【解決手段】過去の使用者の属性に関する参照用属性情報及びスキル計測のためのテストの結果に関する参照用チェックテスト情報に対する、行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを記憶する記憶手段と、記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を参照用属性情報及び参照用チェックテスト情報とし、出力を行動詳細の種類とする選定モデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、新たに行動詳細を選定すべき使用者の属性に関する属性情報と、当該使用者に対して実行したスキル計測のためのテストの結果に関するチェックテスト情報を取得する情報取得手段と、モデル生成手段により生成された選定モデルを用いて、情報取得手段により取得された属性情報とチェックテスト情報とから推定される行動詳細の種類を提示する提示手段とを備える。
前記記憶手段は、前記参照用属性情報、前記参照用チェックテスト情報、前記過去の使用者に対して提示した各行動詳細の達成度合に関する参照用達成度合情報に対する、行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを記憶し、
前記モデル生成手段は、前記記憶手段に記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を参照用属性情報、参照用チェックテスト情報及び参照用達成度合情報とし、出力を行動詳細の種類とする選定モデルを機械学習により生成し、
前記情報取得手段は、更に当該使用者に対して以前に提示した各行動詳細の達成度合に関する達成度合情報を取得し、
前記提示手段は、前記情報取得手段により取得された属性情報とチェックテスト情報と達成度合情報とから推定される行動詳細の種類を提示すること
を特徴とする請求項1記載の学習支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1実施形態
以下図面を用いて、本発明の第1実施形態の一態様を詳述する。
【0012】
図1は、本実施の形態による学習支援装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態による学習支援装置1は、中央演算装置2、主記憶装置3及び補助記憶装置20を備える。
【0013】
中央演算装置2は、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、主記憶装置3に記憶されたプログラムを呼び出すことで処理を実行する。主記憶装置3は、例えばRAM(Random Access Memory)であって、後述の行動詳細設定部4、取得部5、行動詳細登録部6、パラメータ算出部7、難易度更新部8及びレコメンド選定部9といったプログラムを記憶する。
【0014】
補助記憶装置20は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)であって、後述の行動詳細リストテーブルTB1、不登録行動詳細リストテーブルTB5、類似行動詳細リストテーブルTB6及び個人別行動詳細リストテーブルTB7といったテーブルを記憶する。
【0015】
学習支援装置1は、使用者が行う内容が記載された行動詳細を提示することで使用者の学習を支援する。行動詳細には難易度が設定される。使用者は、例えば個々の端末を用いて学習支援装置1と通信を行い、個々の端末上で操作を行う。個々の端末とは例えばパーソナルコンピュータやスマートフォンなどとする。
【0016】
例えば経済産業省が提唱した社会人基礎力の能力要素である主体性を例に以下の説明を行う。行動詳細とは、例えば「誰かに仕事の相談をする際には、自分なりに一案用意した上で相談する。」とする。
【0017】
行動詳細設定部4は、第1の所定の周期で、複数の行動詳細が提示される設定画面を提示し使用者が設定画面において設定する行動詳細に基づいて、第1の所定の周期の期間中に使用者が行う行動詳細を設定する。具体的には、第1の所定の周期とは1カ月とし、行動詳細設定部4は、初回設定の際を除いては、例えば毎月1日の午前8時などの決まった時間である第1の所定のタイミングで、行動詳細を設定する。
【0018】
取得部5は、第1の所定の周期よりも短い第2の所定の周期で、行動詳細の設定に基づいて使用者に対して行動詳細の提示を行い、期間中に使用者によって回答される実施の状況を取得する。
【0019】
具体的には、実施の状況とは、例えば行動詳細に記載された内容を達成できたか否かとする。また例えば第2の所定の周期とは毎日とする。なお取得部5は、毎日の例えば17時などの決まった時間である所定のタイミングまでに使用者から回答がない場合は、使用者に対して回答するようにメールなどを送付する。
【0020】
行動詳細登録部6は、第1の所定の周期で、使用者によって追加された任意の行動詳細を取得し、例えば機械学習を利用することで統一された記載へと変更して別の使用者に提示する。
【0021】
なお行動詳細登録部6は、機械学習を利用することで統一された記載へと変更された行動詳細に関して、機械学習を利用することで後述の対象者属性の各項目を設定する。行動詳細を追加した使用者には、追加した内容そのままが行動詳細として提示される。
【0022】
このため後述の個人別行動詳細リストテーブルTB7には追加した内容そのままが行動詳細として保持され、後述の行動詳細リストテーブルTB1には統一された記載が行動詳細として保持される。
【0023】
パラメータ算出部7は、第1の所定の周期で、実施の状況に基づいて使用者のそれぞれについて複数のパラメータを算出する。具体的には、例えば複数のパラメータは、平均達成率及び平均改善速度とする。
【0024】
平均達成率は、期間中における実施の状況から算出される達成できたか否かの割合である達成率の複数の使用者の平均値である。また平均改善速度は、期間中の前半から後半にかけて達成できることが増えていっているかどうかの指標である改善速度の複数の使用者の平均値である。
【0025】
難易度更新部8は、第1の所定の周期で、複数のパラメータに基づいて行動詳細の難易度を更新する。具体的には、難易度は複数の大区分と複数の小区分とからなり、それぞれの大区分は複数の同数の小区分からなり、大区分及び小区分は平均改善速度及び平均達成率に基づいて更新される。
