【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る電力伝送装置30が受電部として搭載された電子機器10の構成を示すブロック図である。本実施例においては、電子機器10は、例えばスマートウォッチやスマートフォンなどの携帯端末である。例えば、本実施例においては、電子機器10は、ユーザインターフェースとしてのタッチパネル式ディスプレイ11、スピーカ12及びボタン13を有する。また、電子機器10は、外部との通信を行う通信部14、各種の演算を行い、ユーザインターフェースなどの動作制御を行う機器制御部15、及び各種の入出力情報及び演算情報を記憶するメモリ16を有する。機器制御部15は、例えばマイコンである。
【0014】
また、本実施例においては、電子機器10の動作電源となるバッテリ20と、外部の送電装置(外部電源)40から非接触で電力を受電し、バッテリ20に電力を伝送する電力伝送装置30とを有する。例えば、送電装置40は、例えば13.56MHzの交流磁界を生成するコイルアンテナを有する。電力伝送装置30はこの交流磁界を電力に変換して受電動作を行う。そして、電力伝送装置30は、受電した電力をバッテリ20に伝送するとともに、電子機器10内に電力を供給する。換言すれば、本実施例においては、電力伝
送装置30は、ワイヤレス給電装置である。
【0015】
図2は、電力伝送装置30の構成を示す回路図である。電力伝送装置30は、外部から電力を受電する受電部REを有する。本実施例においては、受電部REは、送電装置40からの交流磁界を受けるコイルL、コイルLの両端間に接続されたキャパシタC1、及びキャパシタC1の両端に接続された整流回路RFを有する。受電部REは、コイルL及びキャパシタC1によって交流磁界を交流電流に変換し、整流回路RFによって直流電圧(電力)に変換する。
【0016】
本実施例においては、整流回路RFは集積回路IC内に集積され、コイルL及びキャパシタC1は集積回路ICの外付け部品として集積回路ICに接続されている。集積回路ICは、キャパシタC1の両端に接続された受電端子T1及びT2を有する。
【0017】
整流回路RFは、
図2に示すように、受電端子T1及びT2にそれぞれアノード端子が接続されたダイオードD1及びD2と、ダイオードD1及びD2のアノード端子にカソード端子がそれぞれ接続されたダイオードD3及びD4と、ダイオードD1及びD2のカソード端子に一端が接続されたキャパシタC2と、を有する。ダイオードD3及びD4のアノード端子及びキャパシタC2の他端は接地されている。
【0018】
また、電力伝送装置30は、受電部REからバッテリ20に電力を伝送する電力伝送路(以下、単に伝送路と称する)SLと、伝送路SLの接続及び非接続(遮断)を切替える伝送遮断スイッチSBとを有する。具体的には、集積回路IC内にはバッテリ20の一端(プラス端子)に接続された電力伝送端子(以下、給電端子と称する)T3が設けられ、受電部REは伝送路SLを介して給電端子T3に接続されている。
【0019】
また、本実施例においては、伝送路SLは、本実施例においては、受電部REの出力ノードN1及び給電端子T3間の集積回路IC内の配線である。また、伝送遮断スイッチSBは、伝送路SLにソース及びドレインが接続されたPチャネルMOSFETである。また、伝送遮断スイッチSBとしてのPチャネルMOSFETのソース及びゲート間には抵抗R1が接続されている。
【0020】
電力伝送装置30は、受電部REの受電電力を動作電力として動作し、バッテリ20の状態(例えば充電電圧)に基づいて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える伝送制御回路31を有する。伝送制御回路31は、本実施例においては機器制御部15から、バッテリ20の状態を示すバッテリ状態信号BSを受信し、バッテリ状態信号BSに基づいて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通(すなわち伝送路SLを遮断するか否か)を切替える。なお、伝送制御回路31は、例えばマイコンである。
【0021】
なお、受電部REは、整流回路RFからの出力電圧を昇降圧するレギュレータ(図示せず)を有していてもよい。すなわち、受電部REは、例えばバッテリ20の仕様に応じ、電圧レベルなどを調節した電圧を出力してもよい。この場合、当該レギュレータの動作制御は、伝送制御回路31によって行われることができる。例えば、伝送制御回路31は、バッテリ状態信号BSに基づいて受電部RE内で受電電圧として出力する電圧の電圧レベルを調節する信号を受電部REに出力することができる。
