特開2021-178551(P2021-178551A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-178551(P2021-178551A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20211022BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
   B60H1/00 101W
   B60H1/00 101X
   B60H1/34 671Z
   B60H1/00 102H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-84003(P2020-84003)
(22)【出願日】2020年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雅俊
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA06
3L211EA16
3L211EA30
3L211GA09
(57)【要約】
【課題】車両用空調装置において、吹き出し風量を増減させた際に、複雑な操作を強いることなく、室温の意図しない一時的な上昇または下降を低減するとともに、室温の変化による無駄なエネルギーの使用を抑制することができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置1は、冷暖房中に風量の切り替えが行われると、冷暖房熱量等価データに基づいて、切り替えられた風量に応じた風温を設定するので、切り替え前に車室に送出していた熱量と同等の熱量を、風量切り替え後にも送出でき、複雑な操作を強いることなく、室温の意図しない一時的な上昇または下降を低減するとともに、室温の変化による無駄なエネルギーの使用を抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の設定温度と、車室内に送出する冷暖房風の風温と、車室内に送出する冷暖房風の風量と、を記憶する現在設定値記憶手段と、
前記風温および前記風量の組み合わせにより、前記設定温度とするための熱量および冷却量を設定した冷暖房熱量等価データを記憶する熱量等価データ記憶手段と、
前記冷暖房熱量等価データに基づいて、前記風量により、車室内が前記設定温度となるように、前記風温を設定して、車室内に設定した前記風温の冷暖房風を、設定された前記風量で送出させる冷暖房制御手段と、
前記風量の変更指示を入力する風量指示入力手段と、
を備え、
前記冷暖房制御手段は、前記風量の変更指示が入力されると、前記冷暖房熱量等価データに基づいて、変更された前記風量により、車室内が前記設定温度となるように、前記風温を再設定して、再設定した前記風温の冷暖房風を、変更された前記風量で送出させる、
ことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
車室内の温度を検出する室内温度検出手段と、
前記設定温度と、車室内の温度と、の乖離度を示す室温乖離度と、前記室温乖離度に対して必要な目標吹出し風温と、を前記風量別に設定した目標吹出し風温設定データを、記憶する風温設定データ記憶手段と、
前記設定温度の変更指示を入力する設定温度変更手段と、
を備え、
前記冷暖房制御手段は、前記設定温度の変更指示が入力されると、前記車室内の温度と変更された前記設定温度との前記室温乖離度を算出し、前記目標吹出し風温設定データに基づいて、前記室温乖離度における前記風量に対応する前記目標吹出し風温を設定し、前記目標吹出し風温の冷暖房風を、前記風量で送出させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記冷暖房制御手段は、
車窓の除霜および防曇用の送風を行うデフロスタモードを有し、
前記風量の変更指示が入力された際に、前記デフロスタモードであった場合には、前記風温の再設定を行わない、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置は、例えば、乗員の操作で設定された設定室温と、車室内の室温と、に基づいて、目標吹き出し温度を演算している。そして、この目標吹き出し温度に基づいて、予め設定された風量制御特性により、空調風を車室内に吹き出すことにより、車室内の空調状態が目標空調条件となるようにする、所謂自動空調装置(オートエアコン)が知られている。
【0003】
