【解決手段】通気性被覆体を、着用者の顔に対して保持するための通気性被覆体保持具であって、通気性被覆体を外面側から押さえる保持本体部と、前記保持本体部を顔に装着する装着部と、を備え、前記保持本体部は、伸縮性を有するシート状であり、エラストマー組成物で形成され、鼻と口とを含む領域を通気性被覆体の外面側から覆うように構成され、前記保持本体部には、鼻孔に対応した位置に鼻孔用通気孔が形成され、頬骨を通って上下方向に延びる左右一対の上下仮想線の左右の幅方向における間で、且つ、口の上下方向における中央を通って幅方向に延びる左右仮想線よりも上側の領域のうち、鼻筋に対応する鼻筋部を除く鼻周囲領域に鼻周囲通気孔が形成されている。
前記保持本体部には、着用者の口に対応する位置に口用通気孔が形成されると共に、該口用通気孔の周囲であり、前記一対の上下仮想線の幅方向における間であり、前記左右仮想線よりも下側である口周囲領域に口周囲通気孔が形成されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の通気性被覆体保持具。
前記保持本体部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように該頂部の周囲の周囲部よりも外側に隆起した本体立体部と、該本体立体部の外周縁に連設され且つ平坦に形成された本体平坦部と、を有し、
前記本体立体部と前記本体平坦部とは、屈曲した状態で連設している、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の通気性被覆体保持具。
前記保持本体部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように該頂部の周囲の周囲部よりも外側に隆起した立体形状であると共に、上縁に着用者の鼻を幅方向で跨ぐように幅方向に沿って形成される鼻縁部を有し、
前記鼻縁部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように外側に隆起した山形に形成され、
前記鼻縁部は、前記保持本体部における他の部分よりも肉厚に形成されている、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の通気性被覆体保持具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記マスクでは、装着状態において、マスク本体の外周部と着用者の顔面との間に隙間が生じることがある。このような隙間を防ぐために、公知の技術ではないが、保持具によりマスクの全体を外側から着用者の顔面に押し付けることも考えられる。しかし、この場合、マスクの本体の全体が着用者の顔面に隙間なく密着する。そうすると、着用者の鼻孔がマスクの本体により塞がり、着用者が息苦しくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、鼻及び口を覆う通気性被覆体を良好に押さえるとともに、通気性被覆体を介して十分に通気できる通気性被覆体保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通気性被覆体保持具は、着用者の鼻と口を覆い且つ通気性を有する通気性被覆体を、着用者の顔に対して保持するための通気性被覆体保持具であって、着用者の鼻と口とを覆った通気性被覆体を外面側から押さえる保持本体部と、前記保持本体部を着用者の顔に装着するための装着部と、を備え、前記保持本体部は、伸縮性を有するシート状であり、エラストマー組成物で形成されると共に、着用者の鼻と口とを含む領域を通気性被覆体の外面側から覆うように構成され、前記保持本体部には、着用者の鼻孔に対応した位置に鼻孔用通気孔が形成され、着用者の頬骨を通って上下方向に延びる左右一対の上下仮想線の左右の幅方向における間で、且つ、口の上下方向における中央を通って幅方向に延びる左右仮想線よりも上側の領域のうち、着用者の鼻筋に対応する鼻筋部を除く鼻周囲領域に鼻周囲通気孔が形成されている。
【0007】
かかる構成によれば、保持本体部が、着用者の鼻と口とを含む領域で通気性被覆体を覆って保持するので、確実に通気性被覆体を押さえることができる。また、鼻孔用通気孔の他に、鼻周囲通気孔が形成されているので、鼻孔用通気孔での鼻孔の直接的な通気の他に、保持本体部が顔に密着しにくい顔の凹み領域(鼻周囲領域)においても、鼻周囲通気孔で通気ができるため、十分な呼吸を確保することができる。
