工程a0)の無血清培地が、10〜30μg/mlのLDL、25〜100ng/mlのSCF、40〜50ng/mlのTPO、20〜30ng/mlのIL-6及び20〜30ng/mlのIL-9を含む、請求項4又は5に記載の方法。
a0) 低密度リポタンパク質(LDL)、幹細胞因子(SCF)、TPO、IL-6及びIL-9を含む無血清培地中、アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニストの存在下で、又はヒト間葉系間質細胞(hMSC)との同時培養によって、CD34+CD41dim細胞を含む細胞集団を得るために十分な時間、造血幹細胞(HSC)を培養すること; 及び
a1) 前記細胞集団から前記CD34+CD41dim細胞を単離すること、
を含む、巨核球(MK)前駆体細胞を生産する方法。
血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板及び輸血に使用するための輸血緩衝液を含む組成物であって、ここで前記使用が、請求項13に記載の方法によって血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板を調整することを含む、組成物。
【背景技術】
【0002】
血小板は生理学及び病理の両方において重要な役割を果たすため、それらの産生を制御するメカニズムを理解することが重要である。成人では、血小板は、造血幹細胞及び前駆細胞に由来する骨髄巨核球(MK)によって産生される。輸血用の血小板のin vitroでの生産は、近年多くの研究の対象となっている。培養条件の継続的な改善は、近年の輸血可能な血球と同様に、これを達成可能な目標にする。それにもかかわらず、我々は依然として、MK当たり1000個を超える血小板を生成し得る天然プロセスを効率的に再現することができない(Reems JA et al., Transfusion medicine reviews. 2010;24:33-43)。
【0003】
in vitroでの血小板産生を改善する1つの方法は、血小板前駆細胞段階に成熟する能力の増加したMK前駆細胞を単離し、増幅することでと考えられる。造血の認容された階層的なマップにおいて、MKは、一般的な二倍性MK /赤血球前駆細胞(MEP)から分岐する(Chen L et al., Science. 2014;345:1251033)。別個のMK前駆体の存在が示唆されているが、そのような一義的な前駆体は、ヒトの成人造血細胞からはっきりと同定されていないか、又は拡大されていない。血小板前駆細胞を有するMKを産生する能力が増加しているように見える希少なヒト集団が確認されたが、そんれらの細胞は、in vitro血小板産生のために増幅又は評価されていない(Debili N. et al., Blood. 1992;80:3022-3035; Dercksen MW et al., Blood. 1995;85:3313-3319; Norol F. et al., Blood. 1998;91:830-843)。特に、CD41陽性細胞は、骨髄から直接又はMK促進条件下での培養後に単離されたヒトCD34
+細胞の中に記載されている(Debili N. et al., Blood. 1992;80:3022-3035; Dercksen MW et al., Blood. 1995;86:3771-3782)。しかし、これらの集団は高度に倍数体であり、増殖することができなかった(Dercksen MW et al., Blood. 1995;86:3771-3782)。CD34
+ CD41
+細胞は、骨髄由来のCD34
+細胞をhMSC上でTPOなしで共培養した後にも観察されたが、異なるCD41
dim亜集団についての証拠は得られなかった(Cheng L. et al., Journal of cellular physiology. 2000;184:58-69)。非常に少数の集団を表すCD34
+CD41
low表現型を有する細胞は、最近、末梢血由来の培養物で報告されたが、それ以上の特徴付けはされなかった(Debili et al., Blood, 2001, 97(7), 2023-2030)。
【0004】
古典的には、ヒトMKは、CD34
+細胞、造血幹細胞を含有する集団及び様々な可能性を有する前駆細胞の混合物から培養において分化する。TPOの利用可能性から、間質細胞の有無にかかわらずサイトカインと成長因子の段階的な組み合わせを用いて、MK分化を改良するための多数のプロトコルが考案されている(Sullenbarger B. et al., Experimental hematology. 2009;37:101-110; Panuganti S. et al. Tissue engineering Part A. 2013;19:998-1014; Pineault N. et al., Cytotherapy. 2011;13:467-480)。結果として、増大したサイズ及び倍数性(ploidy)、血小板特異的マーカー(CD41及びCD42)の出現及び血小板前駆細胞を産生する能力によって証明されるように、インプットCD34
+細胞の数を増やす、及びMKを分化させる能力が改善されていることが報告されている。この進歩にもかかわらず、血小板前駆段階に達するMKの割合は低く、血小板産生は骨髄におけるin situ分化したMKのそれよりもはるかに低い。
【0005】
トランスクリプトームデータベースは、アリール炭化水素受容体(AhR)がMK(HSC、CMP、MEP及びMK)に至る経路に沿って十分に発現されることを明らかにした(Smith BW et al., Blood. 2013;122:376-385)。最近開発された高親和性AhRアンタゴニストであるStemRegenin 1(SR1)は、造血前駆細胞(HPC)の増殖を促進することがさらに報告された(Boitano AE et al., Science. 2010;329:1345-1348)。
【0006】
AhRモジュレーターと接触させる工程を含む、造血幹細胞からMK又は血小板をin vitroで生産する方法が開示されている。
【0007】
WO2012/129109は、血小板を産生するためのex vivo三段階法を開示し、それはSR1及び間葉幹細胞を含む29種の成長因子又は成長因子の群から選択される複数の成長因子の存在下で幹細胞を培養することによって巨核球前駆細胞集団を生成する第1の工程を含む。この方法はさらに、酸素濃度の増加した条件下で、かつ複数の増殖因子の存在下で、肥大した巨核球前駆細胞を成熟させること、並びに酸素濃度の増加した条件及び複数の成長因子の存在下で、血小板を生成するため、3次元マトリックス中で成熟した巨核球を培養することを含む。
【0008】
WO2014/028749は、AhRモジュレーターの存在下でMEP前駆細胞を培養中のMEPに分化させることを含む、巨核球-赤血球系前駆細胞(MEP)を作製する方法を開示する。この方法は、特にAhRアンタゴニストの存在下でMEP前駆細胞を培養し、次いでAhRアゴニストの存在下でMEP前駆細胞を培養することを含む。
【0009】
WO2014/138485は、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)アンタゴニスト及びサイトカインTPO、IL-6、Flt3-L及びSCFの組み合わせを用いた造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の指向性分化により巨核球を生成する第1段階、及びAhRアンタゴニスト及びTPO、IL-6、Flt3-L及びSCF、又はAhRアンタゴニスト及びTPO、及び任意でマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を用いて巨核球からの血小板の生体発生を促進する第2段階を含むex vivo 2段階法を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、末梢血造血幹細胞(HSC)の2段階培養において、Ah1アンタゴニストであるSR1が、血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び血小板様エレメントの産生を有意に改善することを見出した。さらに重要なことに、SR1を用いた培養はCD34
