【解決手段】キーボード装置は、上面に第1ユニット及び第2ユニットが載置され、前記第1ユニット及び前記第2ユニットを前記上面上で相対移動可能な状態で支持したベース部材と、前記第1ユニット及び前記第2ユニットを、前記第1側面と前記第2側面とが前後方向に位置ずれした状態で噛合いした収納位置と、前記収納位置から円弧を描くように互いに同一方向に相対的に旋回移動させることで、前記第1側面と前記第2側面とが前後方向に位置ずれしない状態で噛合いし、両ユニットが左右に並んで1つのキーボードを形成する使用位置と、との間で相対移動させる駆動部と、前記ベース部材の上面に露出した操作部を有し、該操作部を操作して前記駆動部を動作させることで、前記第1ユニット及び前記第2ユニットを前記使用位置と前記収納位置との間で移動させる操作部材と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るキーボード装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、一実施形態に係るキーボード装置10を収納形態とした状態での平面図である。
図2及び
図3は、キーボード装置10を
図1に示す収納形態から
図4に示す使用形態に変化させている途中の動作状態を示す平面図である。
図4は、キーボード装置10を使用形態とした状態での平面図である。本実施形態のキーボード装置10は、タブレット型PCやスマートフォン等の携帯用情報機器に用いる外付けキーボードである。キーボード装置10は、このような外部機器である携帯用情報機器に対して、例えば近距離無線通信規格(例えばBluetooth(登録商標))を利用して接続される。キーボード装置10は、USB準拠のコネクタ等を用いて有線で携帯用情報機器に接続される構成としてもよい。
【0022】
図1〜
図4に示すように、キーボード装置10は、第1ユニット11と、第2ユニット12と、ベース部材14と、を備える。以下、キーボード装置10について、
図4に示す使用形態で操作するユーザから見た方向を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下と呼んで説明する。
【0023】
キーボード装置10は、一般的なフルサイズのキーボードを左右に分割し、分割した一方を第1ユニット11、分割した他方を第2ユニット12とし、両者をベース部材14の上面14a上で移動可能に支持したものである。ユニット11,12は、それぞれ
図1に示す収納位置と
図4に示す使用位置との間を移動可能である。これによりキーボード装置10は、外形が縮小した収納形態(
図1参照)と、外形が拡大した使用形態(
図4参照)と、に変化可能である。収納形態は、持ち運びやバッグ等への収納が容易である。使用形態は、フルサイズのキーボードとして快適なタイピングが可能である。
【0024】
第1ユニット11は、キーボード装置10の左側部分を構成する。第1ユニット11は、複数のキートップ16からなるキートップ群と、第1ユニットベース18とを有する。
【0025】
各キートップ16は、各キーの操作面となる部分であり、第1ユニットベース18に昇降可能に支持されている。各キートップ16の支持構造は、公知の構成でよい。すなわち、各キートップ16は、例えば第1ユニットベース18内に設けられた図示しないラバードーム及びシザー機構を介して昇降する。各キートップ16,16間のピッチは、例えば18〜19mm程度のフルサイズに設定されている。
【0026】
第1ユニット11は、複数のキートップ16が左右に並んだ列を前後方向に複数並べた構成である。本実施形態では、後側から前側に向かって順に第1列16a、第2列16b、第3列16c、第4列16d、第5列16e、第6列16fが設けられている。各列16a〜16fは、最も左側に配置されたキートップ16の左側面が前後方向に一直線に並んでいる。各列16a〜16fは、最も右側に配置されたキートップ16が第1列16aから第6列16fに向かって、キートップ16の1又は2個の左右幅程度ずつ次第に右側に位置ずれしながら階段状に並んでいる。
【0027】
本実施形態の場合、第1列16aは、主としてESCキーやファンクションキーとして機能する4個のキートップ16を左右に配列している。第2列16bは、主として数字キーとして機能する5個のキートップ16を左右に配列している。第3列16cは、主としてTabキーやアルファベットキーとして機能する6個のキートップ16を左右に配列している。第4列16dは、主としてCapsLockキーやアルファベットキーとして機能する7個のキートップ16を左右に配列している。第5列16eは、主としてShiftキーやアルファベットキーとして機能する8個のキートップ16を左右に配列している。第6列16fは、主としてFnキー、Ctrlキー、Altキーやスペースキーとして機能する7個のキートップ16を左右に配列している。各列16a〜16fでのキートップ16の配列や設置数は適宜変更可能である。
【0028】
本実施形態のキーボード装置10は、ポインティングスティック15を備える。ポインティングスティック15は、キーボード装置10の接続先の携帯用情報機器のディスプレイに表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するための入力装置であり、マウスの代わりとして操作できる。ポインティングスティック15は、第1ユニット11に設けられ、例えば第4列16dと第5列16eとの間に配置されている。
【0029】
第1ユニットベース18は、表面18a、前側面18b、後側面18c、左側面18d及び右側面18eで形成された箱状の筐体であり、その底面がベースプレート18f(
図6参照)で塞がれている。第1ユニットベース18は、例えば樹脂や金属で形成される。表面18aは、多数の孔部が形成された網目状であり、各孔部に各キートップ16が昇降可能に配置される。つまり、表面18aの網目部分は、隣接するキートップ16,16間を区画するフレームとなる。ベースプレート18fは、第1ユニットベース18の裏面を構成するプレートであり、例えば薄い金属板である。ベースプレート18fは、上記したラバードームやガイド機構の他、各キートップ16の押下動作を検出するメンブレンシート等の取付板となる。
【0030】
前側面18bは、左右方向に沿って一直線に延びた平板で形成され、その左右幅は第1ユニットベース18の最大左右幅となっている。左側面18dは、前後方向に一直線に延びた平板で形成され、その前後寸法は第1ユニットベース18の最大前後寸法となっている。後側面18cは、左右方向に沿って一直線に延びた平板で形成され、前側面18bよりも小さい(1/3程度)の左右幅である。後側面18cの左端は、左側面18dの後端と一致する。
【0031】
