(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-176994(P2021-176994A)
(43)【公開日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】排ガス分解装置を有する基板処理装置及び該装置用排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20211015BHJP
【FI】
C23C16/44 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2021-125393(P2021-125393)
(22)【出願日】2021年7月30日
(62)【分割の表示】特願2018-537600(P2018-537600)の分割
【原出願日】2016年10月4日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0139794
(32)【優先日】2015年10月5日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】504210651
【氏名又は名称】ジュスン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】ソ ドンウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム ホンド
(72)【発明者】
【氏名】ホワン チュルジュ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA12
4K030GA06
4K030KA49
4K030LA15
4K030LA16
4K030LA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排ガスにより排気ポンプにダメージが加わるのを防ぐ、排ガス分解装置を有する基板処理装置及び該装置用排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】排ガス分解モジュール160は処理チャンバ110から排出されたソースガスを分解して、ソースガスのリガンドを分解する。また、リガンド及びリガンドが分解されたソースガスを、別々に供給したO
2、N
2O、又はO
3と反応させて安定化させ、その後、これと混ぜた反応ガスを有する混合ガスに変えることが出来る。続いて、混合ガスを排気ポンプ155に流し込み、放出させる。或いは、リガンドとソースガスを、反応ガスと混ぜてこれを放出することが出来る。従って、リガンドとリガンドが分解したソースガスは、反応ガス又は、排気ポンプで発生する熱とは反応せず、排気ポンプに流れ込むリガンドが分解したソースガスとリガンドは、排気ポンプの内面に堆積しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する空間を有する処理チャンバ、
前記処理チャンバ内に設置した、上に基板を配置した基板支持手段、
ソースガスを前記基板に分配するソースガス分配手段、
反応ガスを前記基板に分配する反応ガス分配手段、
前記処理チャンバのソースガスを、該処理チャンバの外に放出させるよう案内するソースガス排気ライン、
前記処理チャンバの反応ガスを、該処理チャンバの外に放出させるよう案内する反応ガス排気ライン、及び
堆積工程で使われないソースガス及び反応ガスを、処理チャンバ外に排出する排気ポンプ、
を有し、
O2、N2O、O3の中から選択された一つの材料が前記ソースガス排気ラインに供給され、前記ソースガスが前記排気ポンプの内表面に堆積することを防止するようにして構成した、
ことを特徴とする、基板処理装置。
【請求項2】
前記ソースガス排気ラインの前記ソースガスは、前記ソースガス排気ラインに供給されたO2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応することで安定化され、前記排気ポンプに流入することを特徴とする、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ソースガス排気ラインのソースガスは、該ソースガス排気ラインに供給されたO2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応して安定化され、前記反応ガス排気ラインの反応ガスと混合され、
