【解決手段】給電制御装置10が有するNチャネル型のFET20に関して、直流電源11から負荷12に流れる電流の電流経路に、電流が入力されるドレインと、電流が出力されるソースとが配置されている。第1判定回路24によって、FET20のゲート及びソース間の制御電圧が第1閾値以上であると判定され、かつ、第2判定回路25によって、FET20のドレイン及びソース間の両端電圧が第2閾値以上であると判定された場合、駆動回路22は、FET20をオフに切替える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、直流電源から負荷に流れる電流の電流経路にて、ドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETと、前記FETのゲート及びソース間の制御電圧が第1閾値以上であるか否かを判定する第1判定回路と、前記FETのドレイン及びソース間の両端電圧が第2閾値以上であるか否かを判定する第2判定回路と、前記第1判定回路によって、前記制御電圧が前記第1閾値以上であると判定され、かつ、前記第2判定回路によって、前記両端電圧が前記第2閾値以上であると判定された場合、前記FETをオフに切替える切替え回路とを備える。
【0013】
上記の態様にあっては、FETのゲート及びソース間の電圧が制御電圧である。FETのドレイン及びソース間の電圧が両端電圧である。FETをオフからオンに切替える場合、制御電圧を上昇させる。故障が発生していない場合においては、制御電圧が上昇したとき、FETのドレイン及びソース間の抵抗値が低下するので、両端電圧が低下する。
【0014】
以下の条件が満たされるように、第1閾値及び第2閾値が設定される。故障が発生していない場合においては、FETがオフであるとき、制御電圧は第1閾値未満であり、かつ、両端電圧は第2閾値以上である。制御電圧が上昇した場合においては、制御電圧が第1閾値未満である間に両端電圧が第2閾値未満の電圧に低下する。この条件が満たされるように第1閾値及び第2閾値が設定された場合においては、故障が発生していない限り、制御電圧が第1閾値以上であり、かつ、両端電圧が第2閾値以上である状態は存在しない。
FETがオフからオンに切替わるまでの過渡期間において、FETを介して大きい電流が流れた場合、制御電圧が第1閾値以上であり、かつ、両端電圧が第2閾値以上である状態が実現され、FETはオフに戻される。
【0015】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第1閾値は、前記制御電圧を上昇させた場合にて、前記FETのドレイン及びソースを介して電流が流れ始めた時点の前記制御電圧を超えており、前記第2閾値は、ゼロV以上であり、かつ、前記直流電源の電圧未満である。
【0016】
上記の態様にあっては、基準電位が例えば接地電位であるゲートの電圧を上昇させることによって、FETのゲート及びソース間の制御電圧を上昇させる。故障が発生していないと仮定する。この場合、FETのドレイン及びソースを介して電流が流れ始めてから、両端電圧が直流電源の電圧からゼロV近傍の電圧に低下するまで、制御電圧は、電流が流れ始めた時点の電圧に維持される。第1閾値が、FETのドレイン及びソースを介して電流が流れ始めた時点の制御電圧を超えているので、故障が発生していない場合、制御電圧が第1閾値未満である間に両端電圧が第2閾値未満の電圧に確実に低下する。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第1判定回路は、前記制御電圧を増幅する増幅器と、前記増幅器が増幅した電圧を所定電圧と比較する比較器とを有し、前記所定電圧は、前記第1閾値と、前記増幅器の増幅率との積に設定されている。
【0018】
上記の態様にあっては、増幅器を用いて制御電圧に比例する電圧を生成し、生成した電圧を所定電圧と比較する。これにより、制御電圧及び第1閾値の比較が実現される。
【0019】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第2判定回路は、電流が流れる第2の電流経路に配置され、上流側の一端が前記FETのドレインに接続される第1抵抗と、前記第1抵抗の下流側の一端の電圧を前記FETのソースの電圧に調整する調整器と、前記第2の電流経路にて前記第1抵抗の下流側に配置される第2抵抗と、前記第2抵抗の両端間の電圧を第2の所定電圧と比較する第2の比較器とを有し、前記第2の所定電圧は、前記第2閾値及び前記第2抵抗の抵抗値の積を、前記第1抵抗の抵抗値で除算した値に設定されている。
【0020】
上記の態様にあっては、第1抵抗の下流側の一端の電圧がFETのソースの電圧に調整されるので、第2抵抗の両端間の電圧は、FETのドレイン及びソース間の両端電圧に比例する。第2抵抗の両端間の電圧を第2の所定電圧と比較する。これにより、両端電圧及び第2閾値の比較が実現される。
【0021】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第2判定回路は、前記両端電圧を増幅する第2の増幅器と、前記第2の増幅器が増幅した電圧を第3の所定電圧と比較する第3の比較器とを有し、前記第3の所定電圧は、前記第2閾値と、前記第2の増幅器の増幅率との積に設定されている。
【0022】
上記の態様にあっては、第2の増幅器を用いて両端電圧に比例する電圧を生成し、生成した電圧を第3の所定電圧と比較する。これにより、両端電圧及び第2閾値の比較が実現される。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に好適に搭載されており、給電制御装置10、直流電源11及び負荷12を備える。給電制御装置10は、半導体スイッチとして機能するNチャネル型のFET20を有する。FET20のドレイン及びゲート間に第1キャパシタC1が接続されている。FET20のソース及びゲート間に第2キャパシタC2が接続されている。第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2それぞれはFET20の寄生容量である。直流電源11は、例えばバッテリである。負荷12は、車両に搭載された電気機器である。
【0025】
FET20がオンである場合、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値が十分に小さく、FET20のドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。FET20がオフである場合、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値が十分に大きく、FET20を介して電流が流れることはない。
【0026】
