特開2021-179022(P2021-179022A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社ニットワイズの特許一覧

<>
  • 特開2021179022-調温部材を備えたマスク 図000003
  • 特開2021179022-調温部材を備えたマスク 図000004
  • 特開2021179022-調温部材を備えたマスク 図000005
  • 特開2021179022-調温部材を備えたマスク 図000006
  • 特開2021179022-調温部材を備えたマスク 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-179022(P2021-179022A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】調温部材を備えたマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20211022BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20211022BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61F 7/10 20060101ALN20211022BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A61F7/08 334N
   A61F7/08 334S
   A61F7/08 334C
   A62B18/02 C
   A61F7/10 311
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-83248(P2020-83248)
(22)【出願日】2020年5月11日
(11)【特許番号】特許第6949392号(P6949392)
(45)【特許公報発行日】2021年10月13日
(71)【出願人】
【識別番号】520162721
【氏名又は名称】有限会社ニットワイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】後 藤 克 幸
【テーマコード(参考)】
2E185
4C099
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA09
2E185CC32
4C099AA01
4C099AA02
4C099CA05
4C099EA02
4C099GA02
4C099JA04
4C099JA05
4C099LA07
4C099LA15
4C099LA17
4C099NA20
(57)【要約】
【課題】マスク着用者におけるマスクとの接触領域の少なくとも一部を冷却又は加温できるようにし、装着時の快適性を向上させたマスクを提供する。
【解決手段】少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部と、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を着脱自在に収容可能なポケット部とを備えており、当該ポケット部は、着用時において着用者の頬部、顎部、口部、鼻孔部、及び鼻下部の少なくとも何れか1又は2以上と対向する領域に設けたマスクとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、
前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部と、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を着脱自在に収容可能なポケット部とを備えることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記ポケット部は、着用時において、着用者の頬部、顎部、口部、鼻孔部、及び鼻下部の少なくとも何れか1又は2以上と対向する領域に設けられる、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記ポケット部における着用者側に存在する領域には防水加工が施されている、請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記調温部材は、冷却剤及び/又は加温剤を袋体内に収容してなるシート状であって、厚さ方向に貫通する通気孔が1又は2以上形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載のマスク。
【請求項5】
少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、