【0008】
また、前記通気性被覆体保持具では、前記保持本体部には、着用者の口に対応する位置に口用通気孔が形成され、前記鼻周囲通気孔は、少なくとも前記鼻周囲領域のうち前記鼻孔用通気孔より下側であって前記口用通気孔よりも上側の鼻下領域に配置されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、口用通気孔による通気の他に、鼻下に位置し且つ保持本体部が顔に密着しにくい顔の凹み領域においても、鼻周囲通気孔で通気ができ、さらに呼吸しやすい。
【0010】
また、前記通気性被覆体保持具では、前記保持本体部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように該頂部の周囲の周囲部よりも外側に隆起した立体形状であり、前記鼻周囲通気孔は、前記頂部に対して前記幅方向における一方側と他方側とに形成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、頂部において立体形状を保持しつつ、幅方向における両側に形成された鼻孔用通気孔により通気を確保できる。
【0012】
さらに、前記通気性被覆体保持具では、前記保持本体部には、着用者の口に対応する位置に口用通気孔が形成されると共に、該口用通気孔の周囲であり、前記一対の上下仮想線の幅方向における間であり、前記左右仮想線よりも下側である口周囲領域に口周囲通気孔が形成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、口用通気孔による通気の他に、口の周囲に位置し且つ保持本体部が顔に密着しにくい顔の凹み領域(口周囲領域)においても、口周囲通気孔で通気ができ、さらに呼吸しやすい。
【0014】
また、前記通気性被覆体保持具では、前記保持本体部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように周囲部よりも外側に隆起した本体立体部と、該本体立体部の外周縁に連設され且つ平坦に形成された本体平坦部と、を有し、前記本体立体部と前記本体平坦部とは、屈曲した状態で連設していてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、本体平坦部を顔に密着させつつ、屈曲によって急峻に本体立体部の立体形状を立ち上げることができ、保持本体部の顔への過度な密着を抑制することができる。
【0016】
また、前記通気性被覆体保持具では、前記保持本体部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように該頂部の周囲の周囲部よりも外側に隆起した立体形状であると共に、上縁に着用者の鼻を幅方向で跨ぐように幅方向に沿って形成される鼻縁部を有し、前記鼻縁部は、前記幅方向における中央部が頂部となるように外側に隆起した山形に形成され、
前記鼻縁部は、前記保持本体部における他の部分よりも肉厚に形成されてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、保持本体部の立体形状を、鼻縁部の中央部が肉厚な山形形状により保持することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、鼻及び口を覆う通気性被覆体を良好に押さえるとともに、通気性被覆体を介して十分に通気できる通気性被覆体保持具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、
図1〜
図8を参照しつつ説明する。通気性被覆体保持具は、着用者の顔に装着可能であり、着用時に、着用者の鼻と口とを覆うマスク型の形状を有する。また、通気性被覆体保持具は、着用者の鼻と口を覆い且つ通気性を有する通気性被覆体を、着用者の顔に対して保持するために用いられる。この通気性被覆体は、例えば、ハンカチ、ガーゼ、不織布といった布体や、ティッシュペーパー、キッチンペーパー等を含む。
【0021】
図1及び
図8に示すように、通気性被覆体保持具1は、着用者Pの鼻と口とを覆った通気性被覆体を外面側から押さえる保持本体部2と、保持本体部2を着用者Pの顔に装着するための装着部3と、を備える。通気性被覆体保持具1は、
図7に示すように、着用者Pの鼻と口との間に通気性被覆体Fを挟んだ状態で使用される。
【0022】
以下、通気性被覆体保持具1の内側は使用時に顔と対向する側であり、通気性被覆体保持具1の外側は内側の反対側とする。即ち、通気性被覆体保持具1の内外方向は、
