特開2021-179586(P2021-179586A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-179586(P2021-179586A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】ネック分離可能なギター
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/095 20200101AFI20211022BHJP
   G10D 1/08 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
   G10D3/095
   G10D1/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-86376(P2020-86376)
(22)【出願日】2020年5月17日
(71)【出願人】
【識別番号】317002892
【氏名又は名称】濱本 員年
(72)【発明者】
【氏名】濱本 員年
【テーマコード(参考)】
5D002
【Fターム(参考)】
5D002AA05
5D002EE04
(57)【要約】
【課題】解決しようとする問題点は、ネックとボディーを容易に分解・組み立てが可能で、かつ、音質・音量の良好なギターを考案することにある。
【解決手段】本発明は、ボディー(02)とネック(01)を固定する方法として、ボディー溝(07)にネック(01)を差し込み、押さえ板(04)、止め板(05)、止め金具を用いて固定することによって、ワンタッチでネック(01)を着脱することができる。また、電気的な接続として、ネック(01)のピックアップの電気信号をネック側電極とボディー側電極を設けて、ネック(01)の組立てる時に接触してピックアップの信号もワンタッチで接続することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施例1に示すように、ボディー(02)のボディー溝(07)にネック(01)を差し込み、押さえ板(04)、止め板(05)、取付け金具(06)を用いることで螺子締め作業をすることなく、取付け金具(06)のワンタッチ操作でネック(01)をボディー(02)に取り付け・取り外しができるギター。
【請求項2】
請求項1のギターにおいて、ネック(01)のボディー(02)を装着する際にネックの端部に電極を設け、ボディー側の相対する位置に電極を設けて装着時に接触しピックアップなどの電気的接続を同時に行うことができるギター。
【請求項3】
請求項1、請求項2のギターにおいて、ネックの弦の種類を変更することで、ウクレレ、ベースギターなどを構築し、ギター同様にワンタッチでネック(01)とボディー(02)が組立・分解が可能でピックアップなど信号を接続することができるベースギター、ウクレレなどのギターに類する弦楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディーとネックを簡単に着脱することのできるギターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ギターはネックとボディーを分解すればコンパクトなサイズになり持ち運びが容易になる。そのため特殊な構造で弦を外さずに、ギターを折り曲げたり、分離したりする構造のギターが考案されている。しかしながら、ギターとネックの取り付け部分はネジ締めによって取り付ける方法が主であり、取り付けと取り外しに時間を要する。
【0003】
その中でも特許文献1の発明はネック部分にブリッジを有する構造とすることでネックに弦を装着したままボディーを分離することができるタイプのギターである。この場合は、ナットからブリッジまでがネック構造の剛体の一体構造であるので、分離・組み立てが容易であるが、ネックの固定にネジを用いていたので、時間を要していた。
【0004】
また、簡単に分解・組み立てができることは持ち運びや輸送に便利であるが、ネックとボディーの構造的密着度が悪くなるので高音質、大音量を得ることは難しくなる。
【0005】
したがって、本特許のようにネックとボディーが分離可能な構造でありながら、音質と音量が良好で、組み立て・分解が容易なギターはギター愛好家の欲するところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-132750