この自動空調装置が使用する風量制御特性とは、車室内温度を設定温度とするために必要な吹き出し温度を示すものであり、目標吹き出し温度と風量との関係を示している。
この風量制御特性においては、冷房側での最小風量切り替え値G<目標吹き出し温度<暖房側での最小風量切り替え値Hでは、予め設定された低レベルの風量値が設定されている。また、目標吹出し温度が、冷房側での最大風量切り替え値Fよりも低い場合と、暖房側での最大風量切り替え値Jよりも高い場合には、それぞれ最大風量値が設定されている。さらに、最大風量切り替え値と、最小風量切り替え値と、の間では、それぞれの風量値を結んだ直線上の風量値をとるように設定されている。
【0004】
ここで、上記自動空調装置において、最大風量での吹き出しを嫌う乗員のために、風量特性を乗員の感覚に合わせ順次補正していく自動空調装置が提案されている。この自動空調装置では、一定の値に設定された補正値αを最大風量切り替え値Fから減算した値を新しい最大風量切り替え値F=F−αとして更新している。また、この補正を数回行うことができるようにした自動車用空調装置も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、車両用空調装置は、所定の室温に達すると、所定の風温、および、所定の風量で出力することで、車室内を設定温度に保つようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−40234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、乗員によって風量の好みが違うため、風量が変更されてしまうことがある。このように、風量のみが変更されてしまうと、室温が変化してしまい、乗員に不快感を与えてしまうこととなる。また、本来風量のみを変更したいときに、室温が変わってしまうことにより、無駄な空調エネルギーを使用するため、燃費に悪影響を与えてしまう虞がある。例えば、暖房中に風量を下げると、室温が下がり始め、この室温が下がってきたことを検知して、風温を上げることによって、室温を元の温度まで上げることとなるが、このときに無駄なエネルギーを使用してしまうこととなる。
【0008】
また、上記従来の自動空調装置においては、目標吹き出し温度とするまでに、最大風量切り替え値または乗員が設定した最大風量値から、最小風量切り替え値と、の間では、それぞれの風量値を結んだ直線上の風量値となるので、乗員の好みの風量とすることができない。
さらに、車両用空調装置においては、乗員の操作は、車両の操縦がメインとなるので、空調装置の操作に複雑な操作を強いることはできない。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、吹き出し風量を増減させた際に、複雑な操作を強いることなく、室温の意図しない一時的な上昇または下降を低減するとともに、室温の変化による無駄なエネルギーの使用を抑制することができる車両用空調装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両用空調装置は、車室内の設定温度と、車室内に送出する冷暖房風の風温と、車室内に送出する冷暖房風の風量と、を記憶する現在設定値記憶手段と、前記風温および前記風量の組み合わせにより、前記設定温度とするための熱量および冷却量を設定した冷暖房熱量等価データを記憶する熱量等価データ記憶手段と、前記冷暖房熱量等価データに基づいて、前記風量により、車室内が前記設定温度となるように、前記風温を設定して、車室内に設定した前記風温の冷暖房風を、設定された前記風量で送出させる冷暖房制御手段と、前記風量の変更指示を入力する風量指示入力手段と、を備え、
前記冷暖房制御手段は、前記風量の変更指示が入力されると、前記冷暖房熱量等価データに基づいて、変更された前記風量により、車室内が前記設定温度となるように、前記風温を再設定して、再設定した前記風温の冷暖房風を、変更された前記風量で送出させる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両用空調装置は、車室内の温度を検出する室内温度検出手段と、前記設定温度と、車室内の温度と、の乖離度を示す室温乖離度と、前記室温乖離度に対して必要な目標吹出し風温と、を前記風量別に設定した目標吹出し風温設定データを、記憶する風温設定データ記憶手段と、前記設定温度の変更指示を入力する設定温度変更手段と、を備え、
前記冷暖房制御手段は、前記設定温度の変更指示が入力されると、前記車室内の温度と変更された前記設定温度との前記室温乖離度を算出し、前記目標吹出し風温設定データに基づいて、前記室温乖離度における前記風量に対応する前記目標吹出し風温を設定し、前記目標吹出し風温の冷暖房風を、前記風量で送出させる、ようにしてもよい。
