(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-180469(P2021-180469A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】テレビ電話デバイスおよびこれに用いられるテレビ電話ユニット並びにアプリケーションソフトウェア
(51)【国際特許分類】
H04N 7/14 20060101AFI20211022BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20211022BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20211022BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20211022BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20211022BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20211022BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20211022BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
H04N7/14 140
H04M1/00 R
H04N7/14 150
H04N5/225 800
H04N5/225 450
H04N5/232 290
H04N5/232 300
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
G09G5/36 510V
G09G5/38 A
G09G5/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-86371(P2020-86371)
(22)【出願日】2020年5月16日
(71)【出願人】
【識別番号】518205999
【氏名又は名称】アイザック国際知財コンサルタント合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕太
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
5C182
5K127
【Fターム(参考)】
5C122DA09
5C122EA42
5C122EA55
5C122EA67
5C122FA04
5C122FA18
5C122FH18
5C122FK12
5C122GC04
5C122GC19
5C122GC52
5C164FA09
5C164GA08
5C164GA09
5C164VA03S
5C164VA04P
5C164VA36P
5C182AA28
5C182AA31
5C182AB01
5C182AB08
5C182AB33
5C182AC02
5C182AC46
5C182BA14
5C182BA35
5C182BA55
5C182CB34
5C182CC03
5C182CC04
5C182CC16
5K127AA36
5K127BA03
5K127CB02
5K127CB19
5K127GD07
5K127JA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低いコストでモバイルデバイスに搭載でき、テレビ電話使用時に目が合っている感覚を相手に与えることができるテレビ電話デバイス及びアプリケーションソフトウェアを提供する。
【解決手段】スマートフォン1は、第一カメラ11と、第二カメラ12と、第一カメラ11と第二カメラ12との間に設置されたディスプレイ13とを備える。ディスプレイ13における第一カメラ11と第二カメラ12との中間位置に相手の顔を表示し、第一カメラ11と第二カメラ12とにより撮像された映像を、相手のデバイスに統合された映像として投影可能に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一カメラと、第二カメラと、前記第一カメラと前記第二カメラとの間に設置されたディスプレイとを備え、前記ディスプレイにおける前記第一カメラと前記第二カメラとの中間位置に相手の顔が表示され、前記第一カメラと前記第二カメラとにより撮像された映像が、相手のデバイスに統合された映像として投影可能に送信される、テレビ電話デバイス。
【請求項2】
横並びの第一カメラ及び第二カメラと、前記第一カメラと前記第二カメラとの間に設置されたディスプレイと、前記ディスプレイを覆う3Dスクリーンとを備え、前記第一カメラと前記第二カメラとに撮像された映像を前記ディスプレイに投影し前記3Dスクリーンを透過して視認した際に統合された立体映像として視認可能な映像に変換するアプリケーションソフトウェアがインストールされた、テレビ電話デバイス。