+CD41
dim集団の富化をもたらし、これは細胞選別時に血小板前駆細胞段階まで成熟する前例のない能力を示した。
【0017】
同様の巨核球ポテンシャルを示すCD34
+CD41
dim細胞の同様の富化が、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)と共培養したHSCにおいて観察された。hMSCとの共培養は、SR1処置のように、AhRの抑制をもたらした。
【0018】
さらに、SR1及びhMSCの効果は両方ともAhRアゴニストによって防止され、CD34
+CD41
dim巨核球前駆体の増幅がAhR経路の抑制を介して進行することを示した。
【0019】
巨核球(MK)前駆細胞の産生
本発明は、以下の巨核球(MK)前駆細胞を産生する方法を提供する:
a0) 低密度リポタンパク質(LDL)、幹細胞因子(SCF)、TPO、IL-6及びIL-9を含む無血清培地中、アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニストの存在下で、又はヒト間葉系間質細胞(hMSC)との同時培養によって、CD34
+CD41
dim細胞を含む細胞集団を得るために十分な時間、造血幹細胞(HSC)を培養すること; 及び
a1) 前記細胞集団から前記CD34
+CD41
dim細胞を単離すること。
【0020】
本明細書で使用される「造血幹細胞」(HSC)は、自己再生し、顆粒球、赤血球、血小板及び単球を含むより成熟した血液細胞に分化する能力を有する未成熟血液細胞を指す。HSCは、本明細書を通して交換可能に幹細胞として記載される。一実施形態において、HSCはCD34
+細胞である。CD34
+細胞は、上で定義した幹細胞特性を有する細胞の亜集団を含むと考えられている。HSCには、多能性幹細胞、複能性幹細胞(例えば、リンパ系幹細胞)、及び/又は特定の造血系に関与する幹細胞が含まれることは、当該技術分野において周知である。HSCの供給源には、未分画骨髄、臍帯及び末梢血が含まれる。例えば、正常末梢血細胞は、G-CSF [白血球除去(LK)細胞]で動員することができ、及びCD34
+細胞は、細胞選択によってLK細胞から単離される。HSCはまた、造血系に関与する誘導多能性幹(iPS)細胞を含む。iPS細胞は、当業者に周知である。例えば、iPS細胞は、Takahashi & Yamanaka (2006) Cell 126:663-676及びYamanaka et al. (2007) Nature 448:313-317の教示に従って得ることが出来る。好ましくは、HSCはヒト細胞である。
【0021】
開始HSC集団は、好ましくは、少なくとも60%のCD34
+細胞、いくつかの実施形態では80%を超えるCD34
+細胞、又は90%を超えるCD34
+細胞を含むことができる。開始HSC集団は、10
5〜10
9個の有核細胞を含み得る。
【0022】
培養のために、HSCは、典型的には、培養培地1mLあたり1〜10×10
4の細胞密度、例えば1mL当たり2〜6×10
4の細胞密度で播かれる。
【0023】
本出願を通して用いられる「培養培地」は、前記方法の各段階で特定される、サイトカイン、成長因子、及びAhRアンタゴニストの混合物が補充された「基礎培地」を意味する。好ましくは、基礎培地には、各工程で特定されるサイトカイン、成長因子、及びAhRアンタゴニストの混合物以外の追加の成分が補充されない、すなわち、培養培地に含まない。好ましくは、ヒトサイトカイン及び成長因子は、本発明の枠内で使用される。
【0024】
「基礎培地」は、典型的にはアミノ酸、炭素源、ビタミン、血清タンパク質(例えば、アルブミン)、無機塩、二価陽イオン、緩衝液及び細胞の培養における使用に適した任意の他の要素、並びに特にHSCを含む合成無血清培地である。基礎培地は、典型的には、細胞培養中のコンタミネーションを防ぐために抗生物質、及びグルタミンを含むか又は補充され得る。増殖因子及びサイトカインは、典型的には、基礎培地には存在しない。
【0025】
HSCを培養する方法に適したそのような基礎培地の例には、限定されないが、StemSpan(商標) Serum-Free Expansion Medium (SFEM) (StemCell Technologies, Vancouver, Canada)、StemSpan(登録商標) H3000 -Defined Medium (StemCell Technologies, Vancouver, Canada)、CellGro(登録商標) SCGMを含む。
【0026】
StemSpan(商標) Serum-Free Expansion Medium (SFEM)は、(SFEM)は、ヒト造血細胞のインビトロ培養及び増殖のために開発された。この培地は、事前に試験したウシ血清アルブミン、インスリン及びトランスフェリン、並びにIscoveのMDMの補充物を含有する。造血細胞の最適な成長及び増殖に必要な組換え造血成長因子は、StemSpan(登録商標)SFEMには存在しない。
【0027】
MK前駆細胞の産生のために、基礎培地に低密度リポタンパク質(LDL)、幹細胞因子(SCF)、TPO、IL-6及びIL-9が補充される。
【0028】
いくつかの実施形態において、培地は、例えば、25〜100ng/mL、特に10〜50ng/mL、40〜50ng/mL、又は20〜30ng/mL等の1〜100ng/mLの濃度でSCF、TPO、IL-6及びIL-9が存在する。
【0029】
基礎培地は、好ましくは1〜40μg/mL、例えば10〜30μg/mL、又は15〜25μg/mLのLDLで補充される。
【0030】
特に、培養培地は、10〜30μg/mL LDL、25〜100ng/mL SCF、40〜50ng/mL TPO、20〜30ng/mL IL-6及び20〜30ng/mL IL-9を含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、SCF、TPO、IL-6及びIL-9は、StemSpan(商標) Megakaryocyte Expansion Supplement (以前はCC220として知られていた) (StemCell Technologies, Vancouver, Canada)を加えることによって、基礎培地に加えられる。StemSpan(商標) Megakaryocyte Expansion Supplementは、100倍濃縮物として供給され、CD34
+臍帯血(CB)又は骨髄(BM)細胞で開始した液体培養物中のヒト巨核球前駆細胞の増殖及び分化を選択的に促進するように処方された組換えヒトサイトカイン(SCF、IL-6、IL-9及びTPO)の組合せを含む。
【0032】
CD34
+CD41
dim細胞を含む細胞集団を産生するためのHSCの培養は、アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニストの存在下で、又はヒト間葉系間質細胞(hMSC)との共培養によってさらに行われる。
【0033】
いくつかの実施形態において、AhRアンタゴニストは、式(I)
【化1】
(式中、
Lが、-NR
5a(CH
2)
2-
3-、-NR
5a(CH
2)
2NR
5b-、-NR
5a(CH
2)
2S-、-NR
5aCH
2CH(OH)-及び-NR
5aCH(CH
3)CH
2-から選択され; ここで、R
