(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-180746(P2021-180746A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】手指殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A47K 10/48 20060101AFI20211029BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
A47K10/48 A
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-87324(P2020-87324)
(22)【出願日】2020年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】516218247
【氏名又は名称】南部 満彦
(71)【出願人】
【識別番号】520175710
【氏名又は名称】株式会社セントラルセブンサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】南部 満彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 美里
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB06
4C058CC07
4C058KK02
4C058KK23
(57)【要約】
【課題】手洗い後の濡れた手の水分を速やかに除去して乾燥させると同時に、殺菌やウイルスを死滅させることができる手指殺菌装置を提供する。
【解決手段】エアー吹出口25が設けられたキャビネット2と、キャビネット2内に設けられる送風手段3とセンサー4と紫外線殺菌灯5とを備えている。そして、送風手段3は、ヒーター30と、送風機31と、モーター32と、エアー導出通路33とから構成されている。また、センサー4は、エアー吹出口25の近傍に設けられ、紫外線殺菌灯5は、キャビネット2の下側であってエアー吹出口25よりも後方に位置するように設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型に形成され下側にエアー吹出口が設けられたキャビネットと、前記キャビネット内に設けられる送風手段とセンサーと紫外線殺菌灯とを備え、
前記送風手段は、空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターによって加熱された空気を送り出すファンを有する送風機と、前記送風機を回転させるモーターと、加熱された空気を前記エアー吹出口へと導くエアー導出通路とからなり、
前記センサーは、前記エアー吹出口の近傍に設けられ、
前記紫外線殺菌灯は、前記キャビネットの下側であって前記エアー吹出口よりも後方に位置するように設けられ、
前記紫外線殺菌灯が手に照射されることによって、雑菌やウイルス等を死滅させると共に、前記エアー吹出口に手を接近させると、前記センサーが感知して前記エアー吹出口から吹き出された温熱空気が手に当たるようにしたことを特徴とする手指殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗い後の手を乾燥させると共に手に付着した雑菌やウイルスを死滅させることができる手指殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、例えば、オフィイスビル、工場、病院、その他の施設の建物内の洗面所等で手を洗った場合に、その濡れた手から水分を除去する手段として、エアータオル装置が用いられるようになってきている。このようなエアータオル装置としては、特許文献1に示されているようなもの、すなわち、空気を加熱する加熱装置と、空気を送り出すファンと、ファンの先端部に設けられたエアー吹出口と、エアー吹出口の下方に位置する乾燥部所と、乾燥部所の下方に位置する水受け部とを備え、手洗い後の濡れた手を乾燥部所に差し入れると、ファンに送り出される温風空気がエアー吹出口から流出し、この流出した温風空気によって、手に付着している水分を吹き飛ばしながら乾燥させるようにしたものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−139768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
もっとも、特許文献1に示されているような一般的なエアータオル装置の場合、手を洗った後の濡れた手から水分を除去することはできるものの、手に付着した雑菌やウイルス等を完全に除去することができない。むしろ、手から吹き飛ばされた水分を受け入れる水受け部は、雑菌やウイルスの温床となり易いため、せっかく手を洗ったにもかかわらず、水受け部に巣食っている雑菌やウイルスが手に再び付着し、その後、身体に侵入させてしまう危険性をはらんでいるといえる。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべく、手洗い後の濡れた手から水分を速やかに除去・乾燥させると同時に、手洗い後の手に付着した雑菌やウイルスを死滅させることを可能にした手指殺菌装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、箱型に形成され下側にエアー吹出口が設けられたキャビネットと、前記キャビネット内に設けられる送風手段とセンサーと紫外線殺菌灯とを備え、前記送風手段は、空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターによって加熱された空気を送り出すファンと、前記ファンを回転させるモーターと、加熱された空気を前記エアー吹出口へと導くエアー導出通路とからなり、前記センサーは、前記エアー吹出口の近傍に設けられ、前記紫外線殺菌灯は、前記キャビネットの下側であって前記エアー吹出口よりも後方に位置するように設けられ、前記エアー吹出口に手を接近させると、前記センサーが感知して前記エアー吹出口から吹き出された温熱空気が手に当たるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る手指殺菌装置によれば、手洗い後の濡れた手から水分を速やかに除去・乾燥させると同時に、手洗い後の手に付着した雑菌やウイルスを死滅させることができる。すなわち、紫外線殺菌灯から照射される紫外線が、例えば、黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌といった雑菌、その他ウイルスを死滅させることができるため、ひいては、これら雑菌やウイルスによって発症する病気を未然に防ぐという効果を享受することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る手指殺菌装置を実施するための最良の形態を図面に従って説明する。
