特開2021-178502(P2021-178502A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 許 南旭の特許一覧

特開2021-178502マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法
<>
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000003
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000004
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000005
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000006
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000007
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000008
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000009
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000010
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000011
  • 特開2021178502-マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-178502(P2021-178502A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置及びマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/28 20060101AFI20211022BHJP
【FI】
   B29C45/28
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-137080(P2020-137080)
(22)【出願日】2020年8月14日
(31)【優先権主張番号】10-2020-0055711
(32)【優先日】2020年5月11日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】511034675
【氏名又は名称】許 南旭
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】許 南旭
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AQ03
4F202AQ04
4F202AR07
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK03
4F202CK06
4F202CK07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチゲートキャビティ内部に充填される溶融樹脂の流れに従って複数のゲートを適時に開閉する、マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置、及びゲートバルブ作動制御方法の提供。
【解決手段】先行ゲート3を通じてキャビティ2内に注入された溶融樹脂Mが後続ゲート3の位置Gに到達した際、当該後続ゲート3に位置したバルブピン20に作用する、キャビティ内溶融樹脂による圧力によりバルブピン20が感知位置P1に後進し、このバルブピン20が感知位置P1に後進してセンサー部材70に感知信号を出力させる。センサー部材70の感知信号により制御部はピストン40を作動させ、このピストン40の作動により、バルブピン20がゲート3を開放する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのキャビティに具備された複数のゲートにそれぞれ対応するように設置され、縦方向で貫通するように形成されたピンガイド穴を有するノズルと、
上記各ゲートに供給するように上記マニホルドのランナーと各ゲートを連通させ、マニホルドのランナーの溶融樹脂を各ゲートに供給する樹脂供給通路と、
上記ピンガイド穴の中で、下方のピン先端部がゲートを完全に閉鎖する最大前進位置と、ゲートを完全に開放する最大後進位置の間を移動できるように設けられたバルブピンと、
上記バルブピンがゲートを開放するためのゲート開放信号または上記バルブピンがゲートを閉鎖するためのゲート閉鎖信号を出力する制御部と、
上記制御部のゲート閉鎖信号又はゲート開放信号によってピストンが前進又は後進することにより、ピストンに組み込まれた上記バルブピンを最大前進位置又は最大後進位置に移動させるように構成したピストン機具とを含むマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置において、