5a及びR
5bが、水素及びC
1-4アルキルから独立して選択され;
R
1が、チオフェニル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル及びチアゾリルから選択され; ここで、前記R
1のチオフェニル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾリオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル及びチアゾリルが、ハロ、シアノ、C
1-4アルキル、ハロ置換-C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、-S(O)
0-2R
8a及び-C(O)OR
8aから独立して選択される1〜3個の基で任意に置換され、ここで、R
8aが、水素及びC
1-4アルキルから選択され;
R
2が、-S(O)2NR6aR6b、-NR6aC(O)NR6bR6c、フェニル、ピロロピリジニル、インドリル、チオフェニル、ピリジニル、トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、ピラゾリル及びインダゾリルから選択され; ここで、R
6a、R
6b及びR
6cは、水素及びC
1-4アルキルから独立して選択され; 及び前記R
2のフェニル、ピロロピリジニル、インドリル、チオフェニル、ピリジニル、トリアゾリル、 オキソイミダゾリジニル、ピラゾリル又はインダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(CH
2)
nNR
7aR
7b、-OS(O)
2NR
7aR
7b及び-NR
7aS(O)
2R
7bから独立して選択される1〜3の基で任意で置換され; ここで、R
7a及びR
7bは、水素及びC
1-4アルキルから独立して選択され;
R
3は、水素、C
1-4アルキル及びビフェニルから独立して選択され;
R
4は、C
1-10アルキル、C
1-4アルケニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、シクロヘキシル、(オキソピロリジニル)エチル、テトラヒドロピラニル、フェニル及びベンジルから選択され、ここで前記R
4のC
1-10アルキル、C
1-4アルケニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、シクロヘキシル、(オキソピロリジニル)エチル、テトラヒドロピラニル、フェニル及びベンジルは、ヒドロキシ、C
1-4アルキル及びハロ置換-C
1-4アルキルから独立して選択される1〜3個の基で置換され得る。)
若しくは薬学的に許容される塩、又はその立体異性体、を有する基礎培地に加えた合成化合物である。
【0034】
いくつかの実施形態において、式(I)のAhRアンタゴニストは、ステムレゲニン1(SR1)、すなわち、4-(2-(2-(ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノールである。
【0035】
工程a0)の間に、AhRアンタゴニストは、典型的には10nM〜10μM、例えば100nM〜7.5μM、特に1〜5μMの濃度で培地中に存在する。
【0036】
他の実施形態において、HSCは、LDL、SCF、TPO、IL-6及びIL-9を含む培地中のヒト間葉間質細胞(hMSC)と共培養される。以下の実施例において本発明者らが示すように、AhRアゴニストFICZを加えることにより、hMSCとの共培養の効果が逆転され、hMSCとの共培養はAhRの下流標的であるCYP1B1の転写を劇的に減少させた。したがって、これらの結果は、hMSCとの共培養がAhR経路に拮抗することを実証する。
【0037】
一実施形態に従い、前記hMSCは、以下を含む方法によって得られる:
i) フィコール(Ficoll)密度勾配により健康なヒト被験体から骨髄単核細胞(BM-MNC)を単離すること;
ii) 5〜15%のウシ胎仔血清及び0.5〜5ng/mLの線維芽細胞成長因子2(FGF-2)、例えば1ng/mLのFGF-2を含む培養培地において、単離されたBM-MNCを播種すること;
iii) 播種した細胞を2日間培養し、非付着細胞を捨て、回収した付着細胞を播種すること;
iv) 10%ウシ胎仔血清及び0.5〜5ng/mLのFGF-2(例えば、4ng/mL)を含む培地中で接着細胞を、コンフルエンスになるまで新しい培地で週2回培養培地を交換し培養すること; 及び
v) hMSCを採取し、収穫した細胞を、10%ウシ胎仔血清及び0.5〜5ng/mLのFGF-2を含む培地中でコンフルエンスになるまで播種及び培養すること。
工程ii)において、BM-MNCを、例えば10
4細胞/cm
2の細胞密度で播種する。
【0038】
hMSCの採取は、典型的には、トリプシンを用いて行われる。次いで、細胞を典型的には500細胞/cm
2の細胞密度で播種し、コンフルエンスになるまで培養する(第1継代、P1)。hMSCsは、CD45、CD14、CD34及びCD31発現の欠如を、CD73、CD90及びCD105の強力な発現とともに示す。
【0039】
hMSCは、10%ウシ胎児血清及び0.5〜5ng/mLのFGF-2、例えば2ng/mLのFGF2を含む培地中で維持することができる。
【0040】
hMSCはコンフルエンスな層で使用され、CD34
+細胞は、典型的に上記の特定の細胞密度で加えられる。
【0041】
hMSCを産生及び維持するために使用される培地は、α-MEMなどの間葉系細胞の培養に適した任意の培地である。
【0042】
MK前駆細胞を産生するために、工程a0)において、HSCの培養を6〜8日間、好ましくは7日間行う。
【0043】
培養物は、通常、正常酸素圧条件下(すなわち、20〜21%O
2)及び5%CO
2下、37℃でインキュベートされる。
【0044】
培養期間の終わりに、培養物は、当業者に公知の任意の適切な方法によって細胞培養物から単離されるCD34
+CD41
dim細胞を含む。
【0045】
典型的には、懸濁液中の細胞を採取し、PBS等の適切な緩衝液で洗浄する。
【0046】
CD34及びCD41マーカーに基づいてCD34
+CD41
dim細胞集団を単離する方法は、フローサイトメトリー、より具体的には蛍光活性化細胞選別(FACS)技術を使用する。そのために、細胞培養物から採取した懸濁液中の細胞を、標識抗CD34抗体及び抗CD41抗体の混合物と共にインキュベートする。インキュベーションは、典型的には4℃で20〜40分間行うことができる。次いで、FACSによる細胞選別の前に細胞を洗浄する。
【0047】
生存可能なCD34
+CD41
dim細胞のみが、採取された細胞集団から選択される。この実施形態によれば、洗浄された細胞は、DNAのマーカーである7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)又はHoechst等の細胞生存率の蛍光マーカーと共にさらにインキュベートされる。インキュベーションは、典型的には4℃で20〜40分間行う。次いで、FACSによる細胞選別の前に細胞を洗浄する。
【0048】
FACSの形態学的分類ゲート及び分類ゲートは、典型的には以下のように配置される:
- CD34: 10
0,2〜10
1,2まで;
- CD41: log10
1〜log10
2まで。
【0049】
CD34
+CD41
dim細胞集団は、AhRアンタゴニスト(例えば、SR1)の存在下で培養物として容易に同定され得、コントロール条件と比較して平均蛍光強度が低いCD34
+CD41
+細胞集団を生じ、及び
図10に示すように識別され得る。
【0050】
選択されたCD34
+CD41
dim細胞は、以下の特徴のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせによって特徴付けられる:
