特開2021-179042(P2021-179042A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-179042(P2021-179042A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20211022BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20211022BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 C
   A41D13/11 D
   G02C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-85103(P2020-85103)
(22)【出願日】2020年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】513121339
【氏名又は名称】株式会社M.A.P
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下り藤 智彦
【テーマコード(参考)】
2E185
2H006
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC36
2H006CA00
(57)【要約】
【課題】眼鏡の使用者が、眼鏡と同時に好適に使用できるマスクを提供する。
【解決手段】本発明のマスク1は、使用者の口および鼻を覆うシート状の本体部10と、本体部10の左側端部と右側端部にそれぞれ配置されて耳に係止する耳掛穴12が開口している耳掛部とを備えている。本発明のマスク1は、耳掛部11の前方上部に、眼鏡のテンプルを通過させる眼鏡通し穴13が配置されている。眼鏡通し穴13は長さが8mm以上20mm以下であり、且つ眼鏡通し穴13の後方端部から耳掛穴12の頂上部までの距離が10mm以上30mm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口および鼻を覆うシート状の本体部と、前記本体部の左側端部および右側端部に配置されており耳に係止する耳掛穴が開口している耳掛部と、を備えているマスクであって、
前記耳掛部が、前記本体部に近接する上方の位置に、眼鏡のテンプルを通過させる眼鏡通し穴を有しており、
前記眼鏡通し穴は、長さが8mm以上20mm以下であり、且つ前記眼鏡通し穴の後方端部から前記耳掛穴の頂上部までの距離が10mm以上30mm以下であることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記眼鏡通し穴の形状が、平行四辺形、円形、または楕円形から選択されるいずれかの形状を有していることを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記本体部と前記耳掛部とが、樹脂製のシートによって一体で形成されており、
前記耳掛部の上辺と前記眼鏡通し穴の周縁部との距離が5mm以上であり、且つ前記耳掛穴の周縁部と前記眼鏡通し穴の周縁部との距離が5mm以上であることを特徴とする請求項1または2記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔に装着して鼻および口の周辺を覆うマスクに関する。特に、眼鏡を使用する者が好適に使用可能なマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクとして、長方形のガーゼや布からなる本体部と、本体部の左右両側に配置されたゴム紐の耳掛部とで構成されたマスクが知られている。また近年では、折りたたんだ状態では平坦なシート状となり、ひろげると外側に膨らんだ形状となる立体マスクが知られている。このような立体マスクでは、耳掛部と本体部とが同一の素材で一体的に形成されていることが多い。
【0003】
眼鏡の使用者が従来のマスクを着用する場合、使用者の耳に、眼鏡のテンプル(つる)とマスクの耳掛部の両方が接触して干渉することになる。たとえば視力矯正用の眼鏡では、テンプルの形状を使用者の頭部の形状に合わせて正確に調整していることが多く、耳とテンプルの間にマスクが挟まることは、使用者に違和感を与える原因となる。一方で、マスクは使用者の鼻と口の周囲を隙間なく覆うことが好ましいが、眼鏡の外側からマスクをかけると、顔とマスクの間に隙間があき、また、眼鏡が曇る一因となる。