【請求項3】
カメラを有するスマートフォンに接続可能な第二カメラと、この第二カメラをスマートフォンに接続した際にこのスマートフォンのディスプレイを覆う位置において前記第二カメラに一体的に接続された3Dスクリーンとを有する、3Dテレビ電話ユニット。
【請求項4】
第一カメラと、第二カメラと、前記第一カメラと前記第二カメラとの間に設置されたディスプレイとを備えたテレビ電話デバイスにインストールされるアプリケーションソフトウェアであって、前記ディスプレイにおける前記第一カメラと前記第二カメラとの中間の位置に通話相手の顔が表示されるように位置を調整して前記ディスプレイに映像を投影する、テレビ電話アプリケーションソフトウェア。
【請求項5】
ディスプレイの後ろにカメラが設けられ、前記ディスプレイにおけるカメラ位置に相手の顔が表示されるように位置調整されるアプリケーションソフトウェアがインストールされた、テレビ電話デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ電話デバイスに関し、特にカメラを使用してテレビ電話可能なスマートフォンやタブレット等のデバイスおよびこれに用いられるテレビ電話ユニット並びにアプリケーションソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンやタブレット、PCなどを用いてテレビ電話が行われている。ここで、デバイスにおけるカメラとディスプレイは位置が異なるため、ディスプレイに表示された相手の顔を見ながら話すと、カメラを直視していないことになるから、相手方には目が合っていない印象を与える。そのため、互いに少し視線がずれた状態で話している印象を受ける。
【0003】
このようなことを回避するため、特許文献1には、使用者の顔の鏡像を表示する電子ミラー装置であり、使用者の顔の向きや視線に合わせて、顔画像の表示位置を見やすい位置に移動させることができる電子ミラー装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2014/156146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電子ミラー装置は、モバイルデバイスに搭載するのは容易ではなく、コストもかかる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、低いコストでモバイルデバイスに搭載でき、テレビ電話使用時に目が合っている感覚を相手に与えることができるテレビ電話デバイスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のテレビ電話デバイスは、第一カメラと、第二カメラと、前記第一カメラと前記第二カメラとの間に設置されたディスプレイとを備え、前記ディスプレイにおける前記第一カメラと前記第二カメラとの中間位置に相手の顔が表示され、前記第一カメラと前記第二カメラとにより撮像された映像が、相手のデバイスに統合された映像として投影可能に送信される、テレビ電話デバイスである。
このようなテレビ電話デバイスによれば、使用者がディスプレイ上の相手の顔を見て話すことで、第一カメラと、第二カメラとがその顔を撮影し、これが相手のデバイスに統合された映像として投影された際には、使用者の顔は正面を向いた、相手の顔を見ている映像として認識されるから、目が合っている感覚を相手に与えることができる。
【0008】
また、本発明のテレビ電話デバイスは、横並びの第一カメラ及び第二カメラと、第一カメラと第二カメラとの間に設置されたディスプレイと、ディスプレイを覆う3Dスクリーンを備え、第一カメラと第二カメラとに撮像された映像をディスプレイに投影し3Dスクリーンを透過して視認した際に統合された立体映像として視認可能な映像に変換するアプリケーションソフトウェアがインストールされた、テレビ電話デバイスである。
このようなテレビ電話デバイスによれば、相手方が同様のテレビ電話デバイスを使用している場合、使用者が相手の顔を見て話すことで、第一カメラと、第二カメラとがその顔を撮影し、これが相手方のディスプレイに投影され3Dスクリーンを透過して視認された際に統合された立体映像として視認することができる。
【0009】
一方、本発明の3Dテレビ電話ユニットは、カメラを有するスマートフォンに接続可能な第二カメラと、この第二カメラをスマートフォンに接続した際にこのスマートフォンのディスプレイを覆う位置において第二カメラに一体的に接続された3Dスクリーンとを有する、3Dテレビ電話ユニットである。
このような3Dテレビ電話ユニットによれば、3Dスクリーンをスマートフォンケースと一体化する必要がなく、スマートフォンのサイズに依らない大きさに3Dスクリーンを設計することができるから、多様なラインナップを揃えなくてよく、コストダウンが可能となる。
