特開2021-177791(P2021-177791A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-177791吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル、及び吸引装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-177791(P2021-177791A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル、及び吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20211022BHJP
【FI】
   A61M1/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-82934(P2020-82934)
(22)【出願日】2020年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000144371
【氏名又は名称】株式会社三幸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100180367
【弁理士】
【氏名又は名称】寺尾 康典
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 俊之
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA26
4C077BB10
4C077CC04
4C077DD12
4C077EE04
(57)【要約】
【課題】 本発明は、医療又は介護現場において吸引した被吸引物を簡便に廃棄・焼却可能で、また、吸引装置用排液吸収バッグに吸引された被吸引物を廃棄する度に煩雑な吸引ボトルの洗浄を行う負担を軽減することができ、被吸引物に直接触れる恐れが減少し細菌による感染リスクが軽減する細菌汚染の恐れが少ない、医療用及び介護用の吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル及び吸引装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグは、上端が開口した袋状の外側シートと、外側シートの内側に設けられた吸水性の内側シートと、を有する排液吸収バッグ部を備える吸引装置用排液吸収バッグである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口した袋状の外側シートと、前記外側シートの内側に設けられた吸水性の内側シートと、を有する排液吸収バッグ部を備える吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項2】
前記外側シートは、不透水性である、請求項1に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項3】
前記排液吸収バッグ部は、前記外側シートの上端の少なくとも一部から延伸した一対の耳部を有する、請求項1又は2に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項4】
前記耳部は、持ち手部を有する、請求項3に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項5】
前記耳部は、前記外側シートの開口を封止するシール部を更に有する、請求項2又は3に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項6】
前記内側シートは、吸水すると変色する変色材料を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項7】
前記内側シートは、前記外側シートの内側に貼付されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項8】
前記外側シート及び前記内側シートは、二つ折りされ、左右端が溶着されている、請求項7に記載の吸引装置用排液吸収バッグ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸引装置用排液吸収バッグが装着された、吸引ボトル。
【請求項10】
請求項9に記載の吸引ボトルが取り付けられた、吸引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用及び介護用の吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル及び吸引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療又は介護の現場において、喀痰等の液体又は粒状物質等の被吸引物を、吸引装置を用いて吸引・除去するが、所定量の被吸引物を吸引し、被吸引物を溜める吸引ボトルに被吸引物が溜まり満杯になると、吸引ボトルを取り外し吸引された被吸引物を廃棄する必要がある。例えば、特許文献1には、吸引ポンプを内蔵した本体と、該本体に着脱可能に構成されたフィルター部材と、該フィルター部材を介して本体に着脱可能に構成されたボトル部材を有する、医療用吸引器が開示されている。
