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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-179736(P2021-179736A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ及び画像記録方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20211022BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20211022BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20211022BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   H04N5/77
   H04N7/18 J
   G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-84055(P2020-84055)
(22)【出願日】2020年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川見 亮太
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA01
3E138MA10
3E138MB08
3E138MC06
3E138MC20
3E138MD02
3E138ME10
5C054CA04
5C054CC02
5C054CH01
5C054EA01
5C054EA05
5C054EA07
5C054EG01
5C054FC01
5C054FC12
5C054FE05
5C054FE18
5C054FE25
5C054FE26
5C054FF03
5C054GB01
5C054GB05
5C054GD06
5C054GD09
5C054HA30
5H181AA01
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD07
5H181FF10
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】記憶容量を削減しつつ、煽り運転の状況を適確に記憶する技術を提供する。
【解決手段】第一車両の周囲を撮影する複数のカメラから夫々取得した複数の撮影画像の画質を低減させ、低画質画像を生成する画質低減部と、前記複数の撮影画像から夫々生成された前記低画質画像を記憶媒体に記憶させる低画質記録部と、前記複数の撮影画像に基づいて、第一車両の周囲を走行する第二車両の煽り運転を検出する煽り運転検出部と、前記煽り運転が検出された場合に、前記複数の撮影画像のうち、前記第二車両が撮影されている撮影画像を前記低画質画像よりも高い画質で記録媒体に記憶させる高画質記録部とを備えるドライブレコーダ。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一車両の周囲を撮影する複数のカメラから夫々取得した複数の撮影画像の画質を低減させ、低画質画像を生成する画質低減部と、
前記複数の撮影画像から夫々生成された前記低画質画像を記憶媒体に記憶させる低画質記録部と、
前記複数の撮影画像に基づいて、第一車両の周囲を走行する第二車両の煽り運転を検出する煽り運転検出部と、
前記煽り運転が検出された場合に、前記複数の撮影画像のうち、前記第二車両が撮影されている撮影画像を前記低画質画像よりも高い画質で記録媒体に記憶させる高画質記録部と、
を備えるドライブレコーダ。
【請求項2】
前記複数の撮影画像が、複数のフレームから構成される動画像であって、前記画質低減部が、各フレームの縦及び横のうち少なくとも一方の画素数を少なくするように各フレームを縮小する請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記画質低減部が、各フレームを縦方向にn分の1、横方向にm分の1に縮小し、縮小されたフレームを縦方向にn個、横方向にm個並べて一つのフレームに合成することで、複数の低画質画像から成る合成撮影画像を生成する画像合成部を更に備え、
