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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-176789(P2021-176789A)
(43)【公開日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】保管位置管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20211015BHJP
【FI】
   B65G1/04 555Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-81813(P2020-81813)
(22)【出願日】2020年5月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】小林 健一
(72)【発明者】
【氏名】石田 正人
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA03
3F022AA05
3F022AA06
3F022AA07
3F022AA09
3F022CC03
3F022CC10
3F022EE04
3F022EE05
3F022FF23
3F022MM22
3F022MM59
3F022PP02
3F022PP04
3F022PP06
3F022QQ17
(57)【要約】
【課題】保管エリアにおける荷物の所在を正確に管理することができる保管位置管理システムを提供する。
【解決手段】保管位置管理システム2は、カートラック6に載置された荷物8の当該カートラック6に対する位置を検出する第1の検出部10と、カートラック6の保管エリア4に対する位置を検出する第2の検出部12と、第1の検出部10及び第2の検出部12の各々の検出結果に基づいて、荷物8の保管エリア4に対する位置である保管位置を算出し、算出した荷物8の保管位置を示す保管位置情報を、荷物8を識別するための荷物情報と対応付けて記憶部28に格納するコントローラ26とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管エリアにおいて搬送体に載置された荷物の保管位置を管理する保管位置管理システムであって、
前記搬送体に載置された前記荷物の前記搬送体に対する位置を検出する第1の検出部と、
前記搬送体の前記保管エリアに対する位置を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部及び前記第2の検出部の各々の検出結果に基づいて、前記荷物の前記保管エリアに対する位置である保管位置を算出し、算出した前記荷物の保管位置を示す保管位置情報を、前記荷物を識別するための荷物情報と対応付けて記憶部に格納するコントローラと、を備える
保管位置管理システム。
【請求項2】
前記荷物は、
容器と、
前記容器に収納された複数の品物と、を含み、
前記コントローラは、前記荷物毎に前記複数の品物の各々を識別するための品物情報を取得し、前記保管位置情報を、取得した前記品物情報と対応付けて前記記憶部に格納する
請求項1に記載の保管位置管理システム。
【請求項3】
前記第2の検出部は、前記搬送体の前記保管エリアに対する向きを検出し、
前記コントローラは、検出された前記搬送体の前記保管エリアに対する向きをも考慮して、前記荷物の保管位置を算出する
請求項1又は2に記載の保管位置管理システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記搬送体に載置された前記荷物の検品を行う
請求項1〜3のいずれか1項に記載の保管位置管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管エリアにおける荷物の保管位置を管理する保管位置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
保管エリアにおける荷物の保管位置を管理する無人搬送車システムが知られている。特許文献1に開示された無人搬送車システムでは、無人搬送車による荷物の受け渡し位置を検出し、検出した受け渡し位置に基づいて、荷物の在庫位置に関する在庫位置データを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−88906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の無人搬送車システムでは、荷物の保管位置を正確に管理できない場合があるという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、保管エリアにおける荷物の所在を正確に管理することができる保管位置管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る保管位置管理システムは、保管エリアにおいて搬送体に載置された荷物の保管位置を管理する保管位置管理システムであって、前記搬送体に載置された前記荷物の前記搬送体に対する位置を検出する第1の検出部と、前記搬送体の前記保管エリアに対する位置を検出する第2の検出部と、前記第1の検出部及び前記第2の検出部の各々の検出結果に基づいて、前記荷物の前記保管エリアに対する位置である保管位置を算出し、算出した前記荷物の保管位置を示す保管位置情報を、前記荷物を識別するための荷物情報と対応付けて記憶部に格納するコントローラと、を備える。