図1における紙面に垂直な方向である。また、通気性被覆体保持具1の上側及び下側は、通気性被覆体保持具1の着用者の頭側及び足側とする。即ち、通気性被覆体保持具1の上側や下側は、
図1における上側や下側である。さらに、通気性被覆体保持具1の幅方向は、通気性被覆体保持具1の着用者の顔の幅方向とする。即ち、通気性被覆体保持具1の幅方向は、
図1における左右方向である。
【0023】
保持本体部2は、着用者Pの鼻と口とを含む領域を通気性被覆体の外面側から覆うように構成されている。また、保持本体部2は、伸縮性を有するシート状である。本実施形態の保持本体部2は、平面視において略矩形状のシートである。具体的に、保持本体部2は、内外方向から視たとき、上下方向における寸法が幅方向における中心部に近づくほど大きいシートである。また、保持本体部2は、内外方向から視たとき、幅向における寸法が略均一なシートである。なお、保持本体部2は、平面視において長方形状、楕円状、正方形状等の他の形状であってもよい。
【0024】
さらに、保持本体部2は、エラストマー組成物で形成される。保持本体部2を形成するエラストマー組成物は、耐熱性や洗浄耐性を有することが好ましい。また、保持本体部2を形成するエラストマー組成物に含有させるエラストマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)、塩素化ポリエチレン(CM)、及び、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)などからなる群より選ばれる1種又は2種以上を採用することができる。
【0025】
また、エラストマー組成物に含有させるエラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、及び、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)などからなる群より選ばれる1種又は2種以上の熱可塑性エラストマーを採用することができる。なお、エラストマー組成物の硬度は、15A〜80Aである。エラストマー組成物の硬度が80A以下であることにより、保持本体部2に柔軟性をもたせることができる。ここでいう硬度は、JISK6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬さである。
【0026】
本実施形態の保持本体部2の表面には、凹凸が形成されている。この凹凸形状により、保持本体部2と通気性被覆体との摩擦力が向上するため、保持本体部2による通気性被覆体の保持性を向上できる。また、この凹凸形状により、保持本体部2へのごみや塵、汚れ、着用者Pの顔面に塗布された化粧品等の付着を抑制できる。
【0027】
具体的に、保持本体部2の凹凸形状は、保持本体部2の全面に均一に設けられている。また、この凹凸形状は、例えば、保持本体部2の表面に施されたシボ加工により形成されている。保持本体部2の凹部(溝)の深さは、10μm〜50μmであり、保持本体部2の厚みの1%〜5%である。
【0028】
例えば、保持本体部2の上下方向における最大寸法(具体的には、保持本体部2の幅方向における中央部の上下方向における寸法)は、12cm〜19cmである。また、保持本体部2の幅方向における寸法は、12cm〜19cmである。
【0029】
本実施形態の保持本体部2は、
図2及び
図6に示すように、幅方向における中央部が頂部となるように該頂部の周囲の周囲部よりも外側に隆起した立体形状である。具体的に、保持本体部2は、幅方向における中央部が頂部となるように周囲部よりも外側に隆起した本体立体部4と、本体立体部4の外周縁40に連設され且つ平坦に形成された本体平坦部50と、を有する(
図1及び
図6参照)。
【0030】
また、本実施形態の保持本体部2は、上縁に着用者の鼻(本実施形態の保持本体部2では、鼻骨)を幅方向で跨ぐように幅方向に沿って形成される鼻縁部52を有する。より具体的に、保持本体部2は、外周縁に、左右に配置される本体平坦部50と、上側に配置され且つ鼻縁部52を含む上縁部51と、下側に配置される下縁部55と、を備える本体縁部5を有する(
図1参照)。
【0031】
さらに、保持本体部2は、幅方向における中央部に上下に亘る上下立体骨格部6を有する。また、保持本体部2は、上下方向における中央部に幅方向に亘る左右立体骨格部7を有する。
【0032】