先行ゲートよりキャビティ内部に流入した溶融樹脂が後続ゲートの位置に到達したとき当該後続ゲートの位置に対応した位置にあるバルブピンのピン先端部が、キャビティ内溶融樹脂による圧力により後進方向に押圧され、上記ピン先端部が上記後続ゲートを閉鎖したままの状態でバルブピンが感知位置まで後進する機構と、
上記感知位置に後進したバルブピンの感知部を感知し、溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を出力するセンサー部材を含み、
上記制御部は上記センサー部材より溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を受信すると、後続ゲート開放信号を出力し、
この後続ゲート開放信号により上記ピストン機具のピストンが後進して上記バルブピンを最大後進位置に後進させてキャビティの上記後続ゲートを開放する機構とを備えたことを特徴とするマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項2】
上記バルブピンは、下方にゲートを開閉するピン先端部を有し、上方にはヘッド部を有するバルブピンボディと、下方に上記バルブピンボディのヘッド部に連結される連結部を有し、上方には上記センサー部材を感知作動させる感知部を備えた延長ピンとから構成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項3】
上記ピストンは、シリンダーの内部空間で前進または後進作動時、上記バルブピンが最大前進位置または最大後進位置に移動できるように、中央軸に上記バルブピンの上記連結部を収容する連結部収容溝を有し、
上記連結部収容溝は上記バルブピンが最大前進位置から上記感知位置に移動する際、上記ピストンの後進無しで上記バルブピンのみ感知位置に移動できるように、上記連結部収容溝の内側後方壁面と上記連結部のフランジの間に、上記感知位置とバルブピンの最大前進位置における感知部との間の距離に相応する間隙を形成したことを特徴とする請求項2記載のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項4】
上記シリンダーに上記ピストンが移動可能に設けられ、上記シリンダーは内側壁から半径方向内側に延長された内部隔壁を有し、上記内部隔壁の下部には補助ピストンが設けられ、上記補助ピストンは下側空間に流入される圧縮空気により後進しながら上記ピストンを後進させて上記連結部収容溝に上記間隙を形成するように構成したことを特徴とする請求項3記載のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項5】
上記樹脂供給通路はノズルボディの外側面に螺旋型で形成されている螺旋溝となっており、上記螺旋溝の入口は上記マニホルドのランナーに連通され、出口は上記ノズルのピンガイド穴の先端に設けられた連結通路に連通されていることを特徴とする請求項1記載のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項6】
上記樹脂供給通路は、上記ノズルに設けられた上記ピンガイド穴とは別個にノズルに形成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項7】
上記センサー部材は上記感知位置に後進したバルブピンの感知部を感知することにより作動し、溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を出力するリミットスイッチまたは近接スイッチとして構成されるものであることを特徴とする請求項1記載のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置。
【請求項8】
マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブの作動を制御する方法として、先行ゲートを通じてキャビティ内部に注入された溶融樹脂が後続ゲート位置まで到達すると、後続ゲートを閉鎖しているバルブピンが、キャビティ流入溶融樹脂による圧力により感知位置に後進する段階と、
センサー部材が感知位置に後進した上記バルブピンを感知して溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を出力する段階と、
制御部が上記センサー部材から溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を受信した時、圧縮空気を供給してピストンを最大後進位置に後進させる段階とを含むことを特徴とするマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ作動制御方法。





