【0007】
本態様によれば、コントローラは、搬送体の保管エリアに対する位置だけでなく、搬送体に載置された荷物の当該搬送体に対する位置をも考慮して、荷物の保管エリアに対する保管位置を算出する。これにより、荷物を搬送体における任意の場所に載置した場合であっても、保管エリアにおける個々の荷物の所在を具体的な位置で管理することができるとともに、荷物の所在を探す際に、荷物の具体的な位置を正確に端末装置等に表示することができる。
【0008】
例えば、本発明の一態様に係る保管位置管理システムにおいて、前記荷物は、容器と、前記容器に収納された複数の品物と、を含み、前記コントローラは、前記荷物毎に前記複数の品物の各々を識別するための品物情報を取得し、前記保管位置情報を、取得した前記品物情報と対応付けて前記記憶部に格納するように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、保管エリアにおける荷物の所在とともに、当該荷物の容器に収納された複数の品物を正確に管理することにより、荷物の所在を容易に探すことができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係る保管位置管理システムにおいて、前記第2の検出部は、前記搬送体の前記保管エリアに対する向きを検出し、前記コントローラは、検出された前記搬送体の前記保管エリアに対する向きをも考慮して、前記荷物の保管位置を算出するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、コントローラは、搬送体の保管エリアに対する向きをも考慮することにより、荷物の保管エリアに対する保管位置をより正確に算出することができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係る保管位置管理システムにおいて、前記コントローラは、前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記搬送体に載置された前記荷物の検品を行うように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、第1の検出部の検出結果を利用することにより、搬送体に載置された荷物の検品を短時間で効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る保管位置管理システムによれば、保管エリアにおける荷物の所在を正確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る保管位置管理システムの適用例を示す側面図である。
図2】実施の形態に係る保管位置管理システムの適用例を示す上面図である。
図3】実施の形態に係る保管位置管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態に係る保管位置管理システムの記憶部に記憶された管理テーブルの一例を示す図である。
図5】実施の形態に係る保管位置管理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
図6図5のフローチャートのステップS102,S106,S111を説明するための図である。
図7図5のフローチャートのステップS109を説明するための図である。
図8】実施の形態に係る端末装置における表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0017】
(実施の形態)
[1.保管位置管理システムの概要]
まず、図1及び図2を参照しながら、実施の形態に係る保管位置管理システム2の概要について説明する。図1は、実施の形態に係る保管位置管理システム2の適用例を示す側面図である。図2は、実施の形態に係る保管位置管理システム2の適用例を示す上面図である。なお、図1及び図2において、保管エリア4の幅方向をX軸方向、保管エリア4の奥行き方向をY軸方向、保管エリア4の上下方向をZ軸方向とする。
【0018】
図1に示す保管位置管理システム2は、保管エリア4においてカートラック6(搬送体の一例)に載置された複数の荷物8の各々の保管位置を管理するためのシステムである。保管エリア4は、例えばコンビニエンスストア、アパレル店又は百貨店等の各種店舗における、複数の荷物8を保管するためのバックヤード(倉庫)である。
【0019】
図2に示すように、保管エリア4の所定箇所には、カートラック6に載置された荷物8の当該カートラック6に対する位置を検出するための第1の検出部10が配置されている。第1の検出部10は、例えばカートラック6及び当該カートラック6に載置された複数の荷物8を側方から(カートラック6の長手方向に対して略垂直な方向から)撮影する3Dカメラである。