FET20のドレイン及びソースそれぞれは、直流電源11の正極及び負荷12の一端に接続されている。直流電源11の負極と、負荷12の他端とは接地されている。給電制御装置10では、FET20をオン又はオフに切替えることによって、直流電源11から負荷12の給電を制御する。
【0027】
FET20がオンである場合、電流が、直流電源11の正極からFET20を介して負荷12に流れる。これにより、電力が直流電源11から負荷12に供給され、負荷12は作動する。FET20を介して電流が流れる場合、FET20において、電流はドレイン及びソースの順に流れる。従って、FET20のドレイン及びソースは、直流電源11から負荷12に流れる電流の電流経路に配置され、ドレインはソースの上流側に配置されている。
【0028】
FET20がオフである場合、FET20を介して電流が流れない。FET20がオンからオフに切替わった場合、負荷12への電力供給が停止し、負荷12は動作を停止する。
【0029】
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、FET20に加えて、装置抵抗21、駆動回路22、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)23、第1判定回路24、第2判定回路25及びOR回路26を有する。駆動回路22は、第1入力端、第2入力端、出力端及び接地端を有する。OR回路26は、第1入力端、第2入力端及び出力端を有する。
【0030】
FET20のゲートは、更に、装置抵抗21の一端に接続されている。装置抵抗21の他端は駆動回路22の出力端に接続されている。駆動回路22の第1入力端は、マイコン23に接続されている。FET20のゲート及びソースは第1判定回路24に各別に接続されている。第1判定回路24は、更に、OR回路26の第1入力端に接続されている。FET20のドレイン及びソースは第2判定回路25に各別に接続されている。第2判定回路25は、更に、OR回路26の第2入力端に接続されている。OR回路26の出力端は、駆動回路22の第2入力端に接続されている。駆動回路22の接地端は接地されている。
【0031】
FET20の導電型はNチャネル型であるので、FET20について、ドレイン及びソース間の抵抗値は、ゲート及びソース間の電圧が上昇した場合に低下する。以下では、FET20のゲート及びソース間の電圧を制御電圧と記載する。制御電圧がオフ電圧未満である場合、FET20はオフである。オフ電圧はゼロVを超えている。制御電圧がオン電圧以上である場合、FET20はオンである。オン電圧はオフ電圧を超えている。制御電圧がオフ電圧以上であり、かつ、オン電圧未満である場合、FET20のドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。しかしながら、FET20のドレイン及びソースの抵抗値は大きい。
【0032】
駆動回路22は、基準電位が接地電位である出力端の電圧を調整することによって、FET20をオン又はオフに切替える。FET20がオフである場合、駆動回路22は出力端の電圧をゼロVに調整している。このため、第1キャパシタC1は、直流電源11によって充電され、第1キャパシタC1の両端間の電圧は直流電源11の両端間の電圧と一致している。このとき、基準電位が接地電位であるドレインの電圧は、基準電位が接地電位であるゲートの電圧を超えている。また、FET20がオフである場合、第2キャパシタC2の両端間の電圧、即ち、制御電圧はゼロVである。
なお、第1キャパシタC1の両端間の電圧と、直流電源11の両端間の電圧との「一致」は厳密な一致のみを意味しない。実質的な一致が実現されていればよい。
【0033】
以下では、直流電源11の両端間の電圧を電源電圧と記載する。基準電位が接地電位であるゲートの電圧をゲート電圧と記載する。基準電位が接地電位であるドレインの電圧をドレイン電圧と記載する。基準電位が接地電位であるソースの電圧をソース電圧と記載する。
【0034】
駆動回路22は、FET20をオフからオンに切替える場合、出力端の電圧を、一定の目標電圧に上昇させる。目標電圧は電源電圧よりも高い。目標電圧及び電源電圧の差はオン電圧以上である。駆動回路22が出力端の電圧を上昇させた場合、電流が駆動回路22の出力端から装置抵抗21及び第2キャパシタC2の順に流れ、第2キャパシタC2が充電される。結果、第2キャパシタC2の両端間の電圧、即ち、制御電圧が上昇する。
【0035】
また、第2キャパシタC2が充電された場合、ゲート電圧も上昇する。ゲート電圧が上昇した場合、第1キャパシタC1の両端間の電圧が低下する。ゲート電圧が電源電圧を超えた場合、第2キャパシタC2に加えて、第1キャパシタC1も充電される。このとき、ゲート電圧はドレイン電圧を超えている。制御電圧がオン電圧以上の電圧となった場合、FET20はオンに切替わる。
【0036】
駆動回路22は、FET20をオフに切替える場合、出力端の電圧をゼロVに低下させる。これにより、電流は、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2から装置抵抗21及び駆動回路22の順に流れ、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は放電する。第2キャパシタC2が放電した場合、第2キャパシタC2の両端間の電圧、即ち、制御電圧が低下する。
【0037】
制御電圧がオフ電圧未満の電圧となった場合、FET20はオフに切替わる。第1キャパシタC1については、放電が終了した後、電流が直流電源11の正極から第1キャパシタC1、装置抵抗21及び駆動回路22の順に流れ、直流電源11が第1キャパシタC1を充電する。第1キャパシタC1の両端間の電圧が電源電圧となった場合、第1キャパシタC1の充電が終了する。
以上のように、駆動回路22は、FET20をオン又はオフに切替える。
【0038】
マイコン23及びOR回路26それぞれは、駆動回路22に電圧を出力する。マイコン23及びOR回路26それぞれの出力電圧の基準電位は接地電位である。マイコン23及びOR回路26それぞれは、出力電圧を、ハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
【0039】
OR回路26の出力電圧がハイレベル電圧である場合において、マイコン23が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えたとき、駆動回路22はFET20をオンに切替える。マイコン23が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路22は、OR回路26の出力電圧に無関係に、FET20をオフに切替える。OR回路26が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路22は、マイコン23の出力電圧に無関係に、FET20をオフに切替える。その後、駆動回路22はFET20のオフを維持する。