保持本体部2には、着用者Pの鼻孔に対応した位置に鼻孔用通気孔80が形成されている。また、保持本体部2には、着用者Pの頬骨を通って上下方向に延びる左右一対の上下仮想線L1,L1の左右の幅方向における間で、且つ、口の上下方向における中央を通って幅方向に延びる左右仮想線L2よりも上側の領域のうち、着用者の鼻筋に対応する鼻筋部Nを除く鼻周囲領域A1に鼻周囲通気孔81が形成されている。なお、左右仮想線L2は、例えば、着用者Pの上唇と下唇との間を通って幅方向に延びる。
【0033】
本実施形態の保持本体部2には、着用者Pの口に対応する位置に口用通気孔84が形成されている。また、保持本体部2には、口用通気孔84の周囲であり、一対の上下仮想線L1,L1の幅方向における間であり、左右仮想線L2よりも下側である口周囲領域A2に口周囲通気孔85が形成されている。
【0034】
保持本体部2に設けられる各通気孔は、例えば、スリット(具体的には、幅方向に延びるスリット)や、意匠を模した貫通孔(例えば、放射状に配置された複数の貫通孔や星形の貫通孔等)で構成されている。
【0035】
本体立体部4は、着用者Pの鼻や口を覆う部位である。本実施形態の本体立体部4の厚みは、例えば、不均一である。また、本体立体部4の高さ(本体立体部4を内側から視たときの深さ、本体立体部4の内外方向における最大寸法)は、例えば、3cm〜6cmである。
【0036】
本体縁部5は、着用者Pの顔面に当接する部位である。本体縁部5の厚みは、不均一である。なお、本体縁部5の厚みは、均一であってもよい。
【0037】
本体平坦部50は、着用者Pの頬に当接する部位である。本実施形態の本体平坦部50は、幅方向における両側に位置している。また、本体平坦部50は、
図3に示すように、本体立体部4と屈曲した状態で連設している。さらに、本実施形態の本体平坦部50は、上下方向において直線状に延びている。そのため、本体平坦部50は、着用者の頬から浮きにくく、本体立体部4内の気密性を向上できる。
【0038】
上縁部51は、着用者Pの頬骨や鼻骨と当接する部位である(
図1参照)。本実施形態の上縁部51は、内外方向から視たとき、幅方向における中央に近いほど上側に位置する。また、本実施形態の上縁部51は、鼻縁部52に加えて、幅方向における両端部である上側連結部53と、鼻縁部52と上側連結部53との間に位置する形状切替部54と、を含む。
【0039】
上縁部51の厚みは、不均一である。例えば、上縁部51は、上側連結部53で肉厚となっている。本実施形態の上縁部51は、形状切替部54で薄肉となっている。また、上縁部51は、
図4に示すように、鼻縁部52で肉厚になっている。なお、上縁部51の厚みは、均一であってもよい。
【0040】
鼻縁部52は、着用者Pの鼻骨に当接する部位である。本実施形態の鼻縁部52は、幅方向における中央部520が頂部520となるように外側に隆起した山形に形成されている(
図6参照)。また、鼻縁部52は、保持本体部2における他の部分よりも肉厚に形成されている。なお、鼻縁部52は、保持本体部2における他の部分と同じ厚みに形成されてもよいし、保持本体部2における他の部分よりも薄肉に形成されてもよい。例えば、鼻縁部52は、形状切替部54と同様の厚みに形成されることが考えられる。
【0041】
上側連結部53は、装着部3と連結する部位である(
図1参照)。本実施形態の上側連結部53は、肉厚であるため丈夫である。
【0042】
形状切替部54は、着用者Pの頬骨周辺に当接する部位である。具体的に、形状切替部54は、一対の上下仮想線L1,L1の幅方向をそれぞれ跨ぐよう、一対形成されている。本実施形態の肉薄の形状切替部54が、着用時に着用者Pの顔の立体形状に沿って変形し、形状切替部54の先に肉厚の鼻縁部52が位置しているため、上縁部51は顔に沿った立体形状になる。
【0043】
下縁部55は、着用者Pの顎周辺(例えば、下顎の輪郭、えら、下顎の裏側)に当接する部位である。本実施形態の下縁部55は、幅方向における両端部である下側連結部56を含む。下縁部55の厚みは、不均一である。下縁部55は、下側連結部56で肉厚となっている。なお、下縁部55の厚みは、均一であってもよい。
【0044】
以上の保持本体部2では、上側連結部53や下側連結部56の厚みは、保持本体部2の本体縁部5以外の部位における厚みの1.2倍から3倍である。また、この保持本体部2では、本体平坦部50が、上下方向に並ぶ上側連結部53と下側連結部56とを接続している。
【0045】
