【解決手段】本発明は、無核細胞を含有する細胞懸濁液を狭窄部に通すことであって、抗原および/または免疫寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ことより、該抗原への寛容性を誘導するための方法および/または該抗原への免疫応答を抑制するための方法を提供する。一部の実施形態では、前記無核細胞は、個体に送達され、前記抗原は、寛容原性環境に送達され、該寛容原性環境においてプロセシングされて該抗原への寛容性を誘導し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の簡潔な要約
本発明は、個体において免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。
【0008】
本発明のある特定の態様は、個体において免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、1つまたは複数の寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、該1つまたは複数の寛容原性因子の作用が、寛容原性環境および免疫応答の抑制に寄与する、方法を提供する。
【0009】
本発明のある特定の態様は、個体において免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および1つまたは複数の寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、寛容原性環境における該抗原のプロセシングが、免疫応答を抑制する、方法を提供する。
【0010】
本発明のある特定の態様は、個体において免疫応答を抑制するための方法であって、第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入するステップとを含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。
【0011】
本発明のある特定の態様は、個体において免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。
【0012】
本発明のある特定の態様は、無核細胞に寛容原性因子を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該寛容原性因子と接触する、方法を提供する。
【0013】
本発明のある特定の態様は、個体に無核細胞を送達するステップを含む、寛容原性環境に抗原を導入するための方法であって、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされる、方法を提供する。
【0014】
本発明のある特定の態様は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。
【0015】
本発明のある特定の態様は、個体において寛容性を誘導するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、該寛容原性因子の作用が、寛容性を誘導する寛容原性環境に寄与する、方法を提供する。
【0016】
本発明のある特定の態様は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入するステップとを含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。
【0017】
本発明のある特定の態様は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、該抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。
【0018】
本発明のある特定の態様は、無核細胞に抗原を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該抗原が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、該細胞懸濁液が、該抗原と接触する、方法を提供する。一部の実施形態では、寛容原性環境における前記抗原のプロセシングおよび提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記寛容原性環境における前記抗原のプロセシングおよび提示は、該抗原への寛容性を誘導する。前の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態では、前記寛容原性環境は、脾臓、肝臓またはリンパ節に位置する。
【0019】
一部の実施形態では、前記狭窄部は、マイクロ流体チャネルの中に含有される。一部の実施形態では、前記チャネルは、約0.25μm〜約4μmの狭窄部幅を含む。一部の実施形態では、前記チャネルは、約4μm、約3.5μm、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1μm、約0.5μmまたは約0.25μmの狭窄部幅を含む。一部の実施形態では、前記狭窄部は、孔であるか、または孔の中に含有される。一部の実施形態では、前記孔は、表面に含有される。一部の実施形態では、前記表面は、フィルターである。一部の実施形態では、前記表面は、膜である。一部の実施形態では、前記孔サイズは、約0.5μm〜約4μmである。一部の実施形態では、前記孔サイズは、4μm、約3μm、約2μm、約1μmまたは約0.5μmである。一部の実施形態では、前記狭窄部サイズは、前記無核細胞の直径の関数である。一部の実施形態では、前記狭窄部サイズは、前記細胞直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%または約70%である。一部の実施形態では、本方法は、約−5℃〜約45℃の間で実行される。
【0020】
無核細胞の直径についての参照は、別に特定されない限り、例えば前記細胞が狭窄部に接近するときの、該狭窄部を通る前の流体中の該細胞の直径を意味する。
【0021】
前の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、混合された細胞集団を含む。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、全血である。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、精製された細胞集団を含む。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、精製された無核細胞集団を含む。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、哺乳動物細胞を含む。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、サル細胞、マウス細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウマ細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞またはウサギ細胞を含む。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、ヒト細胞を含む。一部の実施形態では、前記無核細胞は、赤血球である。一部の実施形態では、前記赤血球(red blood cell)は、赤血球(erythrocyte)である。一部の実施形態では、前記赤血球は、網状赤血球である。一部の実施形態では、前記無核細胞は、血小板である。
【0022】
前の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態では、前記抗原は、細胞溶解物中にある。一部の実施形態では、前記抗原は、外来抗原である。一部の実施形態では、前記抗原は、自己抗原である。一部の実施形態では、前記抗原は、同種移植抗原である。一部の実施形態では、前記抗原は、微生物である。一部の実施形態では、前記抗原は、脂質抗原である。一部の実施形態では、前記抗原は、炭水化物抗原(例えば糖)である。一部の実施形態では、前記抗原は、修飾抗原である。一部の実施形態では、修飾抗原は、ポリペプチドと融合している抗原を含む。一部の実施形態では、修飾抗原は、治療剤と融合している抗原を含む。一部の実施形態では、修飾抗原は、ターゲティングペプチドと融合している抗原を含む。一部の実施形態では、修飾抗原は、脂質と融合している抗原を含む。一部の実施形態では、修飾抗原は、炭水化物(例えば糖)と融合している抗原を含む。一部の実施形態では、前記抗原は、移植組織に関連した抗原である。一部の実施形態では、前記抗原は、ウイルスに関連する。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、前記狭窄部を通る前に、それと同時に、またはその後に前記抗原と接触する。
【0023】
前の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFNαまたはTGFβである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ポリペプチドである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ポリペプチドの断片である。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ペプチドである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、炭水化物(例えば糖)にコンジュゲートしている。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、前記狭窄部を通る前に、それと同時に、またはその後に前記寛容原性因子と接触する。一部の実施形態では、前記無核細胞の半減期は、減少する。一部の実施形態では、前記無核細胞の半減期は、増加する。
【0024】
免疫応答が抑制される実施形態では、前記免疫応答は、少なくとも約25%、約50%、約75%、約100%、約150%、約200%または約200%よりも多く抑制される。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、T細胞応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞活性化の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞生存の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞増殖の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞機能性の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞表現型の変化を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、T細胞の非共刺激活性化を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、Treg応答の増強を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、B細胞応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記B細胞応答の減少は、抗体産生の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、サイトカイン産生の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、自己免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、アレルギー応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、前記移植組織に対する免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、治療剤に対する免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答は、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む。
【0025】
寛容性が誘導される実施形態では、前記寛容性は、T細胞応答の減少を含むことができる。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞活性化の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞生存の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞増殖の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞機能性の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞表現型の変化を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、T細胞の非共刺激活性化を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、Treg応答の増強を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、B細胞応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記B細胞応答の減少は、抗体産生の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、サイトカイン産生の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、自己免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、アレルギー応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、移植組織に対する免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、治療剤に対する免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記寛容性は、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む。
【0026】
改変無核細胞が個体に投与される一部の実施形態では、方法は、上記に説明する改変無核細胞の少なくとも1回の(例えば少なくとも2、3、4、5、6回またはそれよりも多い)さらなる投与をさらに含む。一部の実施形態では、任意の2回の投与の間の時間間隔(duration of time)は、少なくとも1日、1週、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月または1年である。
【0027】
本発明のある特定の態様は、上記に挙げる方法のいずれか1つで使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および抗原を含む系に関する。本発明のある特定の態様は、上記に挙げる方法のいずれか1つで使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および寛容原性因子を含む系に関する。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
(項目2)
個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該寛容原性因子が、免疫応答を抑制する寛容原性環境に寄与する、方法。
(項目3)
個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
(項目4)
個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
c.該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
(項目5)
個体において免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
(項目6)
個体において免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原および免疫寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
(項目7)
無核細胞に寛容原性因子を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該寛容原性因子と接触する、方法。
(項目8)
寛容原性環境に抗原を導入するための方法であって、個体に無核細胞を送達するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされる、方法。
(項目9)
寛容原性環境に抗原および寛容原性因子を導入するための方法であって、個体に無核細胞を送達するステップを含み、ここで、該無核細胞が、該抗原および該寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされる、方法。
(項目10)
個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
(項目11)
個体において寛容性を誘導するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該寛容原性因子が、寛容性を誘導する寛容原性環境に寄与する、方法。
(項目12)
個体において寛容性を誘導するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
(項目13)
個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、
a.第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
c.該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
(項目14)
個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
(項目15)
個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原および免疫寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
(項目16)
無核細胞に抗原を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該抗原が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該抗原と接触する、方法。
(項目17)
無核細胞に抗原および寛容原性因子を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該抗原および該寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該抗原および該寛容原性因子と接触する、方法。
(項目18)
寛容原性環境における前記抗原のプロセシングおよび提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
寛容原性環境における前記抗原のプロセシングおよび提示が、該抗原への寛容性を誘導する、項目16または17に記載の方法。
(項目20)
少なくとも1つのさらなる抗原が、前記細胞に導入される、項目1、4、5、8、10および13〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
少なくとも1つのさらなる寛容原性因子が、前記細胞に導入される、項目2〜4、6、7、9、11、12、13、15および17のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記寛容原性環境が、脾臓、肝臓またはリンパ節に位置する、項目1〜6、8〜15、18および19のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記狭窄部が、マイクロ流体チャネルの中に含有される、項目1〜22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記チャネルが、約0.25μm〜約4μmの狭窄部幅を含む、項目1〜23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記チャネルが、約4μm、3.5μm、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1.5μm、約1μm、約0.5μmまたは約0.25μmの狭窄部幅を含む、項目1〜24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記狭窄部が、孔であるか、または孔の中に含有される、項目1〜22のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記孔が、表面に含有される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記表面が、フィルターである、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記表面が、膜である、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記孔サイズが、約0.5μm〜約4μmである、項目26〜29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記孔サイズが、4μm、約3μm、約2μm、約1μmまたは約0.5μmである、項目26〜30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記狭窄部サイズが、前記無核細胞の直径の関数である、項目1〜31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記狭窄部サイズが、前記細胞直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%または約70%である、項目1〜32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
約−5℃〜約45℃の間で実行される、項目1〜33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記細胞懸濁液が、混合された細胞集団を含む、項目1〜4、7、10〜13および16〜34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記細胞懸濁液が、全血である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記細胞懸濁液が、精製された細胞集団を含む、項目1〜4、7、10〜13および16〜34のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記細胞懸濁液が、精製された無核細胞集団を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記細胞懸濁液が、哺乳動物細胞を含む、項目1〜4、7、10〜13および16〜38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記細胞懸濁液が、サル細胞、マウス細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウマ細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞またはウサギ細胞を含む、項目1〜4、7、10〜13および16〜39のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記細胞懸濁液が、ヒト細胞を含む、項目1〜4、7、10〜13および16〜39のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記無核細胞が、赤血球である、項目1〜41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記赤血球(red blood cell)が、赤血球(erythrocyte)である、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記赤血球が、網状赤血球である、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記無核細胞が、血小板である、項目1〜41のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記無核細胞が、哺乳動物細胞である、項目1〜45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記無核細胞が、サル細胞、マウス細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウマ細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞またはウサギ細胞である、項目1〜46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記無核細胞が、ヒト細胞である、項目1〜46のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記無核細胞が、前記個体に由来する、項目1〜5、8〜14および22〜48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記無核細胞が、異なる個体に由来する、項目1〜5、8〜14および22〜48のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記抗原が、細胞溶解物中にある、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記抗原が、外来抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記抗原が、自己抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記抗原が、同種移植抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記抗原が、タンパク質またはポリペプチドである、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記抗原が、溶解物である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記抗原が、微生物である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記抗原が、脂質抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記抗原が、炭水化物抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記抗原が、修飾抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記修飾抗原が、ポリペプチドと融合している抗原を含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記修飾抗原が、治療剤と融合している抗原を含む、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
前記修飾抗原が、ターゲティングペプチドと融合している抗原を含む、項目60または61に記載の方法。
(項目64)
前記修飾抗原が、脂質と融合している抗原を含む、項目60または61に記載の方法。(項目65)
前記修飾抗原が、炭水化物と融合している抗原を含む、項目60または61に記載の方法。
(項目66)
前記抗原が、移植組織に関連した抗原である、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
前記抗原が、ウイルスに関連する、項目1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
前記細胞懸濁液が、前記狭窄部を通る前に、それと同時に、またはその後に前記抗原と接触する、項目1、4、10、13および16〜67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記寛容原性因子が、ポリペプチドを含む、項目2〜4、7、11〜13および22〜68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記ポリペプチドが、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFNαまたはTGFβである、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記ポリペプチドが、治療用ポリペプチドである、項目69に記載の方法。
(項目72)
前記ポリペプチドが、治療用ポリペプチドの断片である、項目69に記載の方法。
(項目73)
前記ポリペプチドが、治療用ペプチドである、項目69に記載の方法。
(項目74)
前記ポリペプチドが、炭水化物にコンジュゲートしている、項目69に記載の方法。
(項目75)
前記細胞懸濁液が、前記狭窄部を通る前に、それと同時に、またはその後に前記寛容原性因子と接触する、項目2〜4、7、11〜13および22〜74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記無核細胞の半減期が、減少する、項目1〜75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記無核細胞の半減期が、増加する、項目1〜75のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記免疫応答が、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%または約100%抑制される、項目1〜6、18および22〜77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記抑制される免疫応答が、1つまたは複数の炎症性サイトカインの減少した産生および/または分泌を含む、項目1〜6、18および22〜78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記1つまたは複数の炎症性サイトカインが、インターロイキン−1(IL−1)、IL−12およびIL−18、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)からなる群から選択される、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記抑制される免疫応答が、1つまたは複数の抗炎症性サイトカインの増加した産生および/または分泌を含む、項目1〜6、18および22〜78のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記1つまたは複数の抗炎症性サイトカインが、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFN−αおよびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)からなる群から選択される、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記抑制される免疫応答が、T細胞応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜78のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
前記T細胞応答の減少が、T細胞活性化の減少を含む、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記T細胞応答の減少が、T細胞生存の減少を含む、項目83または84に記載の方法。
(項目86)
前記T細胞応答の減少が、T細胞増殖の減少を含む、項目83〜85のいずれか一項に記載の方法。
(項目87)
前記T細胞応答の減少が、T細胞機能性の減少を含む、項目83〜86のいずれか一項に記載の方法。
(項目88)
前記T細胞応答の減少が、T細胞表現型の変化を含む、項目83〜87のいずれか一項に記載の方法。
(項目89)
前記抑制される免疫応答が、T細胞の非共刺激活性化を含む、項目1〜6、18および22〜88のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記抑制される免疫応答が、Treg応答の増強を含む、項目1〜6、18および22〜89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
前記抑制される免疫応答が、B細胞応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜90のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
前記B細胞応答の減少が、抗体産生の減少を含む、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記抑制される免疫応答が、サイトカイン産生の減少を含む、項目1〜6、18および22〜92のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
前記抑制される免疫応答が、自己免疫応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜93のいずれか一項に記載の方法。
(項目95)
前記抑制される免疫応答が、アレルギー応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記抑制される免疫応答が、前記移植組織に対する免疫応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜95のいずれか一項に記載の方法。
(項目97)
前記抑制される免疫応答が、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜95のいずれか一項に記載の方法。
(項目98)
前記抑制される免疫応答が、治療剤に対する免疫応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜95のいずれか一項に記載の方法。
(項目99)
前記抑制される免疫応答が、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む、項目1〜6、18および22〜95のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記寛容性が、1つまたは複数の炎症性サイトカインの減少した産生および/または分泌を含む、項目10〜15および19〜77のいずれか一項に記載の方法。
(項目101)
前記1つまたは複数の炎症性サイトカインが、インターロイキン−1(IL−1)、IL−12およびIL−18、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)からなる群から選択される、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記寛容性が、1つまたは複数の抗炎症性サイトカインの増加した産生および/または分泌を含む、項目10〜15および19〜77のいずれか一項に記載の方法。
(項目103)
前記1つまたは複数の抗炎症性サイトカインが、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFN−αおよびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)からなる群から選択される、項目102に記載の方法。
(項目104)
前記寛容性が、T細胞応答の減少を含む、項目10〜15および19〜77のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記T細胞応答の減少が、T細胞活性化の減少を含む、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記T細胞応答の減少が、T細胞生存の減少を含む、項目104または105に記載の方法。
(項目107)
前記T細胞応答の減少が、T細胞増殖の減少を含む、項目104〜106のいずれか一項に記載の方法。
(項目108)
前記T細胞応答の減少が、T細胞機能性の減少を含む、項目104〜107のいずれか一項に記載の方法。
(項目109)
前記T細胞応答の減少が、T細胞表現型の変化を含む、項目104〜108のいずれか一項に記載の方法。
(項目110)
前記寛容性が、T細胞の非共刺激活性化を含む、項目10〜15、19〜77および104〜109のいずれか一項に記載の方法。
(項目111)
前記寛容性が、Treg応答の増強を含む、項目10〜15、19〜77および104〜110のいずれか一項に記載の方法。
(項目112)
前記寛容性が、B細胞応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜111のいずれか一項に記載の方法。
(項目113)
前記B細胞応答の減少が、抗体産生の減少を含む、項目112に記載の方法。
(項目114)
前記寛容性が、サイトカイン産生の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜113のいずれか一項に記載の方法。
(項目115)
前記寛容性が、自己免疫応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜114のいずれか一項に記載の方法。
(項目116)
前記寛容性が、アレルギー応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜115のいずれか一項に記載の方法。
(項目117)
前記寛容性が、前記移植組織に対する免疫応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一項に記載の方法。
(項目118)
前記寛容性が、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一項に記載の方法。
(項目119)
前記寛容性が、治療剤に対する免疫応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一項に記載の方法。
(項目120)
前記寛容性が、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む、項目10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一項に記載の方法。
(項目121)
少なくとも1、2、3、4、5または6回繰り返される、項目1〜120のいずれか一項に記載の方法。
(項目122)
前記方法の任意の2回の繰り返しの間の時間間隔が、少なくとも1日、1週、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月または1年である、項目121に記載の方法。(項目123)
項目1、4、10、13および16〜120のいずれか一項に記載の方法で使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および抗原を含む系。
(項目124)
項目2〜4、7、11〜13および22〜120のいずれか一項に記載の方法で使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および寛容原性因子を含む系。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、無核細胞を含有する細胞懸濁液を狭窄部に通し、該無核細胞への抗原および/または寛容原性因子の送達を可能にすることによる、個体において寛容性を誘導する方法および/または免疫応答を抑制する方法を提供する。一部の実施形態では、前記狭窄部は、マイクロ流体チャネルの中に含有される。一部の実施形態では、前記狭窄部は、孔であるか、または孔の中に含有される。
【0041】
本開示のある特定の態様は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法および/または該抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含有する細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制する、方法に関する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への寛容性および/または免疫応答の抑制を含む。
【0042】
本開示のある特定の態様は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法および/または抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含有する細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該細胞と接触した抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入し、それによって該抗原への寛容性を誘導し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制するステップとを含む、方法に関する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境において提示される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制する。例えば、一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境において作用して、該環境の該寛容原性性質をさらに増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、非寛容原性環境において作用して、寛容原性環境を発生させる。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への寛容性および/または免疫応答の抑制を含む。
【0043】
本開示のある特定の態様は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法および/または抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含有する細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入し、それによって抗原への寛容性を誘導し、かつ/または抗原への免疫応答を抑制するステップとを含む、方法に関する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への寛容性および/または免疫応答の抑制を含む。
【0044】
I.一般技術
本明細書で記載または参照される技術および手順は、一般によく理解されており、当業者によって従来の方法論、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Sambrookら、第4版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、2012年);Current Protocols in Molecular Biology(F.M. Ausubelら編、2003年);Methods in Enzymologyシリーズ(Academic Press, Inc.);PCR 2: A Practical Approach(M.J. MacPherson、B.D. HamesおよびG.R. Taylor編、
1995年);Antibodies, A Laboratory Manual(HarlowおよびLane編、1988年);Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique and Specialized Applications(R.I. Freshney、第6版、J. Wiley and Sons、2010年);Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait編、1984年);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology: A Laboratory Notebook(J.E. Cellis編、Academic Press、1998年);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.