【0022】
また、電力伝送装置30は、バッテリ20から電力供給を受けて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える遮断制御回路32を有する。まず、本実施例においては、遮断制御回路32は、電源端子T4を介してバッテリ20に接続されている。また、遮断制御回路32は、受電部REからの受電電力を監視し、受電電力が所定値未満の場合、伝送遮断スイッチSBを強制的に非導通状態とする。
【0023】
つまり、本実施例においては、全く受電を行っていない無受電状態を含め、受電電力が所定値未満の場合、伝送遮断スイッチSBは、バッテリ20から電力供給を受けている遮断制御回路32によって、伝送制御回路31による伝送遮断スイッチSBの切替よりも優先されて非導通状態となる。
【0024】
例えば、
図2に示すように、電力伝送装置30は、伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える制御スイッチ(第1の制御スイッチ)S1と、制御スイッチS1に直列に接続された制御スイッチ(第2の制御スイッチ)S2とを有する。伝送制御回路31及び遮断制御回路32は、それぞれ制御スイッチS1及びS2の導通及び非導通を切替える制御信号CS1及びCS2を生成して出力する。そして、伝送制御回路31及び遮断制御回路32は、制御スイッチS1及びS2の導通及び非導通を切替えることによって、伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通、すなわち受電部RE及びバッテリ20間の接続及び非接続を切替える。
【0025】
また、本実施例においては、伝送遮断スイッチSBとしてのPチャネルMOSFETのゲートには、制御スイッチS1及びS2として、2つのNチャネルMOSFETが直列に接続されている。また、本実施例においては、制御スイッチS1としてのNチャネルMOSFETのソースは接地されている。なお、制御スイッチS1及びS2の接続順序は問わない。例えば制御スイッチS2の一端が接地されるように制御スイッチS1及びS2が直列に接続されていてもよい。
【0026】
伝送制御回路31の入力端子は伝送路SLにおける受電部REの出力ノードN1に接続され、出力端子は制御スイッチS1の制御端子(NチャネルMOSFETのゲート)に接続されている。また、遮断制御回路32の入力端子は受電部REの出力ノードN1に接続され、出力端子はスイッチS2の制御端子(NチャネルMOSFETのゲート)に接続されている。
【0027】
また、本実施例においては、伝送制御回路31は、電子機器10の機器制御部15に接続されている。具体的には、電力伝送装置30は、集積回路IC内に、伝送制御回路31と機器制御部15(外部回路)とを接続するインターフェース端子T5、T6、T7及びT8を有する。伝送制御回路31は、入出力回路IOを介してインターフェース端子T5〜T8に接続されている。また、本実施例においては、電力伝送装置30は、入出力回路IO(伝送制御回路31)とインターフェース端子T5〜T8(機器制御部15)との間にインターフェース遮断回路33を有する。
【0028】
本実施例においては、機器制御部15は、バッテリ20に接続され、バッテリ20における充電仕様(容量や許容充電電圧)や、バッテリ20の充電状態などを示すバッテリ状態信号BSを伝送制御回路31に送信する。伝送制御回路31は、受信したバッテリ20の状態信号BSに基づいて電力伝送を行う制御をなす。例えば、バッテリ状態信号BSは、機器制御部15からインターフェース端子T5を介して伝送制御回路31に送信される。また、伝送制御回路31は、機器制御部15に対し、例えば電力伝送状況などを外部に出力する(例えばディスプレイ11に表示する)ための情報を含む信号を送信する。
【0029】
伝送制御回路31及び機器制御部15間のこれらの信号の入出力は、入出力回路IOを介してインターフェース端子T5〜T8によって行われる。インターフェース遮断回路33は、インターフェース端子T5、T6、T7及びT8と入出力回路IOとの間にそれぞれ設けられたインターフェース遮断スイッチS3、S4、S5及びS6からなる。本実施例においては、インターフェース遮断スイッチS3〜S6の各々は、インターフェース端子T5、T6、T7及びT8と入出力回路IOとの間にそれぞれドレイン及びソースが設
けられたNチャネルMOSFETからなる。
【0030】
本実施例においては、遮断制御回路32は、受電電力が所定値未満の場合、インターフェース遮断スイッチS3〜S6を非導通状態とする制御信号CS2を生成する。遮断制御回路32は、インターフェース遮断スイッチS3〜S6の制御端子(NチャネルMOSFETのゲート)に制御信号CS2を出力する。