右側面18eは、左右方向位置が異なる後側面18cの右端と前側面18bの右端との間を階段状に繋いでいる。右側面18eは、後側から前側に向かって次第に右側に位置ずれしている。これにより第1ユニットベース18の左右幅は、後側から前側に向かって階段状に幅広になっている。本実施形態の右側面18eは、各列16a〜16f毎に順に右側に位置ずれする階段形状を成している。右側面18eの階段形状は、適宜変更可能である。例えば隣接する第1列16a及び第2列16b等が位置ずれせず、2行毎に位置ずれする階段形状等でもよい。
【0032】
第2ユニット12は、キーボード装置10の右側部分を構成する。第2ユニット12は、複数のキートップ17からなるキートップ群と、第2ユニットベース19とで構成されている。
【0033】
各キートップ17は、各キーの操作面となる部分であり、第2ユニットベース19に昇降可能に支持されている。各キートップ17の支持構造や昇降構造は、上記した各キートップ16と同一である。各キートップ17,17間のピッチは、各キートップ16と同じく、例えば18〜19mm程度のフルサイズに設定されている。
【0034】
第2ユニット12についても、複数のキートップ17が左右に並んだ列を前後方向に複数並べた構成である。本実施形態では、後側から前側に向かって順に第1列17a、第2列17b、第3列17c、第4列17d、第5列17e、第6列17fが設けられている。各列17a〜17fは、最も右側に配置されたキートップ17の右側面が前後方向に一直線に並んでいる。各列17a〜17fは、最も左側に配置されたキートップ17が第1列17aから第6列17fに向かって、キートップ17の1又は2個の左右幅程度ずつ次第に右側に位置ずれして階段状に並んでいる。
【0035】
本実施形態の場合、第1列17aは、主としてDeleteキー、Insertキーボードやファンクションキーとして機能する13個のキートップ17を左右に配列している。第2列17bは、主としてBackspaceキーや数字キーとして機能する9個のキートップ17を左右に配列している。第3列17cは、主として記号キーやアルファベットキーとして機能する8個のキートップ17を左右に配列している。第4列17dは、主としてEnterキーやアルファベットキーとして機能する6個のキートップ17を左右に配列している。第5列17eは、主としてShiftキーや記号キーとして機能する4個のキートップ16を左右に配列している。第6列17fは、主として矢印キーやCtrlキーとして機能する7個のキートップ17を左右に並べつつ前後2列に配列している。本実施形態では、第6列17fは、1つの行として扱っているが、2つの行として2列に分けて構成してもよい。キートップ17の配列や設置数は適宜変更可能である。
【0036】
第2ユニットベース19は、表面19a、前側面19b、後側面19c、左側面19d及び右側面19eで形成された箱状の筐体であり、その底面がベースプレート19f(
図6参照)で塞がれている。第2ユニットベース19の各面19a〜19e及びベースプレート19fの材質等は、第1ユニットベース18の各面18a〜18e及びベースプレート18fと同様でよい。
【0037】
後側面19cは、左右方向に沿って一直線に延びた平板で形成され、その左右幅は第2ユニットベース19の最大左右幅となっている。右側面19eは、前後方向に一直線に延びた平板で形成され、その前後寸法は第2ユニットベース19の最大前後寸法となっている。前側面18bは、左右方向に沿って一部に段差を生じて延びており、後側面19cよりも小さい(1/3程度)の左右幅である。前側面19bの右端は、右側面18eの前端と一致する。
【0038】
左側面19dは、左右方向位置が異なる後側面19cの左端と前側面19bの左端との間を階段状に繋いでいる。左側面19dは、後側から前側に向かって次第に右側に位置ずれしている。これにより第2ユニットベース19の左右幅は、後側から前側に向かって階段状に幅狭になっている。本実施形態の左側面19dは、各列17a〜17f毎に順に右側に位置ずれする階段形状を成している。第2ユニットベース19においても、第1ユニットベース18と同様、左側面19dの階段形状の構造は適宜変更可能である。
【0039】
ベース部材14は、ユニット11,12の支持台となる矩形平板状の筐体である。ベース部材14は、上面14aに各ユニット11,12の裏面(ベースプレート18f,19f)が重なるように載置されている。ベース部材14は、各ユニット11,12を上面14aに沿って相対移動可能に支持している。
【0040】
図1に示す収納位置において、各ユニット11,12は、ベース部材14の上面14aの外形内に収まる。つまり収納位置では、各ユニット11,12の各側面18b〜18e,19b〜19eが、ベース部材14の四周の側面14b〜14eと面一又は側面14b〜14eよりも内側に配置される。その結果、当該キーボード装置10は、外形が最も縮小した収納形態を構成する。
【0041】
具体的には、各ユニット11,12は、互いのユニットベース18,19の側面18e,19dが、前後方向に位置ずれして噛合うように当接する。すなわち、第1ユニット11は、第5列16eの一部及び第6列16fが第2ユニット12の前側面19bよりも前側に配置される。第2ユニット12は、第1列17a及び第2列17bが第1ユニット11の後側面18cよりも後側に配置される。このため、各ユニット11,12は、両者の合計の左右幅が最小化される。
【0042】
従って、収納位置において、第1ユニット11は、前側面18bがベース部材14の前側面14bと略面一に配置され、左側面18dがベース部材14の左側面14dと略面一に配置される。後側面18cは、ベース部材14の後側面14cよりもキートップ16の前後寸法で2個分程度前側にオフセットした位置に配置される。階段状の右側面18eは、最も右側に突出した第6列16fに対応する部分が、ベース部材14の右側面14eよりもキートップ16の左右幅で1個分程度左側にオフセットした位置に配置される。第2ユニット12は、後側面19cがベース部材14の後側面14cと略面一に配置され、右側面19eがベース部材14の右側面14eと略面一に配置される。前側面19bは、ベース部材14の前側面14bよりもキートップ16の前後寸法で2個分程度後側にオフセットした位置に配置される。階段状の左側面19dは、最も左側に突出した第1列17aに対応する部分が、ベース部材14の左側面14dよりもキートップ17の左右幅で1個分程度右側にオフセットした位置に配置される。
【0043】
一方、
図4に示す使用位置において、各ユニット11,12は、ベース部材14の上面14aの外形からそれぞれ左右に張り出して1枚のフルサイズのキーボードを形成する。その結果、当該キーボード装置10は、外形が最も拡大した使用形態を構成する。
【0044】
具体的には、各ユニット11,12は、互いのユニットベース18,19の側面18e,19dが、前後方向に位置ずれしないで噛合うように当接する。すなわち、第1ユニット11の第1列16a〜第6列16fと、第2ユニット12の第1列17a〜第6列17fとが、それぞれ左右に並んで配置される。このため、各ユニット11,12は、両者の合計の左右幅が最大化される。
【0045】