- 小さいサイズ、典型的にFSC: 200〜400、SSC:200;
- 低い倍数性、典型的には2n-4n;
-純粋なMKに成熟する高い能力、典型的には、1つのCD34
+CD41
dim細胞が2〜3MKを生成することができる。
本明細書に記載された方法は、播種したHSC、特にCD34
+細胞当たり少なくとも150,000個のCD34
+CD41
dim細胞を産生する。
【0051】
本発明はさらに、MK前駆細胞の実質的に純粋な細胞集団に関連し、ここで、集団中の細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、90%、95%がCD34
+CD41
dim細胞である。
【0052】
実施形態において、前記実質的に純粋なMK前駆細胞集団は、少なくとも150,000個のCD34
+CD41
dim細胞を含む。
【0053】
前記MK前駆細胞の実質的に純粋な細胞集団は、巨核球(MK)前駆細胞を産生する方法によって得ることができるか、又は得られる。
【0054】
本発明者らはさらに、CD9
-選別を用いてCD34
+CD41
dim細胞の亜集団を単離した。この亜集団は、CD34
+CD9
-CD41
+と呼ばれる。この亜集団CD34
+CD9
-CD41
+は、SR1の存在下で10日間培養した末梢血CD34
+細胞から得られ、このCD34
+CD9
-前駆細胞は、細胞選別によってゲート(gated)された。次いで、CD34
+CD9
-前駆細胞の集団を、実施例2でさらに説明するように、FSC/CD41
+発現に従ってMK前駆細胞に分画した。得られた亜集団は、このようにしてCD34
+CD9
-CD41
+細胞集団として同定された。
【0055】
当業者には、特に
図11の観点から、ゲーティングCD9-細胞はCD41
high細胞を排除することが理解されると考える。従って、FSC/CD41
+発現によってゲートされる残りのCD41
+細胞はCD41
dim細胞である。したがって、本発明者によって同定されたCD34
+CD9
-CD41
+細胞集団は、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞集団と呼ぶこともできることは、当業者にはさらに理解され得る。
【0056】
したがって、以下では、CD34
+CD9
-CD41
+亜集団を、CD34
+CD9
-CD41
dimと区別して言及することができる。
【0057】
CD34
+CD9
-CD41
dim細胞のこの亜集団の使用は、CCD34
+CD41
dim細胞の使用と比較して血小板放出を1.8倍増加させることを可能にする。
【0058】
上記に従い、一実施例では、巨核球(MK)前駆細胞を生産する方法の工程a0)において、CCD34
+CD41
dim細胞を含む細胞集団は、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞を含む細胞集団であり、工程a1)において、前記CD34
+CD9
-CD41
dim細胞集団を単離する。
【0059】
従って、一実施形態において、本発明は、以下の巨核球(MK)前駆細胞を作製する方法に関連する。
a0) 低密度リポタンパク質(LDL)、幹細胞因子(SCF)、TPO、IL-6及びIL-9を含む無血清培地中、アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニストの存在下で、又はヒト間葉系間質細胞(hMSC)との同時培養によって、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞を含む細胞集団を得るために十分な時間、造血幹細胞(HSC)を培養すること; 及び
a1) 前記細胞集団から前記CD34
+CD9
-CD41
dim細胞を単離すること。
【0060】
CD34
+CD41
dim細胞と同様に、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞は、以下の特徴のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせによって特徴付けられる:
- 小さいサイズ、典型的にはFSC:200〜400、SSC:200;
- 低倍数性、典型的には2n-4n;
- 純粋なMKに成熟する高い能力、典型的には1つのCD34
+CD41
dim細胞は2〜3のMKを生成することができる。
【0061】
CD34及びCD41マーカーに基づいてCD34
+CD9
-CD41
dim細胞集団を単離するための方法は、フローサイトメトリー、より具体的には蛍光活性化細胞選別(FACS)技術を使用する。そのために、細胞培養物から採取した懸濁液中の細胞を、標識抗CD34及び抗CD9抗体の混合物と共にインキュベートする。インキュベーションは、典型的には4℃で20〜40分間行うことができる。次いで、FACSによる細胞選別の前に細胞を洗浄する。
【0062】
生存可能なCD34
+CD9
-細胞のみが、採取された細胞集団から選択される。この実施形態に従い、洗浄された細胞は、DNAのマーカーである7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)又はHoechst等の細胞生存率の蛍光マーカーとともにさらにインキュベートされる。インキュベーションは、典型的には4℃で20〜40分間行われる。次いで、FACSによる細胞選別の前に細胞を洗浄する。選別にCD9-細胞サーフェスマーカーを使用すると、CD41
high細胞は除外される。得られた生存可能なCD34
+CD9
-を、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞の集団を得ることを可能にするFSC/CD41
+発現に従ってMK前駆細胞にさらに選別する。
【0063】
一実施形態において、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞集団は、CD34
+CD41
dim細胞集団の40〜80%、好ましくは45〜75%、例えば50〜70%、55〜65%、より好ましくは60%で存在する。
【0064】
本発明はさらに、MK前駆体の実質的に純粋な細胞集団であって、ここで、集団において、少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、60%、より好ましくは80%、例えば85%、90%、95%の細胞は、CD34
+CD9
-CD41
dim細胞である。
【0065】
一実施形態において、前記MK前駆細胞の実質的に純粋な細胞集団は、少なくとも150,000のCD34
+CD9
-CD41
dim細胞を含む。
【0066】
前記MK前駆細胞の実質的に純粋な細胞集団は、巨核球(MK)前駆細胞を産生する方法によって得ることができるか、又は得られる。
【0067】
血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板の産生
本発明は以下の血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板を産生する方法を提供する:
a) トロンボポエチン(TPO)を含む無血清培地中、アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニストの存在下で、又はヒト間葉系間質細胞(hMSC)との同時培養によって、血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板を含む細胞集団を得るために十分な時間、MK前駆体の単離された前記CD34
+CD41
dim細胞集団を培養すること; 及び