【0026】
レコメンド選定部9は、第1の所定の周期で、難易度に基づいて使用者に提示する行動詳細の内容を選定する。具体的には、レコメンド選定部9は、能力要素毎に使用者が設定した複数の行動詳細の難易度の平均である平均難易度を算出し、平均難易度と同じ難易度の行動詳細を3つ選定し、平均難易度から小区分において1段階ずつ上下の行動詳細を選定する。
【0027】
次に本実施の形態による行動詳細リストテーブルTB1を示す図である
図2を用いて行動詳細に紐づけられている項目について説明する。行動詳細リストテーブルTB1に示すように、それぞれの行動詳細は、能力要素、難易度、平均達成率、平均改善速度、対象者属性及び登録者属性と紐づけられている。
【0028】
行動詳細と紐づけられている各項目について説明する。行動詳細は、例えば番号などでのID情報で管理される。社会人基礎力を例に説明しているので、能力要素のそれぞれの欄に格納される値としては、主体性の他には、例えば働きかけ力や実行力といった内容が挙げられる。なお12の能力要素のいずれにも属さない行動詳細についてはその他に分類されるものとする。
【0029】
難易度は、例えば大区分として、簡単区分(以下、これをA区分と呼んでもよい)、やりがい区分(以下、これをB区分と呼んでもよい)及び難しい区分(以下、これをC区分と呼んでもよい)の3区分とする。また小区分として、1レベル、2レベル、3レベルの3区分とする。
【0030】
このため、例えば難易度のそれぞれの欄には、簡単なものから難しいものの順にA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2及びC3となり、9段階の値のいずれか1つが格納される。なお例えばA1は、A区分の1レベルを指すものとする。
【0031】
平均達成率のそれぞれの欄には、0〜100の値が格納される。平均達成率のそれぞれの欄に格納される値は、一ヶ月間において、何回実行したうちの何回が達成できたかを示す使用者毎の達成率を平均した値である。なお対象となる行動詳細を実施した使用者が385人以上いた場合は、計算負荷を減らすため385人分をランダムに選択する。
【0032】
平均改善速度には、0〜1の値が格納される。平均改善速度のそれぞれの欄に格納される値は、一ヶ月間において、横軸を日付とし、縦軸を達成可否とした際の回帰係数を示す使用者毎の改善速度を平均した値である。
【0033】
なお対象となる行動詳細を実施した使用者が385人以上いた場合は、計算負荷を減らすため385人分をランダムに選択する。また達成可否は、例えば、達成できた場合を1とし、達成できなかった場合を0とする。
【0034】
対象者属性は、業種、職種、役職及びチェックテスト点数といった項目を備える。レコメンド選定部9は、対象者属性をすべて満たす行動詳細を選定する。例えば番号が1の行動詳細を例にすると、業種がA〜Tのいずれかであって、職種がA〜Kのいずれかであって、役職がA〜Jのいずれかであって、チェックテストの点数が0〜10の範囲である使用者に対して、レコメンド選定部9は、番号が1の行動詳細を選ぶ。なおレコメンド選定部9は、対象者属性だけでは候補が絞り切れない場合は、登録者属性を参照して、行動詳細を選ぶ。
【0035】
ここで本実施の形態による業種、職種及び役職の一覧を格納するテーブルTB2〜TB4を示す図である
図3を用いて対象者属性の各項目について説明する。業種は、テーブルTB2に示すように、符号Aが農業・林業を指す、符号Bが漁業を指す、といったように、符号A〜Tで示される。
【0036】
職種は、テーブルTB3に示すように、符号Aが管理的職業を指す、符号Bが専門・技術的職業を指す、といったように、符号A〜Kで表される。役職は、テーブルTB4に示すように、符号Aが代表取締役社長を指す、符号Bが専務取締役を指す、といったように符号A〜Jで示される。
【0037】
チェックテスト点数は、社会人基礎力のスキル計測のためのテストの結果を示す。例えば社会人基礎力のスキル計測のためのテストは、主体性や働きかけ力などといった12つの能力要素がそれぞれ10点ずつの配点で計120点とする。
【0038】
登録者属性は、業種、職種、役職及びチェックテスト点数といった項目を備える。行動詳細登録部6は、使用者が任意の行動詳細を追加する際に、使用者の業種、職種、役職及びチェックテスト点数といった情報を取得して、行動詳細と紐づけ、行動詳細リストテーブルTB1に格納する。なお使用者毎の業種、職種及びチェックテスト点数といった対象者属性や登録者属性の各情報は、使用者が初回設定を行う初回設定の際に取得部5が取得する。
【0039】
登録者属性が備える業種、職種、役職及びチェックテスト点数といった項目に関しては、対象者属性が備える業種、職種、役職及びチェックテスト点数といった項目と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
次に本実施の形態による不登録行動詳細リストテーブルTB5、類似行動詳細リストテーブルTB6及び個人別行動詳細リストテーブルTB7を示す図である
図4を用いて説明を行う。
【0041】
行動詳細登録部6は、不登録行動詳細リストテーブルTB5に示すような学習内容として汎用性がない不登録行動詳細の欄に格納されている行動詳細を取得すると、行動詳細を行動詳細リストテーブルTB1には保持しない。
【0042】
例えば不登録行動詳細リストテーブルTB5は、機械学習を利用した推論部によって生成されるものとする。推論部は行動詳細登録部6に含まれていてもよいし、学習支援装置1の外部であってもよい。
【0043】
例えば機械学習を利用した推論部は、例えば「誰かに仕事の相談をする際には、自分なりに一案用意した上で相談する。」という行動詳細に関しては、「自分なりに」という文言から対象となる能力要素を判断し、「相談する」という動詞から役職やチェックテストの対象となる範囲を判断する。業種や職種に関しては、対象となる文言がないため、全範囲を指定する。また推論部は、類似語句の中で一番使用される頻度が高い語句と、標準的な文型と、を使用するようにする。
【0044】
行動詳細登録部6は、類似行動詳細リストテーブルTB6に示すような、行動詳細リストテーブルTB1に格納された行動詳細と類似するようなバリエーションの欄に格納されている行動詳細を取得すると、行動詳細を行動詳細リストテーブルTB1には保持しない。
【0045】
