(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-178159(P2021-178159A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】車両窓破壊器具
(51)【国際特許分類】
A62B 99/00 20090101AFI20211022BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20211022BHJP
B25D 1/00 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
A62B99/00 C
B60R21/00 310N
B60R21/00 330
B25D1/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-101935(P2020-101935)
(22)【出願日】2020年6月11日
(11)【特許番号】特許第6893754号(P6893754)
(45)【特許公報発行日】2021年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2020-82290(P2020-82290)
(32)【優先日】2020年5月7日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517147331
【氏名又は名称】亘理 榮
(74)【代理人】
【識別番号】100209369
【弁理士】
【氏名又は名称】山上 誠
(72)【発明者】
【氏名】亘理 榮
【テーマコード(参考)】
2D058
2E184
【Fターム(参考)】
2D058AA02
2D058BA08
2D058BA12
2D058DA00
2E184JA01
2E184KA11
2E184LC10
(57)【要約】
【課題】緊急時においてより確実に取り出すことができる車両窓破壊器具を提供する
【解決手段】
先の尖った硬質の先端部分を有する車両窓破壊部と,前記車両窓破壊部を保持する本体と,前記車両窓破壊部を覆うカバーと,前記カバー又は前記本体のいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,車両の動作を制御する遠隔制御装置と,前記車両窓破壊部を前記カバーに収納した第1の形態と,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出した第2の形態とを形成する露出機構と,を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,
前記本体及び前記カバーに設けられ,前記車両窓破壊部を前記カバーに収納した第1の形態と,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出した第2の形態とを形成する露出機構と,を備える車両窓破壊器具
【請求項2】
前記露出機構は,前記第2の形態に形成した前記車両窓破壊器具の全長を,前記第1の形態に形成した当該車両窓破壊器具の全長よりも長く形成することを特徴とする請求項1に記載の車両窓破壊器具
【請求項3】
前記露出機構は,
前記カバーが前記本体から着脱可能に構成されるとともに,
前記車両窓破壊部が前記カバー内に格納した状態で,前記本体と前記カバーとを固定する第1の接続部と,
前記車両窓破壊部が前記カバーから露出した状態で,前記本体と前記カバーとを固定する第2の接続部と,を備えることにより形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両窓破壊器具
【請求項4】
前記露出機構において,
前記第1の接続部と前記第2の接続部は,それぞれ,前記本体の凸形状と前記カバーの凹形状とのはめあいにより構成され,
前記第1の接続部と前記第2の接続部は,その着脱の方向に沿って,ほぼ同一直線上に配置されており,
前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に,前記第1の接続部と前記第2の接続部のそれぞれの前記はめあいの深さを制限する突起部を備え,
前記第2の接続部は,挿入が深くなるに従い,次第に前記はめあいの隙間が小さくなるよう形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両窓破壊器具
【請求項5】
前記露出機構は,
前記カバーと前記本体とを回転可能に接続する回転軸を備え,
前記カバーは,前記カバーと前記本体との間の相対的な回転角度によって,前記第1の形態と前記第2の形態とが形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両窓破壊器具
【請求項6】
前記露出機構は,以下(a)又は(b)のいずれか,即ち,
(a)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝を,前記本体に備え,当該キー溝に対応するキーを前記カバーに備えるか,又は
(b)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝を,前記カバーに備え,当該キー溝に対応するキーを前記本体に備え,
前記キー溝は,前記キーが通るよう形成されるとともに,前記回転軸を中心として,前記キー溝の円弧の端と端の間のなす角度がほぼ(180度+前記キーの直径に相当する角度)に形成され,
前記回転軸において形成される,前記本体と前記カバーとの相対的な角度のうち,前記車両窓破壊部が露出する前記第2の形態になる角度に近づくにつれ,前記キー溝と前記キーとの隙間が次第に小さく形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両窓破壊器具
【請求項7】
前記露出機構は,以下(c)又は(d)のいずれかの機構,即ち,
(c)前記本体と前記カバーとの互いの位置関係を,平行移動可能に支持する平行移動部,又は
(d)又は前記本体と前記カバーとを平行リンクで接続して,前記本体と前記カバーとの相対的な位置関係を変更する平行リンク部,
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両窓破壊器具
【請求項8】
前記露出機構は,
前記本体と前記カバーとの互いの位置関係につき,平行移動を可能に支持する平行移動部と,
前記カバーのうち,前記平行移動の方向で前記車両窓破壊部に対向する面を,突き破り可能に形成した薄壁と,を備え,
前記第1の形態から,前記第2の形態への変形において,前記平行移動部に沿って前記カバー内に設けた本体を移動させること,及び,前記カバーの薄壁を突き破ることを許容することで,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出可能にすることを特徴とする請求項2に記載の車両窓破壊器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,車両が水没した緊急時に,車両のガラス窓又は樹脂製の透明窓を破壊して脱出することを可能にする車両窓破壊器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,地球の温暖化などにより,いわゆるゲリラ豪雨が発生しやすくなり,水害が起こりやすくなり,車両が水没する事故が多発している。そのような水没事故の場合,車両内外の水圧差で車両のドアが開かず,内部の者が脱出できない問題があった。
【0003】
このような場合に備えて,従来より,車両のガラスを先の尖ったハンマーで粉砕し,外部に脱出する器具が考案され(特許文献1参照),発売されている。
【0004】
また,特許文献2には,カバーに入れて収納し,車両のドアポケットに収納する緊急脱出用工具が記載されている。
【0005】
また,特許文献3には,近年,車両の樹脂窓が開発されつつあることから,緊急時に車両の樹脂窓を損傷させるのに適した車両樹脂窓損傷用器具が開示されている。
【0006】
さらに,特許文献4の
図4等には,道具箱に関し,平行リンクを使って,2つの箱の相互の位置関係を変更する例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開第2013−85893号公報
【0008】
【特許文献2】特許第5773778号公報
【0009】
【特許文献3】特開第2020−032081号公報
【0010】
【特許文献4】特許第6422720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら,特許文献1に開示されている構成では,筐体が大きいため,平時は,車両助手席のダッシュボードや車両後部のトランクに入れる必要があるなど,緊急時には取り出しにくく,狼狽した水害の被害者にとって,確実にそれを取り出して利用できるとは言えない可能性があった。特許文献3に図示された構成も筐体が大きい点は,同様である。また,特許文献2の構成では,取り出して利用できる可能性があっても,車両のドアポケットにおいて,大きな空間を占有する可能性があった。
【0012】
そこで,本願発明は,車両が水没した緊急時において,手元において確実に取り出すことができ,しかも,平時には先が尖った危険なハンマーを安全に収納できる車両窓破壊器具を提供し,もって,水没事故があった場合に一人でも多くの者を救命することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本願発明の1つは,
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,