安定化されたソースガスと反応ガスを含んだ混合されたガスは前記排気ポンプに流入することを特徴とする、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ソースガス排気ラインの前記ソースガスは、該ソースガス排気ラインに供給されたO2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応して安定化され、前記排気ポンプ内で反応ガス排気ラインの反応ガスと混合されることを特徴とする、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ソースガス排気ラインのソースガスのリガンドは分解され、
前記ソースガス排気ラインの前記リガンドとリガンド分解ソースガスは、O2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応して安定化されることを特徴とする、請求項1記載の基板処理装
置。
【請求項6】
処理チャンバに分配され、基板上に薄膜を堆積させるソースガス及び反応ガスの内、堆積処理において使用しない該ソースガス及び該反応ガスを排出処理する、基板処理装置の排ガス処理方法において、
排気ポンプを用いて、ソースガス及び反応ガスをソースガス排気ライン及び反応ガス排気ラインにそれぞれ排出し、該ソースガス排気ラインの一端を、該処理チャンバに連通させ、該ソースガス排気ラインの他端を、前記排気ポンプに連通させ、前記反応ガス排気ラインの一端を、処理チャンバに連通させ、該反応ガス排気ラインの他端を該排気ポンプに連通させ、
O2、N2O、O3の中から選択された一つの材料を前記ソースガス排気ラインに供給し、前記ソースガスが前記排気ポンプの内表面に堆積することを防止するようにして構成した、
基板処理装置の排ガス処理方法。
【請求項7】
前記ソースガス排気ラインの前記ソースガスは、前記ソースガス排気ラインに供給されたO2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応することで安定化され、前記排気ポンプに流入することを特徴とする、請求項6記載の排ガス処理方法。
【請求項8】
前記ソースガス排気ラインのソースガスは、該ソースガス排気ラインに供給されたO2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応して安定化され、前記反応ガス排気ラインの反応ガスと混合され、
安定化されたソースガスと反応ガスを含んだ混合されたガスは前記排気ポンプに流入することを特徴とする、請求項6記載の排ガス処理方法。
【請求項9】
前記ソースガス排気ラインの前記ソースガスは、該ソースガス排気ラインに供給されたO2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応して安定化され、前記排気ポンプ内で反応ガス排気ラインの反応ガスと混合されることを特徴とする、請求項6記載の排ガス処理
方法。
【請求項10】
前記ソースガス排気ラインのソースガスのリガンドは分解され、
前記ソースガス排気ラインの前記リガンドとリガンド分解ソースガスは、O2、N2O、O3の中から選択された一つの材料と反応して安定化されることを特徴とする、請求項6記載の排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理チャンバから放出されるソースガスを分解して、排ガスにより排気ポンプにダメージが加わるのを防ぐ、排ガス分解装置を有する基板処理装置及び該装置用排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、フラットパネル表示装置、太陽電池は、シリコンウェハやガラス等の基板上に源材料を堆積させる薄膜堆積工程、感光材料を用いて、堆積した薄膜の選択領域を露光し又は被覆するフォトリソグラフィ工程、及び選択領域で薄膜を取り除いて、所望のパターンを形成するエッチング工程により製造される。
【0003】
薄膜蒸着法の例としては、物理蒸着(PVD)法、化学蒸着(CVD)法、原子層堆積(ALD)法が挙げられる。
【0004】
薄膜堆積法は、各種材料を用いて、基板上に薄膜を堆積させる。この場合、堆積処理法では、基板を処理する空間を有する処理チャンバ内を流れる前駆体であるソースガスを少量使い、該堆積過程で発生する副産物と一緒に、殆どのソースガスを処理チャンバ外に放出させる。
【0005】
堆積工程で使われない処理チャンバのソースガスと副産物を、排気ラインと排気ポンプにより処理チャンバ外に放出させる。即ち、堆積工程で使用されない処理チャンバのソースガスと副産物を排気ポンプにより抽出し、これを排気ラインと排気ポンプを介して排気ポンプ外に放出させる。
【0006】
