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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-177064(P2021-177064A)
(43)【公開日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】ハイブリッド型永久アンカー
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/80 20060101AFI20211015BHJP
【FI】
   E02D5/80
   E02D5/80 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-78806(P2021-78806)
(22)【出願日】2021年5月6日
(31)【優先権主張番号】10-2020-0054701
(32)【優先日】2020年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521195124
【氏名又は名称】ドン−ア スペシャル コンストラクション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Dong−A Special Construction Co., Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】521195135
【氏名又は名称】シム,ソク レ
【氏名又は名称原語表記】SIM, Suck Rae
(71)【出願人】
【識別番号】521195146
【氏名又は名称】イ,ナン ヒ
【氏名又は名称原語表記】LEE, Nan Hee
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】シム,ソク レ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ナン ヒ
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GB01
2D041GC02
2D041GC05
2D041GC12
2D041GC13
(57)【要約】
【課題】引張型の利点と圧縮型の利点のみを活用して、永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させて長期的な力の維持の上で有利にしたハイブリッド型永久アンカーを提供する。
【解決手段】本発明は、永久アンカーに作用する集中荷重を分散減少させることができるようにするために、圧縮部と引張部との間に設けられ、これらを互いに結合させる定着体と;定着体の先端に結合し、引張応力が発生した場合に引張力を永久アンカーに伝達する引張部と;定着体の後端に結合し、圧縮応力が発生した場合に圧縮力を永久アンカーに伝達する圧縮部と;圧縮部の後端に結合し、外部に保護用パイプが備えられたPC鋼撚線と;永久アンカーを構造物に固定させる役割を果たすアンカー頭部と;を含んでなることを特徴とする、ハイブリッド型永久アンカーを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久アンカーに作用する集中荷重を分散減少させることができるようにするために、
圧縮部と引張部との間に設けられ、これらを互いに結合させる定着体と;
定着体の先端に結合し、引張応力が発生した場合に引張力を永久アンカーに伝達する引張部と;
定着体の後端に結合し、圧縮応力が発生した場合に圧縮力を永久アンカーに伝達する圧縮部と;
圧縮部の後端に結合し、外部に保護用パイプが備えられたPC鋼撚線と;
永久アンカーを構造物に固定させる役割を果たすアンカー頭部と;を含んでなることを特徴とする、ハイブリッド型永久アンカー
【請求項2】
前記定着体は、
先端には引張部の締結孔に結合させるためにボルトが備えられ、後端には圧縮部に頭なしボルトで結合させるために係止具が備えられることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型永久アンカー。
【請求項3】
前記引張部は、
定着体のボルトに締結されるように締結孔が設けられ、内部にコンクリートが投入されるように少なくとも一つの投入孔が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型永久アンカー。
【請求項4】
前記圧縮部とパイプとは頭なしボルトで互いに結合し、該頭なしボルトの外周面には、頭なしボルトを保護するチューブが被せられて備えられることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型永久アンカー。
【請求項5】
前記引張部は、
前記定着体のボルトが締結されるように締結孔が設けられた引張第1ボディと;
前記引張第1ボディの内部に締結されてワイヤを保持する少なくとも一つの引張くさびと;
一側は前記引張くさびに結合し、他側は引張第2ボディに結合するワイヤと;
