【解決手段】車両1は、排気浄化装置32が設けられる排気流路30と、排気流路30と接続されるエンジン10と、エンジン10の各気筒11に設けられ、気筒11内へ燃料を噴射する燃料噴射弁12と、メイン噴射後の燃料噴射であるポスト噴射をメイン噴射に加えて燃料噴射弁12に行わせるポスト噴射制御を実行可能な制御装置40と、を備え、制御装置40は、燃料噴射弁12の各々によるポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量を、全ての気筒で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも多い燃料噴射量に決定する噴射量決定部と、全ての気筒で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりもポスト噴射の回数が少なくなるように、ポスト噴射制御を実行する噴射弁制御部と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
<車両の構成>
図1および
図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の構成について説明する。
【0015】
図1は、車両1の概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように、車両1は、エンジン10と、吸気流路20と、排気流路30と、制御装置40とを備える。
【0016】
エンジン10は、火花点火式の内燃機関(つまり、ガソリンエンジン)である。エンジン10は、複数の気筒11を有する。具体的には、エンジン10は、気筒11−1、気筒11−2、気筒11−3および気筒11−4の4つの気筒11を有する水平対向型のエンジンである。エンジン10における車両左右方向の一側のバンクに、気筒11−1および気筒11−3が形成され、エンジン10における車両左右方向の他側のバンクに、気筒11−2および気筒11−4が形成されている。エンジン10では、気筒11−1、気筒11−3、気筒11−2、気筒11−4の順に点火が行われる。
【0017】
各気筒11には、気筒11内へ燃料を噴射する燃料噴射弁12が設けられている。具体的には、気筒11−1、気筒11−2、気筒11−3および気筒11−4に、それぞれ燃料噴射弁12−1、燃料噴射弁12−2、燃料噴射弁12−3および燃料噴射弁12−4が設けられている。気筒11内にはピストン(図示省略)が摺動可能に設けられており、ピストンによって燃焼室が形成されている。燃料噴射弁12から噴射される燃料によって、空気および燃料を含む混合気が燃焼室内に形成され、点火プラグ(図示省略)の点火によって、当該混合気が燃焼する。それにより、ピストンが直線往復運動を行い、ピストンと接続されているクランクシャフト(図示省略)へ動力が伝達される。
【0018】
吸気流路20は、各気筒11に供給される空気が流通する流路であり、車両1の外部から外気が取り込まれる吸気口と、エンジン10とを接続する。吸気流路20における下流側には、インテークマニホールド21が設けられる。インテークマニホールド21は、各気筒11に向けて分岐し、各気筒11と接続される。具体的には、インテークマニホールド21は、各気筒11の吸気ポートとそれぞれ接続される複数の吸気管21aと、複数の吸気管21aが連通される集合部21bとを有する。吸気口から取り込まれた外気は、インテークマニホールド21の集合部21bに送られた後に、各吸気管21aを通って各気筒11に供給される。
【0019】
排気流路30は、各気筒11から排出される排気が流通する流路であり、車両1の外部へ排気が排出される排気口と、エンジン10とを接続する。排気流路30における上流側には、エキゾーストマニホールド31が設けられる。エキゾーストマニホールド31は、各気筒11に向けて分岐し、各気筒11と接続される。具体的には、エキゾーストマニホールド31は、各気筒11の排気ポートとそれぞれ接続される複数の排気管31aと、複数の排気管31aが連通される集合部31bとを有する。
【0020】
排気流路30におけるエキゾーストマニホールド31より下流側には、排気浄化装置32が設けられる。排気浄化装置32は、三元触媒32aと、三元触媒32aより下流側に設けられるNOx吸蔵触媒32bとを含む。各気筒11から排出された排気は、エキゾーストマニホールド31の各排気管31aを通って集合部31bで集合した後に、三元触媒32aおよびNOx吸蔵触媒32bを順に通過し、排気口から車両1の外部へ排出される。
【0021】
三元触媒32aは、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)が担持された担体を含む。三元触媒32aは、排気中の炭化水素(HC)の酸化、一酸化炭素(CO)の酸化、および、NOxの還元を行い、排気中のこれらの有害成分を無害な水蒸気(H
2O)、二酸化炭素(CO
2)、および、窒素(N
2)に浄化する。
【0022】
NOx吸蔵触媒32bは、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、バリウム(Ba)、カリウム(K)が担持された担体を含む。NOx吸蔵触媒32bは、排気中のNOxを吸蔵可能な触媒である。ここで、三元触媒32a内の雰囲気がリーン雰囲気(つまり、理論空燃比より大きい空燃比の雰囲気)となる場合、排気中のNOxの多くが、三元触媒32aで浄化されずにNOx吸蔵触媒32bに到達する。排気浄化装置32では、上記のように浄化されずに三元触媒32aを通過したNOxが、NOx吸蔵触媒32bによって吸蔵される。