【0020】
図1に示すように、保管エリア4の天井面4aには、カートラック6の保管エリア4に対する位置及び向きを検出するための第2の検出部12が配置されている。第2の検出部12は、例えば保管エリア4を上方から撮影する3Dカメラである。
【0021】
図1に示すように、保管エリア4の床面4bには、複数のカートラック6が移動可能に配置されている。カートラック6は、複数の荷物8を搬送するためのものであり、例えば作業者13によって押し歩きされることにより、保管エリア4の床面4b上を移動する。カートラック6は、フレーム14と、フレーム14の下端部に設けられた複数の車輪16と、フレーム14に上下方向(Z軸方向)に複数段(例えば4段)設けられた載置棚18とを有している。各載置棚18は、長尺状の板状に形成されている。各載置棚18の上面には、保管すべき荷物8が当該載置棚18の長手方向に並んで複数載置される。
【0022】
図1に示すように、フレーム14の上端部には、識別コードラベル20が貼り付けられている。識別コードラベル20には、例えばQRコード(登録商標)等の識別コードが印刷されている。識別コードラベル20の識別コードには、当該カートラック6を識別するためのカートラック情報等が含まれている。識別コードラベル20は、第1の検出部10により撮影される。
【0023】
また、図2に示すように、カートラック6の最上段の載置棚18の上面には、2つの識別コードラベル22a,22bが貼り付けられている。識別コードラベル22a,22bはそれぞれ、カートラック6の長手方向における両端部に配置されている。また、識別コードラベル22a,22bの各々は、カートラック6の短手方向における中央部に配置されている。識別コードラベル22a,22bの各々には、例えば互いに異なる種類のQRコード(登録商標)等の識別コードが印刷されている。識別コードラベル22a,22bは、第2の検出部12により撮影される。なお、本実施の形態では、カートラック6の最上段の載置棚18に2つの識別コードラベル22a,22bを貼り付けたが、これに限定されず、例えばQRコード(登録商標)のように向きを識別可能な識別コードラベルであれば、1つの識別コードラベルのみをカートラック6の最上段の載置棚18に貼り付けてもよい。
【0024】
荷物8は、例えば混載バケットであり、容器と、容器に収納された複数種類の品物とを有する。荷物8の形状は、例えば直方体である。図1に示すように、荷物8の側面には、識別コードラベル24が貼り付けられている。識別コードラベル24には、例えばQRコード(登録商標)等の識別コードが印刷されている。識別コードラベル24の識別コードには、当該荷物8を識別するための荷物情報、及び、当該荷物8の容器に収納された複数種類の品物の各々を識別するための品物情報等が含まれている。識別コードラベル24は、第1の検出部10により撮影される。
【0025】
[2.保管位置管理システムの機能構成]
次に、図3及び図4を参照しながら、実施の形態に係る保管位置管理システム2の機能構成について説明する。図3は、実施の形態に係る保管位置管理システム2の機能構成を示すブロック図である。図4は、実施の形態に係る保管位置管理システム2の記憶部28に記憶された管理テーブル32の一例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、保管位置管理システム2は、機能構成として、第1の検出部10と、第2の検出部12と、コントローラ26と、記憶部28とを備えている。
【0027】
第1の検出部10は、例えばカートラック6及び当該カートラック6に載置された複数の荷物8を側方から撮影することにより、荷物8のカートラック6に対する位置を検出する。第1の検出部10は、コントローラ26と無線通信可能であり、検出結果をコントローラ26に送信する。
【0028】
具体的には、第1の検出部10は、撮影したカートラック6及び当該カートラック6に載置された複数の荷物8の画像から、識別コードラベル20,24の各画像を抽出する。これにより、第1の検出部10は、例えば識別コードラベル20を基準位置とする、複数の荷物8の各々に貼り付けられた識別コードラベル24の相対位置を特定する。その結果、第1の検出部10は、荷物8のカートラック6に対する位置として、カートラック6を基準とするXZ平面座標系における荷物8の2次元位置を示すXZ平面座標を検出する。
【0029】
第1の検出部10は、識別コードラベル20の識別コードを読み取ることにより、カートラック情報を取得する。また、第1の検出部10は、荷物8毎に識別コードラベル24の識別コードを読み取ることにより、荷物情報及び品物情報を取得する。第1の検出部10は、取得したカートラック情報、並びに、荷物8毎に取得した荷物情報及び品物情報をコントローラ26に送信する。
【0030】
第2の検出部12は、例えば保管エリア4に存在するカートラック6を上方から撮影することにより、カートラック6の保管エリア4に対する位置及び向きを検出する。第2の検出部12は、コントローラ26と無線通信可能であり、検出結果をコントローラ26に送信する。
【0031】
