【実施例】
【0018】
図面を参照して、実施例の電動車両10について説明する。
図1に示すように、電動車両10は、ボディ12と、複数の車輪14f、14rとを含む。ボディ12は、特に限定されないが、スチール材又はアルミニウム合金といった金属で構成されている。複数の車輪14f、14rは、ボディ12に対して回転可能に取り付けられている。複数の車輪14f、14rには、一対の前輪14fと、一対の後輪14rとが含まれる。なお、車輪14f、14rの数については、四つに限定されない。
【0019】
電動車両10は、走行用モータ16と、バッテリユニット18と、電力制御ユニット20(PCU20)と、電子制御ユニット22(ECU22)とをさらに備える。走行用モータ16は、複数の車輪14f、14rの少なくとも一つ(例えば、一対の後輪14r)を駆動する。バッテリユニット18は、PCU20を介して走行用モータ16に接続されており、走行用モータ16へ電力を供給する。バッテリユニット18は、複数の二次電池セルを内蔵しており、外部の電力によって繰り返し充電可能に構成されている。PCU20は、DC−DCコンバータ及び/又はインバータを内蔵しており、バッテリユニット18と走行用モータ16との間で伝達される電力を制御する。ECU22は、プロセッサを有しており、例えばユーザの操作に応じてPCU20へ制御指令を与える。なお、電動車両10は、バッテリユニット18に加えて、燃料電池ユニットや太陽電池パネルといった他の電源を備えてもよい。また、電動車両10は、走行用モータ16に加えて、エンジンといった他の原動機をさらに備えてもよい。
【0020】
ここで、図面における方向FRは、電動車両10の前後方向における前方を示し、方向RRは電動車両10の前後方向における後方を示す。また、方向LHは電動車両10の左右方向(あるいは幅方向)における左方を示し、方向RHは電動車両10の左右方向における右方を示す。そして、方向UPは電動車両10の上下方向における上方を示し、方向DWは電動車両10の上下方向における下方を示す。なお、本明細書では、電動車両10の前後方向、電動車両10の左右方向、電動車両10の上下方向を、それぞれ単に前後方向、左右方向、上下方向と称することがある。
【0021】
図1に示すように、ボディ12は、概して、フロントボディ12fと、キャビン12cと、リアボディ12rとを有する。フロントボディ12fは、キャビン12cの前方に位置しており、リアボディ12rは、キャビン12cの後方に位置している。フロントボディ12fの下部には、サブフレーム30が取り付けられている。サブフレーム30は、フロントボディ12fと共に、前輪14fのサスペンション24を支持している。サブフレーム30は、特に限定されないが、スチール材又はアルミニウム合金といった金属で構成されている。一方、キャビン12cの下部には、前述したバッテリユニット18が取り付けられている。
【0022】
図2に示すように、サブフレーム30は、概して枠状の形状を有しており、一対の右サイドレール32及び左サイドレール34と、それらの間を延びるフロントクロスメンバ36及びリアクロスメンバ38とを備える。右サイドレール32と左サイドレール34は、左右方向において互いに対称な形状を有しており、それぞれ車両の前後方向に沿って延びている。二つのサイドレール32、34の前端部32a、34aには、図示省略するが、クラッシュボックスを介してバンパリインフォースメントが取り付けられる。なお、二つのサイドレール32、34の具体的な形状や構造については、特に限定されない。
【0023】
サブフレーム30は、右サイドレール32の前端部32a及び後端部32bと、左サイドレール34の前端部34a及び後端部34bとを含む、複数の固定箇所においてボディ12に固定される。特に限定されないが、サブフレーム30には、複数のボルト42が設けられており、それらのボルト42を用いることによって、サブフレーム30はボディ12に固定される。また、サブフレーム30には、各々のボルト42に対してカラー44が設けられている。カラー44は、筒状のスペーサの一例であって、ボルト42はカラー44を通過して延びている。サブフレーム30がボディ12に取り付けられたときに、カラー44は、サブフレーム30とボディ12との間に位置する。ここで、これらのカラー44は、サブフレーム30と一体に形成されていてもよいし、サブフレーム30とは別の部材で構成されてもよい。
【0024】
図3、
図4に示すように、サブフレーム30の右サイドレール32の後端部32bは、ボディ12に設けられた第1レール取付部50に固定されている。この第1レール取付部50には、バッテリユニット18に設けられた第1ブラケット52がさらに固定されている。第1ブラケット52は、バッテリユニット18から前方に延びており、例えばボルト54によって第1レール取付部50に固定されている。このように、ボディ12の第1レール取付部50には、右サイドレール32の後端部32bだけでなく、バッテリユニット18の第1ブラケット52も固定されている。
【0025】