【0023】
制御装置40は、エンジン10の動作を制御する。特に、制御装置40は、エンジン10に設けられる燃料噴射弁12の動作を制御する。なお、制御装置40とエンジン10の各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0024】
制御装置40は、例えば、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0025】
なお、本実施形態に係る制御装置40が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。制御装置40が有する機能が複数の制御装置により分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
【0026】
図2は、制御装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御装置40は、例えば、判定部41と、制御部42とを有する。
【0027】
判定部41は、各種判定を行い、判定結果を制御部42に出力する。判定部41による判定結果に応じて、制御部42による処理が行われる。
【0028】
制御部42は、燃料噴射弁12の燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量を制御する。例えば、制御部42は、噴射量決定部42aと、噴射弁制御部42bとを含む。
【0029】
噴射量決定部42aは、各燃料噴射弁12による燃料噴射の1回あたりの燃料噴射量を決定する。例えば、噴射量決定部42aは、各燃料噴射弁12によるメイン噴射(つまり、気筒11内での燃焼に用いられる燃料を噴射し、所望のトルクをエンジン10に出力させることを目的とする燃料噴射)の1回あたりの燃料噴射量を、エンジン10の要求トルクに基づいて決定する。
【0030】
噴射弁制御部42bは、燃料噴射弁12が所望の燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量(具体的には、噴射量決定部42aにより決定された燃料噴射量)で燃料噴射を行うように、燃料噴射弁12に対して、燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量の指令信号を出力する。
【0031】
ここで、制御装置40は、燃料噴射弁12による燃料噴射の制御である噴射制御として、通常噴射制御と、ポスト噴射制御とを実行可能である。
【0032】
通常噴射制御は、メイン噴射のみを燃料噴射弁12に行わせる噴射制御である。メイン噴射は、上述したように、気筒11内での燃焼に用いられる燃料を噴射し、所望のトルクをエンジン10に出力させることを目的とする燃料噴射である。メイン噴射は、例えば、吸気行程中に行われる。
【0033】
ポスト噴射制御は、ポスト噴射をメイン噴射に加えて燃料噴射弁12に行わせる噴射制御である。ポスト噴射は、メイン噴射後の燃料噴射であり、NOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復させることを目的とする燃料噴射である。ポスト噴射は、例えば、膨張行程中または排気行程中に行われる。
【0034】
NOx吸蔵触媒32bでは、NOx吸蔵量が時間の経過に伴って増大することに起因して、浄化能力が低下する。ここで、ポスト噴射が行われると、ポスト噴射により噴射された燃料が排気流路30に送られて、NOx吸蔵触媒32b内の雰囲気がリッチ雰囲気になる。そして、NOx吸蔵触媒32bに吸蔵されているNOxが還元されて、NOx吸蔵量が低下する。ゆえに、NOx吸蔵量の増大によって低下したNOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復することができる。
【0035】
また、NOx吸蔵触媒32bには、排気中のNOxに加えてSOxも吸蔵される。NOx吸蔵触媒32bでは、SOx吸蔵量が時間の経過に伴って増大することに起因して、NOx吸蔵触媒32bにおけるNOxを吸蔵可能な領域が減少し、浄化能力が低下する。ここで、ポスト噴射が行われると、ポスト噴射により噴射された燃料が三元触媒32aにおいて燃焼することによって、NOx吸蔵触媒32bが昇温される。また、上述したように、NOx吸蔵触媒32b内の雰囲気がリッチ雰囲気になる。そして、NOx吸蔵触媒32bに吸蔵されているSOxが二酸化硫黄(SO
2)や硫化水素(H
2S)として脱離され、SOx吸蔵量が低下する。ゆえに、SOx吸蔵量の増大によって低下したNOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復することができる。
【0036】
本実施形態に係る制御装置40では、噴射量決定部42aは、燃料噴射弁12の各々によるポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量を、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも多い燃料噴射量に決定する。そして、噴射弁制御部42bは、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりもポスト噴射の回数が少なくなるように、ポスト噴射制御を実行する。これにより、ポスト噴射の燃料噴射量を精度良く制御することが可能となる。なお、制御装置40が行うポスト噴射制御に関する処理の詳細については、後述する。
【0037】
<車両の動作>
続いて、
図3〜