従って、使用位置において、各ユニット11,12は、互いの前側面18b,19bの前後方向位置が一致し、且つ互いの後側面18c,19cの前後方向位置も一致する。この際、第1ユニット11は、ベース部材14の左側面14dから左側方に貼り出す。第2ユニット12は、ベース部材14の右側面14eから右側方に大きく貼り出す。各ユニット11,12の前側面18b,19bは、ベース部材14の前側面14bよりもキートップ16の前後寸法で1個分程度後側にオフセットした位置に配置される。各ユニット11,12の後側面18c,19cは、ベース部材14の後側面14cよりもキートップ16の前後寸法で1個分程度前側にオフセットした位置に配置される。
【0046】
図1〜
図4に示すように、ベース部材14の上面14aには、各ユニット11,12が収納位置、使用位置、及び両位置の動作途中の中間位置の全ての状態において、常に外観上に露出する露出部14f,14gが設けられている。露出部14fは、上面14aの右前角部にある。露出部14gは、上面14aの左後角部にある。露出部14fには、操作部材20の操作部20aが設けられている。露出部14gには、膨出部21が設けられている。
【0047】
操作部材20は、後述するユニット駆動機構22(
図5参照)を操作するためのスライド部材である。操作部20aは、外部から操作部材20を手動操作可能な摘みであり、指先で操作可能である。膨出部21は、薄型のベース部材14の一部を厚くすることで、接続端子21aの設置を可能とした部分である。接続端子21aは、例えばUSB準拠の雌コネクタである。
【0048】
ベース部材14は、上面14aの前側面14bに沿うように3つのボタンスイッチ24a,24b,24cを備える(
図4参照)。ボタンスイッチ24a〜24cは、少なくともマウスデバイスのクリック信号を出力可能なクリック領域として機能する。本実施形態の場合、ボタンスイッチ24a〜24cは、マウスデバイスの一つであるポインティングスティック15によるカーソル操作と連係して機能する。すなわち、ボタンスイッチ24a,24b,24cは、例えばマウスでいうところの左ボタン、中ボタン、右ボタンに対応する。これらボタンスイッチ24a〜24cは、
図1に示す収納形態時には第1ユニット11の下に隠され、
図4に示す使用形態時に露出して操作可能となる。マウスデバイスは、ポインティングスティック以外、例えばタッチパッド等でもよい。マウスデバイスがタッチパッドである場合、タッチパッドはクリック領域としての機能も有し、第1ユニット11の下に隠される。
【0049】
次に、本実施形態のキーボード装置10を
図1に示す収納形態と
図4に示す使用形態との間で変化させる構成を説明する。キーボード装置10は、ベース部材14に搭載した操作部材20及びユニット駆動機構22により、各ユニット11,12を収納位置と使用位置との間で移動させることができる。
【0050】
図5は、
図1に示す収納形態でのキーボード装置10の内部構造を模式的に示す底面図である。
図6は、
図4に示す使用形態でのキーボード装置10の内部構造を模式的に示す底面図である。
図5及び
図6は、ベース部材14の底板を取り外した状態を図示したものである。
図7は、
図1に示す収納形態でのキーボード装置10の模式的な正面断面図である。
図8は、
図7に示すキーボード装置10を使用形態とした状態での模式的な正面断面図である。
図7及び
図8では、キートップ16,17、第2ユニット12、ボタンスイッチ24a〜24c、補助アーム38,40等の図示を省略している。
【0051】
図5及び
図6に示すように、ベース部材14は、ユニット駆動機構22と、操作部材20と、を備える。ユニット駆動機構22は、ユニット11,12を収納位置と使用位置との間で実際に移動させる駆動部である。操作部材20は、ユニット駆動機構22を動作させるためにユーザが操作する部材である。
【0052】
図5及び
図6に示すように、ユニット駆動機構22は、第1歯車26と、第2歯車28と、中継歯車30と、ピニオン32と、第1補助アーム38と、第2補助アーム40と、を備える。
【0053】
第1歯車26は、前後に2個並んで設けられ、互いに左右に多少位置ずれしている。第1歯車26は、ベース部材14の上面14aの裏面に対して回転軸26aを介して回転可能に支持されている。第1歯車26は、薄板状の歯車であり、外周面の大部分に歯26bが形成されている。第1歯車26は、外周面の一部に外径方向に突出した第1アーム26cを有する。第1アーム26cは、第1歯車26と一体的に回転軸26aを中心に旋回する。第1アーム26cの先端には、第1連結軸26dが回転可能に支持されている。第1歯車26の回転角度範囲、つまり第1連結軸26dの旋回角度範囲は、120度程度に設定されている。
【0054】
第1連結軸26dは、上面14aを形成するプレートに形成された円弧状の第1ガイド孔42を挿通し、第1ユニット11の裏面(ベースプレート18f)に対して回転可能に支持されている(
図7及び
図8も参照)。第1ガイド孔42は、前後方向で後側の第1端から前側に第2端に向かって、左側に円弧を描いており、一旦前側に膨らんだ後、そのまま円弧を描きながら後側へと延びた円弧状の孔部である。第1ガイド孔42は、第1端から第2端に向かって円弧状に旋回する移動する第1連結軸26dをガイドする。つまり第1連結軸26dは、第1アーム26cと第1ユニット11との間を第1ガイド孔42に沿って相対移動可能に連結している。
【0055】
第2歯車28は、前後に2個並んで設けられ、互いに左右に多少位置ずれしている。各第2歯車28は、各第1歯車26を点対称移動させた構造である。つまり第2歯車28は、第1歯車26を略180度回転させた構造である。第2歯車28は、第1歯車26の回転軸26a、歯26b、第1アーム26c、第1連結軸26dに対応する回転軸28a、歯28b、第2アーム28c、第2連結軸28dを備える。第2歯車28は、ベース部材14の上面14aの裏面に対して回転軸28aを介して回転可能に支持されている。第2歯車28の回転角度範囲、つまり第2連結軸28dの旋回角度範囲は、120度程度に設定されている。
【0056】
第2アーム28cの先端に設けられた第2連結軸28dは、上面14aを形成するプレートに形成された円弧状の第2ガイド孔44を挿通し、第2ユニット12の裏面(ベースプレート19f)に対して回転可能に支持されている。第2ガイド孔44も第1ガイド孔42を点対称移動させた構造である。第2ガイド孔44は、前後方向で前側の第1端から後側に第2端に向かって、右側に円弧を描いており、一旦後側に膨らんだ後、そのまま円弧を描きながら前側へと延びた円弧状の孔部である。第2ガイド孔44は、第1端から第2端に向かって円弧状に旋回する移動する第2連結軸28dをガイドする。つまり第2連結軸28dは、第2アーム28cと第2ユニット12との間を第2ガイド孔44に沿って相対移動可能に連結している。
【0057】
