【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下部が開放された状態で顔面の鼻腔および口腔を覆う下部開放型フェイスシールドであって、
前記鼻腔および口腔を覆うためのシールド部材と、
前記シールド部材に取り付けられ、後頭部側が非連結の形状となっており、前記顔面のほぼ頬骨あたりの高さに装着されたときに該顔面または装着された眼鏡を両側から挟み込む弾性力によって、該シールド部材を前記鼻腔および口腔の前面に所定の距離だけ離した状態で保持するための保持部材を備える下部開放型フェイスシールドと構成することができる。
【0007】
本発明によれば、保持部材の弾性力によって下部開放型フェイスシールドを顔面に保持することができる。保持部材は、例えばU字型の平面形状など、後頭部側が非連結の形状となっているため、下部開放型フェイスシールドは顔面の前方から脱着可能である。つまり、ユーザは、シールド部材の外面をつかむように把持し、脱着することができる。従って、本発明によれば、脱着を容易にするとともに、その際における感染の危険を抑制することができる。
また、本発明は、頬骨あたりで下部開放型フェイスシールドを保持するため、眼鏡を掛けながらでも支障なく使用することができる利点がある。
【0008】
本発明において保持部材は、顔面を挟み込むものとしてもよいし、眼鏡を挟み込むものとしてもよい。また、顔面または眼鏡に接触する部分と、弾性力を付与する部分とは同一部材であっても異なる部材であってもよい。例えば、顔面等に接触する部分として、シールドに貼付されたパッドを設けるとともに、弾性力を付与する部分として、パッドとは別に、金属製のバネやゴムなどの弾性体を用いても良い。
保持部材の長さは、例えば、耳の前辺りまでで留めてもよい。こうすれば、脱着が一層、容易になる。この態様では、眼鏡を装着しながら下部開放型フィエスシールドを装着することが可能となる利点もある。
また、眼鏡のように耳に掛けられる程度の長さとしてもよい。こうすれば、弾性力だけでなく、耳に掛けることで、より安定して保持することができる。同時に、保持するための弾性力を小さくすることもできるため、圧迫感、違和感ないし長時間装着したときの痛みなどを軽減することもできる。
さらに、保持部材は、耳の外側を挟みながら、または耳の外側を迂回しながら、耳の後方程度まで伸ばしてもよい。こうすることにより、長時間安定して保持することが可能となる。この態様では、耳に掛けることを回避するため、眼鏡を装着しながら下部開放型フィエスシールドを装着することが可能となる利点もある。
【0009】
シールド部材と保持部材とは、部分的に結合されていてもよいし、保持部材の全体にわたって結合されていてもよい。
本発明において、シールド部材は、鼻腔および口腔を覆うものであれば、種々の形状とすることができる。シールド部材は、鼻腔および口腔を含む顔の下半分を覆うものとしてもよいし、眼も含む顔全体を覆うものとしてもよい。感染予防の効果を高めるためには、鼻腔および口腔をできる限り下方まで覆うことができる形状とすることが好ましい。
また、シールド部材は、樹脂、金属、紙など種々の材質を用いることができる。必ずしも透明である必要はない。また、少なくとも鼻腔、口腔を覆った状態で形状が維持できる程度の剛性を有することが好ましい。
【0010】
本発明においては、
さらに、前記シールド部材が落下しないよう鼻部で支えるための鼻当て部を備えるものとしてもよい。
【0011】
こうすることにより、安定して下部開放型フェイスシールドを装着することが可能となる。鼻当て部は、例えば、眼鏡の鼻パッドのように、保持部材とは別の部材としてもよい。鼻当て部は、シールド部材に取り付けても良いし、保持部材に取り付けてもよい。
【0012】
本発明において、
前記保持部材は、顔面に装着された眼鏡の弦を外側から挟み込む眼鏡パッドを有し、
前記眼鏡パッドは、眼鏡の弦を保持するための溝であって、深さ方向に幅が狭くなるテーパ溝を有するものとしてもよい。