MatherおよびP.E. Roberts、Plenum Press、1998年);Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures(A. Doyle、J.B. GriffithsおよびD.G. Newell編、J. Wiley and Sons、1993〜8年);Handbook of Experimental Immunology(D.M. WeirおよびC.C. Blackwell編、1996年);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M. MillerおよびM.P. Calos編、1987年);PCR: The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994年);Current Protocols in Immunology(J.E. Coliganら編、1991年);Short Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、J. Wiley and Sons、2002年);Immunobiology(C.A. Janewayら
、2004年);Antibodies(P. Finch、1997年);Antibodies: A Practical Approach(D. Catty.編、IRL Press、1988〜1989年);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach(P. ShepherdおよびC. Dean編、Oxford University Press、2000年);Using Antibodies: A Laboratory Manual(E. HarlowおよびD. Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999年);The Antibodies
(M. ZanettiおよびJ. D. Capra編、Harwood Academic Publishers、1995年)
;およびCancer: Principles and Practice of Oncology(V.T. DeVitaら編、J.B.
Lippincott Company、2011年)に記載される広く利用される方法論などを使用し
て普通に用いられる。
【0045】
II.定義
この明細書の解釈のために、以下の定義が適用され、該当する限り、単数で使用される用語は複数形も含み、逆もまた同じである。下に示される任意の定義が参照により本明細書に組み込まれる任意の文献と矛盾する場合には、示される定義が優先される。
【0046】
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特に明記しない限り複数の参照物を含む。
【0047】
本明細書に記載される本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態を「含む(comprising)」、「からなる(consisting)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」ことを含むものと理解される。
【0048】
本明細書で使用される用語「約」は、この技術分野の当業者に容易に分かる、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書で「約」のついた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(および記載する)。
【0049】
本明細書で使用される用語「孔」は、材料の中の穴、裂け目、空洞、開口、亀裂、空隙または穿孔を限定されずに含む、開口部を指す。一部の例では、(示される場合)用語は本開示の表面の中の孔を指す。他の例では、(示される場合)孔は、細胞膜中の孔を指すことができる。
【0050】
本明細書で使用される用語「膜」は、孔を含有する選択的障壁またはシートを指す。用語は、境界またはライニングとして作用する柔軟なシート様構造を含む。一部の例では、用語は、孔を含有する表面またはフィルターを指す。この用語は、用語「細胞膜」とは異なる。
【0051】
本明細書で使用される用語「フィルター」は、孔を通した選択的通過を可能にする多孔性物品を指す。一部の例では、用語は、孔を含有する表面または膜を指す。
【0052】
本明細書で使用される用語「不均一な」は、構造または組成が混成しているかまたは均一でない物を指す。一部の例では、用語は、所与の表面の中の様々なサイズ、形または分布を有する孔を指す。
【0053】
本明細書で使用される用語「均一な」は、構造または組成全体が一貫しているかまたは均一である物を指す。一部の例では、用語は、所与の表面の中の一貫したサイズ、形または分布を有する孔を指す。
【0054】
本明細書で使用される用語「異種」は、異なる生物体に由来する分子を指す。一部の例では、用語は、所与の生物体の中で通常は見出されないかまたは発現されない核酸またはタンパク質を指す。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「阻害する」は、特定の標的の存在または活性を遮断する、低減する、排除する、さもなければ拮抗する作用を指すことができる。阻害は、部分的な阻害または完全な阻害を指すことができる。例えば、免疫応答を阻害することは、免疫応答の遮断、低減、排除または任意の他の拮抗につながる任意の作用を指すことができる。他の例では、核酸の発現の阻害には、これらに限定されないが、核酸の転写の低減、mRNA存在度の低減(例えば、mRNA転写サイレンシング)、mRNAの分解、mRNA翻訳の阻害、遺伝子編集などを含めることができる。他の例では、タンパク質の発現の阻害には、これらに限定されないが、タンパク質をコードする核酸の転写の低減、タンパク質をコードするmRNAの安定性の低減、タンパク質の翻訳の阻害、タンパク質の安定性の低減などを含めることができる。
【0056】
本明細書で使用する場合、用語「抑制する」は、特定の標的の存在または活性を低下させる、低減する、妨げる、制限する、減少させる、さもなければ減弱させる作用を指すことができる。抑制は、部分的な抑制または完全な抑制を指すことができる。例えば、免疫応答を抑制することは、免疫応答を低下させる、低減する、妨げる、制限する、減少させる、さもなければ減弱させることにつながる任意の作用を指すことができる。他の例では、核酸の発現の抑制には、これらに限定されないが、核酸の転写の低減、mRNA存在度の低減(例えば、mRNA転写サイレンシング)、mRNAの分解、mRNA翻訳の阻害などを含めることができる。他の例では、タンパク質の発現の抑制には、これらに限定されないが、タンパク質をコードする核酸の転写の低減、タンパク質をコードするmRNAの安定性の低減、タンパク質の翻訳の阻害、タンパク質の安定性の低減などを含めることができる。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「増強する」は、特定の標的の存在または活性を向上させる、増進する、強化する、さもなければ増加させる行為を指すことができる。例えば、免疫応答を増強することは、免疫応答を向上させる、増進する、強化する、さもなければ増加させることにつながる任意の作用を指すことができる。他の例では、核酸の発現を増強することには、これらに限定されないが、核酸の転写の増加、mRNA存在度の増加(例えば、mRNAの転写の増加)、mRNAの分解の減少、mRNA翻訳の増加などを含めることができる。他の例では、タンパク質の発現を増強することには、これらに限定されないが、タンパク質をコードする核酸の転写の増加、タンパク質をコードするmRNAの安定性の増加、タンパク質の翻訳の増加、タンパク質の安定性の増加などを含めることができる。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「誘導する」は、結果を開始する、促進する、刺激する、確立する、さもなければ生じさせる作用を指すことができる。例えば、免疫応答を誘導することは、所望の免疫応答を開始する、促進する、刺激する、確立する、さもなければ生じさせることにつながる任意の作用を指すことができる。他の例では、核酸の発現を誘導することには、これらに限定されないが、核酸の転写の開始、mRNAの翻訳の開始などを含めることができる。他の例では、タンパク質の発現を誘導することには、これらに限定されないが、タンパク質をコードする核酸の転写の増加、タンパク質をコードするmRNAの安定性の増加、タンパク質の翻訳の増加、タンパク質の安定性の増加などを含めることができる。
【0059】
本明細書で使用される用語「同種」は、同じ生物体に由来する分子を指す。一部の例では、用語は、所与の生物体の中で通常見出されるかまたは発現される核酸またはタンパク質を指す。
【0060】
本明細書で使用される用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む任意の長さのヌクレオチドのポリマー形を指す。したがって、この用語には、これらに限定されないが、一本鎖、二本鎖もしくは多重鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNAハイブリッド、またはプリン塩基およびピリミジン塩基を含むポリマー、または他の天然の、化学的もしくは生化学的に修飾された、非天然のもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基が含まれる。ポリヌクレオチドの骨格は、(RNAまたはDNAで一般的に見出され得る)糖およびリン酸基、または修飾もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含むことができる。ポリヌクレオチドの骨格は、ペプチド結合によって連結される、N−(2−アミノエチル)−グリシンなどの反復単位を含むことができる(すなわち、ペプチド核酸)。あるいは、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホロアミデートなどの合成サブユニットのポリマーを含むことができ、したがって、オリゴデオキシヌクレオシドホスホロアミデート(P−NH2)または混合されたホスホロアミデート−ホスホジエステルオリゴマーであってよい。さらに、二本鎖ポリヌクレオチドは、相補鎖を合成し、適当な条件下で鎖をアニールすることによるか、または適当なプライマーによるDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を新規に合成することによるかのいずれかで、化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド生成物から得ることができる。
【0061】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用され、最小長に限定されない。アミノ酸残基のそのようなポリマーは、天然または非天然のアミノ酸残基を含有することができ、これらに限定されないが、アミノ酸残基のペプチド、オリゴペプチド、二量体、三量体および多量体が含まれる。完全長タンパク質およびその断片の両方は、定義により包含される。用語は、ポリペプチドの発現後の修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化なども含む。さらに、本発明のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然の配列への改変、例えば欠失、付加および置換(一般的に本来保存的な)を含むタンパク質を指す。これらの改変は、部位特異的変異誘発を通じて意図的であってもよく、または、例えばタンパク質を産生する宿主の変異もしくはPCR増幅によるエラーを通じて偶然であってもよい。
【0062】
本明細書に記載される構造的および機能的特徴のいずれかについて、これらの特徴を決定する方法は、当技術分野で公知である。
【0063】
III.免疫抑制および寛容性
ある特定の態様では、本発明は、個体において免疫応答を抑制するための方法および/または寛容性を誘導するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および/または寛容原性化合物が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。
【0064】
免疫学的寛容性は、寛容性が誘導された抗原でのチャレンジへの免疫学的無応答性である。寛容性は、被験体が前記寛容性誘導抗原での次なるチャレンジに無応答性である場合に、示される。寛容性は、自己反応性細胞のアポトーシス、アネルギーの誘導またはリンパ球表現型の偏向を含むいくつかの異なる機構により媒介され得る。一部の実施形態では、前記寛容性は、特異的抗原への免疫応答の脱活性化を引き起こす、T細胞無応答性を含み得る。また、寛容性は、免疫抑制サイトカインの分泌を通して、かつ細胞表面分子または細胞毒性因子との接触依存的相互作用を介して調節性T細胞(Treg)により媒介され得る。寛容原性機構における欠陥は、自己免疫疾患、移植拒絶、抗薬物応答およびウイルス感染への病原性応答に寄与し得る。免疫抑制は、免疫応答の活性における減少である。例えば、免疫抑制として、抗原でのチャレンジへの応答性の減少、免疫細胞活性化および増殖の減少、サイトカイン分泌の調節、免疫細胞生存の減少または免疫細胞エフェクター機能の減少を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記免疫抑制は、所与の抗原について特異的である。例えば、自己抗原に対する免疫応答は、抑制される。
【0065】
一部の実施形態では、抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされ、提示される。寛容原性環境は、寛容原性免疫応答の発生を支持する体内の位置であり得る。一部の実施形態では、前記寛容原性環境は、一次リンパ性組織、例えば胸腺に位置する。一部の実施形態では、前記寛容原性環境は、二次リンパ性組織に位置する。二次リンパ性組織の例として、脾臓、リンパ節および粘膜関連リンパ性組織(MALT)が挙げられる。一部の実施形態では、前記寛容原性環境は、脾臓に位置する。一部の実施形態では、前記寛容原性環境は、非リンパ性組織、例えば肝臓に位置する。一部の実施形態では、前記寛容原性環境は、寛容原性因子の送達により炎症部位で誘導される。例えば、炎症性環境は、寛容原性因子により寛容原性環境に変換される。
【0066】
一部の実施形態では、本発明は、無核細胞への送達のための方法であって、該細胞が、哺乳動物細胞である、方法を提供する。無核細胞は、核を欠く。一部の実施形態では、前記無核細胞は、サル細胞、マウス細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウマ細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞またはウサギ細胞である。一部の実施形態では、前記無核細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、前記無核細胞は、非哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、前記無核細胞は、ニワトリ細胞、カエル細胞、昆虫細胞、魚類細胞または線虫細胞である。一部の実施形態では、前記無核細胞は、赤血球である。赤血球(RBC)は、柔軟であり、酸素担体生体分子ヘモグロビンを多く含む細胞質を有する楕円形両凹面円板である。RBCは、ヒト体内全体を通した酸素送達および二酸化炭素除去のための主要手段として働く。RBCは最大120日間循環中に留まることができ、その後、それらは脾臓におけるクリアランスにより身体から除去される。網状赤血球は、無核未成熟(まだ両凹面でない)赤血球であり、典型的にヒト体内の赤血球の約1%を構成する。成熟赤血球(mature red blood cell)は、赤血球(erythrocyte)とも呼ばれる。一部の実施形態では、前記無核細胞は、血小板である。血小板(platelet)は、血小板(thrombocyte)とも呼ばれ、その機能が血液凝固に関連する血液の構成成分である。血小板は、直径2〜3μmの両凸面円板状(レンズ状)構造である。
【0067】
一部の実施形態では、前記寛容原性環境における抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制するか、または該抗原への寛容原性応答を誘導する。脾臓の寛容原性環境において普通は取り除かれるアポトーシス細胞、例えばRBC由来の抗原は、反応性T細胞の欠失(例えば殺滅)またはアネルギーを介して該抗原への寛容性を駆動し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制し得る。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は、抗原特異的である。RBCは、限定的な寿命を有し、自己修復できず、アポトーシスに類似のプロセスであるエリプトーシス(eryptosis)によるRBC死をもたらし、続いて血流から除去される。一部の実施形態では、前記抗原は、前記寛容原性環境内での前記無核細胞のアポトーシスに際して放出される場合があり、それは次に、抗原提示細胞により取り込まれ、プロセシングされ、提示される。一部の実施形態では、前記抗原を含有する前記無核細胞は、抗原提示細胞、例えばマクロファージにより貪食され、該抗原は続いて、該抗原提示細胞によりプロセシングされ、提示される。
【0068】
一部の実施形態では、前記無核細胞の半減期は、改変することができる。一部の実施形態では、前記無核細胞の半減期は、増加する。例えば、前記無核細胞(the anucleate)は、該無核細胞が脾臓におけるクリアランス前に血流中で循環する時間を増加させるように改変することができる。一部の実施形態では、前記無核細胞の半減期は、減少する。例えば、前記無核細胞は、該無核細胞が脾臓におけるクリアランス前に血流中で循環する時間を減少させるように改変することができる。一部の実施形態では、前記無核細胞表面上の脂質比の変更は、該無核細胞の半減期を減少させる。例えば、前記無核細胞の表面上のホスファチジルセリンの存在は、例えば表面ホスファチジルセリンを増加させるための本分野で公知の任意の方法を使用することにより、該無核細胞の半減期を減少させるために増加させることができる(Hamidiら、J. Control. Release、2007年、118巻(
2号):145〜60頁を参照のこと)。外側細胞膜上へのホスファチジルセリン露出は、アポトーシスの特徴であり、取込みを促進する様式で食細胞上の受容体により認識される。一部の実施形態では、前記無核細胞を、個体への送達前に脂質とインキュベートする。一部の実施形態では、前記無核細胞を、該無核細胞の半減期を減少させるためにポリマーと会合させる。
【0069】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記免疫応答は、抗原特異的である。
【0070】
ある特定の態様では、本発明は、個体において免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入し、それによって免疫応答を抑制するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における該抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への免疫応答の抑制を含む。
【0071】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入し、それによって該抗原への免疫応答を抑制するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境において提示される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における該抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記免疫抑制は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への免疫応答の抑制を含む。
【0072】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入し、それによって該抗原への免疫応答を抑制するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境において提示される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における該抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞および第2の無核細胞を、同時に導入する。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞および第2の無核細胞を、逐次的に導入する。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞を、前記第2の無核細胞の導入前に前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞を、前記第2の無核細胞の導入前の約1分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間のいずれかより長い時間、前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記第2の無核細胞を、前記第1の無核細胞の導入前に個体に導入する。一部の実施形態では、前記第2の無核細胞を、前記第1の無核細胞の導入前の約1分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間のいずれかより長い時間、前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記免疫抑制は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への免疫応答の抑制を含む。
【0073】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入するステップとを含み、寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記寛容性は、抗原特異的である。