【0003】
しかしながら、吸引ボトルに被吸引物が溜まる都度、吸引ボトルの蓋を開け、排水口等に被吸引物を廃棄し、吸引ボトルを洗浄する必要があり、煩雑であった。また、この一連の作業中に被吸引物に直接ふれ細菌等に感染する恐れもあった。これに対し、非特許文献1には、吸引ボトルに装着する吸引バッグが開示されている。この吸引バッグは、吸引終了後に吸引バッグに溜まった被吸引物に凝固剤を投入し、被吸引物を凝固した上で、吸引バッグを吸引ボトルより取り出し、廃棄・焼却することができる。
【0004】
しかしながら、この吸引バッグには、吸引終了後に凝固剤を投入する必要があり、蓋を開けた際に、被吸引物が飛散したり零れたりする恐れがある。更に、凝固剤を投入する都度、凝固化の状態を確認調整する必要があり、また、凝固剤を投入後、全体が凝固化(ゼリー状化)するまで静置することを要し、煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−87079
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ブルークロス株式会社 「廃液吸引バッグ BC Bag カタログ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、医療又は介護の現場において吸引した被吸引物を簡便に廃棄・焼却可能で、また、吸引装置用排液吸収バッグに吸引された被吸引物を廃棄する度に煩雑な吸引ボトルの洗浄を行う負担を軽減することができ、被吸引物に直接触れる恐れが減少し細菌による感染リスクが軽減する、医療用及び介護用の吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル及び吸引装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグは、
上端が開口した袋状の外側シートと、外側シートの内側に設けられた吸水性の内側シートと、を有する排液吸収バッグ部を備える吸引装置用排液吸収バッグである。
【0009】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグであれば、被吸引物が内側シートに吸収され、吸引バッグを廃棄する際に、被吸引物が飛散したり零れたりする恐れがなく、直接被吸引物に触れて細菌等に感染するリスクを軽減できる。また、吸引終了後の吸収バッグを簡便に廃棄・焼却することができる。
【0010】
本発明に係る吸引装置用吸収バッグの外側シートは、不透水性である、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0011】
外側シートが不透水性であると、吸引した被吸引物が排液吸収バッグから漏れて吸引ボトルを汚染する恐れがなく、また、煩雑な吸引ボトルの洗浄を行う必要がない。
【0012】
本発明に係る吸引装置用吸収バッグの排液吸収バッグ部は、外側シートの上端の少なくとも一部から延伸した一対の耳部 を有する、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0013】
排液吸収バッグ部の上方に外側シートが延伸した耳部を有すると、確実に吸引ボトルに装着することが可能であり、また、吸引終了後に吸収バッグを容易に取り出すことができる。
【0014】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグの排液吸収バッグ部の耳部は、持ち手部を有する、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0015】
排液吸収バッグ部の耳部に持ち手部を更に有すると、排液吸収バッグを液溜め部から取り出す際に、持ち手部に指を入れて容易に持ちあげることができ、また、排液吸収バッグを廃棄する際に、容易に持ち運ぶことができる。
【0016】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグの排液吸収バッグ部の耳部には、シール部を更に有する、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0017】
耳部にシール部を更に有すると、手でシール部を押し合わせてシール部を封止し、吸引物を排液吸収バッグ部に封入することができ、排液吸収バッグを廃棄する際に直接被吸引物に触れる恐れを軽減することができる。
【0018】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグの排液吸収バッグ部の内側シートは、吸水すると変色する変色材料を含む、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0019】