【0013】
上記態様によれば、眼鏡パッドに形成されたテーパ溝で、眼鏡の弦を安定して保持することができる。また、テーパ溝によって、溝の幅が変化しているため、種々の太さの弦に対応することが可能となる。
眼鏡パッドは、種々の長さで形成することができるが、長手方向、即ち弦に沿う方向に十分長くしておくことが好ましい。こうすることにより、シールド部材の上下方向のがたつきを抑制することができる。
【0014】
眼鏡パッドを有しない場合も含めて、本発明においては、
前記保持部材と、前記鼻当て部とは、一体化されているものとしてもよい。
【0015】
こうすることにより、保持部材および鼻当て部の構造を簡略化することができる。上記態様としては、例えば、保持部材の一部に鼻に当たる凹部を設けるものとしてもよい。また、保持部材の一部に、鼻当て用のパッドに相当する部分を設けてもよい。
【0016】
本発明においては、
前記保持部材は、前記顔面の口腔幅よりも広い範囲で前記シールド部材の内面と密着されているものとしてもよい。
【0017】
こうすることにより、保持部材がシールド部材の内面に沿って呼気の流れを阻害する壁を形成し、呼気が保持部材よりも上部に流れてくることを抑制できる。従って、眼鏡を装着していても、呼気によって眼鏡が曇ることを抑制できる。かかる効果が十分に得られるよう、保持部材は、シールド部材の法線方向に、十分大きい寸法を有することが好ましい。
【0018】
上記態様においては、
前記保持部材は、さらに、装着時に前記顔面にフィットする形状となっているものとしてもよい。
【0019】
こうすれば、保持部材による壁でシールド部材の内面と顔面との隙間を塞ぐようにできるため、呼気の上部への流れを、一層、防ぐことが可能となる。
【0020】
保持部材が呼気の流れを訴外する壁となる態様においては、
前記保持部材は、下面が中央から前記シールド部材端部に至るまで連続した溝となっているものとしてもよい。
【0021】
こうすることにより、保持部材の下面の溝が、呼気を受ける作用を奏し、保持部材と顔面との隙間からの呼気の漏れを一層、防ぐことが可能となる。また、この溝はシールド部材の端面まで連続して形成されているため、呼気を左右に流し、シールド部材外に排出することを促進できる。
上記態様において、溝は種々の形状をとることができるが、円弧状とすることが呼気の流れの円滑化を図る観点から好ましい。
上記態様では、保持部材下面とシールド部材で形成される溝が、鼻に近い中央部で低く、両側ほど高くなるよう傾斜させてもよい。こうすることで、呼気が鼻の辺りに停留することを抑制するとともに、顔の両側に流す作用が生じ、一層、呼気の漏れを抑制することができる。
【0022】
本発明においては、
前記シールド部材は、前記頬骨よりも低い部分のみを覆う形状であり、
前記保持部材は、前記顔面の左右で、前記シールド部材を上下に回転可能に保持する回転機構を有するものとしてもよい。
【0023】
こうすれば、シールド部材を回転させることで、口腔を露出させることができる。従って、下側開放型フェイスシールドを装着したまま、飲食等を行うことが可能となり、下側開放型フェイスシールドを外してテーブルなどに置くことによる感染の危険を回避することが可能となる。
上記態様では、保持部材とシールド部材との間に隙間が生じても差し支えないが、両者を密着させられればより好ましい。例えば、保持部材を弾性材料で若干、大きめに形成することで、鼻腔および口腔を覆う位置にシールド部材をおろしたときに、弾性力で保持部材がシールド部材の内面に密着させることができる。
【0024】
本発明において、
前記保持部材は、発泡ウレタンまたはシリコン樹脂で形成されているものとしてもよい。
【0025】
こうすれば、比較的、弾性に富み、軽量に保持部材を形成することができる。これに限らず、種々の材料を用いることができる。
【0026】
本発明は、上述した種々の特徴を必ずしも全てを備えている必要はなく、その一部を適宜省略したり、組み合わせたりしてもよい。