前記低画質記録部が、前記合成撮影画像を前記記憶媒体に記憶させる請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記煽り運転が検出された場合、前記低画質記録部が前記低画質画像を前記記憶媒体に記憶させると共に、前記高画質記録部が、前記低画質画像とは別に前記第二車両が撮影されている撮影画像を前記低画質画像よりも高い画質で前記記憶媒体に記憶させる請求項1から3の何れか1項に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記画像合成部は、前記煽り運転が検出された場合、前記第二車両が撮影されている前記撮影画像から生成された前記低画質画像を単一色で一様な代用画像に変更し、前記第二車両が撮影されていない前記撮影画像から生成された前記低画質画像と前記代用画像とを合成して前記合成撮影画像を生成する請求項3に記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記高画質記録部が、前記第二車両が撮影された前記撮影画像を前記煽り運転の開始時点から終了時点まで前記記憶媒体に記憶させる請求項1から5の何れか1項に記載のドライブレコーダ。
【請求項7】
前記高画質記録部は、前記煽り運転が検出された場合、前記煽り運転が検出されてから所定の期間、前記第二車両が撮影された前記撮影画像を所定期間前記記憶媒体に記憶させる請求項1から5の何れか1項に記載のドライブレコーダ。
【請求項8】
前記煽り運転検出部は、前記撮影画像中の前記第二車両が第一条件を満たした場合に煽り運転候補として検出し、前記第一条件を満たした後、第二条件を満たした場合に前記煽り運転として検出し、
前記高画質記録部は、前記煽り運転候補が検出されたときに、前記第二車両が撮影されている撮影画像の前記記憶媒体への記憶を開始させ、前記煽り運転候補が検出されてから所定期間内に前記煽り運転が検出された場合、当該煽り運転が検出されなくなるまで前記撮影画像の記憶を継続させ、前記煽り運転候補が検出されてから所定期間内に前記煽り運転が検出されなければ、前記煽り運転候補が検出されたときに記憶を開始させた前記撮影画像を前記記憶媒体から消去する請求項1から5の何れか1項に記載のドライブレコーダ
【請求項9】
第一車両の周囲を撮影する複数のカメラから夫々撮影画像を取得するステップと、
前記複数のカメラから取得した複数の撮影画像の画質を低減させ、低画質画像を生成するステップと、
前記複数の撮影画像から夫々生成された前記低画質画像を記憶媒体に記憶させるステップと、
前記複数の撮影画像に基づいて、第一車両の周囲を走行する第二車両の煽り運転を検出するステップと、
前記煽り運転が検出された場合に、前記複数の撮影画像のうち、前記第二車両が撮影されている撮影画像を前記低画質画像よりも高い画質で記録媒体に記憶させるステップと、をコンピュータが実行する画像記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダ及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の周辺を撮影して画像データを生成し、前記画像データを所定の圧縮方式にて圧縮して圧縮画像データを第1メモリに記憶させ、所定の事象が発生したことを契機として、圧縮画像データの記憶先を第1メモリから第2メモリに切り替えて前記圧縮画像データを記憶させる車両用画像処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−190536号公報
【特許文献2】特開2015−22637号公報
【特許文献3】特開2003−219412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路を走行する車両に対し、後方から異常接近してクラクションを鳴らす、パッシングを行う、または、その他の運転方法で威嚇する等の所謂煽り運転が社会的な問題となっている。煽り運転を受けたときの対策として、ドライブレコーダによって、煽り運転を行っている車両を撮影して記録に残すことが考えられる。しかしながら、煽り運転は、側方からの幅寄せや、前方に割り込んだ後に急ブレーキを掛ける等、種々の方向で行われるため、例えば前方だけを撮影するドライブレコーダでは、充分に状況を記録することができなかった。
【0005】
これに対し、車両の前後左右を撮影する複数のカメラを備え、車両の全周囲の画像を記録する装置も提案されているが、全周囲の画像を記録し続けるには多大な容量の記憶媒体が必要になるという問題がある。特に、煽り運転はある程度の時間継続して行われるため、衝突事故の記録と比べて長い時間継続して記録に残す場合があり得る。更に、衝突事故の記録を残すのであれば、衝突時の衝撃を加速度センサ等で検出して、この時に撮影された画像が上書きされないように保存すればよい。しかし、煽り運転は単純に検出できるものではなく、適切に記録を残せないことも起こり得る。
【0006】
そこで、本発明は、記憶容量を削減しつつ、煽り運転の状況を適確に記憶する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るドライブレコーダは、