右サイドレール32の後端部32bは、バッテリユニット18の第1ブラケット52に近接しているが、第1ブラケット52に対して上下方向及び左右方向にオフセットされている。詳しくは、右サイドレール32の後端面32cは、バッテリユニット18の第1ブラケット52の前端面52aに対して、上下方向の下側にオフセットされている。また、右サイドレール32の後端面32cは、バッテリユニット18の第1ブラケット52の前端面52aに対して、左右方向の右側(即ち、外側)にオフセットされている。これにより、右サイドレール32の後端面32cの一部のみが、バッテリユニット18の第1ブラケット52の前端面52aに対して、前後方向で対向するように構成されている。
【0026】
図5、
図6に示すように、サブフレーム30の左サイドレール34の後端部34bは、ボディ12に設けられた第2レール取付部56に固定されている。この第2レール取付部56にも、バッテリユニット18に設けられた第2ブラケット58がさらに固定されている。第2ブラケット58は、第1ブラケット52と同様にバッテリユニット18から前方に延びており、例えばボルト60によって第2レール取付部56に固定されている。このように、ボディ12の第2レール取付部56には、左サイドレール34の後端部34bだけでなく、バッテリユニット18の第2ブラケット58も固定されている。
【0027】
左サイドレール34の後端部34bもまた、バッテリユニット18の第2ブラケット58に近接しているが、第2ブラケット58に対して上下方向及び左右方向にオフセットされている。詳しくは、左サイドレール34の後端面34cは、バッテリユニット18の第2ブラケット58の前端面58aに対して、上下方向の下側にオフセットされている。また、左サイドレール34の後端面34cは、バッテリユニット18の第2ブラケット58の前端面58aに対して、左右方向の左側(即ち、外側)にオフセットされている。これにより、左サイドレール34の後端面34cの一部のみが、バッテリユニット18の第2ブラケット58の前端面58aに対して、前後方向で対向するように構成されている。
【0028】
本実施例の電動車両10では、サブフレーム30の後方に、バッテリユニット18が配置されている。このような構成であると、電動車両10が前面衝突したときに、後方へ移動するサブフレーム30が、バッテリユニット18に損傷を与えるおそれがある。これを避けるためには、電動車両10が前面衝突したときに、サイドレール32、34の後端部32b、34bと、ボディ12のレール取付部50、56との間の固定部分を破断させて、サイドレール32、34の後端部32b、34bをボディ12から離脱させることが望ましい。しかしながら、レール取付部50、56の耐力(塑性変形することなく耐え得る力)が不十分であると、サイドレール32、34の後端部32b、34bとレール取付部50、56との間の固定部分が破断することなく、ボディ12が塑性変形を起こしてしまう。
【0029】
上記に関して、本実施例の電動車両10では、サブフレーム30のサイドレール32、34の後端部32b、34bが、ボディ12に設けられたレール取付部50、56に固定されており、そのレール取付部50、56には、バッテリユニット18に設けられたブラケット52、58がさらに固定されている。このような構成によると、ボディ12のレール取付部50、56が、バッテリユニット18のブラケット52、58によって支持されることで、ボディ12のレール取付部50、56における耐力を実質的に高めることができる。これにより、
図7に示すように、電動車両10が前面衝突したときに、サイドレール32、34の後端部32b、34bと、ボディ12のレール取付部50、56との間の固定部分(例えば、レール取付部50、56におけるボルト42の固定箇所)が破断し易くなり、サイドレール32、34の後端部32b、34bをボディ12からより確実に離脱させることができる。ボディ12のレール取付部50、56を堅牢に構成する必要がないので、ボディ12の重量を増大させることなく、前面衝突時において、バッテリユニット18をサブフレーム30から効果的に保護することができる。
【0030】
特に限定されないが、サイドレール32、34の後端面32c、34cの少なくとも一部は、バッテリユニット18のブラケット52、58の前端面52a、58aと、前後方向において対向している。このような構成によると、サイドレール32、34の後端部32c、34cとバッテリユニット18のブラケット52、58との両者が、前後方向に沿って配列されたような位置関係となる。これにより、サイドレール32、34からレール取付部50、56に入力される衝突荷重のより多くを、バッテリユニット18のブラケット52、58によって受け止めることができる。レール取付部50、56の実質的な耐力がさらに高まることとなり、電動車両10の衝突時において、サイドレール32、34の後端部32b、34bをボディ12からより確実に離脱させることができる。
【0031】