【0074】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入し、それによって該抗原への寛容性を誘導するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導する。一部の実施形態では、前記寛容性は非特異的であり、複数の抗原への寛容性を含む。
【0075】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該無核細胞を導入し、それによって該抗原への寛容性を誘導するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境において提示される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記寛容性は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記寛容性は非特異的であり、複数の抗原への寛容性を含む。
【0076】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入し、それによって該抗原への寛容性を誘導するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境において提示される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞および第2の無核細胞を、同時に導入する。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞および第2の無核細胞を、逐次的に導入する。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞を、前記第2の無核細胞の導入前に前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記第1の無核細胞を、前記第2の無核細胞の導入前の約1分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間のいずれかより長い時間、前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記第2の無核細胞を、前記第1の無核細胞の導入前に前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記第2の無核細胞を、前記第1の無核細胞の導入前の約1分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間のいずれかより長い時間、前記個体に導入する。一部の実施形態では、前記寛容性は、抗原特異的である。一部の実施形態では、寛容性は非特異的であり、複数の抗原への寛容性を含む。
【0077】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、該抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記寛容性は、抗原特異的である。
【0078】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、該抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記免疫抑制は、抗原特異的である。
【0079】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、寛容原性因子を含み、該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、それによって該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導する。一部の実施形態では、前記寛容性は非特異的であり、複数の抗原への寛容性を含む。
【0080】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、寛容原性因子を含み、該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、それによって該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への免疫応答の抑制を含む。
【0081】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原および寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記寛容性は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記寛容性は非特異的であり、複数の抗原への寛容性を含む。
【0082】
ある特定の態様では、本発明は、個体において抗原への免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原および寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、寛容原性環境を発生させるか、または促進し、該寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記抗原は、寛容原性環境においてプロセシングされる。一部の実施形態では、前記免疫抑制は、抗原特異的である。一部の実施形態では、前記免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への免疫応答の抑制を含む。
【0083】
ある特定の態様では、本発明は、個体に無核細胞を送達するステップを含む、該個体において寛容原性環境に抗原を導入するための方法であって、ここで、該無核細胞が、該抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、方法を提供する。一部の実施形態では、前記抗原は、前記寛容原性環境において提示される。一部の実施形態では、前記抗原は、前記寛容原性環境においてプロセシングされる。
【0084】
ある特定の態様では、本発明は、個体に無核細胞を送達するステップを含む、該個体において寛容原性環境を発生させるための方法であって、ここで、該無核細胞が、寛容原性因子を含み、該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導し、かつ/または該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、前記寛容性および/または免疫抑制は非特異的であり、複数の抗原への寛容性および/または免疫応答の抑制を含む。
【0085】
一部の実施形態では、前記免疫応答は、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%または約100%のいずれかまで抑制される。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、T細胞応答の減少を含む。例えば、T細胞応答の減少には、限定されずに、T細胞活性化もしくは増殖の減少、T細胞生存の減少、または細胞機能性の減少を含めることができる。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞活性化の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞生存の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞増殖の減少を含む。一部の実施形態では、前記T細胞応答の減少は、T細胞機能性の減少を含む。例えば、T細胞機能性の減少には、限定されずに、サイトカイン分泌のモジュレーション、炎症部位へのT細胞移動の減少およびT細胞細胞傷害活性の低下を含めることができる。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、炎症性サイトカインの産生および/もしくは分泌の減少、ならびに/または抗炎症性サイトカインの産生および/もしくは分泌の増加を含む。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、インターロイキン−1(IL−1)、IL−12およびIL−18、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)から選択される1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生および/または分泌の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFN−アルファおよびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)から選択される1つまたは複数の抗炎症性サイトカインの産生および/または分泌の減少を含む。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、T細胞表現型の変化を含む。例えば、前記T細胞の状態は、炎症誘発性表現型から調節性または抗炎症性の表現型に変化することができる。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、T細胞の非共刺激活性化を含み、それは細胞死にその後つながる可能性がある。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、Treg応答の増強を含む。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、B細胞応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記B細胞応答の減少は、抗体産生の減少を含む。
【0086】
一部の実施形態では、抑制される免疫応答および/または誘導される寛容性は、自己免疫応答の減少を含む。例えば、前記自己免疫応答の減少として、I型糖尿病;関節リウマチ;乾癬;多発性硬化症;アルツハイマー病、ALS、ハンチントン病およびパーキンソン病などの免疫構成要素を有し得る神経変性疾患;全身性エリテマトーデス;シェーグレン症候群;クローン病または潰瘍性大腸炎に関連した抗原に対する免疫応答の減少または寛容性の誘導を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答および/または誘導される寛容性は、アレルギー応答の減少を含む。例えば、前記アレルギー応答の減少として、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)または食物アレルギーに関連した抗原に対する免疫応答の減少または寛容性の誘導を挙げることができる。一部の実施形態では、前記抗原は、移植組織に関連した抗原である。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答および/または誘導される寛容性は、前記移植組織に対する免疫応答の減少または寛容性の誘導を含む。一部の実施形態では、前記抗原は、ウイルスに関連する。一部の実施形態では、前記抑制される免疫応答および/または誘導される寛容性は、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少または該ウイルスへの寛容性の誘導を含む。例えば、前記病原性免疫応答は、ある特定のウイルス感染症により発生したサイトカインストームを含み得る。サイトカインストームは、サイトカインと白血球との間の正のフィードバックループからなる潜在的に致死的な免疫反応である。
【0087】
一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答は、治療剤に対する免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記治療剤は凝固因子である。例示的な凝固因子には、限定されずに、第VIII因子および第IX因子が含まれる。一部の実施形態では、前記治療剤は、抗体である。例示的な治療抗体には、限定されずに、抗TNFα、抗VEGF、抗CD3、抗CD20、抗IL−2R、抗Her2、抗RSVF、抗CEA、抗IL−1ベータ、抗CD15、抗ミオシン、抗PSMA、抗40kDa糖タンパク質、抗CD33、抗CD52、抗IgE、抗CD11a、抗EGFR、抗C5、抗アルファ−4インテグリン、抗IL−12/IL−23、抗IL−6Rおよび抗RANKLが含まれる。一部の実施形態では、前記治療剤は、成長因子である。例示的な治療成長因子には、限定されずに、エリスロポイエチン(EPO)ならびに巨核球の分化および成長因子(MDGF)が含まれる。一部の実施形態では、前記治療剤は、ホルモンである。例示的な治療ホルモンには、限定されずに、インスリン、ヒト成長ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンが含まれる。一部の実施形態では、前記治療剤は、組換えサイトカインである。例示的な治療組換えサイトカインには、限定されずに、IFNβ、IFNαおよびGM−CSFが含まれる。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答は、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む。一部の実施形態では、前記治療ビヒクルは、遺伝子療法のために使用されるウイルス、例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、ヘルペスウイルスまたはレトロウイルスである。一部の実施形態では、前記治療ビヒクルは、リポソームである。一部の実施形態では、前記治療ビヒクルは、ナノ粒子である。
【0088】
IV.細胞を変形させる狭窄部を提供するためのマイクロ流体チャネル
一部の実施形態では、本発明は、細胞懸濁液を狭窄部に通すことにより免疫応答を抑制するための方法または寛容性を誘導するための方法であって、抗原または化合物が無核細胞に入るように、マイクロ流体チャネルの中に含有される該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、方法を提供する。一部の実施形態では、複数の狭窄部は、マイクロ流体チャネルの中に並列に、かつ/または直列に置いてもよい。本明細書で開示する方法で使用するための細胞を変形させる狭窄部を含有するマイクロ流体チャネルの例は、WO2013059343に記載されている。本明細書で開示する方法で使用するための孔を有する表面の例は、2015年9月4日出願の米国仮出願第62/214,820号に記載されている。
【0089】
一部の実施形態では、マイクロ流体チャネルは、ルーメンを含み、緩衝液中に懸濁した細胞が通ることができるように構成されており、該マイクロ流体チャネルは、狭窄部を含む。前記マイクロ流体チャネルは、シリコン、金属(例えばステンレススチール)、プラスチック(例えばポリスチレン、PET、PETG)、セラミックス、ガラス、結晶基板、非晶質基板またはポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、PDMS、環状オレフィンコポリマー(COC)など)を含む、いくつかの材料のいずれか1つで作ることができる。マイクロ流体チャネルの製作は、乾式エッチング、湿式エッチング、フォトリソグラフィ、射出成形、レーザー焼灼術またはSU−8マスクを含む、本分野で公知の任意の方法により実行することができる。
【0090】
一部の実施形態では、前記マイクロ流体チャネルの中の前記狭窄部は、入口部分、中心点および出口部分を含む。一部の実施形態では、前記マイクロ流体チャネルの中の前記狭窄部の長さ、深さおよび幅は、変動し得る。一部の実施形態では、前記マイクロ流体チャネルの中の前記狭窄部の直径は、前記細胞または細胞クラスターの直径の関数である。一部の実施形態では、前記マイクロ流体チャネルの中の前記狭窄部の直径は、前記細胞の直径の約10%〜約99%である。一部の実施形態では、前記狭窄部サイズは、前記細胞直径の約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約99%である。一部の実施形態では、前記狭窄部サイズは、前記細胞(例えばRBCなどの無核細胞)の最小断面距離の約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約99%である。一部の実施形態では、前記チャネルは、約0.25μm〜約4μmの狭窄部幅を含む。一部の実施形態では、前記チャネルは、約4μm、約3.5μm、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1μm、約0.5μmまたは約0.25μm(これらの値間の任意の範囲を含む)の幅の狭窄部幅を含む。また、前記チャネル、前記入口部分、前記中心点および前記出口部分の断面は、変動し得る。例えば、前記断面は、形状が円形、楕円形、細長いスリット、正方形、六角形または三角形であってよい。前記入口部分は、狭窄部角を規定し、該狭窄部角は、前記チャネルの目詰まりを低減するように最適化され、前記細胞への化合物の送達の向上のために最適化される。前記出口部分の角度も変動し得る。例えば、前記出口部分の角度は、非層状流動をもたらし得る乱流の可能性を低減するように構成される。一部の実施形態では、前記入口部分および/または前記出口部分の壁は、直線状である。他の実施形態では、前記入口部分および/または前記出口部分の壁は、湾曲している。
【0091】
V.細胞を変形させる狭窄部を提供するための孔を有する表面
一部の実施形態では、本発明は、細胞懸濁液を狭窄部に通すことにより免疫応答を抑制するための方法または寛容性を誘導するための方法であって、抗原化合物が無核細胞に入るように、孔であるかまたは孔の中に含有される該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、方法を提供する。一部の実施形態では、前記孔は、表面に含有される。本明細書で開示する方法で使用するための孔を有する表面の例は、2015年9月4日出願の米国仮出願第62/214,820号に記載されている。
【0092】
本明細書に開示する表面は、いくつかの材料のいずれか1つから作られたものであってよく、またいくつかの形態のいずれか1つを取ることができる。一部の実施形態では、前記表面はフィルターである。一部の実施形態では、前記表面は膜である。一部の実施形態では、前記フィルターはタンジェンシャルフローフィルターである。一部の実施形態では、前記表面はスポンジまたはスポンジ様マトリックスである。一部の実施形態では、前記表面はマトリックスである。
【0093】
一部の実施形態では、前記表面は、曲がりくねった経路の表面である。一部の実施形態では、前記曲がりくねった経路の表面は酢酸セルロースを含む。一部の実施形態では、前記表面は、以下に限定されないが、合成または天然ポリマー、ポリカーボネート、シリコン、ガラス、金属、合金、硝酸セルロース、銀、酢酸セルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレン、PVDF、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)、混合セルロースエステル、磁器、およびセラミックから選択される材料を含む。
【0094】
本明細書に開示する表面は、当技術分野で公知の任意の形状、例えば三次元形状を有することができる。前記表面の二次元形状は、以下に限定されないが、円形、楕円、丸形、四角形、星形、三角形、多角形、五角形、六角形、七角形、または八角形であってよい。一部の実施形態では、前記表面は丸形の形状である。一部の実施形態では、前記表面の三次元形状は、円筒形、円錐形、または立方形である。
【0095】
前記表面は、様々な断面幅および断面厚さを有することができる。一部の実施形態では、前記表面の断面幅は約1mmから約1mの間またはこれらの間の任意の断面幅もしくは断面幅の範囲である。一部の実施形態では、前記表面は、規定された厚さを有する。一部の実施形態では、前記表面の厚さは均一である。一部の実施形態では、前記表面の厚さは可変である。例えば、一部の実施形態では、前記表面の部分は、該表面のその他の部分よりも厚いまたは薄い。一部の実施形態では、前記表面の厚さは、約1%から約90%またはこれらの間の任意のパーセンテージもしくはパーセンテージの範囲で変動する。一部の実施形態では、前記表面は、約0.01μmから約5mmの厚さまたはこれらの間の任意の厚さもしくは厚さの範囲である。
【0096】
一部の実施形態では、前記狭窄部は、孔であるか、または孔の中に含有される。前記孔の断面幅は、処理する細胞の種類に関連する。一部の実施形態では、前記孔サイズは、処理する細胞または細胞クラスター(the cell of cluster of cells)の直径の関数
である。一部の実施形態では、前記孔サイズは、細胞が前記孔を通る際に摂動されるようなサイズである。一部の実施形態では、前記孔サイズは、細胞の直径未満である。一部の実施形態では、前記孔サイズは、前記細胞の直径の約10%〜約99%である。一部の実施形態では、前記孔サイズは、前記細胞直径の約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約99%である。最適な孔サイズまたは孔の断面幅は、適用および/または細胞型に基づいて変動し得る。一部の実施形態では、前記孔サイズは、約0.1μm〜約4μmである。一部の実施形態では、前記孔サイズは、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約0.5μm、約0.25μmまたは約0.1μmである。一部の実施形態では、前記孔の断面幅は、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約0.5μm、約0.25μmもしくは約0.1μmのいずれかであるか、またはそれらのいずれか未満である。前記孔通路の入口および出口は、様々な角度を有し得る。前記孔の角度は、細胞が通る間、該孔の目詰まりを最小限にするように選択してもよい。一部の実施形態では、前記表面を通る流速は、約0.001mL/cm
2/秒〜約100L/cm
2/秒の間またはその間の任意の速度もしくは速度範囲である。例えば、前記入口部分または出口部分の角度は、約0〜約90度の間であり得る。一部の実施形態では、入口または出口部分は、90度より大きくてもよい。一部の実施形態では、前記孔は、同一の入口角度および出口角度を有する。一部の実施形態では、前記孔は、異なる入口角度および出口角度を有する。一部の実施形態では、前記孔の縁部は、平滑、例えば丸形であるまたは湾曲している。平滑な孔の縁部は、出っ張り、隆起、または凹凸の部分を有しない、連続的な、平坦な、かつ凹凸のない表面を有する。一部の実施形態では、前記孔の縁部は、とがっている。とがった孔の縁部は、とがった、または鋭角の薄い縁を有する。一部の実施形態では、前記孔通路は、直線的である。直線的な孔通路は、湾曲、屈曲、角または他の不規則性を有しない。一部の実施形態では、前記孔通路は、湾曲している。湾曲した孔通路は、曲がっているか、または直線からはずれている。一部の実施形態では、前記孔通路は、多数の曲線、例えば約2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くの曲線を有する。