第一車両の周囲を撮影する複数のカメラから夫々取得した複数の撮影画像の画質を低減させ、低画質画像を生成する画質低減部と、
前記複数の撮影画像から夫々生成された前記低画質画像を記憶媒体に記憶させる低画質記録部と、
前記複数の撮影画像に基づいて、第一車両の周囲を走行する第二車両の煽り運転を検出する煽り運転検出部と、
前記煽り運転が検出された場合に、前記複数の撮影画像のうち、前記第二車両が撮影されている撮影画像を前記低画質画像よりも高い画質で記録媒体に記憶させる高画質記録部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記憶容量を削減しつつ、煽り運転の状況を適確に記憶する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ドライブレコーダを搭載した車両の概略構成図である。
図2】ドライブレコーダのハードウェア構成を示す図である。
図3】合成撮影画像の一例を示す図、
図4】煽り運転を検出する条件を示す図である。
図5】ドライブレコーダが、撮影画像を取得して低画質画像を記録する処理のフローを示す図である。
図6】ドライブレコーダが、煽り運転候補を検出する処理のフローを示す図である。
図7】ドライブレコーダが、煽り運転を行っている他車両を検出する処理のフローを示す図である。
図8】低画質画像を代用画像に変更する例を示す図である。
図9】変形例2に係るドライブレコーダが、煽り運転を行っている他車両を検出する処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈第一実施形態〉
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のドライブレコーダを搭載した車両の概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、車両2には、ドライブレコーダ10、複数のカメラ20、及びセンサ30等が備えられている。
【0012】
複数のカメラ20としては、車両2の前方を撮影するフロントカメラ21、車両2の後方を撮影するリヤカメラ22、車両2の左方を撮影するレフトカメラ23、及び車両2の右方を撮影するライトカメラ24が設けられている。各カメラ21〜24は、夫々が180°程度の画角で撮影を行うことで、車両2の全周囲を撮影できるようにしている。なお、これらのカメラを区別して説明する場合には、符号21〜24を用い、これらのカメラについて区別なく説明する場合には符号20を用いる。カメラ20の台数は、4台に限らず、2〜3台又は5台以上であってもよい。なお、カメラ20は、ドライブレコーダ10のためだけに設けられたものに限らず、他のシステムと兼用するものであってもよい。例えば、衝突被害軽減ブレーキシステム、レーントレーシングアシストシステム、又はアダプティブクルーズコントロールシステムのカメラがフロントカメラ21として用いられてもよい。また、サイドミラーやバックミラーの代わりに設けられるカメラモニタリングシステムのカメラが、リヤカメラ22、レフトカメラ23、又はライトカメラ24として用いられてもよい。本実施形態では、車両2の周囲を多視点で表示するシステム、いわゆるパノラミックビューモニタシステムのカメラが各カメラ21〜24として用いられている。
【0013】
センサ30は、車両2の状態、又は車両2の周囲を走行する他車両3の状態を検出するデバイスである。センサ30は、例えば、車速センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、走行距離を検出するセンサ、ブレーキの動作状態を検出するセンサ(ブレーキセンサ)、ミリ波レーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging)、マイク等が挙げられる
【0014】
ドライブレコーダ10は、複数のカメラ20で撮影した撮影画像を記憶媒体に記憶させて、走行状況の記録を残す装置である。本実施形態のドライブレコーダ10は、車両2の周囲を監視し、煽り運転を行う他車両3を検出した場合(煽り検出時)と、検出していない場合(通常時)とで撮影画像の記録手法を異ならせている。例えば、ドライブレコーダ10は、通常時、4台のカメラ20から取得した撮影画像の画像サイズを4分の1に縮小し、4つの画像を田の字状に合成して一つの撮影画像(合成画像)として記憶媒体に記憶させる。そして、煽り運転を検出した場合、ドライブレコーダ10は、4台のカメラ20から取得した撮影画像のうち、煽り運転を行っている他車両3が写った撮影画像を合成画像とは別に、画像サイズを縮小せずに記憶媒体に記憶させる。