前記引張第1ボディと前記引張第2ボディとの間に結合し、グラウトとの付着抵抗力を高めるコイルと;が備えられることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型永久アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハイブリッド型永久アンカーに係り、より詳細には、引張型の利点と圧縮型の利点のみを活用して、永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させて長期的な力の維持の上で有利にしたものであり、これにより永久アンカーの品質及び信頼性を大幅に向上させて良いイメージを植え付けることができるようにしたハイブリッド型永久アンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本出願人が先出願して登録された特許を改良発明したものであることを予め明らかにおく。
【0003】
周知の如く、アンカー(anchor)は、地盤中に引張材(例えば、PC鋼棒、PC鋼線、ストランドなど)を打ち込み、これを緊張させることにより、構造物からの荷重を地盤に伝える構造体をいう。
【0004】
前記アンカーは、定着される地盤によって、土砂地盤に定着される場合を土砂アンカー(Soil anchor)、岩盤に定着される場合を岩盤アンカー(rock anchor)に分類し、これを総称して地盤アンカー(ground anchor)と呼ぶ。
【0005】
特に、グラウンドアンカー工法は、図1に示すように、土木や建築構造物を地盤に定着させるために、高強度の鋼材に高い緊張力を導入して拘束力または先行荷重を適用する効果的な工法であって、仮設土留め壁の支保工、永久アンカー土留め壁、送電塔の基礎、ダムの補強、地下構造物の浮力アンカー、斜面補強などに使われている。また、グラウンドアンカー工法は、経済性だけでなく、大きい引抜抵抗力を得ることができ、優れた施工性のため国内外で活発に適用されている。
【0006】
また、グラウンドアンカーの構成は、引張部分の引張力を地盤に伝達させる機能を持つ「アンカー体(定着体の長さ)」、アンカー頭部における引張力をアンカー体に伝達する「引張部(自由長)」、及びアンカーを構造物に固定させる役割を持つ「アンカー頭部」で構成される。アンカーは、使用期間によって永久アンカーと仮設アンカーに区分され、アンカー施工法や構成部材によってアンカー各部分の形状はやや異なる。
【0007】
前記アンカーは、使用期間によって、仮設土留め壁や地盤を一時的に補強するために使用されるアンカーを仮設アンカーとし、初期引張力が少なくとも6ヶ月維持できるように設計する。使用期間が短いので、腐食及びアンカーの持続的な計測は必要ではない。また、構造物の残存期間と関連があり、通常2年以上長期間使用するアンカーを永久アンカーとし、長期荷重を維持することができなければならず、腐食及びアンカーの挙動を持続的に計測することが必要である。
【0008】
一方、前記アンカーは、グラウトの発生応力によって再び分類し、引張応力が発生する場合を引張型アンカーとし、圧縮応力が発生する場合を圧縮型アンカーとすることができる。
【0009】
この時、前記引張型アンカーの場合は、最も一般的なアンカーであって、国内外で活発に適用されており、研究成果と施工実績が豊富であるという利点はあるが、グラウト内の引張クラック(Creak)と荷重集中によるクリープ(Creep)などにより進行性破壊(Progressive failure)現象が発生して荷重減少が大きいという欠点を持っている。したがって、図2に示すように荷重が載荷される初期には曲線(1)(図2中、丸1で表記)のような荷重転移分布を持つが、時間が経過するにつれて、上述した原因などにより(3)(図2中、丸3で表記)のような曲線に変化し、この時、荷重が減少する。
【0010】
圧縮型アンカーの場合は、比較的最近に開発され、引張型アンカーの欠点である引張亀裂や腐食などの問題を補完するためのものであり、永久用及び仮設用に多様に施工されている。引張型アンカーに比べて、クリープ(Creep)による荷重減少は少ないが、高強度のグラウトを使用しなければならず、比較的軟弱な地盤では、所定のアンカー力を確保することができないという欠点を持っている。これらの原因により、先端圧縮型アンカーの場合に、図3に示すように、荷重転移分布は(1)(図3中、丸1で表記)から(3)(図3中、丸3で表記)に変化して荷重は減少する。引張型アンカー及び先端圧縮型アンカーの欠点を補完するために、最近では、荷重分散圧縮型アンカーが開発されて使用されている。
【0011】
したがって、上述した従来技術のアンカーをまとめると、次の問題点が発生した。
【0012】
つまり、従来の引張型アンカーは、引張型であるため、自由長と定着部との境界で長期的な引張力によるクリープ(creep)(変形)が発生するうえ、外径が大きくなり、効果もないなどの大きな問題点が発生した。
【0013】
また、従来の圧縮型アンカーは、自由長の引張時に下部定着部の集中荷重により長期間使用すると破損が発生し、コンクリートとアンカーとの間に破損が頻繁に発生するという大きな問題点が生じた。
【0014】
上述した従来技術の問題点を解決するために、引張型と圧縮型とを組み合わせた構造もあるが、引張型と圧縮型との境界にコンクリートの破損が頻繁に発生するという問題点が生じた。
【0015】
かかる問題点を解決するために、従来では、下記の先行技術文献が開発されたが、依然として、前述した従来技術の問題点を一挙に解決していないという大きな問題点が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国公開特許第2000−0002706号公報(2000年1月15日)