更に、堆積工程で使われないソースガスを、排気ポンプ内で発生する熱と、処理チャンバから放出された反応ガスとを反応させることにより分解させ、分解したソースガスが、排気ポンプの内面に堆積されて、薄膜が形成される。この場合、排気ポンプを構成する要素間の隙間が変わることにより、該排気ポンプが損傷してしまう。
【0007】
低温用のソースガスが、処理チャンバ外に放出され、排気ポンプに堆積すると、ソースガスが排気ポンプで発生する熱により爆発することもあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の観点は、上記関連技術の問題点を全て解決した、排ガス分解装置を有する基板処理装置及びこのための排ガス処理方法を提供することに向けられる。
【0009】
本発明の別の観点は、処理チャンバから放出され、堆積工程では使われないソースガスを分解し、該分解したソースガスを、排気ポンプを介して放出することにより、該ソースガスにより排気ポンプが損傷を受けるのを防止すると共に、ソースガスが爆発するのを完全に防止することが出来る、排ガス分解装置を有する基板処理装置及びこのための排ガス処理方法を提供することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
基板処理装置は、基板を処理する空間を有する処理チャンバ、前記処理チャンバ内に設置した、上に基板を配置した基板支持手段、ソースガスを前記基板に分配するソースガス分配手段、反応ガスを前記基板に分配する反応ガス分配手段、前記処理チャンバのソースガスを、該処理チャンバの外に放出させるよう案内するソースガス排気ライン、前記処理チャンバの反応ガスを、該処理チャンバの外に放出させるよう案内する反応ガス排気ライン、前記ソースガスと前記反応ガスを、それぞれ前記ソースガス排気ライン及び反応ガス排気ラインに排出し得るように、該ソースガス排気ライン及び該反応ガス排気ラインに連通する排気ポンプ、及び前記ソースガス排気ラインを介して前記排気ポンプ内に流れ込むソースガスを分解する、前記処理チャンバと前記排気ポンプ間の前記ソースガス排気ラインに設置された排ガス分解モジュールを有する。
【0011】
本発明の別の観点では、基板を処理する処理チャンバに分配され、基板上に薄膜を堆積させるソースガス及び反応ガスの内、堆積処理において使用しない該ソースガス及び該反応ガスを排出処理する、基板処理装置の排ガス処理方法において、排気ポンプを用いて、ソースガス及び反応ガスをソースガス排気ライン及び反応ガス排気ラインにそれぞれ排出し、該ソースガス排気ラインの一端を、該処理チャンバに連通させ、該ソースガス排気ラインの他端を、前記排気ポンプに連通させ、前記反応ガス排気ラインの一端を、処理チャンバに連通させ、該該反応ガス排気ラインの他端を該排気ポンプに連通させ、前記ソースガス排気ラインに流れ込んだ前記ソースガスを分解し、及び前記ソースガス排気ラインの分解ソースガスを前記反応ガス排気ラインの反応ガスと混合してできた混合ガスを、前記排気ポンプの内部を介して放出することを特徴とする、基板処理装置の排ガス処理方法が設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例による基盤処理装置及び排ガス処理方法においては、排ガス分解モジュールは処理チャンバから排出されたソースガスを分解して該ソースガスのリガンドを分解することが出来る。また、リガンド及びリガンドが分解されたソースガスを、別々に供給したO
2、N
2O、O
3と反応させて、安定状態に置くことが出来、これを反応ガスと混合させた反応ガスを含む混合ガスに変える。続いて、混合ガスを排気ポンプに流し込み、放出することが出来る。或いは、リガンド及びソースガスを、反応ガスと混合し、放出させることが出来る。従って、リガンド及びリガンドが分解されたソースガスは、反応ガスや排気ポンプで発生する熱とは反応せず、排気ポンプに流れ込むリガンド分解ソースガス及びリガンドは排気ポンプの内面に堆積しない。また、排気ポンプにたまったリガンド分解ソースガス及びリガンドは爆発しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施例による基板処理装置の構成を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施例による基板処理装置の構成を説明する概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例による基板処理装置の排ガス処理方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示実施例に詳細に言及し、例を添付の図面で説明する。可能な限り、同一又は同様の要素には図面を通して、同一の符号を使用する。