中継歯車30は、後側から前側に向かって次第に右側に位置ずれしながら、前後に3個並んで設けられている。中継歯車30は、ベース部材14の上面14aの裏面に対して回転軸を介して回転可能に支持され、外周面の全周に歯が並んだ薄板状の歯車である。最も後側の中継歯車30は、後側の第1歯車26及び後側の第2歯車28との間に介在し、両歯車26,28と噛合いしている。最も前側の中継歯車30は、前側の第1歯車26及び前側の第2歯車28との間に介在し、両歯車26,28と噛合いしている。前後中央の中継歯車30は、後側の中継歯車30と前側の中継歯車30との間に介在して両者と噛合いし、歯車26,28とは噛合いしていない。中継歯車30は、歯車26,28よりも小径の歯車である。
【0058】
ピニオン32は、ベース部材14の上面14aの裏面に対して回転軸を介して回転可能に支持されている。ピニオン32は、最も前側の中継歯車30の前側に配置され、この中継歯車30と噛合いしている。ピニオン32は、中継歯車30よりも小径の歯車である。
【0059】
第1補助アーム38は、両端が円弧状に形成された薄い帯状のプレートである。第1補助アーム38は、第1歯車26の左側に配置され、前後方向で前後の第1歯車26,26間の中間となる位置にある。
【0060】
第1補助アーム38は、基端の第1端部がベース部材14の上面14aの裏面に対して回転軸を介して回転可能に支持されている。第1補助アーム38は、先端の第2端部に補助連結軸38aが回転可能に支持されている。補助連結軸38aは、上面14aを形成するプレートに形成された円弧状の補助ガイド孔48を挿通し、第1ユニット11の裏面(ベースプレート18f)に対して回転可能に支持されている。補助ガイド孔48は、第1ガイド孔42と略同一形状である。補助連結軸38aは、第1補助アーム38と第1ユニット11との間を補助ガイド孔48に沿って相対移動可能に連結している。
【0061】
第2補助アーム40は、第2歯車28の右側に配置され、前後方向で前後の第2歯車28,28間の中間となる位置にある。第2補助アーム40は、第1補助アーム38を点対称移動させた構造である。つまり第2補助アーム40は、第1補助アーム38を略180度回転させた構造である。第2補助アーム40は、基端の第1端部がベース部材14の上面14aの裏面に対して回転軸を介して回転可能に支持されている。第2補助アーム40は、先端の第2端部に補助連結軸40aが回転可能に支持されている。補助連結軸40aは、上面14aを形成するプレートに形成された円弧状の補助ガイド孔50を挿通し、第2ユニット12の裏面(ベースプレート19f)に対して回転可能に支持されている。補助ガイド孔50は、第2ガイド孔44と略同一形状である。補助連結軸40aは、第2補助アーム40と第2ユニット12との間を補助ガイド孔50に沿って相対移動可能に連結している。
【0062】
従って、ユニット駆動機構22は、各ユニット11、12をベース部材14の上面14a上で互いに同期した状態で逆方向に旋回移動させることができる(
図1〜
図6参照)。すなわち、ユニット駆動機構22は、ピニオン32及び中継歯車30を介して歯車26,28を回転させ、これにより各ユニット11、12を移動させる。なお、第1歯車26及び第2歯車28は、例えばそれぞれ1個又は3個以上で構成されてもよい。この場合、中継歯車30についても、例えば1個又は5個以上で構成されるとよい。また、補助アーム38,40は、2個以上設けてもよいし、省略してもよい。
【0063】
図5及び
図6に示すように、ユニット駆動機構22は、例えば2か所に第1磁石吸着部68を備える。第1磁石吸着部68は、
図5に示す収納位置でユニット駆動機構22とベース部材14との間の相対位置を保持するためものものである。各第1磁石吸着部68は、それぞれ互いに吸着可能な一対の磁石68a,68bを有する。
【0064】
一方の磁石68aは、補助アーム38,40の先端側面に設けられている。他方の磁石68bは、補助ガイド孔48,50の長手方向で一端部に設けられている。これにより磁石68a,68bは、
図5に示す収納位置で互いに当接又は近接し、互いに吸着する。その結果、第1磁石吸着部68は、収納形態時にユニット駆動機構22を介してユニット11,12をベース部材に保持し、がたつきの発生を抑制する。磁石68a,68bの一方は、鉄板等の磁性体で形成されてもよい。第1磁石吸着部68の磁石68a,68bは、アーム26c(28c)の先端側面と、ガイド孔42(44)の長手方向で一端部とに設けてもよい。第1磁石吸着部68は、後述する第2磁石吸着部84と同様な構造で各ユニット11,12の側面18e,19dに設けてもよい。
【0065】
図5及び
図6に示すように、操作部材20は、操作部20aが設けられた操作レバー70と、ラック72と、シャッター駆動部74と、弾性部材76と、を有する。
【0066】
操作部材20は、操作レバー70、ラック72、及びシャッター駆動部74が樹脂や金属で一体成形された部品であり、全体として略クランク形状を成している(
図6参照)。操作部材20は、ベース部材14の上面14aの裏面に対して左右方向にスライド可能に支持され、操作部20aを含む操作レバー70の一部だけが上面14a上に露出している。
【0067】
操作レバー70は、ベース部材14内で右前角部の近傍に配置されている。操作レバー70は、前後に幅狭で左右に長尺な矩形状のプレート部である。操作部20aは、操作レバー70の上面の右側端部に起立形成された板片である。
【0068】
ベース部材14の上面14aには、右前角部の露出部14fと重なる範囲に開口部78が形成されている(
図1〜
図4参照)。開口部78は、前後に幅狭で左右に長尺な矩形状の孔部であり、上面14aを貫通している。開口部78は、露出部14fを含む位置に配置されることで、ユニット11,12の配置に関わらず、常にその一部又は全部がユニット11,12で隠されずに上面14aに露出する。
【0069】
図5に示す収納形態において、操作レバー70は、開口部78の略全体を下から覆う位置にある(
図5参照)。この際、操作部20aは、開口部78を通して上面14a上に突出し、開口部78の右端部に配置されている(
図1参照)。
図6に示す使用形態において、操作レバー70は、収納形態から左側にスライドし、操作部20aが開口部78の左端部に配置されている。このため、操作レバー70は、操作部20a及びその周辺部のみが開口部78を覆い、大部分が開口部78から外れた位置にある。つまり操作部20aは、開口部78を通して常に外部から操作可能な状態にあり、開口部78内を左右方向にスライド可能である。このため、ユーザは、キーボード装置10を収納形態と使用形態との間で変化させる際、キーボード装置10の上から操作部20aを容易にスライド操作することができる。
【0070】
操作部材20は、操作レバー70の左側端部から左斜め後方に向かって延びたブリッジ板80を有する。ラック72は、ブリッジ板80の左後端から左側に向かって延びた帯状のプレート部である。ラック72は、ピニオン32の前側であって、ボタンスイッチ24a〜24cの後側となる位置に配置されている。ラック72は、左右に並んだボタンスイッチ24a〜24cの後方に形成される左右に延在したデッドスペースを利用して配置されている。