【0097】
前記孔は、二次元または三次元形状などの当技術分野で公知の任意の形状を有することができる。前記孔の形状(例えば、前記断面形状)は、以下に限定されないが、円形、楕円、丸形、四角形、星形、三角形、多角形、五角形、六角形、七角形、および八角形であってもよい。一部の実施形態では、前記孔の断面は丸形の形状である。一部の実施形態では、前記孔の三次元形状は円筒形または円錐形である。一部の実施形態では、前記孔は、溝付きの入口および出口の形状を有する。一部の実施形態では、前記孔の形状は、所与の表面の中の孔の間で均一(すなわち、一貫したまたは規則的)である。一部の実施形態では、前記孔の形状は、所与の表面の中の孔の間で不均一(すなわち、混合的または可変)である。
【0098】
本明細書に記載する表面は、広範な合計の孔数を有することができる。一部の実施形態では、前記孔は、総表面積の約10%から約80%に及ぶ。一部の実施形態では、前記表面は、合計で約1.0×10
5個から約1.0×10
30個の孔またはこれらの間の任意の数または数の範囲を含有する。一部の実施形態では、前記表面は、1mm
2の表面積あたり約10から約1.0×10
15個の孔を含む。
【0099】
前記孔は、所与の表面の中で多数の様式で分布することができる。一部の実施形態では、前記孔は、所与の表面の中で並列に分布する。一つのそのような例では、前記孔は、同一方向に並んで分布し、かつ所与の表面の中で同じ距離だけ離れている。一部の実施形態では、前記孔の分布は、規則正しいまたは均一である。一つのそのような例では、前記孔は、規則的な系統的パターンで分布しており、または所与の表面の中で同じ距離だけ離れている。一部の実施形態では、前記孔の分布は、ランダムまたは不均一である。一つのそのような例では、前記孔は、不規則で無秩序なパターンで分布しており、または所与の表面の中で異なる距離だけ離れている。一部の実施形態では、複数の表面が、列をなして分布する。前記複数の表面は、表面サイズ、形状、および/または粗さについて均一または不均一であってよい。前記複数の表面は、均一または不均一な孔径、形状、および/または数の孔をさらに含有し、それによって異なる細胞型への一連の化合物の同時の送達を可能とすることができる。
【0100】
一部の実施形態では、個々の孔は、一様な幅寸法(すなわち、該孔の通路の長さに沿って一定の幅)を有する。一部の実施形態では、個々の孔は、可変の幅(すなわち、該孔の通路の長さに沿って増加または減少する幅)を有する。一部の実施形態では、所与の表面の中の孔は、同じ個々の孔の深さを有する。一部の実施形態では、所与の表面の中の孔は、異なる個々の孔の深さを有する。一部の実施形態では、前記孔は、互いにすぐ隣にある。一部の実施形態では、前記孔は、ある距離だけ互いに離れている。一部の実施形態では、前記孔は、約0.001μmから約30mmの距離またはこれらの間の任意の距離もしくは距離の範囲だけ互いに離れている。
【0101】
一部の実施形態では、前記表面は材料でコーティングされている。前記材料は、以下に限定されないが、Teflon、粘着剤コーティング、界面活性剤、タンパク質、接着分子、抗体、抗凝固剤、細胞機能をモジュレートする因子、核酸、脂肪、炭水化物、または膜貫通タンパク質などの当技術分野で公知の任意の材料から選択することができる。一部の実施形態では、前記表面はポリビニルピロリドンでコーティングされている。一部の実施形態では、前記材料は前記表面に共有結合的に付着している。一部の実施形態では、前記材料は前記表面に非共有結合的に付着している。一部の実施形態では、前記表面分子は、前記細胞が前記孔を通過する際に放出される。
【0102】
一部の実施形態では、前記表面は、改質された化学的特性を有する。一部の実施形態では、前記表面は親水性である。一部の実施形態では、前記表面は疎水性である。一部の実施形態では、前記表面は帯電している。一部の実施形態では、前記表面は正および/または負に帯電している。一部の実施形態では、前記表面は、一部の領域で正に帯電し、かつその他の領域で負に帯電していてもよい。一部の実施形態では、前記表面は、全体として正または全体として負の電荷を有する。一部の実施形態では、前記表面は、平滑であるか、電解研磨されているか、粗いか、またはプラズマ処理されているかのいずれか1つであってもよい。一部の実施形態では、前記表面は、両性イオンまたは二極性化合物を含む。一部の実施形態では、前記表面はプラズマ処理されている。
【0103】
一部の実施形態では、前記表面は、より大きなモジュールの中に含有される。一部の実施形態では、前記表面は、プラスチックまたはガラスシリンジなどのシリンジの中に含有される。一部の実施形態では、前記表面は、プラスチックフィルターホルダーの中に含有される。一部の実施形態では、前記表面は、ピペットチップの中に含有される。
【0104】
VI.細胞摂動
一部の実施形態では、本発明は、細胞懸濁液を狭窄部に通すことにより免疫応答を抑制するための方法または寛容性を誘導するための方法であって、抗原または化合物が無核細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該細胞における該摂動が、該細胞外からの材料が該細胞内に移動することを可能にする該細胞における割れ目(例えば穴、裂孔、腔、開口部、孔、裂け目、間隙、穿孔)である、方法を提供する。前記変形は、例えば機械的歪みおよび/または剪断力により誘導される圧力により引き起こすことができる。一部の実施形態では、前記摂動は、前記細胞膜内の摂動である。一部の実施形態では、前記摂動は、一過性である。一部の実施形態では、前記細胞摂動は、約1.0×10
−9秒〜約2時間またはその間の任意の時間もしくは時間範囲、続く。一部の実施形態では、前記細胞摂動は、約1.0×10
−9秒〜約1秒、約1秒〜約1分または約1分〜約1時間の間続く。一部の実施形態では、前記細胞摂動は、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−1、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−2、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−3、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−4、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−5、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−6、約1.0×10
−9〜約1.0×10
−7または約1.0×10
−9〜約1.0×10
−8秒のいずれか1つの間続く。一部の実施形態では、前記細胞摂動は、約1.0×10
−8〜約1.0×10
−1、約1.0×10
−7〜約1.0×10
−1、約1.0×10
−6〜約1.0×10
−1、約1.0×10
−5〜約1.0×10
−1、約1.0×10
−4〜約1.0×10
−1、約1.0×10
−3〜約1.0×10
−1または約1.0×10
−2〜約1.0×10
−1秒のいずれか1つの間続く。本明細書で記載する方法により作り出された細胞摂動(例えば孔または穴)は、補体または細菌ヘモリシンにより作り出されるものなど多量体孔構造を形成するタンパク質サブユニットの集合の結果として形成されない。
【0105】
前記細胞が前記狭窄部を通過する際に該狭窄部は該細胞膜に一時的に損傷を与え、それが前記摂動を通じて材料の受動拡散を引き起こす。一部の実施形態では、細胞のシグナル伝達機構を通じてアポトーシス経路を活性化する可能性を最小化するために、前記細胞は100μsのオーダーの短期間のみ変形するが、その他の継続期間も可能である(例えば、数ナノ秒から数時間かに及ぶ)。一部の実施形態では、前記細胞は、約1.0×10
−9秒から約2時間またはこれらの間の任意の時間もしくは時間の範囲にわたって変形する。一部の実施形態では、前記細胞は、約1.0×10
−9秒から約1秒、約1秒から約1分、または約1分から約1時間にわたって変形する。一部の実施形態では、前記細胞は、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−1秒、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−2秒、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−3秒、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−4秒、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−5秒、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−6秒、約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−7秒、または約1.0×10
−9秒から約1.0×10
−8秒のいずれか1つの間にわたって変形する。一部の実施形態では、前記細胞は、約1.0×10
−8秒から約1.0×10
−1秒、約1.0×10
−7秒から約1.0×10
−1秒、約1.0×10
−6秒から約1.0×10
−1秒、約1.0×10
−5秒から約1.0×10
−1秒、約1.0×10
−4秒から約1.0×10
−1秒、約1.0×10
−3秒から約1.0×10
−1秒、または約1.0×10
−2秒から約1.0×10
−1秒のいずれか1つにわたって変形する。一部の実施形態では、前記細胞を変形させることは、以下に限定されないが、約1μsから少なくとも約750μsに及ぶ時間、例えば、少なくとも約1μs、10μs、50μs、100μs、500μs、または750μsにわたって該細胞を変形させることを含む。
【0106】
一部の実施形態では、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞による前記狭窄部の通過および/または該細胞の摂動と同時に起こる。一部の実施形態では、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞が前記狭窄部を通過した後に起こる。一部の実施形態では、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞が前記狭窄部を通過してから分のオーダーで起こる。一部の実施形態では、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−2秒から少なくとも約30分後に起こる。例えば、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−2秒から約1秒後、約1秒から約1分後、または約1分から約30分後に起こる。一部の実施形態では、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−2秒から約10分後、約1.0×10
−2秒から約5分後、約1.0×10
−2秒から約1分後、約1.0×10
−2秒から約50秒後、約1.0×10
−2秒から約10秒後、約1.0×10
−2秒から約1秒後、または約1.0×10
−2秒から約0.1秒後に起こる。一部の実施形態では、前記細胞への前記化合物の通過は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−1秒から約10分後、約1秒から約10分後、約10秒から約10分後、約50秒から約10分後、約1分から約10分後、または約5分から約10分後に起こる。一部の実施形態では、前記細胞が前記狭窄部を通過した後の該細胞の摂動は、該細胞が該狭窄部を通過してから約5分のオーダー以内に矯正される。
【0107】
一部の実施形態では、前記狭窄部を通過した後の前記細胞生存率は、約5%から約100%である。一部の実施形態では、前記狭窄部を通過した後の前記細胞生存率は、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である。一部の実施形態では、前記細胞生存率は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−2秒から少なくとも約10日後に測定される。例えば、前記細胞生存率は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−2秒から約1秒後、約1秒から約1分後、約1分から約30分後、または約30分から約2時間後に測定される。一部の実施形態では、前記細胞生存率は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.0×10
−2秒から約2時間後、約1.0×10
−2秒から約1時間後、約1.0×10
−2秒から約30分後、約1.0×10
−2秒から約1分後、約1.0×10
−2秒から約30秒後、約1.0×10
−2秒から約1秒後、または約1.0×10
−2秒から約0.1秒後に測定される。一部の実施形態では、前記細胞生存率は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約1.5時間から約2時間後、約1時間から約2時間後、約30分から約2時間後、約15分から約2時間後、約1分から約2時間後、約30秒から約2時間後、または約1秒から約2時間後に測定される。一部の実施形態では、前記細胞生存率は、該細胞が前記狭窄部を通過してから約2時間から約5時間後、約5時間から約12時間後、約12時間から約24時間後、または約24時間から約10日後に測定される。
【0108】
VII.送達のパラメーター
本明細書に記載する方法によって免疫応答を抑制するまたは寛容性を誘導するための細胞への化合物の送達にはいくつかのパラメーターが影響し得る。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、前記狭窄部を通る前に、それと同時にまたはその後に前記化合物と接触させられる。前記細胞は、送達するための前記化合物を含む溶液中に懸濁されて前記狭窄部を通過してもよいが、該細胞が該狭窄部を通過した後に該化合物を前記細胞懸濁液に加えてもよい。一部の実施形態では、送達される前記化合物は前記狭窄部上でコーティングされる。
【0109】
前記細胞への前記化合物の送達に影響し得るパラメータの例として、前記狭窄部の寸法、該狭窄部の入口角度、該狭窄部の表面特性(例えば粗さ、化学修飾、親水性、疎水性など)、作動流速(operating flow speed)(例えば該狭窄部を通る細胞の通過時間)、該細胞濃度、該細胞懸濁液中の該化合物の濃度が挙げられるが、これらに限定されず、該細胞が該狭窄部を通った後に回復するか、またはインキュベートする時間の量は、該細胞に送達される化合物の通過に影響し得る。前記細胞への前記化合物の送達に影響する追加のパラメータは、前記狭窄部中の該細胞の速度、該狭窄部中の剪断率、前記細胞懸濁液の粘度、流速に垂直な速度構成要素および該狭窄部中の時間を含み得る。かかるパラメータは、前記化合物の送達を制御するように設計され得る。一部の実施形態では、前記細胞濃度は、約10〜少なくとも約10
12個の細胞/mlまたはその間の任意の濃度もしくは濃度範囲に及ぶ。一部の実施形態では、送達化合物濃度は、約10ng/ml〜約1g/mLまたはその間の任意の濃度もしくは濃度範囲に及び得る。一部の実施形態では、送達化合物濃度は、約1pM〜少なくとも約2Mまたはその間の任意の濃度もしくは濃度範囲に及び得る。前記細胞懸濁液の組成(例えば容量オスモル濃度、塩濃度、血清含有量、細胞濃度、pHなど)は、免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための前記化合物の送達に影響し得る。一部の実施形態では、前記水溶液は、等浸透圧または等張である。
【0110】
本開示の方法に使用される温度を調整して、化合物の送達および細胞生存率に影響を及ぼすことができる。一部の実施形態では、本方法は、約−5℃から約45℃の間で実行される。例えば、本方法は、室温(例えば、約20℃)、生理的温度(例えば、約37℃)、生理的温度より高い温度(例えば、約37℃より高い温度から45℃またはさらに高い温度)、または低下させた温度(例えば、約−5℃から約4℃)、あるいはこれらの例示的な温度の間の温度で実行することができる。
【0111】
様々な方法を利用して、前記細胞が前記狭窄部を通るのを推進することができる。例えば、前記入口側にポンプによって圧力を加えてもよく(例えば、ガスシリンダーまたはコンプレッサー)、前記出口側に真空ポンプによって真空を適用してもよく、チューブを通じて毛管作用を適用してもよく、かつ/または前記系は重力供給してもよい。排出ベースのフローシステム(displacement based flow system)を使用することもできる(例
えば、シリンジポンプ、蠕動運動ポンプ、手動のシリンジまたはピペット、ピストンなど)。一部の実施形態では、前記細胞は、陽圧または陰圧によって前記狭窄部に通される。一部の実施形態では、前記細胞は、一定圧力または可変圧力によって前記狭窄部に通される。一部の実施形態では、シリンジを使用して圧力を加える。一部の実施形態では、ポンプを使用して圧力を加える。一部の実施形態では、前記ポンプは蠕動運動ポンプまたはダイアフラムポンプである。一部の実施形態では、真空を使用して圧力を加える。一部の実施形態では、前記細胞は重力によって前記狭窄部に通される。一部の実施形態では、前記細胞は遠心力によって前記狭窄部に通される。一部の実施形態では、前記細胞は毛管圧力によって前記狭窄部に通される。
【0112】
一部の実施形態では、流体流れは、前記細胞を、前記狭窄部を通るように方向付ける。一部の実施形態では、前記流体流れは、前記細胞が前記狭窄部を通過する前に乱流である。乱流は、所与の点における速度の大きさおよび方向が不規則に変動する流体流れである。一部の実施形態では、前記狭窄部を通る流体流れは、層流である。層流は、あらゆる点での流れの方向が一定のままである固体境界近くの流体の連続した流れを伴う。一部の実施形態では、前記流体流れは、前記細胞が前記狭窄部を通過した後に乱流である。前記細胞が前記狭窄部を通過する速度は可変であってよい。一部の実施形態では、前記細胞は、一様な細胞速度で前記狭窄部を通過する。一部の実施形態では、前記細胞は、変動する細胞速度で前記狭窄部を通過する。
【0113】
他の実施形態では、組合せ処理、例えば本明細書で記載する方法および続く狭窄部の下流の電場への曝露は、細胞懸濁液を該狭窄部に通すことであって、抗原または化合物が無核細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ことにより免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するために使用される。一部の実施形態では、前記細胞は、前記狭窄部を通った後に少なくとも1つの電極により発生した電場を通る。一部の実施形態では、前記電場は、前記細胞内の第2の位置への化合物の送達を補助する。例えば、細胞を変形させる狭窄部と電場との組合せは、抗体をコードするプラスミドを前記細胞へ送達し、抗体のデノボ産生をもたらす。一部の実施形態では、1つまたは複数の電極は、細胞を変形させる狭窄部に近位であり、電場を発生させる。一部の実施形態では、前記電場は、約0.1kV/m〜約100MV/mの間またはその間の任意の数もしくは数の範囲である。一部の実施形態では、集積回路を、前記電極を駆動する電気シグナルを提供するために使用する。一部の実施形態では、前記細胞は、約1ns〜約1sの間のパルス幅および約100ns〜約10sの間の期間またはそれらの間の任意の時間もしくは時間範囲にわたって、前記電場に曝露される。
【0114】
VIII.無核細胞への送達のための細胞懸濁液
前記細胞懸濁液は、混合された、または精製された細胞集団であってもよい。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、混合された細胞集団、例えば全血である。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、精製された細胞集団、例えば精製された無核細胞の集団である。
【0115】
前記細胞懸濁液の組成(例えば容量オスモル濃度、塩濃度、血清含有量、細胞濃度、pHなど)は、免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための前記化合物の送達に影響し得る。一部の実施形態では、前記懸濁液は、全血を含む。あるいは、前記細胞懸濁液は、生理食塩溶液または血液以外の生理学的媒体中の細胞の混合物である。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、水溶液を含む。一部の実施形態では、前記水溶液は、細胞培養培地、PBS、塩、糖、成長因子、動物由来生成物、増量剤(bulking material
)、界面活性剤、潤滑剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、細胞周期インヒビターおよび/またはアクチン重合に影響する剤を含む。一部の実施形態では、前記細胞培養培地は、DMEM、Opti−MEM(商標)、IMDMまたはRPMIである。加えて、溶液緩衝液は、例えば前記表面の目詰まりを低減または除去し、細胞生存性を改善するように設計され得る1つまたは複数の潤滑剤(プルロニックまたは他の界面活性剤)を含んでもよい。界面活性剤の例として、ポロキサマー、ポリソルベート、糖または糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、動物由来血清およびアルブミンタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記水溶液は、等浸透圧または等張である。一部の実施形態では、前記水溶液は、血漿を含む。
【0116】
ある特定の種類の細胞を伴う一部の構成では、該細胞は、該細胞内への前記化合物の送達を補助する1つまたは複数の溶液中でインキュベートされてもよい。一部の実施形態では、前記水溶液は、アクチン重合に影響を及ぼす剤を含む。一部の実施形態では、アクチン重合に影響を及ぼす剤は、ラトランクリンA、サイトカラシン、および/またはコルヒチンである。例えば、送達前に前記細胞をラトランクリンA(Lantrunculin A)(0.