【0015】
明細書においては、各図面において要素に符号を加える際は、他の図面で同様の要素を示すために既に使用した同様の符号は、可能な限りにおいて、該要素に使うものとする。
【0016】
明細書に記載した用語は、以下に示すように理解するものとする。
【0017】
明細書の記載のように、単数形「1つの」、「その」は、文脈上明瞭に違うとの記載が無い限り、同様に複数形を含むものとする。「第1」、「第2」等の用語は、1の要素を他の要素から区別するために使用し、これらの要素がこの用語により制限を受けるべきではない。
【0018】
ここで使用する「から構成する」、「を有する」、「を含む」等は、言及した特徴、整数、段階、操作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1以上の他の特徴、整数、段階、操作、要素、構成要素及び/又はそのグループの存在又は、この追加を排除するものではない。
【0019】
用語「少なくとも1つ」は、1以上の関連項目のいずれか、又はこれら全ての組み合わせを含むものとする。例えば、「第1項目〜第3項目のうち少なくとも1つ」の意味は、第1項目、第2項目、又は第3項目を示すと同様に、第1、第2、第3項目のうち、2以上からなる全ての項目の組み合わせを示すこともある。
【0020】
用語「及び/又は」は、1以上の関連項目のいずれか、又はこれら全ての組み合わせとして理解すべきである。例えば、「第1項目、第2項目及び/又は第3項目」の意味は、第1項目、第2項目、又は第3項目を示すと同様に、第1、第2、第3項目のうち、2以上からなる全ての項目の組み合わせを示すこともある。
【0021】
ある要素が、別の要素の「上」に存在するとの記載は、それが他の要素の上に直接存在するか、又は、介在要素が存在する場合もある。更にある要素が他の要素の「下に」存在するとの記載は、それが直接下に存在する場合の他、1以上の介在要素が存在する場合もある。加えて、ある要素が、2つの要素の「間に」存在するとの記載は、2つの要素間に1つだけ存在する場合の他、1以上の介在要素が存在する場合もあるものとする。要素間の関係を示す他の記載、例えば、「間に」や「直接間に」は、同様に解釈することが出来る。
【0022】
各ステップにおいて、符号、例えば、S100、S110、S120等は、記載の都合上使用するものであり、ステップの順序を規定するものではない。また、特定の順序が、文脈上明瞭化されていない限り、ステップは、記載した順序で実行することが出来る。即ち、ステップは記載どおりに実行することが出来、また、同時に実行することが出来るし、又は反対の順序で実行することも出来る。
【0023】
以下、本発明の実施例による、排ガス分解装置を有する基板処理装置及び該装置用排ガス処理方法を、添付の図面に言及して詳細に説明する。
【0024】
初めに、本発明の実施例による基板処理装置について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施例による基板処理装置の構成を説明する概略図であり、
図2は、
図1の平面断面図である。
【0026】
図に示すように、本発明の実施例による基板処理装置は、シリコンウェハ、ガラス、又はこれと同等なものである基板50をロードし、処理する空間を持つ処理チャンバ110を有している。処理チャンバ110は、開放上部を有し、相対的に下側に配置された本体111と、該本体111の開放上部に連結し、相対的に上側に配置された蓋115を有している。
【0027】
基板50を載置し、支持する基板支持手段120を、処理チャンバ110の内下面に設置することが出来る。基板支持手段120は、処理チャンバ110内に設けられ、基板50を配置し、支持する上部を有する支持体121及び、支持体121の底部に連結した上端部と処理チャンバ110の底部の外側に露出し、駆動部130に連結した下端部からなる支持軸125を有する。
【0028】
基板50は複数設けることが出来る。複数の基板50は、支持体121上に、該支持体121の中心から放射状に設置され、支持される。駆動部130は上昇し、下降し、また、基板支持手段120を回転させることが出来る。このため、支持体121上に設置、支持した基板50を上昇、下降、回転させることが出来る。
【0029】
基板50を加熱する、ヒータ等の加熱ユニット(図示無し)を、基板50を設置支持している支持体121近くに設けることが出来る。
【0030】