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、ネックとボディーを容易に分解・組み立てが可能で、かつ、音質・音量の良好なギターを考案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ボディー(02)とネック(01)を固定する方法をボディー溝(07)にネック(01)を差し込み、押さえ板(04)、止め板(05)、取付け金具(06)を用いて固定することによって、ワンタッチでネック(01)を着脱することができるギターに関する。また、その際にはピックアップを接続することが必要であるので、ネック(01)のピックアップなどの電線をボディー(02)に繋ぐ方法として、ボディー側に信号電極(20)とアース電極(19)を設けて、ネック側には相対する電極をネック信号電極(17)と穴付きアース電極(18)を設け、それを接触させることでネック(01)の組み立てと同時にボディー(02)とネック(01)の電気回路の接続も可能な機能を有する、分解可能なギターに関する。
【発明の効果】
【0010】
ギターのボディーとネックを簡単に分解・組立することができるので、持ち運びに便利なギターが実現できる。また 押さえ板(04)にネックの押さえ板とのあたり面(25)を密着することでネックの振動をボディーのトップ板(03)に直接伝えることができるので、音がボディーに効率よく伝わり、取付けがワンタッチで容易にできる上に良好な音質と音量が得られる。また、ネックを自由に交換できるので、普通の6 弦ギターの他に、12弦ギター、ベースギター、ウクレレなどのネックに取り換えて演奏することができる。更に、ネックの装着面に電極を有しているので接続と同時にネックのピックアップを作動させたり電源を供給したり必要によってはLEDを点灯することもできる。
そして、この構造は実施例では特許文献1に示されるタイプのギターについて述べているが、通常のギターの取り付け方法に転用することも容易であり、他のギタータイプの弦楽器のネックの固定方法として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の実施例としてのギターの全体図である。
図2図2は本発明のネック取付け部分の表面図である。
図3図3は本発明のネック取付け部分の背面図である。
図4図4は本発明のネック取付け部分の断面図である。
図5図5は本発明のネック取付け部分の説明図である。
図6図6は本発明のネック取付け状況の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施する方法としては、特許文献1のタイプのギターでの実施方法を示している。図1に本発明の実施例のギターの全体図を示す。このギターは基本的には通常のギターと同様の構造であるので、ヘッド(27)、ペグ(28)、ナット(29)、フレット(30)を有し、弦(21)を弾くことで音を発する。ボディー(02)にネック(01)が取り付けられ、ボディー(02)にサウンドホール(35)を有する。通常のギターではブリッジ(15)はボディー(02)に固定されているのに対して、本ギターはネック(01)に取り付けられている。そのため弦(21)を張ったままでもネック(01)とボディー(02)を分離することができる。
【0013】
このギターではピエゾピックアップ(24)がネック(01)のブリッジ(15)の下部に埋め込まれている。このピックアップの信号はネック(01)をボディー(02)に装着した際に接続箇所(33)に設置された電極を介してネック側からボディー側に送られる。
【0014】
その配線はピエゾピックアップ(24)からネック内信号線(32)、接続箇所(33)、ボディー内信号線(34)の順に接続される。ボディー内ではボディー内信号線(34)が2本ある。それは図1の通り、一本は接続箇所(33)からプリアンプ(31)まで、もう一本はプリアンプ(31)からジャック(36)までを接続しており、ピエゾピックアップ(24)の信号をプリアンプ(31)で増幅してジャック(36)へ出力する。プリアンプ(31)を使用せず接続箇所(33)からジャック(36)へ直接出力してもよい。それは容易なので図では省略する。
【0015】
この例ではボディーはホロータイプであり内部が空洞(37)のギターでの例を示しているがエレキギターの様な空洞のないソリッドボディータイプのギターでも適用できる。
【実施例】
【0016】
図2は、本発明のギターのネック接続部分の表面図、図3はネック接続部分の裏面図、図4はネック接続部分の断面図を示している。
【0017】
本ギターは図2のようにネック(01)をボディー溝(07)に差し込むようにして接続する構造になっている。その際にネックの段差部(12)が押さえ板(04)の下に入り込み、ネック(01)の先端下部は止め板(05)にあたって止まり、挿入位置が決まる。