【0010】
さらに、本発明のテレビ電話アプリケーションソフトウェアは、第一カメラと、第二カメラと、前記第一カメラと前記第二カメラとの間に設置されたディスプレイとを備えたテレビ電話デバイスにインストールされるアプリケーションソフトウェアであって、前記ディスプレイにおける前記第一カメラと前記第二カメラとの中間の位置に通話相手の顔が表示されるように位置を調整して前記ディスプレイに映像を投影する、テレビ電話アプリケーションソフトウェアである。
このようなテレビ電話アプリケーションソフトウェアによれば、相手方から見て、使用者が相手方の目を見ている感覚を得ることができる。
【0011】
本発明の別のテレビ電話デバイスは、ディスプレイの後ろにカメラが設けられ、ディスプレイにおけるカメラ位置に相手の顔が表示されるように位置調整されるアプリケーションソフトウェアがインストールされた、テレビ電話デバイスである。
このようなテレビ電話デバイスでも、相手方から見て、使用者が相手方の目を見ている感覚を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態のテレビ電話デバイスの構成を示す平面図である。
【
図2】実施形態の3Dテレビ電話ユニットを示す側面図である。
【
図3】第二実施形態のテレビ電話デバイスを示す平面図である。
【
図4】第三実施形態のテレビ電話デバイスを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のテレビ電話デバイスの実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態のテレビ電話デバイスを示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、第一実施形態のテレビ電話デバイスとしてのスマートフォン1は、第一カメラ11と、第二カメラ12と、前記第一カメラと第二カメラとの間に位置するディスプレイ13と、音声入出力装置としてのスピーカー14及びマイク15と、内蔵されたCPU(図示省略)と記憶装置(図示省略)とを備えている。記憶装置にはテレビ電話アプリケーションソフトウェア(図示省略)がインストールされている。ディスプレイ13は、3Dスクリーン16で覆われている。つまり、スマートフォン1は、通常の既存のスマートフォンに、第二カメラ12を接続し、3Dスクリーン16を装着し、テレビ電話アプリケーションソフトウェアをインストールしたものである。そして、13ディスプレイにおける第一カメラ11と第二カメラ12との中間位置に相手の顔Aが表示され、第一カメラ11と第二カメラ12とにより撮像された映像が、相手のデバイスに統合された映像として投影可能に送信される。また、テレビ電話アプリケーションソフトウェアは、第一カメラと第二カメラとに撮像された映像をディスプレイに投影し3Dスクリーンを透過して視認した際に統合された立体映像として視認可能な映像に変換する。統合された立体映像とは3D映像及びモーフィングされた映像を指す。以下、詳説する。
【0015】
第一カメラ11はこのスマートフォン1に内蔵されたいわゆるインカメラであるが、第二カメラ12はスマートフォン1の電源コネクタを兼ねたUSB等の多機能コネクタ17に接続された外付けカメラであり、第一カメラ11と同じく使用者方向を向いて取り付けられている。スマートフォン1はこの実施形態において横長の位置で使用されている。そのため、第一カメラ11と第二カメラ12とは水平方向に並ぶ横並びで、ディスプレイ13を挟んで対極の位置に設置されている。
【0016】
3Dスクリーンとは、レンチキュラーレンズまたは視差バリアレンズ等を使用し、レンズがカバーする範囲の下に2視点(左右)の映像を縦方向に長いスリット状に分割し横方向に交互に並べることにより使用者の左右の目に別々の映像を見せるという既知の技術である。第一実施形態のスマートフォン1においては、ディスプレイ13が3Dスクリーン14で覆われており、ディスプレイ13にこの3Dスクリーン14に対応した映像を投影することにより、使用者に裸眼の状態で立体の映像を見せることができる。
【0017】
図2は実施形態の3Dテレビ電話ユニットを示す
図1における下方向から見た側面図である。