基板50上に薄膜を堆積させるためには、該基板上に堆積したソースガスと、該ソースガスを基板50上に堆積しやすくさせる反応ガスを、処理チャンバ110に供給する。このため、ソースガスを支持体121上に設置した基板50に分配するソースガス分配手段141と、反応ガスを基板50に分配する反応ガス分配手段145を、処理チャンバ110の内側上面に設ける。
【0031】
ソースガス分配手段141と反応ガス分配手段145を、それぞれシャワーヘッドとして設けることが出来、相互に分割し、設置することが出来る。また、ソースガス分配手段141から分配されたソースガスを、該ソースガス分配手段141と対向するソースガス領域121aだけに分配することが出来、反応ガス分配手段145から分配された反応ガスを、該反応ガス分配手段145に対向する反応ガス領域121bだけに分配することが出来る。この場合、ソースガス分配手段141から分配されたソースガスと、反応ガス分配手段145から分配された反応ガスは、基板に分配する途中で、互いに混合しないで分配することが出来る。
【0032】
このため、基板支持手段120が回転するにつれて、基板支持手段120上に設置、支持された複数の基板は、順番にソースガス領域121aに配置され、及び順番に反応ガス領域121bに配置させることが出来る。即ち、ソースガス領域121aに配置され、ソースガスを供給された基板50は、基板支持手段120の回転に伴い、反応ガス領域121bに配置され反応ガスが供給されると、ソースガスと反応ガスが反応することにより、基板50上にソースガスを堆積させることが出来る。
【0033】
堆積工程では、処理チャンバ110に供給するソースガス及び反応ガスはそれぞれ少量だけ用いることができ、ソースガス及び反応ガスの殆どは、堆積工程で発生する副産物と共に、処理チャンバ110の外に放出させることが出来る。
【0034】
ソースガス排気ライン151、反応ガス排気ライン153及び排気ポンプ155を設けて、堆積工程で使用しないソースガス及び反応ガスを、副産物と共に処理チャンバ110の外に排出することが出来る。
【0035】
ソースガス排気ライン151の一端を、処理チャンバ110の底部と連通させ、ソースガス排気ライン151の他端を、排気ポンプ155と連通させることができる。反応ガス排気ライン153の一端を、処理チャンバ110の底部と連通させ、反応ガス排気ライン153の他端を、排気ポンプ155と連通させることができる。この場合、ソースガス排気ライン151の一端と反応ガス排気ライン153の一端をそれぞれ、ソースガス領域121a及び反応ガス領域121bの真下に配置された処理チャンバ110の底部と連通させることが出来る。
【0036】
従って、真空ポンプ等として設けられた排気ポンプ155が駆動すると、ソースガス領域121aに分配されるけれども、堆積工程では使われないソースガスを抽出することが出来、これがソースガス排気ライン151に流れ込むと共に、反応ガス領域121bに分配されるけれども、堆積工程では使われない反応ガスを抽出することが出来、これが反応ガス排気ライン153に流れ込む。続いて、ソースガスと反応ガスを混合ガスに変え、これが排気ポンプ155に流れ込み、該混合ガスを、排気ポンプ155の内側を介して排気ポンプ155外に放出させることが出来る。
【0037】
堆積工程では使われず、排気ライン151を介して排気ポンプ155に流れ込むソースガスは、排気ポンプ155内で発生する熱又は、反応ガス排気ライン153を介して排気ポンプ155に流れ込む反応ガスと反応し、これが排気ポンプ155の内面に堆積される。このため、排気ポンプ155にダメージが加わり得る。特に、ソースガスが低温用の場合、排気ポンプ155内に堆積したソースガスは、排気ポンプ155で発生する熱により爆発する可能性がある。
【0038】
このような問題点を防ぐために、本発明の実施例による基板処理装置は、ソースガス排気ライン151に流れ込むソースガスを分解する排ガス分解モジュール160を設けることが出来る。
【0039】
排ガス分解モジュール160は、処理チャンバ110と排気ポンプ155間のソースガス排気ライン151近くに設置することが出来、ソースガス排気ライン151に流れ込むソースガスを分解することが出来る。この場合、排ガス分解モジュール160は、ソースガスのリガンド(ligand)を分解することが出来、リガンド分解ソースガスを排気ポンプ155に供給することが出来る。
【0040】
リガンド及びリガンド分解ソースガスは不安定な状態にあるので、これを安定させることが要求される。このため、O
2、N
2O、O
3を、排ガス分解モジュール160と排気ポンプ155間のソースガス排気ライン151に供給することが出来る。従って、リガンド及びリガンド分解ソースガスはO
