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特開2021-180196電気コネクタおよび電気コネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-180196(P2021-180196A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20211022BHJP
   H01R 12/71 20110101ALN20211022BHJP
【FI】
   H01R13/04 E
   H01R12/71
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-134635(P2021-134635)
(22)【出願日】2021年8月20日
(62)【分割の表示】特願2017-43060(P2017-43060)の分割
【原出願日】2017年3月7日
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】奥山 毅
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB45
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB38
5E223CB46
5E223CB47
5E223CB84
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB25
5E223EB02
5E223EB15
(57)【要約】
【課題】相手コネクタの対応接触部を端子幅方向でコネクタの接触部との正規の接触位置へ向けて円滑に案内して、接触部同士の接触状態を良好に確保する。
【解決手段】端子20は、相手端子の対応接触部に接触する接触部24Aと、接触部24Aよりも端子20の先端側に位置する導入部24Dと、端子20の一面の幅方向で接触部24Aの両側に位置する案内部24Cと、案内部24Cよりも端子20の先端側で案内部24Cに連続し上記挿抜方向で導入部24Dの範囲に位置する先端側方傾斜部とを有し、接触部24Aは、上記幅方向での中間位置にて上記挿抜方向に直状をなして延びており、案内部24Cは、接触部24Aに沿って上記挿抜方向に延びており、上記幅方向で端子20の側端位置から接触部24Aまで連続しており、先端側方傾斜部は、案内部24Cと相俟って一つの傾斜面を形成しているとともに、上記幅方向で導入部24Dまで連続している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタに設けられた相手端子に対しコネクタの挿抜方向で摺接して接続される端子が端子保持体に保持されている電気コネクタにおいて、
上記端子は、該端子の上記挿抜方向に軸線をもつ周面のうち周方向での少なくとも一部が上記端子保持体の壁面から露呈した露呈面を有し、該露呈面の少なくとも一部をなす一面には、上記相手端子に設けられた対応接触部に対して接圧をもって接触する接触部と、上記接触部よりも上記端子の先端側に位置し上記対応接触部を上記挿抜方向で上記接触部へ向けて導入案内するための導入部と、上記一面の幅方向で上記接触部の両側に位置し上記対応接触部を上記幅方向で上記接触部へ案内するための案内部と、上記案内部よりも上記端子の先端側で該案内部に連続し上記挿抜方向で上記導入部の範囲に位置する先端側方傾斜部とが形成されており、
上記接触部は、上記幅方向での中間位置にて上記挿抜方向に直状をなして延びており、
上記案内部は、上記接触部に沿って上記挿抜方向に延びており、上記幅方向で端子の側端位置から上記接触部へ向かうにつれて上記接圧が生じる接圧方向で上記相手端子の上記対応接触部へ近づくように傾斜して上記接触部まで連続しており、
上記先端側方傾斜部は、上記案内部と相俟って一つの傾斜面を形成しているとともに、上記幅方向で上記導入部まで連続していることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
上記端子は、上記一面に上記幅方向で間隔をもって複数の上記接触部が形成されていて、該接触部同士間に該接触部よりも没入した没入部が形成されており、
上記案内部は、上記端子の側端位置で上記接圧方向にて上記没入部よりも上記相手端子の上記対応接触部から離間していることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気コネクタと、該電気コネクタに接続される相手コネクタとを有する電気コネクタ組立体であって、
上記相手コネクタに設けられた相手端子の対応接触部は、上記電気コネクタの端子の一面と対面する対応面で上記端子の接触部に接触可能となっており、上記対応面が該対応面の幅方向全域にわたって平坦をなしていることを特徴とする電気コネクタ組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手コネクタに設けられた相手端子に対しコネクタの挿抜方向で摺接して接続される端子を有する電気コネクタおよび該電気コネクタと相手コネクタとを備える電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電気コネクタおよび電気コネクタ組立体は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1のコネクタは、回路基板の実装面上に配される回路基板用コネクタであり、該実装面に対して直角な上下方向をコネクタ挿抜方向として上方から相手コネクタが嵌合接続されるようになっている。該コネクタは、上記実装面に対して平行な一方向を長手方向として延びており、該長手方向を配列方向として複数の端子がハウジングで保持されている。該端子は、金属帯状体をその板厚方向に屈曲して形成され、ハウジングの部分に対して圧入取付けされる逆U字状の圧入部と、該圧入部の一方の脚部を自由端まで延長して形成される接触端部と、上記圧入部の他方の脚部から方向を変えて延び上記実装面に半田接続される接続部とを有していて、上記接触端部の面には、端子幅方向(端子配列方向)での中間位置で上記自由端に向けた方向(コネクタ挿抜方向)に延びる凸条の接触部が設けられている。該接触部は、端子幅方向で間隔をもって二つ平行に設けられ、各接触部はコネクタ挿抜方向に対して直角な断面が凸湾曲形状をなしている。上述したように上記接触部は、端子幅方向での該接触端部の中間位置に形成されていて、端子幅方向での上記接触部の寸法が小さいので、該接触部の側面(コネクタ挿抜方向に延びる面)の傾斜が急勾配であり、該凸条の両側の平面に対して段状をなしている。また、上記コネクタ挿抜方向での前後両端にはテーパ部が設けられている。