これにより、ドライブレコーダ10は、通常時の記憶容量を抑えつつ、煽り検出時には通常時よりも高画質の撮影画像を記録して、煽り運転を行った他車両3を詳細に確認できるようにしている。この場合、画質は、単位面積当たりの画素数で示される相対解像度(画素密度)や、被写体が画像上でどこまで精細に判別できるかを示す物理的解像度であってもよい。また、煽り検出時の画質と通常時の画質の違いは、画素数の差異に限らず、圧縮アルゴリズムやフレームレートの差異であってもよい。即ち、煽り検出時は、圧縮の程度を低く或いはフレームレートを高く設定して情報量(データ量)を多くし、通常時は圧縮の程度を高く或いはフレームレートを低く設定して情報量を少なくする。なお、ドライブレコーダ10は、走行中の撮影画像を記録する独立した装置であっても、ナビゲーション装置等、他の装置に組み込まれたものであってもよい。更に、ドライブレコーダ10は、ナビゲーションを行う機能部に加えて、CDやDVD、半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたデータを読み出して、音響信号を再生するオーディオ機能部、及び動画の再生やテレビ放送の表示といったビジュアル機能部を備えたオーディオ・ビジュアル・ナビゲーション一体型の電子機器(AVN機とも称す)であっても良い。
【0015】
ドライブレコーダ10は、煽り運転を検出し、この検出結果に応じて、撮影画像を記憶媒体に記憶させる処理を行う情報処理装置(コンピュータ)である。図2は、ドライブレコーダ10のハードウェア構成を示す図である。図2に示す構成は、ドライブレコーダ10が、ナビゲーション装置等の他の装置に組み込まれる場合、当該装置に用いられるマイコン(microcomputer)等によって実現される。
【0016】
ドライブレコーダ10は、車両2に搭載されるコンピュータであって、制御部101と、記憶部102と、表示部103と、入出力部104と、通信部105とを備える。
【0017】
制御部101は、ドライブレコーダ10全体の動作を制御し、ドライブレコーダ10が有する各種の機能を実現する。制御部101は、例えば、プロセッサ及びメモリを備える。プロセッサは、ドライブレコーダ10の動作を統括的に制御する。プロセッサは、CPU又はMPU等とも呼ばれる。メモリは、例えばROM及びRAMである。ROMは、各種プログラム又はデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラム又はデータ一時的に記憶する記憶媒体である。RAMは、プロセッサから直接アクセス可能とし、メインメモリとして機能してもよい。
【0018】
記憶部102は、HDD、SSD又はメモリカードなどの記憶媒体である。記憶部102は、制御部101の外部記憶装置として機能する。記憶部102は、オペレーティングシステム、アプリケーションソフトウェア(プログラム)、及び撮影画像等を記憶する。表示部103は、情報を表示する手段であり、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等である。表示部103は、車内に設けられ、車内の乗員に対して表示を行う。
【0019】
入出力部104は、制御部101に対する情報の入出力を行う手段であり、例えば、ユーザからの操作の受け付け及びユーザへの情報の出力を行う手段であり、例えば、センサ30、カメラ21〜24、ボタン、タッチパネル、マイク、及びスピーカ等である。通信
部105は、通信回線を介して外部装置と通信を行うための通信インタフェースである。通信部105は、通信ネットワークを介して通信を行うものの他、他の装置と直接通信を行うものなど、複数の通信インタフェースを備えてもよい。
【0020】
制御部101は、プロセッサが、RAMをワークエリア(作業領域)とし、ROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。このプログラムを実行することにより、制御部101は、画質低減部111、画像合成部112、低画質記録部113、煽り運転検出部114、高画質記録部115等の機能部として機能する。制御部101は、これら複数の機能部の機能を複数のプロセッサ又は単一のプロセッサに含まれる複数のコアによって、それぞれ実現してもよい。また、制御部101は、これら複数の機能部の機能をマルチタスク又はマルチスレッドといった技術で単一のプロセッサが実現してもよい。
【0021】
画質低減部111は、自車両(第一車両)2の周囲を撮影する複数のカメラ20から夫々取得した複数の撮影画像の画質を低減させ、低画質画像を生成する。本実施形態において、複数のカメラ20が撮影する撮影画像は、複数のフレームから構成される動画像である。画質低減部111は、各フレームの縦及び横のうち少なくとも一方の画素数を少なくするように各フレームを縮小する。
