【実施例】
【0016】
図2は、本発明のギターのネック接続部分の表面図、
図3はネック接続部分の裏面図、
図4はネック接続部分の断面図を示している。
【0017】
本ギターは
図2のようにネック(01)をボディー溝(07)に差し込むようにして接続する構造になっている。その際にネックの段差部(12)が押さえ板(04)の下に入り込み、ネック(01)の先端下部は止め板(05)にあたって止まり、挿入位置が決まる。
【0018】
装着する際は
図4の押さえ板(04)とネックの段差部(12)を当てるようにしてその部分を軸に装着回転方向(14b)に少し回転すようにしてネック(01)を装着する。すると 固定ピン(14)が固定ピン穴(14a)に入りネック(01)の裏面がボディー溝(07)の底面に接してネック(01)の先端が止め板(05)にあたった状態で安定する。固定ピン穴(14a)の直径は固定ピン(14)とほぼ同じにするが、装着回転時の装着余裕と止め板(05)に突き当てるための余裕を持たせることでスムーズにセットできるようにする。
【0019】
固定ピン(14)によってネック(01)のブレがなくなりより安定することができる。太さの異なるネックでもこのピンの位置を合わせることで安定することができるので、ボディー溝(07)の幅より小さいウクレレやショートスケールのギターネックを使用する際に有用である。また、ピンを介してネック(01)からボディー(02)へと音声振動を伝える役割もある。尚、この固定ピン(14)は省略することもできる。
【0020】
またトップ板(03)とボディー(02)の間にはすき間(20b)があり、押さえ板(04)の周辺ではボディー(02)とトップ板(03)が接触しないような構造にすることでトップ板(03)がネック(01)の振動によってよく振動するような構造になっている。したがって電極固定板(20a)はボディー側に固定されており、トップ板(03)には接触していない。
【0021】
ネック(01)を挿入した後は、
図3のようにボディー(02)の裏面にある取付け金具(06)をネック(01)のフック(13)に引っ掛けて固定する。取付け金具(06)は図面の様に市販品のファスナー金具のようなバネを有する金具を用いる。同様の原理の金具であれば何でもよい。この取付け金具(06)により
図4の金具の引っ張り力(10):Fを発生しネック(01)がボディー(02)に固定される。
【0022】
取付け金具(06)は斜面(26)に取り付けられているので、金具の引っ張り力(10)FからFxとFzの分力が発生する。Fxの作用は押し込み力(08)を発生させネック(01)を止め板(05)に強く押し当てて安定させる作用である。Fzの作用でネックの段差部(12)に押上げ力(09)が発生するので、ネックの段差部(12)にある“押さえ板とのあたり面(25)”が押さ板(04)の下面に押し当てられる。この作用によりネック(01)の振動が押さえ板(04)に伝えられる。
図6にその部分を拡大している。
【0023】
この押さえ板(04)はトップ板(03)に接着されているので、ネック(01)の振動を効率よくトップ板(03)に伝えることができボディー(02)の空洞(37)で音が拡声され大きな音量が得られる。サウンドホール(35)は拡声された音声を外に鳴らすために開けられている。取付け金具(06)はバネが無いタイプの金具でも可能であるが、バネがある方がボディー(02)とネック(01)へのダメージも少なく調整も容易なのでバネを採用している。またバネによる音響の響きも得られるので音響効果としても有用である。
【0024】
ネック(01)を装着し止め板(05)にネック(01)の先端が当たっている状態では、ネックの段差部(12)において指板(11)と押さえ板(04)の間には隙間を設け、触れないようにしている。これは、Fxの働きはネック(01)をボディー(02)に固定することが主な目的であるので、隙間がなければFxの押さえる力が押さえ板(04)に妨げられネック(01)の固定が安定しないと同時にFzによって音をトップ板(03)に伝える働きも不安定になるから隙間が必要なのである。Fxによっても当然ながらボディー(02)に音は伝わるが、FxとFzのそれぞれの役割を分離すことによって双方の密着を確実なものにしてびびりを無くし、クリアに振動を伝えることができる。