【0004】
一方、上記コネクタに嵌合接続される回路基板用コネクタとしての相手コネクタは、相手コネクタの長手方向を配列方向として複数の相手端子がハウジングで保持されている。該相手端子は、金属板を板厚方向に打ち抜いて金属板の平坦面をそのまま維持した端子となっていて弾性腕部を有し、該弾性腕部の自由端の縁部の一部に凸部を有し、上記端子の接触部と接触するための対応接触部が上記凸部の板厚面に形成されている。該対応接触部は、上記コネクタとの嵌合時には、該コネクタの上記端子のテーパ部を経て接触部に乗り上げて、接圧を高めた状態で上記端子と接続される。端子幅方向に並んだ二つの上記接触部は上記相手端子と接圧をもって接触し、コネクタ嵌合過程で接触面に異物等が付着している場合には、凸湾曲断面をもつ接触部が相手端子との間の高い接圧のもとで該相手端子と摺接してこの異物等を接触部の側方へ向けもしくは前後に排除して相手端子との接触を確実にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4804526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、コネクタ嵌合過程にて両コネクタの端子同士が上記端子幅方向(端子配列方向)で正規位置からずれていた場合、コネクタ嵌合完了後(コネクタ嵌合状態)においても、そのずれが解消せず、接触部と対応接触部とが接触しないおそれがある。
【0007】
例えば、コネクタ嵌合過程にて相手端子の弾性腕部に対して端子幅方向(板厚方向)の外力が作用したとき、コネクタ嵌合完了状態においても上記外力により上記弾性腕部が端子幅方向に弾性変形した状態が維持されて、該弾性腕部に形成された対応接触部が上記端子の接触部から端子幅方向にずれてしまうことがある。このとき、該弾性腕部にはその弾性変形状態から復帰しようとする弾性力、すなわち上記対応接触部を上記接触部と接触可能な正規位置、すなわち該接触部の頂部へ向けて変位させようとする復元力が常に生じている。しかし、既述したように上記接触部は側面の傾斜が急勾配であり該凸条の両側の平面に対して段状をなしているので、該接触部の側面によって対応接触部を該接触部との正規の接触位置、すなわち接触部の頂部まで案内するのは困難である。したがって、上記対応接触部が上記弾性力により上記正規位置へ戻ろうとしても、対応接触部は、端子幅方向で接触部に引っ掛かってしまい、その位置で留まりやすく、該接触部に乗り上げることができず、該接触部に接触できなくなる。
【0008】
また、特許文献1にあっては、コネクタ嵌合過程においてコネクタ同士がいわゆる斜め嵌合がなされる場合には、対応接触部が端子幅方向で接触部との接触位置へ向けて円滑に案内されることが重要である。この斜め嵌合とは、相手コネクタをコネクタの長手方向に対して傾斜した姿勢、すなわち相手コネクタの長手方向の一端側が他端側よりももち上がっていた姿勢としてコネクタ嵌合を開始し、コネクタ嵌合が進行するにつれて、上記他端側を支点として回転しながら上記相手コネクタの傾斜角度を徐々に減じていくような嵌合形態をいう。
【0009】
この斜め嵌合では、コネクタ嵌合開始時は、支点となる相手コネクタの他端側のみがコネクタ内に進入途中であり、一端側はコネクタ外に位置していて、該相手コネクタは上記他端側から上記一端側へ向けた傾斜角度を有している。このコネクタ嵌合開始時の状態では、相手コネクタが上記傾斜角度をもっている関係上、相手端子の対応接触部は、端子幅方向(端子配列方向)で端子の接触部から離れて位置している。コネクタ嵌合が進行して相手コネクタの傾斜角度が減じるにつれて、相手端子の対応接触部はコネクタ挿抜方向のみならず端子幅方向でも端子の接触部に近づいていく。そして、コネクタ嵌合完了直前にて、対応接触部は、接触部に対してコネクタ挿抜方向のみならず上記端子幅方向でも摺接し、コネクタ嵌合完了時点にて、上記接触部との正規の接触位置で該接触部と接圧をもって接触することとなる。
【0010】
既述したように特許文献1では、端子の接触部は段状をなしている。したがって、相手コネクタが上記傾斜角度を減じてコネクタ嵌合を完了する直前にて、対応接触部が接触部に対して端子幅方向で引っ掛かってしまい、対応接触部は該接触部に乗り上げることができず、該接触部に接触できなくなる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、相手コネクタの対応接触部が端子幅方向でコネクタの接触部との正規の接触位置へ向けて円滑に案内されることにより、コネクタ嵌合完了時における接触部同士の接触状態を良好に確保できる電気コネクタおよび電気コネクタ組立体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、上述の課題は、次の第一発明に係る電気コネクタ、そして第二発明に係る電気コネクタ組立体により解決される。
【0013】
<第一発明>
第一発明に係る電気コネクタは、相手コネクタに設けられた相手端子に対しコネクタの挿抜方向で摺接して接続される端子が端子保持体に保持されている。
【0014】