【0022】
画像合成部112は、画質低減部111で画質を低減させた複数の撮影画像を合成して一つの合成撮影画像を生成する。例えば、図3に示すように、画質低減部111が、複数のカメラ20から取得したオリジナル画像50の各フレーム51を縦方向にn分の1、横方向にm分の1に縮小した場合に、画像合成部112は、縮小されたフレーム52を縦方向にn個、横方向にm個並べて一つのフレームに合成することで、合成撮影画像53を生成する。
【0023】
低画質記録部113は、画像合成部112によって合成された低画質画像(合成撮影画像)をメモリカード等の記憶媒体に記憶させる。また、低画質記録部113は、合成撮影画像を所定の撮影時間(例えば3分)毎に一つのファイルとして記憶媒体に記憶させる。低画質記録部113は、記憶媒体に新たなファイルを書き込む空き容量がなくなった場合、当該記憶媒体に記憶されている低画質画像のファイルのうち、撮影時刻が最も古いものを上書きして新しいファイルを記憶させる。なお、本実施形態では、合成後の低画質画像(合成撮影画像)をメモリカードに記憶させる構成としたが、これに限らず、画像合成部112を省略し、画質低減部111で生成した低画質画像のファイルを合成せずにメモリカード等の記憶媒体に記憶させる構成としてもよい。
【0024】
煽り運転検出部114は、複数のカメラ20から取得した撮影画像及びセンサ30によって検出した情報に基づいて、自車両2の周囲を走行する他車両(第二車両)3の煽り運転を検出する。
【0025】
高画質記録部115は、煽り運転が検出された場合に、複数のカメラ20から取得した撮影画像のうち、煽り運転を行っている他車両3が写っている撮影画像を合成撮影画像(低画質画像)よりも高い画質で記録媒体に記憶させる。
【0026】
〈煽り運転の検出処理〉
図4は、煽り運転を検出する条件を示す図である。ドライブレコーダ10の煽り運転検出部114は、撮影画像から求めた情報及びセンサ30によって検出した情報が図4に示す条件を満たした場合に、煽り運転が行われていることを検出する。なお、図4では、説明の便宜上、各条件を自然言語で記載したが、制御部101が情報処理に用いる言語で記載され得る。
【0027】
図4の例では、自車両2が所定の速度(例えば30km/h)以上で走行しているときに、後続の他車両3との車間距離が所定値(例えば5m)未満であることを第一条件とし、この第一条件を満たした状態で500m以上走行することを第二条件としている。煽り運転検出部114は、第一条件を満たした他車両3を煽り運転候補として検出し、第二条件を満たした場合に煽り運転として確定する。
【0028】
この場合、煽り運転検出部114は、リヤカメラ22が撮影した撮影画像からパターンマッチングによって、後続の車両3を特定し、自車両2の後端から他車両3までの画像上の距離をリヤカメラ22の画角等の仕様に基づいて実際の車間距離に換算する。なお、撮影画像から他車両3を特定する処理や、画像上の距離を実際の距離に換算する処理は、公知の技術を用いることができるため、詳細な説明を省略する。また、車間距離は、レーダーやLiDARによって求めてもよい。この車間距離が6m未満であって、車速センサで検出した自車両2の車速が30km/h以上であれば、煽り運転検出部114は、他車両3を煽り運転候補として検出する。また、煽り運転検出部114は、他車両3を特定する処理を繰り返し行って他車両3を追跡し、他車両3が継続して第一条件を満たしている間に、センサ30で検出した自車両2の走行距離が500m以上となった場合、他車両3が煽り運転を行っていると検出する。
【0029】
同様に、煽り運転検出部114は、自車両2が30km/h以上で走行しているときに、後続の他車両3との車間距離が4m未満であることを第一条件とし、この第一条件を満たした状態でクラクションを鳴らしたことを第二条件として煽り運転を検出する。
【0030】
また、煽り運転検出部114は、レフトカメラ23又はライトカメラ24で撮影した撮影画像から並走する他車両3を特定し、並走する他車両3との距離が所定値(2m)未満であることを第一条件とし、この第一条件を満たした状態で所定距離(例えば200m)以上走行したことを第二条件として煽り運転を検出する。
【0031】