例えば類似行動詳細リストテーブルTB6は、類似行動詳細の欄の行動詳細が入力であって、基本表現の欄が出力であるような、機械学習を利用した推論装置によって生成されるものとする。また例えば取得部5は、使用者毎に、パラメータ算出部7が算出した達成率及び改善速度と行動詳細とを紐づけて個人別行動詳細リストテーブルTB7に保持する。
【0046】
次に本実施の形態による初回設定の際の初回設定画面30を示す図である
図5を用いて説明を行う。初回設定画面30は、初回の設定の際に、行動詳細設定部4によって使用者に表示される。初回設定画面30は、メッセージ欄31と設定欄32と設定ボタン43とを備える。メッセージ欄31には、使用者に行動詳細の設定を促す文章が表示されている。
【0047】
設定欄32は、見出し領域33,35,37、設定領域34,36,38、追加ボタン41及び追加欄42を備え、能力要素毎に各項目がまとまっている。見出し領域33,35,37には、能力要素名が表示される。設定領域34,36,38には、設定内容である行動詳細が表示される。
【0048】
設定領域34,36,38に表示される行動詳細は、使用者の業種、職種、役職及び能力要素毎のチェックテストの点数に基づいて表示される。設定領域34,36,38の各行動詳細にはチェックボックスがあり、チェックボックスにチェックがついている行動詳細が選択される。設定ボタン43が押下された際に選択されていた行動詳細は、後述の回答画面50に表示される。
【0049】
初回設定の際に表示される行動詳細は、能力要素毎のチェックテストの点数を変換した平均難易度に基づいて決定される。例えばチェックテストの点数が0,1点だと平均難易度はA1となり、チェックテストの点数が2点だと平均難易度がA2となり、チェックテストの点数が3点だと平均難易度がA3となる。
【0050】
チェックテストの点数が4点だと平均難易度がB1となり、チェックテストの点数が5点だと平均難易度がB2となり、チェックテストの点数が6点だと平均難易度がB3となる。チェックテストの点数が7点だと平均難易度がC1となり、チェックテストの点数が8点だと平均難易度がC2となり、チェックテストの点数が9,10点だと平均難易度がC3となる。
【0051】
追加ボタン41は、行動詳細を追加する際に使用するボタンであって、使用者に押下されると、追加欄42が提示される。使用者によって追加欄42に追加された内容は、行動詳細登録部6が取得する。
【0052】
またどの能力要素にも属さない行動詳細は、その他に分類される。設定欄32は、さらに見出し領域39、設定領域40を備える。見出し領域39にその他と記載され、設定領域40には行動詳細が表示される。なお設定領域40に表示される行動詳細は、使用者によって追加されたもののみとする。
【0053】
次に本実施の形態による回答の際の回答画面50を示す図である
図6を用いて説明を行う。回答画面50は、使用者が第2の所定の周期で行動詳細の実施の状況を回答する際に、取得部5によって使用者に表示される画面である。回答画面50は、日付領域51、回答領域52〜55、メモ領域56及び回答ボタン57を備える。
【0054】
日付領域51には、使用者が回答する日付が表示される。回答領域52〜55には使用者によって設定された行動詳細が表示され、使用者は達成可否の情報である「できた」か「できなかった」かを、チェックボックスをチェックした後に回答ボタン57を押下することで回答する。メモ領域56は、使用者が回答の際に気づいたことなどをメモするための領域である。
【0055】
次に本実施の形態による確認の際の確認画面60を示す図である
図7を用いて説明を行う。確認画面60は、使用者が第1の所定の周期で行動詳細の実施の状況を確認する際に取得部5によって使用者に表示される画面である。
【0056】
確認画面60は、使用者名領域61、実施期間領域62、実施行動詳細一覧領域63、実施結果領域64及び総評領域65を備える。使用者名領域61には、対象となっている使用者の名前が表示される。実施期間領域62には、第1の所定の周期の期間が表示される。なお実施期間領域62に任意の期間を入力することで、入力した任意の期間の情報を表示することができる。実施行動詳細一覧領域63には、実施する行動詳細が符号と紐づけられて表示される。
【0057】
実施結果領域64には、それぞれの日付毎に符号と紐づけられた各行動詳細を達成可否の情報と、メモをした情報及び使用者の上司などからのコメントの情報が表示される。なお「できた」は〇、「できなかった」は×で表示される。また実施結果領域64には、達成率の行がもうけられ、使用者の行動詳細毎の達成率が表示される。総評領域65に記載されるコメントは、例えば機械学習を利用して生成される。
【0058】
次に本実施の形態による2回目以降の設定の際の設定画面70を示す図である
図8を用いて説明を行う。設定画面70は、2回目以降の設定の際に、行動詳細設定部4によって使用者に表示される。設定画面70は、メッセージ欄31と設定欄71と設定ボタン43とを備える。ここでは初回設定画面30との差分のみを説明する。
【0059】
設定欄71は、設定欄32に加えて、見出し領域72、見出し領域73及び設定領域74,75,76を備える。見出し領域72の下の領域には、前回実施した行動詳細が表示されている。見出し領域73の下の領域には、今回実施を推奨する行動詳細が表示されている。設定領域74,75,76には、今回実施を推奨する行動詳細が表示される。設定領域74,75,76に表示される行動詳細は、レコメンド選定部9によって選定される。
【0060】
次に本実施の形態による学習支援処理の処理手順を示すフローチャートである
図9を用いて説明を行う。学習支援処理は第1の所定の周期で実施される。まず行動詳細設定部4は、対象の使用者の前回の情報が個人別行動詳細リストテーブルTB7に保持されているか否かで初回設定か否かを判断する(S1)。
【0061】
学習処理は、例えばタイマ関数などで呼び出され第1の所定の周期で定期的に処理を行う。なお使用者から継続中止の入力があった場合には学習処理は使用者への処理を停止する。
【0062】
初回設定でありステップS1の判断で肯定結果を得ると(S1:YES)、レコメンド選定部9は、対象の使用者のチェックテストの点数を取得し(S2)、対象の能力要素毎のチェックテストの点数を平均難易度に変換する(S3)。
【0063】
2回目以降の設定でありステップS1の判断で否定結果を得ると(S1:NO)、パラメータ算出部7は、パラメータ算出処理S10を行う。ここで本実施の形態によるパラメータ算出処理S10の処理手順を示すフローチャートである