上下立体骨格部6は、上下方向に延び且つ本体立体部4の幅方向における頂部を構成する。また、上下立体骨格部6は、本体立体部4の立体構造を保持する機能を有する。本実施形態の上下立体骨格部6は、保持本体部2の幅方向における中央に位置している。
【0046】
また、本実施形態の上下立体骨格部6は、上下方向における両端にそれぞれ配置された第一上下骨格部61と、上下方向における中央部に配置され且つ第一上下骨格部61よりも幅狭の第二上下骨格部62を含む。上下立体骨格部6は、幅広の第一上下骨格部61と幅狭の第二上下骨格部62とを含むことにより、本体立体部4の上下方向における中央部(第二上下骨格部62により保形される部分)をなだらかな形状(球面状)としつつ、その上下の部分(第一上下骨格部61で保形される部分)でコシを持たせて、本体立体部4の立体構造を保持することができる。
【0047】
左右立体骨格部7は、幅方向に延び且つ本体立体部4の上下方向における頂部を構成する。また、左右立体骨格部7は、本体立体部4の立体構造を保持する機能を有する。本実施形態の左右立体骨格部7は、保持本体部2の上下方向における中央に位置している。
【0048】
また、本実施形態の左右立体骨格部7は、幅方向における両端にそれぞれ配置された第一左右骨格部71と、幅方向における中央部に配置され且つ第一左右骨格部71よりも幅狭の第二左右骨格部72を含む。左右立体骨格部7は、幅広の第一左右骨格部71と幅狭の第二左右骨格部72とを含むことにより、本体立体部4の幅方向における中央部(第二左右骨格部72により保形される部分)をなだらかな形状(球面状)としつつ、その左右の部分(第一左右骨格部71により保形される部分)でコシを持たせて、本体立体部4の立体構造を保持することができる。
【0049】
なお、各立体骨格部の幅は、立体骨格部の延びる方向と直交する方向における寸法である。また、立体骨格部の幅は、均一であってもよい。
【0050】
保持本体部2には、幅方向中央部に、上下方向に並んだ複数の通気孔(80、83、84、85で示す通気孔の列、以下、「孔列」とも称する)が形成されている。この保持本体部2では、孔列が、保持本体部2の幅方向における中央を通る仮想線L3を挟んで一対設けられている。例えば、孔列は、この仮想線L3を挟んで対称に配置されている。さらに、孔列は、幅方向において後述する第一鼻下用通気孔82よりも内側に配置されている。また、保持本体部2の左半分の領域に位置する孔列は、保持本体部2の左半分の領域のうち右半分の部位に配置されている。保持本体部2の右半分の領域に位置する孔列は、保持本体部2の右半分の領域のうち左半分の部位に配置されている。
【0051】
また、孔列は、上下方向において保持本体部2の中心点Cを挟んで両側に亘っている。即ち、孔列は、保持本体部2の上半分、及び、保持本体部2の下半分に亘っている。さらに、換言すると、孔列は、保持本体部2の上下方向における中央から、上側及び下側に列を形成している。
【0052】
本実施形態の保持本体部2では、孔列は、上下立体骨格部6に沿って配置されている。また、保持本体部2の上半分の領域に位置する孔列は、保持本体部2の上半分の領域のうち少なくとも下半分の部位に配置され、具体的には、保持本体部2の上半分の領域のうち少なくとも上半分の部位及び下半分の部位の両方に配置されている。保持本体部2の下半分の領域に位置する孔列は、保持本体部2の下半分の領域のうち少なくとも上半分の部位に配置され、具体的には、保持本体部2の下半分の領域のうち少なくとも上半分の部位及び下半分の部位の両方に配置されている。
【0053】
また、本実施形態の保持本体部2では、孔列を構成する一部の貫通孔は、左右立体骨格部7に配置されている。保持本体部2の上半分の領域に配置される孔列は、保持本体部2の下半分の領域に配置される孔列よりも、多くの貫通孔を含んでおり、具体的に、一列覆い貫通孔を含んでいる。さらに、孔列を構成する通気孔は、上下方向において略等間隔を空けて配置されている。
【0054】
鼻孔用通気孔80は、着用者Pの鼻孔を介した呼吸時の主な通気孔として機能する。また、鼻孔用通気孔80は、本体立体部4の頂部(例えば、本体立体部4の幅方向における中央部、具体的には、上下立体骨格部6)に対して幅方向における一方側と他方側(
図1における左側と右側)とに形成されている。換言すると、鼻孔用通気孔80は、本体立体部4の頂部(具体的には、上下立体骨格部6)を境に、左右に配置されている。80で示す通気孔は、保持本体部2に形成された孔列における最も上側の領域を構成する貫通孔である。