前記本体及び前記カバーに設けられ,前記車両窓破壊部を前記カバーに収納した第1の形態と,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出した第2の形態とを形成する露出機構と,を備える車両窓破壊器具である。
【0014】
ここで,車両窓破壊部は,実施形態の車両窓破壊部111〜411に相当し,特許文献1〜3他,既存の文献のハンマー等が該当する。後述する実施形態では,本体11〜41は,説明の容易のため,本願発明の「本体」と「車両窓破壊部」を合わせたものに相当するものとして記載した。したがって,本願発明の「本体」は,実施形態の本体11〜41から車両窓破壊部111〜411を除いたものに相当する。本願発明の「本体」は,前記車両窓破壊部を支持すれば足り,中実構造であるか中空構造であるかを問わない。特に,カバーを構成する部材の内部に遠隔制御装置を設ければ,本願発明の「本体」は,筐体(「機器類を入れる箱」(「Weblio辞書」参照))である必要はなく,中実構造であってもよい。露出「機構」は,本体とカバーとの着脱機構,回転機構,本体とカバーとの相対的な位置関係につき,平行移動可能にするスライド機構,又は特許文献4に記載のような平行リンク機構等の物理的な機械構造を指すものとする。
【0015】
(2)本願発明の1つは,
前記露出機構は,前記第2の形態に形成した前記車両窓破壊器具の全長を,前記第1の形態に形成した当該車両窓破壊器具の全長よりも長く形成することを特徴とする(1)に記載の車両窓破壊器具である。
例えば,特許文献1,2の構成のように,ただ単に車両窓破壊部周囲にカバーを設けて,着脱するような機構では,カバーで車両窓破壊部を覆ったときの全長は,カバーを外したときの全長より短くなるか,若しくは当該全長と同じ長さとなるので,当該発明の構成のように,「前記第1の形態に形成した当該車両窓破壊器具の全長よりも長く形成する」ことにはならず,当該構成に該当しない。
【0016】
(3)本願発明の1つは,
前記露出機構は,
前記カバーが前記本体から着脱可能に構成されるとともに,
前記車両窓破壊部が前記カバー内に格納した状態で,前記本体と前記カバーとを固定する第1の接続部と,
前記車両窓破壊部が前記カバーから露出した状態で,前記本体と前記カバーとを固定する第2の接続部と,を備えることにより形成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の車両窓破壊器具である。
【0017】
当該発明は,第1,第4の実施形態の構成に対応する。
【0018】
(4)本願発明の1つは,
前記露出機構において,
前記第1の接続部と前記第2の接続部は,それぞれ,前記本体の凸形状と前記カバーの凹形状とのはめあいにより構成され,
前記第1の接続部と前記第2の接続部は,その着脱の方向に沿って,ほぼ同一直線上に配置されており,
前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に,前記第1の接続部と前記第2の接続部のそれぞれの前記はめあいにおける挿入の深さを制限する突起部を備え,
前記第2の接続部は,前記挿入が深くなるに従い,次第に前記はめあいの隙間が小さくなるよう形成されていることを特徴とする(3)に記載の車両窓破壊器具である。
【0019】
当該発明は,第1の実施形態のなお書きに示した構成に対応する。ここで,当該発明が引用する(3)の「着脱可能に構成される」につき,第2の接続部において「前記はめあいの隙間が小さくなるよう形成され」ていることにより,奥まで挿入すると,前記本体と前記カバーが完全に固定することになり,取り外し困難となることが生じても,奥まで挿入しない限りは,一応「着脱可能」であるといえるから,「着脱可能に構成される」に該当するものとする。
【0020】
(5)本願発明の1つは,
前記露出機構は,
前記カバーと前記本体とを回転可能に接続する回転軸を備え,
前記カバーは,前記カバーと前記本体との間の相対的な回転角度によって,前記第1の形態と前記第2の形態とが形成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の車両窓破壊器具である。
【0021】
当該発明は,第2の実施形態の構成に対応する。
【0022】
(6)本願発明の1つは,
前記露出機構は,以下(a)又は(b)のいずれか,即ち,
(a)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝を,前記本体に備え,当該キー溝に対応するキーを前記カバーに備えるか,又は
(b)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝を,前記カバーに備え,当該キー溝に対応するキーを前記本体に備え,
前記キー溝は,前記キーが通るよう形成されるとともに,前記回転軸を中心として,前記キー溝の円弧の端と端の間のなす角度がほぼ(180度+前記キーの直径に相当する角度)に形成され,
前記回転軸において形成される,前記本体と前記カバーとの相対的な角度のうち,前記車両窓破壊部が露出する前記第2の形態になる角度に近づくにつれ,前記キー溝と前記キーとの隙間が次第に小さく形成されていることを特徴とする(5)に記載の車両窓破壊器具である。
【0023】
当該発明は,第2の実施形態のなお書きに記載した構成に対応する。「前記キーの直径に相当する角度」とは,前記回転軸の中心から前記キーの外周に接線を2本引いたときになす角度とする(
図12aの角度215c参照)。その角度は(前記キーの直径を,前記キー溝中心部の円弧の半径で,除算したもの)の逆正接に近似する。
【0024】
(7)本願発明の1つは,
前記露出機構は,以下(c)又は(d)のいずれかの機構,即ち,
(c)前記本体と前記カバーとの互いの位置関係を,平行移動可能に支持する平行移動部,又は
(d)又は前記本体と前記カバーとを平行リンクで接続して,前記本体と前記カバーとの相対的な位置関係を変更する平行リンク部,
を備えることを特徴とする(1)又は(2)に記載の車両窓破壊器具である。
【0025】
当該発明は,第3の実施形態の構成,及び第4の実施形態のなお書きで記載した構成に対応する。
【0026】
(8)本願発明の1つは,
前記露出機構は,
前記本体と前記カバーとの互いの位置関係につき,平行移動を可能に支持する平行移動部と,
前記カバーのうち,前記平行移動の方向で前記車両窓破壊部に対向する面において,前記車両窓破壊部が押し付けられることで突き破り可能な程度に薄く形成した薄壁と,を備え,
前記第1の形態から,前記第2の形態への変形において,前記平行移動部に沿って前記カバー内に設けた本体を移動させること,及び,前記カバーの薄壁を突き破ることを許容することで,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出可能に形成されていることを特徴とする(2)に記載の車両窓破壊器具である。
【0027】
当該発明は,第3の実施形態の構成,及び第4の実施形態のなお書きで記載した構成に対応する。平行移動を可能にする方法としては,第3の実施形態のように,本体の周囲にカバーで覆い,本体とカバーをはめあいの関係にして,そのはめあいの方向に沿って移動させる方法や,レールに沿ってローラーで支持する方法などがある。「突き破り可能な程度」とは,相当な手の力(例えば10〜40kg重程度)で前記車両窓破壊部を押し付けて破壊可能であればこれに該当し,また,第三者のカタログに,手の力その他の方法で破壊可能である旨が記載されていればこれに該当する。「〜本体を移動させること,及び,前記カバーの薄壁を突き破ることを許容する」とは,外力(特に手の力)を受けた場合に,これらの状態が生じ,上記車両窓破壊部がカバーから突出する状態になりうるという,機械的構造を備えることを指すものとする。その構造によって,使い勝手の良い,器具という物の発明として成立する。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば,運転者であれば通常は車両の遠隔制御装置を手元に所持しているところ,本願の発明の車両窓破壊器具は,その本体又はそのカバーのいずれかの内部に車両の遠隔装置を備え,車両窓破壊部をも兼ね備えているので,運転者が緊急時に手元にこれを取り出しやすい。しかも平時には,車両窓破壊部が収納されているので,これにより,緊急時におけるアクセス可能性の向上と,平時において手元に置くことの危険性の回避といった,相反する要請を同時に実現できる。
【0029】
また,(2)の構成によれば,緊急時には上記カバーに収納されている第1の形態よりも長い状態で,車両窓破壊部を露出させることができるので,平時は緊急時よりもコンパクトな状態で上記カバーに収納されるので,上記のアクセス可能性の向上にもつながる。
【0030】
上記(3)ないし(8)の構成は,上記(1),(2)の下位概念の発明であり,上記の効果を有する。上記(3)又は(4)の構成によれば,簡易な構成で,持ち手となるカバーから車両窓破壊部へ力を伝えやすく,車両の窓を破壊する作業をする際の安定感を,向上させることができる。上記(2)かつ(4)の構成によれば,前記カバーのみならず,前記本体も持ち手として利用できるので,緊急時における持ち手の安定に資する。上記(5)又は(6)の構成によれば,本体とカバーは常に分離することなく一体的に接続することができるので,非常時に,カバーから車両窓破壊部を有する本体を取り出しやすい。上記(6)の構成によれば,カバーを持って,上記器具を振り下ろした際に,回転角が確実に制限されるとともに,車両窓破壊部を露出するまで回転した際には,前記キー溝と前記キーとの隙間が小さく,その回転が抑制され,上記器具を振り下ろした際に車両窓破壊部へ力を伝えやすい効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具を示す。当該図では,当該器具の1つの形態として,車両窓破壊部をカバーの中に収めた形態を示す。なお,以下の図では,3次元CADである「FreeCAD」を用いてモデル化し,等角図法で表示した。