【0040】
第1判定回路24及び第2判定回路25それぞれは、OR回路26に電圧を出力する。第1判定回路24及び第2判定回路25それぞれの出力電圧の基準電位は接地電位である。第1判定回路24及び第2判定回路25それぞれの出力電圧は、ハイレベル電圧又はローレベル電圧である。
【0041】
第1判定回路24は、FET20のゲート及びソース間の電圧、即ち、制御電圧が一定の第1閾値以上であるか否かを判定する。第1判定回路24は、制御電圧が第1閾値未満であると判定した場合、ハイレベル電圧をOR回路26に出力する。第1判定回路24は、制御電圧が第1閾値以上であると判定した場合、ローレベル電圧をOR回路26に出力する。第2判定回路25は、FET20のドレイン及びソース間の電圧、即ち、両端電圧が一定の第2閾値以上であるか否かを判定する。第2判定回路25は、両端電圧が第2閾値未満であると判定した場合、ハイレベル電圧をOR回路26に出力する。第2判定回路25は、両端電圧が第2閾値以上である場合、ローレベル電圧をOR回路26に出力する。
【0042】
OR回路26は、第1判定回路24及び第2判定回路25の出力電圧の中で少なくとも一方の電圧がハイレベル電圧である場合、ハイレベル電圧を出力する。OR回路26は、第1判定回路24及び第2判定回路25の出力電圧の両方がローレベル電圧である場合、ローレベル電圧を出力する。
【0043】
<給電制御装置10の動作の第1例>
図2は、給電制御装置10の動作の第1例を示すタイミングチャートである。
図2では、電源システム1において故障が発生していない場合における給電制御装置10の動作が示されている。Vg、Vs及びVdそれぞれは、ゲート電圧、ソース電圧及びドレイン電圧を示す。Vb及びVpそれぞれは、直流電源11の電源電圧及び目標電圧を示す。Vgs及びVdsそれぞれは制御電圧及び両端電圧を示す。Vn及びVfそれぞれはオン電圧及びオフ電圧を示す。Vth1及びVth2それぞれは、第1閾値及び第2閾値を示す。
【0044】
図2において、第1段目には、ゲート電圧Vg、ソース電圧Vs及びドレイン電圧Vdそれぞれの推移が太い実線、細い実線及び太い破線で示されている。第2段目には制御電圧Vgsの推移が示されている。第3段目には両端電圧Vdsの推移が示されている。第4段目には、第1判定回路24の出力電圧の推移が示されている。第5段目には、第2判定回路25の出力電圧の推移が示されている。これらの推移の横軸には時間が示されている。
【0045】
FET20のドレインは直流電源11の正極に直接に接続されているため、ドレイン電圧Vdは電源電圧Vbに固定されている。前述したように、駆動回路22は出力電圧をゼロVに維持することによって、FET20をオフに維持している。駆動回路22の出力電圧がゼロVである場合、第2キャパシタC2は放電する。第2キャパシタC2の放電が終了した場合、制御電圧VgsはゼロVであり、ゲート電圧Vg及びソース電圧Vsは一致している。
【0046】
制御電圧がゼロVである場合、FET20はオフであるため、負荷12を介して電流が流れることはない。従って、ゲート電圧Vg及びソース電圧VsはゼロVである。ドレイン電圧Vdは電源電圧Vbに固定されているので、ソース電圧VsがゼロVである間、両端電圧は電源電圧Vbに維持される。
【0047】
前述したように、駆動回路22は、FET20をオンに切替える場合、出力電圧を上昇させる。これにより、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2が充電される。第2キャパシタC2の両端間の電圧の上昇に伴って、ゲート電圧Vgは上昇する。ゲート電圧Vgがオフ電圧Vf未満である間、FET20はオフであるため、ソース電圧VsはゼロVを維持している。従って、ゲート電圧Vgが上昇した場合、制御電圧Vgsも上昇する。
【0048】
制御電圧Vgsがオフ電圧Vfとなった場合、FET20及び負荷12を介して電流が流れる。オフ電圧Vfは、制御電圧Vgsを上昇させた場合において、FET20のドレイン及びソースを介して電流が流れ始めた時点の制御電圧Vgsである。FET20及び負荷12を介して電流が流れた場合、ソース電圧Vsが上昇する。これにより、制御電圧Vgsがオフ電圧Vf未満の電圧となり、FET20がオフに切替わる。FET20がオフに切替わった場合、ソース電圧VsがゼロVに低下するので、再び、制御電圧Vgsはオフ電圧Vf以上の電圧となり、FET20を介して電流が流れる。このように、FET20を介した電流の通流と、FET20のオフへの切替えとが交互に行われる。ゼロVへのソース電圧Vsの低下の記載と制御電圧Vgsの上昇の記載とについては、
図2において省略している。
【0049】
FET20を介した電流の通流と、FET20のオフへの切替えとが交互に行われている間、ゲート電圧Vgは上昇し続けており、FET20がオフに切替わった時点の制御電圧Vgsは、時間の経過とともに上昇する。制御電圧Vgsが高い程、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値は小さく、FET20及び負荷12を介して流れる電流は大きい。従って、FET20がオフに切替わった時点のソース電圧Vsは、時間の経過とともに上昇する。結果、ソース電圧Vsは、電源電圧Vb近傍の電圧となるまで、ゲート電圧Vgの上昇とともに上昇する。ソース電圧Vsが電源電圧Vb近傍の電圧となるまでの間、制御電圧Vgsはオフ電圧Vfに維持される。前述したように、ドレイン電圧Vdは電源電圧Vbに固定されているので、ソース電圧Vsの上昇に伴って、FET20の両端電圧Vdsは低下する。
【0050】
ソース電圧Vsが電源電圧Vb近傍の電圧となった後においては、FET20及び負荷12を介した電流の通流によって、制御電圧Vgsはオフ電圧Vf未満となることはない。このため、FET20及び負荷12を介して電流が流れ続ける。ソース電圧Vsが電源電圧Vb近傍の電圧となった後においては、ソース電圧Vsは、FET20を介して流れる電流の大きさに応じて変動する。しかしながら、この変動幅は小さいので、ソース電圧Vsは、電源電圧Vb近傍の電圧に維持される。両端電圧Vdsも、FET20を介して流れる電流の大きさに応じて変動する。しかしながら、この変動幅も小さいので、両端電圧Vdsは、ゼロV近傍の電圧に維持される。
【0051】
ソース電圧Vsが電源電圧Vb近傍の電圧となった後においては、ゲート電圧Vgの上昇とともに、制御電圧Vgsも上昇する。制御電圧Vgsがオン電圧Vn以上の電圧となった場合、FET20はオンに切替わる。その後、ゲート電圧Vgは目標電圧Vpまで上昇する。ゲート電圧Vgが目標電圧Vpに到達するまで、制御電圧Vgsも上昇する。ゲート電圧Vgが目標電圧Vpに到達した後、駆動回路22は、ゲート電圧Vgを目標電圧Vpに維持する。ゲート電圧Vgが目標電圧Vpである間、制御電圧Vgsも一定の電圧に維持される。