図5を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の動作について説明する。
【0038】
図3は、制御装置40が行うポスト噴射制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図3に示される制御フローは、ポスト噴射制御が実行されていない時(つまり、通常噴射制御の実行中)に開始される。また、
図3に示される制御フローは、終了した後に繰り返し開始される。
【0039】
図3に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS101において、判定部41は、ポスト噴射制御の開始条件が満たされたか否かを判定する。開始条件が満たされたと判定された場合(ステップS101/YES)、ステップS102に進む。一方、開始条件が満たされていないと判定された場合(ステップS101/NO)、
図3に示される制御フローは終了する。
【0040】
ステップS101の判定処理の開始条件は、例えば、ポスト噴射制御が前回実行された時点からの車両1の走行距離が基準距離に達したとの条件である。基準距離は、NOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復させる必要が生じる程度に当該浄化能力が低下しているか否かを適切に判断し得る距離に設定される。また、例えば、開始条件は、ポスト噴射制御が前回実行された時点からの車両1の走行時間が基準時間に達したとの条件であってもよい。基準時間は、NOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復させる必要が生じる程度に当該浄化能力が低下しているか否かを適切に判断し得る時間に設定される。
【0041】
なお、ステップS101の判定処理の開始条件は、NOxの還元によってNOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復させるポスト噴射制御(つまり、NOxパージ)のために設定される開始条件であってもよく、SOxの脱離によってNOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復させるポスト噴射制御(つまり、SOxパージ)のために設定される開始条件であってもよい。
【0042】
ステップS101でYESと判定された場合、ステップS102において、噴射量決定部42aは、各燃料噴射弁12によるポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量を決定する。
【0043】
具体的には、噴射量決定部42aは、単位時間あたりに行われる全てのポスト噴射により噴射される燃料の総量を、ポスト噴射制御においてポスト噴射が単位時間あたりに行われる回数で除算する。そして、噴射量決定部42aは、除算により得られた値を、各燃料噴射弁12によるポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量として決定する。
【0044】
上述したように、本実施形態に係るポスト噴射制御におけるポスト噴射の回数は、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも少ない。ゆえに、噴射量決定部42aは、各燃料噴射弁12によるポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量を、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも多い燃料噴射量に決定する。これにより、ポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量が過度に少なくなることを抑制することができるので、ポスト噴射の燃料噴射量を精度良く制御することができる。つまり、ポスト噴射の燃料噴射量が過度に多くなってしまうこと、または、過度に少なくなってしまうことを抑制することができる。
【0045】
次に、ステップS103において、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御を開始する。
【0046】
上述したように、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、ポスト噴射をメイン噴射に加えて燃料噴射弁12に行わせる。また、噴射弁制御部42bは、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりもポスト噴射の回数が少なくなるように、ポスト噴射制御を実行する。
【0047】
図4を参照して、ポスト噴射制御におけるポスト噴射の実行タイミングの例を説明する。
図4は、ポスト噴射制御における筒内圧の推移の一例を示す模式図である。
【0048】
図4では、燃焼サイクルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8の8つの連続する燃焼サイクルが示されている。各燃焼サイクルでは、各気筒11において、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程の4行程が他の気筒11とずれたタイミングで行われる。
図4に示される例では、各燃焼サイクルにおいて、気筒11−1、気筒11−3、気筒11−2、気筒11−4の順に点火が行われる。ゆえに、
図4に示されるように、気筒11−1内の圧力である筒内圧P1、気筒11−3内の圧力である筒内圧P3、気筒11−2内の圧力である筒内圧P2、気筒11−4内の圧力である筒内圧P4がこの順に上昇する。