1μg/ml)などの解重合溶液中で1時間インキュベートして、アクチン細胞骨格を解重合させることができる。追加の例として、送達前に前記細胞を10μMコルヒチン(Sigma)中で2時間インキュベートして、微小管ネットワークを解重合させることができる。
【0117】
一部の実施形態では、前記細胞集団は、開示する方法において使用する前に富化される。例えば、細胞を体液(例えば、末梢血)から得、それを必要に応じて富化または精製してB細胞を濃縮する。細胞は、以下に限定されないが、磁気細胞分離、蛍光活性化細胞選別(FACS)、または密度勾配遠心分離などの当技術分野で公知の任意の方法によって富化することができる。
【0118】
前記細胞懸濁液の粘度もまた、本明細書に開示する方法に影響し得る。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液の粘度は、約8.9×10
−4Pa.sから約4.0×10
−3Pa.sまたはこれらの間の任意の値または値の範囲に及ぶ。一部の実施形態では、前記粘度は、約8.9×10
−4Pa.sから約4.0×10
−3Pa.sの間、約8.9×10
−4Pa.sから約3.0×10
−3Pa.sの間、約8.9×10
−4Pa.sから約2.0×10
−3Pa.sの間、または約8.9×10
−3Pa.sから約1.0×10
−3Pa.sの間のいずれか1つに及ぶ。一部の実施形態では、前記粘度は、約0.89cPから約4.0cPの間、約0.89cPから約3.0cPの間、約0.89cPから約2.0cPの間、または約0.89cPから約1.0cPの間のいずれか1つに及ぶ。一部の実施形態では、ずり流動化効果が観察され、前記細胞懸濁液の粘度はせん断歪みの条件下で減少する。粘度は、以下に限定されないが、ガラスキャピラリー粘度計などの粘度計またはレオメーターなどの当技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。粘度計は1つの流れ状態下での粘度を測定するが、レオメーターは流れ状態が変化する粘度を測定するために使用される。一部の実施形態では、前記粘度は、血液などのずり流動化溶液について測定される。一部の実施形態では、前記粘度は、約−5℃から約45℃の間で測定される。例えば、前記粘度は、室温(例えば、約20℃)、生理的温度(例えば、約37℃)、生理的温度より高い温度(例えば、約37℃より高い温度から45℃またはさらに高い温度)、または低下させた温度(例えば、約−5℃から約4℃)、あるいはこれらの例示的な温度の間の温度で測定される。
【0119】
IX.免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための抗原および寛容原性因子
一部の実施形態では、本発明は、免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための抗原の送達を提供し、ここで、該抗原が、本明細書で記載する方法のいずれかにより前記細胞に送達される。一部の実施形態では、前記抗原は、単一抗原である。一部の実施形態では、前記抗原は、抗原の混合物である。抗原は、特異的免疫応答、例えば細胞または抗体媒介免疫応答を刺激する物質である。抗原は、特定の抗原に特異的な、免疫細胞が発現する受容体、例えばT細胞受容体(TCR)に結合する。抗原と受容体の結合は続いて、細胞内シグナル伝達経路を誘発し、これは下流の免疫エフェクター経路、例えば細胞活性化、サイトカイン産生、細胞遊走、細胞毒性因子分泌、細胞アポトーシスおよび抗体産生をもたらす。
【0120】
一部の実施形態では、前記抗原は、タンパク質またはポリペプチド抗原である。一部の実施形態では、前記化合物は、疾患関連抗原を含む。一部の実施形態では、前記抗原は、外来源、例えば細菌、真菌、ウイルスまたはアレルゲンに由来する。一部の実施形態では、前記抗原は、内部源、例えば自己タンパク質(すなわち自己抗原)に由来する。一部の実施形態では、前記抗原は、細胞溶解物中にある。自己抗原は、生物自体の細胞上、または細胞内に存在する抗原である。自己抗原は通常、免疫応答を刺激しないが、自己免疫疾患の状況、例えばI型糖尿病または関節リウマチでは刺激し得る。一部の実施形態では、前記抗原は、治療剤である。一部の実施形態では、前記抗原は、治療用ポリペプチドまたは治療用ポリペプチドの断片である。一部の実施形態では、前記治療剤は、炭水化物にコンジュゲートしている。一部の実施形態では、前記治療剤は、凝固因子である。凝固因子の例として、第VIII因子および第IX因子が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、前記抗原は、血友病の処置で使用される第VIII因子タンパク質であってよい。一部の実施形態では、前記治療剤は、抗体である。治療用抗体の例として、抗TNFα、抗VEGF、抗CD3、抗CD20、抗IL−2R、抗Her2、抗RSVF、抗CEA、抗IL−1ベータ、抗CD15、抗ミオシン、抗PSMA、抗40kDa糖タンパク質、抗CD33、抗CD52、抗IgE、抗CD11a、抗EGFR、抗C5、抗アルファ−4インテグリン、抗IL−12/IL−23、抗IL−6Rおよび抗RANKLが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記治療剤は、成長因子である。治療用成長因子の例として、エリスロポエチン(EPO)および巨核球分化成長因子(MDGF)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記治療剤は、ホルモンである。治療用ホルモンの例として、インスリン、ヒト成長ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記治療剤は、組換えサイトカインである。治療用組換えサイトカインの例として、IFNβ、IFNαおよびGM−CSFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
一部の実施形態では、前記抗原は、同種移植抗原である。同種移植は、同じ種の遺伝的に非同一のドナーからレシピエントへの細胞、組織または器官の移入である。一部の実施形態では、前記抗原は、修飾抗原である。例えば、抗原は、治療剤またはターゲティングペプチドと融合してもよい。一部の実施形態では、前記修飾抗原は、ポリペプチドと融合している。一部の実施形態では、前記修飾抗原は、脂質と融合している。一部の実施形態では、前記抗原は、炭水化物と融合している。一部の実施形態では、前記抗原は、非タンパク質抗原、例えば脂質、糖脂質または多糖である。一部の実施形態では、前記抗原は、微生物全体、例えばインタクトな細菌である。
【0122】
一部の実施形態では、前記抗原はウイルスに関連する。一部の実施形態では、前記抗原はウイルス抗原である。例示的なウイルス抗原としては、SARS−CoV抗原およびインフルエンザ抗原が挙げられる。一部の実施形態では、前記化合物は、未知の病原体に感染した組織からの細胞溶解物を含む。一部の実施形態では、前記抗原は治療ビヒクルである。一部の実施形態では、前記治療ビヒクルは、遺伝子療法のために使用されるアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、ヘルペスウイルス、またはレトロウイルスなどのウイルスである。一部の実施形態では、前記治療ビヒクルはリポソームである。一部の実施形態では、治療ビヒクルはナノ粒子である。
【0123】
一部の実施形態では、前記抗原は微生物(例えば、細菌)に関連する。一部の実施形態では、前記抑制された免疫応答および/または誘導された寛容性は、減少した病原性免疫応答または前記微生物(例えば、細菌)への誘導された寛容性を含む。一部の実施形態では、前記微生物は、前記個体のマイクロバイオームの部分である。一部の実施形態では、前記微生物は、前記個体のマイクロバイオームに利益を与え得る。
【0124】
ある特定の態様では、本発明は、無核細胞に抗原を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該抗原が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該抗原と接触する、方法を提供する。一部の実施形態では、寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、寛容原性環境における前記抗原の提示は、該抗原への寛容性を誘導する。一部の実施形態では、前記抗原は、in vitroで、ex vivoで、またはin vivoで前記無核細胞に送達される。
【0125】
一部の実施形態では、本発明は、免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための寛容原性因子の送達を提供し、ここで、該寛容原性因子が、本明細書で記載する方法のいずれかにより前記細胞に送達される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、抗原への免疫応答の抑制を向上させ、かつ/または抗原への寛容性の誘導を向上させる。例えば、前記寛容原性因子は、抗原提示細胞による前記抗原の寛容原性提示を促進し得る。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記抗原と同時に導入される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子および抗原は、逐次的に導入される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFNαまたはTGFβである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ポリペプチドである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ポリペプチドの断片である。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、炭水化物にコンジュゲートしている。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、核酸である。一部の実施形態では、前記核酸として、mRNA、DNA、miRNAまたはsiRNAを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、前記寛容原性因子は、炎症性遺伝子の発現をノックダウンするためのsiRNAを含み得る。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、NFκBに結合し、NFκB活性化および下流のシグナル伝達を防ぐDNA配列である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、小分子である。
【0126】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、免疫調節因子(例えば、免疫賦活因子(例えば、共刺激分子)、免疫抑制因子、または炎症性もしくは抗炎症性分子など)の発現および/または活性をモジュレートする。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、免疫賦活因子(例えば、共刺激分子)の発現および/または活性を阻害し、免疫抑制分子の発現および/または活性を増強し、炎症性分子の発現および/または活性を阻害し、かつ/または抗炎症性分子の発現および/または活性を増強する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、共刺激分子の活性を阻害する。共刺激分子とそれらのリガンドとの間の相互作用は、TCRシグナル伝達を維持および統合して、最適なT細胞の増殖および分化を刺激するために重要である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、共刺激分子の発現を減少させる。抗原提示細胞上で発現される例示的な共刺激分子としては、以下に限定されないが、CD40、CD80、CD86、CD54、CD83、CD79、またはICOSリガンドが挙げられる。一部の実施形態では、前記共刺激分子はCD80またはCD86である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共刺激分子を発現するまたはその発現をモジュレートする核酸の発現を阻害する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共刺激分子を発現するまたはその発現をモジュレートする核酸を欠失させる。一部の実施形態では、前記共刺激分子を発現するまたはその発現をモジュレートする前記核酸の欠失は、遺伝子編集を通じて達成される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は前記共刺激分子を阻害する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共刺激分子を阻害するsiRNAである。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共刺激分子の発現を抑制する転写レギュレーターの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、共刺激分子の発現を抑制するタンパク質インヒビターの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共刺激分子のサプレッサーをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は前記共刺激分子を分解させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、破壊のために前記共刺激分子を標識する。例えば、寛容原性因子は、前記共刺激分子のユビキチン化を増強し、それによってそれを破壊の標的にし得る。
【0127】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、免疫抑制分子の発現および/または活性を増強する。一部の実施形態では、前記免疫抑制分子は、共阻害分子、転写レギュレーター、または免疫抑制分子である。共阻害分子は、リンパ球の活性化を負に調節する。例示的な共阻害分子としては、以下に限定されないが、PD−L1、PD−L2、HVEM、B7−H3、TRAIL、免疫グロブリン様転写物(ILT)受容体(ILT2、ILT3、ILT4)、FasL、CTLA4、CD39、CD73、およびB7−H4が挙げられる。一部の実施形態では、前記共阻害分子はPD−L1またはPD−L2である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共阻害分子の活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、共阻害分子の発現を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は前記共阻害分子をコードする。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共阻害分子の活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共阻害分子の発現を増強する転写レギュレーターの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共阻害分子の発現を増加させるポリペプチドの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記共阻害分子のエンハンサーをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、共阻害分子のインヒビターを阻害する。
【0128】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、免疫抑制分子の発現および/または活性を増加させる。例示的な免疫抑制分子としては、以下に限定されないが、アルギナーゼ−1(ARG1)、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)、プロスタグランジンE2(PGE2)、誘導型一酸化窒素シンターゼ(iNOS)、一酸化窒素(NO)、一酸化窒素シンターゼ2(NOS2)、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、肝細胞成長因子(HGF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)、IFNα、IL−4、IL−10、IL−13、およびIL−35が挙げられる。一部の実施形態では、前記免疫抑制分子はNOまたはIDOである。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記免疫抑制分子をコードする。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記免疫抑制分子の活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記免疫抑制分子の発現を増強する転写レギュレーターの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記免疫抑制分子の発現を増強するポリペプチドの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記免疫抑制分子のエンハンサーをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、免疫抑制分子の負の調節因子を阻害する。
【0129】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、炎症性分子の発現および/または活性を阻害する。一部の実施形態では、前記炎症性分子は炎症性転写因子である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は前記炎症性転写因子を阻害する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、炎症性転写因子の発現を減少させる。一部の実施形態では、前記炎症性転写因子は、NF−κB、インターフェロン調節因子(IRF)、またはJAK−STATシグナル伝達経路に関連した分子である。前記NF−κB経路は、サイトカイン、ケモカイン、および接着分子などの炎症誘発性遺伝子の発現を媒介する原型的な炎症誘発性シグナル伝達経路である。インターフェロン調節因子(IRF)は、炎症誘発性遺伝子の発現を調節できる転写因子のファミリーを構成する。前記JAK−STATシグナル伝達経路は、細胞外サイトカインシグナルからの情報を核に伝達し、免疫細胞の増殖および分化に関与する遺伝子のDNA転写および発現を生じさせる。JAK−STAT系は、細胞表面受容体、ヤヌスキナーゼ(JAK)、およびシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)タンパク質からなる。例示的なJAK−STAT分子としては、以下に限定されないが、JAK1、JAK2、JAK3、Tyk2、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5(STAT5AおよびSTAT5B)、およびSTAT6が挙げられる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、サイトカインシグナル伝達のサプレッサー(SOCS)タンパク質の発現を増強する。SOCSタンパク質は、前記JAK−STAT経路を通じたシグナル伝達を阻害し得る。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記炎症性転写因子をコードする核酸の発現を阻害する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記炎症性転写因子をコードする核酸を欠失させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記炎症性転写因子の発現を抑制する転写レギュレーターの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記炎症性転写因子の発現を抑制するタンパク質インヒビターの活性を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記炎症性転写因子のサプレッサーをコードする核酸を含む。