【0052】
前述したように、駆動回路22は、FET20をオフに切替える場合、出力電圧をゼロVに低下させる。これにより、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は放電する。第2キャパシタC2の両端間の電圧の低下に伴って、ゲート電圧Vgは低下する。ゲート電圧Vgの低下に伴って、制御電圧Vgsも低下する。制御電圧Vgsがオン電圧Vn未満の電圧となった後においても、FET20を介して電流が流れ続ける。
【0053】
制御電圧Vgsがオフ電圧Vf未満の電圧となった場合、FET20がオフに切替わる。負荷12を介した電流の通流が停止するので、ソース電圧VsがゼロVに低下する。これにより、制御電圧Vgsがオフ電圧Vf以上の電圧となり、FET20を介した電流の通流が開始される。FET20を介して電流が通流した場合、ソース電圧Vsが上昇するので、再び、制御電圧Vgsはオフ電圧Vf未満の電圧となり、FET20を介した電流の通流が停止する。このように、FET20のオフへの切替えと、FET20を介した電流の通流とが交互に行われる。ゼロVへのソース電圧Vsの低下の記載と制御電圧Vgsの上昇の記載とについては、
図2において省略している。
【0054】
FET20のオフへの切替えと、FET20を介した電流の通流とが交互に行われている間、ゲート電圧Vgは低下し続けており、FET20がオフに切替わった時点の制御電圧Vgsは、時間の経過とともに低下する。制御電圧Vgsが低い程、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値は大きく、FET20及び負荷12を介して流れる電流は小さい。従って、FET20を介して電流が流れた時点のソース電圧Vsは、時間の経過とともに低下する。結果、ソース電圧VsはゼロVとなるまで、ゲート電圧Vgの低下とともに低下する。ソース電圧VsがゼロVとなるまでの間、制御電圧Vgsはオフ電圧Vfに維持される。前述したように、ドレイン電圧Vdは電源電圧Vbに固定されているので、ソース電圧Vsの低下に伴って、FET20の両端電圧Vdsは上昇する。
【0055】
ソース電圧VsがゼロVとなった後においては、FET20はオフに維持され、ゲート電圧Vgの低下とともに、制御電圧Vgsも低下する。その後、ゲート電圧VgはゼロVまで低下する。ソース電圧VsがゼロVとなった後においては、ソース電圧VsはゼロVに固定されているので、ゲート電圧VgがゼロVに到達するまで、制御電圧Vgsも低下する。ゲート電圧VgがゼロVに到達した後、駆動回路22は、ゲート電圧VgをゼロVに維持する。ゲート電圧VgがゼロVである間、制御電圧VgsもゼロVに維持される。
【0056】
ソース電圧VsがゼロVとなった場合、FET20の両端電圧Vdsは電源電圧Vbとなる。その後、制御電圧Vgsがオフ電圧Vf以上の電圧となるまで、両端電圧Vdsは電源電圧Vbに維持される。
【0057】
第1閾値Vth1はオフ電圧Vfを超えている。第1閾値Vth1は、更に、ゲート電圧Vgが目標電圧Vpである場合における制御電圧Vgs以下である。
図2では、第1閾値Vth1がオン電圧Vn未満である例が記載されている。しかしながら、第1閾値Vth1はオン電圧Vn以上であってもよい。
【0058】
第2閾値Vth2は、ゲート電圧Vgが目標電圧Vpである場合における両端電圧Vds以上であり、かつ、電源電圧Vb未満である。ゲート電圧Vgが目標電圧Vpである場合における両端電圧VdsはゼロV以上である。
【0059】
以上のように、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2が設定されている。このため、電源システム1において故障が発生していない場合においては、FET20がオフであるとき、制御電圧Vgsは第1閾値Vth1未満であり、かつ、両端電圧Vdsは第2閾値Vth2以上である。FET20をオフからオンに切替える場合においては、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満である間に、両端電圧Vdsは、電源電圧Vbから第2閾値Vth2未満の電圧に確実に低下する。両端電圧Vdsが第2閾値Vth2未満である状態で制御電圧Vgsが第1閾値Vth1以上の電圧となる。結果、FET20がオフからオンに切替わるまでの過渡期間において、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満であり、かつ、両端電圧Vdsが第2閾値Vth2未満である状態が実現されることはない。
【0060】
従って、FET20をオフからオンに切替える場合においては、第1判定回路24の出力電圧がハイレベル電圧である間に、第2判定回路25は、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。第2判定回路25の出力電圧がハイレベル電圧である状態で第1判定回路24は、出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。結果、第1判定回路24及び第2判定回路25の出力電圧がローレベル電圧である状態が実現されることはない。
【0061】
同様に、FET20をオンからオフに切替える場合においては、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満の電圧となった後に、両端電圧Vdsは、第2閾値Vth2未満の電圧から第2閾値Vth2以上の電圧となる。結果、FET20がオンからオフに切替わるまでの過渡期間において、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満であり、かつ、両端電圧Vdsが第2閾値Vth2未満である状態が実現されることはない。
【0062】
従って、FET20をオフからオンに切替える場合においては、第1判定回路24が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた後に、第2判定回路25が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。結果、第1判定回路24及び第2判定回路25の出力電圧がローレベル電圧である状態が実現されることはない。
【0063】
以上のことから、電源システム1に故障が発生してない場合、第1判定回路24及び第2判定回路25の出力電圧の少なくとも一方はハイレベル電圧であるので、OR回路26はハイレベル電圧を出力し続ける。駆動回路22は、マイコン23が出力電圧をハイレベル電圧に切替えた場合、FET20をオンに切替える。駆動回路22は、マイコン23が出力電圧をローレベル電圧に切替えた場合、FET20をオフに切替える。
