネルギーを調整する。
αの値は紫外線発光装置10と血液が流れる管2の間の物理的位置により決定するが、実際は以下のように決定する。
受光装置11を管2の中を移動させ、紫外線発光装置10の紫外線を受光し、その強度を電力計12で計測する。
その移動時間をTとすると
【数4】
ここで、Wは紫外線発光装置10の出力、W’は電力計12で読み取られた受光装置11で受光した光の強度である。
【0024】
図5で、ウィルスに対する目標とする処理が、殺菌を目的とするものか、活性を抑制するものか、増殖を抑えるものかでσの値と紫外線の種類が決められる。
【0025】
図3では紫外線暴露システムと人工心肺、または透析装置と組み合わせた実施例を示している。人工心肺や透析装置はすでに知られた装置だが、患者にさらにウィルス感染している場合には
図3のように組み合わせて使用するのが効果的である。紫外線暴露システムとその他の血液処理装置はどちらの順番にするかは現場の事情に合わせて適宜行ってよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は近年ますます頻繁に発生する様々なウィルス感染に対して、ユニバーサルな新しい医療手段を提供するものである。
【符号の説明】
【0027】
1 血液を患者から取り込み血液を処理する血液処理装置
2 血液を取り込む管
3 処理した血液を戻す管
4、6 血液の流量を制御する血流量調整装置
5 血液を紫外線に暴露する紫外線暴露装置
7 紫外線を血液に照射し、血流を制御する両方の機能を有する紫外線暴露システム
8 紫外線暴露システムが人工心肺、透析など他、他の液処理システムと組み合わされた血液処理装置
9 人工心肺または、人工透析などの装置
10 紫外線発光装置
11 受光装置
12 電力計
【手続補正書】
【提出日】2020年11月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を取り込む流入管と、前記流入管に接続された、血液に紫外線を暴露する暴露管と、暴露管に紫外線を暴露する事により暴露管に流れる血液に紫外線を暴露する紫外線暴露装置と暴露管に流れる血液に、所定のエネルギーが照射されるよう調整するために血流量を調整する血流量調整装置と、紫外線を暴露され、血液中のウィルスの活性度が低下し、宿主細胞内でのウィルスRNAの複製と転写の両方が抑制された、カスタムワクチンとして機能する血液を排出する排出管からなる血中ウィルス不活性化装置。
【請求項2】
ウィルスの増殖を防ぐ又は不活性にする効果を上げるために、前記血流量調整装置が、暴露する紫外線の波長による単位面積当たりのエネルギー量をσ、紫外線発光装置の出力をW、前記暴露管の半径をrとしたときに、
σ=αWr/2Vに基づいて、単位時間当たりの血流量を体積Vとして調整する請求項1の血中ウィルス不活性化装置。
【請求項3】
血液中のウィルス不活化比を10-1以下にするために前記エネルギー量σが、UVAで6J/cm2以上、UVBで0.2J/cm2以上、UVCで0.01J/cm2以上である、請求項2の血中ウィルス不活性化装置。
【請求項4】
人工心肺装置、人工透析装置を組み合わせて用いられる請求項1乃至請求項3いずれかに記載の血中ウィルス不活性化装置。