本実施例の電動車両10では、前述したように、サブフレーム30のサイドレール32、34の後端面32c、34cが、バッテリユニット18のブラケット52、58の前端面52a、58aに対して、上下方向の下側にオフセットされている。このような構成によると、ボディ12のレール取付部50、56から離脱したサイドレール32、34の後端部32b、34bを、バッテリユニット18のブラケット52、58に当接させることによって、バッテリユニット18の下方へ逸らすことができる。バッテリユニット18の下方には、電動車両10と路面との間のスペースが存在する。そのスペースへサイドレール32、34の後端部32b、34bが案内されることで、サイドレール32、34の離脱に伴う二次的な損傷を回避することができる。但し、他の実施形態として、サイドレール32、34の後端面32c、34cは、ブラケット52、58の前端面52a、58aに対して、上下方向の上側にオフセットされていてもよい。
【0032】
本実施例の電動車両10では、前述したように、サブフレーム30のサイドレール32、34の後端面32c、34cが、バッテリユニット18のブラケット52、58の前端面52a、58aに対して、左右方向の外側にオフセットされている。このような構成によると、ボディ12のレール取付部50、56から離脱したサイドレール32、34の後端部32b、34bを、バッテリユニット18のブラケット52、58に当接させることにより、電動車両10の外側へ逸らすことができる。また、バッテリユニット18に対して左右方向の外側には、例えばサイドシル(ロッカとも称される)といったボディ12の主要な骨格部材が存在している。従って、サイドレール32、34の後端面32c、34cが、ブラケット52、58の前端面52a、58aに対して左右方向の外側にオフセットされていると、サイドレール32、34の後端部32b、34bからボディ12に入力された衝突荷重を、サイドシルといったボディ12の主要な骨格部材で受け止めることができる。但し、他の実施形態として、サイドレール32、34の後端面32c、34cは、ブラケット52、58の前端面52a、58aに対して、左右方向の内側にオフセットされていてもよい。
【0033】
特に限定されないが、サブフレーム30のサイドレール32、34の後端面32c、34cのうち、バッテリユニット18のブラケット52、58の前端面52a、58aと前後方向において対向する面積は、当該後端面32c、34cの全面積の1/2以下であってよい。このような位置関係であると、後方に向けて(即ち、バッテリユニット18に向けて)移動するサイドレール32、34の後端部32b、34bを、ブラケット52、58と部分的に当接させることによって、バッテリユニット18から有意に逸らすことができる。なお、後端面32c、34cの上述した対向する面積は、後端面32c、34cの全面積の1/4以下であってよく、あるいは1/8以下であってもよい。
【0034】
図3、
図5に示すように、サブフレーム30のサイドレール32、34の後端部32b、34bは、サイドレール32、34の他の部分よりも細くてもよい。このような構成によると、電動車両10の前面衝突時にサイドレール32、34の後端部32b、34bが変形し易くなり、それによってボディ12のレール取付部50、56が変形することを抑制することができる。これにより、サイドレール32、34の後端部32b、34bとボディ12のレール取付部50、56との間の固定部分(即ち、ボルト42)が破断し易くなり、サイドレール32、34の後端部32b、34bをボディ12からより確実に離脱させることができる。
【0035】
本実施例の電動車両10では、特に限定されないが、サブフレーム30のサイドレール32、34の後端部32b、34bが、ボディ12のレール取付部50、56に対して、ボルト42で固定されている。そして、サイドレール32、34の後端部32b、34bと、ボディ12のレール取付部50、56との間には、ボルト42が通過するカラー44が設けられている。このような構成によると、電動車両10の前面衝突によってサブフレーム30が後方へ移動したときに、レール取付部50、56においてボルト42が固定されている箇所に、比較的に大きな力が局所的に作用し得る。これにより、サイドレール32、34の後端部32b、34bと、ボディ12のレール取付部50、56との間の固定部分(特に、レール取付部50、56におけるボルト42の固定箇所)を、より確実に破断させることができる。
【0036】
本実施例の電動車両10では、特に限定されないが、ボディ12のレール取付部50、56は、ボディ12のダッシュクロスメンバ62に設けられている。ここで、ダッシュクロスメンバ62は、ボディ12の骨格を構成する部材(部分)の一つであり、キャビン12cとフロントボディ12fとを区分するダッシュパネル(図示省略)に沿って、左右方向に延びている。レール取付部50、56は、ダッシュクロスメンバ62と一体に設けられていてもよいし、ダッシュクロスメンバ62に例えば溶接等で取り付けられていてもよい。但し、他の実施形態として、レール取付部50、56は、ボディ12のダッシュクロスメンバ62とは異なる部分に設けられていてもよい。
【0037】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。