【
図2a】第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品である本体の形状を示す。
【
図2b】
図2aに示す本体を別の角度から見た形状を示す。
【
図3】第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品であるカバーの形状を示す。
【
図4】第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる,車両窓破壊部をカバーの中に収めて,当該器具を組み立てる様子を示す。
【
図5】本体を
図4とは逆方向に接続して,第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる,車両窓破壊部を外部に露出した状態で,上記カバーにはめ合わせて,当該器具を組み立てる様子を示す。
【
図6】第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具の1形態として,車両窓破壊部をカバーから外部に露出した形態を示す。本図は,
図5の組み立ての完成図に相当する。
【
図7】第2の実施形態にかかる車両窓破壊器具を示す。当該図では,当該器具の1形態として,車両窓破壊部をカバーの中に収めた形態を示す。
【
図8a】第2の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品である本体の外観の形状を示す。
【
図8b】
図8aに示す本体を別の角度から見た外観の形状を示す。
【
図9a】第2の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品であるカバーの外観の形状を示す。
【
図9b】
図9aに示すカバーを別の角度から見た外観の形状を示す。
【
図10】第2の実施形態にかかる車両窓破壊器具を組み立てる様子を示す。
【
図11a】第2の実施形態にかかる車両窓破壊器具の1形態として,車両窓破壊部をカバーから外部に露出した形態を示す。
【
図11b】
図11aに示す車両窓破壊器具を別の角度から見た形状を示す。
【
図12a】
図11aに示す車両窓破壊器具を,同図のP−P断面で切断した断面図を示す。
【
図12b】
図11aに示す車両窓破壊器具の本体を回転軸の周りに90度回転させた状態で,当該器具を上記P−P断面で切断した断面図を示す。
【
図12c】
図12bに示す車両窓破壊器具の本体をさらに回転軸の周りに90度回転させた状態で(
図7の形態の車両窓破壊器具に相当する),当該器具を上記P−P断面で切断した図を示す。
【
図13】第3の実施形態にかかる車両窓破壊器具を示す。当該図では,当該器具の1形態として,車両窓破壊部をカバーの中に収めた形態を示す。
【
図14a】第3の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品である本体の形状を示す。
【
図14b】
図14aに示す本体を,同図のQ−Q断面で切断した断面図を示す。
【
図15a】第3の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品であるカバーの形状を示す。
【
図15b】
図15aに示すカバーを,
図15aのQ−Q断面で切断した断面図を示す。ここで当該Q−Q断面は第3の実施形態の上記器具を組み立てた場合,
図14aのQ−Q断面と同じ位置に相当する。以下では,単に「Q−Q断面」という。
【
図16a】第3の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる,車両窓破壊部をカバーの中に収めて,当該器具を組み立てる様子を示す。
【
図17】
図13の車両窓破壊器具を,Q−Q断面で切断した断面図を示す。なお,図中の稜線312b,cは,
図14aに示す本体の稜線312b,cが見えている状態である。
【
図18a】
図13に示す車両窓破壊器具に対し,本体をさらにカバーの中に押し込んだ形態の車両窓破壊器具を示す。
【
図18b】
図18aに示す車両窓破壊器具を別の角度から見た図を示す。この形態では,車両窓破壊部がカバーを突き破り,カバーから露出している。
【
図18c】
図18a,bに示す形態の車両窓破壊器具を,上記Q−Q断面で切断した断面図を示す。
【
図19】第4の実施形態にかかる車両窓破壊器具を示す。当該図では,当該器具の1形態として,車両窓破壊部をカバーの中に収めた形態を示す。
【
図20】第4の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品である本体の形状を示す。
【
図21】第4の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる部品であるカバーの形状を示す。
【
図22】第4の実施形態にかかる車両窓破壊器具の1形態として,車両窓破壊部をカバーから外部に露出した形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下,添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0033】
図1ないし
図6を用いて,第1の実施形態について説明する。
【0034】
図1に示すように,第1の実施形態にかかる車両窓破壊器具1は,本体11と,本体11を覆うカバー12を備えている。本体11は,図示しないものの,車両の遠隔制御装置を構成する通信部と操作部を備え,通信部は,操作部からの入力に応じて,赤外線,電波等の無線による通信手段により,車両のエンジン起動等の指示を,車両に対し送信する。当該遠隔制御装置は,いわゆる「スマートキー」,「キーレスキー」,又は「リモコンキー」(ただし登録商標ではない)などと称されるものに該当し,ボタン操作により(又はボタン操作なくとも車両に近づいただけで),エンジンの始動や車両のキーの開錠を行う。
【0035】
図2a,bは,本体11の外観図である。これらの図に示すように,本体11は,車両窓破壊部111と,はめあい部(凸側)112a,bと,突起部113a,bとを備える。
【0036】
図2a,bに示す車両窓破壊部111は,先端が尖った硬い材質のものとするのが好ましく,その材質としては,例えば超硬合金製の尖頭状スタッド(特許文献2参照)や,焼き入れした炭素鋼にメッキを施したもの(特許文献3のように,ビッカース硬さで150HV以上とすることもできる)や,鉄の合金等とすることができる。また,同文献に記載の,樹脂ガラスを損傷するに適した加熱部や樹脂窓の強度を下げることに足りる構成を追加してもよい。車両窓破壊部111の先端が尖っているので,これを窓ガラスにたたきつけことで,ガラスを割ることができる。その他,車両窓破壊部111は,従来文献ではハンマーと称されることもあり,窓ガラスや樹脂製の透明窓を破壊するに足りるものであればよく,特許文献1〜3その他の従来の構成を用いることができる。
【0037】
はめあい部(凸側)112a,bは,いずれも,凹形状のカバー12の内側と,はめあいの関係にあり,車両窓破壊部111を固定して支持する。はめあい部(凸側)112a,はめあい部(凸側)112bのいずれか,又はその両方は,通信部と操作部を内蔵する。ここで,車両窓破壊部111を直接支持するはめあい部(凸側)112bは,車両窓に車両窓破壊部111を打ち付けた際に衝撃に耐える構造であることが好ましい。その衝撃に耐える観点から,例えば,はめあい部(凸側)112bを中実構造とするとともに,車両窓破壊部111から遠い位置にあるはめあい部(凸側)112aを中空構造の筐体として通信部と操作部を内蔵するようにしてもよい。
【0038】
突起部113a,bは,はめあい部(凸側)112a,bの表面よりも外側に突出している。
【0039】
図3は,カバー12の外観図である。同図に示すように,カバー12は,ほぼ直方体の主要部材121に,その6面のうち1面につき開口した開口部を備えている。ここで,主要部材121は,カバー12の主要部分,ボディ,body又は本体ともいうことができるが,本体11との区別が煩雑であるので,その煩雑を避けるため,これを主要部材と称することにする。主要部材121の部材自体の内部,即ち,主要部材121の開口部と外表面との間を中空構造にする必要は必ずしもない(ただし本実施形態と異なり,本体11ではなく,主要部材121の内部に遠隔制御装置を設ける場合は,これを内蔵するため中空構造にする。)。主要部材121に関する以上の点は,以下の実施形態のカバー22,32の主要部材221,321でも同様である。
カバー12の上記開口部は,上記のはめあい部(凸側)112a,bと噛み合って,はめあいを形成する。そこで,以下では当該開口部をはめあい部(凹側)122と称する。
【0040】
図4は,本体11とカバー12を組み立てて,車両窓破壊器具1を構成することを示す図である。同図に示すように,車両窓破壊部111が接続された,本体11のはめあい部(凸側)112bと,カバー12のはめあい部(凹側)122の挿入口122aを対向させる。この方向から,これらを互いに近接させ,挿入口122aに,はめあい部(凸側)112bを挿入する。このように挿入していくと,突起部113a,bが上記挿入口122aに接して,これ以上,深く挿入できなくなる。したがって,突起部113a,bは,はめあい部(凸側)112bを挿入する深さを制限する役割がある。
【0041】
このように挿入することで,
図1に示す車両窓破壊器具1を構成できる。この形態では,車両窓破壊部111を,カバー12内に収納でき,平時の車両窓破壊器具1の安全や取り扱いの容易に資する。
【0042】