【0049】
ここで、ポスト噴射により噴射された燃料の多くは、気筒11から排出される排気とともに排気流路30に送られるが、ポスト噴射により噴射された燃料の一部は、気筒11内に未燃ガスとして残留してしまう。ゆえに、ポスト噴射が行われた気筒11では、ポスト噴射が行われた直後の燃焼により生じるトルクは、直前にポスト噴射が行われない場合よりも大きくなる。よって、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いは、直前にポスト噴射が行われない場合よりも大きくなる。
【0050】
図4に示される例では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、一部の燃焼サイクルでポスト噴射を停止する。具体的には、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、設定された複数サイクル毎にポスト噴射を実行する。
【0051】
例えば、
図4に示される例では、噴射弁制御部42bは、燃焼サイクルC2の直前の燃焼サイクルC1、燃焼サイクルC5の直前の燃焼サイクルC4、および、燃焼サイクルC8の直前の燃焼サイクルC7において、全気筒11についてポスト噴射を実行する。一方、噴射弁制御部42bは、燃焼サイクルC2、燃焼サイクルC3、燃焼サイクルC5、燃焼サイクルC6および燃焼サイクルC8において、全気筒11についてポスト噴射を停止する。ゆえに、燃焼サイクルC2、燃焼サイクルC5および燃焼サイクルC8において、筒内圧P1〜筒内圧P4の全気筒11の筒内圧の上昇度合いが、他の燃焼サイクルと比較して大きくなっている。つまり、噴射弁制御部42bは、3サイクル毎にポスト噴射を実行する。
【0052】
なお、
図4に示される例では、ポスト噴射制御において3サイクル毎にポスト噴射が実行されるが、ポスト噴射制御においてポスト噴射が停止する燃焼サイクルは、この例に限定されない。例えば、ポスト噴射制御において、3サイクル以外の数のサイクル毎(例えば、2サイクル毎または4サイクル毎等)にポスト噴射が実行されてもよい。また、例えば、ポスト噴射制御において、ポスト噴射が実行される燃焼サイクル間の間隔は、等間隔でなくてもよい(つまり、ポスト噴射が実行される燃焼サイクル間におけるポスト噴射が停止する燃焼サイクルの数は一定でなくてもよい)。
【0053】
上述したように、ポスト噴射により噴射された燃料の一部が気筒11内に未燃ガスとして残留することに起因して、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いが、直前にポスト噴射が行われない場合よりも大きくなる。このような筒内圧の変動は、エンジン10の回転変動(つまり、回転数の変動)を増大させる要因となる。ゆえに、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射に起因するエンジン10の回転変動を抑制するための処理を行うことが好ましい。
【0054】
例えば、エンジン10の回転変動を抑制する観点では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、排気行程の開始時期と対応する時期(例えば、排気行程の開始時期と略一致する時期)にポスト噴射を実行する。このようにポスト噴射の実行タイミングを排気行程の開始時期に近づけることによって、ポスト噴射により噴射された燃料のうち気筒11から排出される排気とともに排気流路30に送られる燃料の割合を大きくすることができるので、ポスト噴射により気筒11内に残留する未燃ガス(以下、ポスト噴射による残留未燃ガスとも呼ぶ)の量を低減することができる。ゆえに、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いを低減することができるので、筒内圧の変動を抑制することができる。よって、エンジン10の回転変動を抑制することができる。
【0055】
また、例えば、エンジン10の回転変動を抑制する観点では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、ポスト噴射による残留未燃ガスの量に応じて点火時期(具体的には、ポスト噴射が行われた燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルにおける点火時期)を遅角させる。ここで、ポスト噴射が行われた燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルにおける点火時期を遅角させることによって、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇の開始タイミングを遅らせることができるので、当該筒内圧の上昇度合いを小さくすることができる。また、ポスト噴射による残留未燃ガスの量が大きいほど、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いが大きくなる。ゆえに、噴射弁制御部42bは、例えば、ポスト噴射による残留未燃ガスの量が大きいほど、ポスト噴射が行われた燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルにおける点火時期の遅角量を大きくする。これにより、ポスト噴射による残留未燃ガスの量に応じて、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いを適切に低減することができるので、筒内圧の変動を抑制することができる。よって、エンジン10の回転変動を抑制することができる。