排液吸収バッグ部の内側シートが吸水して変色すれば、被吸引物を吸引して排液吸収バッグ部が吸収した量を目視確認することが可能であり、容易に排液吸収バッグの交換時期を確認することができる。
【0020】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグの排液吸収バッグ部の内側シートは、外側シートの内側に貼付されている、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0021】
内側シートが、外側シートの内側に貼付されていると、内側シートを外側シートの所定の位置に設けることができる。
【0022】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグの排液吸収バッグ部の外側シート及び内側シートは、二つ折りされ、左右端が溶着されている、吸引装置用排液吸収バッグである。
【0023】
排液吸収バッグ部の外側シート及び内側シートは、二つ折りされ、左右端が溶着されている構成であれば、容易に排液吸収バック部を形成することができる。
【0024】
本発明に係る吸引ボトルは、吸引装置用排液吸収バッグが装着された、吸引ボトルである。
【0025】
吸引装置用排液吸収バッグが装着された吸引ボトルであれば、吸引装置用排液吸収バッグに吸引された被吸引物を廃棄する度に煩雑な吸引ボトルの洗浄を行う負担を軽減することができ、また、排液吸収バッグの交換時に被吸引物に直接触れる恐れも軽減できる。
【0026】
本発明に係る吸引装置は、吸引装置用排液吸収バッグが装着された吸引ボトルが取り付けられた、吸引装置である。
【0027】
本発明に係る吸引装置であれば、吸引を行うにあたって、吸引装置用排液吸収バッグを交換する度に煩雑な吸引ボトルの洗浄を行う負担が軽減され、また、被吸引物を廃棄する際の細菌等による汚染の恐れも軽減できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル及び吸引装置であれば、医療又は介護の現場において、吸引した被吸引物を簡便に廃棄・焼却可能で、また、吸引装置用排液吸収バッグに吸引された被吸引物を廃棄する度に煩雑な吸引ボトルの洗浄を行う負担を軽減することができ、細菌等による汚染の恐れが少ない、医療用及び介護用の吸引装置用排液吸収バッグ、吸引ボトル及び吸引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明に係る吸引装置の実施形態を示す模式斜視図である。
図2図2は、本発明に係る実施形態の吸引装置用排液吸収バッグの平面図及び吸引装置用排液吸収バッグの内部の構成を示すA−A断面図である。
図3図3は、本発明に係る吸引装置用排液吸収バッグの実施形態の変形形態の平面図である。
図4図4は、本発明に係る実施形態の吸引装置用排液吸収バッグを吸引ボトルに装着する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を、説明する。
【0031】
図1に、本実施形態に係る吸引装置1の模式斜視図を示す。吸引装置1は、真空ポンプ(不図示)を内蔵した吸引装置本体(以下、単に「本体」ともいう。)2と、吸引ボトル3と、を備える。吸引ボトル3は、本体2の一側に取り付けられている。なお、本体2に取り付けられる吸引ボトル3の数は、1に限らず、例えば、大量の被吸引物を吸引するために2以上としてもよい。
【0032】
本体2に内蔵された真空ポンプ(不図示)は、排気配管(不図示)を介して本体2外部に連結され、また、吸引配管(不図示)を介して本体2の一側に設けられた吸引口21に連結されている。吸引口21は、吸引ボトル3を本体2に取り付けた状態において、接続配管22を介して、その吸引ボトル3の接続口33に連結される。
【0033】
吸引ボトル3は、吸引した喀痰等の被吸引物を溜める液溜め部31と、吸引ボトル3上面に設けられた液溜め部31を密閉する蓋部32と、を有し、吸引装置用排液吸収バッグ(以下、単に「バッグ」ともいう。)4が装着されている。液溜め部31は、吸引ボトル3を手で把持することができる取っ手35と、被吸引物を排出する排液口36と、を有する。また、液溜め部31は、蓋部32にそれぞれ設けられた接続口33と、被吸引物を吸引する吸引ホース(不図示)が接続される吸引ホース接続口34に、連結する。
【0034】
図2の(A)に吸引装置用排液吸収バッグ4の正面図に、(B)にバッグ4の内部の構成を示すA−A断面図を示す。バッグ4は、上端が開口した袋状の不透水性の外側シート12と、外側シート12の内側に貼付された吸水性の内側シート13と、を有する左右約150〜400mm、上下約150〜500mmの寸法の排液吸収バッグ部11を備え、排液吸収バッグ部11の上方には、外側シート12が約100〜200mm延伸した一対の耳部14を有する。本実施例の排液吸収バッグ部11は、一例として、横方向約200mm、長さ方向約580mmの外側シート12の内側中央部に長さ約360mmの内側シート13を貼付した1枚のシートを、真ん中で二つ折りにし、内側シート13が貼付された部分の左右端を溶着して、袋状として、横方向約200mm、上下方向約180mmとし、800〜1000mLの被吸引物を吸収可能な寸法としている。