なお,挿入口122aに,はめあい部(凸側)112bを挿入するとき,はめあい部(凹側)122とはめあい部(凸側)112bとの間の隙間には,奥に挿入したとき,はめあい部分(凹側)122と,はめあい部分(凸側)112bとの両方に小さな突起を設けるなど容易にカバー12が外れないようにするのが好ましい。このようにすれば,カバー12に本体11を挿入したとき,本体11,カバー12又は上記突起がたわんで,当該突起を乗り越えて挿入し,上記突起が復元して伸長するなどして,軽いロックがかかるようにすることができ,手で着脱することが容易になる。特に,はめあい部(凸側)112bについては,カバー12が車両窓破壊部111を覆う形態ではめあうので,後述の第2の形態に容易に変更できるようにするため,カバー12を手で外すことができるように,このような軽いロックをかけることが好ましい。
【0043】
車両窓破壊器具1は,このような平時の役割とは別に,乗車している車両が水没した場合に,車両窓破壊部111を露出させて,当該車両の窓を割るのに適した形態へ変化させることができる。以下に説明する。
【0044】
図5は,本体11を
図4とは逆方向に接続して車両窓破壊器具1a(後述
図6参照)を組み立てる様子を示す。
図5に示すように,本体1のうち,車両窓破壊部111を有しない側のはめあい部(凸側)112aを,カバー12のはめあい部(凹側)122の挿入口122aと対向させる。この方向から,これらを互いに近接させ,挿入口122aに,はめあい部(凸側)112aを挿入する。この形態でも,突起部113a,bに当たる深さまで,はめあい部(凸側)112aを挿入する。したがって,突起部113a,bは,はめあい部(凸側)112aを挿入する深さを制限する役割がある。
【0045】
このように本体11を挿入すると,
図6に示すように,車両窓破壊部111はカバーから露出する。車両窓破壊器具1を用いてガラスを割る際には,乗車者は,カバー12を持って,車両窓破壊部111を介して,ガラスに衝撃を加える。
【0046】
このとき,
図5を併せ参照すると,カバー12のはめあい部(凹側)122→突起部113a,b→はめあい部(凸側)112bが,はめあいの着脱の方向に沿って,ほぼ同一直線上に配置されているので,はめあい部(凹側)の挿入口122aから押し付ける衝撃が,突起部113a,bを介してガラス破壊部111に力が伝わりやすい。また,はめあい部(凹側)122及び突起部113a,bが,車両窓破壊部111にねじる力をも伝えることができるので,握り手の安定感が増す。なお,この実施形態では,図面の上下側面にのみ突起部113a,bを設けたが,はめあい面の全周4面に突起部を設けたほうがより安定する可能性がある。
【0047】
このように,第1の実施形態では,本体11とカバー12とをはめあいにより接続する接続部を2つ設け,これらの接続を切り離し,接続する位置を変更して,接続を「付け替える」機構を備えることにより,カバー12を着脱し,車両窓破壊部111を収納した第1の形態と,車両窓破壊部111を露出した第2の形態という2つの形態を形成できる。
【0048】
なお,突起部113a,bは前述の通り,はめあい部の深さを定めるので,車両窓破壊部111と突起部113a,bとの間の長さを,その逆側のはめあい部(凸側)112aの先端と突起部113a,bとの間の長さよりも長くするのが好ましい。このようにすれば,車両窓破壊部111を利用する際に,車両窓破壊器具1は,
図1に示す車両窓破壊部111が格納された状態よりも長くなり,カバー12のみならず,接続された本体11も持ち手として利用できるので,持ち手の安定感の向上に資する。
【0049】
また,上記で説明した,はめあい部分(凹側)122と,はめあい部分(凸側)112bとの両方に小さな突起を設けて軽いロックをする機構は,はめあい部(凸側)112aについても応用できる。
また,車両窓破壊部111が露出した状態で本体11とカバー12を接続できるよう(第2の形態),はめあい部(凸側)112aをはめあい部(凹側)122に挿入する際には,上記で説明した突起を設けるロック方法のほか,以下の方法がある。即ち,はめあい部(凹側)122,はめあい部(凸側)112aのはめあいの間の隙間には少しの勾配(テーパーともいう)を設けて,本体をカバーの奥に挿入するほど,当該はめあいの隙間を次第に小さく,最終的には交差を0又はマイナスになるようにして,締まるようなはめあいにする方法も考えられる。これによれば,奥まではめ込んだときに,容易に抜けないようにすることができ,挿入後に本体11とカバー12を固定して一体化させることができ,これにより,車両窓破壊器具1aのカバー12を手で持って,車両窓を破壊する際に,持ち手の安定感の向上に資する。また,車両窓破壊器具1を第2の形態に変更して利用する際には,車両は水没して廃車になっている可能性が高く,このように固定しても,問題は生じにくく,第1の形態へ戻すことは必ずしも要しない(以下の実施形態も同様である)。
【0050】
図7ないし
図12cを用いて,第2の実施形態について説明する。
【0051】
図7は,第2の実施形態にかかる車両窓破壊器具2を示している。同図に示すように,当該器具2は,本体21と,本体21を覆うカバー22を備えており,平時には,後述の車両窓破壊部211が露出しないように格納することができる。また,本体21は,第1の実施形態の本体11と同様,遠隔制御装置を構成する通信部と操作部を備えており,当該通信部は,操作部からの入力に応じて,車両に対し動作の指示を送る。
【0052】
カバー22を構成する主要部材221は,ほぼ直方体であるが,板を「コ」の字又はU字状に屈曲した形状(ただし必ずしも折り曲げ加工により成型することを要しない)に形成されている。これにより,カバー22の主要部材221には,直方体の3面が開口した開口部を有しており,車両窓破壊器具2は,カバー22の主要部材221の開口部の中に,本体21が挿入されている(当該開口部を「はめあい部(凹側)222」という)。
【0053】
本体21とカバー22は,本体に設けた軸穴214(後述の
図8a,
図8b参照)と,カバー22に設けた軸穴224aと,図示を省略する回転軸とによって,その軸の周りに回転可能に接続されている。これにより,車両窓破壊器具2は,
図7に示すように本体21に設けた車両窓破壊部211が格納された状態と,後述の
図11a,
図11bに示すように車両窓破壊部211がカバー22から露出した状態の,2つの形態を形成することができる。
【0054】
カバー22には,操作部にアクセスするための開口部223を設けるのが好ましい。開口部223によれば,車両窓破壊器具2のうち比較的広い面積を有するカバー22の表面から,本体に設けた操作部に手が届くようにすることができる。
【0055】
図8a,
図8bは,第2の実施形態の本体21の外観の形状を示す図である。本体21は,車両窓破壊部211と,はめあい部(凸側)212と,軸穴214と,キー溝215(
図8b参照)と,を備える。車両窓破壊部211は第1の実施形態と同様とする。はめあい部(凸側)212は,遠隔制御装置を内蔵する筐体であって,車両窓破壊部211を固定し,支持する。はめあい部(凸側)212は,カバー22のはめあい部(凹側)222と対応する厚みを有しており,扁平状の形状をしている。軸穴214は,カバー22と接続された,上記回転軸を支持し,カバー22を回転可能に接続するのに用いる。
【0056】
キー溝215は,軸穴214と同軸に配置された円弧状の溝であり,上記回転軸を中心として,前記キー溝の円弧の端と端の間のなす角度をほぼ(180度+後述のキー225の直径方向の厚みに相当する角度)とする。「前記キーの直径に相当する角度」とは,前記回転軸の中心から前記キーの外周に接線を2本引いたときになす角度とする(後述
図12aの角度215c参照)。当該直径方向の厚み分の角度は,(キー225の直径を,キー溝215中心部の円弧の半径で,除算したもの)の逆正接に近似する。キー溝215は,カバー22に設けた後述のキー225(
図9a参照)を通す。
【0057】
車両窓破壊部211は,第1の実施形態と同様の構成とする。軸穴214と上記軸との接続方法としては,例えば単にはめあうようにすることもできるし,軸受を使うこともできる。はめあいを利用する場合,はめあいの隙間を小さく又はマイナス交差にして、硬く接続すれば,車両窓破壊部211が容易に飛び出さない効果や,車両窓破壊部211を利用する際にカバー22を手で持ったときの安定感がよくなる効果が期待できる。
【0058】
はめあい部(凸側)212のうち,
図7の開口部223の下に相当する部分には,上記操作部を設ける。ただし,上記操作部を,はめあい部(凸側)212の側面212a又は側面212bに設けることもでき,この場合,開口部223は不要である。これらの側面212a,bは,車両窓破壊器具2を組み立てたとき(
図7参照),又は後述の車両窓破壊器具2aを組み立てたとき(
図11a,
図11b参照)に,当該器具2,2aに露出する面である。
【0059】
はめあい部(凸側)212には,R部212c,dを設けるのが好ましい。これによれば,本体21を回転させたときにカバー22との干渉を防ぐことが容易になる。
【0060】
図9a,
図9bは,カバー22の外観の形状を示す図である。カバー22は,ほぼ直方体の主要部材221と,当該主要部材221に設けられ,当該主要部材221の3面が開口し,「コ」の字又はUの字に屈曲した開口部(はめあい部(凹側)222)と,本体を回転可能に支持するための軸穴224a,bと,操作部にアクセスするための開口部223と,キー溝215と噛み合う突起状のキー225とを備える。軸穴224aと224bは,いずれも,本体21の軸穴214に接続された上記回転軸を支持するもので,互いに同軸になるよう形成する。
【0061】
図10,
図11a,
図11bを用いて,第2の実施形態の車両窓破壊器具の組み立てについて説明する。
図10はその組み立ての様子を示す図であり,
図11a,
図11bは,これにより組み立てた完成図を示す。