【0018】
装着する際は図4の押さえ板(04)とネックの段差部(12)を当てるようにしてその部分を軸に装着回転方向(14b)に少し回転すようにしてネック(01)を装着する。すると 固定ピン(14)が固定ピン穴(14a)に入りネック(01)の裏面がボディー溝(07)の底面に接してネック(01)の先端が止め板(05)にあたった状態で安定する。固定ピン穴(14a)の直径は固定ピン(14)とほぼ同じにするが、装着回転時の装着余裕と止め板(05)に突き当てるための余裕を持たせることでスムーズにセットできるようにする。
【0019】
固定ピン(14)によってネック(01)のブレがなくなりより安定することができる。太さの異なるネックでもこのピンの位置を合わせることで安定することができるので、ボディー溝(07)の幅より小さいウクレレやショートスケールのギターネックを使用する際に有用である。また、ピンを介してネック(01)からボディー(02)へと音声振動を伝える役割もある。尚、この固定ピン(14)は省略することもできる。
【0020】
またトップ板(03)とボディー(02)の間にはすき間(20b)があり、押さえ板(04)の周辺ではボディー(02)とトップ板(03)が接触しないような構造にすることでトップ板(03)がネック(01)の振動によってよく振動するような構造になっている。したがって電極固定板(20a)はボディー側に固定されており、トップ板(03)には接触していない。
【0021】
ネック(01)を挿入した後は、図3のようにボディー(02)の裏面にある取付け金具(06)をネック(01)のフック(13)に引っ掛けて固定する。取付け金具(06)は図面の様に市販品のファスナー金具のようなバネを有する金具を用いる。同様の原理の金具であれば何でもよい。この取付け金具(06)により図4の金具の引っ張り力(10):Fを発生しネック(01)がボディー(02)に固定される。
【0022】
取付け金具(06)は斜面(26)に取り付けられているので、金具の引っ張り力(10)FからFxとFzの分力が発生する。Fxの作用は押し込み力(08)を発生させネック(01)を止め板(05)に強く押し当てて安定させる作用である。Fzの作用でネックの段差部(12)に押上げ力(09)が発生するので、ネックの段差部(12)にある“押さえ板とのあたり面(25)”が押さ板(04)の下面に押し当てられる。この作用によりネック(01)の振動が押さえ板(04)に伝えられる。図6にその部分を拡大している。
【0023】
この押さえ板(04)はトップ板(03)に接着されているので、ネック(01)の振動を効率よくトップ板(03)に伝えることができボディー(02)の空洞(37)で音が拡声され大きな音量が得られる。サウンドホール(35)は拡声された音声を外に鳴らすために開けられている。取付け金具(06)はバネが無いタイプの金具でも可能であるが、バネがある方がボディー(02)とネック(01)へのダメージも少なく調整も容易なのでバネを採用している。またバネによる音響の響きも得られるので音響効果としても有用である。
【0024】
ネック(01)を装着し止め板(05)にネック(01)の先端が当たっている状態では、ネックの段差部(12)において指板(11)と押さえ板(04)の間には隙間を設け、触れないようにしている。これは、Fxの働きはネック(01)をボディー(02)に固定することが主な目的であるので、隙間がなければFxの押さえる力が押さえ板(04)に妨げられネック(01)の固定が安定しないと同時にFzによって音をトップ板(03)に伝える働きも不安定になるから隙間が必要なのである。Fxによっても当然ながらボディー(02)に音は伝わるが、FxとFzのそれぞれの役割を分離すことによって双方の密着を確実なものにしてびびりを無くし、クリアに振動を伝えることができる。
【0025】
また、これらのFxによって止め板(05)を介してボディー(02)に伝わる音と、Fzによって押さえ板(04)を介してトップ板(03)に伝わる音が分離されているので響きのある音の効果も得られる。
【0026】
装着の際の図5の様にネック高さ(16)Hとボディー(02)の溝深さ(23)Dの関係は、HをDよりもわずかに小さくすると装着しやすくできる。この部分の寸法は装着したときに押さえ板(04)とのあたり面が押さえ板(04)の下面に密着するように調整する。その際あたり面を斜めに削るなどしてもよい。
【0027】