前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部を設けると共に、着用時において、着用者の頬部、顎部、口部、鼻孔部、及び鼻下部の少なくとも何れか1又は2以上と対向する領域に冷却材を設けたことを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスクに関し、特に冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を備えたマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では感染症の飛沫感染を予防する目的で世界的にもマスクが利用されている。かかるマスクは、感染症の飛沫感染対策(即ち、ウイルス対策)の他、花粉症対策、風邪対策、防塵、防寒対策などの様々な用途でも利用されており、産業用、医療用、家庭用等の用途で広く利用されている。
【0003】
そして当該マスクについては、従前において着用者の鼻部周辺を加熱したり、又は冷却することも提案されている。例えば特許文献1(特開2008−563号公報)では、鼻かぜや鼻炎の症状である鼻水・鼻詰まりを解消、または軽減するために、鼻および鼻周辺部を外皮から温熱する、マスクに装着可能な鼻用使い捨てカイロが提案されており、これは、鼻および鼻周辺部を覆うような形状の通気性のある袋に発熱物質を充填し、鼻および鼻周辺部に良く接触するよう、袋の鼻に当たる内側に凹凸を設け、マスクに粘着する外側に粘着剤を塗布した鼻用使い捨てカイロとなっている。
【0004】
また特許文献2(特開2016−223049号公報)では、マスク上部に出来る隙間等からの有害物質の侵入を防ぐと共に、鼻や目の下の炎症を軽減させるマスクとして、隙間が発生しやすいマスク上部に冷却ジェルシートを装着し、人の顔とマスクを密着させることで隙間を軽減し、同時に鼻や目の下の部分を冷却ジェルで冷却することで、くしゃみ、鼻水などにより起こる炎症の症状をやわらげるか発生抑えるマスクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−563号公報
【特許文献2】特開2016−223049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、従前においてもマスクに加熱のためのカイロを設けたり、又は隙間を塞ぐために冷却ジェルシートを装着することは提案されている。しかしながら、これら従前における技術は鼻水や鼻詰まりを解消したり、或いは鼻や目の下の炎症を軽減させることを目的としており、マスク装着時の快適性を向上させるものではなかった。
【0007】
そこで本発明では、マスク着用者におけるマスクとの接触領域の少なくとも一部を冷却又は加温できるようにすることで、装着時の快適性を向上させたマスクを提供することを第1の課題とする。
【0008】
また、従前において提案されている前記のマスクは、カイロや冷却ジェルを着用者に接触させることで、その接触部を直接加温又は冷却するものとなっており、マスクを装着した上での呼吸に対する作用効果は何ら着目されていなかった。
【0009】
そこで本発明は、マスクを介しての呼吸に際し、吸気する空気を冷却又は温めることによって、呼吸における生体への負担を軽減し、または呼吸時の快適さを向上させたマスクを提供することを前記第1の課題とは異なる第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明ではマスクにおける本質的な機能である十分な呼吸を確保した上で、吸気する空気を冷却又は加温するか、及び/又はマスクと着用者との間に展開する呼気を冷却又は加温することによってマスク装着の快適性を向上させたマスクを提供するものである。
【0011】
即ち本発明に係るマスクは、少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部と、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を着脱自在に収容可能なポケット部とを備えることを特徴とするマスクを提供する。
【0012】
かかるマスクにおいて、本体部は綿、麻、ガーゼなどの布地である他、不織布を用いて形成することができ、更には既存の産業用、医療用又は家庭用のマスクで使用されている各種の材料で形成することができる。また当該本体部は平型マスク、プリーツ型マスク、立体型マスク等の多種多様な形状に形成することができる。そして前記装着部は前記本体部を着用者に取り付ける為のゴム紐や平ゴム等からなる耳掛け部(耳掛け紐)である他、後頭部に回り込んで前記本体部を着用者に固定する頭部板、ベルト又は紐であって良い。
【0013】
そして前記ポケット部は、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を着脱自在に収容するために機能することができ、マスクの本体部において着用者に対向する内側面や、当該内側面の反対側に存在する外側面に形成することができる。また当該マスクの本体部が2枚以上の布帛を積層して形成されている場合には、当該積層させた布帛同士間をポケット部とすることができる。かかるポケット部は、前記冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を着脱自在収容することができるように形成されており、従って任意に開閉自在な開口部を備えることが望ましい。