【0130】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、抗炎症性分子の発現および/または活性を増強する。一部の実施形態では、前記抗炎症性分子は抗炎症性転写因子である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は前記抗炎症性転写因子を増強する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、抗炎症性転写因子の発現を増加させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記抗炎症性転写因子をコードする核酸の発現を増強する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記抗炎症性転写因子の発現を抑制する転写レギュレーターの活性を減少させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記抗炎症性転写因子の発現を抑制するタンパク質インヒビターの活性を減少させる。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、前記抗炎症性転写因子のエンハンサーをコードする核酸を含む。
【0131】
ある特定の態様では、本発明は、無核細胞に寛容原性因子を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該寛容原性因子と接触する、方法を提供する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、in vitroで、ex vivoで、またはin vivoで前記無核細胞に送達される。
【0132】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は核酸を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は核酸である。例示的な核酸としては、以下に限定されないが、組換え核酸、DNA、組換えDNA、cDNA、ゲノムDNA、RNA、siRNA、mRNA、saRNA、miRNA、lncRNA、tRNA、ガイドRNA、およびshRNAが挙げられる。一部の実施形態では、前記核酸は、前記細胞中の核酸と同種である。一部の実施形態では、前記核酸は、前記細胞中の核酸とは異種である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子はプラスミドである。一部の実施形態では、前記核酸は治療用核酸である。一部の実施形態では、前記核酸は治療用ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、siRNA、mRNA、miRNA、lncRNA、tRNA、またはshRNAをコードする核酸を含む。例えば、寛容原性因子は、炎症性遺伝子の発現をノックダウンするためのsiRNAを含み得る。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、NFκBに結合し、NFκBの活性化および下流のシグナル伝達を防止するDNA配列である。
【0133】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、前記タンパク質またはポリペプチドは、治療用タンパク質、抗体、融合タンパク質、抗原、合成タンパク質、レポーターマーカーまたは選択可能マーカーである。一部の実施形態では、前記タンパク質は、遺伝子編集タンパク質またはヌクレアーゼ、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CREリコンビナーゼ、トランスポサーゼ、RNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えばCAS9酵素)、DNAガイドエンドヌクレアーゼまたはインテグラーゼ酵素である。一部の実施形態では、前記融合タンパク質として、キメラタンパク質薬物、例えば抗体薬物コンジュゲートまたは組換え融合タンパク質、例えばGSTもしくはストレプトアビジンでタグ付けしたタンパク質を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記化合物は、転写因子である。転写因子の例として、Oct5、Sox2、c−Myc、Klf−4、T−bet、GATA3、FoxP3およびRORγtが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFNαまたはTGFβである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ポリペプチドである。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、治療用ポリペプチドの断片である。一部の実施形態では、前記ポリペプチドは、ペプチド核酸(PNA)である。
【0134】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子はタンパク質核酸複合体を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子はタンパク質核酸複合体である。一部の実施形態では、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)(CRISPR)−Cas9などのタンパク質核酸複合体は、ゲノム編集での応用において使用される。これらの複合体は、非特異的DNA切断ヌクレアーゼと組み合わせて配列特異的DNA結合ドメインを含有する。これらの複合体は、特定の遺伝子の配列の付加、破壊、または変更などの標的ゲノム編集を可能とする。一部の実施形態では、標的遺伝子の転写をブロックまたは誘導するために、無能力化されたCRISPRが使用される。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、Cas9タンパク質およびガイドRNAまたはドナーDNAを含有する。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、Cas9タンパク質をコードする核酸およびガイドRNAまたはドナーDNAを含む。一部の実施形態では、前記遺伝子編集複合体は、共刺激分子(例えば、CD80および/またはCD86)の発現を標的にする。
【0135】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子はキメラ抗原受容体(CAR)を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子はキメラ抗原受容体(CAR)である。一部の実施形態では、前記CARは、細胞外認識ドメイン(例えば、抗原結合ドメイン)、膜貫通ドメイン、および1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインの融合物である。抗原が結合すると、CARの細胞内シグナル伝達部分は、免疫細胞内での免疫抑制または寛容原性に関連した応答を開始することができる。一部の実施形態では、前記CARはキメラT細胞抗原受容体である。一部の実施形態では、前記CARの抗原結合ドメインは一本鎖抗体可変断片(scFv)である。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、抗原に結合すると免疫抑制サイトカインの産生を誘発する細胞質シグナル伝達ドメインを含有する改変されたTCRをコードする。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、抗原に結合すると免疫抑制サイトカインの産生を誘発する細胞質シグナル伝達ドメインを含有するキメラ抗原受容体をコードする。
【0136】
一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、小分子を含む。一部の実施形態では、前記寛容原性因子は、小分子である。一部の実施形態では、前記小分子は、共刺激分子の活性を阻害し、共阻害分子の活性を増強し、かつ/または炎症性分子の活性を阻害する。小分子の例として、医薬品、代謝産物または放射性核種が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記医薬品は、治療用薬物および/または細胞毒性剤である。一部の実施形態では、前記化合物は、ナノ粒子を含む。ナノ粒子の例として、金ナノ粒子、量子ドット、カーボンナノチューブ、ナノシェル、デンドリマーおよびリポソームが挙げられる。一部の実施形態では、前記ナノ粒子は、治療用分子を含有するか、または治療用分子に(共有または非共有で)連結されている。一部の実施形態では、前記ナノ粒子は、核酸、例えばmRNAまたはcDNAを含有する。
【0137】
一部の実施形態では、送達される前記化合物は精製されている。一部の実施形態では、前記化合物は、少なくとも約60重量%(乾燥重量)の目的の化合物である。一部の実施形態では、前記精製された化合物は、少なくとも約75%、90%、または99%の目的の化合物である。一部の実施形態では、前記精製された化合物は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、または100%(w/w)の目的の化合物である。純度は、以下に限定されないが、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLC分析、NMR、質量分析、またはSDS−PAGEなどの任意の公知の方法によって決定される。精製されたDNAまたはRNAは、外因性の核酸、炭水化物、および脂肪を含まないDNAまたはRNAとして定義される。
【0138】
一部の実施形態では、前記化合物は中間体化合物である。前記中間体化合物は、先行する中間体から形成され、さらに反応して最終反応生成物を与える分子的実体であり得る。一部の実施形態では、前記中間体化合物は、酵素によって切断されて、タンパク質の成熟した機能的形態を産生するタンパク質前駆体、またはプロタンパク質である。一部の実施形態では、前記中間体化合物は、活性酵素を産生するために修飾または切断を必要とする不活性の酵素前駆体、またはチモーゲンである。
【0139】
X.適用
一部の態様では、本発明は、化合物が無核細胞に入るように狭窄部に通すことにより改変した該無核細胞を患者に導入することにより、該患者を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、前記処置は、前記患者に、かかる改変した無核細胞を導入する複数の(例えば2、3、4、5、6回のいずれかまたはそれよりも多い)ステップを含む。一部の実施形態では、前記細胞を、患者から単離し、開示する方法に従って改変し、該患者に導入して戻す。例えば、無核細胞集団を、患者から単離し、前記狭窄部に通して化合物の送達を達成し、その後該患者に再注入して治療免疫応答を増強する。一部の実施形態では、前記細胞を、個体から単離し、開示する方法に従って改変し、該個体に導入して戻す。例えば、無核細胞集団を、個体から単離し、前記狭窄部に通して化合物の送達を達成し、その後該患者に再注入して該個体において免疫応答を抑制するか、または寛容性を誘導する。
【0140】
一部の実施形態では、無核細胞を、万能供血者(例えばO型供血者)から単離し、その後、後の狭窄部媒介送達および個体への導入のために保存および/または凍結する。一部の実施形態では、抗原を、個体から単離し、万能供血者から単離した無核細胞に送達し、該個体に導入する。一部の実施形態では、無核細胞を、供血者から単離し、その後、後の狭窄部媒介送達および該供血者と適合する血液型の個体への導入のために保存および/または凍結する。一部の実施形態では、抗原を、個体から単離し、供血者から単離した無核細胞に送達し、該個体に導入する。
【0141】
一部の実施形態では、本発明は、化合物が細胞に入るように狭窄部に通すことにより改変した該細胞を個体に導入することにより、該個体を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、前記細胞は、自家細胞である。例えば、前記無核細胞を、個体(例えば患者)から単離し、開示する方法に従って改変し、該個体に導入して戻す。一部の実施形態では、前記細胞を、個体から単離し、開示する方法に従って改変し、同じ個体に導入して戻す。一部の実施形態では、前記細胞は、同種異系細胞である。例えば、前記細胞を、異なる個体から単離し、開示する方法に従って改変し、第1の個体(例えば患者)に導入する。一部の実施形態では、複数の個体からの細胞プールを、開示する方法に従って改変し、前記第1の個体(例えば前記患者)に導入する。一部の実施形態では、前記細胞を、個体から単離し、開示する方法に従って改変し、異なる個体に導入する。一部の実施形態では、細胞集団を、個体(患者)または異なる個体から単離し、前記狭窄部に通して化合物の送達を達成し、その後該患者に再注入して治療応答を増強する。
【0142】
一部の実施形態では、前記処置は、前記個体に本明細書で記載するように改変した無核細胞を投与する複数の(例えば2、3、4、5、6回のいずれかまたはそれよりも多い)ステップを含む。例えば、一部の実施形態では、化合物が細胞に入るように狭窄部に通すことにより改変した該細胞を個体に2、3、4、5、6回またはそれよりも多い回数、投与することにより、該個体を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、前記細胞の任意の2回の連続投与の間の時間間隔は、少なくとも約1日である(例えば少なくとも約2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年のいずれかまたはそれよりも長く、これらの値間の任意の範囲を含む)。
【0143】
上記の方法のいずれについても、in vitroで、ex vivoで、またはin
vivoで実行される。in vivoでの応用のために、デバイスを血管内腔に埋め込むことができ、例えば、インラインのステントが動脈または静脈に埋め込まれる。一部の実施形態では、本方法は、患者細胞のex−vivo処理および該患者への該細胞の即時の再導入のためのベッドサイドシステムの部分として使用される。そのような方法は、個体において免疫応答を抑制するまたは寛容性を誘導する手段として用いられ得る。一部の実施形態では、本方法は、ごくわずかに訓練された技師を有する典型的な病院の試験室で実行することができる。一部の実施形態では、患者操作処置システム(patient operated treatment system)が使用され得る。一部の実施形態では、本方法は、インラインの血液処理システムを使用して実行され、該システムでは、血液が患者から直接的に採取され、前記狭窄部に通されて血液細胞への化合物送達を生じ、そして処理後に該患者に再び直接的に輸血される。
【0144】
XI.系およびキット
一部の態様では、本発明は、本明細書で開示する方法で使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および化合物を含む系を提供する。前記系は、細胞を変形させる狭窄部を提供するためのマイクロ流体チャネルもしくは孔を有する表面、細胞懸濁液、細胞摂動、送達パラメータ、化合物および/またはアプリケーションなどを含む、上記に開示する方法を記載する任意の実施形態を含み得る。一部の実施形態では、前記細胞を変形させる狭窄部は、無核細胞への送達のための大きさである。一部の実施形態では、前記送達パラメータ、例えば作動流速、細胞および化合物濃度、前記狭窄部中の該細胞の速度ならびに前記細胞懸濁液の組成(例えば容量オスモル濃度、塩濃度、血清含有量、細胞濃度、pHなど)を、免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための化合物の最大応答のために最適化する。
【0145】
免疫応答を抑制するまたは寛容性を誘導するための化合物の送達に使用するためのキットまたは物品も提供される。一部の実施形態では、前記キットは、好適な包装中に本明細書中に記載する組成物(例えば、マイクロ流体チャネルまたは孔を含有する表面、細胞懸濁液、および/または化合物)を含む。好適な包装材料は当技術分野で公知であり、例えば、バイアル(密封バイアルなど)、容器、アンプル、ボトル、瓶、軟包装(例えば、密封マイラーまたはプラスチック袋)などが挙げられる。これらの製品は、さらに滅菌および/または密封されていてもよい。
【0146】
また、本開示は、本明細書で記載する方法の構成成分を含み、免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するために該方法を実行するための指示(複数可)をさらに含んでもよいキットを提供する。本明細書で記載するキットは、他のバッファ、希釈剤、フィルター、針、シリンジおよび本明細書で記載する任意の方法を実行するための指示、例えば免疫応答を抑制するため、または寛容性を誘導するための指示を有する添付文書を含む、他の材料をさらに含んでもよい。
【0147】
XII.例示的実施形態
実施形態1.個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
【0148】
実施形態2.個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該寛容原性因子が、免疫応答を抑制する寛容原性環境に寄与する、方法。
【0149】
実施形態3.個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
【0150】
実施形態4.個体において免疫応答を抑制するための方法であって、
a.第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
c.該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
【0151】
実施形態5.個体において免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
【0152】
実施形態6.個体において免疫応答を抑制するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原および寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、方法。
【0153】
実施形態7.無核細胞に寛容原性因子を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該寛容原性因子と接触する、方法。
【0154】
実施形態8.寛容原性環境に抗原を導入するための方法であって、個体に無核細胞を送達するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされる、方法。
【0155】
実施形態9.寛容原性環境に抗原および寛容原性因子を導入するための方法であって、個体に無核細胞を送達するステップを含み、ここで、該無核細胞が、該抗原および該寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされる、方法。
【0156】
実施形態10.個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
【0157】
実施形態11.個体において寛容性を誘導するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該寛容原性因子が、寛容性を誘導する寛容原性環境に寄与する、方法。
【0158】
実施形態12.個体において寛容性を誘導するための方法であって、
a.無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原および寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.該個体に該無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
【0159】
実施形態13.個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、
a.第1の無核細胞を含む第1の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
b.第2の無核細胞を含む第2の細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こす、ステップと、
c.該個体に該第1の無核細胞および第2の無核細胞を導入するステップと
を含み、該抗原および該寛容原性因子が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
【0160】
実施形態14.個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原を含み、該抗原が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
【0161】
実施形態15.個体において抗原特異的寛容性を誘導するための方法であって、該個体に無核細胞を導入するステップを含み、ここで、該無核細胞が、抗原および免疫寛容原性因子を含み、該抗原および該寛容原性因子が、該無核細胞を狭窄部に通すことにより該無核細胞に導入され、ここで、該抗原および該寛容原性因子が該無核細胞に入るように、該狭窄部が該細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こし、該抗原が、寛容原性環境においてプロセシングされ、該寛容原性環境における該抗原の提示が、該抗原への寛容性を誘導する、方法。