図10を用いて説明を行う。パラメータ算出部7は、複数の使用者を対象とした処理である。
【0064】
まずパラメータ算出部7は、行動詳細毎に達成率を算出し(S11)、改善速度を取得する(S12)。未処理の行動詳細がありステップS13の判断で否定結果を得ると(S13:NO)、パラメータ算出部7は、ステップS11,S12を繰り返す。
【0065】
未処理の行動詳細がなくなりステップ13の判断で肯定結果を得ると(S13:YES)、パラメータ算出部7は、他の使用者に関して未処理か否かを判断する(S14)。未処理である他の使用者がいてステップS14の判断で否定結果を得ると(S14:NO)、パラメータ算出部7は、未処理である他の使用者に関しても、ステップS11〜S13を繰り返す。
【0066】
未処理である他の使用者がいなくなりステップS14の判断で肯定結果を得ると(S14:YES)、パラメータ算出部7は、行動詳細毎に、複数の使用者の達成率を平均して平均達成率を算出する(S15)。次にパラメータ算出部7は、行動詳細毎に、複数の使用者の改善速度を平均して平均改善速度を算出し(S16)、パラメータ算出処理S10を終了する。なお上述のとおり、ステップS15,S16において、使用者数が385人を超える場合には、ランダムで385人を選択する。
【0067】
図9に戻り説明を続ける。パラメータ算出処理S10が終了すると、難易度更新部8は、難易度更新処理S20を行う。ここで本実施の形態による難易度更新処理S20の処理手順を示すフローチャートである
図11を用いて説明を行う。
【0068】
まず難易度更新部8は、対象としている行動詳細の平均改善速度が他の行動詳細の平均改善速度と比較して上位4割に入るか否かを判断する(S21)。対象としている行動詳細の平均改善速度が他の行動詳細の平均改善速度と比較して上位4割に入りステップS21の判断で肯定結果を得ると(S21:YES)、難易度更新部8は、対象としている行動詳細の大区分としての難易度をやりがい区分とする(S22)。次にやりがい区分を平均改善速度で3等分に3つのレベルに分ける(S23)。
【0069】
対象としている行動詳細の平均改善速度が他の行動詳細の平均改善速度と比較して上位4割に入らずステップS21の判断で否定結果を得ると(S21:NO)、難易度更新部8は、対象としている行動詳細の平均達成率が他の行動詳細の平均達成率と比較して上位5割に入っているか否かを判断する(S24)。
【0070】
対象としている行動詳細の平均達成率が他の行動詳細の平均達成率と比較して上位5割に入りステップS24の判断で肯定結果を得ると(S24:YES)、難易度更新部8は、対象としている行動詳細の大区分としての難易度を簡単区分とする(S25)。
【0071】
対象としている行動詳細の平均達成率が他の行動詳細の平均達成率と比較して上位5割に入らずステップS24の判断で否定結果を得ると(S24:NO)、難易度更新部8は、対象としている行動詳細の大区分としての難易度を難しい区分とする(S26)。
【0072】
次に難易度更新部8は、簡単区分及び難しい区分をそれぞれ平均達成率で3等分に3つのレベルに分ける(S27)。次に難易度更新部8は、未処理の能力要素がないか否かを判断する(S28)。
【0073】
未処理の能力要素がありステップS28の判断で否定結果を得ると(S28:NO)、難易度更新部8は、ステップ21〜27を繰り返す。未処理の能力要素がなくなりステップS28の判断で肯定結果を得ると(S28:YES)、難易度更新部8は、難易度更新処理S20を終了する。
【0074】
図9に戻り説明を続ける。次にレコメンド選定部9は、レコメンド選定処理S30を行う。ここで本実施の形態によるレコメンド選定処理S30の処理手順を示すフローチャートである
図12を用いて説明を行う。
【0075】
まずレコメンド選定部9は、対象の能力要素に含まれる行動詳細の平均難易度を算出する(S31)。なお初回設定(S1:YES)の場合、すでに平均難易度は算出されているため、ステップS31はスキップする。
【0076】
次にレコメンド選定部9は、平均難易度の大区分が簡単区分、やりがい区分又は難しい区分のどれであるかを判断する(S32)。ステップS32の判断が簡単区分となった場合(S32:簡単区分)、レコメンド選定部9は、小区分は平均難易度のレベルと同じ行動詳細であって、大区分がやりがい区分である行動詳細を3つ選定する(S33)。
【0077】
ステップS32の判断がやりがい区分となった場合(S32:やりがい区分)、レコメンド選定部9は、小区分は平均難易度のレベルと同じ行動詳細であって、大区分がむずかしい区分である行動詳細を3つ選定する(S34)。
【0078】
ステップS32の判断が難しい区分となった場合(S32:難しい区分)、レコメンド選定部9は、小区分は平均難易度のレベルと同じ行動詳細であって、大区分が簡単区分である行動詳細を3つ選定する(S35)。
【0079】
次にレコメンド選定部9は、平均難易度の上下にレベルがあるか否かを判断する(S36)。平均難易度の上下にレベルがありステップS36の判断で肯定結果を得ると(S36:YES)、レコメンド選定部9は、上下1レベルの行動詳細を1つずつ選定する(S37)。なお上下のレベルは大区分間をまたいでもよいものとする。
【0080】
平均難易度の上下のどちらかにレベルがなくステップS36の判断で否定結果を得ると(S36:NO)、レコメンド選定部9は、上1レベル又は下1レベルの行動詳細を2つ選定する(S38)。
【0081】
次にレコメンド選定部9は、未処理の能力要素がないか否かを判断する(S39)。未処理の能力要素がありステップS39の判断で否定結果を得ると(S39:NO)、レコメンド選定部9は、ステップS31〜S38を繰り返す。
【0082】
未処理の能力要素がなくなりステップS39の判断で肯定結果を得ると(S39:YES)、レコメンド選定部9は、レコメンド選定処理S30を終了する。以上のようにレコメンド選定部9は、計5つの推奨する行動詳細を選定する。
【0083】
図9に戻り説明を続ける。レコメンド選定処理S30が終了すると、行動詳細設定部4は、第1の所定の周期で、複数の行動詳細が提示される設定画面を提示し使用者が設定画面において設定する行動詳細に基づいて、第1の所定の周期の期間中に使用者が行う行動詳細を設定する(S4)。
【0084】