図10に示すように,車両窓破壊部211をカバー22とは逆方向に向けた状態で,本体21とカバー22を対向させ,カバー22のはめあい部(凹側)222の中に,はめあい部(凸側)212を挿入する。その挿入の深さとしては,軸穴224a,214,224bが同軸になる位置まで,はめあい部(凸側)212を挿入する。このとき,キー225は,キー溝215の端面215aと接触するようにする。このように挿入したのち,上記回転軸を,軸穴224a又は軸穴224bから挿入し,当該回転軸を介して,本体21とカバー22を回転可能に接続する。
【0062】
このように本体21をカバー22に挿入すると,
図11a,
図11bに示すように,車両窓破壊器具2を,車両窓破壊部211がカバーから露出した状態に形成できる。以下では,この状態の車両窓破壊器具2の符合を「2a」という。
【0063】
図12aないし
図12cを用いて,車両窓破壊器具2aから,車両窓破壊部211がカバーに格納した状態への変形について説明する。
図12aないし
図12cは,
図11aのP−P断面即ち,キー225の頭の高さで,
図11aに示す車両窓破壊器具2aないし
図7に示す車両窓破壊器具2を薄く切断した断面図を示している。
【0064】
図12aに示すように,以上のように車両窓破壊器具2aを組み立てると,キー溝215の端面215aとキー225が接触し,本体21が時計回りに回転するのを制限する。これにより,カバー22を手で持って,車両窓破壊部211から車両のガラスに衝撃を与えた場合に,キー溝215の端面215aとキー225は,カバー22の回転を抑制する。したがって,当該器具2aのカバー22を持って腕を振り下ろしたときに,腕の力が逃げることなく車両のガラスに伝わり,車両窓破壊器具2aを手で握る際の安定感の向上に資する。
【0065】
図12bに示すように,キー溝215にキー225を通すようにしながら,本体21のみを,反時計回りに回転させる(
図12aの矢印216の方向参照)。このような回転を可能とするためには,キー溝215の半径方向の幅は,キー225の直径より厚くなければならず(ただし,キー溝215とキー225のはめあい交差を,0又はマイナス側に(つまり,はめあいを硬めに)形成して回転を抑制するのは取りうる手段である),また,軸穴214とキー溝215が同軸で,その回転軸とキー225との距離は,キー溝215の円弧の外周と内周の中に入るようにする必要がある。なお,直線状のキー溝215dについては,後述する。
【0066】
図12bの形態から同図に示す矢印216の方向に,90度回転させると
図12cの形態となる。ここで,その回転角度は,
図12aの形態から見ると上記(180度+キー225の直径方向の厚みに相当する角度(
図12aに示す角度215c))に相当する。このとき,キー225は,上記したキー溝215の終端215bに接触する。このように,キー溝215を,円そのものではなくその一部である円弧状に形成することで,キー溝215は,本体21の回転角度を制限する。キー溝215を上記(180度+角度215c)に設定したとき,本体21は,180度の回転が可能となり,車両窓破壊部211がカバー22に格納した状態と,カバー22から露出した状態を形成するのに好ましい。
【0067】
以上の通り,第2の実施形態の車両窓破壊器具2は,本体21とカバー22の相対的な位置関係を,上記回転軸の周りに,互いに「回転させる」機構を備えており,これにより,車両窓破壊部211をカバーに収納した形態(第1の形態)と,車両窓破壊部211をカバーから露出させた形態(第2の形態)という,2つの形態を備える例を示している。しかも,第2の形態では,カバーに収納した状態よりも全長を長く形成した形態が形成されている。
【0068】
このように車両窓破壊部211をカバーから露出させた形態で,当該器具21の全長を長く形成することにより,緊急時に車両のガラスを破壊する際に,カバー22が持ち手となり,これを持ちやすく,持ち手が安定する形態へ変化することができる。逆に,平時には車両窓破壊部211をコンパクトに収納し持ちやすいという利点が生じる。
【0069】
なお,
図12cのように,本体21を回転させたとき,本体21のはめあい部(凸側)212と,カバー22のはめあい部(凹側)222の表面に,それぞれ図示しない突起を設け,その突起,本体21又はカバー22の弾性力で,本体21の回転時にその突起を乗り越えた場合に,軽いロックがかかるようにしてもよい。このようにすれば,平時に,車両窓破壊器具2の車両窓破壊部211が,不用意に飛び出さなくて済み,取り扱いの安全や扱いの容易に資する。
【0070】
また,本体21の回転によりキー225が端面215aに近づくにつれ,キー溝215とキー225のはめあいにつき,次第に隙間を小さくし,最終的には交差を0又はマイナス側にするなどして,回転が硬くなるよう形成してもよい。このようにするには,例えば,
図12bに示すように,側面212bからキー溝215まで直線状の溝215dを切ることが考えられる。この場合,
図10のような組み立てとは異なり,
図12bに示す本体21の回転角度の状態で,当該直線状の溝215dに,キー225を通して軸穴214,軸穴225a,bを一致させて,組み立てる。このようにして,
図11a,bに示す形態のときに,上記の回転が硬くなるよう形成すれば,車両窓破壊器具2を,車両窓破壊部211が露出する形態に変形したときに,本体21とカバー22の回転が抑制され,これらが一体化し,カバー22を手で持ったときに,持ち手の安定感の向上に資する。
【0071】
また,以上の第2の実施形態で示したキー溝は,回転角度の抑制が可能であることを示す1つの例にすぎず,ほかの手段でカバーの回転角度を抑制してもよい。例えば,カバーに穴をあけて,ピンを挿入したり,ねじ止めしたり,本体の筐体側面212a,212bに丸かんタイプの掛金(戸・障子などが開かないようにかけるリング状の金具)の機構などを設けて,その金具を回転すると固定/開放を切り替えるなど,種々の方法が考えられる。このようなカバーと本体との固定方法は,他の実施形態にも応用できる。
【0072】
次に,
図13ないし
図18cを用いて,第3の実施形態にかかる車両窓破壊器具3について説明する。
【0073】
図13は,車両窓破壊器具3の外観を示しており,後述の車両窓破壊部311を格納した状態を示している。当該器具3は,本体31とカバー32を備えている。本体31は,以上の実施形態と同様に,遠隔制御装置(操作部と通信部を含む)を備え,第2の実施形態と同様,カバー32には,操作部(
図13の317の位置,後述
図17も併せて参照)にアクセスするための開口部323を設け,当該開口部323を介して,本体31の筐体である後述のはめあい部(凸側)312に設けた操作部に手が届くように構成する。カバー32には,弾性ピン325が固定されている。
【0074】
図14aは,本体31の外観図,
図14bは,
図14のQ−Q断面,即ち後述のキー溝315の中心の位置で,切断した断面図を示している。これらの図に示すように,本体31は,車両窓破壊部311と,はめあい部(凸側)312と,突起部313a,bと,キー溝315を備える。
【0075】
車両窓破壊部311は,以上の実施形態と同様である。はめあい部(凸側)312は,第1,第2の実施形態と同様,遠隔制御装置を内蔵する本体31の筐体であって,車両窓破壊部311を固定し,支持する。また,はめあい部(凸側)312は,カバー32の内面のはめあい部(凹側)322(後述
図15a参照)と,はめあいの関係にある。
【0076】
突起部313a,bは,第1の実施形態と同様,本体31をカバー32に挿入する際の挿入の深さを制限する役割を果たす。第1の実施形態と異なり,突起部313a,bは,手で容易に,へし折る(「強い力で曲げて,対象を分離する」(goo辞書参照))ことができるように薄く形成する。キー溝315は,車両窓破壊部311の軸と同一方向に設けられ,弾性キー325を通す。キー溝315の終端315bには,落ち込み部を設けている。
【0077】
図15aは,カバー32の外観図,
図15bは,
図15aのQ−Q断面,即ち弾性ピン325を通る位置で,切断した断面図である。ここで,図面の簡単な説明で述べたように,
図15aのQ−Q断面は,
図13のように車両窓破壊器具3を組み立てた場合,
図14aのQ−Q断面と一致するので,それらいずれも「Q−Q断面」と称する。
【0078】
これらの図に示すように,カバー32の主要部材321は,第1の実施形態と同様に,ほぼ直方体の形状をしていて,その1面が開口しており,その内側側面は,本体の筐体であるはめあい部(凸側)312を挿入可能に形成し,はめあい部(凸側)312とはめあいの関係にある。そこで,以下では,カバー32の主要部材321の内側側面を「はめあい部(凹側)322」という。
【0079】
また,カバー32は,前述した操作部にアクセスするための開口部323と,弾性ピン325を備える。弾性ピン325は,内部にばねが設けられ,そのばね力でカバー32の内側方向へ伸長するよう形成されたピンである。その固定方法としては,ねじで固定する方法や,カバー32に設けた貫通孔に対し,マイナス交差のはめあいの関係にあるピンを,打ち込むなどの方法が考えられる。
【0080】
図16aは,第3の実施形態にかかる車両窓破壊器具に含まれる,車両窓破壊部をカバーの中に収めて,当該器具を組み立てる様子を示す。
図16bは,
図16aを上記Q−Q断面で切断した断面図を示す。
図16aに示すように,第1の実施形態と同様,車両窓破壊部311と,カバー32のはめあい部(凹側)322の挿入口322aとを対向させた状態で,カバー32の内側のはめあい部(凹側)322に,本体31のはめあい部(凸側)312を挿入する。このように挿入していくと,突起部313a,bと,挿入口322aが接触し,突起部313a,bは,これ以上に深く挿入されるのを制限する。
【0081】
このように突起部313a,bと挿入口322aが接触するまで挿入すると,前述した
図13に示す車両窓破壊器具3となる。
【0082】
当該器具3の上記Q−Q断面を,