【0055】
本実施形態の鼻孔用通気孔80は、幅方向に延びるスリットである。このスリットは、上下に複数本(例えば、三本)並んで配置されている。また、このスリットは、上下立体骨格部6を挟んだ状態で一対配置されている。即ち、本実施形態の鼻孔用通気孔80は、6本のスリットで構成されている。
【0056】
鼻周囲通気孔81は、着用者Pの鼻孔を介した呼吸時の補助的な通気孔として機能する。本実施形態の鼻周囲通気孔81は、頂部(幅方向における中央部、例えば、上下立体骨格部6)に対して幅方向における一方側と他方側(
図1における左側と右側)とに形成されている。
【0057】
本実施形態の鼻周囲通気孔81は、少なくとも鼻周囲領域A1のうち鼻孔用通気孔80より下側であって口用通気孔84よりも上側の鼻下領域A3に配置されている。本実施形態の鼻周囲通気孔81は、鼻孔用通気孔80より幅方向おける外側(左側又は右側)に配置される第一鼻下用通気孔82と、鼻孔用通気孔80と上下方向において並ぶ(具体的には、鼻孔用通気孔80の下側に並ぶ)と共に、幅方向において揃った位置に配置される第二鼻下用通気孔83と、を含む。なお、鼻周囲通気孔は、鼻周囲領域A1のうち鼻孔用通気孔80より上の鼻脇領域A4に配置される鼻脇通気孔を含んでもよい。
【0058】
第一鼻下用通気孔82は、鼻と頬骨との間の顔の凹み領域(例えば、鼻下領域A3における鼻唇溝(法令線)の周囲領域)に対応している。例えば、第一鼻下用通気孔82は、複数の花弁形状(例えば、5枚の花弁形状)に形成されている。また、第一鼻下用通気孔82は、上下立体骨格部6を挟んだ状態で一対配置されている。
【0059】
第二鼻下用通気孔83は、鼻と口との間の顔の凹み領域(例えば、鼻下領域A3における人中(鼻と唇との間の溝)の周囲領域)に対応している。83で示す通気孔は、保持本体部2に形成された孔列における上下方向における中央の領域を構成する貫通孔である。例えば、第二鼻下用通気孔83は、幅方向に延びるスリットである。このスリットは、上下に複数本(例えば、三本)並んで配置されている。また、このスリットは、上下立体骨格部6を挟んだ状態で一対配置されている。即ち、本実施形態の第二鼻下用通気孔83は、6本のスリットで構成されている。
【0060】
口用通気孔84は、着用者Pの会話時や口を介した呼吸時の主な通気孔として機能する。また、口用通気孔84は、本体立体部4の頂部(例えば、本体立体部4の幅方向における中央部、具体的には、上下立体骨格部6)に対して幅方向における一方側と他方側(
図1における左側と右側)とに形成されている。84で示す通気孔は、保持本体部2に形成された孔列における上下方向における中央の領域を構成する貫通孔である。
【0061】
本実施形態の口用通気孔84は、幅方向に延びるスリットである。このスリットは、上下に複数本(例えば、三本〜七本、具体的には、三本)並んで配置されている。また、このスリットは、上下立体骨格部6を挟んだ状態で一対配置されている。本実施形態の口用通気孔84は、6本〜14のスリットで構成されている。
【0062】
口周囲通気孔85は、幅方向における頂部(幅方向における中央部、例えば、上下立体骨格部6)に対して前記幅方向における一方側と他方側(
図1における左側と右側)とに形成されている。本実施形態の口周囲通気孔85は、着用者Pの下顎の先端部に対応している。85で示す通気孔は、保持本体部2に形成された孔列における最も下側の中央の領域を構成する貫通孔である。
【0063】
また、口周囲通気孔85は、幅方向に延びるスリットである。このスリットは、上下に複数本(例えば、三〜七本、具体的には五本)並んで配置されている。また、このスリットは、上下立体骨格部6を挟んだ状態で一対配置されている。即ち、本実施形態の口周囲通気孔85は、6本〜14本のスリットで構成されている。
【0064】
保持本体部2に設けられる各通気孔は、同じ方向に貫通していてもよいし、異なる方向に貫通していてもよい。本実施形態の各通気孔の貫通方向は、同じであり、例えば、上下方向及び幅方向で形成される基準面に対して垂直な方向である。
【0065】
また、本実施形態の各通気孔は、幅方向における中央部(例えば、上下立体骨格部6)を挟んで左右対称に配置されている。なお、各貫通孔は、左右対称に配置されていなくてもよい。
【0066】