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置に関するものであり、特にマルチゲートキャビティ内部に充填される溶融樹脂の流れに従って複数のゲートを適時に開閉するゲートバルブ装置に関するものである。また、本発明はマルチゲートホットランナー射出金型で適時にゲートが開閉できるようにゲートバルブの作動を制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットランナー射出金型で一つのキャビティに充填される溶融樹脂の流動性を考慮して溶融樹脂がキャビティ内部に適切に分配されるように、一つのキャビティに複数のゲートを形成したいわゆるマルチゲート(multi gate)ホットランナー射出金型が従来から使用されている。このようなマルチゲートホットランナー射出金型において、適時に供給される圧縮空気を利用して前進又は後進するピストン機具によりバルブピンを前進又は後進させてゲートを開閉する、いわゆるピストン作動式(piston−operated)ゲートバルブ装置が知られている。特許文献1は、シーケンス制御方式によるゲート開閉制御を開示している。また特許文献2は、センサー検出方式によるゲート開閉制御を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許公報10−0448373B
【特許文献2】韓国特許公報10−1285371B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマルチゲートホットランナー射出金型のピストン作動式ゲートバルブ装置は、制御部に予め設定されたシーケンス(sequence)制御信号により、ゲートバルブを順次的に開閉させるシーケンス制御方式によってゲートを開閉するようになっているが、特許文献1に開示されたゲートバルブのシーケンス制御方式によると、先行ゲート(第1ゲート)を開放してから制御部に予め設定した一定時間が経過した後(タイムディレー)に、溶融樹脂の流動経路からみて、第1ゲートに最も隣接した後続ゲート(第2ゲート)を開放するように制御が行われる。このようなシーケンス制御において、キャビティ内部での溶融樹脂の流動速度を考慮して溶融樹脂がキャビティ内部に均等に配分されて充填できるようにためには、後続ゲート(第2ゲート等)を開放するタイミングが重要であり、この後続ゲート(第2ゲート等)開放タイミングついては、事前にコンピューターシミュレーションを行って決定している。
【0005】
ところが、このようなコンピューターシミュレーションに基づいたゲートバルブの開閉制御は、キャビティ内部の溶融樹脂の実際の流れに沿ったものとはならず、制御上の誤差が発生し、各ゲートを通じて注入された溶融樹脂がキャビティ内部で合流する時、ウェルドライン(weldline)等の射出成形不良を引き起こすという問題点があった。
【0006】
特許文献2は、上記問題を解決するため、キャビティの実際の内部温度と圧力をセンサーにより検出して特定位置に溶融樹脂が到達していることを判断し、その検出結果によってゲートを開閉することを提案している。しかし、特許文献2に開示されているような圧力センサーと温度センサーを用いたゲート開閉制御方式においては、それらのセンサーが高価であるため、コストの関係から必要な位置毎にセンサーを設置することができず、そのためセンサーを必要最小限の部分や位置にのみ設置せざるを得ないという問題がある。その結果、センサーの位置が不正確で且つセンサー数が不十分となり、そのためゲートの開放時期が溶融樹脂の実際の流れと一致せず、射出成形時にウェルドラインのような成形不良を招く欠点がある。しかも、センサーを金型に設置することが技術的に難しく、センサーの設置に制約が伴うという不具合がある。
【0007】
そこで本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、マルチゲートホットランナー射出金型で先行ゲートを通じてキャビティ内部に流入した溶融樹脂が後続ゲートの位置に実際に到達した時点で、後続ゲートを開放するように作動するゲートバルブ装置を提供することを目的としている。本発明のもう一つの目的は、一つのキャビティに少なくとも一つ以上のゲートを具備したマルチゲートホットランナー射出金型において、先行ゲートを通じてキャビティに注入された溶融樹脂がキャビティ内で後続ゲートの位置に実際に到達した正確な時点で後続ゲートを開放し、その後続ゲートを通じて注入される溶融樹脂が先行溶融樹脂に合流できるようにゲートバルブ装置の作動を制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置は、
一つのキャビティに具備された複数のゲートにそれぞれ対応するように設置され、縦方向で貫通するように形成されたピンガイド穴を有するノズルと、
上記各ゲートに供給するように上記マニホルドのランナーと各ゲートを連通させ、マニホルドのランナーの溶融樹脂を各ゲートに供給する樹脂供給通路と、
上記ピンガイド穴の中で、下方のピン先端部がゲートを完全に閉鎖する最大前進位置と、ゲートを完全に開放する最大後進位置の間を移動できるように設けられたバルブピンと、
上記バルブピンがゲートを開放するためのゲート開放信号または上記バルブピンがゲートを閉鎖するためのゲート閉鎖信号を出力する制御部と、