かかる電気コネクタにおいて、第一発明では、端子は、該端子の上記挿抜方向に軸線をもつ周面のうち周方向での少なくとも一部が端子保持体の壁面から露呈した露呈面を有しており、該露呈面の少なくとも一部をなす一面には、上記相手端子に設けられた対応接触部に対して接圧をもって接触する接触部が該一面の幅方向での中間位置に形成されており、上記端子は、上記相手端子の上記対応接触部を上記幅方向で上記端子の上記接触部へ案内するための案内部を、上記挿抜方向で上記接触部の範囲に有しており、該案内部は、上記端子の上記一面にて、端子の側端位置から上記幅方向で上記接触部へ向かうにつれて上記接圧が生じる接圧方向で上記相手端子の対応接触部へ近づくように傾斜して上記接触部まで連続する傾斜面として形成されていることを特徴としている。
【0015】
第一発明では、上記相手端子の上記対応接触部を上記端子の幅方向で上記端子の上記接触部へ案内するための案内部が端子自体に形成されている。該案内部は、端子の側端位置から上記接触部まで連続する傾斜面として形成されている。したがって、上記端子の幅方向での該案内部の寸法を十分に大きくして、該案内部を勾配が小さい緩やかな傾斜面とすることができる。この結果、コネクタ嵌合過程あるいはコネクタ嵌合完了状態にて、相手端子の弾性変形により対応接触部が端子の接触部に対して端子幅方向でずれていても、上記端子に形成された連続傾斜面をなす案内部で上記対応接触部が相手端子の弾性力により該端子の接触部に向けて何の引っ掛かりもなく円滑に案内される。また、コネクタ同士を斜め嵌合する過程においても、上記対応接触部が上記端子の案内部で該端子の接触部に向けて円滑に案内される。このように、上記対応接触部が上記接触部へ案内される結果、該対応接触部と接触部との良好な接触状態が確保される。
【0016】
第一発明において、端子保持体は、相手端子の対応接触部を端子の一面の幅方向で該端子の案内部へ案内するための補助案内部を、コネクタの挿抜方向で上記案内部の範囲に有しており、上記補助案内部は、上記端子保持体の壁面にて、上記端子の側端よりも上記幅方向での外方の位置から該幅方向で上記案内部へ向かうにつれて上記接圧方向で上記相手端子の対応接触部へ近づくように傾斜面として形成されていて、該傾斜面の頂部が上記接圧方向で上記案内部の範囲内に位置していることとしてもよい。
【0017】
上記端子保持体に上記補助案内部を設けることにより、相手端子の対応接触部は該補助案内部によって端子の案内部へ案内されてから、さらに該案内部によって上記接触部に向けて何の引っ掛かりもなく円滑に案内される。このように、上記補助接触部によって上記対応接触部を確実に案内部へ案内することができるので、該対応接触部と接触部との接触状態をより確実に確保できる。
【0018】
第一発明において、端子は、該端子の一面に該一面の幅方向で間隔をもって複数の接触部が形成されているとともに、該接触部同士間に該接触部よりも没入した没入部が形成されており、案内部は、上記複数の接触部のうち上記幅方向での両端に位置する接触部に連続していることとしてもよい。
【0019】
<第二発明>
第二発明に係る電気コネクタ組立体は、第一発明に係る電気コネクタと、該電気コネクタに接続される相手コネクタとを有する。
【0020】
かかる電気コネクタ組立体は、相手コネクタに設けられた相手端子は、上記電気コネクタの端子の一面と対面する対応面から突出してコネクタの挿抜方向に延びる対応接触部が、上記対応面の幅方向で間隔をもって複数形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように、相手端子の対応接触部を端子の幅方向で該端子の接触部へ案内するための案内部が端子に形成されているので、記案内部によって上記対応接触部を上記端子の幅方向で上記端子との接触位置へ円滑に案内することができ、この結果、上記対応接触部と上記接触部との良好な接触状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第一実施形態に係る電気コネクタを相手コネクタとともに示した断面斜視図であり、コネクタ嵌合前の状態で示している。
図2図1の両コネクタの嵌合接続後の状態を示す断面斜視図である。
図3】(A)は電気コネクタの端子の全体斜視図であり、(B)は(A)の端子の一部拡大図であり、(C)は(B)のIIIC-IIIC断面図であり、(D)は、変形例に係る端子の一部断面図である。
図4】(A)ないし(C)は端子および相手端子が正規の接触位置にあるときの斜視図、平面図、断面図であり、(D)ないし(F)は端子および相手端子が端子幅方向で正規の接触位置からずれた位置にあるときの斜視図、平面図、断面図である。
図5】他の変形例に係るコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。
図6】さらに他の変形例に係るコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。
図7】第二実施形態に係るコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)および(C)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。
図8】第三実施形態に係るコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る電気コネクタを相手コネクタとともに下方から見て示した断面斜視図であり、コネクタ嵌合前の状態で示している。また、図2は、図1の両コネクタの嵌合接続後の状態を示す断面斜視図である。本実施形態に係る電気コネクタ1(以下、単に「コネクタ1」という)は、回路基板P1の実装面上に実装される回路基板用プラグコネクタであり、上記実装面に対して平行な一方向を配列方向として該実装面上に複数配列されている。相手コネクタ2は、他の回路基板P2の実装面上に配される回路基板用レセプタクルコネクタである。両コネクタは、回路基板P1,P2の実装面が互いに平行をなす姿勢のもとで、上記実装面に対して直角な方向(上下方向)をコネクタ挿抜方向として挿抜される。本実施形態では、相手コネクタ2は後述する複数の接続体30を有しており、一つの接続体30に対して一つのコネクタ1が上方から接続される。図1,2には、二つのコネクタ1と、該二つのコネクタ1にそれぞれ接続される二つの接続体30とが示されている。