図1は本発明に係る手指殺菌装置の外観斜視図、
図2は本発明に係る手指殺菌装置の正面断面図、
図3は本発明に係る手指殺菌装置の側面図である。本発明に係る手指殺菌装置1は、箱型に形成されたキャビネット2と、キャビネット2内に設けられる送風手段3とセンサー4と紫外線殺菌灯5とによって概略構成されている。
【0010】
前記キャビネット2は、金属製であり、矩形状箱形の容器本体10と、その前側に装着される矩形状箱形のカバー体11とによって内部に空間部が形成されるように構成されている。このうち、容器本体10の外形寸法は、縦275mm、横316mm、奥行き40mmに設定されており、カバー体11の外形寸法は、縦280mm、横314mm、奥行き96mmに設定されている。
【0011】
前記キャビネット2の容器本体10には、その右半部に後述する送風手段3が設けられている。また、容器本体10の左半部には、制御基盤12及びモーター基盤13が配置されていると共に、ヒーター切替スイッチ14及びインバーター切替スイッチ15が設けられている。さらに、制御基盤12の左側には、ブザースイッチ16、作動タイマー17、間欠タイマー18、センサー調整19が設けられている。また、容器本体10の左側面上部には、電源コード口20、そのやや下方に電源スイッチ21が設けられており、容器本体10の左側面下部には、風量ボリューム22が設けられている。また、容器本体10の下端部には、上壁部23a、後壁部23b、左右の側壁部23c,23cを有し、前側と下側が開口するように凹ませた灯収容部23が形成されており、ここに紫外線殺菌灯5が配置されている。なお、紫外線殺菌灯5は、ここでは、6Wのものが使用され、ここから照射される紫外線の波長が200〜280nm(ナノメーター)の範囲、すなわち、短波紫外線の範囲で設定できるようになっている。この短波紫外線は強い殺菌力を有しており、特に波長253.7nmの紫外線が最も強い殺菌効果を得られることから、常態において、紫外線の波長を253.7nmに設定しておくことが好ましい。
【0012】
前記キャビネット2のカバー体11には、その下端中央部に横長孔として開設されたエアー吹出口25が形成されている。また、カバー体11の左右両側面には、空気を流通させるための複数の横長孔26,26・・・が穿設されている。
【0013】
前記送風手段3は、空気を加熱する電熱ヒーター30と、電熱ヒーター30によって加熱された空気を送り出す送風機31と、送風機31を回転させるモーター32と、加熱された空気をエアー吹出口21へと導くエアー導出通路33とによって構成されている。このうち、送風機32は、容器本体10の右半部中央のやや上方に固着された円形状のケース体35内にファン36を設けて形成されており、ここに用いられるファン36は、いわゆるシロッコ型のものが採用されている。また、ファン36の後側にファン36を回転させるモーター32が配置されている。なお、ここで使用されるモーター32は、高圧ブラシレスモータが採用されており、7200rpmの回転数が得られるようになっている。さらに、ケース体35の上面中心部には、円形に開口された吸気口37が形成されていて、ケース体35内に空気を取り込めるようになっている。また、ケース体35の下端には下向きに連通する吹出筒38が形成されており、この吹出筒38の下端にエアー導出通路33が接続されている。そして、導出通路33内に電熱ヒーター30が配設されている。なお、電熱ヒーター30は、前記ヒーター切替スイッチ14によって温度を131℃と115℃のいずれかに切り替えることができる。すなわち、気温の低い季節や場所では131℃に設定し、気温が高い季節や場所では115℃に設定できるようになっている。なお、エアー導出通路33の下端部は、やや前方に屈曲し、カバー体11に開設されたエアー吹出口11に対向するように位置している。また、エアー導出通路33の下端前部にセンサー4が固着されている。このセンサー4は、エアー吹出口11に手を接近させた時、その手を感知するようにした光学式電子センサーが採用されている。なお、センサー4は、前記センサー調整19によってセンサー4が作動する手との距離を0〜20cmの範囲に設定可能になっている。ちなみに、エアー吹出口11から吹き出される温熱空気の風速は、35〜65m/sの範囲で設定できるようになっており、通常は50m/sに設定されている。また、ケース体35の右下端には、マイナスイオン発生器(不図示)が設けられており、このマイナスイオン発生器は、電源部が数千ボルトの高圧直流電源を印加することによってコロナ放電を起こし、その結果、マイナスイオンを発生させることになる。
【0014】
次に、上記のように構成された手指殺菌装置1の使用方法について説明する。まず、手指殺菌装置1を使用するにあたっては、キャビネット2の容器本体10左側面に設けられている電源スイッチ21をON動作させる。これにより手指殺菌装置1が常時使用できる状態になると共に、紫外線殺菌灯5が点灯する。そして、手洗いをした人が、水に濡れた状態の手を手指殺菌装置1のエアー吹出口21に接近させると、その手をセンサー4が感知する。これにより、電熱ヒーター30が所定の温度に加熱されると共に、モーター32が駆動してファン36が作動する。その結果、所定温度に熱せられた空気が50m/sの吹出速度でエアー吹出口25から流出して手に当たる。その結果、濡れていた手が短時間で乾燥する。また、同時に、手には、紫外線殺菌灯5から短波紫外線が照射されることになるので、その殺菌力により手に付着している雑菌やウイルスがすべて死滅することになる。なお、上述した使用方法では、人がエアー吹出口21に手を接近させると、紫外線殺菌灯5が点灯する例を示したが、手指殺菌装置1の電源スイッチ21をON動作させた後、紫外線殺菌灯5を常時点灯させるように設定することも可能である。この場合、人が手指殺菌装置1を使用していなくても、短波紫外線によって手指殺菌装置1の周囲に存在している雑菌やウイルスを予め死滅させられるので、使用者により安心感をもたらすことができる。
【符号の説明】
【0015】
1 手指殺菌装置
2 キャビネット
3 送風手段
4 センサー
5 紫外線殺菌灯
25 エアー吹出口
30 ヒーター
31 送風機
32 モーター
33 エアー導出通路
36 ファン