【0035】
排液吸収バッグ部11の上端は、外側シート12が約110mm延伸し、排液吸収バッグ部11の上端の開口を挟んで対向した一対の耳部14を形成している。耳部14の左右端は、溶着されておらず、対向する一対のスリット部15を形成している。なお、耳部14は、バッグ4を液溜め部31に装着する際に、耳部14を外側に折って液溜め部31の外壁に沿わせることができれば良く、耳部14の左右端は、引き剥がし可能に溶着されていても良い。また、スリット部15の数も一対に限られず、二対以上であっても良い。一方、耳部14の上端は、排液吸収バッグ部11の上端と平行となっているが、平行に限定されず、例えば、円弧状に形成されていても良い。
【0036】
なお、排液吸収バッグ部11の上下左右方向の寸法は、バッグ4を装着する吸引ボトル3に対応した大きさで、吸引した被吸引物を500〜1500mL吸収できれば良く、横方向約200mm、上下方向約180mmに限定されない。また、耳部14の寸法及びスリット部15の数も、吸引ボトル3に容易かつ確実にバッグ4を装着可能であれば良く、限定されない。
【0037】
また、バッグ4は、袋状に形成されていれば良く、1枚のシートを2つ折りし、左右端を溶着する方法で袋状に形成されることに限られない。例えば、1枚のシートを2つ折りし、一側端とシートの折れ目の反対側の辺を溶着する方法で袋状にしても良いし、筒状のシートの一端を溶着しても良い。また、シートを袋状に封止する方法は、被吸引物が漏れることがないよう水密に封止できれば良く、溶着に限られず、接着剤を用いて接着しても良い。
【0038】
外側シート12は、吸引した被吸引物が透過して外側シート12の外側に漏れることがない、不透水性のシートである。また、外側シート12は、吸引した被吸引物500〜1500mLの重量に耐え得る強度を有する素材であれば良い。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニールアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド等の樹脂シートであっても良い。
【0039】
一方、内側シート13は、被吸引物を吸収し易く、一度吸収したら取り込んで排出しない素材であれば良く、例えば、吸収紙、綿状パルプ、高分子吸水材等、又はこれらの組合せであっても良い。高分子吸水材は、本技術分野で用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えば、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体が挙げられる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を用いることができる。また吸水性ポリマーの性能を低下させない範囲で、アクリル酸と、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーとを共重合した共重合体を用いることができる。
【0040】
また、内側シート13は、吸水すると変色する変色材料を含むと、被吸引物の吸収状態を目視確認することができ、好ましい。例えば、内側シート13に青色2号(インジゴカーミン、ダイワ化成株式会社製)を含むと、内側シート13は、吸水していない乾燥時には淡青白色を呈するが、吸水すると青色を呈色し、また、二塩化コバルトを含むと、内側シート13は、吸水していない無水塩化コバルトは青色を呈するが、吸水し6水和物になると桃色を呈色し、被吸引物の吸収状態を容易に目視確認することができ、好ましい。
【0041】
なお、内側シート13は、外側シート12の内側の排液吸収バッグ部11に設けられ、吸引した被吸引物を吸収すれば良く、必ずしも外側シート12に貼付されている必要はない。例えば、外側シート12の左右端を溶着する際に、内側シート13を動かないように溶着しても良い。
【0042】
また、吸引装置1として、ポンプ(不図示)を内蔵した吸引装置本体2を用いて吸引を行う例を用いて実施形態を説明したが、確実に喀痰等の吸引が行えれば良く、例えば、吸引装置本体2の代わりに病室に配管された吸引配管を用いても良い。
【0043】
次に、本発明に係るバッグ4の実施形態の変形形態について説明する。なお、本発明の実施形態と実施形態の変形形態との異なる部分のみについて説明することとし、実施形態と同様な点については、説明を省略する。
【0044】
図3に、バッグ4の実施形態の変形形態の平面図を示す。バッグ4の耳部14には、指を差し込むことが可能な穴又は切り込み状の持ち手部16と、排液吸収バッグ部11に近接する位置にシール部17と、を更に有する。持ち手部16は、耳部14に設けられた切り込み又は耳部14の一部を切り取った穴であり、持ち手部16を有すると、バッグ4を液溜め部31に装着した際に、液溜め部31に設けられたフック部(不図示)を待ち手部16に挿入し、固定することが可能である。一方、バッグ4を液溜め部31から取り出す際には、持ち手部16に指を差し込んでバッグ4を持ち上げて容易に取り出すことができる。また、取り出したバッグ4を手でぶら下げて持ち運ぶことも容易となる。