【0056】
また、例えば、エンジン10の回転変動を抑制する観点では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、ポスト噴射による残留未燃ガスの量に応じてメイン噴射の燃料噴射量(具体的には、ポスト噴射が行われた燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルにおけるメイン噴射の燃料噴射量)を減少させる。ここで、ポスト噴射が行われた燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルにおけるメイン噴射の燃料噴射量を減少させることによって、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いを小さくすることができる。ゆえに、噴射弁制御部42bは、例えば、ポスト噴射による残留未燃ガスの量が大きいほど、ポスト噴射が行われた燃焼サイクルの直後の燃焼サイクルにおけるメイン噴射の燃料噴射量の減少量を大きくする。これにより、ポスト噴射による残留未燃ガスの量に応じて、ポスト噴射が行われた直後の燃焼による筒内圧の上昇度合いを適切に低減することができるので、筒内圧の変動を抑制することができる。よって、エンジン10の回転変動を抑制することができる。
【0057】
なお、ポスト噴射により気筒11内に残留する未燃ガス(つまり、ポスト噴射による残留未燃ガス)の量は、例えば、予め行った実験または数値シミュレーションの結果に基づいて推定され得る。
【0058】
次に、ステップS104において、判定部41は、ポスト噴射制御の終了条件が満たされたか否かを判定する。終了条件が満たされたと判定された場合(ステップS104/YES)、ステップS105に進む。一方、終了条件が満たされていないと判定された場合(ステップS104/NO)、ステップS104の判定処理が繰り返される。
【0059】
ステップS104の判定処理の終了条件は、例えば、ポスト噴射制御が開始された時点から設定時間が経過したとの条件である。設定時間は、NOx吸蔵量の増大、または、SOx吸蔵量の増大によって低下したNOx吸蔵触媒32bの浄化能力がポスト噴射制御によって十分に回復したか否かを適切に判断し得る時間に設定される。
【0060】
ステップS104でYESと判定された場合、ステップS105において、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御を終了し、
図3に示される制御フローは終了する。
【0061】
なお、上記では、
図4を参照して、ポスト噴射制御におけるポスト噴射の実行タイミングの例を説明したが、ポスト噴射制御におけるポスト噴射の実行タイミングは、上記の例に限定されない。
【0062】
以下、
図5を参照して、エンジン10の回転変動を抑制することができるポスト噴射の実行タイミングの例を説明する。
図5は、
図4の例とポスト噴射の実行タイミングが異なるポスト噴射制御における筒内圧の推移の一例を示す模式図である。
【0063】
図5に示される例では、
図4に示される例と異なり、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、各燃焼サイクル内で一部の気筒11についてポスト噴射を停止する。具体的には、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、各燃焼サイクルの間で共通する気筒11についてポスト噴射を停止する。
【0064】
例えば、
図5に示される例では、噴射弁制御部42bは、各燃焼サイクル内において、気筒11−1および気筒11−4についてはポスト噴射を実行する一方で、気筒11−3および気筒11−2についてはポスト噴射を停止する。ゆえに、各燃焼サイクル内において、筒内圧P1および筒内圧P4の上昇度合いが、筒内圧P3および筒内圧P2の上昇度合いと比較して大きくなっている。つまり、各燃焼サイクル内で一部の気筒11についてポスト噴射が停止しており、ポスト噴射が停止する気筒11は、各燃焼サイクルの間で共通している。
【0065】
図5に示される例のように、ポスト噴射制御において、各燃焼サイクル内で一部の気筒11についてポスト噴射が停止する場合、一部の燃焼サイクルでポスト噴射が停止する場合(例えば、
図4に示される例)よりも、筒内圧の変動の周期が短くなる。例えば、
図4に示される例では、少なくとも1つの燃焼サイクル内において筒内圧はほぼ変動しない。一方、
図5に示される例では、1つの燃焼サイクル内において、直前の燃焼サイクルでポスト噴射が行われた気筒11とポスト噴射が行われていない気筒11とが混在するので、筒内圧が大きく変動する。ゆえに、
図5に示される例では、
図4に示される例と比較して、筒内圧の変動の周期が短くなる。これにより、エンジン10または当該エンジン10に付設される各種部品の固有振動に対して筒内圧の振動数を高くすることができるので、エンジン10の回転変動を抑制することができる。
【0066】
なお、
図5に示される例では、ポスト噴射制御においてポスト噴射が停止する気筒11は各燃焼サイクルの間で共通しているが、ポスト噴射制御においてポスト噴射が停止する気筒11は各燃焼サイクルの間で共通していなくてもよい。例えば、ポスト噴射制御において、気筒11−3および気筒11−2についてポスト噴射が停止する燃焼サイクルと、気筒11−1および気筒11−4についてポスト噴射が停止する燃焼サイクルとが混在していてもよい。
