【解決手段】実施形態の一態様に係る制御装置においては、検出部と、リレー制御部と、発電制御部とを備える。検出部は、発電機とバッテリとを接続する電流経路における過電流を検出する。リレー制御部は、検出部によって過電流が検出された場合、発電機とバッテリとの間の電流経路に介挿されたリレーのオン状態を維持する。発電制御部は、リレー制御部によってリレーのオン状態が維持された状態で、発電機の発電を停止させる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電源システムの制御装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
また、以下では、制御装置が、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、μHEV(Micro Hybrid Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の車両に搭載される電源システムを制御する場合を一例に挙げて説明する。なお、制御装置の制御対象は、車両に搭載される電源システムに限定されず、任意の機器に搭載される電源システムであってもよい。
【0011】
(制御装置を含む電源システムの全体構成)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る制御装置を含む電源システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る制御装置を含む電源システムの構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、電源システム1は、発電機11と、鉛バッテリ12と、補機13と、リレー14と、制御装置20とを含む。
【0013】
なお、
図1に示す例では、電源システム1は、鉛バッテリ12を1つ備えるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば電源システム1が、LIB(Lithium-Ion rechargeable Battery(リチウムイオン二次電池))を備え、バッテリを二重化した2電源システムとしてもよい。さらには、電源システム1は、バッテリの数が3つ以上であってもよい。
【0014】
発電機11は、図示しないエンジンの回転を動力源として電力を生成する機器である。また、車両の減速時には回生ブレーキによる回生電力を生成する。なお、発電機11は、オルタネータやジェネレータとも呼ばれる。また、発電機11は、エンジンを始動する始動装置(スタータ)として機能してもよい。すなわち、発電機11は、ISG(Integrated Starter Generator)であってもよい。
【0015】
また、発電機11は、例えば制御装置20からの指示に応じて電力を生成してもよい。そして、例えば発電した電力を鉛バッテリ12へ供給することで、鉛バッテリ12を充電する。
【0016】
鉛バッテリ12は、電極に鉛を用いた二次電池である。鉛バッテリ12は、例えば車両に搭載される補機13の電源となる。なお、鉛バッテリ12は、バッテリの一例である。また、鉛バッテリ12は、LIBなどその他の種類の二次電池であってもよい。
【0017】
補機13は、車両に搭載される電気機器(負荷)である。例えば、補機13は、ナビゲーション装置やオーディオ機器、エアーコンディショナ等であるが、これらは例示であって限定されるものではない。補機13は、鉛バッテリ12から電力の供給を受けることができる。
【0018】
上記した鉛バッテリ12、発電機11および補機13は、並列接続される。例えば、発電機11と鉛バッテリ12とは、第1経路(電流経路)L1を介して接続される。補機13は、第1経路L1に接続された第2経路(電流経路)L2、第1経路L1を介して鉛バッテリ12に接続される。
【0019】
リレー14は、回路の短絡と開放を制御する開閉器である。リレー14は、鉛バッテリ12と発電機11との間に介挿される。具体的には、リレー14は、発電機11と鉛バッテリ12との間の第1経路L1に介挿される。詳しくは、リレー14は、第1経路L1において、第2経路L2が接続される位置と発電機11との間に介挿される。
【0020】
リレー14は、1対のトランジスタ151,152と、シャント抵抗153とを備える。なお、トランジスタ151,152としては、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
1対のトランジスタ151,152は、直列に接続される。例えば、トランジスタ151は、一端が発電機11に接続され、他端がトランジスタ152に接続される。トランジスタ152は、一端がトランジスタ151に接続され、他端が鉛バッテリ12に接続される。
【0022】