次に行動詳細登録部6は、行動詳細登録処理S40を行う。ここで本実施の形態による行動詳細登録処理S40の処理手順を示すフローチャートである
図13を用いて説明を行う。
【0085】
まず行動詳細登録部6は、取得した追加欄42に追加された内容が学習内容として汎用性が高いか否か不登録行動詳細リストテーブルTB5を参照し判断する(S41)。取得した追加欄42に追加された内容が学習内容として汎用性が高くステップS41の判断で肯定結果を得ると(S41:YES)、行動詳細登録部6は、取得した追加欄42に追加された内容が行動詳細リストテーブルTB1に格納された行動詳細と類似していないか否か類似行動詳細リストテーブルTB6を参照し判断する(S42)。
【0086】
取得した追加欄42に追加された内容が行動詳細リストテーブルTB1に格納された行動詳細と類似していてステップS42の判断で否定結果を得ると(S42:NO)、行動詳細登録部6は、行動詳細登録処理S40を終了する。
【0087】
取得した追加欄42に追加された内容が行動詳細リストテーブルTB1に格納された行動詳細と類似しておらずステップS42の判断で肯定結果を得ると(S42:YES)、行動詳細登録部6は、取得した追加欄42に追加された内容を行動詳細リストテーブルTB1に登録し(S43)、行動詳細登録処理S40を終了する。
【0088】
取得した追加欄42に追加された内容が学習内容として適切ではなくステップS41の判断で否定結果を得ると(S41:NO)、行動詳細登録部6は、行動詳細登録処理S40を終了する。
【0089】
図9に戻り説明を続ける。行動詳細登録処理S40が終了すると、取得部5は第2の所定の周期で実施の状況を取得し(S5,S6,S7)、第1の周期の期間が終了すると、学習支援処理はタイマ関数などで呼び出され再度ステップS1から処理を行う。
【0090】
以上のように、本実施の形態による学習支援装置1は、第1の所定の周期といった期間内の使用者の実施の状況を取得して、行動詳細の難易度を設定し、難易度を用いて他の使用者の実施の状況と比較して、使用者の能力を把握する。学習支援装置1は、使用者の能力を把握することで次の第1の所定の周期において使用者に適した学習効率の高い適切な行動詳細を推奨する。
【0091】
このため、本実施の形態による学習支援装置1は、使用者に対して例えば能力要素の能力を高めるといった使用者の課題に対する適切な行動を特定し提案することができる。このため、本実施の形態による学習支援装置1を使用する使用者は成長しやすい。
【0092】
なお本実施の形態においては、取得部5は、使用者が初回設定を行う初回設定の際に、対象者属性や登録者属性の情報として使用する使用者毎の業種、職種、役職及びチェックテスト点数を取得するとしたが、本実施の形態はこれに限らない。例えば取得部5は、適正タイプや会社規模といった情報も取得してよく、チェックテストの結果判明する適正タイプや会社規模といった情報は、対象者属性や登録者属性情報の情報として使用されてもよい。
【0093】
また本実施の形態においては、対象とする行動詳細の難易度の区分分けに平均改善速度及び平均達成率を用いたが、本実施の形態はこれに限らない。対象とする行動詳細の難易度の区分分けに使用者が回答するまでの時間である回答時間や使用者がメモをする割合であるメモ率や使用者の上司がコメントをする割合であるコメント率を用いてもよい。
【0094】
また本実施の形態においては、使用者は第1の所定の周期で設定を行うとしているが、本実施の形態はこれに限らない。使用者は任意のタイミングで設定をしてもよく、任意のタイミングで設定された行動詳細については、パラメータ算出処理S10の対象とはならない。
【0095】
また本実施の形態においては、使用者は個々の端末を用い学習支援装置1と通信を行うとしたが、これに限らず、学習支援装置1にディスプレイや入力装置が接続されており、使用者は学習支援装置1を直接操作してもよい。
【0096】
また本実施の形態においては、行動詳細設定部4、取得部5、行動詳細登録部6、パラメータ算出部7、難易度更新部8及びレコメンド選定部9は、プログラムとしたがこれに限らず論理回路でもよい。
【0097】
また本実施の形態においては、行動詳細設定部4、取得部5、行動詳細登録部6、パラメータ算出部7、難易度更新部8、レコメンド選定部9、行動詳細リストテーブルTB1、不登録行動詳細リストテーブルTB5、類似行動詳細リストテーブルTB6及び個人別行動詳細リストテーブルTB7は1つの装置に実装されておらず、ネットワークで接続された複数の装置に分散して実装されていてもよい。
【0098】
また本実施の形態においては、第2の所定の周期とは毎日としたがこれに限らない。例えば第2の所定の周期として、毎週水曜日及び金曜日としてもよい。
【0099】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明をする。この第2実施形態を実行する上では、第1実施形態において使用する学習支援装置1を同様に使用する。これらの各構成の説明は、第1実施形態の説明を引用することで以下での説明を省略する。
【0100】
第2実施形態においては、
図9におけるレコメンド選定処理S30を人工知能を利用し行う点が第1実施形態と相違する。第2実施形態においては、使用者が実行すべき業務上のアクションが記載された行動詳細を提示する上で、各入力データに対する出力データとしての行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを教師データとして用いた選定モデルを機械学習により事前に生成する。ここでいう行動詳細の種類とは、例えば「誰かに仕事の相談をする際には、自分なりに一案用意した上で相談する。」、「打ち合わせの場では1回以上自分の意見を言う」、「分からないことがあったらまず自分ひとりで検索や調べものをしてみる」等のように規定されている個々の行動詳細の種類を示すものである。
【0101】
先ず
図9に示すステップS2〜S3に示すように、初回の場合における解探索の方法について説明する。
図14に示すように、選定モデルは、参照用属性情報と、参照用チェックテスト情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
【0102】
参照用属性情報とは、上述した対象者属性におけるは、業種、職種、役職といった項目を抽出したものである。この参照用属性情報は、これら以外に年齢、性別、勤務地域、居住地域、勤務している会社の規模、入社してからの年次等もこれに含めてもよい。