図2に示すように、3Dスクリーン14の右端は第二カメラ12に固定され一体となっている。具体的には、第二カメラ12のうちUSBコネクタ部分12a及びカメラ部分12bを避けたこれらの間の部分に、3Dスクリーン14と接続するためのブリッジ部12cを設け、3Dスクリーン14の右端と第二カメラ12とを固定的に接続する。このようにすることで、3Dスクリーン14をスマートフォンケースと一体化する必要がなく、スマートフォンのサイズに依らない大きさに3Dスクリーン14を設計することができる。もちろんスマートフォンの解像度に依って設計変更する必要はあるが、スマートフォンのサイズのバリエーションに比べ、スマートフォンの解像度のバリエーションは多くないから、多様なラインナップを揃えなくていいことからコストダウンが可能となる。また、3Dスクリーン14及び第二カメラ12はいずれもテレビ電話を行う時に必要になるものであり、その他の時には不要であるから、第二カメラ12を装着することで同時に3Dスクリーン14が装着されることは手間を省くことになる。また、3Dスクリーン14により第二カメラ12がスマートフォン本体に対し位置決めされるから、ディスプレイに対する位置調整が不要となる。さらに、
図2に示す3Dスクリーン14と第二カメラ12とが一体化した3Dテレビ電話ユニットとして製品を販売し、スマートフォン本体は使用者が元来持っているものを利用できるから、安価なガジェットとして販売することで市場への浸透を容易にでき、新たなスマートフォンを開発する必要がなく、既存のデバイスを利用することができるから、市場への投下速度も早められる。また、第二カメラ12をスマートフォン本体にUSB接続した際に自動的にテレビ電話アプリケーションソフトウェアが起動するように設定すれば、3Dテレビ電話ユニット18をスマートフォンにセットするだけで3Dテレビ電話が開始でき、簡便である。
【0018】
3Dスクリーンをスマートフォンに設置する他の実施形態としては、3Dスクリーンがスマートフォンのケースを兼ねるようにして位置決めする方法、3Dスクリーンをディスプレイに貼り付ける方法がある。これらの方法であっても本発明の本来の目的を果たすことができる。また、スマートフォンにUSBコネクタを通じて接続し3D画像を撮影するための外付けのカメラは従来から存在するが、これをテレビ電話に応用し相手の顔を2つのカメラの間に位置させることにより目が合っている感覚を生じさせる技術は存在しない。さらに、3Dスクリーンを用いて裸眼で3D映像を見ることのできるスマートフォンケースは存在するが、これを2つのカメラと併用しかつテレビ電話に使用することにより相手の顔を3Dで、かつ目が合っている感覚を生じさせるように表示させる技術は存在しない。さらに、3Dスクリーンは正面から見た場合に最も3Dが効果的に視認できるものであるから、使用者は自然と画面の正面に位置するようになる。そのため、テレビ電話に使用した場合には相手のディスプレイの中心に使用者の映像を位置させ正面を向いているように誘導でき、目が合っている感覚を与えやすいから、通常のVR体験ではなくテレビ電話に使用することで予想し得なかった効果を発揮する。このように、本発明は既存の技術を利用することにより開発のコストダウンを実現しつつ、既存の技術ではなし得なかったテレビ電話体験を可能とするという、顕著な効果を生じるものである。
【0019】
このスマートフォン1を用いて使用者が相手方のスマートフォン等とテレビ電話を行う際、上述のテレビ電話アプリケーション17aが起動される。テレビ電話アプリケーション17aは、既知の顔認識技術により相手の顔を認識し、相手の顔Aの眉間部分が第一カメラ11と第二カメラ12との間に位置するように相手の顔Aの位置を調整する。これは、人は相手の目を見て話すとき、実際には眉間あたりを見ていると考えられるからである。なお、使用者自身の顔Bは通常のモードにおいて画面左下の枠内に3Dの鏡像として表示される。
【0020】
このようなスマートフォン1を用いて相手方のスマートフォン等とテレビ電話を行う際、相手方のスマートフォン等が3D映像を表示可能であれば、第一カメラ11からの映像と第二カメラ12からの映像とを用いて、相手方のスマートフォン等に使用者の3D映像を表示することができる。この際、相手方のスマートフォン等の映像において、使用者の顔は相手方を見ている、すなわち目が合っているように見える。なぜなら、図において第一カメラ11が相手の右目、第二カメラ12が相手の左目に相当し、使用者はこれらのカメラの間、すなわち相手の眉間を見つめているように感じられるからである。
【0021】
相手方における3D映像を表示可能なデバイスとして、例えば、3Dゴーグル、ライトフィールド等の3Dディスプレイ、赤青シートの3Dメガネを装着しこれに対応した映像を流す方法、偏光フィルタの3Dメガネを装着しこれに対応した映像を流す方法、ディスプレイにレンチキュラーレンズまたは視差バリア等の3Dスクリーンを装着しこれに対応した映像を流す方法がある。
【0022】
これらの中で、相手方のデバイスが3Dゴーグルだった場合については、使用者の第一カメラ11からの映像と第二カメラ12からの映像とを並べて3Dゴーグル内に投影しすることで、使用者が目線を合わせて相手方を見ている3D映像を相手に見せることができるものの、3Dゴーグル内にカメラが無い限り相手の目を撮影できないから、一方的に目を合わせているという形の運用となる。