また、本実施形態の各通気孔は、いずれも、保持本体部2の本体縁部5を除く領域、例えば、保持本体部2の中心点C(保持本体部2の上下方向における中心線と幅方向における中心線との交差する点)から半径4cm〜6cmの領域内に配置されている。このような領域内に各通気孔が配置されていれば、保持本体部2に通気孔を設けつつ、着用時に力のかかりやすい保持本体部2の強度を確保することができる。
【0067】
各通気孔を構成するスリットの幅(短手方向における寸法)は、例えば、1.0mm〜3.0mmである。また、このスリットの長手方向における寸法は、例えば、10mm〜30mmである。
【0068】
各通気口が、意匠を模した貫通孔(例えば、複数の花弁形状の貫通孔)で形成される場合、通気性被覆体保持具1のデザイン性が向上する。なお、各通気口を構成する複数の花弁形状の貫通孔は、花弁の中心点との各貫通孔の最も外側の端縁との距離が、例えば、3mm〜10mmとなるように形成されている。
【0069】
装着部3は、保持本体部2が着用者Pの鼻孔や口を覆った状態で、着用者P(例えば、着用者Pの耳元)に掛けられる。本実施形態の装着部3は、保持本体部2の幅方向における両端部からそれぞれ延びている。即ち、装着部3は、耳掛け可能に保持本体部2の左右に一対形成されている。
【0070】
本実施形態の装着部3は、伸縮性を有する。この装着部3は、例えば、保持本体部2と同じ材質を用いて、保持本体部2と一体的に形成されている。
【0071】
具体的に、装着部3は、保持本体部2の上側連結部53と下側連結部56との間に延びる矩形状の部材(例えば、紐部材)である。より具体的に、装着部3は、上側連結部53から幅方向の外側に延びる上側装着部位31と、下側連結部56から幅方向の外側に延びる下側装着部位32と、上側装着部位31の幅方向における外端部と下側装着部位32の幅方向における外側の端部とを接続して上下方向に延びる接続装着部位33と、を含む。
【0072】
具体的に、装着部3を構成する紐部材の幅は、例えば、4mm〜10mmである。また、この紐部材の厚みは、例えば、0.8〜2.0mmである。
【0073】
上側装着部位31の長手方向における長さは、下側装着部位32の長手方向における長さよりも長い。この場合、着用時に、上側装着部位31が、引っ張られにくいため、耳元の上側におけるつっぱり感を緩和することができる。なお、長手方向における上側装着部位31の長さと下側装着部位32の長さの差は、例えば、5mmである。
【0074】
以上の通気性被覆体保持具1では、保持本体部2が、着用者Pの鼻と口とを含む領域で通気性被覆体Fを覆って保持するので、確実に通気性被覆体Fを押さえることができる。また、保持本体部2に、鼻孔用通気孔80に加えて鼻周囲通気孔81(例えば、第一鼻下用通気孔82及び第二鼻下用通気孔83)が形成されているので、鼻孔用通気孔80での鼻孔の直接的な通気の他に、保持本体部2が顔に密着しにくい(保持本体部2が顔から浮いた状態となる)顔の凹み領域(鼻周囲領域A1)においても、鼻周囲通気孔81で通気ができるため、十分な呼吸を確保することができる。
【0075】
本実施形態の通気性被覆体保持具1では、保持本体部2に、口用通気孔84に加えて鼻周囲通気孔81(例えば、第一鼻下用通気孔82や第二鼻下用通気孔83)が形成されているので、口用通気孔84による通気の他に、鼻下に位置し且つ保持本体部が顔に密着しにくい顔の凹み領域(鼻下領域A3)においても、鼻周囲通気孔81(例えば、第一鼻下用通気孔82や第二鼻下用通気孔83)で通気ができ、さらに呼吸しやすい。
【0076】
また、本実施形態の通気性被覆体保持具1では、保持本体部2が幅方向における中央部が頂部となるように外側に隆起するとともに、鼻孔用通気孔80がこの頂部を挟んで配置されている。そのため、保持本体部2の頂部において立体形状を保持しつつ、保持本体部2の幅方向における両側に形成された鼻孔用通気孔80により通気を確保できる。なお、保持本体部2が、外側に隆起する立体形状であることにより、着用者Pの鼻や口が保持本体部2の内側に当たりにくく、着用感が向上する。
【0077】
本実施形態の通気性被覆体保持具1では、保持本体部2に、口用通気孔84に加えて口周囲通気孔85が形成されているので、口用通気孔84による通気の他に、口の周囲に位置し且つ保持本体部2が顔に密着しにくい顔の凹み領域(口周囲領域A2)においても、口周囲通気孔85で通気ができ、さらに呼吸しやすい。
【0078】
また、本実施形態の通気性被覆体保持具1では、本体立体部4と本体縁部5の一部である本体平坦部50とが屈曲した状態で連設しているため、本体平坦部50を着用者Pの顔に密着させつつ、屈曲によって急峻に本体立体部4の立体形状を立ち上げることができ、保持本体部2の顔への過度な密着を抑制することができる。