【0025】
コネクタ1は、コネクタ幅方向(コネクタ1の配列方向及びコネクタ挿抜方向の両方向に対して直角な方向)を長手方向として延びる電気絶縁材製の端子保持体としてのハウジング10と、該ハウジング10によってコネクタ幅方向に配列保持される複数の端子20とを有している。
【0026】
図1,2によく見られるように、ハウジング10は、コネクタ幅方向を長手方向として延びていて、同方向で相手コネクタ2とほぼ同じ寸法で形成されている。ハウジング10は、図1,2での該ハウジング10の上部(上下方向にて回路基板P1側の部分)をなす基部11と、該基部11から下方へ向けて起立する嵌合壁部12とを有している。該嵌合壁部12は、後述する相手コネクタ2の受入部41へ嵌入する嵌合部として形成されている。図1,2に見られるように、該嵌合壁部12の下部は、両側面(コネクタの配列方向で対向する面)が下方へ向かうにつれて互いに近づくように傾斜する傾斜面として形成されており、コネクタ幅方向に見て先細り形状となっている。コネクタ1は、コネクタ嵌合過程にて、相手コネクタ2によって上記傾斜面で正規の嵌合位置へ案内されるようになっている。
【0027】
また、ハウジング10には、図1,2に見られるように、上下方向に延びる複数の端子収容部13がコネクタ幅方向で等間隔をなして配列形成されており、該端子収容部13で端子20を収容保持するようになっている。端子収容部13は、上下方向での嵌合壁部12の範囲では、コネクタ幅方向に延びる該嵌合壁部12の両方の側面に溝部として形成され、上下方向での基部11の範囲では、上記溝部に連通し該基部11を貫通する孔部として形成されている。
【0028】
図3(A)に見られるように、端子20は、金属板部材を板厚方向に打ち抜いて作られており、全体形状が左右方向(図1,2での上下方向)で直状に延びた帯片状をなしている。該端子20は、その板面(図3(A)での上面および下面)がコネクタ1の配列方向に対して直角となる姿勢をなすようにして、ハウジング10の端子収容部13へ図1,2での上方から圧入されて保持されて、コネクタ幅方向に配列されている。本実施形態では、複数の端子20は信号端子またはグランド端子として使用されており、信号端子およびグランド端子が混在して配列されている。
【0029】
図1,2に見られるように、端子20は、ハウジング10の嵌合壁部12の両方の側面に設けられており、該嵌合壁部12の壁厚方向(コネクタ1の配列方向)で該嵌合壁部12に対して対称な二列をなして設けられている。端子20は、図3(A)に見られるように、端子20の長手方向(図3(A)にて左右方向)での中間位置に形成された被保持部21と、該被保持部21から端子20の左端まで直状に延びる接続部22と、被保持部21から右方へ直状に延びる幅広部23と、該幅広部23から右端まで直状に延びる幅狭部24が形成されている。
【0030】
被保持部21は、端子20の長手方向に延びる両側の側縁から端子幅方向(コネクタ幅方向と同じ方向)に突出する複数の被保持突部21Aを有しており、該被保持突部21Aがハウジング10の端子収容部13の上記孔部の内壁面に喰い込むことにより、ハウジング10の基部11で圧入保持される。
【0031】
接続部22は、図1,2に見られるように、ハウジング10の上面から延出しており、その上端に半田ボールB1が取り付けられ、該半田ボールB1の溶融そして固化により回路基板P1の実装面の回路部に半田接続される。幅広部23および幅狭部24はそれらの全体が端子収容部13の溝部に収容される部分であり、一方の板面(図3(A)ないし(C)での上面)が嵌合壁部12の側面から露呈している。幅狭部24は、図3(A)に見られるように、端子20の長手方向では幅広部23よりも長く、端子幅方向では幅広部23よりも幅狭となっている。このように幅広部23よりも幅狭な幅狭部24は、上記溝部内にて、上記板面のみならず、両側の側端面(板厚面)も嵌合壁部12の側面から露呈している(図4(C),(F)参照)。
【0032】
幅狭部24は、ハウジング10から露呈している露呈面の一部である上記板面(図3(A)ないし(C)での上面)の端子幅方向中間域での二位置に、相手コネクタ2の相手端子60との接触のための二つの接触部24Aが間隔をもって形成されている。該接触部24Aは、図3(C)に見られるように、端子20の長手方向に対して直角な断面が上方へ向けて突出しているととともに、図3(A),(B)に見られるように、上記長手方向で幅狭部24のほぼ全域にわたって延びる凸条をなしている。
【0033】
また、上記二つの接触部24A同士間には、図3(C)に見られるように、該接触部24Aよりも没入した没入部24Bが形成されている。該没入部24Bは、図3(A),(B)に見られるように上記長手方向で幅狭部24のほぼ全域にわたって延びる溝部をなしており、上記長手方向で先端側(図3(A),(B)での右端側)に開放されている。コネクタ嵌合過程にて、端子20の接触部24Aあるいは相手端子60の後述の対応接触部61Aに異物等が付着していた場合、没入部24Bは、該接触部24Aと対応接触部61Aとが高い接圧のもとで摺接することにより排除された異物等を受け入れるようになっている。本実施形態では、没入部24Bは、幅狭部24の長手方向でほぼ全域にわたって延びる溝部として形成されていることとしたが、これに代えて、図3(D)に見られるように、幅狭部24の右端部側で閉塞されて凹部として形成されていてもよい。
【0034】
また、幅狭部24は、図3(A)ないし(D)に見られるように、上面にて、端子幅方向での幅狭部24の両側端のそれぞれの位置から該端子幅方向で接触部24Aへ向かうにつれて上方へ向けて傾斜して、すなわちコネクタ接続状態における相手端子60の対応接触部61Aへ近づくように傾斜して(図4(C)参照)、接触部24Aまで連続する平坦な傾斜面を有している。該傾斜面は、後述するように相手端子60の対応接触部61Aを端子幅方向で端子20の接触部24Aへ案内するための案内部24Cとして機能する。該案内部24Cは、図3(A),(B)に見られるように、コネクタ挿抜方向、すなわち幅狭部24の長手方向で、接触部24Aと同範囲にわたって延びている。