【0071】
ラック72は、左右方向に並んだ歯72aが後側面に設けられ、この歯72aがピニオン32と噛合いしている。
図5に示す収納形態において、ラック72は、最も右側にスライドした位置(収納位置)にあり、歯72aの左端部でピニオン32と噛合いしている。
図6に示す使用形態において、ラック72は、最も左側にスライドした位置(使用位置)にあり、歯72aの左端部でピニオン32と噛合いしている。ラック72には、左右方向に延在した長孔が形成されている。この長孔にはベース部材14の筐体から起立したガイドピンが摺動可能に挿入されている。
【0072】
シャッター駆動部74は、ブリッジ板80の右側面から右側に向かって延びた幅狭なプレート部である。シャッター駆動部74の先端には、下面から下方に突出した駆動ピン74aが設けられている。シャッター駆動部74は、駆動ピン74aを介して後述するシャッター部材82を駆動するため部分である。
【0073】
弾性部材76は、例えばねじりコイルばねである。弾性部材76は、第1端部がラック72に取り付けられ、第2端部がベース部材14に取り付けられている。
図5に示す収納形態時や
図6に示す使用形態時には、弾性部材76は中立状態にあって操作部材20に対する付勢力を発揮していない。操作部材20が
図5に示す位置から僅かに左側にスライドすると、弾性部材76は、蓄積している付勢力が解放され、操作部材20を左側に向かって付勢する。一方、操作部材20が
図6に示す位置から僅かに右側にスライドすると、弾性部材76は、蓄積している付勢力が解放され、操作部材20を右側に向かって付勢する。
【0074】
従って、ユーザは、キーボード装置10を収納形態から使用形態に変化させる際、又は使用形態から収納形態に変化させる際、操作部20aのスライド操作を開始すれば、その後は弾性部材76の付勢力で自動的に操作部材20がスライドし、ラック72がピニオン32を介してユニット駆動機構22を自動的に動作させる。
【0075】
図5及び
図6に示すように、操作部材20は、ユニット駆動機構22に加えて、シャッター部材82も駆動する。シャッター部材82は、シャッター部82aと、受圧孔82bと、ガイド部82cと、を有する。シャッター部材82は、樹脂や金属で略L字状に形成されたプレートである。シャッター部材82は、ベース部材14の内部で前後方向にスライド可能に支持され、一部が操作部材20の下面側に重なるように配置されている。
【0076】
シャッター部82aは、前後に幅狭で左右に長尺な矩形状のプレート部である。シャッター部82aは、開口部78の大部分を覆い隠すことができる外形を有する。
【0077】
受圧孔82bは、左右方向に延在する第1長孔82dと、第1長孔82dから左斜め後方に向かって延びた第2長孔82eとで形成されている。受圧孔82bは、全体として略ブーメラン形状を成した孔部である。受圧孔82bは、シャッター部82aの後部に沿って第1長孔82dが設けられ、シャッター部82aからガイド部82cへと左斜め後方に向かって延びた部分に第2長孔82eが設けられている。受圧孔82bには、駆動ピン74aが摺動可能に挿入されている。
【0078】
ガイド部82cは、シャッター部82aの左後方で前後方向に延在したプレート部である。ガイド部82cには、前後方向に延在した長孔が形成されている。この長孔には、ベース部材14の筐体から起立したガイドピンが摺動可能に挿入されている。
【0079】
シャッター部材82は、操作部材20がと共にスライドする駆動ピン74aが、第2長孔82eを摺動する際に前後方向の押圧力を受けて前後方向にスライドする。駆動ピン74aは、第1長孔82dを摺動する際はシャッター部材82を押圧せず、空振りする。
図5に示す収納形態において、シャッター部材82は、シャッター部82aが開口部78を覆う操作レバー70の後方に位置し、開口部78から後退している。一方、
図6に示す使用形態において、シャッター部材82は、シャッター部82aが開口部78と重なる位置まで前進し、操作レバー70がスライドして開かれた開口部78の大部分を覆う。
【0080】
図5〜
図8に示すように、第1ユニット11は、ベースプレート18fの下面から下方に突出した突出部52を有する。突出部52は、平面視略台形状の膨出部であり、ベース部材14の板厚と略同一の高さ寸法を有する。突出部52は、前縁部が左右方向に沿って延在し、左右の縁部が前後方向に沿って延在している。突出部52の後縁部は、左側から右側に向かって次第に後側から前側に傾斜した傾斜縁部52aである。ベース部材14の左側面14dには、切欠形状の凹部53が設けられている。凹部53は、平面視で突出部52と略同一形状である。凹部53は、突出部52の傾斜縁部52aと対向する縁部に傾斜縁部53aを有する。
【0081】
突出部52は、第1ユニット11が収納位置にある状態で、凹部53内に完全に収容される(
図5及び
図7参照)。突出部52は、第1ユニット11が使用位置にある状態で、凹部53から左側方に離脱し、例えば当該キーボード装置10が載置された机上等に着地する脚部として機能する(
図8参照)。突出部52の傾斜縁部52aは、
図5に示す収納位置及び
図6に示す使用位置において、いずれも凹部53の傾斜縁部53aと一部が重なるように構成されている。
【0082】
第2ユニット12についても、ベースプレート19fの下面から下方に突出した突出部54を有する。突出部54は、平面視略台形状の膨出部であり、ベース部材14の板厚と略同一の高さ寸法を有する。突出部54は、突出部52と略点対称形状を有する。突出部54の後縁部は、左側から右側に向かって次第に後側から前側に傾斜した傾斜縁部54aである。ベース部材14の右側面14eには、切欠形状の凹部55が設けられている。凹部55は、平面視で突出部54と略同一形状である。凹部55は、突出部54の傾斜縁部54aと対向する縁部に傾斜縁部55aを有する。
【0083】
突出部54は、第2ユニット12が収納位置にある状態で、凹部55内に完全に収容される(
図5及び
図7参照)。突出部54は、第2ユニット12が使用位置にある状態で、凹部55から右側方に離脱し、例えば当該キーボード装置10が載置された机上等に着地する脚部として機能する(
図8参照)。突出部54の傾斜縁部54aは、
図5に示す収納位置及び
図6に示す使用位置において、いずれも凹部55の傾斜縁部55aと一部が重なる(
図9も参照)。
【0084】
図4に示すように、キーボード装置10は、例えば3か所に第2磁石吸着部84を有する。第2磁石吸着部84は、
図4に示す使用位置でユニット11,12の側面18e,19d間の相対位置を保持するためのものである。各第2磁石吸着部84は、それぞれ互いに吸着可能な一対の磁石84a,84bを有する。
【0085】