【0023】
また、相手が赤青シートの3Dメガネや偏光フィルタの3Dメガネを装着している場合には、使用者の第一カメラ11からの映像と第二カメラ12からの映像とがそれぞれ相手の右の目と左の目とに届くように投影することで、使用者が目線を合わせて相手方を見ている3D映像を相手に見せることができる。また、相手方のデバイスにもスマートフォン1と同様に2つのカメラを装備しこれらの間に使用者の顔を表示することにより、互いに目線を合わせて会話しているように感じられる。ただし、相手をカメラで撮影した場合には赤青シートや偏光フィルタが邪魔して目があまり映らないから、使用者は目線を合わせて会話していることの実感は得にくい。
【0024】
一方、相手方がスマートフォン1と同様、3Dディスプレイ、レンチキュラーレンズまたは視差バリア等の3Dスクリーンを利用した方法の場合は、相手方のデバイスにもスマートフォン1と同様に2つのカメラを装備しこれらの間に使用者の顔を表示することにより、互いに目線を合わせて会話している感覚を得ることができる。すなわち、相手方のデバイスもスマートフォン1と同様のものである場合、互いに相手が立体に見え、かつ互いに目線を合わせている感覚を得ることができ、最も望ましい。
【0025】
また、相手方が3Dディスプレイではなく通常の2Dのディスプレイだった場合、使用者のスマートフォン1にインストールされたテレビ電話アプリケーション17aまたは相手方のデバイスのアプリケーションにおいて、第一カメラ11からの映像と第二カメラ12からの映像とをモーフィングし、すなわち左右のカメラの中間の映像を作り出すことにより、相手方の2Dディスプレイから見ても、使用者が相手方の目を見ている感覚を得ることができる。モーフィングとは、2つの画像からこれらの中間の画像を得る、既知のコンピュータグラフィックスの手法である。
【0026】
以上説明したように、スマートフォン1によれば、テレビ電話を行う際、ディスプレイ13に表示された相手の顔を自然に見るだけで、相手に対し、目を合わせているように見える映像を送ることができる。さらに相手方のデバイスが3D表示機能を有していれば、使用者の顔を立体的に見せることができる。相手方もスマートフォン1と同様のものを使用していれば、互いに目を合わせた感覚で、3Dのテレビ電話が可能となる。また、3Dテレビ電話デバイス18により、スマートフォン本体は既存のものを利用することができ、第二カメラ12と3Dスクリーン14とテレビ電話アプリケーション17aのみを用意するだけで目を合わせた立体テレビ電話を実現するものであるから、新しいスマートフォンを用意する必要がなく、非常に低コストで実現できるという顕著な効果を有する。
【0027】
第一実施形態のスマートフォン1を用いた、テレビ電話以外の使用法としては、原稿を読みながらセミナーを配信するような場合にも好適である。セミナーにおいてはカメラ目線で淀みなく話すことが説得力を増すため好まれるが、原稿を用意すると、原稿に目を向けた際にカメラから目線が外れ、原稿を読んでいることが視聴者に悟られてしまう。これを解決するため、第一実施形態のスマートフォン1を用い、第一カメラ11と第二カメラ12との間に原稿の文字を表示し、自動で文字が流れるようにするか、手動やフットスイッチなどの操作によりスクロールする設定にすれば、カメラ目線で原稿を読みながら、淀みなく、視聴者に原稿の存在を感じさせることなく話すことができる。原稿を表示しない場合でも、第一実施形態のスマートフォン1を用い、第一カメラ11と第二カメラ12との中間に、使用者自身の鏡面映像を投影し、眉間が2つのカメラの中間部分に位置するように配置すれば、自分の表情などもチェックしながら、カメラ目線でのセミナーが可能となる。さらに、これらを組み合わせ、原稿部分に使用者の映像を後ろから薄く重ねるように、第一カメラ11と第二カメラ12との間に表示すれば、原稿を読みつつ、自分の表情などもチェックしながら、カメラ目線でのセミナーが可能となる。
【0028】
図3は第二実施形態のテレビ電話デバイスとしてのスマートフォン2を示す図である。
図3(a)において、スマートフォン2は縦画面で使用されているが、第一のカメラ21及び第二のカメラ22がディスプレイ23の左右に組み込まれている。このため、第一実施形態のスマートフォン1と同様、カメラ目線に見える立体動画を相手に送ることができる。この場合3Dスクリーン24はディスプレイ23に貼り付ける方式とすることができる。さらに、スマートフォン本体に既存のものを使用したい場合は、少し構成を変え、第一のカメラ21及び第二のカメラ22を3Dスクリーン24と一体化した3Dテレビ電話ユニットとしてもよい。この場合、既存のスマートフォンに対し第一のカメラ21及び第二のカメラ22をUSB接続または無線接続し、かつ、第一のカメラ21及び第二のカメラ22でスマートフォンを挟み込むような形でスマートフォンに対して固定すればよい。