【0064】
<給電制御装置10の動作の第2例>
図3は、給電制御装置10の動作の第2例を示すタイミングチャートである。
図3では、FET20がオフである間に負荷12の両端が短絡した場合における給電制御装置10の動作が示されている。
【0065】
図3においても、第1段目には、ゲート電圧Vg、ソース電圧Vs及びドレイン電圧Vdそれぞれの推移が太い実線、細い実線及び太い破線で示されている。第2段目には制御電圧Vgsの推移が示されている。第3段目には両端電圧Vdsの推移が示されている。第4段目には、第1判定回路24の出力電圧の推移が示されている。第5段目には、第2判定回路25の出力電圧の推移が示されている。これらの推移の横軸には時間が示されている。
【0066】
前述したように、FET20のドレインは直流電源11の正極に直接に接続されているため、ドレイン電圧Vdは電源電圧Vbに固定されている。駆動回路22は出力電圧をゼロVに維持することによって、FET20をオフに維持している。第2キャパシタC2の放電が終了しており、ゲート電圧Vg、ソース電圧Vs及び制御電圧VgsはゼロVである。FET20がオフである間に、負荷12の両端が短絡されたと仮定する。この場合においては、FET20がオフからオンに切替わるまでの過渡期間中にFET20を介して流れる電流は大きい。
【0067】
負荷12の両端が短絡しているため、ソース電圧VsはゼロVに固定されている。従って、FET20のドレイン及びソース間の電圧、即ち、両端電圧Vdsは電源電圧Vbに固定されている。前述したように、第2閾値Vth2は電源電圧Vb未満である。このため、負荷12の両端が短絡している間、第2判定回路25の出力電圧は、ローレベル電圧に固定され、ハイレベル電圧に切替わることはない。
【0068】
前述したように、駆動回路22は、FET20をオンに切替える場合、出力電圧を上昇させる。これにより、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2が充電される。第2キャパシタC2の両端間の電圧の上昇に伴って、ゲート電圧Vgは上昇する。ソース電圧VsはゼロVに固定されているので、制御電圧Vgsの推移はゲート電圧Vgの推移と一致する。制御電圧Vgsがオフ電圧Vf以上の電圧となった場合、FET20を介して電流が流れる。
【0069】
負荷12の両端が短絡しているので、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値の低下、即ち、制御電圧Vgsの上昇に伴って、FET20を介して流れる電流は上昇する。制御電圧Vgsが第1閾値Vth1以上の電圧となった場合、第2判定回路25がローレベル電圧を出力している状態で第1判定回路24が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。ここで、第1判定回路24及び第2判定回路25によって、FET20を介して流れる電流が大きいことが検知される。
【0070】
第2判定回路25がローレベル電圧を出力している状態で第1判定回路24が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、OR回路26は出力電圧をハイレベル電圧からローレベルに切替える。OR回路26の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、前述したように、駆動回路22は、マイコン23の出力電圧に無関係にFET20をオフに切替え、FET20のオフを維持する。具体的には、駆動回路22は、出力電圧をゼロVに低下させ、出力電圧をゼロVに維持する。駆動回路22は切替え回路として機能する。
【0071】
従って、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1以上の電圧となった場合、駆動回路22が出力電圧をゼロVに低下させるので、ゲート電圧Vg及び制御電圧Vgsは低下する。制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満の電圧となった場合、第1判定回路24は、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替え、OR回路26は出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。しかしながら、駆動回路22は、出力電圧を低下させ続ける。制御電圧Vgsがオフ電圧Vf未満の電圧となった場合、FET20はオフに切替わる。その後、ゲート電圧Vg及び制御電圧Vgsは、ゼロVに低下し、ゼロVに維持される。
【0072】
以上のように、給電制御装置10では、FET20がオフからオンに切替わるまでの過渡期間において、FET20を介して大きい電流が流れた場合、駆動回路22はFET20をオフに戻す。これにより、FET20を介して過電流が流れることが防止される。
【0073】
<給電制御装置10の動作の第3例>
図4は、給電制御装置10の動作の第3例を示すタイミングチャートである。
図4では、FET20がオンである間に負荷12の両端が短絡した場合における給電制御装置10の動作が示されている。
【0074】
図4においても、第1段目には、ゲート電圧Vg、ソース電圧Vs及びドレイン電圧Vdそれぞれの推移が太い実線、細い実線及び太い破線で示されている。第2段目には制御電圧Vgsの推移が示されている。第3段目には両端電圧Vdsの推移が示されている。第4段目には、第1判定回路24の出力電圧の推移が示されている。第5段目には、第2判定回路25の出力電圧の推移が示されている。これらの推移の横軸には時間が示されている。
【0075】
FET20がオンである場合、前述したように、制御電圧Vgsは第1閾値Vth1以上であり、かつ、両端電圧Vdsは第2閾値Vth2未満である。FET20がオンである間に負荷12の両端が短絡し、FET20を介して流れる電流が上昇したと仮定する。この場合、ソース電圧Vsは、電源電圧Vb近傍の電圧からゼロVに低下する。これにより、制御電圧Vgsが上昇し、両端電圧Vdsは電源電圧Vbまで上昇する。前述したように、第2閾値Vth2は電源電圧Vb未満である。このため、負荷12の両端が短絡した場合、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1以上である状態で両端電圧Vdsが第2閾値Vth2以上の電圧になる。
【0076】