更に、煽り運転検出部114は、各カメラ21〜24で撮影した撮影画像から他車両3を特定し、自車両2の直後を走行していた他車両3が、自車両2を追い越した後、自車両の直前(例えば20m以内)に車線変更したことを第一条件とし、第一条件を満たした後、所定時間(例えば10秒)以内にブレーキをかけたことを第二条件として煽り運転を検出する。なお、他車両3がブレーキをかけたことは、例えば、センサ30によって自車両2に対する他車両3の相対速度を求め、この相対速度が所定時間内に所定値以上低下した場合にブレーキをかけたと判定する。また、この相対速度の変化に加えて、撮影画像から他車両3のブレーキランプが点灯したことや、自車両2が加速していないことを検出した場合にブレーキをかけたと判定してもよい。
【0032】
〈画像記録方法〉
次に、図5図7を用いて、ドライブレコーダ10が、実行する画像記録方法について説明する。図5は、ドライブレコーダ10が、撮影画像を取得して低画質画像を記録する処理のフローを示す図である。ドライブレコーダ10は、電源が投入(ON)された場合に図5の処理を開始し、電源が遮断(OFF)されるまで、所定周期で繰り返し実行する。
【0033】
ステップS10にて、ドライブレコーダ10は、複数のカメラ20で撮影した撮影画像を取得する。なお、各カメラ20は、図5の処理とは別に起動中常に撮影を行っているので、撮影画像をメモリのバッファとして用いる領域に格納する。なお、撮影画像を格納するメモリは、パノラミックビューモニタシステム等の他の装置に備えられたメモリであってもよいし、ドライブレコーダ10の制御部101内のメモリであってもよい。そして、ドライブレコーダは、図5の処理を周期的に実行し、ステップS10において、バッファ
領域から一周期で処理する各撮影画像のフレームを取得する。
【0034】
ステップS20にて、ドライブレコーダ10は、ステップS10で取得した撮影画像から、各フレームの縦のサイズをn分の1、横のサイズをm分の1に縮小した低画質画像を生成する。
【0035】
ステップS30にて、ドライブレコーダ10は、ステップS20で縮小されたフレームを縦方向にn個、横方向にm個並べて一つのフレームに合成することで、合成撮影画像を生成する。本実施形態において、ドライブレコーダ10は、縮小されたフレームを縦方向と横方向に2個ずつ並べて一つのフレームに合成する。
【0036】
ステップS40にて、ドライブレコーダ10は、ステップS30で生成した合成撮影画像をメモリカード等の記憶媒体に記憶させる。
【0037】
図6は、ドライブレコーダ10が、煽り運転候補を検出する処理のフローを示す図である。ドライブレコーダ10は、電源が投入(ON)された場合に図5の処理と並行して図6の処理を開始し、電源が遮断(OFF)されるまで、所定周期で繰り返し実行する。
【0038】
ステップS50にて、ドライブレコーダ10は、ステップS10で取得した撮影画像から、自車両2の周囲を走行している他車両3を特定する。
【0039】
ステップS60にて、ドライブレコーダ10は、ステップS50で特定した各他車両3について、撮影画像及びセンサ30で検出した情報に基づき、図4に示した第一条件を満たすか否かを判定する。第一条件を満たす他車両3が一台もなければ(S60、No)、ドライブレコーダ10は、図6の処理を終了する。
【0040】
一方、第一条件を満たした他車両3があれば(S60、Yes)、ドライブレコーダ10は、ステップS70へ移行し、第一条件を満たした他車両3を煽り運転候補として検出する。
【0041】
ステップS80にて、ドライブレコーダ10は、ステップS70で検出した煽り運転候補の他車両3が写っている撮影画像を低画質画像よりも高い画質の高画質画像として記録媒体に記憶させる処理を開始させる。なお、ドライブレコーダ10は、ステップS80で撮影画像の記憶を開始させた後は、撮影画像を記憶させる処理を図6とは独立して行い、後述する処理(図7)で記憶の終了を決定するまで継続する。
【0042】
ドライブレコーダ10は、例えば、カメラ20から取得した撮影画像の画像サイズを維持したまま記憶媒体に記憶させることで、ステップS20で画像サイズを縮小した低画質画像よりも高い画質としている。なお、高画質画像を記憶させる場合、ドライブレコーダ10は、カメラ20から取得した撮影画像を非圧縮で記憶させることに限らず、Huffyuv
等の可逆圧縮を行ったファイル形式で記憶させてもよい。更に、低画質画像よりも高い画質を確保できれば、MPEG等の非可逆圧縮を行ったファイル形式で高画質画像を記憶させてもよい。なお、ドライブレコーダ10は、高画質画像を記憶させる場合、高画質画像を所定の時間(例えば3分)毎に区切って記憶媒体に記憶させる。
【0043】
図7は、ドライブレコーダ10が、煽り運転を行っている他車両3を検出する処理のフローを示す図である。ドライブレコーダ10は、図6の処理で煽り運転候補が検出された場合に、図7の処理を図6の処理と並行して行う。
【0044】
ステップS110にて、ドライブレコーダ10は、図6のステップS70で検出した煽