具体的には、第2の検出部12は、撮影したカートラック6の画像から、識別コードラベル22a,22bの各画像を抽出する。これにより、第2の検出部12は、例えば識別コードラベル22aと識別コードラベル22bとの中間位置を、水平面内(XY平面内)におけるカートラック6の保管エリア4に対するXY水平位置として特定する。また、第2の検出部12は、例えば第2の検出部12から識別コードラベル22aと識別コードラベル22bとの中間位置までの距離に基づいて、上下方向(Z軸方向)におけるカートラック6の保管エリア4に対する高さ位置を特定する。第2の検出部12は、特定したカートラック6の保管エリア4に対するXY水平位置及び高さ位置に基づいて、カートラック6の保管エリア4に対する位置として、保管エリア4を基準とする空間座標系におけるカートラック6の3次元位置を示す空間座標を検出する。
【0032】
また、第2の検出部12は、例えば保管エリア4と識別コードラベル22a,22bとの位置関係に基づいて、カートラック6の保管エリア4に対する向きを検出する。具体的には、第2の検出部12は、例えば、識別コードラベル22aと識別コードラベル22bとを結ぶ直線(図2において一点鎖線で示す)の、保管エリア4における所定の基準線(例えば、保管エリア4を基準とする空間座標系におけるX軸)に対する角度θ(図2参照)を算出する。第2の検出部16は、算出した角度θに基づいて、カートラック6の保管エリア4に対する向きを検出する。
【0033】
コントローラ26は、第1の検出部10及び第2の検出部12からの検出結果に基づいて、荷物8の保管エリア4に対する位置である保管位置を算出する。すなわち、コントローラ26は、カートラック6の保管エリア4に対する位置及び向きと、荷物8のカートラック6に対する位置とに基づいて、荷物8の保管エリア4に対する保管位置として、保管エリア4を基準とする空間座標系における荷物8の3次元位置を示す空間座標を算出する。具体的には、コントローラ26は、カートラック6の保管エリア4に対するXY水平位置と、荷物8のカートラック6の基準位置に対するXY水平位置とに基づいて、保管エリア4を基準とするXY平面座標系における荷物8の2次元位置を示すXY平面座標を算出する。さらに、コントローラ26は、カートラック6の保管エリア4に対する高さ位置と、荷物8のカートラック6の基準位置に対する高さ位置とに基づいて、保管エリア4を基準とする空間座標系における荷物8の高さ位置を示す高さ座標を算出する。コントローラ26は、算出したXY平面座標と高さ座標とを組み合わせることにより、荷物8の空間座標を算出する。
【0034】
なお、荷物8の空間座標は、例えば荷物8の中心の空間座標である。また、カートラック6の保管エリア4に対する向きは、例えば上記の角度θ=90°又は270°の場合は「縦向き」、角度θ=0°又は180°の場合は「横向き」となる。ここで、「縦向き」とは、上面視でカートラック6の長手方向(図2参照)が保管エリア4の奥行き方向(Y軸方向)に対して略平行となる向きを意味する。一方、「横向き」とは、上面視でカートラック6の長手方向が保管エリア4の奥行き方向に対して略垂直となる向きを意味する。また、カートラック6の保管エリア4に対する向きは、上述した「縦向き」及び「横向き」以外の任意の向き(例えば、角度θ=45°又は70°等)であってもよい。
【0035】
さらに、コントローラ26は、荷物8のカートラック6に対する位置として、荷物8がカートラック6の何段目の何連目に載置されているか(後述する段−連情報)を算出する。なお、図1に示すように、荷物8のカートラック6に対する上下方向の位置は、カートラック6の最下段から最上段にかけて、1段目、2段目、3段目、4段目とする。荷物8のカートラック6に対する横方向の位置は、カートラック6の前端部側から後端部側にかけて、1連目、2連目、3連目、4連目とする。ここで、必ずしも、カートラック6の全ての段及び全ての連に荷物8が載置されている必要は無く、例えば図1に示す3段目の2連目のように、荷物8が載置されていなくてもよい。なお、荷物8のサイズが一定でない場合には、荷物8のカートラック6に対する横方向の位置を、カートラック6の前端部側から後端部側にかけて、1連目、2連目、・・・と、載置した荷物8の個数分だけ管理してもよい。
【0036】
さらに、コントローラ26は、荷物8のカートラック6に対する位置として、カートラック6を基準とする空間座標系における荷物8の3次元位置を示す空間座標(後述する相対保管位置情報)を算出する。
【0037】
また、コントローラ26は、a)算出した荷物8のカートラック6に対する位置を示す相対保管位置情報、b)算出した荷物8の保管エリア4に対する保管位置を示す保管位置情報、及び、c)算出した荷物8のカートラック6に対する位置を示す段−連情報を、カートラック情報、荷物情報及び品物情報と対応付けて、記憶部28の管理テーブル32(後述する)に格納する。さらに、コントローラ26は、端末装置30と無線通信可能であり、記憶部28の管理テーブル32に格納されたカートラック情報、荷物情報、相対保管位置情報、段−連情報、品物情報及び保管位置情報を端末装置30に送信する。なお、端末装置30は、作業者13により操作される、例えばスマートフォン又はタブレット端末等のモバイル端末である。