【0031】
図3(a)は、遮断制御回路32の構成を示すブロック図であり、
図3(b)はその構成例を示す回路図である。遮断制御回路32は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路32Aと、受電部REからの受電電圧及び基準電圧とを比較するコンパレータ32Bとを有する。遮断制御回路32は、コンパレータ32Bによる比較結果信号を制御信号CS2としてスイッチS2に供給する。また、
図3(a)に示すように、基準電圧生成回路32A及びコンパレータ32Bは、バッテリ20から電力供給を受けて動作する。
【0032】
図3(b)に基準電圧生成回路32A及びコンパレータ32Bの構成例を示す。基準電圧生成回路32Aは、電源端子T4を介してバッテリ20に一端が接続された抵抗R11と、抵抗R11の他端に接続されたトランジスタTR1とからなる。トランジスタTR1は、本実施例においてはNチャネルMOSFETであり、ドレイン及びゲートが抵抗R11の他端に接続され、ソースが接地されている。
【0033】
コンパレータ32Bは、バッテリ20に接続されたトランジスタTR2及びTR3と、トランジスタTR2及びTR3にそれぞれ接続されたトランジスタTR4及びTR5と、トランジスタTR4及び5に接続されたトランジスタTR6とからなる。本実施例においては、トランジスタTR2及びTR3はPチャネルMOSFETからなる。また、トランジスタTR4〜TR6はNチャネルMOSFETからなる。トランジスタTR6のソースは接地されている。
【0034】
図3(b)に示すように、抵抗R11とトランジスタTR1のドレインとの接続端は、コンパレータ32BのトランジスタTR5のゲートに接続されている。また、トランジスタTR1のゲートはコンパレータ32BのトランジスタTR6のゲートに接続されている。また、コンパレータ32BのトランジスタTR4のゲートは受電部REに接続されている。また、トランジスタTR3のソースとトランジスタTR5のドレインとの接続端は制御スイッチS1及びインターフェース遮断回路33に接続されている。
【0035】
図4は、伝送制御回路31及び遮断制御回路32による電力伝送装置30の電力伝送フローの一例を示すフロー図である。まず、遮断制御回路32は、バッテリ20から電力供給を受け、受電部REによる外部からの受電状態(本実施例においては受電電圧)を監視する(ステップST1)。
【0036】
次に、遮断制御回路32は、受電部REが受電した受電電圧が所定の電圧値以上か否かを判定する(ステップST2)。具体的には、遮断制御回路32は、基準電圧生成回路32Aによって基準電圧を生成し、コンパレータ32Bによって当該基準電圧と受電電圧との比較を行う。本実施例においては、遮断制御回路32は、受電電圧が所定電圧値以上であると判定した場合、制御スイッチS2を導通状態とする。
【0037】
次に、本実施例においては、伝送制御回路31は、バッテリ20が満充電状態又は満充電状態とみなせる状態であるか否かを判定する(ステップST3)。具体的には、伝送制御回路31は、機器制御部15からバッテリ20の充電状態及び仕様などを示すバッテリ状態信号BSを受信し、バッテリ20が満充電状態であるか否かを判定する。伝送制御回路31は、バッテリ20が満充電状態であると判定した場合、制御スイッチS1を非導通
状態とし、伝送遮断スイッチSBを非導通状態とする(ステップST4)。従って、伝送路SLが遮断され、受電部RE及びバッテリ20間が非接続状態となる。
【0038】
遮断制御回路32は、受電部REの受電電圧が所定電圧値未満であると判定した場合、制御スイッチS2を非導通状態とし、伝送遮断スイッチSBを非導通状態とする(ステップST4に進む)。この場合は、例えば、意図しない受電を行った場合、すなわち、例えば送電装置40以外の外部環境によって発生した磁界を受けた場合や、受電部REが受電を全く行っていない無受電状態の場合に相当する。
【0039】
なお、ステップST2において、遮断制御回路32は、バッテリ20からの電力供給を受けて基準電圧を生成する基準電圧生成回路32Aと、基準電圧と受電部REからの受電電圧とを比較するコンパレータ32Bとによって、受電部REからの受電電力が所定値未満であるか否かを判定する。
【0040】