b) 血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を含む前記細胞集団を回収すること。
【0068】
培養に関して、CD34
+CD41
dim細胞は、典型的には、無血清培地1mLあたり1〜10×10
4の細胞密度、例えば1mL当たり2〜6×10
4の細胞密度で播種される。
【0069】
血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板の産生に関して、基礎培地にTPOを補充し、培養をAhRアンタゴニストの存在下で行う。
【0070】
用語「無血清培地」、「基礎培地」及び「アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニスト」は、上記で定義した通りである。
【0071】
一実施形態において、培養培地は、20〜100ng/ml TPO、好ましくは25〜65ng/ml、さらに好ましくは40〜60ng/mlを含む。
【0072】
工程a)において、AhRアンタゴニスト、特に上記で定義した式(I)の化合物
【化2】
、又はhMSCとの共培養は、AhRアンタゴニストとは独立に、又はCD34
+CD41
dim細胞を産生するために工程a0)で使用されるhMSCとの共培養に使用される。
従って、以下の実施形態は、本発明に包含される。
【0073】
従って、以下の実施形態は、本発明に包含される:
- 工程a0)及びa)の両方において、AhRアンタゴニスト、特に式(I)の化合物を使用する、又はhMSCとの共培養を行う;
- 工程a0)において、AhRアンタゴニスト、特に式(I)の化合物が使用され、一方、工程a)において、hMSCとの共培養が実施される; 及び
- 工程a0)において、hMSCとの共培養が行われ、工程a)において、AhRアンタゴニスト、特に式(I)の化合物が使用される。
【0074】
培養物は、典型的に、正常酸素条件(すなわち、20〜21%O
2)及び5%CO
2下、37℃でインキュベートされる。
【0075】
実施形態において、培養の工程a)は、5〜9日間、好ましくは6〜8日間、さらに好ましくは約7日間行われる。
【0076】
培養期間の終わりに、懸濁液中の細胞を培養物から収穫し、それにより、細胞培養物中に存在する血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板を回収する。
【0077】
血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)は、位相差顕微鏡検査によって、円形及び血小板前駆細胞を有する細胞を検出することによって同定され得る。
【0078】
一実施形態において、MK前駆細胞のCD34
+CD41
dim細胞集団は、MK前駆細胞のCD34
+CD9
-CD41
dim細胞集団である。
【0079】
従って、一実施形態において、本発明は以下の血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板を産生するex vivo法に関連する:
a) トロンボポエチン(TPO)を含む無血清培地中、アリール炭化水素受容体(AhR)アンタゴニストの存在下で、又はヒト間葉系間質細胞(hMSC)との同時培養によって、血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を含む細胞集団を得るために十分な時間、MK前駆体の単離されたCD34
+CD9
-CD41
dim細胞集団を培養すること; 及び
b) 血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を含む前記細胞集団を回収すること。
【0080】
一実施形態において、当該方法は、血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板含む細胞集団からCD41/CD61+及びCD42c
+細胞を選択することをさらに含む。血小板又は血小板様粒子は、ヒト血小板と同じ散乱特性を有するCD41及びCD42c二重陽性事象として同定される。
【0081】
CD41及びCD42cマーカーに基づく細胞選別の後、血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を有する細胞集団は、典型的に、少なくとも75%、好ましくは80%、85%、90%、92%又は95%の血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を含む。
【0082】
好ましくは、血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を有する細胞集団は、20,000個のCD34
+CD41
dim播種細胞から得られた少なくとも50,000個のCD41
+CD42c
+細胞を含む。SR1等のAhRアンタゴニストを用いて産生されたMKの約90%及びhMSCとの共培養を用いて産生されたMKの約50%が血小板前駆細胞を有するMKである。
【0083】
従って、本明細書に記載の方法は、播種されたCD34
+CD41
dim細胞当たり少なくとも2個、好ましくは少なくとも2.5個、例えば、2.7個の血小板前駆細胞を有するMKを産生する。約1.10
6の血小板が、CD34
+CD41
dim播種細胞20,000個から、従って、CD34
+CD41
dim播種細胞あたり約50個の血小板が得られる。
【0084】
一実施形態において、本明細書に記載の方法は、播種したCD34
+CD41
dim細胞あたり少なくとも3.6、好ましくは少なくとも4.5、例えば4.8MKを産生する。約1.8x10
6個の血小板は、CD34
+CD9
-CD41
dim播種細胞20,000個から得られ、したがって、CD34
+CD9
-CD41
dim播種細胞あたり約90個の血小板が得られる。
【0085】
血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板の製造方法は、回収した血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板を洗浄し、洗浄した細胞を輸血緩衝液中に懸濁することをさらに含むことができる。
【0086】
これは、遠心分離、例えば1000gで10分間、細胞をペレット化すること、及び10
7〜10
10の血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板/mlの濃度の輸血緩衝液、例えば5%HSA(Baxter)中に細胞を再懸濁することによって調製することによって容易に達成され得る。
【0087】
本発明の方法は、HLA適合CD34
+細胞を用いることにより、患者特異的様式で血小板を産生することができる。
【0088】
組成物及び治療処置
本発明は、さらに、血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板、特にCD41及びCD42c
+細胞、の細胞集団、並びに本発明の方法によって得られるか又は得られる輸血緩衝液を含む組成物に関連する。
【0089】
本発明はまた、同種異系移植又は自己移植におけるその使用のための前記組成物に関する。一実施形態において、輸血に用いる組成物において、前記使用は、本発明による方法により、血小板前駆細胞を有する巨核球(MK)及び/又は血小板を調製することを含む。
【0090】
以下の、それを必要とする患者の輸血方法がさらに提供される:
a) 血小板前駆細胞を有するMK及び/又は血小板及び本発明の方法による輸血緩衝液を含む組成物を調整すること;
b) 前記組成物を、それを必要とする患者に輸血すること。
【0091】
本発明の対象は、げっ歯類、イヌ、ネコ又は霊長類等の哺乳動物である。好ましくは、対象は、ヒトである。
【0092】