上記制御部のゲート閉鎖信号又はゲート開放信号によってピストンが前進又は後進することにより、ピストンに組み込まれた上記バルブピンを最大前進位置又は最大後進位置に移動させるように構成したピストン機具とを含むマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置において、
先行ゲートよりキャビティ内部に流入した溶融樹脂が後続ゲートの位置に到達したとき当該後続ゲートの位置に対応した位置にあるバルブピンのピン先端部が、キャビティ内溶融樹脂による圧力により後進方向に押圧され、上記ピン先端部が上記後続ゲートを閉鎖したままの状態でバルブピンが感知位置まで後進する機構と、
上記感知位置に後進したバルブピンの感知部を感知し、溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を出力するセンサー部材を含み、
上記制御部は上記センサー部材より溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を受信すると、後続ゲート開放信号を出力し、
この後続ゲート開放信号により上記ピストン機具のピストンが後進して上記バルブピンを最大後進位置に後進させてキャビティの上記後続ゲートを開放する機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
上記バルブピンは、下方にゲートを開閉するピン先端部を有し、上方にはヘッド部を有するバルブピンボディと、下方に上記バルブピンボディのヘッド部に連結される連結部を有し、上方には上記センサー部材を感知作動させる感知部を備えた延長ピンとから構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
上記ピストンは、シリンダーの内部空間で前進または後進作動時、上記バルブピンが最大前進位置または最大後進位置に移動できるように、中央軸に上記バルブピンの上記連結部を収容する連結部収容溝を有し、
上記連結部収容溝は上記バルブピンが最大前進位置から上記感知位置に移動する際、上記ピストンの後進無しで上記バルブピンのみ感知位置に移動できるように、上記連結部収容溝の内側後方壁面と上記連結部のフランジの間に、上記感知位置とバルブピンの最大前進位置における感知部との間の距離に相応する間隙を形成したことを特徴とするものである。
【0011】
上記シリンダーに上記ピストンが移動可能に設けられ、上記シリンダーは内側壁から半径方向内側に延長された内部隔壁を有し、上記内部隔壁の下部には補助ピストンが設けられ、上記補助ピストンは下側空間に流入される圧縮空気により後進しながら上記ピストンを後進させて上記連結部収容溝に上記間隙を形成するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
上記樹脂供給通路はノズルボディの外側面に螺旋型で形成されている螺旋溝となっており、上記螺旋溝の入口は上記マニホルドのランナーに連通され、出口は上記ノズルのピンガイド穴の先端に設けられた連結通路に連通されていることを特徴とするものである。
【0013】
上記樹脂供給通路は、上記ノズルに設けられた上記ピンガイド穴とは別個にノズルに形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
上記センサー部材は上記感知位置に後進したバルブピンの感知部を感知することにより作動し、溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を出力するリミットスイッチまたは近接スイッチとして構成されるものであることを特徴とするものである。
【0015】
マルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブの作動を制御する方法として、先行ゲートを通じてキャビティ内部に注入された溶融樹脂が後続ゲート位置まで到達すると、後続ゲートを閉鎖しているバルブピンが、キャビティ流入溶融樹脂による圧力により感知位置に後進する段階と、
センサー部材が感知位置に後進したバルブピンを感知して溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を出力する段階と、
制御部がセンサー部材から溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を受信した時、圧縮空気を供給してピストンを最大後進位置に後進させる段階とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記した本発明によると、一つのキャビティに少なくとも一つ以上のゲートを具備したマルチゲートホットランナー射出金型において、先行ゲートを通してキャビティに注入されて流動する溶融樹脂がキャビティ内で後続ゲートの位置まで実際に到達した正確な時点で後続ゲートを開放し、この後続ゲートを通して注入される溶融樹脂を先行溶融樹脂に合流させることができる。即ち、溶融樹脂相互が合流するまでの時間差がほとんど生じないので、ウェルドライン等の射出成形不良を防止でき、それにより、マルチゲートを通じて順次的に注入される溶融樹脂がお互いに不正確な時点で合流することでウェルドライン等の射出成形不良を生じる従来の問題点を解決できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のゲートバルブ装置の基本実施例が適用されたマルチゲートホットランナー射出金型の組み込み断面図である。