【0103】
参照用チェックテスト情報は、上述したチェックテスト点数に関する情報である。
【0104】
この参照用属性情報、参照用チェックテスト情報は、本システムの過去の使用者から取得したものである。つまり、過去の一の使用者から参照用属性情報と、参照用チェックテスト情報を取得しておき、過去の他の使用者からも同様に参照用属性情報と、参照用チェックテスト情報を取得し、その情報の取得を同様に全ての過去の使用者に関して行う。これにより、過去の使用者からそれぞれ参照用属性情報と参照用チェックテスト情報とを取得することができる。
【0105】
また、これらの情報の取得と共に、上述した行動詳細の種類の選定結果のデータも取得しておく。上述した過去の使用者が、数ある行動詳細の種類の中から何れを選定したかを取得することで、参照用属性情報及び参照用チェックテスト情報に対する、行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを得ることができる。
【0106】
次に、このデータセットを教師データとして用い、入力を参照用属性情報及び参照用チェックテスト情報とし、出力を行動詳細の種類とする選定モデルを機械学習により生成する。このような入力データとしての、参照用属性情報に対して、参照用チェックテスト情報が組み合わさったものが、
図14に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、行動詳細の種類が表示されている。
【0107】
ここでいう行動詳細の種類は、Aが例えば「誰かに仕事の相談をする際には、自分なりに一案用意した上で相談する。」、Bが例えば「打ち合わせの場では1回以上自分の意見を言う」、Cが例えば「分からないことがあったらまず自分ひとりで検索や調べものをしてみる」等で示されるものであってもよい。
【0108】
参照用属性情報と参照用チェックテスト情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、行動詳細の種類に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用属性情報と参照用チェックテスト情報がこの連関度を介して左側に配列し、各行動詳細の種類が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用属性情報と参照用チェックテスト情報に対して、何れの行動詳細の種類A〜Eと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用属性情報と参照用チェックテスト情報が、いかなる行動詳細の種類に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用属性情報と参照用チェックテスト情報から最も確からしい行動詳細の種類を選択する上での的確性を示すものである。
図14の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての行動詳細の種類と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての行動詳細の種類と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0110】
探索装置2は、このような
図14に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の行動詳細の種類の判別を行う上で、参照用属性情報と、参照用チェックテスト情報、並びにこれらの情報に行動詳細の種類を紐付けたデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図14に示す連関度を作り上げておく。
【0111】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用属性情報P01で、かつ参照用チェックテスト情報P16である場合に、実際にいかなる行動詳細の種類がそのような情報に紐付けられているかを過去のデータから分析する。例えば参照用属性情報P01で、かつ参照用チェックテスト情報P16がつながる中間ノード61aの例では、行動詳細の種類Aと、行動詳細の種類Bの出力にリンクしているが、以前の事例から行動詳細の種類Aが極めて数多く選択がなされており、選定率(=選択された数/各過去の使用者に表示された回数)が高いことから、行動詳細の種類Aにつながるw13の連関度を7点に、行動詳細の種類Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0112】
また、この
図14に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0113】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。つまり、各参照用属性情報、及び各参照用チェックテスト情報を、それぞれ上記各行動詳細の種類と関連付けて記憶しておく。そして記憶された参照用属性情報と参照用チェックテスト情報の組み合わせと、上記行動詳細の種類とを教師データとして用い、入力を参照用属性情報及び参照用チェックテスト情報とし、出力を行動詳細の種類とする判定モデルを機械学習により生成したことになる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たな使用者に対して行動詳細の種類を選定する際において、上述した学習済みデータを利用して行動詳細の種類を判別することとなる。かかる場合には、新たな使用者から、属性情報を取得するとともに、チェックテスト情報を取得する。
【0114】
新たに取得する属性情報、チェックテスト情報は、上述した情報取得部9におけるマウスやタッチパネル、キーボードを介したユーザインターフェースを通じて取得する。
【0115】
このようにして新たに取得した属性情報と、チェックテスト情報に基づいて、行動詳細の種類を求める。かかる場合には、予め取得した