【0014】
上記本発明のマスクにおいて、前記ポケット部は、着用時において、着用者の頬部、顎部、口部、鼻孔部、及び鼻下部の少なくとも何れか1又は2以上と対向する領域に設けることが望ましい。特に着用者に直接接触させて、接触により冷却又は加温すると共に、呼吸を円滑に行う場合には、着用者の頬部と対向する領域にポケット部を設けることが望ましく、呼吸における吸気や、呼気を冷却又は加温する場合には、着用者の顎部、口部、鼻孔部、及び鼻下部の少なくとも何れか1又は2以上と対向する領域に設けることが望ましい。
【0015】
かかるポケット部は、マスク装着時において左右の中心部を除いて、且つ左右対称となるように2ヶ所以上に設ける他、マスク装着時における中心部に設けることもできる。更にマスクの上下方向においても、1又は2以上のポケット部を任意の個所に設けることができる。但し、鼻孔部や口部或いはその近傍に設けた場合には、呼吸における吸気や呼気を冷却又は加温することができる。
【0016】
前記冷却材及び/又は加温材からなる調温部材は、冷却ジェルなどの冷却剤や酸化熱を利用する加温剤(又は加熱剤)を利用することができ、特に冷却剤においてはその他にも気化熱によって冷却できるもの(例えば吸水させた布帛や綿など)も使用できる。
【0017】
そして前記ポケット部は、着用者側に存在する領域に防水加工(又は撥水加工)を施すことができる。かかる防水加工や撥水加工は、ポケットの内部に施す他、外部に施すことができる。また当該防水加工や撥水加工は防水又は撥水スプレーや防水又は撥水塗料を塗布する他、防水性を有する樹脂シートを貼付することもできる。特にポケット部に防水加工や撥水加工を施す場合には、着用者側の反対側に存在する領域は通気性を確保して形成することが望ましく、よって前記防水加工や撥水加工は着用者側に存在する領域にのみ施すことが望ましい。
【0018】
また前記本発明に係るマスクにおいて、前記調温部材は、冷却剤及び/又は加温剤を袋体内に収容してなるシート状であって、厚さ方向に貫通する通気孔を1又は2以上形成したものとして形成することができる。かかる通気口は、少なくとも着用者の呼吸を確保できる程度であれば良く、当該調温部材の広さ方向の全体に遍在させる他、鼻孔や口又はその近傍に偏在させて形成することもできる。
【0019】
更に本発明に係るマスクにおいて、前記ポケット部は縦長に形成すると共に幅方向に所定の間隔で複数形成し、当該ポケット部同士の間を着用者の呼気の通気を確保する通気部とすることができる。かかる通気部は、マスクの本体部における通気性を有する部分であって、着用者の呼吸を確保する為に機能することができる。
【0020】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部を設けると共に、着用時において、着用者の頬部、顎部、口部、鼻孔部、及び鼻下部の少なくとも何れか1又は2以上と対向する領域に冷却材を設けたマスクを提供する。
【0021】
かかる冷却材は前記調温部材として使用する冷却剤を使用することができる。また、当該冷却剤はマスクにおける本体部に着脱自在に設ける他、貼付、縫合又は縫込み等によって脱離しないように固定することもできる。更に当該冷却剤をマスクの本体部に設ける際には、前記ポケット部を設けることなく、マスクの本体部と冷却剤とに相互に噛合する面ファスナーを設けて、着脱自在に設けることもできる。
【0022】
上記本発明のマスクは、必ずしも感染症の飛沫感染対策(即ち、ウイルス対策)の目的で使用するものに限られるものではなく、花粉症対策、風邪対策、防塵、防寒対策などの様々な用途で利用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のマスクは、着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなり、前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部と、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材を着脱自在に収容可能なポケット部とを備えていることから、マスク着用者におけるマスクとの接触領域の少なくとも一部を冷却又は加温することができ、その結果、装着時の快適性を向上させたマスクが実現する。
【0024】
更に本発明に係るマスクは、マスクの本体部に着用者の呼気の通気を確保する通気部を設けていることから、装着時の快適性を向上させながらの着用者の呼吸に支障を生じさせないマスクとすることができる。
【0025】