図17に示す。当該器具3を組み立てる際には,
図16aに示す突起部313a,bとカバー32の挿入口322aとを,接着剤等で固定しておく。このように固定すれば,
図17に示すように,車両窓破壊部311はカバー32内に格納され,平時には車両窓破壊部311が露出することはない。また,この状態で,キー溝315の端面315a内において,弾性キー325がその弾性で圧縮した状態で,キー溝315と接触している。また,カバー32の最奥側の側面である軟弱な薄壁326(車両窓破壊部311と対向する面)は,車両窓破壊部311を押し付けて突き破ることができるよう,薄く形成されている。
【0083】
次に,
図18aないしcを用いて,車両が水没した有事の際に,車両窓破壊器具3を変形した,車両窓破壊部311をカバーから露出した状態(車両窓破壊器具3a)について説明する。
図18aは,
図13に示す車両窓破壊器具に対し,本体をさらにカバーの中に押し込んだ形態の車両窓破壊器具を示す。
図18bは,
図18aに示す車両窓破壊器具を別の角度から見た図を示す。
【0084】
図18aに示すように,突起部313a,b(
図14a参照)をへし折りつつ,本体31をカバー32の奥へさらに押し込んで,挿入する。
【0085】
そうすると,
図18bに示すように,車両窓破壊部311は,カバー32の軟弱な薄壁326を突き破り,カバー32の外に,車両窓破壊部311が露出する。このようにして,車両窓破壊部311が露出した状態の車両窓破壊器具3aを形成できる(なお,
図18aについても,車両窓破壊器具の符合を3aとした。)。
【0086】
図18cは,カバー32の軟弱な薄壁326を突き破った状態の車両窓破壊器具3aのQ−Q断面図を示している。この状態で弾性ピン325がキー溝315の終端315bに接触するように,本体31及びカバー32の各部の位置関係を調整して構成するようにする。このようにすれば,本体31をカバー32の中に挿入していくと,弾性ピン325が,キー溝315内の端面315aから終端315bへ移動する。弾性ピン325が終端315bに接触するので,これ以上深く挿入することはできない。
【0087】
また,終端315bには,通常のキー溝315の部分より深い落ち込み部を設けているので(
図18c,
図14b参照),弾性ピン325がその落ち込み部に当たると,弾性ピン325が伸長する。これにより,弾性ピン325は,カバー32から車両窓破壊部311が露出した状態で,本体31とカバー32の位置関係を固定する。このように,車両窓破壊器具3aは,車両窓破壊部311をカバー32から露出した状態で固定でき,手でカバー32を持ったときに,車両窓破壊部311からカバー32までを一体化させることができる。したがって,車両窓破壊器具3は,車両窓破壊部311をカバー32に格納した第1の形態と,車両窓破壊部311をカバー32から露出した第2の形態の車両窓破壊器具3aと,の2つの形態を備える。
【0088】
以上の通り,第3の実施形態では,車両窓破壊器具3が,カバー32に対し,本体31を滑らせて(ないし,カバー32と本体31とのはめあいにより,可動方向を制限し摺動させて),「平行移動」させる機構を備え,これにより,車両窓破壊部311をカバーに収納した第1の形態と,車両窓破壊部311をカバーから露出させた第2の形態という,2つの形態を備える例を示している。しかも,当該第2の形態では,カバーに収納した第1の形態よりも,車両窓破壊器具の全長が長く形成されている。
【0089】
なお,上記のピン325の代わりに,はめあい部(凹側)322の内側方向にばね力で反り返る板ばねを,カバー32の挿入口322a付近に設けて,本体31を固定する方法も考えられる。即ち,
図13に示す状態(平時)では,本体31が存在して,板ばねは本体31に押され,はめあい部(凹側)322に張り付いているが,
図18aに示すように押し込んだ際には,板ばねのばね力が解放し,はめあい部(凹側)322の内側に突出して,かえしを形成し,本体をロックする方法が考えられる。
【0090】
次に,
図19ないし
図22を用いて,第4の実施形態にかかる車両窓破壊器具4について説明する。
【0091】
図19は,当該器具4の外形図を示し,後述の車両窓破壊部411を格納した状態を示している。当該器具4は,本体41とカバー42を備えている。以上の第1,第3の実施形態と異なり,カバー42は,本体41の4面を覆うのではなく,本体41の3面のみを覆っている。本体41には,位置決めピン415a〜dを備え,カバー42は,それと噛み合う位置決め用孔425a〜fの孔を備える。
【0092】
図20は,本体41の外観図である。本体41は,車両窓破壊部411と,筐体412と,突起状の位置決めピン415a〜dと,L字型の薄壁416a,bを備える。車両窓破壊部411は,以上の実施形態と同様である。筐体412は,車両窓破壊部411を支持し,以上の実施形態と同様の遠隔制御装置(操作部と通信部を含む)を内蔵する。また,突起状の位置決めピン415a〜dは,筐体412に等間隔で固定されている。L字型の薄壁416a,bは,車両窓破壊部411の周囲を覆うように配置されている。薄壁416a,bは,薄く形成して,容易にへし折ることができるように構成する。
【0093】
図21は,カバー42の外観図である。カバー42は,「コ」の字型又はU字型に形成されたカバーの天板421と,カバーの天板421に設けた位置決め用孔425a〜fの孔を備える。位置決め用孔425a〜fは,位置決めピン415a〜dとはめあいの関係にある直径の貫通孔で,等間隔に並んでいる。当該孔425aから425cまでの距離と,位置決めピン415aから415cまでの距離は,公差の範囲内で,同じ長さとする。
【0094】
以上を踏まえ,
図19に戻り,車両窓破壊器具1について説明する。本体41の位置決めピン415a〜dを,それぞれ,カバー42の425a〜eにはめ込むと,カバー42内に車両窓破壊部411が収納された形態を,形成できる。また,上記の通り,カバー42の位置決め用孔425a〜dを配置したことで,当該孔425a〜dに,位置決めピン415a〜dをはめることができるとともに,位置決め用孔425c〜fにも,位置決めピン415a〜dをはめることができる。このように,本体41とカバー42は,互いにこれらを接続し着脱可能な,2つの接続部を備えている。
【0095】
また,
図22は車両窓破壊部411が露出した状態の車両窓破壊器具4aを示す。同図に示すように,本体41の位置決めピン415a〜dを,それぞれ,カバー42の425c〜fにはめ込むと,車両窓破壊器具4は,カバー42から車両窓破壊部411が露出した形態(車両窓破壊器具4a)を,形成できる。このとき,薄壁416a,bは,車両窓破壊部411をガラスに当てるには邪魔になるので,手でへし折って,車両窓破壊部411の全体を露出させる。このようにすると,カバー32を手で持ったときに,車両窓破壊部411からカバー32までを固定でき,これらを一体化させることができる。
【0096】
以上の通り,第4の実施形態では,本体41とカバー42が2つの接続部を有し,「複数の接続部を設け,接続部で着脱して付け替える」機構を備えており,これにより,車両窓破壊部411をカバーに収納した形態(第1の形態)と,車両窓破壊部411をカバーから露出させる形態(第2の形態)という2つの形態を切り替えることができる。しかも,カバーから露出した際には,カバーに収納した状態よりも全長を長く形成できる。そして,この実施形態では,上記のへし折ることができる薄壁416a,bを利用することで,カバー42が,本体の4面を覆うことなく,3面だけ覆うだけでも,以上の第1の形態及び第2の形態という2つの形態を備える例を示した。
【0097】
なお,上記薄壁416a,bは,車両窓破壊部411の周囲2面だけを覆っている。これにより,残り3面が開口部417a,b,cとなっており,カバー42が,その3面の開口部417a,b,cの覆いを補完している。ここで,開口部417a又は417cにも,容易にへし折ることが可能な薄壁を設ければ,カバー42の代わりに2面だけを覆うL字型のカバーで代用することも可能である。
【0098】
また,この実施形態のように,着脱をしなくても,カバー32を平行移動(スライド)させる機構(例えば第3の実施形態及び本実施形態のように,本体とカバーとのはめあいを利用して摺動させたり,ローラーガイド,リニアガイド,リニアシャフト等を用いたりすることが考えられる)を設けて,上記の車両窓破壊部411をカバーに収納した形態(第1の形態)と,車両窓破壊部411をカバーから露出させる形態(第2の形態)とを備える車両窓破壊器具を構成してもよい。また,この場合の本体41とカバー42との位置関係の固定手段としては,例えば,カバーと本体のスライド位置に合わせて,カバー32に突起状のピンを2つ固定し,本体には,(回転式のヒンジ及び当該ピンとはめあう穴)の1セットを設けた留め具を設けて,ボタンをかけるように,固定するなどの方法が考えられる。また,道具箱(例えば特許文献4参照)のように,「平行リンク」で,本体41に対して,カバー42を前後進するようにしてもよい。この場合も,本体41に対して,カバー42の位置関係を変更でき,その機構により車両窓破壊部411をカバーから露出させることができる。
【0099】
さらに,第4の実施形態で,位置決めピン415a〜dによる固定手段(機構)を示したが,これらは,上記2つの形態につき,本体41と,カバー42を固定することが可能であることを示したにすぎず,必須の機構ではなく,既存の種々の固定手段(機構)がありうる。その手段としては,例えば,ボルト締め,弾性力による押し付け,磁力,キー溝,はめあいのマイナス交差の利用,カバー又は本体に突起を設けて,それらのたわみにより当該突起を乗り越えて挿入し,軽いロックがかかるようにする,などが可能であり,本願発明は,以上の実施形態に限られない。これらの固定手段(機構)は,ほかの実施形態でも応用できる。