一方、伝送制御回路31は、所定電圧値以上の受電を行っており、バッテリ20が満充電状態ではないと判定した場合、制御スイッチS1を導通状態とする。これによって制御スイッチS1及びS2の両方が導通状態となり、伝送遮断スイッチSBが導通状態となる(ステップST5)。従って、受電部REとバッテリ20とが接続状態となり、受電部REからの電力がバッテリ20に伝送される(バッテリ20が充電される)。なお、この場合は、例えば適正に電子機器10が送電装置40に接続(配置)され、送電装置40から電力を受けている場合に相当する。
【0041】
このように、電力伝送装置30は、受電部REから電力供給を受けて動作する伝送制御回路31と、バッテリ20から電力供給を受けて動作する遮断制御回路32とによって、電力伝送の制御を行う。また、遮断制御回路32は、少なくとも動作可能な電圧がバッテリ20に充電されている場合、受電部REの受電状態の監視及び伝送遮断スイッチSB(伝送路SL)の強制遮断(非導通化)を行うことができる。
【0042】
受電部REが無受電の場合、又は受電部REが十分な受電を行っていない場合(すなわち意図しない受電を行った場合)、受電部REからの電力を動作電力とする伝送制御回路31は不安定な動作を行う場合が想定される。仮に遮断制御回路32及び制御スイッチS2が設けられていない場合、制御スイッチS1の導通及び非導通が不安定となることで、伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通も不安定となる。この場合、不意に接続状態となった伝送路SLを介してバッテリ20から受電部RE側に電流が逆流し、バッテリ20が無駄な電力消費を行う場合がある。
【0043】
しかし、本実施例においては、遮断制御回路32は、バッテリ20から電力供給を受け、伝送制御回路31による伝送遮断スイッチSBの切替に関わらず、伝送遮断スイッチSBを強制的に非導通状態とする。従って、遮断制御回路32は、伝送制御回路31によらずに伝送遮断スイッチSBの非導通状態を確定させ、伝送路SLを確実に遮断させる。従って、無受電状態又は不安定な受電状態の場合に伝送路SLを確実に遮断することが可能な電力伝送装置30を提供することができる。
【0044】
また、例えば伝送制御回路31及び遮断制御回路32を用いて上記したステップST4及びST5を行うことで、不安定な電力伝送状態を確実に防止することが可能な電力伝送方法を提供することができる。すなわち、本発明は、例えば、受電部RE及びバッテリ20間の接続及び非接続を切替えてバッテリ20への電力伝送を制御するステップと、受電部REからの受電電力が所定値未満の場合、受電部RE及びバッテリ20間を強制的に非接続状態とするステップと、を含むことを特徴とする電力伝送方法としても実施することができる。
【0045】
なお、スマートウォッチや腕時計、イヤホンなどは、消費電力(動作電力)が他の電子機器に比べて小さい。従って、他の電子機器に比べてバッテリ20からの電流の逆流による電力消費の影響が大きい。従って、電力伝送装置30を搭載し、不安定な受電時に確実に伝送路SLを遮断して電流の逆流を防止することが好ましい。
【0046】
なお、例えば電子機器10としての腕時計に電力伝送装置30が搭載される場合、受電部REのコイルL及びキャパシタC2以外(例えば伝送制御回路31及び遮断制御回路32)を集積回路IC内に集積し、
図3(b)に示すようにトランジスタを接続して遮断制御回路32を構成することが好ましい。この場合、機器全体としての消費電力を低減でき、また、遮断制御回路32の動作電圧も小さくすることができる。
【0047】
なお、バッテリ20が全く充電されていない場合、すなわちバッテリ20に電圧が生じていない場合は、遮断制御回路32の動作は不安定となる場合がある。しかし、この場合は、バッテリ20が無充電状態であり、バッテリ20からの電流の逆流は起こらない。また、バッテリ20が全く充電されていない場合に所定電圧以上の受電を行った場合、伝送遮断スイッチSBとしてのMOSFETが寄生ダイオードとなり、バッテリ20に向かって電流が流れる。従って、伝送制御回路31又は遮断制御回路32の動作が安定するまでバッテリ20への電力伝送は行われることとなる。
【0048】
また、本実施例においてはバッテリ20が満充電状態であるか否かに基づいて伝送制御回路31が伝送遮断スイッチSBの切替制御を行う場合について説明した。伝送制御回路31による制御スイッチS1は、バッテリ20の充電状態のみならず、他の条件によって切替られてもよい。例えば、伝送制御回路31は、バッテリ状態信号BSによって、バッテリ20の温度や充電時間などを機器制御部15から受信し、バッテリ20の温度や充電時間などに基づいて伝送遮断スイッチSBの切替制御を行ってもよい。
【0049】