【特許文献2】韓国登録特許第1929420号公報(2018年12月10日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、かかる従来技術の諸般問題点を解消するためになされたもので、第1の目的は、永久アンカーに引張部、定着体、圧縮部、PC鋼線及びアンカー頭部が備えられるハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、前述した技術的構成による本発明の第2の目的は、引張型の利点と圧縮型の利点のみを活用して、永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させることができるようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第3の目的は、集中荷重を両方(上、下)に分けることにより、拡散角が減少するようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第4の目的は、力の拡散角を小さく減らすことにより、長期的な力の維持の上で有利にしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第5の目的は、定着長の定着体と引張圧縮部との境界で長期的な引張力により拘束圧によるクリープ(creep)(変形)が発生しないようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第6の目的は、永久アンカーの外径と長さが小さくなることにより安定性を確保して永久アンカーの固定維持期間を持続させる効果も上昇させることができるようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第7の目的は、自由長の引張時にも下部定着部に荷重が分散されることにより、長期間使用しても破損が発生しないようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第8の目的は、定着体の引張部分は圧縮力が弱いものの、引張力は強く、付着力の面で有利なFRP樹脂などを用いて、アンカーの設置時に荷重を減らし且つアンカー力は増加させる製品も実現可能にしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第9の目的は、コンクリートとアンカーとの間に破損が発生しないようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第10の目的は、引張型と圧縮型との境界にコンクリートの破損が発生しないようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにあり、第11の目的は、これにより永久アンカーの品質と信頼性を大幅に向上させて良いイメージを植え付けることができるようにしたハイブリッド型永久アンカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明は、永久アンカーに作用する集中荷重を分散減少させることができるようにするために、圧縮部と引張部との間に設けられ、これらを互いに結合させる定着体と;定着体の先端に結合し、引張応力が発生した場合に引張力を永久アンカーに伝達する引張部と;定着体の後端に結合し、圧縮応力が発生した場合に圧縮力を永久アンカーに伝達する圧縮部と;圧縮部の後端に結合し、外部に保護用パイプが備えられたPC鋼撚線と;永久アンカーを構造物に固定させる役割を果たすアンカー頭部と;を含んでなることを特徴とする、ハイブリッド型永久アンカーを提供する。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明は、永久アンカーに引張部、定着体、圧縮部、PC鋼撚線、及びアンカー頭部が備えられるようにしたものである。
【0020】
上述した技術的構成による本発明は、引張型の利点と圧縮型の利点のみを活用して、永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させることができるようにしたものである。
【0021】
また、本発明は、集中荷重を両方(上、下)に分けることにより、拡散角が減少するようにしたものである。
【0022】
また、本発明は、力の拡散角を小さく減らすことにより、長期的な力の維持の上で有利にしたものである。
【0023】
また、本発明は、定着長の定着体と引張圧縮部との境界で長期的な引張力により拘束圧によるクリープ(creep)(変形)が発生しないようにしたものである。
【0024】
特に、本発明は、永久アンカーの外径と長さが小さくなることにより安定性を確保して永久アンカーの固定維持期間を持続させる効果も上昇させることができるようにしたものである。
【0025】
また、本発明は、自由長の引張時にも下部定着部に荷重が分散されることにより、長期間使用しても破損が発生しないようにしたものである。
【0026】
また、本発明は、定着体の引張部分は圧縮力が弱いものの、引張力は強く、付着力の面で有利なFRP樹脂などを用いて、アンカーの設置時に荷重を減らし且つアンカー力は増加させる製品も実現可能にしたものである。
【0027】
また、本発明は、コンクリートとアンカーとの間に破損が発生しないようにしたものである。
【0028】