【0012】
さらに、本発明に係る車両用空調装置は、前記冷暖房制御手段が、車窓の除霜および防曇用の送風を行うデフロスタモードを有し、前記風量の変更指示が入力された際に、前記デフロスタモードであった場合には、前記風温の再設定を行わない、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吹き出し風量を増減させた際に、複雑な操作を強いることなく、室温の意図しない一時的な上昇または下降を低減するとともに、室温の変化による無駄なエネルギーの使用を抑制することができる車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における車両用空調装置の概略を示すブロック図である。
図2】風量と風温とによる暖房熱量等価線を示すグラフである。
図3】風量別の室温乖離度による目標吹出し風温を示すグラフである。
図4】風量切り替え時の空調制御処理を示すフローチャートである。
図5】暖房時に風量を下げた場合の室温、風温の変化を示す従来との比較例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における車両用空調装置の概略を示すブロック図である。また、図2は、風量と風温とによる暖房熱量等価線を示すグラフである。また、図3は、風量別の室温乖離度による目標吹出し風温を示すグラフである。また、図4は、風量切り替え時の空調制御処理を示すフローチャートである。また、図5は、暖房時に風量を下げた場合の室温、風温の変化を示す従来との比較例である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態における車両用空調装置1は、エアコンスイッチ11と、温度設定スイッチ12と、風量切替スイッチ13と、モード切替スイッチ14と、室温計15と、エアコンECU100と、エアコンユニット110と、を備えている。
【0018】
(エアコンスイッチ11)
エアコンスイッチ11は、車室内のフロントパネルに設けられ、乗員によって操作されるものであり、エアコンユニット110を駆動させるか、停止させるかを、スイッチ操作によってエアコンECU100に入力信号を送出させるものである。
【0019】
(温度設定スイッチ12)
温度設定スイッチ12は、同じく車室内のフロントパネルに設けられ、乗員によって操作されるものであり、車室内の温度(室温)を設定するスイッチである。すなわち、温度設定スイッチ12は、設定温度の変更指示を入力するものである。なお、本実施の形態では、温度設定スイッチ12は、温度上昇スイッチと温度下降スイッチとからなるものであり、温度上昇スイッチを操作することにより、設定室温を上昇させ、温度下降スイッチを操作することにより、設定室温を下降させるものである。
【0020】
(風量切替スイッチ13)
風量切替スイッチ13は、同じく車室内のフロントパネルに設けられ、乗員によって操作されるものであり、車室内に送出される温風、または、冷風の風量を切り替えるスイッチである。すなわち、風量切替スイッチ13は、風量の変更指示を入力するものである。なお、本実施の形態では、風量切替スイッチ13は、「7段階」に風量を切り替えることができるものとし、「風量1段」が最も弱い風量とし、数字が上がるにつれて風量が強くなり、「風量7段」が最も強い風量とする。
【0021】
(モード切替スイッチ14)
モード切替スイッチ14は、同じく車室内のフロントパネルに設けられ、乗員によって操作されるものであり、エアコンユニット110に車窓の除霜および防曇用の送風を行う(車窓の霜および曇りを取り除く)デフロスタを駆動させるか、車室内に冷暖房風を出力させるかを、スイッチ操作によってエアコンECU100に入力信号を送出させるものである。
なお、本実施の形態では、モード切替スイッチ14は、エアコンユニット110が冷暖房風を車室内に送出する送出場所を切り替えるものである。具体的には、冷暖房風の送出先には、車室用と、車窓用と、があり、モード切替スイッチ14により、冷暖房風の送出先を、車室用のみ、車窓用のみ、車室用および車窓用の双方と、に切り替えるようになっている。なお、車室用、車窓用には、複数の送出先があるが、各々の出力先については、省略する。
【0022】
(室温計15)
室温計15は、車室内の温度を検出するものである。特に、室温計15は、温度設定スイッチ12により、設定温度の変更があった場合、検出した車室内の温度を、エアコンECU100に送出するものである。また、室温計15は、所定の周期、あるいは、所定の指示に基づいて、検出した車室内の温度を、エアコンECU100に送出するものである。