2、N
2O、又はO
3と反応して安定な状態に置かれる。
【0041】
続いて、リガンド及びリガンド分解ソースガスを、これと混合した反応ガス排気ライン153の反応ガスを含む混合ガスに変える。このため、リガンド及びリガンド分解ソースガスは、反応ガス又は排気ポンプ155内で発生する熱と反応せず、排気ポンプ155内に流れ込むリガンド分解ソースガス及びリガンドは、排気ポンプ155の内面には堆積しない。また、排気ポンプ155内にたまったリガンド分解ソースガス及びリガンドは爆発しない。
【0042】
この場合、排ガス分解モジュール160を、プラズマを生成させてソースガスを分解するプラズマ生成装置又は、該ソースガスを加熱し、これを分解する熱源として設けることが出来る。
【0043】
図3は、本発明の別の実施例による基板処理装置の概略構成を説明する図である。
図3と
図1の相違だけを以下に説明する。
【0044】
図に示すように、本発明の別の実施例による基板処理装置において、排ガス分解モジュール260により分解されたソースガス排気ライン251のリガンド、リガンド分解ソースガス及び、反応ガス排気ライン253の反応ガスは排気ポンプ255内に流れ込み、その後、排気ポンプ255内で互いに混合される。続いて、混合ガスが、排気ポンプ外に放出される。
【0045】
以下、本実施例による基板処理装置の排ガス処理方法を、
図1〜
図4に言及して説明する。
図4は、本発明の実施例による基板処理装置の排ガス処理方法を説明するフローチャートである。
【0046】
図に示すように、ステップS110において、処理チャンバ110に分配したソースガス及び反応ガスのうち、基板50に薄膜を堆積させる堆積工程で使用しないソースガス及び反応ガスはそれぞれ、ソースガス排気ライン151及び反応ガス排気ライン153に供給し、処理チャンバ110の外に放出することが出来る。
【0047】
上述したように、ソースガス排気ライン151の一端は、処理チャンバ110と連通しており、他端は、排気ポンプ155に連通している。また、反応ガス排気ライン153の一端は、処理チャンバ110と連通しており、他端は、排気ポンプ155に連通している。このため、排気ポンプが駆動されると、処理チャンバ110のソースガスと反応ガスは、ソースガス排気ライン151及び反応ガス排気ライン153にそれぞれ抽出され、排出される。
【0048】
続いて、ステップS120において、ソースガス排気ライン151に流れ込むソースガスを、排ガス分解モジュール160により分解することができる。また、ステップS130において、ソースガス排気ライン151の分解ソースガスと反応ガス排気ライン153の反応ガスを混合させて、混合ガスにする。続いて、ステップS140において、混合ガスを排気ポンプ155の内部を介して外に放出する。
【0049】
この場合、排ガス分解モジュール160は、プラズマを生成してソースガスを分解するプラズマ生成装置とするか、又は、該ソースガスを加熱し、分解する熱源とすることが出来る。また、リガンドをソースガス排気ライン151のソースガスから分離することが出来る。
【0050】
上述したように、リガンド及びリガンド分解ソースガスを、別々に供給したO
2、N
2O、又はO
3と反応させて、安定状態に置くことが出来、これを排気ポンプ155の反応ガスと混合させ、排気ポンプ内に流し込み、放出させることが出来る。或いは、リガンド及びソースガスを排気ポンプ155内で反応ガス排気ライン153の反応ガスと混合させ、放出させることが出来る。
【0051】
本実施例による基板処理装置及び排ガス処理方法においては、排ガス分解モジュール160(260)はソースガスのリガンドを分解することが出来る。続いて、既に安定化したリガンド、リガンド分解ソースガス及び反応ガス排気ライン153(253)の反応ガスを混合ガスに変える。混合ガスは排気ポンプ155(255)に流れ込み、放出され、又は、リガンドとリガンド分解ソースガスを排気ポンプ155(255)の反応ガスと混合させて、放出させることが出来る。このため、リガンドとリガンド分解ソースガスは、反応ガス又は排気ポンプ155(255)で発生する熱と反応せず、排気ポンプ155(255)内に流れるリガンド分解ソースガスとリガンドは、排気ポンプ155(255)の内面に堆積しない。また、排気ポンプ155(255)内にたまったリガンド分解ソースガスとリガンドは爆発しない。
【0052】
発明の真意又は範囲を逸脱しない限り、本発明は、種々の変更、変形が可能であることは当業者にとって明らかである。それ故、添付のクレームの範囲及びこれと均等である限り、本発明は、種々の変更、修正をカバーするものである。