【0035】
また、図3(A)ないし(D)に見られるように、幅狭部24の先端部(右端部)の上面には、右端から左方へ向かうにつれて上方へ傾斜する平坦な傾斜面が形成されている。該傾斜面は、コネクタ嵌合過程にて、コネクタ挿抜方向で相手端子60を接触部24Aへ向けて導入案内する導入部24Dとして機能する。
【0036】
本実施形態では、接触部24Aは端子幅方向に間隔をもって二つ形成されていることとしたが、接触部の数はこれに限られず、端子幅方向に間隔をもって三つ以上の接触部が形成されていてもよい。この場合、該端子の案内部は、端子の両側端のそれぞれの位置から端子幅方向での最外位置の接触部まで連続するような傾斜面として形成される。
【0037】
次に、図1および図2に基づいて相手コネクタ2の構成について説明する。図1および図2に見られるように、相手コネクタ2は、コネクタ1に接続される複数の接続体30と、該複数の接続体30を配列し一括して支持する二つの支持体(図示せず)とを有している。該複数の接続体30は回路基板P2の面に対して平行な一方向で互いに近接して配列されている。
【0038】
接続体30は、互いに同形状をなし該接続体30の配列方向で対称となるように向かい合って配されて対をなす二つのブレード40と、該二つのブレード40の上半部を収容するとともに該ブレード40を保持するハウジング50とを有している。接続体30の上部にてブレード40同士間で上方へ向けて開口する空間は、後述する相手コネクタ2の嵌合部を上方から受け入れるための受入部41として形成されている。
【0039】
図1に見られるように、ブレード40は、接続体30の配列方向に対して直角なコネクタ幅方向(ブレード40の幅方向と同じ方向)に等間隔で配列された複数の帯板状の相手端子60と、該複数の相手端子60を保持する樹脂等の電気絶縁材製の二種の端子保持体70,80(後述する「上方保持体70」および「下方保持体80」)と、上記複数の端子20の一方の板面側(後述する「外側」に対応)に配され端子保持体70,80によって保持されるグランド板90とを有している。以下、対をなす二つのブレード40において、互いに対面する面側を「内側」といい、その反対の面側を「外側」という。
【0040】
複数の相手端子60は、相手信号端子と相手グランド端子とから成る。各ブレード40において、該相手信号端子および相手グランド端子は、コネクタ1の端子20をなす信号端子およびグランド端子にそれぞれ対応して配列されている。
【0041】
相手端子60は、図1および図2に見られるように、コネクタ挿抜方向、すなわち上下方向に延びる帯片状の金属部材を部分的に屈曲して作られており、接続体30の配列方向に対して板面が直角となるように配されている。該相手端子60は、その上半部が後述の上方保持体70から上方に延出する弾性腕部61として形成されている。また、該相手端子60の下半部は、後述の下方保持体80の下端から下方へ突出する下端部分が接続部62として形成され、また、該接続部62以外の部分、すなわち弾性腕部61と該接続部62とを連結する部分が、端子保持体70,80によって一体モールド成形により保持される被保持部として形成されている。
【0042】
相手端子60が上記被保持部で端子保持体70,80に保持された状態にて、弾性腕部61は、上下方向(コネクタ挿抜方向)に軸線をもつ周面が周方向全域にわたって該端子保持体70,80から露呈しており、該弾性腕部61の板厚方向に弾性変位可能となっている。該弾性腕部61の上端側には、上記板厚方向で内側へ向けて突出するように屈曲した対応接触部61Aとして形成されている。該対応接触部61Aは、その内側の板面、すなわち突出するように屈曲した板面でコネクタ1の端子20に弾性接触するようになっている(図4(A)ないし(F)をも参照)。上記接続部は、既述したように、下方保持体80の下端から下方へ突出しており、半田ボールB2(図1参照)によって回路基板P2の対応回路部に半田接続されるようになっている。
【0043】
上方保持体70は、コネクタ幅方向で相手端子60の配列範囲にわたって延びており、該相手端子60の被保持部の上端寄り部分を保持している。また、下方保持体80は、上方保持体70よりも下方位置にてコネクタ幅方向で相手端子60の配列範囲にわたって延びており、該相手端子60の被保持部の下半部を保持している。
【0044】
グランド板90は、相手端子60の外側面に対面して相手端子60の配列範囲全域にわたってコネクタ幅方向に延びており、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られている。該グランド板90は、各相手グランド端子に対応する位置で該相手グランド端子の外側面(板面)に向けて突出するとともに上下方向に延びる突条部が形成されている。該突条部はその突出頂部で相手グランド端子の外側面に接触している。グランド板90は、例えば上方保持体70の一部の超音波溶着により、該上方保持体70に保持されている。
【0045】
ハウジング50は、樹脂等の電気絶縁材料で作られており、端子配列方向を長手方向とする直方体外形をもつ四角筒状部材である。該ハウジング50は、上下方向に貫通した空間内に一対のブレード40を収容するようになっており、該ハウジング50の下部にはブレード40同士間を端子配列方向に延びる中間壁51を有している。該ハウジング50は、一対のブレード40に対して上方から取り付けられており、図1に見られるように、該ブレード40の上半部を収容する。
【0046】
次に、相手コネクタ2の製造工程について説明する。まず、端子保持体70,80を同時に成形するための一つの金型(図示せず)内に、複数の相手端子60を所定間隔で配列する。このとき、相手端子60の弾性腕部61と接続部62は金型外に位置することとなる。また、複数の相手端子60はそれぞれキャリアに連結された状態であってもよい。
【0047】