一方の磁石84aは、第1ユニット11の一部の右側面18eの後面に臨んで設けられている。他方の磁石84bは、第2ユニット12の一部の左側面19dの後面に臨んで設けられている。互いに対となる磁石84a,84bは、
図4に示す使用位置で互いに対面する位置にある。これにより磁石84a,84bは、
図4に示す収納位置で互いに当接又は近接し、互いに吸着する。その結果、第2磁石吸着部84は、使用形態時にユニット11,12間を一体的に吸着し、がたつきの発生を抑制する。磁石84a,84bの一方は、鉄板等の磁性体で形成されてもよい。第2磁石吸着部84の磁石84a,84bは、各側面18e,19dの右左面に臨んで設けられてもよい。第2磁石吸着部84は、第1磁石吸着部68と同様な構成で、ユニット駆動機構22に設けられてもよい。
【0086】
図1〜
図4、
図7及び
図8に示すように、ベース部材14は、下面の四隅にゴム脚86を備える。ゴム脚86は、少なくとも表面(下面)がゴムで形成され、所定の滑り止め効果を有する。ゴム脚86は、当該キーボード装置10を机の上面等で載置する際にがたつきや異音、位置ずれ等を防止するための脚部である。ベース部材14の右前角部に配置されたゴム脚86は、平面視で操作レバー70と重なる位置にある。具体的には、このゴム脚86は、操作レバー70のスライド位置に関わらず、常に操作レバー70の真下に重なる位置に配置されている(
図1〜
図4参照)。このゴム脚86は、使用形態及び収納形態の一方の形態時にのみ操作レバー70と重なる位置に配置されていてもよい。ゴム脚86は、操作レバー70と重なる位置のみに設けられてもよく、この場合、ゴム脚86とベース部材14の下面の高さ位置を合わせておく必要がある。
【0087】
ゴム脚86は、各ユニット11,12の突出部52,54の下面にも設置してもよい(
図8参照)。但し、突出部52,54のゴム脚86は、キーボード装置10を机の上面等に載置した状態での各ユニット11,12の円滑な滑り動作を考慮すると省略した方が好ましい。そこで、突出部52,54の脚部は、ゴム脚86ではなく、摺動性の高い樹脂製でもよい。突出部52,54は、その下面にゴム脚86を設けず、下面自体がベース部材14のゴム脚86の下面と同一高さに設定されてもよい。
【0088】
次に、キーボード装置10の制御系統の構成例を説明する。
【0089】
図5及び
図6に示すように、キーボード装置10の制御系統は、メインロジック基板60と、無線通信モジュール61と、サブロジック基板62と、スティック基板63と、スイッチ基板64と、バッテリ装置66と、電源スイッチ67と、を備える。
【0090】
メインロジック基板60は、第1ユニット11に搭載されたキートップ群のキートップ16が押下操作された際、メンブレンシートから出力されるアナログの電気信号(アナログ信号)をデジタルの電気信号(デジタル信号)に変換する。メインロジック基板60は、第1ユニット11の裏面から突出した突出部52に収容されている。メインロジック基板60は、さらにボタンスイッチ24a〜24cから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する機能も有する。
【0091】
無線通信モジュール61は、メインロジック基板60と一体にモジュール化されている。無線通信モジュール61は、例えば近距離無線通信規格(例えばBluetooth(登録商標))に準拠したアンテナ装置である。
【0092】
サブロジック基板62は、第2ユニット12に搭載されたキートップ群のキートップ17が押下操作された際、メンブレンシートから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。サブロジック基板62は、第2ユニット12の裏面から突出した突出部54に収容されている。
【0093】
スティック基板63は、第1ユニット11の裏面側に設けられ、ポインティングスティック15の入力操作を受けて所定のアナログ信号を出力する。スティック基板63から出力されたアナログ信号は、メインロジック基板60に送られ、メインロジック基板60でデジタル信号に変換される。スティック基板63は、ポインティングスティック15の入力操作によるアナログ信号を自身でデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をメインロジック基板60に送信する構成としてもよい。
【0094】
メインロジック基板60とサブロジック基板62との間は、ケーブルC1を介して電気的に接続されている。メインロジック基板60とボタンスイッチ24a〜24cとの間は、ケーブルC2を介して電気的に接続されている。メインロジック基板60とスティック基板63との間は、ケーブルC3を介して電気的に接続されている。本実施形態のケーブルC3は、途中でケーブルC2と束ねられてメインロジック基板60に接続されている。
【0095】
サブロジック基板62から出力されたデジタル信号は、ケーブルC1を介してメインロジック基板60に送られる。メインロジック基板60は、各ユニット11,12のキートップ16,17の入力信号を1つのキーボードとして処理し、無線通信モジュール61を介して外部の携帯用情報機器に送る。つまり本実施形態のキーボード装置10は、左右のユニット11,12に分割されているが、それぞれのキートップ16,17に対する入力操作は、メインロジック基板60で統合的に処理され、1つのキーボードに対する入力操作と同様に無線通信モジュール61から外部の携帯用情報機器に送信される。同様に、ボタンスイッチ24a〜24cやポインティングスティック15の入力信号も無線通信モジュール61を介して外部の携帯用情報機器に送られる。
【0096】
スイッチ基板64は、例えばベース部材14の左後角部に配置されている。スイッチ基板64は、電源スイッチ67のオンオフ動作を検出し、当該キーボード装置10の電源をオンオフする。スイッチ基板64は、ケーブルC4を介してメインロジック基板60と電気的に接続されている。
【0097】
バッテリ装置66は、当該キーボード装置10の電源である。バッテリ装置66は、接続端子21aを介して又は図示しない非接触の充電装置を用いて外部の電源装置から充電可能である。バッテリ装置66は、ケーブルC5を介してスイッチ基板64と電気的に接続されている。
【0098】
電源スイッチ67は、当該キーボード装置10の電源をオンオフするスイッチである。電源スイッチ67は、リーフスイッチ或いはプッシュスイッチ等の接触式スイッチで構成されている。電源スイッチ67は、ケーブルC2を利用して、又は別のケーブルでスイッチ基板64と電気的に接続されている。電源スイッチ67は、ラック72の近傍に配置され、ラック72の動作を検出する。電源スイッチ67は、ラック72が
図5に示す収納位置の場合、検出片がラック72から離間し非検出状態にあり、当該キーボード装置10の電源はオフとなっている。電源スイッチ67は、ラック72が
図5に示す収納位置から
図6に示す使用位置に向かって移動すると、検出片が
図6に示す使用位置よりも多少手前の地点でラック72に接触し、当該キーボード装置10の電源をオンする。