更に、マスクの本体部に設けた冷却材及び/又は加温材からなる調温部材は、マスクを装着しての呼吸に際し、吸気する空気を冷却したり又は温めたりすることができる。これにより、呼吸時に吸気する空気や呼気を外気温が低い時には温めることができ、外気温が高い時には冷却することができ、マスク着用時の呼吸を快適にすると共に、生体への負担を軽減し、更には体温の保持に貢献する事のできるマスクとすることができる。
【0026】
特に本発明に係るマスクにおいて、前記調温部材として冷却材などに使用されている冷却ゲルや、使い捨てカイロ等に使用されている加温剤を利用する事により、冷却又は加温効果を長期にわたって持続させることができ、この効果の持続時間において接触冷感繊維を用いたものよりも有利な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施の形態に係るマスクの(A)分解斜視図、(B)ポケット部縦断面図。
図2】第1の実施の形態に係るマスクの使用状態を示す(A)正面図、(B)側面図。
図3】第2の実施の形態に係るマスクを示す正面図。
図4】第3の実施の形態に係るマスクを示す正面図。
図5】第4の実施の形態に係るマスクを示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるマスク10を具体的に説明する。特に本実施の形態は家庭用の衛生マスク10における実施形態を示しているが、その他にも産業用や医療用などのマスク10として具体化することも当然に可能である。
【0029】
図1は第1実施の形態に係るマスク10の(A)分解斜視図、(B)ポケット部の縦断面図であり、図2は第1の実施の形態に係るマスク10の使用状態を示す(A)正面図、(B)側面図である。
【0030】
この第1の実施の形態に係るマスク10は、着用者の口及び鼻孔を覆う本体部20と、当該本体部20を着用者に取り付ける装着部30とで構成されており、装着部30としては特にゴム紐からなる耳掛け紐を用いて形成している。本体部20は、布や不織布などの布帛を用いて形成しており、着用者の呼吸を確保する為に通気性を有するものとして形成されている。特に本実施の形態に係るマスク10では、マスク10の左右中央部分に、着用者の呼気の通気を確保する通気部を設けている。かかる通気部には、必要に応じて抗菌性布帛(銅を含有する布帛など)を設けることができ、これにより感染症のウイルスを滅菌乃至は殺菌することができる。
【0031】
そして本実施の形態に係るマスク10では、前記通気部の左右両側には、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材40を着脱自在に収容可能なポケット部21を設けている。かかるポケット部21は、マスクの本体部20の内側又は外側に、任意の形状の布帛の縁部を縫い付けることで形成することができ、その際に、何れかの縁部を縫合しない事により、前記調温部材40を抜き差しする為の挿入部とすることができる。またマスクの本体部20が2枚以上の布帛を重ね合わせて形成されている場合には、重ね合わせた布帛の間をポケット部21とすることができる。この場合、前記調温部材40を所定の位置に保持する為に、当該ポケット部21となる領域の縁部分は、重ね合わせた布帛同士を接合または縫合しておくことが望ましい。そして本体部20を構成する布帛同士の間に形成したポケット部21にも、前記調温部を出し入れする為の挿入部を形成しておくことが望ましい。かかる挿入部を設けることにより、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材40は、ポケット部21内に着脱自在に収容することが可能となる。
【0032】
上記ポケット部21は、本実施の形態では、前記通気部を形成したマスク10の左右中央部分を避けて、マスク10正面視の左右方向にずらしている。この為、着用者においては当該ポケット部21、更には当該ポケット部21に挿入した調温部材40によって呼吸が制限されることはない。なお、当該ポケット部21は、その縁部22を前記マスクの本体部20の内面又は外面に熱溶着又は接着剤によって一体化することも当然可能である。更に前記調温部材40は、必ずしもポケット部21内に挿入する必要はなく、マスクの本体部20に対して面ファスナー等によって着脱自在に取り付けることもできる。この場合、少なくとも調温部材40におけるマスクの本体部20に対向する面には、マスクの本体部20に対して接合可能な面ファスナー(又はフック部)を形成することが望ましい。
【0033】
前記ポケット部21に装着する調温部材40は、冷却材及び/又は加温材を用いて形成することができ、外気温に応じて冷却材又は加温材の何れを装着するかを自在に選択できることも望ましい。冷却材としては、冷却ゲルや保冷剤を利用して形成する他、氷や吸水させた布帛などを使用することもできる。冷却ゲルや保冷剤を用いた場合には、冷却効果を長時間持続することができ、氷を用いた場合には外出先においても容易に入手することができる。そして吸水させた布帛を用いた場合には、その交換を容易に行うことができ、気化熱による冷却を行うことができる。特に、氷や吸水させた布帛を冷却材として使用する場合には、着用者の表皮が濡れることが無い様に、ポケット内(少なくとも着用者に接する面)は防水加工しておくことが望ましい。