このとき、第2判定回路25の出力電圧がローレベル電圧である状態で第1判定回路24の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わる。ここで、第1判定回路24及び第2判定回路25によって、FET20を介して流れる電流が大きいことが検知される。第2判定回路25の出力電圧がローレベル電圧である状態で第1判定回路24の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、OR回路26は出力電圧をハイレベル電圧からローレベルに切替える。OR回路26の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、前述したように、駆動回路22は、出力電圧をゼロVに低下させ、出力電圧をゼロVに維持する。結果、FET20はオフに切替わり、FET20のオフが維持される。
【0077】
負荷12の両端が短絡した後、ソース電圧VsはゼロVに固定されるので、ゲート電圧Vg及び制御電圧Vgsは一致する。駆動回路22が出力電圧をゼロVに低下させた場合、制御電圧Vgsは低下する。制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満の電圧となった場合、第1判定回路24は、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替え、OR回路26は出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。しかしながら、駆動回路22は、出力電圧を低下させ続ける。制御電圧Vgsがオフ電圧Vf未満の電圧となった場合、FET20はオフに切替わる。その後、ゲート電圧Vg及び制御電圧Vgsは、ゼロVに低下し、ゼロVに維持される。
【0078】
以上のように、給電制御装置10では、FET20がオンである間にFET20を介して大きい電流が流れた場合、駆動回路22はFET20をオフに切替える。これにより、FET20を介して過電流が流れることが防止される。
なお、FET20がオンからオフに切替わるまでの過渡期間中に、FET20を介して大きい電流が流れた場合、駆動回路22は、制御電圧Vgsを継続して低下させることによってFET20をオフに切替える。
【0079】
<第1判定回路24の構成>
図5は第1判定回路24の回路図である。Vr1は、基準電位が接地電位である一定の第1基準電圧を示す。第1判定回路24は、第1差動増幅器30及び第1コンパレータ31を有する。第1差動増幅器30は、回路抵抗40,41,42,43及び第1オペアンプ44を有する。第1コンパレータ31及び第1オペアンプ44それぞれは、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
【0080】
FET20のソースは、更に、回路抵抗40の一端に接続されている。回路抵抗40の他端は、回路抵抗41の一端と、第1オペアンプ44のマイナス端とに接続されている。回路抵抗41の他端は第1オペアンプ44の出力端に接続されている。FET20のゲートは、更に、回路抵抗42の一端に接続されている。回路抵抗42の他端は、回路抵抗43の一端と、第1オペアンプ44のプラス端とに接続されている。回路抵抗43の他端は接地されている。
【0081】
第1オペアンプ44の出力端は、第1コンパレータ31のマイナス端に接続されている。第1コンパレータ31のプラス端には、第1基準電圧Vr1が印加されている。第1コンパレータ31の出力端はOR回路26の第1入力端に接続されている。第1基準電圧Vr1は、例えば、図示しないレギュレータが直流電源11の電源電圧Vbを降圧することによって生成される。
【0082】
回路抵抗40,42の抵抗値は一致している。回路抵抗41,43の抵抗値は一致している。従って、第1オペアンプ44は、FET20のゲート及びソース間の電圧、即ち、制御電圧Vgsを増幅する。第1オペアンプ44は、増幅した電圧を第1コンパレータ31のマイナス端に印加する。回路抵抗40,42の抵抗値の「一致」、及び、回路抵抗41,43の抵抗値の「一致」それぞれは、厳密な一致のみを意味しない。実質的な一致が実現されていればよい。
【0083】
図5において、Aは、第1差動増幅器30の増幅率を示す。第1オペアンプ44の出力電圧は、A・Vgsで表される。「・」は積を表す。増幅率Aは、(回路抵抗41の抵抗値)/(回路抵抗40の抵抗値)で表され、ゼロを超えている。回路抵抗40,41,42,43の抵抗値は一定値であるので、増幅率Aの一定値である。回路抵抗40,41,42,43の抵抗値が一致している場合、増幅率Aは1である。
【0084】
第1コンパレータ31は、OR回路26に電圧を出力する。第1コンパレータ31の出力電圧は、前述した第1判定回路24の出力電圧である。第1コンパレータ31は、第1オペアンプ44の出力電圧を第1基準電圧Vr1と比較する。第1コンパレータ31は比較器として機能する。第1基準電圧Vr1は所定電圧に相当する。第1コンパレータ31は、比較結果に応じて、出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
第1コンパレータ31は、下記の(1)式が満たされた場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。
A・Vgs≧Vr1・・・(1)
【0085】
(1)式を展開することによって下記の(2)式が得られる。
Vgs≧Vr1/A・・・(2)
ここで、第1基準電圧Vr1はA・Vth1に設定されている。このため、第1コンパレータ31は、下記の(3)式が満たされる場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。
Vgs≧Vth1・・・(3)
【0086】
同様に、第1コンパレータ31は、下記の(4)式が満たされた場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。
A・Vgs<Vr1・・・(4)
【0087】
前述したように、Vr1はA・Vth1に設定されているので、第1コンパレータ31は、下記の(5)式が満たされる場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。
Vgs<Vth1・・・(5)
【0088】
以上のように、第1基準電圧Vr1がA・Vth1に設定されているので、制御電圧Vgsと第1閾値Vth1との比較が実現される。第1コンパレータ31は、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1以上である場合にローレベル電圧を出力し、制御電圧Vgsが第1閾値Vth1未満である場合にハイレベル電圧を出力する。
【0089】
<第2判定回路25の構成>