さらに、本実施例においては、遮断制御回路32は、所定電圧未満の受電を行った場合、伝送制御回路31の機器制御部15とのインターフェースを遮断する信号をインターフェース遮断回路33(インターフェース遮断スイッチS3〜S6)に供給する。無受電状態又は不安定な受電状態となって伝送制御回路31の動作が不安定となると、入出力回路IOが入出力する信号が不安定となる場合がある。例えば、入出力回路IOが入出力する信号が意図せずプルアップ又はプルダウンされて所望の信号が送受信できなくなる場合がある。従って、例えば、バッテリ20の充電仕様や充電状態が正確に伝送制御回路31に供給されなくなる場合がある。
【0050】
しかし、本実施例においては、遮断制御回路32は、受電状態が不安定となると伝送制御回路31の外部とのインターフェースを遮断する(インターフェース遮断スイッチS3〜S6を非導通とする)。従って、伝送制御回路31の外部との信号の不安定な入出力が抑制され、不安定な信号の入出力動作及び電力伝送状態が防止される。
【0051】
図5は、実施例1の変形例に係る電力伝送装置30Aの構成を示す回路図である。電力伝送装置30Aは、入出力回路IO1の構成を除いては電力伝送装置30と同様の構成を有する。なお、
図5には、電力伝送装置30Aの入出力回路IO1の回路図を示し、他の一部の構成要素を省略している。また、
図5には、入出力回路IO1におけるインターフェース端子T5への入出力回路部分のみを示している。本変形例は、入出力回路IO1は、電力伝送装置30における入出力回路IO及びインターフェース遮断スイッチS3の他の構成例に相当する。
【0052】
入出力回路IO1は、AND回路LG1及びLG2、OR回路LG3、NOT回路LG
4、AND回路LG5並びにトランジスタTR7及びTR8からなる。本実施例においては、トランジスタTR7はPチャネルMOSFETであり、トランジスタTR8はNチャネルMOSFETである。
【0053】
AND回路LG1の入力端子には、伝送制御回路31の出力端子及び遮断制御回路32の出力端子が接続されている。AND回路LG1の出力端子は、OR回路LG3の入力端子に接続されている。AND回路LG2の入力端子には、インターフェース端子T5及び遮断制御回路32の出力端子が接続されている。AND回路LG2の出力端子は、伝送制御回路31の入力端子に接続されている。
【0054】
NOT回路LG4の入力端子は、遮断制御回路32の出力端子に接続されている。NOT回路LG4の出力端子は、OR回路LG3の入力端子に接続されている。OR回路LG3の出力端子は、トランジスタTR7のゲートに接続されている。AND回路LG5の入力端子には、AND回路LG1の出力端子及び遮断制御回路32の出力端子が接続されている。AND回路LG5の出力端子はトランジスタTR8のゲートに接続されている。トランジスタTR7のソースは電源端子T4(バッテリ20)に接続されている。トランジスタTR7のドレインはインターフェース端子T5及びトランジスタTR8のソースに接続されている。トランジスタTR8のドレインは接地されている。
【0055】
本変形例においては、遮断制御回路32の出力信号(制御信号CS2)がLレベルの場合(すなわち受電電圧が所定電圧未満の場合)、トランジスタTR7及びTR8が非導通状態となり、機器制御部15とのインターフェースが遮断される。従って、インターフェース端子T5からの入力信号が不安定となった場合でも、入出力回路IO1内での論理状態が確定する。また、伝送制御回路31からの出力信号が不安定な場合でも、入出力回路IO1内の論理状態が確定する。また、遮断制御回路32へのバッテリ20からの電流の逆流が防止される。
【0056】
このように入出力回路IO1を構成した場合でも、伝送制御回路31の外部とのインターフェースが確実に遮断される。伝送制御回路31及び機器制御部15(外部回路)間の不安定な信号の入出力が防止される。なお、伝送制御回路31の外部とのインターフェースが確実に遮断されることで、機器制御部15が使用する端子数を少なくすることができる。
【実施例2】
【0057】
図6は、実施例2に係る電力伝送装置50の構成を示す回路図である。電力伝送装置50は、遮断制御回路51の構成を除いては、電力伝送装置30と同様の構成を有する。遮断制御回路50は、本実施例においては、機器制御部15A(外部回路)内に設けられているタイミング制御回路TCからの間欠動作指令信号OSに基づいて、断続的(間欠的)に伝送遮断スイッチSBの切替制御を行う。例えば、タイミング制御回路TCは、タイマを有し、当該タイマによって間欠動作指令信号OSを遮断制御回路51に供給する。
【0058】