り運転候補の他車両3が、第一条件を継続して満たしているか否かを判定する。ステップS110で肯定判定であれば、ドライブレコーダ10は、ステップS120へ移行し、煽り運転候補の他車両3が、図4に示す第二条件を満たしたか否かを判定する。
【0045】
ステップS120で肯定判定であれば、ドライブレコーダ10は、ステップS130へ移行し、図6のステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像(煽り運転候補を写した撮影画像)の削除や上書きを禁止し、煽り運転を撮影した画像として保存させる。削除や上書きの禁止は、ファイルの属性情報として記録してもよいし、ファイル名で煽り運転を撮影した撮影画像を区別できるようにし、このファイル名のファイルをドライブレコーダ10が削除及び上書きしないこととしてもよい。
【0046】
なお、ステップS120にて、否定判定となった場合、ドライブレコーダ10は、ステップS135へ移行し、煽り運転候補が検出されてから第二条件を満たさない状態で所定期間経過したか否かを判定する。ステップS135で肯定判定であれば、ドライブレコーダ10は、ステップS137へ移行し、図6のステップS70で検出した煽り運転候補を取り消し、ステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像を削除する。一方、ステップS135で否定判定であれば、ドライブレコーダ10は、ステップS140へ移行し、他車両3が、煽り運転を行なっていたものか否かを判定する。ステップS140で否定判定であれば、ドライブレコーダ10は、図7の処理を終了する。一方、ステップS140で肯定判定の場合、即ち、煽り運転していた他車両3が煽り運転を行わなくなった場合、ドライブレコーダ10は、ステップS150へ移行し、図6のステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像の記憶を終了させる。
【0047】
また、ステップS110にて、否定判定となった場合、ドライブレコーダ10は、ステップS160へ移行し、他車両3が、煽り運転を行なっていたものか否かを判定する。ステップS160で否定判定であれば、当該他車両3は、煽り運転を行うことなく候補から外れたことになるので、ドライブレコーダ10は、ステップS170へ移行し、図6のステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像を削除する。一方、ステップS160で肯定判定であれば、ドライブレコーダ10は、ステップS150へ移行し、図6のステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像の記憶を終了させる。
【0048】
〈実施形態の効果〉
上述のように、本実施形態によれば、通常時は、複数のカメラ20から取得した撮影画像を例えば画像サイズを縮小した低画質画像として記録し、煽り運転検出時には、煽り運転を行っている他車両3を写した撮影画像を高画質画像として記憶媒体に記憶させる。これにより、本実施形態のドライブレコーダ10は、煽り運転が行われていないときの記憶容量を削減しつつ、煽り運転が行われた場合には、煽り運転の状況を適確に記憶することができる。
【0049】
また、本実施形態のドライブレコーダ10は、複数のカメラ20から取得した撮影画像の各フレームを縦方向にn分の1、横方向にm分の1に縮小し、縮小されたフレームを縦方向にn個、横方向にm個並べて一つのフレームに合成する。これにより、複数の撮影画像のデータ量をほぼ一つ分に抑えることができる。また、複数の撮影画像を一つの画面に一覧表示できるので、煽り運転が行われたとき等に、自車両2の周囲の状況を確認することが容易になる。
【0050】
本実施形態のドライブレコーダ10は、低画質画像とは別に高画質画像を煽り運転が行われたときのみ記憶させるので、高画質画像の画質等の仕様を任意に設定でき、煽り運転の状況を確認するのに十分な仕様とすることができる。
【0051】
本実施形態のドライブレコーダ10は、他車両3が第一条件を満たした場合に煽り運転候補として検出して高画質画像の記憶を開始させる。その後、他車両3が第二条件を満たした場合に、ドライブレコーダ10は、当該他車両3を映した高画質画像を保存することを確定し、当該他車両3が第二条件を満たさなくなるまで当該他車両3を映した高画質画像を記憶させる。これにより、煽り運転の開始時点から終了時点までの画像を適切に記録することができる。一方、他車両3が第一条件を満たした場合であっても、第一条件を満たしたときから所定期間のうちに第二条件を満たさない場合には、煽り運転候補を取り消し、高画質画像を保存しない。これにより、不要な画像を保存することを抑制できる。すなわち、第一条件は、他車両の第一の振る舞い(運転状況)から煽り運転候補を検出する条件ということができる。また、第二条件は、第一条件下での他車両の第二の振る舞い(運転状況)から煽り運転候補を煽り運転に確定する条件ということができる。