図2図1の‘X’部の拡大図として、本発明のゲートバルブ装置の実施例における組み込み基本実施例の断面図である。
図3】本発明のゲートバルブ装置からバルブピンを分離して図示した図である。
図4】本発明のゲートバルブ装置のピストン機具を拡大して図示した図である。
図5】本発明のゲートバルブ装置のノズルの望ましい実施例を示す図である。
図6】本発明のゲートバルブ装置のノズルの他の実施例を示す図である。
図7】本発明のゲートバルブ作動制御方法により先行ゲートからキャビティ内に注入された溶融樹脂が後続ゲートの位置に到達する前にピストン機具の補助ピストンの下側空間に圧縮空気を注入してバルブピンが感知作動できるように準備する段階を示す図である。
図8】キャビティ内の溶融樹脂が後続ゲートの位置に到達してバルブピンに圧力をかけて、バルブピンを感知位置まで後進させ、感知位置に後進したバルブピンをセンサー部材が感知して溶融樹脂のゲート位置到達信号を出力する段階を示す図である。
図9】制御部がセンサー部材から溶融樹脂のゲー位置到達信号を受信する際、圧縮空気を注入してピストンを後進させることによりバルブピンを最大後進位置に移動させ、後続ゲートを開放して後続ゲートを通して注入された溶融樹脂を先行ゲートを通して注入された溶融樹脂に合流させる段階を示す図である。
図10】キャビティ内に溶融樹脂を充填完了した後、ゲートをバルブピンで閉鎖した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のマルチゲートホットランナー射出金型のゲートバルブ装置の好ましい実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。図1には本発明のゲートバルブ装置が設置されたマルチゲートホットランナー射出金型が示されている。図1で図面符号1Aと1Bは、それぞれ金型の固定側型板と可動側型板を示し、2はキャビティを、3はゲートを、4はマニホルドを、5はマニホルドのランナーを、6は固定側取付板を、7はシリンダーカバーを、それぞれ示す。
【0019】
図1に示されているように、本発明のマルチゲートホットランナー射出金型は一つのキャビティ2に連通する複数のゲート3を具備する。本実施例では説明の便宜上、一つのキャビティ2に2個のゲート3が具備されている構造のものを説明するが、本発明はこれに限らず、2個以上の複数のゲートを具備している構造も含む。そして、上記2個のゲート3を区別して称する場合、先に開放される先行ゲートを‘第1ゲート3A’と称し、後続で開放されるゲート(後続ゲート)を‘第2ゲート3B’と称する。
【0020】
射出金型の固定側型板1Aには各ゲートを開閉するゲートバルブ装置100が設置される。上記ゲートバルブ装置100を区別する必要がある場合には、第1ゲート3Aを開閉するゲートバルブ装置を第1ゲートバルブ装置100Aと称し、上記第2ゲート3Bを開閉するゲートバルブ装置を第2ゲートバルブ装置100Bと称する。上記第1ゲートバルブ装置100Aと第2ゲートバルブ装置100Bは実質的に同一な構成になっている。2個のゲートバルブ装置100A, 100Bで同一の機能を持っている構成部材に対しては同じ名称と符号を用いる。第1ゲートバルブ装置100Aの構成部材と第2ゲートバルブ装置100Bの構成部材を区別して称する場合には第1ゲートバルブ装置100Aにおける構成部材には符号の後ろに‘A’を付け、第2ゲートバルブ装置100Bにおける構成部材には符号の後ろに‘B’を付ける。
【0021】
図2に示されているように、本発明のゲートバルブ装置100(100A)は、ノズル10(10A)と、上記ゲート3を開閉するバルブピン20と、上記ゲート3を開閉する為に上記バルブピン20を後進または前進させるピストン機具30とを備えている。ここで、「バルブピン20の後進」とは、バルブピン20が、例えば図2において上方の方向(センサー部材70側の方向)に移動すること意味し、また「バルブピン20の前進」とは、バルブピン20が、例えば図2において下方の方向(キャビティ2側の方向)に移動すること意味する。そして、本発明のゲートバルブ装置100は、溶融樹脂が上記キャビティ2に注入されて充填された時に、この溶融樹脂がキャビティ2の後続ゲート3(3B)が形成されている位置(以下、‘後続ゲート位置G’と称する)に到達した際、溶融樹脂が後続ゲート位置Gに到達していることを感知するセンサー部材70を備えている。
【0022】
図5に図示されているように、上記ノズル10は縦方向に貫通穴11aが形成されたケーシング11と、上記ケーシング11の貫通穴11aに挿入されるノズルボディ12と、上記ノズルボディ12が上記ケーシング11の貫通穴11aから外れることなく固定されるように上記ケーシング11の貫通穴11aの下段に組み込まれるノズルチップ14を備えている。ノズルボディ12は、縦方向に貫通状に形成されたピンガイド穴12aを有している。