【0038】
記憶部28は、カートラック情報と、荷物情報と、相対保管位置情報と、段−連情報と、品物情報と、保管位置情報との対応関係を示す管理テーブル32を記憶する。管理テーブル32は、例えば図4に示すようなデータテーブルである。図4に示す例では、管理テーブル32の1行目には、a)カートラック情報「0001」、b)荷物情報「00001」、c)相対保管位置情報「(X、Y、Z)」、d)段−連情報「1段目、1連目」、e)品物情報「品物A×2、品物B×1」、及び、f)保管位置情報「(X’、Y’、Z’)」が格納されている。また、管理テーブル32の2行目には、a)カートラック情報「0001」、b)荷物情報「00002」、c)相対保管位置情報「(X、Y、Z)」、d)段−連情報「1段目、2連目」、e)品物情報「品物A×3、品物C×1」、及び、f)保管位置情報「(X’、Y’、Z’)」が格納されている。
【0039】
なお、図4に示す管理テーブル32において、カートラック情報は、例えばカートラック6毎に割り当てられた、カートラック6を識別するためのID番号である。荷物情報は、例えば荷物8毎に割り当てられた、荷物8を識別するためのID番号である。相対保管位置情報は、例えばカートラック6を基準とする空間座標系における荷物8の3次元位置を示す空間座標である。段−連情報は、荷物8がカートラック6の何段目の何連目に載置されているかを示す情報である。品物情報は、荷物8の容器に収納されている品物の種類及び個数を示す情報である。例えば、「品物A×2、品物B×1」は、品物Aが2個、品物Bが1個収納された荷物8であることを示し、「品物A×3、品物C×1」は、品物Aが3個、品物Cが1個収納された荷物8であることを示す。保管位置情報は、例えば保管エリア4を基準とする空間座標系における荷物8の3次元位置を示す空間座標である。
【0040】
[3.保管位置管理システムの動作]
次に、図5図8を参照しながら、実施の形態に係る保管位置管理システム2の動作について説明する。図5は、実施の形態に係る保管位置管理システム2の動作の流れを示すフローチャートである。図6は、図5のフローチャートのステップS102,S106,S111を説明するための図である。図7は、図5のフローチャートのステップS109を説明するための図である。図8は、実施の形態に係る端末装置30における表示の一例を示す図である。
【0041】
図5に示すように、まず、卸の作業者(図示せず)は、店舗に出荷する複数の荷物8をカートラック6に載置する(S101)。卸の作業者は、出荷検品時に、カートラック6を識別するためのカートラック情報と、当該カートラック6に載置した各荷物8を識別するための荷物情報と、注文番号と、各荷物8に収納された品物の種類及び個数を示す品物情報とを対応付けて、ASN(Advanced Shipping Notice:事前出荷通知)データに格納する。このASNデータは、卸の端末装置(図示せず)から、ネットワークを介して店舗のコントローラ26に送信される。これにより、コントローラ26は、卸の端末装置から受信したASNデータを記憶部28の所定の記憶領域に格納するとともに、図6の(a)に示すように、当該ASNデータに含まれるカートラック情報、荷物情報及び品物情報を、記憶部28の管理テーブル32に格納する(S102)。
【0042】
カートラック6に載置された複数の荷物8は、卸から出荷され(S103)、店舗にて受け入れられる(S104)。店舗において、第1の検出部10は、カートラック6及び当該カートラック6に載置された複数の荷物8を側方から撮影し、検出結果をコントローラ26に送信する。コントローラ26は、第1の検出部10からの検出結果を受信し(S105)、受信した検出結果に基づいて、荷物8のカートラック6に対する位置を算出する。コントローラ26は、図6の(b)に示すように、算出した荷物8のカートラック6に対する位置を示す相対保管位置情報及び段−連情報を、カートラック情報、荷物情報及び品物情報と対応付けて記憶部28の管理テーブル32に格納する(S106)。また、コントローラ26は、第1の検出部10からの検出結果に含まれる、カートラック情報、並びに、荷物8毎の荷物情報及び品物情報を取得する。なお、上述したステップS102に代えて、ステップS106のタイミングで、カートラック情報、荷物情報、相対保管位置情報、段−連情報及び品物情報を記憶部28の管理テーブル32に格納してもよい。
【0043】
さらに、コントローラ26は、第1の検出部10からの検出結果と、卸の端末装置からのASNデータとを比較することにより、一括検品を行う(S107)。具体的には、コントローラ26は、第1の検出部10により検出されたカートラック情報、荷物情報及び品物情報と、記憶部28に格納されたASNデータに含まれるカートラック情報、荷物情報及び品物情報とのマッチングの有無に基づいて、一括検品を行う。なお、このような構成に代えて、コントローラ26は、例えばカートラック6に載置された複数の荷物8の各側面に印刷された文字(品名又は品番等)を画像認識することにより、画像認識した文字とASNデータとのマッチングの有無に基づいて、一括検品を行ってもよい。