【0067】
<車両の効果>
続いて、本発明の実施形態に係る車両1の効果について説明する。
【0068】
本実施形態に係る車両1では、制御装置40は、燃料噴射弁12の各々によるポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量を、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも多い燃料噴射量に決定する噴射量決定部42aと、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりもポスト噴射の回数が少なくなるように、ポスト噴射制御を実行する噴射弁制御部42bと、を有する。これにより、ポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量が過度に少なくなることを抑制することができる。ここで、燃料噴射弁12の制御では、上述したように、一般に、燃料噴射量が過度に少ない場合、燃料噴射量を精度良く制御することが困難となる。ゆえに、ポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量が過度に少なくなることを抑制することによって、ポスト噴射の燃料噴射量を精度良く制御することができる。つまり、ポスト噴射の燃料噴射量が過度に多くなってしまうこと、または、過度に少なくなってしまうことを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る車両1では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、一部の燃焼サイクルでポスト噴射を停止することが好ましい。これにより、ポスト噴射制御におけるポスト噴射の回数を、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも少なくすることを適切に実現することができる。ゆえに、ポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量が過度に少なくなることを抑制して、ポスト噴射の燃料噴射量を精度良く制御することを適切に実現することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る車両1では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、設定された複数サイクル毎にポスト噴射を実行することが好ましい。これにより、ポスト噴射による残留未燃ガスに起因して筒内圧が大きく上昇する燃焼サイクル間の間隔を等間隔にすることができる。ゆえに、エンジン10の回転変動を周期的な変動にすることができるので、エンジン10の回転変動によりドライバに与えられる違和感を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る車両1では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、各燃焼サイクル内で一部の気筒11についてポスト噴射を停止することが好ましい。これにより、ポスト噴射制御におけるポスト噴射の回数を、全ての気筒11で毎燃焼サイクルにおいてポスト噴射を実行する場合よりも少なくすることを適切に実現することができる。ゆえに、ポスト噴射の1回あたりの燃料噴射量が過度に少なくなることを抑制して、ポスト噴射の燃料噴射量を精度良く制御することを適切に実現することができる。さらに、筒内圧の変動の周期を短くすることができるので、エンジン10またはエンジン10に付設される各種部品の固有振動に対して筒内圧の振動数を高くすることができる。ゆえに、エンジン10の回転変動を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る車両1では、噴射弁制御部42bは、ポスト噴射制御において、各燃焼サイクルの間で共通する気筒11についてポスト噴射を停止することが好ましい。これにより、ポスト噴射による残留未燃ガスに起因して筒内圧が大きく上昇するタイミング間の間隔を等間隔にすることができる。ゆえに、エンジン10の回転変動を周期的な変動にすることができるので、エンジン10の回転変動によりドライバに与えられる違和感を抑制することができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0074】
例えば、上記では、4気筒の水平対向型のエンジンであるエンジン10について説明したが、本発明に係るエンジンは上記の例に限定されない。例えば、本発明に係るエンジンは、6気筒、8気筒または12気筒等の種々の気筒数のエンジンであってもよい。また、例えば、本発明に係るエンジンは、水平対向型のエンジン以外のエンジン(例えば、V型のエンジンや直列式のエンジン)であってもよい。また、上記では、ガソリンエンジンであるエンジン10について説明したが、本発明に係るエンジンはディーゼルエンジンであってもよい。
【0075】
また、例えば、上記では、ポスト噴射がNOx吸蔵触媒32bの浄化能力を回復させることを目的として行われる例を説明したが、ポスト噴射は、排気浄化装置32におけるNOx吸蔵触媒32b以外の他の触媒(例えば、PM(Particulate Matter)を浄化するための触媒等)の浄化能力を回復させることを目的として行われてもよい。
【0076】
また、例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。