【0079】
さらに、本実施形態の通気性被覆体保持具1では、本体縁部5の鼻縁部52は、中央部520が外側に隆起した山形形状であり、中央部520が肉厚であるため、保持本体部2(例えば、本体立体部4)の立体形状を、この鼻縁部52の肉厚の山形形状により保持することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、ある着用者Pの鼻や口の位置に対応するように各通気孔を特定したが、着用者が変わって鼻や口の位置が変わった場合には、その着用者の鼻や口の位置で各通気孔を特定することができる。例えば、本実施形態の着用者Pとは別の着用者が通気性被覆体保持具1を着用した場合には、80で示す通気孔が鼻筋用通気孔、83で示す通気孔が鼻孔用通気孔、84で示す通気孔が鼻下通気孔、85で示す通気孔の上半分が口用通気孔下半分が口周囲通気孔となることもある。このように、保持本体部2に孔列を設けることで、様々な着用者に対応した適切な位置に通気孔を配置できる。
【0081】
なお、本発明の通気性被覆体保持具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0082】
保持本体部2に設けられる各通気孔は、上述のようにそれぞれ複数設けられていてもよいし、一つのみ設けられていてもよい。例えば、鼻孔用通気孔80が、保持本体部2に一つのみ設けられる場合、二つの鼻孔をまとめて覆うように形成されてもよい。また、口用通気孔84は、保持本体部2に一つのみ設けられる場合、口全体を覆うように形成されてもよい。
【0083】
また、各通気孔は、保持本体部2は、保持本体部2の頂部(幅方向における中央部、例えば、上下立体骨格部6)に対して幅方向における一方側と他方側とに形成されていたが、幅方向における一方側のみに形成されていてもよい。また、各通気孔は、保持本体部2の頂部を亘って幅方向に延びるように形成されてもよい。
【0084】
なお、保持本体部2に、口用通気孔84が形成されなくてもよい。また、保持本体部2に、口周囲通気孔85が形成されなくてもよい。例えば、
図9に示すように、保持本体部2に、鼻孔用通気孔80、鼻周囲通気孔81、及び、口用通気孔84のみが形成されることも考えられる。また、保持本体部2に、鼻周囲通気孔81として、第一鼻下用通気孔82のみが形成されてもよいし、第二鼻下用通気孔83のみが形成されてもよい。なお、保持本体部2に形成される孔列において、各通気孔は、上下方向において不均一な間隔を空けて配置されてもよい。具体的に、孔列を構成する各通気孔は、上下方向における中央の領域(例えば、第二上下骨格部62)を避けて配置されてもよい。
【0085】
さらに、保持本体部2には、鼻孔用通気孔80や鼻周囲通気孔の他に、着用者Pの鼻筋部Nに対応する鼻筋用通気孔が形成されてもよい。
【0086】
上記実施形態の保持本体部2は、立体形状を有していたが、扁平な形状であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態の保持本体部2では、本体平坦部50は、幅方向の両側に形成されていたが、上下方向における少なくとも一方側に設けられていてもよい。この場合、本体平坦部50は、保持本体部2の全周に設けられていてもよい。即ち、保持本体部2の本体縁部5の全域が、本体平坦部50であってもよい。
【0088】
上記実施形態の通気性被覆体保持具1では、保持本体部2と装着部3とは一体であったが、別部材であってもよい。保持本体部2と装着部3とが別部材である場合、これらの材質が異なることが考えられる。また、保持本体部2と装着部3とが別部材である場合、保持本体部2の両端部に貫通孔或いは環状部を設けて、この貫通孔や貫通孔に紐状の装着部3を結んで、着用者Pの頭の大きさにあわせて装着部3の長さを調節可能に、装着部3を保持本体部2に取り付けることが考えられる。さらに、保持本体部2と装着部3とが別部材である場合、装着部3は、ゴム紐や生地で構成された紐であってもよい。
【0089】
上記実施形態の装着部3は、耳掛け可能に左右一対形成されていたが、保持本体部2の幅方向における両端部から延び、着用者Pの頭に巻き付けるベルト状に形成されてもよい。
【0090】
なお、通気性被覆体保持具1は、保持本体部2よりも小さなサイズの通気性被覆体F以外に、保持本体部2よりも大きなサイズの通気性被覆体Fを保持してもよい。