トランジスタ151,152は、スイッチング素子およびボディダイオードを有し、スイッチング素子とボディダイオードとが並列接続される。トランジスタ151,152のそれぞれが有するボディダイオードは、逆向きに設けられる。例えば、トランジスタ151のボディダイオードは、アノードがトランジスタ152に接続され、カソードが発電機11に接続される。また、トランジスタ152のボディダイオードは、アノードがトランジスタ151に接続され、カソードが鉛バッテリ12に接続される。これにより、例えばリレー14は、オフされるとき(正確にはトランジスタ151,152のスイッチング素子がオフされるとき)、1対のトランジスタ151,152間に電流が流れないように構成される。
【0023】
シャント抵抗153は、トランジスタ151とトランジスタ152との間に直列に接続される。例えば、シャント抵抗153は、制御装置20によって両端に生じる電位差が検出され、検出した電位差に基づく電圧値からシャント抵抗153を流れる電流が測定される。なお、シャント抵抗153は、プルダウン抵抗に接続されていてもよい。また、シャント抵抗153は、トランジスタ151の発電機11側、もしくはトランジスタ152の鉛バッテリ12側に接続されてもよい。なお、上記では、シャント抵抗153を用いて電流を検出するようにしたが、これに限られず、例えばホール式の電流センサなどその他の種類の電流センサを用いて電流を検出してもよい。
【0024】
上記したリレー14と鉛バッテリ12との間の第1経路L1には、ヒューズ16が介挿される。詳しくは、ヒューズ16は、第1経路L1において、鉛バッテリ12と第2経路L2が接続される位置との間に介挿される。
【0025】
上記のように構成された電源システム1において、発電機11と鉛バッテリ12とを接続する第1経路(電流経路)L1には、過電流が流れる場合がある。例えば、リレー14がオン(導通)した状態にあるとき、
図1に二点鎖線で示すように、第1経路L1においてリレー14の鉛バッテリ12側の点Aで地絡が発生すると、第1経路L1には、発電機11から地絡箇所へ過電流が流れる(矢印B1参照)。具体的には、リレー14と鉛バッテリ12とを接続するハーネスが何らかの原因で地絡すると、上記した過電流が第1経路L1に流れる。
【0026】
リレー14に過電流が流れ続けると、発熱量が増加し、発熱によるリレー14の異常が発生するおそれがある。ここで、例えば仮に、過電流が流れた状態でリレー14がオフされると、リレー14のトランジスタ151,152におけるスイッチング損失が過度に増大し、破損などのリレーの異常が発生するおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係る制御装置20にあっては、第1経路L1に過電流が生じた場合に、リレー14に異常が発生することを防止することができるような構成とした。
【0028】
なお、第1経路L1の点Aで地絡が発生すると、第1経路L1には、鉛バッテリ12から地絡箇所へも過電流が流れる(矢印B2参照)。かかる場合、第1経路L1において鉛バッテリ12と地絡箇所との間に設けられたヒューズ16が溶断し、鉛バッテリ12等は保護される。
【0029】
(制御装置の構成)
次に、
図2を参照して、実施形態に係る制御装置20を含む電源システム1の構成について詳しく説明する。
図2は、実施形態に係る制御装置20を含む電源システム1の構成を示すブロック図である。なお、
図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0030】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0031】
図2に示すように、電源システム1の制御装置20は、入力部31と、出力部32と、制御部40と、記憶部50とを備える。制御部40は、検出部41と、リレー制御部42と、発電制御部43とを備える。
【0032】
入力部31は、リレー14から、シャント抵抗153(
図1参照)を流れる電流を示す信号が入力され、かかる信号を制御部40へ出力する。
【0033】
出力部32は、リレー14をオン(導通)あるいはオフ(遮断)するための信号を出力する。例えば、リレー14をオンするためのオン信号は、リレー14のトランジスタ151,152をオンする信号である。また、リレー14をオフするためのオフ信号は、リレー14のトランジスタ151,152をオフする信号である。
【0034】
出力部32は、発電機11を制御する信号を出力する。例えば、出力部32は、発電機11の発電を停止させる停止信号を出力することができる。
【0035】
記憶部50は、例えば、データフラッシュや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであり、各種のプログラムや情報などを記憶する。
【0036】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0037】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部40の検出部41、リレー制御部42および発電制御部43として機能する。
【0038】
また、制御部40の検出部41、リレー制御部42および発電制御部43の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0039】