図14(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した属性情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、取得したチェックテスト情報が参照用チェックテスト情報P17と同一又は類似である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、行動詳細の種類Cがw19、行動詳細の種類Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度のもっと高い行動詳細の種類Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる行動詳細の種類Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0116】
また、入力から伸びている連関度w1〜w12の例を以下の表2に示す。
【0118】
この入力から伸びている連関度w1〜w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1〜w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1〜w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0119】
図15は、上述した参照用属性情報と、参照用チェックテスト情報に加えて、更に参照用達成度合情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する行動詳細の種類との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。この連関度を使用するケースは、例えば
図9に示すように2回目以上でステップS10、20のルートを通ってきた使用者に対して行動詳細の種類を選定する場合である。参照用達成度合情報とは、以前において表示された行動詳細を各種類につき達成できたか否かを示す情報である。参照用達成度合情報とは、上述した平均達成率、平均達成速度等のような使用者の各行動詳細の種類に対する達成度合を示すあらゆる情報を示すものである。この参照用達成度合情報は、行動詳細に規定される各アクションの使用者個人毎の達成率、行動詳細に規定される各アクションの使用者全体の平均の達成率、行動詳細に規定される各アクションの使用者個人毎の改善速度、行動詳細に規定される各アクションの使用者全体の平均改善速度、メモ領域56における本人のメモ率、メモの文字数、メモの内容、実施結果領域64における上司のコメント率、コメントの文字数、コメントの内容の何れか1以上で構成されるものであってもよい。メモの内容やコメントの内容は、ネガポジ判定による公知の感情スコアで示すものであってもよい。またメモの内容やコメントの内容を公知の形態素解析、意味解析技術で解析を行い、これをスコア化することで参照用達成度合情報としてよい。
【0120】
かかる場合において、連関度は、
図15に示すように、参照用属性情報と、参照用チェックテスト情報、参照用達成度合情報との組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a〜61eとして表現されることとなる。
【0121】
例えば、
図15において、ノード61cは、参照用属性情報P02が連関度w3で、参照用チェックテスト情報P15が連関度w7で、参照用達成度合情報P21が連関度w11で連関している。同様にノード61eは、参照用属性情報P03が連関度w5で、参照用チェックテスト情報P15が連関度w8で、参照用達成度合情報P20が連関度w10で連関している。
【0122】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに取得した属性情報、チェックテスト情報に加え、新たに達成度合情報を取得する。この達成度合情報は、属性情報、チェックテスト情報と同様に、これから行動詳細の種類を選定しようとする使用者から取得する情報であり、当該使用者が以前において行った行動詳細を各種類につき達成できたか否かを示す情報であり、情報取得部9を介して取得する。この達成度合情報の内容は、上述した参照用達成度合情報の内容に応じたものである。
【0123】
この達成度合情報に規定される達成度合に紐付けられた参照用達成度合情報に基づき、
図15に示す連関度を参照しながら解探索を行う。
【0124】
この行動詳細の種類を提案する上で予め取得した
図15に示す連関度を参照する。例えば、取得した属性情報が参照用属性情報P02に同一又は類似で、取得したチェックテスト情報が参照用チェックテスト情報P15に対応し、更に取得した達成度合情報に対応する参照用達成度合情報がP21に対応する場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、行動詳細の種類Bが連関度w17で、また行動詳細の種類Dが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際に探索解を求めていくことになる。
【0125】
なお、上述した構成からなる本発明によれば、生成した選定モデルにおける入力にする出力の重み付け(w1〜w22)を行動詳細の各種類の選定率に基づいて設定するようにしてもよい。具体的には、選定率の高い行動詳細の種類ほど、重み付けを高くし、選定率の低い行動詳細の種類ほど、重み付けを低く設定するようにしてもよい。
【0126】
また、本発明は、
図16に示すように、実際に提示すべき行動詳細に加え、前記行動詳細へ昇格させる候補としての業務上のアクションが記載された行動詳細候補を更に作りこんでおくようにしてもよい。この行動詳細候補も、行動詳細と同様に例えば「退社時に裏口の鍵を確認してから帰る」や、「メールを送る際には指差し確認してから送る」等のような各種類が同様に規定されている。そして、行動詳細の中から一部の種類を行動詳細候補に降格させる。そして、行動詳細候補の中から一部を行動詳細へ昇格させる。つまり行動詳細の種類の一部と行動詳細候補の種類の一部とを入れ替える処理を実行する。入れ替える処理を行う場合には、行動詳細から行動詳細候補への降格数と、行動詳細候補から行動詳細への昇格数は、同時である必要がある。
【0127】
この入れ替える処理を実行する場合において、降格させる行動詳細の種類を選定する上で、上述した選定モデルを利用する。選定モデルにおいて重み付けwが小さい出力としての行動詳細の種類ほど、行動詳細候補に降格させる度合いを高くし、重み付けwが大きい出力としての行動詳細の種類ほど、行動詳細候補に降格させる度合いを低くする。例えば重み付けwが小さいものから順に5種類について行動詳細候補に降格させ、残りは行動詳細にそのまま残すようにしてもよい。