本実施例においては、集積回路IC内には、タイミング制御回路TC(機器制御部15A)に接続された間欠動作用の制御端子T9が設けられている。遮断制御回路51は、入力された動作指令信号OSに基づいて制御スイッチS2の切替制御を行う。なお、タイミング制御回路TCは、例えば電子機器10内において機器制御部15Aの外部に設けられていてもよい。
【0059】
図7(a)は、遮断制御回路51の構成を示すブロック図であり、
図7(b)はその構成例を示す回路図である。本実施例においては、遮断制御回路51は、基準電圧生成回路51A、コンパレータ51B及びラッチ回路51Cからなる。タイミング制御回路TCか
らの間欠動作指令信号OSは、基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bに供給され、NOT回路LG11によって反転された信号がラッチ回路51Cに供給される。
【0060】
基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bは、タイミング制御回路TCからの制御信号によって間欠的に動作する。例えば、基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bは、例えば間欠動作指令信号OSの立上がり毎に間欠動作を行う。ラッチ回路51Cは、コンパレータ51Bの出力信号の出力レベルを保持する。ラッチ回路51Cは、直前のコンパレータ51Bの出力信号の出力レベルを保持した信号を制御信号OS2として出力する。制御スイッチS2及びインターフェース遮断回路33は、ラッチ回路51Cからの出力信号に基づいて動作する。
【0061】
図7(b)に示すように、基準電圧生成回路51Aは、基準電圧生成回路32Aに、トランジスタTR11及びTR12を加えた構成を有する。本実施例においては、トランジスタTR11は、抵抗R11及びトランジスタTR1間に接続されたNチャネルMOSFETである。トランジスタTR11のゲートにはタイミング制御回路TCの出力端子が接続されている。本実施例においては、トランジスタTR12は、トランジスタTR1に並列に接続されたNチャネルMOSFETである。トランジスタTR12のゲートにはNOT回路LG11の出力端子が接続され、ソースは接地されている。
【0062】
コンパレータ51Bは、遮断制御回路32のコンパレータ32Bと同様の構成を有する。ラッチ回路51Cは、トランジスタTR13、TR14、TR15及びTR16と、NOT回路LG12及びLG13とからなる。本実施例においては、トランジスタTR13及び15はPチャネルMOSFETであり、トランジスタTR14及びTR16はNチャネルMOSFETである。
【0063】
本実施例においては、トランジスタTR13のドレインには、コンパレータ51Bの出力端子及びトランジスタ14のドレインが接続されている。トランジスタTR13のゲートにはNOT回路LG11の出力端子が接続されている。トランジスタTR13のソースはNOT回路LG12の入力端子に接続されている。トランジスタTR14のゲートにはタイミング制御回路TCの出力端子が接続されている。
【0064】
トランジスタTR15のドレインは、トランジスタTR13のソース及びトランジスタTR16のドレインに接続されている。トランジスタTR15のゲートにはタイミング制御回路TCの出力端子が接続されている。NOT回路LG12の出力端子はNOT回路LG13の入力端子に接続されている。トランジスタTR16のゲートにはNOT回路LG11の出力端子が接続されている。トランジスタTR15のソースはトランジスタTR16のソース及びNOT回路LG13の出力端子に接続されている。NOT回路LG13の出力端子は制御スイッチS2及びインターフェース遮断回路33に接続されている。
【0065】
本実施例においては、間欠動作制御信号がHレベルの場合、基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bにバイアス電流が流れ、両者がそれぞれの動作を行う。一方、間欠動作制御信号がLレベルの場合、基準電圧生成回路51Aへのバイアス電流が遮断され、コンパレータ51Bへのバイアス電流が流れなくなるため、両者は動作を停止する。また、間欠動作制御信号がHレベルの場合、ラッチ回路51Cはコンパレータ51Bの出力をそのまま出力する(制御スイッチS2などに供給する)。一方、間欠動作制御信号がLレベルの場合、ラッチ回路51Cへの信号の入力が遮断され、直前のコンパレータ51Bの出力レベルを保持する(出力し続ける)。
【0066】
本実施例においては、遮断制御回路51が間欠動作を行うように構成されている。従って、遮断制御回路51が常時動作を行う場合に比べ、少ない消費電力で動作を行うことが
できる。