また、本発明は、引張型と圧縮型との境界にコンクリートの破損が発生しないようにしたものである。
【0029】
本発明は、上述した効果により、永久アンカーの品質と信頼性を大幅に向上させて良いイメージを植え付けることができるようにした非常に有用な発明である。
【0030】
以下では、これらの効果を達成するための本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来の永久アンカーの構成図である。
図2】従来の引張型アンカーの模式図、及び周辺摩擦分布を示すグラフである。
図3】従来の圧縮型アンカーの模式図、及び周辺摩擦分布を示すグラフである。
図4】本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーを示す第1実施形態の構成図である。
図5】本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーを示す第2実施形態の構成図である。
図6】本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーと従来の圧縮型及び引張型技術の挙動の比較を示す模式図である。
図7】本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させて長期的な力の維持の上で有利にしたものを示すグラフである。
図8】本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーと従来の圧縮型の軸力(定着長)を互いに比較した図である。
図9】本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーと従来の圧縮型の軸力(定着長)を互いに比較した結果値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカーは、図4図9に示すように構成される。
【0033】
以下で本発明を説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0034】
そして、後述される用語は、本発明における機能を考慮して設定された用語であって、これは、生産者の意図または慣例によって異なり得るので、その定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいて下されるべきである。
【0035】
また、図面に示されている各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されない。
【0036】
まず、本発明は、引張型の利点と圧縮型の利点のみを活用して、永久アンカー100に作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させて長期的な力の維持の上で有利にしたものである。
【0037】
このため、本発明は、永久アンカー100に作用する集中荷重を分散減少させることができるようにするために、圧縮部130と引張部110、110aとの間に設けられ、これらを互いに結合させる定着体(マルチ圧着具)120が備えられる。
【0038】
また、本発明は、前記定着体120の先端に結合し、引張応力が発生した場合に引張力を永久アンカーに伝達する引張部110(図4)または引張部110a(図5)が備えられる。
【0039】
また、本発明は、前記定着体120の後端に結合し、圧縮応力が発生した場合に圧縮力を永久アンカーに伝達する圧縮部130が備えられる。
【0040】
また、本発明は、前記圧縮部130の後端に結合し且つ外部に保護用パイプ145が備えられたPC鋼撚線140が備えられる。
【0041】
また、本発明は、前記永久アンカー100を構造物に固定させる役割を果たすアンカー頭部150が備えられたハイブリッド型永久アンカーを提供する。
【0042】
特に、前記アンカー頭部150は、格子ブロックに密着する支圧板156と、前記支圧板156を貫通してPC鋼撚線140を固定するヘッド153と、前記ヘッド153の一側でPC鋼撚線140を引っ張った後、挿入して固定させる複数の引張コーン155と、前記支圧板156の一側に設けられ、前記部品を保護するアンカーキャップ151とが備えられる。
【0043】
この時、前記アンカーキャップ151の内側には、少なくとも一つの固定溝152が設けられ、この固定溝152には、ヘッド153の外側に突出した固定突起154が備えられる。
【0044】
一方、本発明に適用された前記定着体120は、先端には引張部110の締結孔112に結合させるためにボルト123が備えられ、後端には圧縮部130に頭なしボルト122で結合させるために係止具121が備えられる。
【0045】
この時、前記定着体120の外周面には、コンクリートの被覆厚さを正確に維持するための台座として機能するスペーサ125が備えられることが好ましい。
【0046】
また、本発明に適用された前記引張部110は、定着体120のボルト123に締結されるように締結孔112が設けられ、内部にコンクリートが投入されるように少なくとも一つの投入孔111が設けられる。
【0047】
この時、前記引張部110の外周面は、一定の間隔で形成された凹凸部からなり、この凹凸部の突出リブには、コンクリートとの接触面積を広げることができるようにコンクリートが投入される通孔114、及びコンクリートと面接触する延長突出部113が備えられることが好ましく、特に、引張部110は、表面の粗さを高めることができる軽量のFRPなどの合成樹脂を用いて形成することができるようにすることが好ましい。