次に、端子保持体70,80をモールド成形することにより該端子保持体70,80で相手端子60の被保持部を一体的に保持する。そして、グランド板90が超音波溶着等により上方保持体70に取り付けられた後、相手端子60がキャリアから切り離されてブレード40が完成する。
【0048】
次に、二つのブレード40を内側面同士が対面した状態でハウジング50内へ下方から圧入して取り付けることにより接続体30が完成する。さらに、複数の接続体30を支持体(図示せず)に取り付けることにより、該複数の接続体30が該支持体により一括して支持され、相手コネクタ2が完成する。この支持体は、例えば、端子配列方向での接続体30の両端位置で該接続体30の配列方向に延びる一対の金属板部材により構成することができる。
【0049】
次に、図1,2,4にもとづいて、コネクタ1と相手コネクタ2とのコネクタ嵌合動作について説明する。図4(A)ないし(C)は、端子および相手端子が正規の接触位置にあるときの斜視図、平面図、断面図であり、図4(D)ないし(F)は端子および相手端子が端子幅方向で正規の接触位置からずれた位置にあるときの斜視図、平面図、断面図である。図4(B)および(E)では、端子20は相手端子60に隠れている部分が破線で示されている。
【0050】
まず、複数のコネクタ1を回路基板P1に半田接続して実装するとともに、該複数のコネクタ1と同数の接続体30を有する相手コネクタ2を回路基板P2に半田接続して実装する。次に、図1に見られるように、コネクタ1を下方に向いた姿勢とし、各コネクタ1がそれぞれ相手コネクタ2の接続体30の受入部41に対応するように、該コネクタ1を相手コネクタ2の上方に位置させる。
【0051】
次に、コネクタ1を下方へ移動させて、図2に見られるように、該コネクタ1をそれぞれ対応する接続体30に上方から嵌合させることにより、コネクタ嵌合動作が完了する。このとき、コネクタ1の嵌合部が接続体30の受入部41へ進入する。コネクタ1に設けられた端子20の二つの接触部24Aは、コネクタ嵌合過程にて、その板厚方向(図4(A)ないし(F)での上下方向)を接圧方向とする接圧を生じさせながら、相手端子60の対応接触部61Aに対しコネクタ挿抜方向に摺接する。そして、コネクタ嵌合が完了すると、図4(A)ないし(C)に見られるように、上記二つの接触部24Aは、上記接圧方向での接圧をもって対応接触部61Aと弾性接触して電気的に導通する。
【0052】
コネクタ1と相手コネクタ2とのコネクタ嵌合過程において、相手端子60の弾性腕部61に対して端子幅方向の外力が作用した場合、該外力により弾性腕部61が端子幅方向に弾性変形して、コネクタ嵌合過程あるいはコネクタ嵌合状態で、図4(D)ないし(F)に見られるように、該弾性腕部61の対応接触部61Aが端子20の接触部24Aに対して端子幅方向にずれてしまうことがある。このとき、該弾性腕部61にはその弾性変形状態から復帰しようとする弾性力(図4(F)の右方へ向けて作用する力)、すなわち上記対応接触部61Aを上記接触部24Aと接触可能な正規位置、すなわち該接触部24Aの頂部へ向けて変位させようとする復元力が常に生じている。
【0053】
本実施形態では、相手端子60の対応接触部61Aを端子20の幅方向で該端子20の接触部24Aへ案内するための傾斜面をなす案内部24Cが端子20自体に形成されている。該案内部24Cは、端子20の側端位置から上記接触部24Aまで連続する傾斜面として形成されている。したがって、上記端子20の幅方向での該案内部24Cの寸法を十分に大きくして、該案内部24Cを勾配が小さい緩やかな傾斜面とすることができる。この結果、コネクタ嵌合過程あるいはコネクタ嵌合完了状態にて、相手端子60の弾性腕部61の弾性変形により対応接触部61Aが端子20の接触部24Aに対して端子幅方向でずれていても、上記端子20に形成された連続傾斜面をなす案内部24Cで上記対応接触部61Aが弾性腕部61の弾性力により端子20の接触部24Aに向けて何の引っ掛かりもなく円滑に案内される。このように、上記対応接触部61Aが上記接触部24Aへ案内される結果、図4(A)ないし(C)に示される正規の接触位置における対応接触部61Aと接触部24Aとの良好な接触状態が確保される。
【0054】
また、コネクタ嵌合の際に、コネクタ1と相手コネクタ2とがいわゆる斜め嵌合されたとき、既述したように、コネクタ嵌合完了直前にて、相手端子60の対応接触部61Aは、端子20の接触部24Aに対してコネクタ挿抜方向のみならず端子幅方向でも摺接し、コネクタ嵌合完了時点にて、上記接触部24Aとの正規の接触位置で該接触部24Aと接圧をもって接触することとなる。この斜め嵌合の過程においても、上述したのと同じ要領で、上記対応接触部61Aが上記端子20の案内部24Cで該端子20の接触部24Aに向けて円滑に案内される。このように、上記対応接触部61Aが上記接触部24Aへ案内される結果、該対応接触部61Aと接触部24Aとの良好な接触状態が確保される。
【0055】
本実施形態では、端子20のみに案内部が形成されているが、端子20のみならず、相手端子60にも、端子20の接触部24Aを端子幅方向で対応接触部61Aへ向けて案内するための案内部が形成されていてもよい。該案内部は、例えば、相手端子60の側端位置から端子幅方向で接触部61Aに向かうにつれて図4(C)での下方へ向けて傾斜するように接触部61Aまで連続する傾斜面として形成することができる。このように端子60に案内部を設けることにより、端子同士の円滑な案内が促進され、接触部同士を正規の接触位置でより確実に接触させることができる。
【0056】
また、本実施形態では相手端子60が弾性腕部61を有していることとしたが、これに代えて、相手端子が弾性腕部を有しておらず端子幅方向に弾性変形しないような構成となっている場合であっても、上述したのと同様に、対応接触部は、斜め嵌合過程において、案内部24Cよって接触部24Aへ向けて円滑に案内される。
【0057】