【0023】
上記ノズルボディ12の外周面には樹脂供給通路13が設けられている。マニホルド4のランナー5と各ゲート3は、樹脂供給通路13を通して相互に連通されており、上記マニホルド4のランナー5内を流れる溶融樹脂は、樹脂供給通路13を通してゲート3まで導かれるように構成されている。本実施例では上記樹脂供給通路13がノズルボディ12の外周面に螺旋型で形成された溝構造になっている。上記樹脂供給通路13の出口は、ノズル10の先端に設けられたノズルチップ14の内部に形成されている連結通路15に繋がる。上記ノズルボディ12に形成された樹脂供給通路13は、ノズルチップ14の連結通路15を介してキャビティ2のゲート3に連通している。マニホルド4のランナー5を通じて供給される溶融樹脂は、上記ノズルボディ12のピンガイド穴12aに導かれず、樹脂供給通路13に導かれ、この樹脂供給通路13を経て連結通路15に導かれ、この連結通路15を経てキャビティ2のゲート3に導かれるように構成されている。
【0024】
上記の如く、マニホルド4のランナー5を通じて供給される溶融樹脂は、上記ノズルボディ12のピンガイド穴12aに導かれず、樹脂供給通路13に導かれるから、ピンガイド穴12a内に上記溶融樹脂が存在しない。従って、ピンガイド穴12a内のバルブピン20は、上記溶融樹脂と接触した状態でピンガイド穴12a内に挿通されているという状態ではなく、上記溶融樹脂と分離された状態でピンガイド穴12a内に挿通されている。即ち、ピンガイド穴12a内にはバルブピン20のみが挿通され、これと分離した状態で溶融樹脂は樹脂供給通路13に導かれる。そして、上記溶融樹脂は、樹脂供給通路13を経て連結通路15に導かれるから、ピンガイド穴12a内には溶融樹脂は存在しない。
【0025】
第1ゲート(先行ゲート)3Aから先行してキャビティ2内に注入された溶融樹脂Mが第2ゲート(後続ゲート)3Bの下方位置に到達したとき、キャビティ2内の内圧が上昇する(樹脂注入による内圧上昇)。この内圧上昇による圧力によって、第2ゲート3B位置に対応する位置にあるノズル10(10B)におけるバルブピン20の下端部、即ちピン先端部21が上方に押圧され、それにより後述するように、バルブピン20は間隙Hの距離だけ後進する(図7図8)。この場合、マニホルド4のランナー5を通じて供給される溶融樹脂が、ノズルボディ12のピンガイド穴12aに導かれる構造であると、ピンガイド穴12aに溶融樹脂が存在することになり、ピンガイド穴12a内のバルブピン20は、上記溶融樹脂と接触した状態でピンガイド穴12a内に挿通されているため、バルブピン20を上記の間隙Hの距離だけ後進させるに当たり、その後進力に対する抵抗が生じる。即ち、溶融樹脂が、ノズルボディ12のピンガイド穴12aに導かれる構造であると、ピンガイド穴12a内に溶融樹脂供給圧力が及ぼされることになり、この溶融樹脂供給圧力が、バルブピン20を上記の間隙Hの距離だけ後進させるに当たっての後進力に対する抵抗となる。そのため、バルブピン20を上記キャビティ内圧上昇による圧力(以下、後述するように、この圧力を「キャビティ内溶融樹脂による圧力」という)で間隙Hの距離だけ後進させる場合に、バルブピン20が上記溶融樹脂と接触した状態でピンガイド穴12a内に挿通されていると、上記した後進力に対する抵抗が生じるため、バルブピン20の上記後進を阻害する作用が働く。その結果、バルブピン20を押し上げるための押し上げ力(後進力)が働かず、バルブピン20を上記間隙Hの距離だけ後進させることができなくなるという問題がある。
【0026】
本発明の実施例におけるゲートバルブ装置は、マニホルド4のランナー5を通じて供給される溶融樹脂を、ノズルボディ12のピンガイド穴12aに導かずに、樹脂供給通路13に導くように構成したので、上記溶融樹脂供給圧力によってバルブピン20の上記後進力が抵抗を受けることがない。従って、本発明実施例によれば、キャビティ内溶融樹脂Mによる圧力によりバルブピン20を押し上げて上記間隙Hの距離だけバルブピン20を後進させることができ、その結果、バルブピン20の上端部に形成された感知部26を、感知位置P1に到達させることができ、センサー部材70による制御が可能となる。本発明によれば、樹脂供給通路13をノズルボディ12の外周面に形成したので、マニホルド4のランナー5を通じて供給される溶融樹脂の流下に伴う圧力に影響されず、バルブピン20を確実に感知位置P1まで後進させることができる。上記樹脂供給通路13については、他の実施例として、図6に示されているように、螺旋状ではなく、直線状の樹脂供給通路13を、ピンガイド穴12aとは別の通路として構成してもよい。
【0027】
上述したように、ピンガイド穴12aを樹脂供給通路としても使う従来の技術では、ピンガイド穴12a内に溶融樹脂供給圧力が及ぼされ、バルブピン20の後進を妨げる方向で作用することによって、バルブピン20の感知作動のための後進を阻害するという問題があったが、上記の如く本発明実施例は、樹脂供給通路13をピンガイド穴12aとは別の通路として構成したので、上記従来の問題を解消できる。
【0028】