【0100】
以上で示した第1〜第4の実施形態の通り,本体11〜41と,カバー12〜42との位置関係を,「複数の接続部を設け,接続部で着脱して付け替える」(第1,第4の実施形態),「回転させる」(第2の実施形態),「平行移動させる」(第3の実施形態),機構を利用することで,車両窓破壊部111〜411をカバーに収納した形態(第1の形態)と,車両窓破壊部111〜411をカバーから露出させた形態(第2の形態)という,2つの形態を備えることができる。しかも,以上の実施形態では,いずれも,当該第2の形態では,カバーに収納した第1の形態よりも,車両窓破壊器具の全長を長く形成できる。
【0101】
なお,第3,第4の実施形態では,容易にへし折ることができる薄板などにより,壁を開放して車両窓破壊部311〜411を露出する手段を示したが,ヒンジとねじりコイルばねを利用して,平時は薄板がコイルばねの力により締まっており,車両窓破壊部311,411を覆っているが,車両窓破壊部311,411を押し付けると,開放する扉を設けるようにすることもできる。また,当該扉の別の固定方法としては,当該コイルばねのほか,磁気による固定方法や,当該扉やカバー32に互いに突起を設けて,当該扉,カバー32又は当該突起のたわみにより当該突起を乗り越えて,当該扉とカバー32同士が噛み合うことで,軽いロックがかかるようにする方法など,既存の方法が可能である。
【0102】
また,以上の実施形態では,遠隔制御装置には,操作部が含まれるとしたが,いわゆるスマートキーのように近づいただけで車両の鍵を開錠するように構成すれば,操作部は不要であり,遠隔制御装置において操作部や操作部にアクセスするための開口部223,323は必須の構成ではない。
【0103】
また,以上で示した本体11〜31のはめあい部(凸側)112a,b,212,312,筐体412は,説明の容易のため,いずれも直方体を想定しているが,はめあい部(凸側)112等は,円形,楕円,多角形とした場合でも,容易に以上の実施形態を変形できる。
【符号の説明】
【0104】
1〜4 車両窓破壊器具,
11,21,31,41 本体,
111,211,311,411 車両窓破壊部,
112a,112b,212,312 はめあい部(凸側), 412 筐体,
113a,113b,313a,313b 突起部,
212a,b 側面,
212c,d (はめあい部(凸側)の)R部,
214,224a,224b 軸穴,
215,315 キー溝,
215a,315a(キー溝の)端面,
215b,315b (キー溝の)終端,
215c 角度,
215d 直線状の溝,
216 矢印,
415a〜d 位置決めピン,
326 軟弱な薄壁, 416a,416b 薄壁,
317 操作部,
417a,b,c 開口部,
12,22,32,42 カバー,
121,221,321 (カバーの)主要部材,
421 (カバーの)天板,
122,222,322,422 はめあい部(凹側),
122a,322a 挿入口
223,323 操作部にアクセスするための開口部,
225 キー(key),
325 弾性ピン,
425a〜f 位置決め用孔
【手続補正書】
【提出日】2021年1月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記本体と着脱可能に形成され,前記本体に装着したときに前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,を備える車両窓破壊器具において,
前記本体及び前記カバーは,
前記車両窓破壊部が前記カバー内に収納した状態で,前記本体と前記カバーとを着脱可能に接続する第1の接続部の他に,
前記車両窓破壊部が前記カバーから露出した状態で,前記本体と前記カバーとを着脱可能に接続する第2の接続部を備え,
前記本体と前記カバーを接続する位置を,前記第1の接続部と前記第2の接続部とで交互に切り替えることによって,前記車両窓破壊部を前記カバーに収納した第1の形態と,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出した第2の形態とを切り替えることを特徴とする車両窓破壊器具
【請求項2】
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は,それぞれ,前記本体の凸形状と前記カバーの凹形状とのはめあいにより構成され,
前記第1の接続部と前記第2の接続部は,その着脱の方向に沿って,ほぼ同一直線上に配置されており,
前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に,前記第1の接続部と前記第2の接続部のそれぞれの前記はめあいにおける挿入の深さを制限する突起部を備え,
前記第2の接続部は,前記挿入が深くなるに従い,次第に前記はめあいの隙間が小さくなるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両窓破壊器具
【請求項3】
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,
前記カバーと前記本体とを回転可能に接続する回転軸と,を備える車両窓破壊器具であって,
前記カバーは,
前記回転軸に垂直な平面の方向に開口部を備え,
前記回転軸周りに前記カバーを前記本体に対し回転させることによって,前記車両窓破壊部が前記開口部を通って前記カバーに収納する第1の形態と,前記車両窓破壊部が前記開口部を通って前記カバーから露出する第2の形態とを切り替え,
前記本体及び前記カバーは,以下(a)又は(b)のいずれかの構成を備え,即ち,
(a)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝を前記本体に備え,当該キー溝に対応するキーを前記カバーに備えるか,又は
(b)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝を前記カバーに備え,当該キー溝に対応するキーを前記本体に備え,
前記(a)又は(b)の構成において,前記キー溝は,前記キーが通るよう形成されるとともに,前記回転軸を中心とする前記カバーの前記本体に対する相対的な角度のうち,前記車両窓破壊部が露出する前記第2の形態になる角度に近づくにつれ,前記キー溝と前記キーとの隙間が次第に小さく形成されていることを特徴とする車両窓破壊器具
【請求項4】
前記(a)又は(b)の構成の前記キー溝において,前記回転軸を中心とする前記キー溝の前記円弧の端と端の間のなす角度がほぼ(180度+前記キーの直径に相当する角度)に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両窓破壊器具
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
(1)本願発明の1つは,
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と
,
前記本体と着脱可能に形成され,前記本体に装着したときに前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と
,を備える車両窓破壊器具において,
前記本体及び前記カバー
は,
前記車両窓破壊部が前記カバー内に収納した状態で,前記本体と前記カバーとを着脱可能に接続する第1の接続部の他に,
前記車両窓破壊部が前記カバーから露出した状態で,前記本体と前記カバーとを着脱可能に接続する第2の接続部を備え,
前記本体と前記カバーを接続する位置を,前記第1の接続部と前記第2の接続部とで交互に切り替えることによって,前記車両窓破壊部を前記カバーに収納した第1の形態と,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出した第2の形態とを
切り替えることを特徴とする車両窓破壊器具である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
ここで,車両窓破壊部は,実施形態の車両窓破壊部111〜411に該当し,特許文献1〜3他,既存の文献のハンマー等が該当する。後述する実施形態では,本体11〜41は,説明の容易のため,本願発明の「本体」と「車両窓破壊部」を合わせたものに相当するものとして記載した。したがって,本願発明の「本体」は,実施形態の本体11〜41から車両窓破壊部111〜411を除いたものに相当する。本願発明の「本体」は,前記車両窓破壊部を支持すれば足り,中実構造であるか中空構造であるかを問わない。特に,カバーを構成する部材の内部に遠隔制御装置を設ければ,本願発明の「本体」は,筐体(「機器類を入れる箱」(「Weblio辞書」参照))である必要はなく,中実構造であってもよい
。
当該発明は,第1,第4の実施形態の構成に対応する。上記の構成においては,前記カバー(「…前記車両窓破壊部を収納するカバー」)における前記本体と前記カバーとの接続部は,前記第1の接続部に相当する。本願発明ではさらに第2の接続部を備えており,当該第2の接続部で前記カバーと前記本体を接続すると,前記車両窓破壊部が露出した状態で前記本体と前記カバーとを接続する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記(1)の構成においては,後述の本願発明の実施形態1〜4に示したように,前記第2の形態に形成した前記車両窓破壊器具の全長を,前記第1の形態に形成した当該車両窓破壊器具の全長よりも長く形成することを特徴とする(1)に記載の車両窓破壊器具
を構成してもよい。この付加的構成は,後述(2)〜(4)の構成にも適用できる。