【0162】
実施形態16.無核細胞に抗原を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該抗原が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該抗原と接触する、方法。
【0163】
実施形態17.無核細胞に抗原および寛容原性因子を送達するための方法であって、該無核細胞を含む細胞懸濁液を狭窄部に通すステップであって、該抗原および該寛容原性因子が該細胞に入るように、該狭窄部が該無核細胞を変形させ、それによって該細胞の摂動を引き起こすステップを含み、ここで、該細胞懸濁液が、該抗原および該寛容原性因子と接触する、方法。
【0164】
実施形態18.寛容原性環境における前記抗原のプロセシングおよび提示が、該抗原への免疫応答を抑制する、実施形態16または17に記載の方法。
【0165】
実施形態19.寛容原性環境における前記抗原のプロセシングおよび提示が、該抗原への寛容性を誘導する、実施形態16または17に記載の方法。
【0166】
実施形態20.少なくとも1つのさらなる抗原が、前記細胞に導入される、実施形態1、4、5、8、10および13〜19のいずれか一つに記載の方法。
【0167】
実施形態21.少なくとも1つのさらなる寛容原性因子が、前記細胞に導入される、実施形態2〜4、6、7、9、11、12、13、15および17のいずれか一つに記載の方法。
【0168】
実施形態22.前記寛容原性環境が、脾臓、肝臓またはリンパ節に位置する、実施形態1〜6、8〜15、18および19のいずれか一つに記載の方法。
【0169】
実施形態23.前記狭窄部が、マイクロ流体チャネルの中に含有される、実施形態1〜22のいずれか一つに記載の方法。
【0170】
実施形態24.前記チャネルが、約0.25μm〜約4μmの狭窄部幅を含む、実施形態1〜23のいずれか一つに記載の方法。
【0171】
実施形態25.前記チャネルが、約4μm、3.5μm、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1.5μm、約1μm、約0.5μmまたは約0.25μmの狭窄部幅を含む、実施形態1〜24のいずれか一つに記載の方法。
【0172】
実施形態26.前記狭窄部が、孔であるか、または孔の中に含有される、実施形態1〜22のいずれか一つに記載の方法。
【0173】
実施形態27.前記孔が、表面に含有される、実施形態26に記載の方法。
【0174】
実施形態28.前記表面が、フィルターである、実施形態27に記載の方法。
【0175】
実施形態29.前記表面が、膜である、実施形態27に記載の方法。
【0176】
実施形態30.前記孔サイズが、約0.5μm〜約4μmである、実施形態26〜29のいずれか一つに記載の方法。
【0177】
実施形態31.前記孔サイズが、4μm、約3μm、約2μm、約1μmまたは約0.5μmである、実施形態26〜30のいずれか一つに記載の方法。
【0178】
実施形態32.前記狭窄部サイズが、前記無核細胞の直径の関数である、実施形態1〜31のいずれか一つに記載の方法。
【0179】
実施形態33.前記狭窄部サイズが、前記細胞直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%または約70%である、実施形態1〜32のいずれか一つに記載の方法。
【0180】
実施形態34.約−5℃〜約45℃の間で実行される、実施形態1〜33のいずれか一つに記載の方法。
【0181】
実施形態35.前記細胞懸濁液が、混合された細胞集団を含む、実施形態1〜4、7、10〜13および16〜34のいずれか一つに記載の方法。
【0182】
実施形態36.前記細胞懸濁液が、全血である、実施形態35に記載の方法。
【0183】
実施形態37.前記細胞懸濁液が、精製された細胞集団を含む、実施形態1〜4、7、10〜13および16〜34のいずれか一つに記載の方法。
【0184】
実施形態38.前記細胞懸濁液が、精製された無核細胞集団を含む、実施形態37に記載の方法。
【0185】
実施形態39.前記細胞懸濁液が、哺乳動物細胞を含む、実施形態1〜4、7、10〜13および16〜38のいずれか一つに記載の方法。
【0186】
実施形態40.前記細胞懸濁液が、サル細胞、マウス細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウマ細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞またはウサギ細胞を含む、実施形態1〜4、7、10〜13および16〜39のいずれか一つに記載の方法。
【0187】
実施形態41.前記細胞懸濁液が、ヒト細胞を含む、実施形態1〜4、7、10〜13および16〜39のいずれか一つに記載の方法。
【0188】
実施形態42.前記無核細胞が、赤血球である、実施形態1〜41のいずれか一つに記載の方法。
【0189】
実施形態43.前記赤血球(red blood cell)が、赤血球(erythrocyte)である、実施形態42に記載の方法。
【0190】
実施形態44.前記赤血球が、網状赤血球である、実施形態42に記載の方法。
【0191】
実施形態45.前記無核細胞が、血小板である、実施形態1〜41のいずれか一つに記載の方法。
【0192】
実施形態46.前記無核細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態1〜45のいずれか一つに記載の方法。
【0193】
実施形態47.前記無核細胞が、サル細胞、マウス細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウマ細胞、ラット細胞、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞またはウサギ細胞である、実施形態1〜46のいずれか一つに記載の方法。
【0194】
実施形態48.前記無核細胞が、ヒト細胞である、実施形態1〜46のいずれか一つに記載の方法。
【0195】
実施形態49.前記無核細胞が、前記個体に由来する、実施形態1〜5、8〜14および22〜48のいずれか一つに記載の方法。
【0196】
実施形態50.前記無核細胞が、異なる個体に由来する、実施形態1〜5、8〜14および22〜48のいずれか一つに記載の方法。
【0197】
実施形態51.前記抗原が、細胞溶解物中にある、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0198】
実施形態52.前記抗原が、外来抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0199】
実施形態53.前記抗原が、自己抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0200】
実施形態54.前記抗原が、同種移植抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0201】
実施形態55.前記抗原が、タンパク質またはポリペプチドである、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0202】
実施形態56.前記抗原が、溶解物である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0203】
実施形態57.前記抗原が、微生物である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0204】
実施形態58.前記抗原が、脂質抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0205】
実施形態59.前記抗原が、炭水化物抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0206】
実施形態60.前記抗原が、修飾抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜59のいずれか一つに記載の方法。
【0207】
実施形態61.前記修飾抗原が、ポリペプチドと融合している抗原を含む、実施形態60に記載の方法。
【0208】
実施形態62.前記修飾抗原が、治療剤と融合している抗原を含む、実施形態60または61に記載の方法。
【0209】
実施形態63.前記修飾抗原が、ターゲティングペプチドと融合している抗原を含む、実施形態60または61に記載の方法。
【0210】
実施形態64.前記修飾抗原が、脂質と融合している抗原を含む、実施形態60または61に記載の方法。
【0211】
実施形態65.前記修飾抗原が、炭水化物と融合している抗原を含む、実施形態60または61に記載の方法。
【0212】
実施形態66.前記抗原が、前記移植組織に関連した抗原である、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0213】
実施形態67.前記抗原が、ウイルスに関連する、実施形態1、4、5、8〜10および13〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0214】
実施形態68.前記細胞懸濁液が、前記狭窄部を通る前に、それと同時に、またはその後に抗原と接触する、実施形態1、4、10、13および16〜67のいずれか一つに記載の方法。
【0215】
実施形態69.前記寛容原性因子が、ポリペプチドを含む、実施形態2〜4、7、11〜13および22〜68のいずれか一つに記載の方法。
【0216】
実施形態70.前記ポリペプチドが、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFNαまたはTGFβである、実施形態69に記載の方法。
【0217】
実施形態71.前記ポリペプチドが、治療用ポリペプチドである、実施形態69に記載の方法。
【0218】
実施形態72.前記ポリペプチドが、治療用ポリペプチドの断片である、実施形態69に記載の方法。
【0219】
実施形態73.前記ポリペプチドが、治療用ペプチドである、実施形態69に記載の方法。
【0220】
実施形態74.前記ポリペプチドが、炭水化物にコンジュゲートしている、実施形態69に記載の方法。
【0221】
実施形態75.前記細胞懸濁液が、前記狭窄部を通る前に、それと同時に、またはその後に前記寛容原性因子と接触する、実施形態2〜4、7、11〜13および22〜74のいずれか一つに記載の方法。
【0222】
実施形態76.前記無核細胞の半減期が、減少する、実施形態1〜75のいずれか一つに記載の方法。
【0223】
実施形態77.前記無核細胞の半減期が、増加する、実施形態1〜75のいずれか一つに記載の方法。
【0224】
実施形態78.前記免疫応答が、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%または約100%抑制される、実施形態1〜6、18および22〜77のいずれか一つに記載の方法。
【0225】
実施形態79.前記抑制される免疫応答が、1つまたは複数の炎症性サイトカインの減少した産生および/または分泌を含む、実施形態1〜6、18および22〜78のいずれか一つに記載の方法。
【0226】
実施形態80.前記1つまたは複数の炎症性サイトカインが、インターロイキン−1(IL−1)、IL−12およびIL−18、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)からなる群から選択される、実施形態79に記載の方法。
【0227】
実施形態81.前記抑制される免疫応答が、1つまたは複数の抗炎症性サイトカインの増加した産生および/または分泌を含む、実施形態1〜6、18および22〜78のいずれか一つに記載の方法。
【0228】
実施形態82.前記1つまたは複数の抗炎症性サイトカインが、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFN−αおよびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)からなる群から選択される、実施形態81に記載の方法。
【0229】
実施形態83.前記抑制される免疫応答が、T細胞応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜78のいずれか一つに記載の方法。
【0230】
実施形態84.前記T細胞応答の減少が、T細胞活性化の減少を含む、実施形態83に記載の方法。
【0231】
実施形態85.前記T細胞応答の減少が、T細胞生存の減少を含む、実施形態83または84に記載の方法。
【0232】
実施形態86.前記T細胞応答の減少が、T細胞増殖の減少を含む、実施形態83〜85のいずれか一つに記載の方法。
【0233】
実施形態87.前記T細胞応答の減少が、T細胞機能性の減少を含む、実施形態83〜86のいずれか一つに記載の方法。
【0234】
実施形態88.前記T細胞応答の減少が、T細胞表現型の変化を含む、実施形態83〜87のいずれか一つに記載の方法。
【0235】
実施形態89.前記抑制される免疫応答が、T細胞の非共刺激活性化を含む、実施形態1〜6、18および22〜88のいずれか一つに記載の方法。
【0236】
実施形態90.前記抑制される免疫応答が、Treg応答の増強を含む、実施形態1〜6、18および22〜89のいずれか一つに記載の方法。
【0237】
実施形態91.前記抑制される免疫応答が、B細胞応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜90のいずれか一つに記載の方法。
【0238】
実施形態92.前記B細胞応答の減少が、抗体産生の減少を含む、実施形態91に記載の方法。
【0239】
実施形態93.前記抑制される免疫応答が、サイトカイン産生の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜92のいずれか一つに記載の方法。
【0240】
実施形態94.前記抑制される免疫応答が、自己免疫応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜93のいずれか一つに記載の方法。
【0241】
実施形態95.前記抑制される免疫応答が、アレルギー応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜94のいずれか一つに記載の方法。
【0242】
実施形態96.前記抑制される免疫応答が、前記移植組織に対する免疫応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜95のいずれか一つに記載の方法。
【0243】
実施形態97.前記抑制される免疫応答が、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜95のいずれか一つに記載の方法。
【0244】
実施形態98.前記抑制される免疫応答が、治療剤に対する免疫応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜95のいずれか一つに記載の方法。
【0245】
実施形態99.前記抑制される免疫応答が、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む、実施形態1〜6、18および22〜95のいずれか一つに記載の方法。
【0246】
実施形態100.前記寛容性が、1つまたは複数の炎症性サイトカインの減少した産生および/または分泌を含む、実施形態10〜15および19〜77のいずれか一つに記載の方法。
【0247】
実施形態101.前記1つまたは複数の炎症性サイトカインが、インターロイキン−1(IL−1)、IL−12およびIL−18、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)からなる群から選択される、実施形態100に記載の方法。
【0248】
実施形態102.前記寛容性が、1つまたは複数の抗炎症性サイトカインの増加した産生および/または分泌を含む、実施形態10〜15および19〜77のいずれか一つに記載の方法。
【0249】
実施形態103.前記1つまたは複数の抗炎症性サイトカインが、IL−4、IL−10、IL−13、IL−35、IFN−αおよびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)からなる群から選択される、実施形態102に記載の方法。
【0250】
実施形態104.前記寛容性が、T細胞応答の減少を含む、実施形態10〜15および19〜77のいずれか一つに記載の方法。
【0251】
実施形態105.前記T細胞応答の減少が、T細胞活性化の減少を含む、実施形態104に記載の方法。
【0252】
実施形態106.前記T細胞応答の減少が、T細胞生存の減少を含む、実施形態104または105に記載の方法。
【0253】
実施形態107.前記T細胞応答の減少が、T細胞増殖の減少を含む、実施形態104〜106のいずれか一つに記載の方法。
【0254】
実施形態108.前記T細胞応答の減少が、T細胞機能性の減少を含む、実施形態104〜107のいずれか一つに記載の方法。
【0255】
実施形態109.前記T細胞応答の減少が、T細胞表現型の変化を含む、実施形態104〜108のいずれか一つに記載の方法。
【0256】
実施形態110.前記寛容性が、T細胞の非共刺激活性化を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜109のいずれか一つに記載の方法。
【0257】
実施形態111.前記寛容性が、Treg応答の増強を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜110のいずれか一つに記載の方法。
【0258】
実施形態112.前記寛容性が、B細胞応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜111のいずれか一つに記載の方法。
【0259】
実施形態113.前記B細胞応答の減少が、抗体産生の減少を含む、実施形態112に記載の方法。
【0260】
実施形態114.前記寛容性が、サイトカイン産生の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜113のいずれか一つに記載の方法。
【0261】
実施形態115.前記寛容性が、自己免疫応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜114のいずれか一つに記載の方法。
【0262】
実施形態116.前記寛容性が、アレルギー応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜115のいずれか一つに記載の方法。
【0263】
実施形態117.前記寛容性が、前記移植組織に対する免疫応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一つに記載の方法。
【0264】
実施形態118.前記寛容性が、前記ウイルスへの病原性免疫応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一つに記載の方法。
【0265】
実施形態119.前記寛容性が、治療剤に対する免疫応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一つに記載の方法。
【0266】
実施形態120.前記寛容性が、治療ビヒクルに対する免疫応答の減少を含む、実施形態10〜15、19〜77および104〜116のいずれか一つに記載の方法。
【0267】
実施形態121.少なくとも1、2、3、4、5または6回繰り返される、実施形態1〜120のいずれか一つに記載の方法。
【0268】
実施形態122.前記方法の任意の2回の繰り返しの間の時間間隔が、少なくとも1日、1週、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月または1年である、実施形態121に記載の方法。
【0269】
実施形態123.実施形態1、4、10、13および16〜120のいずれか一つに記載の方法で使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および抗原を含む系。
【0270】
実施形態124.実施形態2〜4、7、11〜13および22〜120のいずれか一つに記載の方法で使用するための、前記狭窄部、細胞懸濁液および寛容原性因子を含む系。
【実施例】
【0271】
以下の実施例は、本開示の様々な実施形態を、例を挙げて説明する目的で示すものであり、どのような形でも本開示を限定することを意図するものではない。本開示は目的を実行し、記載した結果および利点ならびに本明細書に内在的に示唆される目的、結果、および利点を得るために十分に適合されることを当業者には容易に理解される。特許請求の範囲によって規定される本開示の精神の範囲内に包含されるその変更およびその他の使用を当業者には想起される。
【0272】
(実施例1)