上記ノズルボディ12のピンガイド穴12aにはバルブピン20がスライド移動可能に設けられる。図3に示されているように、上記バルブピン20はバルブピンボディ24と延長ピン27とで構成される。バルブピンボディ24は下端に、ゲート3を開閉するピン先端部21を有し、上端にはヘッド部22を有している。延長ピン27は下端に上記バルブピンボディ24のヘッド部22に連結される連結部25を有し、上端には感知部26を有している。上記バルブピンボディ24はマニホルド4のノズルアダプター16の中央貫通穴16aを通してノズルボディ12のピンガイド穴12aに挿入されるように設けられる。ノズルアダプター16は、マニホルド4のランナー5から流入する溶融樹脂をノズルボディ12の樹脂供給通路13に導くように構成されている。
【0029】
バルブピン20の延長ピン27は、上部プレート7に設置されたピストン機具30に組み込まれ、バルブピンボディ24のヘッド部22は延長ピン27に同軸方向で繋がっている。上記延長ピン27の下端には、上記バルブピンボディ24のヘッド部22に連結される連結部25が設けられている。
【0030】
図2及び図4に示されているように、上記ピストン機具30は金型の固定側取付板6に設置されたシリンダー31を有し、上記シリンダー31には内側壁から半径方向内側に延長された内部隔壁32が設けられている。上記内部隔壁32の中央には中心軸方向で中央貫通穴32aが形成される。図面中、符号33Uは、ピストンの上方領域を示し、また33Lは、ピストンの下方領域を示す。
【0031】
シリンダー31にはピストン40が設けられ、内部隔壁32の下方には補助ピストン50が設けられる。上記ピストン40が上記シリンダー31内で前進または後進作動時、上記バルブピン20を最大前進位置又は最大後進位置に移動できるように中央軸41に連結部収容溝42を設け、この連結部収容溝42内に上記バルブピン20の上記連結部25が収容される。
【0032】
上記連結部収容溝42の内側後方壁面42aと上記連結部25のフランジ25a の間に、下記の手段により感知移動距離(後続ゲート(第2ゲート)3B位置に到達した溶融樹脂の圧力、即ちキャビティ内溶融樹脂による圧力によりバルブピン20が感知位置に移動する距離)に対応する一定の間隙Hが形成される。
【0033】
即ち、図4に示されているように、上記補助ピストン50の下側空間50Lに圧縮空気を流入し、この圧縮空気により上記補助ピストン50を後進させ、補助ピストン50の後進によりピストン40を後進させて上記連結部の収容溝42内部に上記間隙Hを形成する。つまり、ピストン40と、バルブピン20における連結部25のフランジ部25aとの間に間隙Hが形成される。このように、連結部収容溝42内部で、ピストン40とバルブピン20との間に間隙Hが形成されて、バルブピン20により感知作動を行う時に、ピストン40を移動させることなくバルブピン20を感知位置P1に移動させることができる(図8)。補助ピストン50によりピストン40を後進させるとき、バルブピン20までもがピストン40と一緒に後進しないように構成されている。補助ピストン50の後進によって間隙Hを形成する際、補助ピストン50の上方移動は、補助ピストン50が内部隔壁32に当接することによって規制されるため、間隙H以上の距離の間隙が生じることはない。
【0034】
ピストン40が前進して上記バルブピン20を最大前進位置に移動させると、図2に示すように、バルブピン20のピン先端部21がゲート3を完全に閉鎖し、一方、ピストン40が後進して上記バルブピン20を最大後進位置に移動させると、図9に示すように、上記ピン先端部21はゲート3を最大に開放して溶融樹脂がゲート(後続ゲート)3を通してキャビティ2内に充填されるように構成されている。
【0035】
上記したように、本発明実施例は、バルブピン20がピストン40の後進作動により最大後進位置に後進してキャビティのゲート3を最大に開放する前に、先行ゲート(第1ゲート)3Aを通じてキャビティ内部へ先に注入された溶融樹脂が、後続ゲート(第2ゲート)3B位置に到達した際、溶融樹脂が後続ゲート位置に到達したのを感知する溶融樹脂のゲート位置到達感知作動を行うように構成されている。上記バルブピン20のピン先端部21が後続ゲート3Bを完全に閉鎖した状態でキャビティ2内部に充填された先行ゲート3Aからの溶融樹脂が、後続ゲート位置Gに到達すると、上記したキャビティ内溶融樹脂による圧力が働き、キャビティ2内部で上記バルブピン20のピン先端部21底面に圧力をかける。これにより、上記バルブピン20は後進し、キャビティ内溶融樹脂がゲート位置Gに到達していることを指示する感知位置P1に移動する(図4)。溶融樹脂は高圧状態で先行ゲート3Aからキャビティ2内に射出される。溶融樹脂がキャビティ2内に射出されることによりキャビティ2内の内圧が上昇する。本発明実施例において、溶融樹脂内の内圧が所定の内圧となったとき、その圧力によりノズル10内のバルブピン20のピン先端部21が押圧されてバルブピン20が後進方向に間隙Hの距離だけ移動するように構成されている。本発明実施例において、「キャビティ内溶融樹脂による圧力」とは、先行ゲート3Aから溶融樹脂がキャビティ2内に流入することによるキャビティ2の内圧上昇によってもたらされる圧力のことをいう。本発明実施例は、先行ゲート3Aからキャビティ2内に流入した溶融樹脂が後続ゲート位置Gに到達した時に、バルブピン20を押圧して間隙Hの距離だけバルブピン20を後進させるに必要な圧力(内圧上昇)となるように構成されている。前記バルブピン20の後進のために必要な圧力は、70Kgf/cm〜80Kgf/cmが好ましい。上記バルブピン20の後進のための圧力の設定は、溶融樹脂の流動性と射出圧等を考慮して行うことができる。