【0048】
また、本発明に適用された前記圧縮部130とパイプ145は、頭なしボルト131によって互いに結合し、この頭なしボルト131の外周面には、頭なしボルトを保護するチューブ135が被せられて備えられることが好ましい。
【0049】
一方、本発明に適用された別の実施形態の前記引張部110aは、次のとおり構成される(図5)。
【0050】
つまり、本発明は、定着体120のボルト123が締結されるように締結孔112aが設けられた引張第1ボディ111aが備えられる。
【0051】
また、本発明は、前記引張第1ボディ111aの内部に締結され、ワイヤ113aを保持する少なくとも一つ以上の引張くさび(wedge)114aが備えられる。
【0052】
また、本発明は、一側は引張くさび114aに結合し且つ他側は引張第2ボディ116aに結合するワイヤ113aが備えられる。
【0053】
特に、本発明は、前記引張第1ボディ111aと引張第2ボディ116aとの間に結合し、グラウトとの付着抵抗力を高めるコイル115aが備えられる。
【0054】
この時、前記コイル115aは、引張第1ボディ111aと引張第2ボディ116aの係止溝117aに係合されることにより、容易に離脱することを防止することが好ましい。
【0055】
また、前記コイル115aは、グラウトとの接触面積を最大化させるためにねじり棒ドーナツの如くねじれるように形成されることが好ましい。
【0056】
また、前記コイル115aには、グラウトとの付着抵抗力を高めるために、複数の溝118aが長さ方向に長く形成されることが好ましい。
【0057】
これに加えて、前記コイル115aには、グラウトが浸透してグラウトとの付着抵抗力を高めるための複数の孔119aがさらに備えられることが好ましい。
【0058】
一方、本発明は、上記の構成を適用するにあたり、様々に変形することができ、さまざまな形態を取ることができる。
【0059】
また、本発明は、上記の詳細な説明に記載されている特別な形態に限定されるものではないと理解されるべきであり、むしろ、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲内にあるすべての変形物、均等物及び代替物を含むと理解されるべきである。
【0060】
次に、上述したように構成された本発明のハイブリッド型永久アンカーの作用効果について説明する。
【0061】
まず、本発明は、引張型の利点と圧縮型の利点を活用して、永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させて長期的な力の維持の上で有利にしたものである。
【0062】
このため、本発明に適用された図4は、ハイブリッド型永久アンカー100を示す第1実施形態の構成図である。
【0063】
前述した本発明は、定着体120を中心として両側にそれぞれ引張部110と圧縮部130が備えられ、圧縮部130には、PC鋼撚線140が内蔵されたパイプ145、及びアンカー頭部150が順次連結される。
【0064】
上述のように組み立てられた本発明の永久アンカー100は、斜面の穿孔箇所に永久アンカー100を挿入し、穿孔ホールの内部にグラウトを注入した後、格子ブロックを設置し、次いで永久アンカー100を引張し、最後にアンカー頭部150のアンカーキャップ151を設置することにより仕上げる。
【0065】
前述した本発明は、定着体120の先端のボルト123に引張部110の締結孔112が緊密に結合するとともに、定着体120の後端の係止具121に頭なしボルト122が締結されることにより、定着体120を中心に引張部110と圧縮部130とが緊密に結合する。
【0066】
この時、前記引張部110の投入孔111からはコンクリートが投入され、地盤及び引張部110との摩擦力を極大化させることができる。
【0067】
特に、引張部110の凹凸リブに設けられた通孔114にはコンクリートが投入され、延長突出部113の両端にはコンクリートが密着することにより、さらに引張部110とコンクリートとの密着力を極大化させることができる。
【0068】
前述した過程で、本発明は、圧縮部130の集中荷重発生部分に対して、圧縮部130と引張部110の荷重を圧縮部130が1/4に分散減少させる。
【0069】
つまわり、本発明は、力の拡散角を、定着体120を中心に圧縮部(図4中、左方向を示す)と引張部(図4中、右方向を示す)の両側方向に分散して減らすことにより、長期的な力の維持の上で有利にしたものである。
【0070】
従って、本発明は、前記定着体120を中心に引張部110と圧縮部130を分けることにより、力の拡散角が両側に分散して減少することができるようにする。
【0071】
一方、図5は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100を示す第2実施形態の構成図である。
【0072】
前述した本発明の第2実施形態は、前述した第1実施形態と同様であり、ただし、引張部110aの構成及び作用効果が異なるため、この部分のみを詳細に説明する。
【0073】
つまり、本発明の第2実施形態は、定着体120の先端のボルト123に引張部110aの締結孔112aが緊密に結合するとともに、定着体120の後端の係止具121に頭なしボルト122が締結されることにより、定着体120を中心に引張部110aと圧縮部130とが緊密に結合する。