【0023】
(エアコンECU100)
エアコンECU100は、車両用空調装置1の全体を統括するものであり、特に、エアコンスイッチ11と、温度設定スイッチ12と、風量切替スイッチ13と、モード切替スイッチ14と、から信号を入力し、入力した信号に基づいて、エアコンユニット110を制御するものである。
【0024】
例えば、エアコンECU100は、エアコンスイッチ11が操作されると、設定されているモード、設定温度に基づいて、設定されている風量に対応する後述する風温で、設定されている送出先に、エアコンユニット110に冷暖房風を送出させる。また、風量切替スイッチ13により風量が切り換えられた場合には、切り替えられた風量に基づいて、風温を設定し、冷暖房風を送出させる。なお、風温の設定方法については、後述する。
【0025】
また、エアコンECU100は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUにより実行される制御プログラム、データテーブル、各コマンドやデータ等の記憶を行うROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース回路を備えている。
【0026】
RAMには、車室内の設定温度、車室内に送出する冷暖房風の風温、車室内に送出する冷暖房風の風量、検出された車室内の温度等が記憶される。
ROMには、風量と風温とによる冷暖房熱量等価データと、風量別の室温乖離度による目標吹出し風温設定データと、を記憶している。なお、ROMの代わりに、EEPROMに記憶させるようにしてもよい。この場合、風量と風温とによる冷暖房熱量等価データと、風量別の室温乖離度による目標吹出し風温設定データと、例えば、学習機能により、更新するようにしてもよい。
【0027】
風量と風温とによる冷暖房熱量等価データとは、風温および風量の組み合わせにより、設定温度とするための熱量および冷却量を設定したものであり、すなわち、特定の風量で所定の冷暖房熱量を出すための風温を設定したものである。なお、冷暖房熱量等価データには、暖房用の暖房熱量等価データと、冷房用の冷房熱量等価データと、がある。
図2に、暖房熱量等価線のイメージを表すグラフを示す。図2に示す右下がりの破線が、暖房熱量が等価となる暖房熱量等価線を示す。なお、冷房熱量等価線のイメージは、冷房熱量等価線が右上がりとなる。
【0028】
例えば、図2に示すように、「風量6段」で「風温A」のときの熱量を出すためには、「風量2段」となったら「風温B」まで風温を上げないと、同一の熱量が出せず、車室温度が下がってしまう。逆に、「風量3段」で「風温C」であったときに、「風量5段」とした場合には、「風温D」まで下げて、同一の熱量となる。
【0029】
また、室温乖離度による目標吹出し風温設定データとは、設定した目標室温に対して、実際の室温との差(室温乖離度)が出た場合に、室温乖離度に対して必要な目標吹出し風温を設定したものである。
図3に示すように、本実施の形態では、室温乖離度による目標吹出し風温設定データは、風量別に設けられている。一方、従来の室温乖離度による目標吹出し風温設定データは、風量別には設けられていなかった。
【0030】
(風量切り替え時の空調制御処理)
次に、車両用空調装置1における風量切り替え時の空調制御処理について、説明する。
図4は、車両用空調装置1における風量切り替え時の空調制御処理を示すフローチャートである。
【0031】
なお、車両用空調装置1は、所定の設定温度に対して、所定の風温および所定の風量で予め作動しているものとする。
エアコンECU100は、風量切り替え時の空調制御処理において、風量切り替えが行われたか否かの判定処理を行う(ステップS11)。具体的には、エアコンECU100は、風量切替スイッチ13から風量切り替え信号を入力したか否かを判定する。エアコンECU100は、風量切り替えが行われたと判定した場合(ステップS11でYESと判定)には、ステップS12に処理を移行し、風量切り替えが行われていないと判定した場合(ステップS11でNOと判定)には、本空調制御処理を終了する。
【0032】
次に、エアコンECU100は、風量切り替えが行われたと判定した場合(ステップS11でYES)には、デフロスタモードであるか否かの判定処理を行う(ステップS12)。具体的には、エアコンECU100は、モード切替スイッチ14により切り替えられている冷暖房風の出力先が、車窓用であるか、車室用であるか、を判定する。冷暖房風の出力先が、車窓、または、車窓および車室である場合には、デフロスタモードであると判定し、冷暖房風の出力先が、車室である場合には、デフロスタモードではないと判定する。