【0045】
一方、シール部17は、相対する耳部14と耳部14を封止し、吸収された被吸引物を排液吸収バッグ部11に封入する、レールファスナーである。但し、シール部17は、相対する耳部14と耳部14を封止して吸収された被吸引物を排液吸収バッグ部11に封入することができれば良く、レールファスナーに限られず、例えば、面ファスナーであっても、又は、接着剤を塗布して形成しても良い。
【0046】
次に、本発明に係る実施形態の吸引装置1の使用方法について説明する。
【0047】
先ず、バッグ4の吸引ボトル3への装着方法について、図4を用いて説明する。図4は、バッグ4を吸引ボトル3に装着する方法を模式的に示す模式図であり、図4の(A)は、バッグ4を吸引ボトル3に装着を始める前の状態を、(B)は、バッグ4を吸引ボトル3に挿入中の状態を、(C)は、バッグ4を吸引ボトル3に装着が完了した状態を示す。
【0048】
先ず、本体2から取り外された吸引ボトル3の液溜め部31から蓋部32を取り外し、バッグ4のスリット部15の方向を、液溜め部31の取っ手35と排液口36の方向に合わせる(図4(A))。そして、バッグ4を吸引ボトル3の液溜め部31に挿入する(図4(B))。バッグ4の挿入完了後、耳部14を液溜め部31の上端の縁で外側に折りまげ、液溜め部31の外壁に沿わせる(図4(C))。そして、液溜め部31に蓋部32を嵌合し、密閉する。
【0049】
バッグ4を液溜め部31に装着する際に、スリット部15を有すると、耳部14を容易に外側へ折り曲げることができ、好ましい。また、スリット部15の位置と取っ手35と排液口36の位置を対応させると、取っ手35と排液口36が耳部14を折り曲げる際に妨げとならず、好ましい。
【0050】
次に、本発明の実施形態に係る吸引装置1を用いて喀痰等の吸引を行う方法について説明する。
【0051】
先ず、吸引処置を行う処置者は、マスク・手袋等の防護具を装着した上で、バッグ4を装着した吸引ボトル3を吸引装置本体2に取り付け、吸引ボトル3の接続口33と本体2の吸引口21とを接続配管22を介して連結し、また、吸引ボトル3の吸引ホース接続口34に吸引ホース(不図示)を取り付ける。
【0052】
そして、吸引装置1の電源を投入し、ポンプを起動して陰圧を発生させ、吸引配管(不図示)、吸引口21、接続配管22、接続口33、液溜め部31、吸引ホース接続口34及び吸引ホース(不図示)を介して、患者又は被介護者の喀痰や唾液等を吸引する。吸引した喀痰や唾液等は、空気と共に吸引され、液溜め部31で空気と分離され、内側シート13に吸収される。一方、分離された空気は、接続口33、接続配管22、吸引口21、及び吸引配管(不図示)を介して吸引装置本体2のポンプにより吸引され、排気配管(不図示)から排気される。患者又は被介護者から十分に喀痰等の吸引を行った後、電源を切り、吸引処置を終了する。
【0053】
一方、所定量の被吸引物を吸引し、内側シート13に吸収させると、内側シート13全体が淡青白色から青色に変色し、所定量を吸収したことを確認することができ、バッグ4の交換時期を知ることができる。
【0054】
バッグ4を交換するには、本体2に吸引ボトル3を取り付ける手順と反対の手順で取り外し、吸引ボトル3の蓋部32を開ける。そして、静置することなく、耳部14を手で持ち、バッグ4を液溜め部31から持ち上げて取り出す。なお、耳部14に持ち手部16を有すると、持ち手部16に指を懸けて容易に持ちあげることができ、好ましい。取り出したバッグ4は、被吸引物が内側シート13に吸収されており、そのまま廃棄・焼却することができる。また、被吸引物が内側シート13に吸収されて排出されてこないため、誤って吸引ボトル3を倒したり揺らしたりしても、被吸引物を飛散させたり零したりする恐れがない。更に、耳部14にシール部17を有すると、手でシール部17を押し合わせてシール部17を封止し、吸引物を排液吸収バッグ部11に封入することができ、被吸引物に直接触れて被吸引物中の細菌等による汚染の恐れを軽減することができ、好ましい。一方、外側シート12が防水性であることから、液溜め部31が被吸引物により汚染されておらず、バッグ4に吸引された被吸引物を廃棄する度に煩雑な洗浄作業を行うことを要しない。
【0055】
なお、吸引ボトル3が被吸引物により汚染される可能性が全く無いとは言えないため、一定期間毎に、吸引ボトル3等の洗浄を行うことが好ましい。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
1 吸引装置
2 吸引装置本体(本体)
3 吸引ボトル
4 吸引装置用排液吸収バッグ(バッグ)
11 排液吸収部
12 外側シート
13 内側シート
14 耳部
15 スリット部
16 持ち手部
17 シール部
21 吸引口
22 接続配管
31 液溜め部
32 蓋部
33 接続口
34 吸引ホース接続口
35 取っ手
36 排液口

図1
図2
図3
図4