【0128】
行動詳細候補から行動詳細へ昇格させる場合には、行動詳細候補の種類の中からランダムに前記行動詳細にその降格させた数の分を昇格させるようにしてもよい。
【0129】
これにより、選定率の低い行動詳細を別のものに入れ替えることができ、使用者に提示する行動詳細の種類をより斬新で飽きないコンテンツに更新し、維持することが可能となる。
【0130】
なお
図15に示す連関度を使用するケース、つまり
図9に示すように2回目以上でステップS10、20のルートを通ってきた使用者に対して行動詳細の種類を選定する場合には、
図15に示す連関度を使用する代わりに、
図17に示すように参照用属性情報と参照用達成度合情報の2つを入力変数とした連関度を利用するようにしてもよい。つまり、この
図17に示す連関度においては参照用チェックテスト情報が入力変数に含めないが、係る場合も同様に解探索を行うことで、行動詳細の種類を提示することが可能となる。
【0131】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0132】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に行動詳細の種類を選定することができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0133】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0134】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいてより使用者にとって適切でしかも使用者の業務スキル向上に寄与する行動詳細の種類を選別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。
【0135】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0136】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0137】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また属性情報、チェックテスト情報に加えて、達成度合情報等に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0138】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0139】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0140】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0141】
更に、この第2実施形態を実施する上においては、適宜第1実施形態を織り交ぜた上で実施してもよいことは勿論である。
前記記憶手段は、前記参照用属性情報、前記参照用チェックテスト情報、前記過去の使用者に対して提示した各行動詳細の達成度合に関する参照用達成度合情報に対する、行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを記憶し、
前記モデル生成手段は、前記記憶手段に記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を参照用属性情報、参照用チェックテスト情報及び参照用達成度合情報とし、出力を行動詳細の種類とする選定モデルを機械学習により生成し、
前記情報取得手段は、更に当該使用者に対して以前に提示した各行動詳細の達成度合に関する達成度合情報を取得し、
前記提示手段は、前記情報取得手段により取得された属性情報とチェックテスト情報と達成度合情報とから推定される行動詳細の種類を提示すること
を特徴とする請求項1記載の学習支援装置。
本発明に係る学習支援装置は、使用者が実行すべき業務上のアクションが記載された行動詳細を提示することで、前記使用者の学習を支援する学習支援装置であって、過去の使用者の属性に関する参照用属性情報及び前記過去の使用者に対して実行したスキル計測のためのテストの結果に関する参照用チェックテスト情報に対する、行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを記憶する
記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を参照用属性情報及び参照用チェックテスト情報とし、出力を行動詳細の種類とする選定モデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、新たに行動詳細を選定すべき使用者の属性に関する属性情報と、当該使用者に対して実行したスキル計測のためのテストの結果に関するチェックテスト情報を取得する情報取得手段と、前記モデル生成手段により生成された選定モデルを用いて、前記情報取得手段により取得された属性情報とチェックテスト情報とから推定される行動詳細の種類を提示する提示手段と
本発明に係る学習支援装置は、使用者が実行すべき業務上のアクションが記載された行動詳細を提示することで、前記使用者の学習を支援する学習支援装置であって、過去の使用者の属性に関する参照用属性情報及び前記過去の使用者に対して提示した各行動詳細の達成度合に関する参照用達成度合情報に対する、行動詳細の種類の選定結果からなるデータセットを記憶する
記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を参照用属性情報及び参照用達成度合情報とし、出力を行動詳細の種類とする選定モデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、新たに行動詳細を選定すべき使用者の属性に関する属性情報と、当該使用者に対して以前に提示した各行動詳細の達成度合に関する達成度合情報を取得する情報取得手段と、 前記モデル生成手段により生成された選定モデルを用いて、前記情報取得手段により取得された属性情報と達成度合情報とから推定される行動詳細の種類を提示する提示手段と、