【0033】
なお、本実施の形態では、冷暖房風の出力先が、車窓および車室である場合には、デフロスタモードであると判定し、まとめて処理を行うようにしたが、これに限らず、冷暖房風の吹出し先ごとに異なる処理を行うようにしてもよい。
【0034】
エアコンECU100は、デフロスタモードであると判定した場合(ステップS12でYESと判定)には、本空調制御処理を終了し、デフロスタモードでないと判定した場合(ステップS12でNOと判定)には、ステップS13に処理を移行する。
【0035】
次に、エアコンECU100は、デフロスタモードでないと判定した場合(ステップS12でNO)には、切り替えられた風量に基づいて、対応する風温を設定する(ステップS13)。具体的には、エアコンECU100は、記憶されている冷暖房熱量等価データに基づいて、切り替えられる前の風量と設定されていた風温により出力されていた冷暖房熱量と同一となる、切り替えられた風量に対応する風温を再設定する。
【0036】
なお、設定温度と室内温度とがすでに乖離している場合には、室温計15から入力された室温と、RAMに記憶されている設定室温または温度設定スイッチ12により入力された設定室温と、から室温乖離度を算出し、記憶されている室温乖離度による目標吹出し風温設定データに基づいて、乖離度と、切り替えられた風量に対応する目標吹き出し風温を設定する。
また、温度設定スイッチ12により、設定温度が切り換えられた場合にも、記憶されている室温乖離度による目標吹出し風温設定データに基づいて、乖離度と、設定されている風量に対応する目標吹き出し風温を設定する。
【0037】
次いで、エアコンECU100は、設定した風温、および、切り替えられた風量で、エアコンユニット110を作動させ(ステップS14)、本空調制御処理を終了する。
【0038】
以上のように、本実施の形態における車両用空調装置1は、冷暖房中に風量の切り替えが行われると、切り替えられた風量に応じた風温を設定するので、切り替え前に車室に送出していた熱量と同等の熱量を、風量切り替え後にも送出でき、複雑な操作を強いることなく、室温の意図しない一時的な上昇または下降を低減するとともに、室温の変化による無駄なエネルギーの使用を抑制することができる。
【0039】
また、設定温度が変更されるなど、室温と設定温度とに乖離が生じた場合にも、風量ごとに目標吹出し風温を設定するので、風量に応じて、早急に設定温度との乖離を解消することができる。
また、デフロスタの使用時には、風量変更に伴う風温変更を行わないので、車窓の防曇制御等に影響を及ぼすことがなく、安全性を確保した空調制御を行うことができる。
【0040】
ここで、暖房時に風量を下げた場合を例に、風量、室温、風温の変化を従来の場合と比較する。
図5は、暖房時に風量を下げた場合の室温、風温の変化を示す従来との比較例である。なお、図5において、破線は従来の動きを示し、実線は本制御の動きを示す。
【0041】
図5に示すように、従来の制御では、風量を下げても、風温は同一のままであったので、風量を下げた分、室内に送出される熱量が減り、室温が下がって寒くなってしまう。そして、室温が下がって設定温度との乖離が出てくると、ようやく風温が上がり始め、室温が徐々に回復してくる。
【0042】
一方、本実施の形態の車両用空調装置1における風量切り替え時の空調制御処理によれば、風量が下げられると、下げられた風量に応じて風温が高められる。これにより、室内に送出される熱量が変わらず、室温が一定に維持されることとなる。
【0043】
なお、本実施の形態において、風量切替スイッチ13は、本願の風量指示入力手段を構成する。また、本実施の形態において、室温計15は、本願の室内温度検出手段を構成する。また、本実施の形態において、温度設定スイッチ12は、本願の設定温度変更手段を構成する。
【0044】
また、本実施の形態において、エアコンECU100は、本願の冷暖房制御手段を構成する。また、本実施の形態において、エアコンECU100のRAMは、本願の現在設定値記憶手段を構成する。また、本実施の形態において、エアコンECU100のROMは、本願の熱量等価データ記憶手段、および、風温設定データ記憶手段を構成する。
【符号の説明】
【0045】
1 車両用空調装置、11 エアコンスイッチ、12 温度設定スイッチ、13 風量切替スイッチ、14 モード切替スイッチ、15 室温計、100 エアコンECU、110 エアコンユニット
図1
図2
図3
図4
図5