【0074】
特に、本発明は、引張第1ボディ111aと引張第2ボディ116aとの間にワイヤ113aが引張くさび114aで連結され、前記引張第1ボディ111aと引張第2ボディ116aの外周面の係止溝117aにはコイル115aが備えられることにより、追ってグラウトの投入時にコイル115a及びグラウトとの付着抵抗力を高めることができる。
【0075】
また、本発明は、前記コイル115aがねじり棒ドーナツのようにねじれるように形成され、長さ方向に長く設けられた溝118aにグラウトが密着するので、コイル115aとグラウトとの密着力を高めることができる。
【0076】
これに加えて、本発明は、前記コイル115aに一定の間隔で通孔119aを設けることにより、通孔119aを介してグラウトが投入されると、さらにコイル115aとグラウトとの密着及び付着抵抗力を高めることができる。
【0077】
一方、図6は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100と従来の圧縮型及び引張型技術の挙動の比較を示す模式図である。
【0078】
つまり、図6は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100を模写するために荷重作用点を定着体120の中央に位置させ、既存の高強度圧縮型アンカーと引張型アンカーとの挙動の比較のために荷重作用点を定着長の最下端と最上端にそれぞれ位置させたことを示すもので、荷重の大きさは100kN〜400kNまで変化を与えて、荷重の大きさによる挙動様相を示す。
【0079】
前述した結果、本発明は、従来の圧縮型または引張型アンカーの定着長の荷重を1方向に伝達し、圧縮+引張型(複合型)アンカーの荷重を2方向に伝達するので、圧力が1/4に減少する現象を示すので、アンカー定着体と原地盤との間のミルクまたはセメントに及ぼす圧縮力が減少し、これにより永久保存に有利な効果を提供する。
【0080】
図7は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100に作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させ、長期的な力の維持の上で有利にしたことを示すグラフである。
【0081】
つまり、図7のグラフ上のオレンジ色は従来(基本)圧縮型、緑色は従来(基本)引張型、青色点線は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100を示すものであり、本発明は、従来の圧縮型及び引張型に比べて定着体120を中心に圧力が1/4に減少する現象を確認することができるようになった。
【0082】
図8は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100と従来の圧縮型の軸力(定着長)を互いに比較して示す図である。
【0083】
図9は本発明に適用されたハイブリッド型永久アンカー100と従来の圧縮型の軸力(定着長)を互いに比較した結果値を示すグラフである。
【0084】
上述のように、本発明の永久アンカー100は、従来の圧縮型に比べて、軸力も、結果値が100kNである場合には84.8→37.4、200kNである場合には184.0→89.4、300kNである場合には283.5→140.8、400kNである場合には383.3→193.3に減少することを確認することができた。
【0085】
また、節減率も、100kNである場合には55.9%、200kNである場合には51.4%、300kNである場合には50.3%、400kNである場合には49.6%に節減されることを確認することができた。
【0086】
したがって、上述した本発明は、引張型の利点と圧縮型の利点のみを活用して、永久アンカーに作用する集中荷重発生部分を1/4に分散減少させることができるようにしたものであり、集中荷重を両側(上、下)に分けることにより、拡散角が減少するようにしたものであり、力の拡散角を小さく減らすことにより、長期的な力の維持の上で有利にしたものであり、自由長と定着部との境界で長期的な引張力によるクリープ(creep)(変形)が発生しないようにしたものであり、永久アンカーの外径と長さが小さくなることにより安定性を確保して永久アンカーの効果も上昇させることができるようにしたものであり、自由長の引張時にも下部定着部に荷重が分散されることにより、長期間使用しても破損が発生しないようにしたものであり、コンクリートとアンカーとの間に破損が発生しないようにしたものであり、引張型と圧縮型との境界にコンクリートの破損が発生しないようにした効果を提供する。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のハイブリッド型永久アンカーの技術的思想は、実際に同一の結果を繰り返し実施可能なもので、特に、このような本発明を実施することにより技術の発展を促進して産業の発展に貢献することができるため、保護する価値が十分にある。
【符号の説明】
【0088】
100 永久アンカー
110、110a 引張部
120 定着体(マルチ圧着具)
130 圧縮部
140 PC鋼撚線
150 アンカー頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9