輸血される細胞の数は、典型的には、性別、年齢、体重、疾患又は障害の種類、障害の段階、細胞集団における所望の細胞の割合及び治療利益を産生するために必要な細胞の量等を考慮に入れる。特定の一実施形態において、組成物は、静脈内輸血によって投与され、必要に応じて少なくとも108の血小板/kg、10
9〜10
10の血小板/kg又はそれ以上を含む。輸血用量は典型的には約3〜5×10
11の血小板である。
【0093】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明される。
【実施例】
【0094】
実施例1
材料及び方法
CD34
+細胞の単離
CD34
+細胞は、Ivanovic達(Transfusion. 2006;46:118-125.)によって記載された手順を用いることにより、Etablissement Francais du Sang-Alsaceから得られた白血球除去フィルターから回収された。簡潔には、RosetteSep(登録商標)Human Granulocyte Depletion Cocktail (StemCell Technologies, Vancouver, カナダ),を用いて15分間インキュベートした後、単核細胞をHistopaque(登録商標)-1077(Sigma-Aldrich)密度勾配分離により400gで30分間単離した。次いで、CD34
+細胞を、免疫磁気細胞選別システム(AutoMacs, Miltenyi, Bergisch Galdbach, Germany)を用いた陽性選択によって単離した。83.30±1.96%の生存率及び82.80±2.25%のCD34
+純度が常に得られた(n=6)。
【0095】
培養におけるMK分化
CD34
+細胞を、20ng/mLのヒトLDL及びSCF、TPO、IL-6及びIL-9(すべてStemcell Technologiesから)、1μMのSR1(Cellagen Technology, San Diego, CA)の有り無しを含有するサイトカインのカクテルであるCC220(1X)を補充したStemSpan SFEM培地に4×10
4個/mLの密度で48ウェルプレートに播種した(
図1A)。7日目に、細胞を採取し、洗浄し、30μg/mLのTPOを含有するStemSpan SFEM培地中に1μMのSR1を含むか含まないで次の7日間のため、5×10
4/mLで播種した。培養物を、正常酸素条件及び5%CO
2下、37℃でインキュベートした。培養7日目及び10日目に、細胞を計数し、自動細胞カウンター(ADAM、Digital-Bio、Korea)でヨウ化プロピジウム排除によって生存率を測定し、CD34、CD41及びCD42bの発現を、Kaluzaソフトウェアを使用したガリオスフローサイトメーターで測定した(Beckman Coulter, Villepinte, France)。いくつかの実験において、SR1を、0.2μMで加えたAhRアゴニストFICZ(Enzo life sciences, Villeurbane, France)で置き換えた。
【0096】
第2のプロトコルでは、CD34
+細胞を、ヒト骨髄から単離した間葉系間質細胞(MSC)の存在下で培養した(Guilloton F et al., Blood. 2012;119:2556-2567)。MSCを、10%ウシ胎仔血清(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)及び2ng/mL組換えヒト(rh)FGF2(Peprotech, Rocky Hill, NJ)を補充したα-MEM培地中で維持した。CD34
+細胞を、20ng / mLのヒトLDL及びCC220を補充したStemSpan SFEM培地中の48ウェルプレート中、4×10
4/mLの密度でMSCのコンフルエント層に加えた。7日目に、懸濁液中の細胞を収穫し、洗浄し、30ng/mLのTPOを含有するStemSpan SFEM培地中のコンフルエントなMSCの新しい層に5x10
4/mLでさらに7日間共培養した(
図5A)。
【0097】
細胞選別
10日目に回収された細胞を、Alexa-488結合抗CD41(ALMA.17)及びPE-Cy7結合抗CD34 mAb(BD Biosciences)の混合物と共に4℃で30分間インキュベートした。次にそれらをPBS-EDTAで洗浄し、生存細胞を選択するために7-AAD(1/50)を含有するPBS中で30分間インキュベートした。形態学的及び選別ゲートをFMO(蛍光マイナス1)分析によって決定し、巨核球前駆体を、50μmのノズル及び500mWで動作する2つのアルゴンレーザを備え、それぞれ488及び360nmに調整された(Coherent Radiation, Palo Alto, CA)FACS Aria IIフローサイトメーター(Becton Dickinson, Mountain View, CA)を用いてCD34/CD41発現に従って500細胞/sで選別した。選別したCD34
+CD41
dim及びCD34
-CD41
+細胞を計数し、7日間SR1有り無しのTPOを含むStemSpan培地中の48ウェルプレートに4×10
4/mLで播種した(
図4A)。
【0098】
MK成熟の分析
サーフェスマーカー。細胞を、抗CD34-PE-Cy7(Beckman Coulter, Fullerton, CA)、抗CD41-Alexa-488(ALMA.17)、抗CD42c-PE(RAM.1)及び抗CD42d-Alexa-647(V.1)mAbで4℃30分間ラベリングした後、フローサイトメトリーで分析した。次いで、細胞を洗浄し、7-AAD(1/50)を含むPBSに再懸濁した。取得したデータをKaluzaソフトウェアで分析した。
【0099】
倍数性。細胞を10μg/mLのHoechst 33342(Sigma-Aldrich, Saint Quentin Fallavier, France)と37℃で2時間インキュベートし、次いで抗CD34-PE-Cy7及び抗CD41-PE mAbで染色した。洗浄した細胞を7-AADを含むPBSに再懸濁し、CD41
+集団の倍数分布を2色フローサイトメトリーにより測定した(Fortessa, BD Biosciences, Rungis, France)。取得したデータをBD FACSDivaソフトウェアで分析した(BD Biosciences)。
【0100】
超微細構造。細胞を、2%スクロースを含有する0.1Mカコジル酸緩衝液(pH7.2)の2.5%グルタルアルデヒドで固定し、前述のように処理した(Eckly A et al., Blood. 2014;123:921-930)。超薄切片をフィリップスCM120 Biotwin透過電子顕微鏡(FEI, Heindhoven, The Netherlands)で120kVで検査した。
【0101】
血小板前駆細胞を有するMKの定量
血小板前駆細胞を伸長するMKの割合は、位相差顕微鏡法によって培養ウェルで決定した。各培養物において、少なくとも100個のMKを分析し、20倍対物レンズ(Marly-le-Roi, France)を有するZeiss Axio Vert.A1顕微鏡を用いて画像を取得した。
【0102】
播種した細胞あたりに産生される血小板の数の決定
CC220(
図1A及び5A)又はCD34/CD41選別細胞(
図4A及び6A)の存在下で7日間培養したCD34
+細胞を、TPOを含む培地に播種した。7日目に、1μMのPGE1及び0.02U/mLのアピラーゼを培地に加え、細胞をP1000ピペットチップに5回静かに通した。得られた懸濁液(200μL)を、Galliosフローサイトメーターで分析する前に、室温で15分間、抗CD41-Alexa-647及び抗CD42c-Alexa-488mAbと共にインキュベートした。洗浄した血小板と同じ散乱特性を有するCD41/CD42c二重陽性事象を、血小板様粒子として計数し、実験後7日目又は10日目に播種した細胞あたりの粒子数を測定した。