【0004】
特許文献1には、マスクの耳掛部の端部に係止部材を配置して中空孔を形成し、中空孔に眼鏡のテンプルを挿通させて、本来は耳で指示するマスクを眼鏡で支持する技術が開示されている。また、特許文献2には、眼鏡のテンプルに装着してマスクの紐を係止させる紐用ガードが開示されている。
【0005】
しかしながら、眼鏡のテンプルにマスクを取り付けた場合、眼鏡とマスクの一方を動かしたときに、もう一方がずれてしまう可能性がある。また、マスクを眼鏡に支持させることで、使用者に眼鏡を重く感じさせ、眼鏡とマスクが干渉することとは別の違和感を感じさせる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第31365870号公報
【特許文献2】特開2014−197177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の課題に鑑みてなされたものであり、眼鏡の使用者であっても、違和感なく好適に使用できるマスクの提供を、解決すべき課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマスクは、使用者の口および鼻を覆うシート状の本体部と、本体部の左側端部と右側端部にそれぞれ配置されており耳に係止する耳掛穴が開口している耳掛部とを備えている。本発明のマスクは、耳掛部が、本体部に近接する上方の位置に、眼鏡のテンプルを通過させる眼鏡通し穴を有している。眼鏡通し穴は長さが8mm以上20mm以下であり、且つ眼鏡通し穴の後方端部から耳掛穴の頂上部までの距離が10mm以上30mm以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明のマスクは、眼鏡通し穴の形状が、平行四辺形、円形、または楕円形から選択されるいずれかの形状を有していることが好ましい。
【0010】
本発明のマスクは、本体部と耳掛部とが、樹脂製のシートによって一体で形成されており、耳掛部の上辺から眼鏡通し穴の周縁部との距離が5mm以上であり、且つ耳掛穴の周縁部と眼鏡通し穴の下端部までの距離が5mm以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマスクは、眼鏡通し穴に眼鏡のテンプルを通過させて使用することができる。眼鏡使用者は、本発明のマスクを使用することで、鼻と口の周囲ではマスクを眼鏡から離れた状態で装着することができる。同時に、眼鏡には干渉しない好みの位置にマスクの耳掛部を配置することができる。
【0012】
眼鏡通し穴の位置と形状が最適化されていることで、使用者は、顔の大きさや眼鏡のテンプルの形状にかかわらず、マスクと眼鏡の両方を同時に、快適に使用することができる。本発明のマスクは、従来技術のように追加の部品を用いることがないため従来よりも安価に提供することができる。さらに、眼鏡を使用しない者であっても、快適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態のマスクの斜視図である。
図2図2は、実施形態のマスクを開いたときの正面図である。
図3図3は、実施形態のマスクを畳んだときの左側面図である。
図4図4は、実施形態のマスクの眼鏡通し穴周辺の拡大図である。
図5図5は、眼鏡使用者が実施形態のマスクを装着した状態を示す図である。
図6図6(a)〜(c)は、眼鏡通し穴の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のマスクの最も好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に好適な実施形態のマスクの斜視図を示し、図2にマスクの開いたときの正面図を示し、図3にマスクを畳んだときの左側面図を示す。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲において、「上下」、「左右」、「前後」と記載した場合の方向は、マスクを装着して直立した状態の使用者が認識する上下方向、左右方向、および前後方向に対応している。
【0016】