本実施形態では、端子の案内部は平坦な傾斜面として形成されているが、端子の案内部の形状はこれに限られず、変形例として、例えば、凸湾曲面として形成されていてもよい。図5は、端子と相手端子との接触位置におけるコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。この図5(A),(B)では、既述の実施形態のコネクタおよび相手コネクタの各部に対応する部分は、図1ないし図4で示した符号に「100」を加えた符号で示されている。
【0058】
図5(A),(B)に見られる変形例では、端子120の案内部124Cは、端子120の側端位置から端子幅方向で接触部124Aへ向かうにつれて上方へ傾斜して該接触部124Aまで連続する傾斜面として形成されており、該傾斜面は凸湾曲している。このように案内部124Cを凸湾曲面とした実施形態において、図5(B)に見られるように、相手端子160の対応接触部161Aが端子幅方向(図5(B)での左右方向)でずれていた場合でも、既述した実施形態について図4に基づいて説明したのと同様に、対応接触部161Aが案内部124Cによって接触部124Aへ向けて円滑に案内され、図5(A)に示される正規の接触位置へもたらされる。
【0059】
また、本実施形態では、端子の接触部が端子幅方向に二つ設けられていることとしたが、接触部は一つであってもよい。図6は、端子の接触部が一つである変形例について、端子と相手端子との接触位置におけるコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。この図6(A),(B)では、既述の実施形態のコネクタおよび相手コネクタの各部に対応する部分は、図1ないし図4で示した符号に「200」を加えた符号で示されている。
【0060】
図6(A),(B)に見られる変形例では、端子220は、端子幅方向での中央域に一つの接触部224Aを有しており、該接触部224Aの平坦な上面で相手端子260の対応接触部261Aと接圧をもって接触するようになっている。案内部224Cは、相手端子260の両方の側縁位置から端子幅方向で接触部224Aへ向かうにつれて上方へ、すなわち相手端子260の対応接触部261Aへ近づくように傾斜して接触部224Aまで連続する傾斜面として形成されている。図6(A),(B)に見られるように、該接触部224Aのなす傾斜面は、図5(A),(B)に基いて既述した変形例と同様に凸湾曲面として形成されている。なお、該接触部224Aをなす傾斜面は平坦面として形成されていてもよい。
【0061】
この変形例では、図6(B)に見られるように、相手端子260の対応接触部261Aが端子幅方向でずれていた場合でも、既述した実施形態について図4図5に基づいて説明したのと同様に、対応接触部261Aが案内部224Cによって接触部224Aへ向けて円滑に案内され、図6(A)に示される正規の接触位置へもたらされる。
【0062】
<第二実施形態>
本実施形態は、相手端子の対応接触部を端子の接触部へ案内する案内部が端子に形成されていることに加え、上記対応接触部を上記案内部へ案内するための補助案内部がハウジングに形成されており、この点で、ハウジングが補助案内部を有していない第一実施形態と構成が異なっている。
【0063】
図7は、第二実施形態について、端子と相手端子との接触位置におけるコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)および(C)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。この図7(A)ないし(C)では、第一実施形態のコネクタおよび相手コネクタの各部に対応する部分は、図1ないし図4で示した符号に「300」を加えた符号で示されている。
【0064】
本実施形態では、端子320は、第一実施形態の端子20(図4(C),(F)参照)と同様に、端子幅方向で間隔をもって位置する二つの接触部324Aと、該端子320の側端位置から端子幅方向で接触部324Aへ向かうにつれて上方に傾斜して接触部324Aまで連続する案内部324Cとを有している。また、本実施形態では、ハウジング310は、端子幅方向での端子収容部313の両側の外方位置、かつ、コネクタの挿抜方向(紙面に対して直角な方向)での端子320の案内部324Cの範囲に、ハウジング310の壁面(図7(A)ないし(C)での上面)から突出する突出部314が形成されている。該突出部314の頂部(上端部)は上下方向、すなわち接圧方向で端子320の案内部324Cの範囲内に位置している。該突出部314は、端子幅方向で端子320の案内部324Cへ向かうにつれて突出部314の頂部まで上方へ傾斜する平坦な傾斜面を有している。該傾斜面は、相手端子360の対応接触部361Aを端子幅方向で端子320の案内部324Cへ案内するための補助案内部314Aとして形成されている。
【0065】
図7(B)は、コネクタ嵌合過程あるいはコネクタ嵌合状態において、相手端子360の弾性腕部361の弾性変形により対応接触部361Aが端子320の接触部324Aに対して端子幅方向にずれていて、該端子幅方向で上記突出部314よりも外側(突出部314に対して端子320の反対側)に位置している状態が示されている。本実施形態では、弾性腕部361の弾性力(図7(B)の右方へ向けた力)により対応接触部361Aがハウジング310の補助案内部314Aで案内されて突出部314の頂部に乗り上げる(図7(C)参照)。
【0066】
さらに、対応接触部361Aは、上記弾性力(図7(C)の右方へ向けて作用する力)により突出部314の頂部に摺接しながら案内部324Cへ向けて変位する。そして、該対応接触部361Aは、案内部324Cに当接した後、上記弾性力により案内部324Cで端子320の接触部324Aに向けて円滑に案内される。このように、本実施形態では、端子320の案内部324Cへ対応接触部361Aを案内するための補助案内部314Aがハウジング310に設けられているので、対応接触部361Aが端子幅方向で接触部324Aに対して大きくずれて突出部314よりも外側に位置していても、対応接触部361Aを接触部324Aとの正規の接触位置に確実にもたらすことができる。
【0067】