【0103】
RNA抽出
CD41/61細胞を、抗体ALMA.17及び磁気ビーズを用いて培養の7日目又は10日目に得た(EasySep(登録商標)"Do-It-Yourself" Selection Kit, StemCell Technologies)。製造業者の指示に従ってRNeasy(登録商標)ミニキット(QIAGEN)を用いて全RNAを抽出した。全てのサンプルについての全RNAの量及び質を、260nmでODを測定することによって評価し、濃度を50ng/mlに調整した。使用するまでRNAサンプルを-80℃で保存した。qRT-PCRは、ABI Prism 7900 Sequence Detection SystemのSYBR Green Master Mixキットを用いて標準条件下で用いた(PerkinElmer-Cetus, Courtaboeuf, France)。遺伝子のプライマーは、Oligo 6.0プログラム(National Biosciences, Plymouth, MN)の助けを借りて選択され、以前の報告で記載されている(Bieche I. et al., Pharmacogenetics and genomics. 2007;17:731-742)。
【0104】
統計
統計学的有意性は、スチューデントt検定又はボンフェローニポスト-テストによる2方向Anovaを用いて決定した。Graphpad Prism 5ソフトウェアを用いてデータを分析した。
【0105】
結果
SR1は、末梢血CD34
+細胞から分化したMKにおいてCD34発現を維持する。
本発明者らは、MK前駆体の増殖に対するAhRアンタゴニストSR1の効果を評価した。末梢血CD34
+細胞(Peytour Y et al., Transfusion. 2010;50:2152-2157)を、cc220、SCF、TPO、IL-6及びIL-9の最適化された混合物の存在下において、最初に7日間の存在下で増殖させた2段階培養プロトコルでSR1(50μM)を0日目及び7日目に添加し、次にTPO単独存在下でさらに7日間分化させた(
図1A)。
【0106】
このプロトコルを使用して、SR1無しで培養したコントロール細胞の90%以上が、12日目に血小板マーカーCD41及びCD42に対して二重陽性であり、完全に成熟したMKの特徴的な特徴を形態学的及び表現型分析で示した。
【0107】
細胞増殖は、血小板前駆細胞の伸長が起こる前の7及び10日目に推定された。7日目に、SR1の非存在下及び存在下のそれぞれで、有核細胞の平均6.7±1.6倍及び4.2±1.2倍の拡大があった(平均±SEM、n=8)(
図1B)。7日目から10日目まで、未処理及びSR1処理培養では、それぞれ2.3及び2.5倍の細胞数が同様に増加した。したがって、SR1は本培養条件下で細胞増殖を促進しなかった。
【0108】
次に、CD34発現の展開を追跡することにより、前駆細胞の維持に対するSR1の効果を評価した。CD34陽性は、増殖段階の間、コントロール及びSR1処理細胞で維持され、7日目にそれぞれ陽性がわずかに16.8及び8.3%低下した(
図1C)。10日目、TPO単独の存在下での継代後、CD34
+細胞の割合はコントロール培養で40.7%に低下したが、SR1処置後には71.6%が陽性のままであった。故に、SR1は、添加されたTPOのみを含有する培地に細胞を移した後、より前駆細胞様の表現型を維持した。
【0109】
SR1は、血小板前駆細胞を有するMK及び血小板様要素の産生を増加する
コントロール培養では、血小板前駆細胞の伸長は、10日目に最初に観察され、11.5±4.5%のMKが血小板前駆細胞を示した14日目にピークに達した(
図2A)。驚くべきことに、この比率はSR1処置後の3倍(34.6±2.1%、平均±SEM、n = 4)であり、これは血小板様要素の産生を増加させた結果である。コントロール条件下では、7.92±3.25の血小板サイズの粒子を7日目に播種した細胞(
図2B)ごとに数えたが、血小板粒子の数はSR1の添加後約3倍に増加した(20.72±5.19)。これらの結果は、SR1が前駆細胞の能力を維持するだけでなく、MKの成熟を大きく改善することを示した。これとは対照的に、SR1がAhRの強力なアゴニストであるFICZに置き換えられたとき、MKの血小板前駆細胞の伸長及び血小板様要素の産生が劇的に減少した(0.20±0.04血小板/播種細胞)。このような結果は、AhR遮断がSR1の存在下で増加した血小板産生の原因であることを強く示唆した。SR1のアンタゴニスト活性は、qPCRによって測定された7日目の培養におけるその下流の標的CYP1B1の発現の阻害で確認された(コントロール群及びSR1処理細胞ではそれぞれ579.8±40.8対2.5±0.8、平均±SEM、n=3)。
【0110】
SR1はCD34
+CD41
dim集団の拡大を促進する
上記の知見は、SR1がCD34発現を持続し、またMK成熟を改善するので、SR1の二重効果を指摘した。CD41はMKの特異的マーカーであるため、CD34と並行してその展開を評価した。7日目に、CD34
+細胞の同様の高い割合が、コントロール及びSR1処理培養物中のCD34
+CD41
+である細胞のそれぞれ60%及び69%でCD41陽性を獲得した(
図3A)。TPOの存在下での継代のみではコントロール培養物中のCD34陽性の有意な喪失が生じ、細胞の32%のみが10日目にCD34
+CD41
+であった。対照的に、高い割合(55%)はSR1処理培養物中のCD34及びCD41に対して二重陽性を維持した。驚くべきことに、これらの細胞の大部分(全細胞の37%対コントロールの17%)はCD41
dim表現型(領域R2)を示した(
図3B)。CD41
dim集団(R2)は、それらのFSC特性(
図3C)によって証明されるように、より高いレベルのCD41(R1)を有するものと比較して減少したサイズの細胞を含み、MK分化度が低いことを示している。これはCD34
+CD41
dim細胞が大部分2n-4nであったことから倍数解析によって確認された(
図4)。
【0111】
CD34
+CD41
dim細胞は、血小板前駆細胞及び血小板様粒子を産生ための高い能力を有する。
2段階培養プロトコルにおけるSR1を加えることは、血小板前駆細胞を有するMK及び血小板様要素の産生を増加させた(
図2A-B)。したがって、これがCD34
+CD41
dim集団の拡大及び特定の特徴に関連するかどうかを調べた。SR1で10日培養したCD34
+CD41
dim細胞をフローサイトメトリーで選別し、SR1を補充した、又は補充していないTPO含有培地で7日間培養した(
図5A)。CD34
+CD41
dim細胞をSR1の存在下で増殖させたとき、前例のない高い割合のMKは、血小板前駆細胞の段階(91.0±2.4%)に達した(
図4B)。これらの同じ細胞をSR1(10.0±6.6%)の非存在下で培養した場合、はるかに低い頻度が観察された(
図5B)。SR1無しと比較して、SR1で培養したCD34
+CD41
dim細胞において、増加した血小板前駆細胞の収率は、6.8倍の血小板要素の産生の増強をもたらした(52.06±8.79対7.68±0.81血小板/播種細胞)(
図5C)。これらの結果は、SR1の存在下で増殖したCD34
+CD41
dim集団は、血小板を放出する傾向のある血小板前駆細胞を有するMKを生成する強い可能性を有することを示した。
【0112】
MSCとの共培養はまた、CD34
+CD41
dim集団の出現を促進する
骨髄由来間質細胞は、造血幹細胞を維持し、サイトカインを分泌し、MK成熟を促進し得る(Pallotta I et al., PloSone. 2009;4:e8359; Cheng L et al., Journal of cellular physiology. 2000;184:58-69)及びMK前駆体の出現に好ましい環境を提供し得る。CD34