本実施形態のマスク1は、使用者の口および鼻を覆うシート状の本体部10と、本体部の左側端部と右側端部にそれぞれ配置されている耳掛部11を備えている。耳掛部11には、耳に係止する耳掛穴12が開口している。耳掛部11には、眼鏡20のテンプル21を通過させるための、眼鏡通し穴13が開口している。
【0017】
本実施形態のマスク1は、右側シート2と左側シート3とを、接合線4の位置で接合して形成されている。右側シート2と左側シート3は、溶着、接着、縫合などの方法によって接合されており、その結果、マスク1は、接合線4を中心線とする線対称の形状を有している。
【0018】
マスク1は、通気性があり、且つ伸縮性のある材料で形成される。マスク1の最も好適な材料は合成樹脂であり、特に、ポリエステル、ポリウレタンが好適に用いられる。マスク1に合成樹脂を適用する場合には、厚さ0.2mm〜2.0mmに成形した樹脂シートが好適に用いられる。マスク1の材料としては、天然繊維などのその他の素材や、不織布を適用することも可能である。
【0019】
従来から顔の様々な寸法を基準にしてマスクのサイズを決定する方法が開示されている。例えば「耳の付け根の一番高いところから、鼻の付け根から1cm下」までの長さを基準として「子供用サイズ」、「小さめサイズ」、「普通サイズ」、「大きめサイズ」のマスクの大きさを定めた方法が知られている(一般社団法人 日本衛生材料工業連合会のウェブサイト「http://www.jhpia.or.jp/」)。本発明のマスク1の本体部10は、これらの基準に準拠して様々な大きさに形成することができる。
【0020】
マスク1の本体部10の形状について説明する。図3に、畳んだ状態のマスク1の左側面図を示す。本体部10の中央の接合線4は、鼻梁に沿うように、外側に凸となる曲線形状を有している。本体部10の上側の周縁部の形状は、接合線4側では鼻根の周囲に沿うように下に凸の曲線となっており、左右の端部に近づくにつれて曲率が大きくなり、耳側の終端部でほぼ直線上となっている。本体部10の下側の周縁部の形状は、使用者の顎の線に沿うように、直線または緩やかな曲線状である。この結果、本体部10は、接合線4の位置で上下方向に最も長く、左右の端部に近づくにつれて短くなっている。折り畳んだときの右側シート2および左側シート3の本体部の形状は、略扇型となる。
【0021】
マスク1の耳掛部11の形状について説明する。図1図3に示すように、耳掛部11は、本体部10の左右の端部にそれぞれ配置されており、ほぼ中央に、耳に係止するための耳掛穴12が開口している。耳掛穴12の形状は、耳の付け根に接触する上側と後方の形状が円形であることが好ましい。本実施形態では、全体が略楕円形(卵形)で、前方下端部の角が鋭角に形成された耳掛穴12を示している。しかしながら、耳掛穴12の前方下端部の形状は任意に変更することができる。耳掛部11は、耳掛穴12の後方では、ほぼ一定幅の紐状に形成されている。
【0022】
一枚の樹脂シートから右側シート2と左側シート3を切り出すことによって、本体部10と耳掛部11とを一体で形成することができる。この場合、本体部10と耳掛部11は境界がない状態で結合している。本明細書では、一体に成形された右側シート2と左側シート3について、口と鼻を覆って閉空間を形成する部分を本体部10とする。そして、この本体部10の左側端部と右側端部にそれぞれ連なっており、耳掛穴12と以下に説明する眼鏡通し穴13が開口している部分を耳掛部11と規定する。
【0023】
眼鏡通し穴13の好適な形状について説明する。図4に、左側シート3の眼鏡通し穴13周辺の拡大図を示す。眼鏡通し穴13は、耳掛部11の中の、本体部に近接する上方の位置に配置されている。本実施形態における眼鏡通し穴13は、一辺が5〜10mmの平行四辺形の貫通穴として形成されている。一例として、眼鏡通し穴の長さは、8mm以上20mm以下とすることができる。
【0024】
ここでいう「眼鏡通し穴の長さ」とは眼鏡通し穴13の周縁部の中で互いに対して最も遠い位置にある2点間の距離のことを指しており、本実施形態では、平行四辺形の二本の対角線のうち長い方の長さを指す。
【0025】
眼鏡通し穴13の長さが8mm以上であることで、使用者は、様々な種類の眼鏡のテンプルを眼鏡通し穴13に通すことができ、またマスク装着時には眼鏡に対してマスクをスライドさせて位置の調整を行うことができる。同時に、眼鏡通し穴13の長さが20mm以下であることで、眼鏡通し穴13が開きすぎてマスク1が大きく変形したりよじれたりする可能性が低くなっている。