【0099】
従って、キーボード装置10は、収納形態から使用形態に変化する際、例えばその動作が80〜90%程度進行した段階(例えば
図3参照)で電源がオンされる。また、キーボード装置10は、使用形態から収納形態に変化する際、例えばその動作が10%程度進行した段階(例えば
図3参照)で電源がオフされる。電源スイッチ67は、ラック72が
図6に示す使用位置になった瞬間又はその直前に電源をオンオフするように配置されてもよい。電源スイッチ67は、ラック72以外の移動要素の位置を検出するように配置してもよい。
【0100】
このように、当該キーボード装置10は、左右のユニット11,12が完全に分割された構成でありながらも、各ユニット11,12にそれぞれロジック基板60,62を設け、両者をケーブルC1で接続することで、1つのキーボードとして適切な制御を行うことができる。また、キーボード装置10は、使用形態時にベース部材14の上面14aから側方に張り出す第1ユニット11の突出部52に無線通信モジュール61を搭載している。このため、無線通信モジュール61は、周囲に電波を遮蔽する部材が配置されることが大幅に抑制され、高い通信品質が得られる。さらに、当該キーボード装置10は、収納形態から使用形態に変化する際、その動作が完了する前に電源が自動的にオンされ、無線通信モジュール61を介して外部機器と接続される。このため、当該キーボード装置10は、使用形態に変化させたと同時に使用を開始することができる。
【0101】
次に、キーボード装置10の動作及び作用効果を説明する。
【0102】
キーボード装置10は、
図1に示す収納形態において、上記した通り、各ユニット11,12の階段状の側面18e,19dが前後方向に位置ずれして噛合いするように当接する。収納形態において、キーボード装置10は、ベース部材14の上面14a上に各ユニット11,12が収納され、外形が最も縮小した一枚板状に構成される。従って、キーボード装置10は、フルサイズのキーピッチを有するキートップ16,17を備えながらも、非使用時には可及的に小型化される。また、キーボード装置10は、収納形態と使用形態とで厚みが変化しないため、その形態に関わらずに常に薄型化が確保されている。このため、キーボード装置10は、例えば折り畳み式の携帯用情報機器の筐体間に挟み込んで持ち運ぶこともできる。
【0103】
図5に示すように、収納形態において、操作部材20は、ラック72が最も右側に移動した位置にあり、操作レバー70が開口部78を覆っている。また、ユニット駆動機構22は、第1歯車26が
図5中で最も時計方向に回転した位置にあり、第2歯車28も
図5中で最も時計方向に回転した位置にある。
図1に示すように、収納形態において、開口部78は、一部が第1ユニット11で覆われ、残部が操作レバー70で覆われている。このため、キーボード装置10は、
図1に示す収納形態時に開口部78が穴開き状態で外観上に露出することがない。
【0104】
キーボード装置10を収納形態から
図4に示す使用形態に変化させる際は、
図1に示すように上面14aに露出した操作部20aを指先等で左側にスライドさせる。そうすると、操作レバー70と共にラック72が左側にスライドし、ピニオン32を
図5中で反時計方向に回転させる。ピニオン32が
図5中で反時計方向に回転すると、最も前側の中継歯車30が時計方向に回転し、中間の中継歯車30を介して最も後側の中継歯車30も時計方向に回転する。このため、第1歯車26が
図5中で反時計方向に回転し、第2歯車28も反時計方向に回転する。
【0105】
第1アーム26cは、回転軸26aを中心として反時計方向に回動する。このため、第1アーム26cの先端の第1連結軸26dは、回転軸26aを中心として第1ガイド孔42内を反時計方向に旋回移動する。一方、第2アーム28cも回転軸28aを中心として反時計方向に回動する。このため、第2アーム28cの先端の第2連結軸28dも、回転軸28aを中心として第2ガイド孔44内を反時計方向に旋回移動する。各連結軸26d,28dが反時計方向に旋回移動するのに伴い、これと回転可能に連結された各ユニット11,12も上面14a上で
図5中で反時計方向に移動する。その結果、キーボード装置10は、
図4及び
図6に示す使用形態となる。つまり各ユニット11,12は、
図1に示す平面視で、それぞれベース部材14の上面14a上で時計方向に旋回移動し(
図2〜
図3参照)、最終的に
図4に示す使用形態となる。
【0106】
このような収納形態から使用形態への動作時、シャッター部材82は、操作レバー70が開口部78から位置ずれするのに伴い、第2長孔82eの内周が駆動ピン74aで押圧されると、前側にスライドする。その結果、シャッター部82aは、操作レバー70が移動して開いた開口部78を次第に覆い隠す。
【0107】
さらに、キーボード装置10は、各ユニット11,12が収納位置から使用位置へと変化する際、その移動範囲の中間地点よりも使用位置に近い地点(例えば80〜90%程度移動した地点)で電源スイッチ67がラック72を検出し、電源がオンされる。その結果、キーボード装置10は、使用形態時には、すでに電源がオンされ、無線通信モジュール61を介して外部機器と接続された状態となっている。このため、ユーザは、使用形態になったと同時にキーボード装置10を使用開始できる。
【0108】
キーボード装置10は、使用形態において、左右のユニット11,12が互いに左右に並んで1つのフルサイズのキーボードを形成する。このため、キーボード装置10は、使用時には十分なキーピッチを確保できる。また、使用形態において、ボタンスイッチ24a〜24cが露出する(
図4参照)。このため、キーボード装置10は、別途マウス等がない状況であっても、ポインティングスティック15及びボタンスイッチ24a〜24cを利用することで、マウスの代替機能も発揮する。キーボード装置10は、使用形態時には、ベース部材14の上面14a上から左右に張り出したユニット11、12の裏面から突出した突出部52,54が脚部として機能する。このため、キーボード装置10は、左右に張り出したユニット11,12が机上等で安定するため、操作性が一層向上する。
【0109】
この使用形態時、開口部78は、全体として上面14a上に露出し(
図4参照)、一部が操作レバー70で覆われ、残部がシャッター部82aで覆われている。このため、キーボード装置10は、
図4に示す使用形態時にも開口部78が穴開き状態で外観上に露出することがない。
【0110】
キーボード装置10は、上記のような収納形態から使用形態への変化時、各ユニット11,12がそれぞれ同一方向に旋回移動するため、互いの階段状の側面18e,19dが干渉し合うことなく円滑な動作が可能となっている。また、キーボード装置10は、各ユニット11,12が同一方向に旋回することで、ベース部材14の上面14aに設けた操作部20aや膨出部21と干渉することがない。つまり、キーボード装置10は、上面14a上にユニット11,12と干渉しないスペース(露出部14f,14g)を確保できるため、厚みのある操作部20aや膨出部21(接続端子21a)を容易に設置できる。