図6は第2判定回路25の回路図である。第2判定回路25は、第1抵抗50、第2抵抗51、調整器52及び第2コンパレータ53を有する。調整器52は、トランジスタ60及び第2オペアンプ61を有する。トランジスタ60は、PNP型のバイポーラトランジスタであり、可変抵抗器として機能する。第2オペアンプ61は、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。Vr2は、基準電位が接地電位である一定の第2基準電圧を示す。R1及びR2それぞれは、第1抵抗50及び第2抵抗51の抵抗値を示す。
【0090】
第1抵抗50の一端はFET20のドレインに接続されている。第1抵抗50の他端は、トランジスタ60のエミッタに接続されている。トランジスタ60のコレクタは第2抵抗51の一端に接続されている。第2抵抗51の他端は接地されている。トランジスタ60のエミッタ及びベースそれぞれは、第2オペアンプ61のマイナス端及び出力端に接続されている。第2オペアンプ61のプラス端はFET20のソースに接続されている。トランジスタ60のコレクタは、更に、第2オペアンプ61のマイナス端に接続されている。第2オペアンプ61のプラス端には、第2基準電圧Vr2が印加されている。第2オペアンプ61の出力端はOR回路26の第2入力端に接続されている。第2基準電圧Vr2は、例えば、図示しないレギュレータが電源電圧Vbを降圧することによって生成される。
【0091】
Isは、FET20のドレインから第1抵抗50に向けて流れる電流を示す。電流Isは、第1抵抗50、トランジスタ60及び第2抵抗51の順に流れる。電流Isの電流経路は第2の電流経路に相当する。従って、第1抵抗50は、電流Isの電流経路に配置され、第1抵抗50の一端は上流側の一端である。第1抵抗50の他端は下流側の一端である。電流Isの電流経路において、トランジスタ60は第1抵抗50の下流側に配置されており、第2抵抗51はトランジスタ60の下流側に配置されている。トランジスタ60において、電流Isは、エミッタ及びコレクタの順に流れる。
【0092】
トランジスタ60に関して、エミッタ及びコレクタ間の抵抗値は、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧に応じて変化する。エミッタ及びコレクタ間の抵抗値は、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が低い程、小さい。
【0093】
以下では、基準電位が接地電位であるベースの電圧をベース電圧と記載する。ベース電圧が低下した場合、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が低下する。ベース電圧が上昇した場合、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が上昇する。第2オペアンプ61は、ベース電圧を調整することによって、トランジスタ60のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値を調整する。
【0094】
以下では、第1抵抗50の下流側の一端の電圧を抵抗電圧と記載する。FET20のソースの電圧をスイッチ電圧と記載する。抵抗電圧及びスイッチ電圧の基準電位は接地電位である。第2オペアンプ61は、スイッチ電圧から抵抗電圧を減算することで得られる差分電圧を増幅し、増幅した電圧をトランジスタ60のベースに印加する。第2オペアンプ61の出力電圧はベース電圧である。第2オペアンプ61は、差分電圧に応じてベース電圧を調整する。
【0095】
第2オペアンプ61は、スイッチ電圧が抵抗電圧未満の電圧に低下した場合、ベース電圧を低下させる。これにより、トランジスタ60のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値が低下する。結果、電流Isが上昇し、抵抗電圧が低下する。第2オペアンプ61は、スイッチ電圧が抵抗電圧以上の電圧に上昇した場合、ベース電圧を上昇させる。これにより、トランジスタ60のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値が上昇する。結果、電流Isが低下し、抵抗電圧が上昇する。このように、第2オペアンプ61は、抵抗電圧をスイッチ電圧に調整する。
【0096】
第2オペアンプ61は、抵抗電圧をスイッチ電圧に調整するので、下記の(6)式が成り立つ。
Vb−Vds=Vb−R1・Is・・・(6)
ここで、Vb及びVdsそれぞれは、前述したように、直流電源11の電源電圧及びFET20の両端電圧である。(6)式を展開することによって、(7)式が得られる。
Is=Vds/R1・・・(7)
【0097】
なお、トランジスタ60は、可変抵抗器として機能すればよいので、PNP型のバイポーラトランジスタに限定されない。トランジスタ60は、例えば、Pチャネル型のFETであってもよい。この場合、ドレイン、ソース及びコネクタそれぞれは、コレクタ、エミッタ及びベースに対応する。
【0098】
第2抵抗51の両端間の電圧をVsと記載した場合、下記の(8)式が成り立つ。
Vs=R2・Is・・・(8)
(7)式及び(8)式に基づいて、電流Isを消去することによって、下記の(9)式が得られる。
Vs=R2・Vds/R1・・・(9)
【0099】
第2コンパレータ53は、OR回路26に電圧を出力する。第2コンパレータ53の出力電圧は、前述した第2判定回路25の出力電圧である。第2コンパレータ53は、第2抵抗51の両端間の電圧を第2基準電圧Vr2と比較する。第2コンパレータ53は、第2の比較器として機能する。第2基準電圧Vr2は第2の所定電圧に相当する。第2抵抗51の両端間の電圧が第2基準電圧Vr2以上である場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。従って、第2コンパレータ53は、下記の(10)式が満たされた場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。
R2・Vds/R1≧Vr2・・・(10)
【0100】
(10)式を展開することによって下記の(11)式が得られる。
Vds≧R1・Vr2/R2・・・(11)
ここで、第2基準電圧Vr2はR2・Vth2/R1に設定されている。このため、第2コンパレータ53は、下記の(12)式が満たされる場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。Vth2は、前述したように第2閾値である。
Vds≧Vth2・・・(12)
【0101】
同様に、第2コンパレータ53は、第2抵抗51の両端間の電圧が第2基準電圧Vr2未満である場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。従って、第2コンパレータ53は、下記の(13)式が満たされた場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。