【0026】
眼鏡通し穴13の好適な位置について説明する。本実施形態のマスク1において、眼鏡通し穴13は、後方端部である頂点13aから耳掛穴の頂上部12aまでの距離L1を5mm以上50mm以下とすることができる。より好ましくは、後方端部である頂点13aから耳掛穴の頂上部12aまでの距離L1を10mm以上30mm以下とすることができる。また、耳掛部11の上辺15と眼鏡通し穴13の周縁部との距離L2が5mm以上であり、且つ耳掛穴12の周縁部16と眼鏡通し穴13の周縁部との距離L3が5mm以上となっている。
【0027】
図5に、眼鏡使用者が実施形態のマスク1と眼鏡20を装着した状態を示す。本実施形態のマスク1の好ましい装着手順は、以下の通りである。使用者は、眼鏡20とマスク1を装着する前に、眼鏡20のテンプル21を、眼鏡通し穴13に対して前方外側から後方内側に挿通して、眼鏡20にマスク1を取り付ける。その後に、使用者は、眼鏡20のテンプル21を耳の付け根の頂上部にかけることで、眼鏡20を装着する。そして、眼鏡20を装着した後に、マスク1の耳掛部11の耳掛穴12を、眼鏡20の外側から、耳に係止してマスク1を装着する。多くの場合、耳掛穴12の頂上部12aは、耳の付け根の頂上部付近に配置される。このとき、眼鏡通し穴13によってマスク1と交差したテンプル21は、マスク1の耳掛部11と干渉することなく、耳掛部11の内側で耳に係止される。一方で、マスク1の本体部10は眼鏡20よりも下側に配置される。
【0028】
マスク1は、眼鏡通し穴13の頂点13aから耳掛穴の頂上部12aまでの距離L1が最適な距離である10mm以上30mm以下である場合、耳掛部11が係止されている耳の付け根の頂上部から眼鏡20とマスク1の交差位置までの距離は、10mm以上30mm以下の範囲に規定される。この距離は、耳掛部11がテンプル21の外側を通過してテンプル21と耳の間に挟まることなく耳に係止するための最適な距離であり、同時に、マスク1の本体部10が、眼鏡20よりも下側に配置されて鼻と口を好適に覆い、気密性を保つための最適な距離である。
【0029】
また、耳掛部11の上辺15と眼鏡通し穴13の周縁部との距離L2が5mm以上であり、且つ耳掛穴12の周縁部16と眼鏡通し穴13の周縁部との距離L3が5mm以上となっている場合、眼鏡通し穴13は、少なくとも幅5mmの耳掛部11によって、周囲を取り囲まれることになる。5mm以上の幅を確保していることで、マスク1を繰り返し着脱し、複数回使用した場合であっても、必要な強度が確保される。
【0030】
図6に、眼鏡通し孔の変形例を示す。図6(a)の眼鏡通し穴は、円形である。図6(b)の眼鏡通し穴は、楕円形である。図6(c)の眼鏡通し穴は、長方形である。その他、眼鏡通し穴の形状を、スリット状や菱形にすることができる。
【0031】
図6に示した眼鏡通し穴は、眼鏡通し穴の配置の条件を満たすことによって、眼鏡を使用する者が好適に使用可能であり、耳に違和感を与えずに眼鏡とマスクを同時に使用することができる。
【0032】
以上、好適なマスクの実施形態を説明したが、ここで示したマスク各部の寸法や形状は例示を目的としたものであり、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。特許請求の範囲には、実施形態の様々を変形し、応用したマスクが含まれる。たとえば、眼鏡通し穴の形状は、菱形やスリット状であっても良い。また、マスクの本体部と耳掛部は別々の部品として成形し、接着、溶着、縫合によって結合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のマスクは、「家庭用マスク」として子供から大人まで、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 マスク
2 右側シート
3 左側シート
4 接合線
10 本体部
11 耳掛部
12 耳掛穴
12a 耳掛穴の頂上部
13 眼鏡通し穴
13a 眼鏡通し穴の後方端部
20 眼鏡
21 テンプル
L1 眼鏡通し穴の後方端部の頂点と耳掛穴の頂上部との距離
L2 耳掛部の上辺と眼鏡通し穴の周縁部との距離
L3 耳掛穴の周縁部と眼鏡通し穴の周縁部との距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6