検出部41は、発電機11と鉛バッテリ12とを接続する第1経路(電流経路)L1における過電流を検出することができる。例えば、検出部41は、リレー14のシャント抵抗153を流れる電流が、リレー14の定格電流を超えた場合に、第1経路L1の過電流を検出する。なお、このときのリレー14はオン(導通)されている。
【0040】
検出部41は、過電流が検出された場合、過電流が検出されたことを示す過電流検出信号をリレー制御部42と発電制御部43とに出力する。
【0041】
なお、上記では、検出部41は、リレー14を流れる電流が定格電流を超えた場合に過電流を検出するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば検出部41は、リレー14を流れる電流が、予め設定される任意の電流値を超えた場合に過電流を検出するなど、その他の手法で過電流を検出してもよい。さらに、検出部41は、第1経路L1の任意の位置に、シャント抵抗153とは異なる電流センサを設け、かかる電流センサの出力に基づいて過電流を検出してもよい。
【0042】
リレー制御部42は、検出部41によって過電流が検出された場合、言い換えると、上記した過電流検出信号が入力された場合、リレー14のオン状態を維持する。すなわち、リレー制御部42は、過電流が流れた状態のリレー14に対し、出力部32からのオン信号の出力を継続する。
【0043】
発電制御部43は、リレー14のオン状態が維持された状態で、発電機11の発電を停止させる。例えば、発電制御部43は、停止信号を出力部32を介して発電機11へ出力する。これにより、発電機11では発電が停止し、よってリレー14に流れる電流が低下していき、最終的にはリレー14において電流が流れない状態することができる。
【0044】
このように、本実施形態においては、リレー14のオン状態が維持された状態で発電機11の発電を停止させるようにしたので、例えばリレー14に過電流が流れ続けて発熱量が増加することはなく、よって発熱によるリレー14の異常が発生することを防止することができる。
【0045】
続いて、リレー制御部42は、発電機11の発電の停止後に、リレー14をオフする。例えば、リレー制御部42は、発電機11の発電の停止によりリレー14に電流が流れない状態になった場合に、リレー14に対してオフ信号を出力部32を介して出力する。これにより、リレー14がオフされる。
【0046】
なお、上記では、リレー制御部42は、リレー14に電流が流れない状態になった場合に、リレー14をオフするようにしたが、これに限られない。すなわち、例えばリレー制御部42は、発電機11の発電の停止によりリレー14を流れる電流が低下して定格電流未満になった場合に、リレー14をオフするなど、発電停止後の任意のタイミングでリレー14をオフしてもよい。
【0047】
このように、本実施形態においては、発電機11の発電の停止後にリレー14をオフするように構成したので、例えば過電流の状態でリレー14をオフした場合のように、リレー14のトランジスタ151,152におけるスイッチング損失が過度に増大することはない。従って、スイッチング損失の増大に起因した破損などのリレーの異常が発生することを防止することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、上記のように構成することで、電源システム1で生じた過電流状態を安全に解除することが可能になる。
【0049】
(制御装置の処理手順)
次に、
図3を用いて実施形態に係る制御装置20が実行する処理手順について説明する。
図3は、制御装置20が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
図3に示すように、制御装置20の制御部40は、発電機11と鉛バッテリ12とを接続する第1経路L1における過電流が検出されたか否かを判定する(ステップS100)。制御部40は、第1経路L1における過電流が検出されていないと判定された場合(ステップS100,No)、処理を終了する。
【0051】
一方、制御部40は、第1経路L1における過電流が検出されたと判定された場合(ステップS100,Yes)、リレー14のオン状態を維持し(ステップS101)、続いて発電機11の発電を停止させる(ステップS102)。制御部40は、発電機11の発電の停止後、リレー14をオフする(ステップS103)。
【0052】
上述してきたように、実施形態に係る制御装置20は、検出部41と、リレー制御部42と、発電制御部43とを備える。検出部41は、発電機11と鉛バッテリ12とを接続する第1経路(電流経路)L1における過電流を検出する。リレー制御部42は、検出部41によって過電流が検出された場合、発電機11と鉛バッテリ12との間の第1経路L1に介挿されたリレー14のオン状態を維持する。発電制御部43は、リレー制御部42によってリレー14のオン状態が維持された状態で、発電機11の発電を停止させる。これにより、リレー14が介挿される第1経路L1に過電流が生じた場合に、リレー14に異常が発生することを防止することができる、言い換えると、リレー14を保護することができる。
【0053】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。