【0025】
また、これらのFxによって止め板(05)を介してボディー(02)に伝わる音と、Fzによって押さえ板(04)を介してトップ板(03)に伝わる音が分離されているので響きのある音の効果も得られる。
【0026】
装着の際の
図5の様にネック高さ(16)Hとボディー(02)の溝深さ(23)Dの関係は、HをDよりもわずかに小さくすると装着しやすくできる。この部分の寸法は装着したときに押さえ板(04)とのあたり面が押さえ板(04)の下面に密着するように調整する。その際あたり面を斜めに削るなどしてもよい。
【0027】
以上のような構成によりネックとボディー(02)を裏側の取付け金具(06)を止めるだけでネック(01)をボディー(02)に簡単に装着することができ、良好な音質・音量を得ることができる。
【0028】
このボディー(02)のホロー構造はアコースティックギターのみならずエレキギターの場合にもあるが、空洞がないソリッド型のギターの場合にはトップ板(03)とボディー(02)が一体で空洞(37)が無い構造となり、この空洞がある場合と同様の方法によって実現することができる。
その場合にも押さえ板(04)を本実施例のようにボディー(02)のトップに張り付けるかボディー(02)を掘り込み構造をするかはどちらでもよい。また、押さえ板(04)を取り付ける場合には、押さえ板(04)の材質は木製、金属製、樹脂製など何でもよい。取付方法については接着剤、ねじ止めなど強度が得られる方法ならばそれでよい。
【0029】
本実施例ではブリッジ(15)の下にピエゾピックアップ(24)を組み込んでおり、ネック(01)を取り付けると同時にボディー側の回路に接続できる構造になっている。
【0030】
その接続する部分は
図1の接続箇所(33)にあたるが、この位置には
図5に示すように電極が設けられている。ネック側のピエゾピックアップ(24)から末端の電極の間にはネック内信号線(32)があり、信号線がネック信号電極(18)、アース線は穴付きアース電極(17)に接続されている。穴付きアース電極(17)には弦(21)が貫通する穴が弦の本数分あけられており、鉄弦の末端の弦止め(22)よりも穴が小さいので弦(21)が止まる構造である。これは同時にすべての弦(21)を電気的に接続する機能があり、穴付きアース電極(17)にアース配線を接続すればすべての弦を同時に接続することができる。
【0031】
このネック側にあるネック信号電極(18)と穴付きアース電極(17)に対応する個所にボディー側ではアース電極(19)と信号電極(20)がある。そのそれぞれの電極は巻きバネ構造をして伸縮式となっており、ネック(01)をボディー(02)に取り付けた際にアース電極(19)は穴付きアース電極(17)に、信号電極(20)はネック信号電極(18)に確実に接触する構造になっている。この構造は、巻きバネの代わりに板バネ電極、伸縮式のソケットコンタクト、コネクターなどを利用してもよい。このような構造にすることでネック(01)を取り付けると同時に電気的な配線も同時に接続でき、ミスすることなく簡単にエレアコギター、エレクトリックギターとしても使用することができる。
【0032】
また、マグネットピックアップを埋め込んだ場合にも同様の方法で電気的接続を同時に行うことが可能であり、その他にも音響制御信号、LED点灯信号など必要であれば同様の方法で電気配線の接続が可能になる。
【0033】
また、本特許の他の利用方法として、この取付部分のネック(01)、ボディー溝(07)、止め板(05)、押さえ板(04)、止め金具があれば、ボディーのタイプや形状や大きさに関係なくギターのネック(01)とボディー(02)をワンタッチで着脱できるギターを構築することができるので、持ち運び便利な今までにないアコースティックギター、エレキギター、ベースギター、ウクレレなどとして有用である。