【0029】
第二実施形態のスマートフォン2を90度回転させて横画面で使用した場合には、第一のカメラ21及び第二のカメラ22がディスプレイ23の上下に組み込まれている状態となり、立体映像を相手方に送ることはできない。しかしこの場合にも、モーフィングを行うことで、カメラ目線の映像を相手方に送ることはできる。
【0030】
図4は、第三実施形態のテレビ電話デバイスとしてのスマートフォン3を示す図である。このスマートフォン3においては、ディスプレイ33の後ろに一つのカメラ31が設けられている。すなわち、ディスプレイ33を透過してカメラ31が撮像する。この場合、カメラが一つであるので立体映像を送ることはできないが、顔認識技術を用いて、カメラ位置に相手の眉間が位置するように設定すれば、相手と目を合わせている感覚を得られる映像を送ることができる。
【0031】
以上に説明したスマートフォンでテレビ電話を行うためのアプリケーションソフトウェアについて説明する。アプリケーションソフトウェアは、相手方と目を合わせている感覚を与えるために、顔認識機能が必要である。顔認識は、顔を円として認識する場合には、その中心を眉間と擬制してもよいし、中心より20%ほど上を眉間と擬制してもよい。一方で、両目を検出して、これらの中間を眉間とすれば最も精度が高まる。また別の方法として、
図1に示すように、使用者の顔Bを表示する範囲内に楕円形のガイドラインCを設けても良い。このガイドラインC内に自らの顔が収まるように使用者がスマートフォンに対する自身の顔の位置を調整すれば、アプリケーションソフトウェアが顔認識機能を有していなくても、相手方のテレビ電話デバイスにおいて使用者の顔を適切な位置に表示することができる。また、上述のように、レンチキュラーレンズまたは視差バリアを利用した3Dスクリーンは正面から見た場合に最も3Dが効果的に視認できるものであるから、使用者は自然と画面の正面に位置するようになる。この場合は、特にアプリケーションソフトウェアにおいて対策を行わなくても、相手方のテレビ電話デバイスにおいて使用者の顔を適切な位置に表示することができる。
【0032】
顔の位置が定まったら、顔をディスプレイのどの位置に配置するかを決定する。
図1に示すように2つのカメラがディスプレイに対して縦方向中間位置であってディスプレイの左右に位置する場合、ディスプレイの中央に眉間がくるように顔を配置する。ただし、ディスプレイに対して水平方向の位置決めに関しては、
図1のような場合には、2つのカメラの中間に眉間がくるように調整すべきである。この調整に関して、ユーザーが手動で調整してもよいが、スマートフォンの機種と外付けカメラの機種によって2つのカメラの位置関係が推測できるから、これらの位置関係をデータベース化しておけば、スマートフォンの機種と外付けカメラの機種を割り出すことにより自動的に2つのカメラの中間位置を割り出すことができる。
【0033】
相手の顔の大きさは、画面からはみ出さない程度であって高さにおいて画面の5〜8割程度を占める程度に調整されるモードに切替可能にアプリケーションソフトを設計することが望ましい。このような場合に3D映像の効果を得やすい。または、使用者に、自身の顔が画面の5〜8割程度を占める距離になるようにスマートフォンと自身の顔との距離を調整することを促すために、画面の5〜8割を占める位置に使用者の顔を想定した枠Cを表示してもよい。
【0034】
さらに、アプリケーションソフトウェアは、モーフィング機能を有している。これにより、相手方のスマートフォンが3D映像に対応していない場合に、2つのカメラの映像をモーフィングして1つのカメラ目線の映像を作ることができる。また、使用者の2つのカメラが横並びでない場合にも、2つのカメラの映像をモーフィングして1つのカメラ目線の映像を作ることができる。
図1のスマートフォン1において横画面のときは立体映像を送り、縦画面のとき及び相手のスマートフォンが3D映像に対応していない場合にはモーフィングされた映像を送るという切り替えが自動でなされるようにアプリケーションソフトウェアが設計されていると良い。
【0035】
このようにして、本発明のテレビ電話デバイス、テレビ電話ユニット及びこれらのアプリケーションソフトウェアによれば、相手と目を合わせた感覚を生じながらテレビ電話を行うことができる。以上の説明は好適な例を示したが、本発明の目的である、目が合っている感覚を得られる範囲で、様々なバリエーションを本発明に含むことができる。例えばスマートフォンではなくタブレットやPCなどを使用することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 スマートフォン
11 第一カメラ
12 第二カメラ
13 ディスプレイ
14 スピーカー
15 マイク
16 3Dスクリーン