【0036】
上記バルブピン20が感知位置P1に移動する際、上記連結部収容溝42の内側後方壁面42aと上記連結部25のフランジ25aの間に形成された一定の間隙Hだけバルブピン20が後進する。このとき、図8に示すように、上記バルブピン20のピン先端部21がゲート3を閉鎖した状態でゲート3を開放する直前の状態まで後進する。これにより、上記バルブピン20の延長ピン27の感知部26は感知位置P1に移動する。バルブピン20が上記間隙(H)の距離だけ後進する際、ピストンは移動しないように構成されている。上記間隙Hは、1.3mm〜1.8mmが好ましい。
【0037】
上記延長ピン(27)の感知部26が感知位置P1に後進すると、上記シリンダーカバー7に設置されたセンサー部材70は延長ピン27の感知部26を感知して、キャビティ2内部の溶融樹脂のゲート到達信号を制御部(図示省略)に出力する。上記センサー部材70は延長ピン27の感知部26との接続により溶融樹脂のゲート到達信号を出力するリミットセンサーで構成できる。また、上記センサー部材70は感知部26が非接続状態で近接すると感知信号を出力する近接センサーで構成することもできる。上記制御部が上記センサー部材70から出力される溶融樹脂のゲート位置到達信号を受信すると制御部は流路A開閉用ソレノイドバルブ(図示省略)に開放信号を認可して、これにより流路Aを通して圧縮空気が上記ピストン機具30のピストン40の下側空間の中に流入される。これによって、ピストン40は後進して感知位置P1に後進したバルブピン20を最大後進位置に後進させてゲート3を最大に開放し、これにより連結通路15を通してノズル10から溶融樹脂が供給され、溶融樹脂はゲート3からキャビティ2内に注入され、キャビティ内に先行して注入されて流動している溶融樹脂に合流するように構成されている。後続ゲート3Bからの溶融樹脂注入の際、先行ゲート3Aからの溶融樹脂の注入は継続して行われるが、必要に応じて先行ゲート3Aを閉鎖してもよい。
【0038】
以下、本発明によりマルチゲートホットランナー射出金型におけるゲートバルブの作動を制御する方法について説明する。図7に示されているように、ピストン機具30のピストン40を前進させてバルブピン20でゲート3を閉鎖した状態で、流路Eを通じて補助ピストン50の下側空間に圧縮空気を注入して補助ピストン50を後進させて、この補助ピストン50の後進によってピストン40が後進し、バルブピンの連結部のフランジ25aと連結部収容溝42の内壁の間に一定の間隙Hを形成する。その後、先行ゲート(第1ゲート)3Aからキャビティ2に注入された溶融樹脂Mがキャビティ2内の後続ゲート位置Gに到達すると、キャビティ内溶融樹脂による圧力によりバルブピン20のピン先端部21に圧力をかけて(図8における矢印方向)バルブピン20を後進させ、延長ピン27の感知部26を感知位置P1に後進させる。これによりセンサー部材70は感知位置P1に移動したバルブピンの感知部26を感知して作動し、キャビティ2内部の溶融樹脂が後続ゲート位置Gに到達したことを示す溶融樹脂の後続ゲート位置到達信号を制御部に出力する。
【0039】
図9に示されているように、制御部はセンサー部材70から溶融樹脂のゲート位置到達信号を受信すると、流路Aの開閉用ソレノイドバルブに開放信号を認可し、流路Aを通じてピストン40の下部に圧縮空気を注入する。これによりピストン40は後進してバルブピン20を最大後進位置まで移動させ、これにより、後続ゲート(第2ゲート)3Bを開放させることによって樹脂供給通路を通じて供給される溶融樹脂をノズルチップの連結通路15を経て後続ゲート(第2ゲート)3Bからキャビティ2内に充填する。この時、第2ゲート3Bを通じてキャビティ2内に注入される溶融樹脂は先行して第1ゲート3Aからキャビティ2内に注入されて流動している先行の溶融樹脂Mに合流してキャビティ2を充填する。図10に示されているように、キャビティ2内に溶融樹脂Mが充填完了されると、制御部は流路B開閉用ソレノイドバルブに開放信号を認可して流路Bを開放し、ピストン40の上部に圧縮空気を供給してピストン40を前進させる。これにより、バルブピン20は最大前進位置に移動してゲート3を閉鎖する。
【符号の説明】
【0040】
2 キャビティ
3 ゲート
4 マニホルド
5 ランナー
10 ノズル
12a ピンガイド穴
13 樹脂供給通路
20 バルブピン
21 ピン先端部
30 ピストン機具
40 ピストン
70 センサー部材
P1 感知位置
G ゲート位置
M 溶融樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10