また、コネクタ嵌合の際に、コネクタ1と相手コネクタ2とがいわゆる斜め嵌合された場合においても、上述したのと同じ要領で、上記対応接触部361Aが補助案内部314Aそして案内部324Cで順次案内され、接触部324Aとの正規の接触位置にもたらされる。
【0068】
本実施形態では、端子320のみに案内部が形成されているが、端子320のみならず、相手端子360にも、端子320の接触部324Aを端子幅方向で対応接触部361Aへ向けて案内するための案内部が形成されていてもよい。該案内部は、例えば、相手端子360の側端位置から端子幅方向で接触部361Aに向かうにつれて図7(A)での下方へ向けて傾斜するように接触部361Aまで連続する傾斜面として形成することができる。また、このとき、相手端子360を保持する端子保持体に、端子320の接触部324Aを端子幅方向で相手端子360の案内部へ向けて案内するための補助案内部が形成されていてもよい。このように相手端子360に案内部を設け、また、上記端子保持体に補助案内部を設けることにより、端子同士の円滑な案内が促進され、接触部同士を正規の接触位置でより確実に接触させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、ハウジングの補助案内部は平坦な傾斜面として形成されているが、補助案内部の形状はこれに限られず、変形例として、例えば、凸湾曲面として形成されていてもよい。
【0070】
<第三実施形態>
第一および第二実施形態では、端子に複数の接触部が設けられている端子に案内部が形成されていることとしたが、本実施形態では、案内部が相手端子に設けられており、この点で、第一および第二実施形態と異なっている。
【0071】
図8は、第三実施形態について、端子と相手端子との接触位置におけるコネクタ挿抜方向に対して直角な面での端子および相手端子の断面図であり、(A)は正規の接触状態を示しており、(B)は相手端子の対応接触部が端子幅方向にずれた状態を示している。この図7(A),(B)では、第一実施形態のコネクタおよび相手コネクタの各部に対応する部分は、図1ないし図4で示した符号に「400」を加えた符号で示されている。
【0072】
本実施形態では、後述するように、端子420に接触部424Aが形成されているとともに、相手端子460に対応接触部461Aが形成されているが、端子420を相手端子460に対する相手端子として捉えた場合には、端子420が「相手端子」、接触部424Aが「対応接触部」、相手端子460が「端子」、対応接触部461Aが「接触部」となる。
【0073】
図8(A),(B)に示されているように、端子420の上面には、端子幅方向での両方の側端域でそれぞれ突出形成された接触部424Aと、二つの接触部424A同士間に形成された没入部424Bとを有している。このように各接触部424Aは、端子幅方向での側端域、すなわち端子420の中間位置から側端位置までわたる範囲に形成されている。したがって、該端子420は案内部を有しておらず、この点で、第一および第二実施形態の端子と異なっている。
【0074】
一方、相手端子460の弾性腕部461は、図8(A),(B)に見られるように、端子420の接触部424Aとの接触のための対応接触部461Aが、相手端子460の下面(板面)端子幅方向中央域で平坦面として形成されているとともに、接触部424Aを端子幅方向で対応接触部461Aへ案内するための案内部461Bを両方の側端寄り位置に有している。該案内部461Bは、図8(A),(B)に見られるように、相手端子460の側端位置から端子幅方向で対応接触部461Aへ向かうにつれて下方へ傾斜する平坦な傾斜面として形成されている。
【0075】
このような本実施形態によれば、図8(B)に見られるように、端子460の対応接触部461Aに対して端子幅方向でずれていた場合でも、端子460の弾性腕部461の弾性力(図8(B)の右方へ向けて作用する力)により、端子420の接触部424Aが案内部461Bによって対応接触部461Aへ向けて何の引っ掛かりもなく円滑に案内され、図8(A)に示される正規の接触位置へもたらされる。この結果、該対応接触部461Aと接触部424Aとの良好な接触状態が確保される。また、コネクタ同士が斜め嵌合される場合においても、上述したのと同じ要領で、端子420の接触部424Aが案内部461Bによって対応接触部461Aへ案内され、正規の接触位置へもたらされる。案内部461Bは凸湾曲面として形成されていてもよい。
【0076】
また、上述したように相手端子460に案内部461Bを設けることに加え、相手端子460を保持する端子保持体(図示せず)に、端子420の接触部424Aを端子幅方向で上記案内部461Bへ案内するための補助案内部を設けてもよい。該補助案内部は、例えば、図7(A)ないし(C)で示した補助案内部314Aと同様に、上記端子保持体の壁面から突出する突出部の傾斜面として形成することができる。
【0077】
さらに、端子420にも案内部を設けてもよく、また、該端子420を保持するハウジング410に補助案内部を設けてもよい。該案内部は、例えば、図7(A)ないし(C)で示した案内部324Cと同様に、端子420の側端位置から端子幅方向で接触部424Aまで連続する傾斜面として形成することができる。また、該補助案内部は、図7(A)ないし(C)で示した補助案内部314Aと同様に、ハウジング410の壁面から突出する突出部の傾斜面として形成することができる。このように端子420に案内部を設けることにより、また、ハウジング410に補助案内部を設けることにより、端子同士の円滑な案内が促進され、接触部同士を正規の接触位置でより確実に接触させることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 コネクタ 24B 没入部
2 相手コネクタ 24C 案内部
20 端子 60 相手端子
10 ハウジング(端子保持体) 61A 対応接触部
24A 接触部 314A 補助案内部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8