【0052】
〈変形例1〉
前述の実施形態では、煽り運転が行われている間、低画質画像とは別に高画質画像を記憶させる。この場合、低画質画像の一つが、高画質画像と重複する。このため、本変形例1のドライブレコーダ10は、煽り運転が行われている間、高画質画像と重複する低画質画像を代用画像に変更する。
【0053】
図8は、低画質画像を代用画像に変更する例を示す図である。図8では、通常時、各カメラ21〜24から取得した撮影画像の各フレーム51を縮小して縮小フレーム52A〜52Dとし、これらを合成して合成撮影画像53を生成している。
【0054】
そして、煽り運転が行われ、ライトカメラ24で撮影した撮影画像に煽り運転を行った他車両3が写っている場合、この撮影画像59が高画質画像として記憶される。この場合、ライトカメラ24で撮影した撮影画像59から生成された縮小フレーム(低画質画像)52Dを単一色で一様な代用画像(図8ではベタ黒画像)55に変更し、他車両3が撮影されていない撮影画像から生成された縮小フレーム52A〜52Cと代用画像55とを合成して変更後の合成撮影画像56を生成する。
【0055】
本変形例のドライブレコーダ10は、図6のステップS70で煽り運転候補を検出した場合に、ステップS80で他車両を撮影した高画質画像54の記憶を開始させると共に、他車両3が撮影されていない撮影画像から生成された縮小フレームと代用画像55とを合成した変更後の合成撮影画像56を生成し、記憶媒体への記憶を開始させる。即ち、この時点では、図5の処理により、各カメラ21〜24から取得した撮影画像の各フレームを縮小し、これらを合成した合成撮影画像53と並行して、変更後の合成撮影画像56が記憶媒体に記憶される。
【0056】
そして、図7のステップS120で煽り運転が行われたことを検出した場合、ドライブレコーダ10は、ステップS130へ移行し、図6のステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像54の削除や上書きを禁止し、煽り運転を撮影した画像として保存させる。これと共に、ドライブレコーダ10は、高画質画像と重複する低画質画像を含む合成撮影画像53を記憶媒体から削除して、変更後の合成撮影画像56を保存させる。
【0057】
このように本変形例によれば、煽り運転の検出時に、高画質画像54と重複する低画質画像を単一色で一様な代用画像に変更するので、合成撮影画像56のデータ量を抑えられ、煽り運転の検出時に使用される記憶容量を抑制できる。
【0058】
〈変形例2〉
前述の実施形態では、煽り運転を行った他車両3を検出した場合、当該車両が第二条件を満たさなくなった場合に高画質画像の記憶を終了させたが、これに限らず、煽り運転を
検出した時点から所定時間後に高画質画像54の記憶を終了させてもよい。
【0059】
図9は、本変形例において、ドライブレコーダ10が、煽り運転を行っている他車両3を検出する処理のフローを示す図である。なお、ステップS110〜S137,S150の処理は、図7と同じである。
【0060】
ステップS130で高画質画像を保存させた後、ドライブレコーダ10は、ステップS140Aへ移行し、他車両3がステップS120で第二条件を満たすと最初に判定された時点から、所定時間(例えば6分)が経過したか否かを判定する。
【0061】
ステップS140Aで否定判定であれば、ドライブレコーダ10は、図9の処理を終了し、肯定判定であれば、図6のステップS80で記憶媒体への記憶を開始させた高画質画像の記憶を終了させる。なお、高画質画像の記憶を終了させた場合でも、他車両3が煽り運転を行っている場合には、図7及び図9の処理により、あらためて高画質画像の記憶が開始され、他車両3が煽り運転を行わなくなるまで高画質画像が記憶される。
【0062】
このように本変形例によれば、煽り運転の開始から終了までの画像を適切に記録することができる。
【符号の説明】
【0063】
2:車両(自車両)
3:他車両
10 :ドライブレコーダ
20 :カメラ
21 :フロントカメラ
22 :リヤカメラ
23 :レフトカメラ
24 :ライトカメラ
30 :センサ
101 :制御部
102 :記憶部
103 :表示部
104 :入出力部
105 :通信部
111 :画質低減部
112 :画像合成部
113 :低画質記録部
114 :運転検出部
115 :高画質記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9