【0034】
また調温部材40として加温材を使用する場合には、鉄粉、水、バーミキュライト、活性炭、食塩等を袋内に収容し、鉄の酸化熱によって加温するように構成することができる。更に当該加温材としては保温材を加熱したものを使用する他、加熱した液体を容器内に充填したものなどを使用することもできる。
【0035】
以上のように形成したマスク10は、図2に示す様に装着した状態において、前記調温部材40が着用者の頬に接し、これによって当該頬部を冷却又は加温することができる。よって着用者においては夏季等の外気温が高い場合には、調温部材40として冷却材を使用する事で、頬部を冷やしてマスク10の装着感(快適性)を向上させることができ、また冬季等の外気温が低い場合には、調温部材40として加温材を使用する事で、頬部を温めてマスク10の装着感(快適性)を向上させることができる。更に、当該調温部材40は呼吸によってマスク10内に取り込まれる外気温との差によって、温度の境界面に水滴を析出することもできることから、呼吸における吸気の感想を阻止することもできる。
【0036】
なお本実施の形態において、前記調温部材40は左右のポケット部21の何れか一方にだけ挿入して使用することもできる。例えば口内炎や虫歯などによって何れかの頬部が腫れて熱を持っている場合に、その熱を吸収する為に何れか一方に冷却材を設置することもできる。
【0037】
図3は第2の実施の形態に係るマスク10を示す正面図である。この実施の形態に示すマスク10は、特に着用者の鼻孔又は鼻下と対向する領域に、前記調温部材40を設けたマスク10として形成している。即ち、着用者の鼻孔又は鼻下と対向する領域に前記ポケット部21を形成している。特に本実施の形態では当該ポケット部21を横長の矩形として形成しており、これによって可能な限り大きな調温部材40を設置できるように形成している。即ち、より長い時間、冷却又は加温の効果を持続できるように構成している。
【0038】
特に、この第2の実施の形態に示す様に、横長の調温部材40を使用する場合には、マスクの本体部20に、湾曲形状に展開させるための折り曲げ加工したプリーツ部を設けたマスク10において好適に実施することができる。その際、当該調温部材40は折り曲げ加工したプリーツ部に収まる大きさに形成することが望ましい。また、当該調温部材40を、マスク10本体部20の幅方向中央部で突き合わせるように左右に2つ設けた場合には、鼻筋に沿って屈曲することができ、装着する顔面に沿う事のできるマスク10が実現する。即ち、当該調温部材40を、マスクの本体部20の成形のための部材として使用したマスク10とすることができる。
【0039】
この第2の実施の形態に係るマスク10によれば、着用者の呼吸に際してマスク10本体部20を通過した空気は、当該調温部材40によって冷却又は加温され、これを吸気することができる。その結果、着用者は暑い時には冷気を、寒い時には暖気を吸気することができ、マスク10装着時の快適性を向上させることができる。また鼻孔や口から排出された呼気が当該調温部材40に接することによりその温度が調整され、温度が調整された呼気をマスク10の内側に放出することができる為、マスク10装着時の快適性を一層向上させることができる。即ち、前記第1の実施の形態及びこの第2の実施の形態に係るマスク10においては、呼吸を確保する為に空気が通過するマスク10に対して、冷却材及び/又は加温材からなる調温部材40を設ける事で、呼吸する空気を冷却又は加温することができるものであり、これはマスク10ならでは享受できる作用効果となっている。
【0040】
図4は第3の実施の形態に係るマスク10を示す正面図である。この第3の実施の形態に係るマスク10では、更に顎部にも調温部材40を設置したマスク10としている。即ち、この実施の形態に係るマスク10では、呼吸に際しての通気に影響を及ぼさないか、影響が少ない領域に対して調温部材40を設ける事で、当該調温部材40が着用者に接することによる冷却や加温、及び呼吸に際しての空気の冷却や加温の効果を一層高める事のできるマスク10が実現する。よって、当該調温部材40はマスクの本体部20に対して、任意の領域に複数設けることができる。
【0041】
そして図5は第4の実施の形態に係るマスク10を示す分解斜視図である。この実施の形態に係るマスク10では、特にマスク10の本質的な機能である通気性の確保を向上させたマスク10として具体化している。即ち、この実施の形態に係るマスク10では、マスクの本体部20に設置する調温部材自体にも通気性を確保する為の開口部(即ち、通気孔41)を設けている。具体的には、図5(A)に示す様に、袋などの容器内に冷却剤や加温剤を充填したシート状の調温部材40に対して、その厚さ方向に貫通する複数の通気孔41を設けて、通気性を改善した調温部材40としている。また図5(B)に示す様に、袋などの容器内に冷却剤や加温剤を充填したシート状の調温部材40に対して、縁部同士を連架するように貼り合わせ部42を形成すると共に、当該貼り合わせ部内にスリット状の通気孔43を形成して、通気性を改善した調温部材40としている。