R2・Vds/R1<Vr2・・・(13)
【0102】
前述したように、Vr2=R2・Vth2/R1に設定されるので、第2コンパレータ53は、下記の(14)式が満たされる場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。
Vds<Vth2・・・(14)
【0103】
以上のように、第2基準電圧Vr2がR2・Vth2/R1に設定されているので、両端電圧Vdsと第2閾値Vth2との比較が実現される。第2コンパレータ53は、両端電圧Vdsが第2閾値Vth2以上である場合にローレベル電圧を出力し、両端電圧Vdsが第2閾値Vth2未満である場合にハイレベル電圧を出力する。
【0104】
(実施形態2)
実施形態1において、第2判定回路25は、FET20の両端電圧Vds及び第2閾値Vth2の比較結果に応じた電圧が出力される回路であればよい。このため、第2判定回路25の構成は、第1抵抗50、第2抵抗51、調整器52及び第2コンパレータ53を用いた構成に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には、実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0105】
<第2判定回路25の構成>
図7は実施形態2における第2判定回路25の回路図である。実施形態2における給電制御装置10を実施形態1における給電制御装置10と比較した場合、第2判定回路25の構成が異なる。第2判定回路25は、第2差動増幅器70及び第3コンパレータ71を有する。第2差動増幅器70は、第2の回路抵抗80,81,82,83及び第3オペアンプ84を有する。第3コンパレータ71及び第3オペアンプ84それぞれは、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
【0106】
実施形態2における第2判定回路25は、第1判定回路24と同様に構成されている。第2の回路抵抗80,81,82,83及び第3オペアンプ84それぞれは、回路抵抗40,41,42,43及び第1オペアンプ44に対応する。第3オペアンプ84のマイナス端は、第2の回路抵抗80を介してFET20のソースに接続されている。第3オペアンプ84のプラス端は、第2の回路抵抗82を介してFET20のドレインに接続されている。第3コンパレータ71の出力端はOR回路26の第2入力端に接続されている。第3コンパレータ71のプラス端には第2基準電圧Vr2が印加されている。
【0107】
第2の回路抵抗80,82の抵抗値は一致している。第2の回路抵抗81,83の抵抗値は一致している。従って、第3オペアンプ84は、FET20のドレイン及びソース間の電圧、即ち、両端電圧Vdsを増幅する。第3オペアンプ84は、増幅した電圧を第3コンパレータ71のマイナス端に印加する。第2の回路抵抗80,82の抵抗値の「一致」、及び、第2の回路抵抗81,83の抵抗値の「一致」それぞれは、厳密な一致のみを意味しない。実質的な一致が実現されていればよい。
【0108】
図7において、Bは、第2差動増幅器70の増幅率を示す。第3オペアンプ84の出力電圧は、B・Vdsで表される。増幅率Bは、(第2の回路抵抗81の抵抗値)/(第2の回路抵抗80の抵抗値)で表され、ゼロを超えている。第2の回路抵抗80,81,82,83の抵抗値は一定値であるので、増幅率Bの一定値である。第2の回路抵抗80,81,82,83の抵抗値が一致している場合、増幅率Bは1である。
【0109】
第3コンパレータ71は、OR回路26に電圧を出力する。第3コンパレータ71の出力電圧は、第2判定回路25の出力電圧である。第3コンパレータ71は、第3オペアンプ84の出力電圧を第2基準電圧Vr2と比較する。第3コンパレータ71は第3の比較器として機能する。実施形態2における第2基準電圧Vr2は第3の所定電圧に相当する。第3コンパレータ71は、比較結果に応じて、出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
第3コンパレータ71は、下記の(15)式が満たされた場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。
B・Vds≧Vr2・・・(15)
【0110】
(15)式を展開することによって下記の(16)式が得られる。
Vds≧Vr2/B・・・(16)
実施形態2においては、第2基準電圧Vr2はB・Vth2に設定されている。このため、第3コンパレータ71は、下記の(17)式が満たされる場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。
Vds≧Vth2・・・(17)
【0111】
同様に、第3コンパレータ71は、下記の(18)式が満たされた場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。
B・Vds<Vr2・・・(18)
【0112】
前述したように、Vr2はB・Vth2に設定されているので、第3コンパレータ71は、下記の(19)式が満たされる場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。
Vds<Vth2・・・(19)
【0113】
以上のように、第2基準電圧Vr2がB・Vth2に設定されているので、両端電圧Vdsと第2閾値Vth2との比較が実現される。第3コンパレータ71は、両端電圧Vdsが第2閾値Vth2以上である場合にローレベル電圧を出力し、両端電圧Vdsが第2閾値Vth2未満である場合にハイレベル電圧を出力する。
実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0114】
<実施形態1,2の変形例>
実施形態1,2において、FET20は半導体スイッチとして機能すればよいので、FET20の代わりに、Nチャネル型のFETとは異なる半導体スイッチ、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられてもよい。この場合、IGBTのコレクタ及びエミッタそれぞれは、FET20のドレイン及びソースに対応する。また、実施形態1,2において、第1判定回路24は、制御電圧Vgs及び第1閾値Vth1の比較結果に応じた電圧が出力される回路であればよい。このため、第1判定回路24の構成は、第1差動増幅器30及び第1コンパレータ31を用いた構成に限定されない。
【0115】
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。