ヒトRBCへのデキストランおよびIgG抗体の狭窄部媒介性の送達
序
無核細胞への分子のフィルター媒介性の送達を評価するために、蛍光デキストラン粒子またはIgG抗体と混合したヒトRBCを規定の大きさの孔を含有するシリンジフィルターに通し、細胞内粒子送達をFACS分析により評価した。
【0273】
材料および方法
市販のフィルターとホルダーとの組合せを有する直径2μmの孔径のポリカーボネートメンブレンフィルター(COTSのフィルター)は、STERLITECH(商標)より入手した。ヒトRBCは、フィコール勾配分離法を使用して全血または白血球除去カラーから分離し、所望の濃度(50〜500M/mL)でOptimem中に再懸濁した。鉗子を使用してポリカーボネートメンブレンフィルターをOptimem中に浮遊させ、メンブレンフィルターを湿らせた。プラスチックフィルターホルダーの蓋を外し、フィルターを、光沢面を上に向けて内部表面上に置き、フィルターホルダーに再び蓋をした。デキストラン粒子およびIgG抗体を0.1mg/mLで懸濁した。デキストラン粒子またはIgG抗体と混合した1mLの細胞を室温でフィルターホルダーに加えた。手動でシリンジを指押しして、細胞をフィルターに通した。フィルターのフロースルーを15mlのファルコンチューブまたはFACSチューブに回収した。FACS分析の前に全ての試料を遠心分離し、4℃で4分間、400rcfで3回洗浄して細胞外のデキストランを除去した。FACS分析の準備のために以下のステップを行った。FACS緩衝液を調製し(PBS+最終濃度:1% FBS+2mM EDTA)、チューブあたり400μLのFACS緩衝液を加え、細胞を再懸濁した。フローサイトメトリーの前方散乱光、側方散乱光、および蛍光チャネルの電圧を調整して、全ての細胞事象を可視化し、試料あたり10,000以上の事象を記録した。デキストラン粒子またはIgG抗体と混合したがフィルターに通さない細胞をエンドサイトーシスによる送達のための対照として使用した。これらの細胞は色素と接触させたが、フィルターに通さなかった。全てのその他のステップは、エンドサイトーシス対照について同じであった。
【0274】
結果
10kDa Alexa Fluor(登録商標)647デキストラン粒子、またはAlexa Fluor(登録商標) 647にコンジュゲートした150kDaのIgG抗体と混合したRBCを2μmのサイズのフィルター孔に通した。狭窄部媒介性の送達(SQZ)後の蛍光デキストランおよびIgGの増加した送達をエンドサイトーシス対照と対比して示す例示的なフローサイトメトリーヒストグラムプロットを
図1Aおよび
図1Bに示す。フィルター送達後のIgG抗体のデキストラン粒子(the dextran particles
of IgG antibody)について陽性の細胞のパーセンテージによって示される送達効率
を
図2Aに示す。エンドサイトーシス対照における両方の分子の送達効率は10%未満であったのに対し、フィルター送達後のIgG抗体の送達効率は88.6%、デキストラン粒子の送達効率は95.6%であった。
【0275】
細胞生存率をフィルター送達後に測定した。フィルター送達後のFSCおよびSSCゲート内に存在する細胞のパーセンテージによって示される推定細胞生存率を
図2Bに示す。フィルター送達後のIgG抗体を送達された細胞の推定生存率は68.8%、デキストラン粒子を送達された細胞の推定生存率は63.3%であった。
【0276】
ヒトRBCへのデキストラン粒子およびIgG抗体の狭窄部媒介性の送達が達成された。
【0277】
(実施例2)
マウスRBCへのデキストランおよびIgG抗体の狭窄部媒介性の送達
序
無核細胞への分子のフィルター媒介性の送達を評価するために、蛍光デキストラン粒子またはIgG抗体と混合したマウスRBCを規定の大きさの孔を含有するシリンジフィルターに通し、細胞内粒子送達をFACS分析により評価した。
【0278】
材料および方法
市販のフィルターとホルダーとの組合せを有する直径1μmおよび2μmの孔径のポリカーボネートメンブレンフィルター(COTSのフィルター)は、STERLITECH(商標)より入手した。全血を遠心沈降させ、細胞を所望の濃度(100〜500M/ml)でOptimem中に再懸濁した。鉗子を使用してポリカーボネートメンブレンフィルターをOptimem中に浮遊させ、メンブレンフィルターを湿らせた。プラスチックフィルターホルダーの蓋を外し、フィルターを、光沢面を上に向けて内部表面上に置き、フィルターホルダーに再び蓋をした。デキストラン粒子およびIgG抗体を0.1mg/mLで懸濁した。デキストラン粒子またはIgG抗体と混合した1mLの細胞を室温でフィルターホルダーに加えた。手動でシリンジを指押しして、細胞をフィルターに通した。あるいは、制御された圧力システムを使用して、デキストラン粒子またはIgG抗体と混合した200μLの細胞をフィルターに通すのを推進した。フィルターのフロースルーを15mlのファルコンチューブまたはFACSチューブに回収した。FACS分析の前に全ての試料を遠心分離し、24℃で10分間、1000rfcで3回洗浄して細胞外のデキストランを除去した。FACS分析の準備のために以下のステップを行った。FACS緩衝液を調製し(PBS+最終濃度:1% FBS+2mM EDTA)、チューブあたり400μLのFACS緩衝液を加え、細胞を再懸濁した。フローサイトメトリーの前方散乱光、側方散乱光、および蛍光チャネルの電圧を調整して、全ての細胞事象を可視化し、試料あたり10,000以上の事象を記録した。デキストラン粒子またはIgG抗体と混合したがフィルターに通さない細胞をエンドサイトーシスによる送達のための対照として使用した。これらの細胞は色素と接触させたが、フィルターに通さなかった。全てのその他のステップは、エンドサイトーシス対照について同じであった。NC(無接触)試料は色素と接触させなかったが、実験試料と同じステップに供したが、フィルターに通さなかった。
【0279】
結果
IgG抗体(150kDa)と混合したマウスRBCを、手動シリンジ圧力を使用して1μmおよび2μmのサイズのフィルター孔に通した。エンドサイトーシス(Endo)、陰性(NC)、および材料無し対照(no material control)の対照と対比して狭窄
部媒介性の送達(SQZ)後の蛍光を示す例示的なフローサイトメトリーヒストグラムプロットを
図3Aに示す。「材料無し」対照はIgG抗体と接触させなかったが、実験試料と同じステップに供し、かつフィルターに通した。
【0280】
細胞生存率をフィルター送達後に測定した。手動シリンジ圧力を使用したIgG抗体のフィルター送達後のFSCおよびSSCゲート内に存在する細胞のパーセンテージによって示される推定細胞生存率を
図3Bに示す。フィルター媒介性の送達は対照と対比して推定生存率を約70%減少させたが、
図3Cに示すように、4〜12倍高いIgG抗体の送達効率をもたらした。
【0281】
2psi、4psi、6psi、10psi、20psiの制御圧力システムを使用してまたは手動シリンジ圧力を使用して、70kDa Alexa Fluor(登録商標)488デキストラン粒子、およびAlexa Fluor(登録商標)647にコンジュゲートしたIgG抗体(150kDa)と混合したRBCを2μmのサイズのフィルター孔に通した。例示的なフローサイトメトリーヒストグラムプロットを
図4A〜Iに示し、これらは、エンドサイトーシス(Endo、
図4A)、陰性(NC、
図4B)、および材料無し対照(
図4C)と対比して狭窄部媒介性の送達(SQZ、
図4D〜I)後の蛍光を示している。これらのデータは、フィルター媒介性の送達は、Endo、NC、および材料無し対照と比べてデキストランおよびIgGの送達の最大55%の増加をもたらしたことを示した。細胞生存率もフィルター送達後に測定した。デキストラン粒子のフィルター送達後にFSCおよびSSCゲート内に存在する細胞のパーセンテージにより示される推定細胞生存率を
図5Aに示す。フィルター送達後のデキストラン粒子またはIgG抗体について陽性の細胞のパーセンテージによって示される送達効率を
図5Bに示す。デキストラン粒子またはIgG抗体のフィルター送達後の幾何平均の蛍光を
図5Cに示す。
【0282】
10psi、12psi、14psi、16psi、または18psiの制御圧力システムを使用して、70kDa Alexa Fluor(登録商標)488デキストラン粒子と混合したRBCを2μmのサイズのフィルター孔に通した。エンドサイトーシス(Endo)および陰性(NC)対照と対比して狭窄部媒介性の送達(SQZ)後の蛍光を示す例示的なフローサイトメトリーヒストグラムプロットを
図6Aに示す。細胞生存率をフィルター送達後に測定した。デキストラン粒子のフィルター送達後にFSCおよびSSCゲート内に存在する細胞のパーセンテージによって示される推定細胞生存率を
図6Bに示す。フィルター送達後にデキストラン粒子について陽性の細胞のパーセンテージによって示される送達効率を
図6Cに示す。デキストラン粒子のフィルター送達後の幾何平均の蛍光を
図6Dに示す。
【0283】
マウスRBCへのデキストラン粒子およびIgG抗体の狭窄部媒介性の送達が達成された。
【0284】
(実施例3)
寛容性を誘導するためのRBCへの抗原の狭窄部媒介性の送達
モデル抗原およびトランスジェニックT細胞を使用して、寛容性の誘導を実証するための一連の実験に着手する。
【0285】
RBCをOVA抗原と混合し、マイクロ流体チャネルの中の狭窄部、または孔を含有する表面に通す。送達を達成するために圧力、温度、および緩衝液組成を最適化する。次いで、CFSE標識された養子移入されたOT−I細胞を有するCD45.1マウスにOVA保有RBCを導入する。あるいは、CD45.1マウスに移入する前にOT−I T細胞をex−vivoで活性化する。9日後、寛容原性の提示およびその後のT細胞の欠失を可能とするために、マウスを可溶性OVAおよびLPSでチャレンジする。チャレンジの4日後に脾臓および流入リンパ節をOT−Iの増殖について分析する。
【0286】
(実施例4)
寛容性を誘導するためのRBCへの抗原の狭窄部媒介性の送達
SQZによって送達された抗原を含有するRBCの、in vivoで抗原依存的寛容性を誘導する能力を決定するために、抗原特異的T細胞の数および炎症性サイトカインIFN−γのレベルをフローサイトメトリーによって測定した。
【0287】
材料および方法
0日目に雌OT−Iドナーマウス(CD45.2)からC57BL/6Jレシピエントマウス(CD45.1)にマウス毎に1MのOVA特異的OT−I T細胞を養子移入した。1日目(プライム)および6日目(ブースト)に、C57BL/6JマウスからRBCを回収し、RBCを全長OVAタンパク質とインキュベートしたか、またはOVAをフィルター媒介性のSQZ条件によって送達した後、レシピエントマウスに20〜125MのRBC/マウスを注射した。対照動物には注射を与えず(ナイーブ)、またはPBS(チャレンジ対照)もしくは遊離OVA(10μg/動物、寛容性対照)のいずれかを注射した。ナイーブ(抗原もLPSもなし)と比べて、チャレンジ動物において15日目に10μgのOVAタンパク質+50ngのLPS/マウスの皮内注射で抗原チャレンジを行った。19日目に抗原チャレンジに対するOT−I T細胞応答をOT−I T細胞の数およびIFN−γ細胞内染色についてのフローサイトメトリーによって測定した。処置スケジュールの図解を
図7に示し、処置群を表1に要約する。
【表1】
【0288】
結果
OVAタンパク質とインキュベートしたRBC(RBC−Endo)またはSZQによる細胞内にOVAタンパク質を送達したRBC(RBC−SQZ)のいずれかで処置した群について抗原(OVA)およびアジュバント(LPS)でチャレンジしたマウスにおいてOT−I特異的T細胞数を測定した(
図8)。これらの条件を、抗原、アジュバント、またはRBCを経験しなかった動物(ナイーブ)、または遊離OVAタンパク質(寛容性対照)もしくはPBS(チャレンジ対照)で処置した後に抗原+アジュバントをチャレンジしたマウスと比較した。流入リンパ節および脾臓の両方でOT−I T細胞数は、チャレンジ対照と比べて、OVAタンパク質をSQZしたRBCでプライム/ブーストしたマウスにおいて有意に阻害された(
****P<0.0001)。これらのマウスではナイーブマウスまたは寛容性対照と同様のOT−I T細胞数が見られた一方、OVAタンパク質とインキュベートしたRBCでの処置はチャレンジ対照差がなかった。
【0289】
T細胞機能に対するSQZ RBC媒介性の寛容性の機能的効果を評価するために、SIINFEKLペプチド(配列番号1)(活性OVAエピトープ)で再刺激されたOT−I T細胞のうちの高レベルのIFN−γを発現した脾臓T細胞の%(
図9左)および細胞あたりのIFN−γ産生レベル(
図9右(righ);全てのCD44hi細胞に基づく)を細胞内サイトカインの染色によって全ての群について評価した。OVAをSQZしたRBCで処置したマウスからのOT−I T細胞は、チャレンジ対照と比べて、高IFN−γ発現細胞の中程度だが有意な減少(
**P<0.005)およびIFN−γ産生の大きい減少(
****P<0.0001)を示し、寛容性対照(遊離OVA;
**P<0.005)よりも大きい減少であった。しかしながら、OVAタンパク質とインキュベートしたRBCでは、チャレンジ対照と比べてIFN−γ産生の減少は見られなかった。
【0290】
全てのCD8+ T細胞のうちのOT−I T細胞の割合およびOT−I T細胞のうちのIFN−γ応答性T細胞の割合についての代表的なフローサイトグラム(
図10、表2に要約される)は、RBC−SQZ試料はチャレンジ対照およびRBC−Endo条件と比べてより少ないOT−Iおよびより低いIFNg応答を有したことを示す。
【表2】
【0291】
(実施例5)
CD4+/CD8+媒介性の寛容性
SQZによって送達された抗原を含有する赤血球(RBC)の、in vivoでCD4媒介性および/またはCD8媒介性のT細胞抗原依存的寛容性を誘導する能力を決定するために、抗原特異的T細胞の数および炎症性サイトカインIFN−γのレベルをフローサイトメトリーによって測定する。
【0292】
材料および方法
0日目に雌ドナーマウスからC57BL/6Jレシピエントマウス(CD45.1+)にマウス毎に1MのOVA特異的CD8+ OT−I T細胞および2〜4MのCD4+
OT−II T細胞(共にCD45.2+)を養子移入する。1日目(プライム)および6日目(ブースト)に、C57BL/6JマウスからRBCを回収し、RBCを全長OVAタンパク質とインキュベートするか、またはOVAをSQZ条件によって送達した後、レシピエントマウスに20〜125MのRBC/マウスを注射する。対照動物にはPBS(チャレンジ対照)または遊離OVA(10μg/動物、寛容性対照)のいずれかの注射を与える。チャレンジ動物において15日目に10μgのOVAタンパク質+50ngのLPS/マウスの皮内注射で抗原チャレンジを行う。19日目に各マウスの流入リンパ節および脾臓を分析し、抗原チャレンジに対するOT−IおよびOT−II T細胞応答をOT−IおよびOT−II T細胞の数およびIFN−γ細胞内染色についてのフローサイトメトリー、およびELISpotアッセイによって測定する。代表的な処置スケジュールの図解を
図7に示し、処置群を表3に要約する。
【表3】
【0293】
(実施例6A)
マウスI型糖尿病モデルにおける予防
序
SQZによって送達された抗原を含有するRBCの、マウスI型糖尿病の予防in vivoモデルにおいて抗原依存的寛容性を誘導する能力を決定するために、寛容性誘導後に経時的に毎週、血液グルコースレベルを測定する。
【0294】
材料および方法
10週齢時にNOD/ShiltJマウスをRBCで処置する。0日目(プライム)および5日目(ブースト)に、NOD/ShiltJマウスからRBCを回収し、RBCをインスリンB鎖ペプチド9〜23(InsB
9〜23:CKKGSSHLVEALYLVCGERG、配列番号2)とインキュベートするか、またはInsB
9〜23をSQZ条件によって送達した後、レシピエントマウスに20〜125MのRBC/マウスを注射する。対照動物にはPBSを注射する(チャレンジ対照)。処置後7日目(11週齢)に開始して、血液グルコース測定を毎週実行する。Bayer Contour Diabetes Meter/Glucose Test Stripにより測定して血液グルコースレベルが260mg/dLを超えたときにマウスは糖尿病であるとみなす。代表的な処置スケジュールの図解を
図11Aに示し、処置群を表4に要約する。
【表4】
【0295】
(実施例6B)
マウスI型糖尿病モデルの治療
序
SQZによって送達された抗原を含有するRBCの、マウスI型糖尿病の処置のin vivoモデルにおいて抗原依存的寛容性を誘導する能力を決定するために、マウスでの寛容性誘導後に経時的に毎週、血液グルコースレベルを測定する。
【0296】
材料および方法
レシピエントでT1Dの迅速な発症を誘導するために、BDC2.5 NODマウスからCD4 T細胞を回収し、p31ミメトープ(mimetope)ペプチド(YVRPLWVRME、配列番号3)で4日間ex vivoで活性化し、正常血糖のNODレシピエントに養子移入する(5M細胞/マウス)。養子移入の8時間後に寛容性誘導を開始し、3日毎、計3回の投与となるように繰り返す。レシピエントをPBS(チャレンジ対照)またはp31とインキュベートした20〜125MのRBC(RBC−Endo)もしくはp31をSQZによって送達した20〜125MのRBC(RBC−SQZ)で処置する。Bayer Contour Diabetes Meter/Glucose Test Stripによって血液グルコースを毎日測定する。血液グルコースレベルが260mg/dLを超えたときにマウスを糖尿病とみなす。代表的な処置スケジュールの図解を
図11Bに示し、処置群を表5に要約する。
【表5】
【0297】
(実施例7A)
マウスMS型自己免疫障害の予防
序
SQZによって送達された抗原を含有するRBCの、マウスMS型自己免疫障害のin
vivo予防モデルにおいて抗原依存的寛容性を誘導する能力を決定するために、運動性の臨床スコアを経時的に毎日評価する。
【0298】
材料および方法
雌C57BL/6マウス(10〜12週齢)を実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の誘導前にRBCで処置する。−7日目(プライム)および−2日目(ブースト)にC57BL/6マウスからRBCを回収し、RBCを狭窄なしでミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35〜55(MOG
35〜55:MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGKGS、配列番号4)もしくはOVA
323〜339ペプチド(陰性対照:ISQAVHAAHAEINEAGRGS、配列番号5)とインキュベートするか、またはMOG
35〜55ペプチドをSQZ条件によってRBCに送達した後、レシピエントマウスに20〜125MのRBC/マウスを注射する。0日目に、CFA中のMOG
35〜55およびPBS中の百日咳毒素(Hooke kit)の投与によってEAEを誘導する。7日目に開始してマウスを毎日スコア付けする。臨床スコアは以下の通りに定義する:1.尾の引きずり;2.部分的な後肢の麻痺;3.完全な後肢の麻痺;4.完全な後肢および部分的な前肢の麻痺;および5.瀕死。代表的な処置スケジュールの図解を
図12Aに示し、処置群を表6に要約する。
【表6】
【0299】
(実施例7B)
マウスMS型自己免疫障害の治療
序
SQZによって送達された抗原を含有するRBCの、確立されたマウスMS型自己免疫障害のin vivoモデルにおいて抗原依存的寛容性を誘導する能力を決定するために、運動性の臨床スコアを経時的に毎日評価する。
【0300】
材料および方法
雌C57BL/6マウス(10〜12週齢)において、0日目にCFA中のMOG
35〜55およびPBS中の百日咳毒素(Hooke kit)の投与によって実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導する。次いで、下記の運動性基準に基づいてマウスが1以上のスコアとなった日であるEAEの発症日に、マウスをRBCで処置する。約11/12日目(プライム)および約17/18日目(ブースト)にC57BL/6マウスからRBCを回収し、RBCを狭窄なしでミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35〜55(MOG
35〜55:MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGKGS、配列番号4)とインキュベートするか、またはOVA
323〜339ペプチド(陰性対照:ISQAVHAAHAEINEAGRGS、配列番号5)もしくはMOG
35〜55ペプチドをSQZ条件によってRBCに送達した後、レシピエントマウスに20〜125MのRBC/マウスを注射する。19日目に開始してマウスを毎日スコア付けする。臨床スコアは以下の通りに定義する:1.尾の引きずり;2.部分的な後肢の麻痺;3.完全な後肢の麻痺;4.完全な後肢および部分的な前肢の麻痺;および5.瀕死。代表的な処置スケジュールの図解を
図12Bに示し、処置群を表7に要約する。
【表7】
【表8】