【0042】
そして上記の様に通気性を改善した調温部材40は、マスクの本体部20に形成したポケット部21内に挿入することで、マスク10全体における通気性を改善することができ、調温部材40を設置したとしても、これを設置しないマスク10と同様に呼吸を確保することができる。なお、この図5に示した調温部材40の通気孔は一例であって、その他の大きさや形状の通気孔を形成しても良いことは勿論である。例えば、マスクの本体部20において、呼吸時の通気に貢献する領域と対向する領域には、通気孔の総開口面積を大きくし、呼吸時の通気に貢献しない領域と対向する領域には、通気孔の総開口面積を小さくすることができる。即ち、着用者の鼻孔や口及びその周囲等の呼吸時の通気領域においては通気孔の総開口面積を大きくし、頬部や顎部などの呼吸時の非通気領域では総開口面積を小さくした調温部材40を使用したマスク10とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のマスクは、ウイルス対策、花粉症対策、風邪対策、防塵、防寒対策等で使用される産業用、医療用、家庭用等のマスクにおいて、装着時の快適性を向上させるために利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 マスク
10 衛生マスク
20 本体部
20 マスクの本体部
21 ポケット部
30 装着部
40 調温部材
41,43 通気孔
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2020年12月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、
前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部と、冷却材からなる調温部材を着脱自在に収容可能なポケット部とを備え
前記ポケット部における着用者側に存在する領域には防水加工が施されており、着用者側の反対側に存在する領域は通気性を確保して形成されていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記ポケット部は、着用時において、着用者の頬部と対向する領域にのみ設けられる、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記通気部は、前記本体部の左右中央部分に設けられており、前記ポケット部は当該通気部の左右両側に設けられている、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記調温部材は、冷却剤を袋体内に収容してなるシート状であって、厚さ方向に貫通する通気孔が1又は2以上形成されており、当該通気孔は呼吸時の通気に貢献する領域と対向する領域の総開口面積を大きくし、呼吸時の通気に貢献しない領域と対向する領域の総開口面積を小さくしている、請求項1〜3の何れか一項に記載のマスク。
【請求項5】
前記ポケット部は、前記本体部の上下方向に2以上設けている、請求項1〜4の何れか一項に記載のマスク。
【手続補正書】
【提出日】2021年5月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着用者の口及び鼻孔を覆う本体部と、当該本体部を着用者に取り付ける装着部とからなるマスクであって、
前記本体部には、着用者の呼気の通気を確保する通気部と、冷却材からなる調温部材を着脱自在に収容可能なポケット部とを備え、
当該ポケット部は前記通気部の左右両側に設けられると共に、当該ポケット部における着用者側に存在する領域には防水加工が施されており、着用者側の反対側に存在する領域は通気性を確保して形成されていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記ポケット部は、着用時において、着用者の頬部と対向する領域にのみ設けられる、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記通気部は、前記本体部の左右中央部分に設けられており、前記ポケット部は当該通気部の左右両側に設けられている、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記調温部材は、冷却を袋体内に収容してなるシート状であって、厚さ方向に貫通する通気孔が1又は2以上形成されており、当該通気孔は呼吸時の通気に貢献する領域と対向する領域の総開口面積を大きくし、呼吸時の通気に貢献しない領域と対向する領域の総開口面積を小さくしている、請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記ポケット部は、前記本体部の上下方向に2以上設けている、請求項1〜4の何れか一項に記載のマスク。