+細胞を、ヒト骨髄から単離されたヒト間葉間質細胞(hMSC)の予め形成された単層上で2段階プロトコルで培養した(
図6A)。hMSCとの共培養は細胞増殖を有意に改変しなかったが(
図6B)、14日目に血小板前駆細胞を有するMK(データは示していない)及び血小板様粒子の産生を増加させた(7.9±4.5対18.2±4.9血小板/7日目に播種した細胞)(
図6C)。
【0113】
MSCの効果がAhRの下流の経路によって媒介されるかどうかを調べた。AhRアゴニストFICZ(Boitano AE et al., Science. 2010;329:1345-1348)の添加は、CD34
+CD41
dim細胞の割合を減少させ(データ示さず)、血小板産生の増加を防止した(
図7A)。さらに、CD34
+細胞のMSCとの共培養は、CYP1B1転写物の著しい減少(> 90%)をもたらし、FICZの添加によって逆転された効果であるSR1(
図5E)の効果を再現した(
図7B)。これらの結果は、SR1と同様にMSCがAhRに作用することによってMK成熟及び血小板産生を促進することを示した。
【0114】
この応答は、細胞のCD34/CD41表現型を決定することを促すSR1で得られた応答と似ている。CD34
+CD41
dimプロファイルを有する集団は、共培養の10日目までに明らかにはっきりしており(
図8A)、MSC無しのコントロール培養物では18.95±1.75%であったのに対し、全細胞の30.37±1.98%を示した(
図8B)。この集団は低倍数性であった(
図8C)。
【0115】
次に、i)MSC及びSR1由来のCD34
+CD41
dim細胞が、成熟MKを産生する可能性が同じであるか、ii)MSCとの共培養か、又はSR1の存在下で同様にこの成熟が好ましいかどうかを調べることを考えた。CD34
+細胞をSR1又はMSCで培養し、対応するCD34
+CD41
dim細胞を10日目に選別した(
図9)。次いで、これらの細胞をTPO、TPO及びSR1又はTPO及びMSCと共に7日間継代培養した。結果は、SR1の存在下で培養した場合(
図9A、左パネル)、しかしSR1由来細胞よりも効率が低い場合に(
図9B、左パネル)、MSC由来CD34
+CD41
dim細胞が血小板前駆細胞を有するMKを産生する能力を示したことを明らかにした(49.5 ± 10.5 % 対91.0 ± 2.4 %、それぞれ、n=4)。さらに、MSCとの共培養は、TPO単独(%)の培養と比較して、MSC由来(
図9A)及びSR1由来(
図9B)CD34
+CD41
dim細胞(53.3 ± 10.7 % 対67.5 ± 12.6 %、それぞれ)の両方のMK成熟を増強した。類似のプロファイルが、血小板様粒子を遊離させる能力について観察された(
図9A〜B、右パネル)。したがって、MSCとの共培養は、細胞培養物にSR1を加えることによって得られた応答を表現型模写(phenocopied)した。
【0116】
全体として、血小板前駆細胞を有するMKに効率的に成熟し得るMK分化の準備が整った成人造血前駆細胞の個別の集団の同定及び富化を報告している。CD34
+CD41
dimシグネチャーによって同定された集団は、成熟CD34
+細胞をSR1、AhRのアンタゴニスト又はMSC単層の存在下で培養すると増幅された。このMK前駆細胞の出現を促進することに加えて、SR1又はMSCを用いた培養は、血小板前駆細胞産生MKの収率及び血小板様要素の放出を大きく改善した。
【0117】
CD34
+CD41
dim集団のいくつかの特徴、例えば、細胞の小さいサイズ及び低い倍数性、及び血小板前駆細胞を効率的に伸長させることができる純粋なMKに成熟するそれらの高い能力等は、血小板-偏向前駆細胞の定義に対応するようである。その特徴的な表現型は、中間体を有するCD34
+前駆細胞のシグネチャー又はCD41巨核球性マーカーの軽度の発現の組み合わせである。CD41陽性細胞は、MK促進条件下で骨髄から直接又は培養後に単離されたヒトCD34
+細胞の中に記載されている(Debili N. et al., Blood. 1992;80:3022-3035; Dercksen MW et al., Blood. 1995;86:3771-3782)。しかし、これらの集団は、高レベルのCD41を発現し、高度に倍数体であり増殖することができなかったので、CD34
+CD41
dim表現型を完全に再現しなかった(Dercksen MW et al., Blood. 1995;86:3771-3782)。CD34
+CD41
+細胞は、骨髄由来のCD34
+細胞をhMSC上でTPOなしで共培養した後にも観察されたが、異なるCD41
dim亜集団についての証拠は得られなかった(Cheng L. et al., Journal of cellular physiology. 2000;184:58-69)。非常に少数の集団を表すCD34
+CD41
low表現型を有する細胞は、末梢血に由来する培養物において最近報告されたが、それ以上特徴付けされなかった。CD34
+CD41
dim集団は、標準的な培養物(
図3A)では同様に低頻度であり、SR1の添加又はMSCとの共培養の際にのみ明白になった。ここに記載された細胞に似ているCD31
+CD34
+CD41
+巨核芽球集団が、3段階無血清系で培養された再プログラミングされたiPS細胞で最近観察された。この集団は、低レベルのCD41を発現するようであり、CD42に対して陰性であった。
【0118】
実施例2
材料及び方法
末梢血CD34
+細胞を、「CD34
+細胞の単離」の節で上述したように単離し、実施例1の「培養中のMK分化」の項で上記したようにSR1(1μM)の存在下で培養した。
【0119】
10日目に回収した細胞を、Alexa-488結合抗CD41(ALMA.17)、フィコエリトリン(PE)-Cy7結合抗CD34モノクローナル抗体及びフィコエリトリン(PE)-CD9(mAb; BD Biosciences)で4℃30分間インキュベートした。次いで、それらを7-アミノアクチノマイシンD(2.5μg/mL)を含むリン酸緩衝化生理食塩水中で2分間インキュベートして生存細胞を選択した。
【0120】
細胞をまずCD34
+CD9
-前駆体に細分した。
図11に示すように、CD9
-を用いた細胞選別はCD41
high細胞を排除するのは、CD9
+細胞のみがCD41
highであるためである。次いで、CD34
+CD9
-前駆細胞の集団(したがって、CD41
high細胞を含まない)を、FSC/CD41
+発現に従ってMK前駆細胞に分画した。細胞集団中に存在する唯一のCD41
+はCD41
dimであり、したがってCD34
+CD9
-CD41
dim細胞の対象(interest)の集団をゲートすることを可能にする。次いで、巨核球前駆体を、蛍光活性化セルソーター(FACS)Aria IIフローサイトメーター(Becton Dickinson, Mountain View, CA)を用いて500細胞/秒で選別した。選別されたCD34
+CD9
-CD41
dim細胞を計数し、SR1を含む又は含まないTPOを含有するStemSpan培地中、48ウェルプレート中で4×10
4/mLで7日間播種した。
【0121】
結果
CD34
+CD41
dimであると以前に記載された集団はまた、CD34
+CD9
-CD41
dimとして特徴付けられ得る。特に、CD34
+CD9
-CD41
dimは、CD34
+CD41
dimの亜集団を表し、集団CD34
+CD9
-CD41
dimは、CD34
+CD41
dim細胞の全集団の60%を表す。CD34
+CD41
dim細胞とCD34
+CD9
-CD41
dim細胞の分化能を機能的に調べた。CD34
+CD9
-CD41
dim細胞は、CD34
+CD41
dim細胞と比較して1.8倍増加した血小板放出を有する。