例えば,特許文献1,2の構成のように,ただ単に車両窓破壊部周囲にカバーを設けて,着脱するような機構では,カバーで車両窓破壊部を覆ったときの全長は,カバーを外したときの全長より短くなるか,若しくは当該全長と同じ長さとなるので,当該発明の構成のように,「前記第1の形態に形成した当該車両窓破壊器具の全長よりも長く形成する」ことにはならず,当該構成に該当しない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(
2)本願発明の1つは
,
前記第1の接続部
及び前記第2の接続部は,それぞれ,前記本体の凸形状と前記カバーの凹形状とのはめあいにより構成され,
前記第1の接続部と前記第2の接続部は,その着脱の方向に沿って,ほぼ同一直線上に配置されており,
前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に,前記第1の接続部と前記第2の接続部のそれぞれの前記はめあいにおける挿入の深さを制限する突起部を備え,
前記第2の接続部は,前記挿入が深くなるに従い,次第に前記はめあいの隙間が小さくなるよう形成されていることを特徴とする(
1)に記載の車両窓破壊器具である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
当該発明は,第1の実施形
態及びそのなお書きに示した構成に対応する。ここで,当該発明が引用する(
1)の「着脱可能に
形成さ
れ」るにつき,第2の接続部において「前記はめあいの隙間が小さくなるよう形成され」ていることにより,奥まで挿入すると,前記本体と前記カバーが完全に固定することになり,取り外し困難となることが生じても,奥まで挿入しない限りは,一応「着脱可能」であるといえるから,「着脱可能に
形成される」に該当するものとする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
(
3)本願発明の1つは,
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,
前記カバーと前記本体とを回転可能に接続する回転軸と,を備える車両窓破壊器具であって,
前記カバーは,
前記回転軸に垂直な平面の方向に開口部を備え,
前記回転軸周りに前記カバーを前記本体に対し回転させることによって,前記車両窓破壊部が前記開口部を通って前記カバーに収納する第1の形態と,前記車両窓破壊部が前記開口部を通って前記カバーから露出する第2の形態とを切り替え,
前記本体及び前記カバーは,以下(a)又は(b)のいずれ
かの構成を備え,即ち,
(a)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝
を前記本体に備え,当該キー溝に対応するキーを前記カバーに備えるか,又は
(b)前記回転軸と同軸に形成された円弧状のキー溝
を前記カバーに備え,当該キー溝に対応するキーを前記本体に備え
,
前記(a)又は(b)の構成において,前記キー溝は,前記キーが通るよう形成されるとともに,前記回転軸を中心
とする前記カバーの前記本体に対する相対的な角度のうち,前記車両窓破壊部が露出する前記第2の形態になる角度に近づくにつれ,前記キー溝と前記キーとの隙間が次第に小さく形成されていることを特徴とす
る車両窓破壊器具である。
(4)本願発明の1つは,
前記(a)又は(b)の構成の前記キー溝において,前記回転軸を中心とする前記キー溝の前記円弧の端と端の間のなす角度がほぼ(180度+前記キーの直径に相当する角度)に形成されていることを特徴とする(3)に記載の車両窓破壊器具である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
上記(3),(4)の発明は,第2の実施形態
及びそのなお書きに記載した構成に対応する
。本願の第2の実施形態のはめあい部(凹側)222は,図9aの通り,回転軸が通る軸穴224a,bの軸方向に対し垂直な平面の方向に開口しており,当該回転軸周りに,本体に対しカバー22を回転させると,その開口部を通って,車両窓破壊部211がカバー22に収納したり露出したりするので,本願発明の「開口部」に相当する。
上記(4)の発明の「前記キーの直径に相当する角度」とは,前記回転軸の中心から前記キーの外周に接線を2本引いたときになす角度とする(
図12aの角度215c参照)。その角度は(前記キーの直径を,前記キー溝中心部の円弧の半径で,除算したもの)の逆正接に近似する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本願発明
以外の構成の1つ
として
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,を備える車両窓破壊器具において,
前記
本体及び前記カバーは,以下(c)又は(d)のいずれかの機構,すなわち,
(c)前記本体と前記カバーとの互いの位置関係を,平行移動可能に支持する平行移動部,又は
(d
)前記本体と前記カバーとを平行リンクで接続して,前記本体と前記カバーとの相対的な位置関係を変更する平行リンク部,
を備え
,前記車両窓破壊部を前記カバーに収納した第1の形態と,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出した第2の形態とを切り替えることを特徴と
する車両窓破壊器具
を構成しても良い。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
当該
構成は,第3の実施形態の構成,及び第4の実施形態のなお書きで記載した構成に対応する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本願発明
以外の構成の1つ
として,
先の尖った硬質の先端部分を有するか,又は車両の窓に衝突させることで当該窓を破壊するに足りる構造を有する,車両窓破壊部と,
前記車両窓破壊部を支持する本体と,
前記車両窓破壊部を収納するカバーと,
前記本体又は前記カバーのいずれかの内部に設けられ,車両との間で無線通信を行い,前記車両の動作を制御する遠隔制御装置と,を備える車両窓破壊器具において,
前記本体及び前記カバーは,前記本体と前記カバーとの互いの位置関係につき,平行移動を可能に支持する平行移動
部を備え,
前記カバ
ーは,当該カバーのうち,前記平行移動の方向で前記車両窓破壊部に対向する面において,前記車両窓破壊部が押し付けられることで突き破り可能な程度に薄く形成した薄
壁を備え,
前記第1の形態から,前記第2の形態への変形において,前記平行移動部に沿って前記カバー内に設けた本体を移動させること,及び,前記カバーの薄壁を突き破ることを許容することで,前記車両窓破壊部を前記カバーから露出可能に形成されていることを特徴とす
る車両窓破壊器具
を構成しても良い。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
上記(
1)又は(
2)の構成によれば,簡易な構成で,持ち手となるカバーから車両窓破壊部へ力を伝えやすく,車両の窓を破壊する作業をする際の安定感を,向上させることができる。上記(2
)の構成によれば,前記カバーのみならず,前記本体も持ち手として利用できるので,緊急時における持ち手の安定に資する。上記(
3)の構成によれば,本体とカバーは常に分離することなく一体的に接続することができるので,非常時に,カバーから車両窓破壊部を有する本体を取り出しやすい
。また,当該(3)の構成によれば
,キー溝が円弧状に形成されているので,カバーを持って,上記器具を振り下ろした際に
,キー溝の円弧の端部で,回転角が確実に制限されるとともに,車両窓破壊部を露出するまで回転した際には,前記キー溝と前記キーとの隙
間を小さ
く形成しているので,その回転が抑制され,上記器具を振り下ろした際に車両窓破壊部へ力を伝えやすい効果が生じる。
上記(4)の構成によれば,前記第1の形態と前記第2の形態で,前記カバーの前記本体に対する相対的な角度の差を180度に設定でき,ひいては前記車両窓破壊部の方向を,前記カバーに対し収納時と露出時で真逆にすることができる(図7,図11b参照)。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図9a,
図9bは,カバー22の外観の形状を示す図である。カバー22は,ほぼ直方体の主要部材221と,当該主要部材221に設けられ,当該主要部材221の3面が開口し,「コ」の字又はUの字に屈曲した開口部(はめあい部(凹側)222)と,本体を回転可能に支持するための軸穴224a,bと,操作部にアクセスするための開口部223と,キー溝215と噛み合う突起状のキー225とを備える。軸穴224aと224bは,いずれも,本体21の軸穴214に接続された上記回転軸を支持するもので,互いに同軸になるよう形成する
。はめあい部(凹側)222は,図9aの通り,回転軸が通る軸穴224a,bの軸方向に対し垂直な平面の方向が開口している。当該回転軸周りに,本体21に対しカバー22を回転させると,その開口部を通って,車両窓破壊部211をカバー22に収納したり,カバー22から出して露出させたりすることができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
図12bの形態から同図に示す矢印216の方向に,90度回転させると
図12cの形態となる。ここで,その回転角度は,
図12aの形態から見ると上記(180度+キー225の直径方向の厚みに相当する角度(
図12aに示す角度215c))に相当する。このとき,キー225は,上記したキー溝215の終端215bに接触する。このように,キー溝215を,円そのものではなくその一部である円弧状に形成することで,キー溝215は,本体21の回転角度を制限する
。上記回転軸を中心とするキー溝215
の両端のなす角度を上記(180度+角度215c)に設定したとき,本体21は,180度の回転が可能となり,車両窓破壊部211がカバー22に格納した状態と,カバー22から露出した状態を形成するのに好ましい。