【0044】
その後、店舗の作業者13は、店舗の保管エリア4においてカートラック6を所定の場所に移動させる(S108)。作業者13がカートラック6の移動を完了したタイミングで、第2の検出部12は、検出結果をコントローラ26に送信する。コントローラ26は、第2の検出部12からの検出結果を受信し(S109)、第1の検出部10及び第2の検出部12の各々からの検出結果に基づいて、荷物8の保管エリア4に対する保管位置を算出する(S110)。
【0045】
なお、図7に示すように、第2の検出部12からの検出結果には、カートラック6毎の情報として、保管エリア4に対するカートラック6の位置を示すカートラック位置情報と、保管エリア4に対するカートラック6の向きを示すカートラック向き情報とが含まれる。図7に示す例では、データテーブルの1行目には、a)カートラック情報「0001」、b)カートラック位置情報「(x,y,z)」、及び、c)カートラック向き情報「0°」が格納されている。また、データテーブルの2行目には、a)カートラック情報「0002」、b)カートラック位置情報「(x,y,z)」、及び、c)カートラック向き情報「45°」が格納されている。
【0046】
コントローラ26は、図6の(c)に示すように、算出した荷物8の保管エリア4に対する保管位置を示す保管位置情報を、カートラック情報、荷物情報、相対保管位置情報、段−連情報及び品物情報と対応付けて、記憶部28の管理テーブル32に格納する(S111)。
【0047】
例えば作業者13が、カートラック6に載置された複数の荷物8を保管エリア4に保管した後に、保管エリア4において当該複数の荷物8のうち特定の荷物8の所在を探す場合には、端末装置30にインストールされた所定のアプリケーションを起動し、所在を探したい特定の荷物8の荷物情報(ID番号)を指定する操作を行う。これにより、コントローラ26は、記憶部28の管理テーブル32に格納された、作業者13により指定された荷物情報と、当該荷物情報に対応するカートラック情報、相対保管位置情報、段−連情報、品物情報及び保管位置情報とを端末装置30に送信する。
【0048】
端末装置30は、コントローラ26からのカートラック情報、荷物情報、相対保管位置情報、段−連情報、品物情報及び保管位置情報に基づいて、保管エリア4における特定の荷物8の所在を表示するためのAR(Augmented Reality:拡張現実)表示を行う(S112)。
【0049】
図6に示す例では、端末装置30の表示部34には、前景画像36と、マーカー画像38とが表示されている。前景画像36は、端末装置30に搭載されたカメラ(図示せず)により撮影された、端末装置30の前景である保管エリア4(カートラック6の最上段に載置された複数の荷物8a,8b,8c,8d等を含む)を示す画像である。マーカー画像38は、相対保管位置情報、段−連情報及び保管位置情報に基づいて生成された、前景画像36の一部を強調するための画像である。具体的には、端末装置30のカメラによる撮影時に、空間の点群データ及びARマーカー等を同時に認識するとともに、現実空間の空間座標情報を把握した上で、相対保管位置情報、段−連情報及び保管位置情報を用いてマーカー画像38を空間座標内に生成し、色付けするなどしてマーカー画像38を強調表示する。マーカー画像38は、例えばカートラック6の最上段に載置された複数の荷物8a,8b,8c,8dのうち、作業者13により指定された荷物情報に対応する(すなわち、作業者13が所在を探している)、4段目の1連目に載置された荷物8aに重畳されている。これにより、作業者13は、探している荷物8の所在を容易に且つ正確に知ることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、マーカー画像38を荷物8aに重畳させたが、このような構成に代えて、マーカー画像38を荷物8aに貼り付けられた商品ラベル(図示せず)に重畳させてもよい。商品ラベルは、例えば荷物8の品名又は品番等が記載されたラベルである。
【0051】
また、本実施の形態では、カートラック情報、荷物情報、相対保管位置情報、段−連情報、品物情報及び保管位置情報を端末装置30に送信したが、これに限定されず、例えば、(a)保管位置情報により示される荷物8の空間座標、(b)カートラック6の保管エリア4に対する位置、及び、特定の荷物8のカートラック6に対する位置を示す情報、(c)カートラック6における荷物8の場所(段、連)を示す情報のうちいずれかを端末装置30に送信してもよい。端末装置30がAR表示等を行うモバイル端末である場合には、上記(a)又は(b)を端末装置30に送信するのが好ましい。端末装置30が無線ハンディターミナルである場合には、上記(c)を端末装置30に送信するのが好ましい。
【0052】
[4.効果]
本実施の形態では、上述したように、コントローラ26は、カートラック6の保管エリア4に対する位置だけでなく、カートラック6に載置された荷物8の当該カートラック6に対する位置をも考慮して、荷物8の保管エリア4に対する保管位置を算出する。
【0053】