以上のような構成によりネックとボディー(02)を裏側の取付け金具(06)を止めるだけでネック(01)をボディー(02)に簡単に装着することができ、良好な音質・音量を得ることができる。
【0028】
このボディー(02)のホロー構造はアコースティックギターのみならずエレキギターの場合にもあるが、空洞がないソリッド型のギターの場合にはトップ板(03)とボディー(02)が一体で空洞(37)が無い構造となり、この空洞がある場合と同様の方法によって実現することができる。
その場合にも押さえ板(04)を本実施例のようにボディー(02)のトップに張り付けるかボディー(02)を掘り込み構造をするかはどちらでもよい。また、押さえ板(04)を取り付ける場合には、押さえ板(04)の材質は木製、金属製、樹脂製など何でもよい。取付方法については接着剤、ねじ止めなど強度が得られる方法ならばそれでよい。
【0029】
本実施例ではブリッジ(15)の下にピエゾピックアップ(24)を組み込んでおり、ネック(01)を取り付けると同時にボディー側の回路に接続できる構造になっている。
【0030】
その接続する部分は図1の接続箇所(33)にあたるが、この位置には図5に示すように電極が設けられている。ネック側のピエゾピックアップ(24)から末端の電極の間にはネック内信号線(32)があり、信号線がネック信号電極(18)、アース線は穴付きアース電極(17)に接続されている。穴付きアース電極(17)には弦(21)が貫通する穴が弦の本数分あけられており、鉄弦の末端の弦止め(22)よりも穴が小さいので弦(21)が止まる構造である。これは同時にすべての弦(21)を電気的に接続する機能があり、穴付きアース電極(17)にアース配線を接続すればすべての弦を同時に接続することができる。
【0031】
このネック側にあるネック信号電極(18)と穴付きアース電極(17)に対応する個所にボディー側ではアース電極(19)と信号電極(20)がある。そのそれぞれの電極は巻きバネ構造をして伸縮式となっており、ネック(01)をボディー(02)に取り付けた際にアース電極(19)は穴付きアース電極(17)に、信号電極(20)はネック信号電極(18)に確実に接触する構造になっている。この構造は、巻きバネの代わりに板バネ電極、伸縮式のソケットコンタクト、コネクターなどを利用してもよい。このような構造にすることでネック(01)を取り付けると同時に電気的な配線も同時に接続でき、ミスすることなく簡単にエレアコギター、エレクトリックギターとしても使用することができる。
【0032】
また、マグネットピックアップを埋め込んだ場合にも同様の方法で電気的接続を同時に行うことが可能であり、その他にも音響制御信号、LED点灯信号など必要であれば同様の方法で電気配線の接続が可能になる。
【0033】
また、本特許の他の利用方法として、この取付部分のネック(01)、ボディー溝(07)、止め板(05)、押さえ板(04)、止め金具があれば、ボディーのタイプや形状や大きさに関係なくギターのネック(01)とボディー(02)をワンタッチで着脱できるギターを構築することができるので、持ち運び便利な今までにないアコースティックギター、エレキギター、ベースギター、ウクレレなどとして有用である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、ギターにおいてネックとボディー分解組み立てをボルトを使わずにワンタッチでできるので、かさ張らず持ち運びが容易で良好な音質のギターが実現できる。ライブ演奏やリクリエーションに有用。荷姿を小さくできるので輸送コストを削減に有用である。また、ネックの種類をベースギター、ウクレレなどすれば、ネックを取り換えることで別の楽器として演奏できる。更に今回の実施例とは異なる一般的がギターのネック接続方法としても応用できる。
【符号の説明】
【0035】
01.ネック
02.ボディー
03.トップ板
04.押さえ板
05.止め板
06.取付け金具
07.ボディー溝
08.押し込み力
09.押上げ力
10.金具の引っ張り力
11.指板
12.ネックの段差部
13.フック
14.固定ピン
14a.固定ピン穴
14b.装着回転方向
15.ブリッジ
16.ネック高さ
17.穴付きアース電極
18.ネック信号電極
19.アース電極
20.信号電極
20a.電極固定板
20b.すき間
21. 弦
22.弦止め
23.溝深さ
24.ピエゾピックアップ
25.押さえ板とのあたり面
26.斜面
27.ヘッド
28.ペグ
29.ナット
30.フレット
31.プリアンプ
32.ネック内信号線
33.接続箇所
34.ボディー内信号線
35.サウンドホール
36.ジャック
37.空洞


図1
図2
図3
図4
図5
図6