【0111】
キーボード装置10は、ラック72で駆動されるピニオン32が最も小径であり、中継歯車30が次に小径であり、最終的にユニット11,12を駆動する歯車26,28が最も大径である。このため、ピニオン32の駆動が、減速されて各ユニット11,12に伝達されるため、ラック72の移動量を可及的に抑制しつつも、ユニット11,12を大きく動作させることができる。このため、操作部20aは、最小限のスライド操作でユニット11,12を大きく移動させることができる。
【0112】
なお、使用形態から収納形態への動作は、上記動作と逆である。つまり
図4に示す使用形態時、ユーザは操作部20aを上記動作とは逆方向にスライドさせれば、当該キーボード装置10を収納形態に変化させることができる。
【0113】
以上のように、本実施形態に係るキーボード装置10は、各ユニット11,12を収納位置と使用位置とに相対移動させるユニット駆動機構22と、ベース部材14の上面14aに露出した操作部20aを有し、操作部20aを操作してユニット駆動機構22を動作させる操作部材20と、を備える。
【0114】
従って、当該キーボード装置10は、各ユニット11,12の移動を操作部材20の操作部20aを操作することで実行できる。このため、例えばキーボード装置10の電源がオンされた使用位置から、各ユニット11,12を収納位置に変化させる際、ユーザは操作部20aを指先等で操作するだけでよい。すなわち、当該キーボード装置10は、この収納動作をユーザが手で各ユニット11,12を把持して行う必要がない。このため、この動作時にユーザが誤って各キートップ16,17を押圧することが抑制され、誤動作の発生を抑制できる。
【0115】
この際、操作部20aは、左右方向にスライドする操作部材20に設けられている。つまり当該キーボード装置10は、操作部20aの操作はスライドであり、一方、各キートップ16,17の操作は押し下げである。このため、操作部20aの操作は、使用形態時に操作するキートップ16,17と明確に区別され、使用中に誤って操作部20aを操作してしまうことも抑制できる。
【0116】
しかもベース部材14の下面には、少なくとも操作レバー70と重なる位置にゴム脚86が設けられている。このため、操作部20aの操作時、その下にあるゴム脚86が机の上面等に密着するため、ベース部材14が滑ることが抑えられ、操作部20aの安定したスライド操作が可能となっている。また、ゴム脚86が操作レバー70の下にあると、操作部20aに荷重をかけながらスライドさせることができ、安定性が一層向上する。
【0117】
図9Aは、収納形態での変形例に係るシャッター部材88の構成を模式的に示す正面断面図である。
図9Bは、使用形態での
図9Aに示すシャッター部材88の構成を模式的に示す正面断面図である。
【0118】
図9A及び
図9Bに示すように、シャッター部材88は、
図5及び
図6に示すシャッター部材82と比べて、受圧孔82b及びガイド部82cを持たず、シャッター部82aの代わりにシャッター部88aを有する。シャッター部材88は、可撓性を有するシート状部材である。シャッター部材88は、第1端が操作レバー70の右端部に連結され、第2端がベース部材14内で移動自由な状態で保持されている。
図9A中の参照符号89は、シャッター部材88の円滑な移動をガイドするガイド部である。シャッター部材88は、ガイド89に挿通され、摺動可能に保持されている。
【0119】
シャッター部材88は、操作レバー70が左右にスライドすると、これに伴って左右にスライドする。そして、
図9B示す使用形態において、操作レバー70が開口部78の一部のみを覆った位置になると、シャッター部材88は開口部78の残部を覆い隠す。シャッター部材88は、シート状部材以外、例えば複数枚のスラットを連結して構成され、店舗やガレージ等に設置される一般的なシャッターと同様な構成等でもよい。
【0120】
ところで、上記した構成例では、ユーザが指先で操作部20aをスライドさせ、これによりキーボード装置10を収納形態及び使用形態に変化させる構成となっている。キーボード装置10は、これら動作のうち、例えばキーボード装置10を使用形態から収納形態に変化させる動作を半自動で実行可能な自動収納機構90を備えてもよい。
【0121】
図10Aは、使用形態での自動収納機構90の構成を模式的に示す平面図である。
図10Bは、使用形態から収納形態に変化している途中の状態での自動収納機構90の構成を模式的に示す平面図である。
図10A及び
図10Bでは、操作部材20の操作レバー70以外の要素やシャッター部材82等の図示を省略している。
【0122】
自動収納機構90は、ベース部材14の内部に設置されている。
図10A及び
図10Bに示すように、自動収納機構90は、ラッチ90aと、弾性部材90b,90cと、を備える。自動収納機構90を用いる場合、操作レバー70は、例えばその後側面に係止片70aが設けられる。
【0123】
ラッチ90aは、ベース部材14の内部で前後方向に移動可能に設けられ、操作レバー70の後方に配置されている。ラッチ90aは、弾性部材90bによって前側に移動する方向に常時付勢されている。ラッチ90aの上面には、ラッチ操作部90dが起立形成されている。ラッチ操作部90dは、ベース部材14の上面14aに形成された前後方向の長孔92を通して外部から操作可能である。弾性部材90cは、操作レバー70を収納位置(
図9A中で右側)に向かって常時付勢している。
【0124】
図10Aに示す使用形態において、自動収納機構90は、弾性部材90bの付勢力により、ラッチ90aが使用位置にある操作レバー70の係止片70aを係止している。このため、操作レバー70は、弾性部材90cの付勢力に抗して使用位置に留まっている。ユーザは、キーボード装置10を使用形態から収納形態に変化させる際は、ラッチ操作部90dを介して弾性部材90bの付勢力に抗してラッチ90aを後退させる。そうすると、ラッチ90aによる係止片70aの係止状態が解除されるため、操作レバー70は、弾性部材90bの付勢力によって収納位置(図中で右側)に向かってスライドする。その結果、操作部材20が、ユニット駆動機構22を駆動し、キーボード装置10が収納形態へと自動的に変化する。
【0125】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0126】
上記では、
図1に示す収納形態で、ベース部材14の前側に第1ユニット11を配置し、その後方に第2ユニット12を配置した構成を例示した。しかしながら、
図1に示す収納形態でのユニット11,12の構成を左右反転し、第2ユニット12を前側に配置し、その後方に第1ユニット11を配置した構成としてもよい。
【0127】
上記では、ポインティングスティック15を第1ユニット11に設けた構成を例示したが、ポインティングスティック15は第2ユニット12に設けてもよい。