これにより、荷物8をカートラック6における任意の場所(段、連)に載置した場合であっても、保管エリア4における荷物8の所在を具体的な位置で管理することができるとともに、作業者13が荷物8の所在を探す際に、保管エリア4における荷物8の具体的な位置を正確に端末装置30等に表示することができる。
【0054】
(変形例等)
以上、本発明の保管位置管理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に対して当業者が思い付く変形を施して得られる形態、及び、上記実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0055】
上記実施の形態では、搬送体がカートラック6である場合について説明したが、これに限定されず、例えばカゴ台車又はパレット等であってもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、荷物8が混載バケットである場合について説明したが、これに限定されず、例えば同種類の品物が容器に収納された単品バケット、又は、複数の品物が収納された段ボール箱等であってもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、第1の検出部10が3Dカメラである場合について説明したが、これに限定されず、例えばレーザスキャンセンサ等であってもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、第2の検出部12が3Dカメラである場合について説明したが、これに限定されず、例えばカートラック6に取り付けられたGPS(Grobal Positioning System)等であってもよい。あるいは、第2の検出部12は、例えば作業者13がカートラック6を移動させる際の動きを撮影するカメラ、又は、保管エリア4の床面4bに設置された荷重センサ等であってもよい。また、上記実施の形態では、コントローラ26は、荷物8の空間座標を算出したが、例えばリアルタイムに荷物8の保管位置を検出するリアルタイムロケーションシステム(RTLS)を利用して、荷物8の空間座標を算出してもよい。なお、RTLSには、GPS、超音波、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、可視光通信、UWB(Ultra Wide Band)及び画像認識等の様々な種類が存在するが、種類は問わない。あるいは、コントローラ26は、RTLSと上述した3Dカメラとを組み合わせることにより、荷物8の空間座標だけでなく、荷物8の形状及びサイズを算出してもよい。また、RTLSのIDタグを荷物8に複数取り付けることにより、コントローラ26は、荷物8の保管エリア4に対する向きを算出してもよい。あるいは、RTLSのIDタグをカートラック6に取り付けることにより、荷物8を載置したカートラック6の場所を、荷物8の保管位置として管理してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、第1の検出部10は、識別コードラベル20を基準位置とする、複数の荷物8の各々に貼り付けられた識別コードラベル24の相対位置を特定することにより、荷物8のカートラック6に対する位置を検出したが、これに限定されず、例えば複数の荷物8の各々の外形状を認識することにより、荷物8のカートラック6に対する位置を検出してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、保管エリア4が各種店舗におけるバックヤードである場合について説明したが、これに限定されず、例えば工場の倉庫等であってもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、端末装置30は、保管エリア4における荷物8の所在を表示するためのAR表示を行うようにしたが、これに限定されず、例えば作業者13の頭に装着されるゴーグルが、保管エリア4における荷物8の所在を表示するためのMR(Mixed Reality:複合現実)表示を行うようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、コントローラ26により算出される荷物8の空間座標を相対座標としたが、これに限定されず、例えばGPS等の絶対座標としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば保管エリアにおける荷物の保管位置を管理するための保管位置管理システム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
2 保管位置管理システム
4 保管エリア
4a 天井面
4b 床面
6 カートラック
8,8a,8b,8c,8d 荷物
10 第1の検出部
12 第2の検出部
13 作業者
14 フレーム
16 車輪
18 載置棚
20,22a,22b,24 識別コードラベル
26 コントローラ
28 記憶部
30 端末装置
32 管理テーブル
34 表示部
36 前景画像
38 マーカー画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8