特開2021-180786(P2021-180786A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021180786-椅子 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-180786(P2021-180786A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/54 20060101AFI20211029BHJP
【FI】
   A47C7/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-87989(P2020-87989)
(22)【出願日】2020年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】509190691
【氏名又は名称】株式会社アスモ
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】花堂 浩一
(57)【要約】
【課題】 高齢者が使用する浴室用椅子であって、経済性及びスペース性に優れ、且つ体に適合した安全な浴室用椅子を提供する。
【解決手段】 フレーム15には距離調整部41が固定されている。距離調整部41は、右肘掛部31と左肘掛部33との間の距離が伸縮する方向に、右肘掛部31及び左肘掛部33を移動して相互の距離を調整する機能を有する。距離調整部41は、ロック解除状態で右肘掛部31及び左肘掛部33とが相対的に移動可能であり、ロック状態で両肘掛部を固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が座る座部と、
前記座部を支持する前脚部及び後脚部と、
左肘掛部及び右肘掛部と
背もたれ部と、
を有し、
前記左肘掛部と前記右肘掛部との間の距離が伸縮する方向に、前記左肘掛部と前記右肘掛部の少なくとも一方が移動可能である
椅子。
【請求項2】
ロック解除状態で前記左肘掛部及び前記右肘掛部の少なくとも一方を相対的に移動可能であり、ロック状態で前記一方の肘掛部を固定する距離調整部
を有する請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記距離調整部は、
被挿入部を備えた調整部本体と、
前記左肘掛部及び前記右肘掛部の少なくとも一方に一体化された挿入部と、
前記ロック解除状態で前記挿入部が前記被挿入部内で挿脱方向に移動可能であり、前記ロック状態で前記挿入部が前記被挿入部内の所定位置で固定されるロック手段を有する
請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記調整部本体は、第1の位置調整用孔を有し、
前記挿入部には、前記挿脱方向に沿って複数の第2の位置調整用孔が設けられており、
前記第1の位置調整孔と前記第2の位置調整孔とに着脱可能に挿入される位置調整部材
を有する
請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記調整部本体は、左右対称位置に少なくとも2つの前記第1の位置調整用孔を有し、
前記左肘掛部及び前記右肘掛部の各々の前記挿入部には、前記挿脱方向に沿って複数の前記第2の位置調整用孔がそれぞれ設けられており、
前記左肘掛部及び前記右肘掛部の各々に対応する2つの前記位置調整部材を有する
請求項4に記載の椅子。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、福祉用具として用いることが可能であり、左右肘掛部の幅を調整可能な椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者等が浴室で体等を洗う際に用いられる椅子には、立ち上がる際に手で体を起こす(持ち上げる)等の目的で、左右肘掛部が設けられている。
この左肘掛部と右肘掛部との幅(距離)は、立ち上がる際に手で力を加えやすいようい、体の大きさ(幅)に合わせた位置に設けられている必要がある。左肘掛部と右肘掛部との幅が広すぎると、立ち上がる際に両肘掛部に手で必要な力を加えられず、立ち上がることが難しいか、バランスを崩してしまう可能性がある。
そのため、体が大きいユーザに適切な左右肘掛部の幅を備えた椅子と、体が小さいユーザに適切な幅を備えた椅子とを個別に製造、販売している。ユーザは、夫婦で同居している場合には、大柄用と小柄用の2脚の椅子を購入して使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したように、夫婦で同居している場合に、男性性と女性用の2脚の椅子を購入して使用しているので、狭い浴室で2脚の椅子を置くことになり、邪魔になる。
また、2脚の椅子を購入するための費用負担が大きいという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高齢者が使用する椅子であって、経済性及びスペース性に優れ、且つ安全な椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の椅子は、利用者が座る座部と、前記座部を支持する前脚部及び後脚部と、左肘掛部及び右肘掛部と背もたれ部と、を有し、前記左肘掛部と前記右肘掛部との間の距離が伸縮する方向に、前記左肘掛部と前記右肘掛部の少なくとも一方が移動可能である。
【0006】
この構成によれば、前記左肘掛部と前記右肘掛部との間の距離が伸縮する方向に、前記左肘掛部と前記右肘掛部の少なくとも一方が移動可能であることから、使用者の体系に合わせて立ち上がる際に手で力を加えやすいように左右肘掛部の距離を調整することができる。
そのため、1脚の当該椅子を複数の体系のユーザで共用してもユーザは左肘掛部と右肘掛部に手を当てて体を押し上げることができる。これにより、浴室のスペースを有効活用できると共に、購入コストを抑えることが可能になる。
【0007】
好適には、ロック解除状態で前記左肘掛部及び前記右肘掛部の少なくとも一方を相対的に移動可能であり、ロック状態で前記一方の肘掛部を固定する距離調整部を有する。
【0008】
好適には、前記距離調整部は、被挿入部を備えた調整部本体と、前記左肘掛部及び前記右肘掛部の少なくとも一方に一体化された挿入部と、前記ロック解除状態で前記挿入部が前記被挿入部内で挿脱方向に移動可能であり、前記ロック状態で前記挿入部が前記被挿入部内の所定位置で固定されるロック手段を有する。
【0009】
好適には、前記調整部本体は、第1の位置調整用孔を有し、前記挿入部には、前記挿脱方向に沿って複数の第2の位置調整用孔が設けられており、前記第1の位置調整孔と前記第2の位置調整孔とに着脱可能に挿入される位置調整部材を有する。
【0010】
好適には、前記調整部本体は、左右対称位置に少なくとも2つの前記第1の位置調整用孔を有し、前記左肘掛部及び前記右肘掛部の各々の前記挿入部には、前記挿脱方向に沿って複数の前記第2の位置調整用孔がそれぞれ設けられており、前記左肘掛部及び前記右肘掛部の各々に対応する2つの前記位置調整部材を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用者の体系に合わせて立ち上がる際に手で力を加えやすいように左右肘掛部の距離を調整することができる。
そのため、1脚の当該椅子を複数の体系のユーザで共用してもユーザは左肘掛部と右肘掛部に手を当てて体を押し上げることができる。これにより、浴室のスペースを有効活用できると共に、購入コストを抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る浴室用椅子1の斜視図である。
図2図2は、図1に示す浴室用椅子1の正面図である。
図3図3は、図1及び図2に示す距離調整部41の分解斜視図及び完成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る福祉用具として、本発明の椅子の一例として浴室用椅子について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る浴室用椅子1の斜視図である。図2は、図1に示す浴室用椅子1の正面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、浴室用椅子1は、利用者が座る座部11を有する。
座部11は、2本の前脚部21,23と、2本の後脚部25,27によって支持されている。
【0015】
座部11が支持されるフレーム15に背もたれ部13が固定されている。
【0016】
フレーム15には距離調整部41が固定されている。
距離調整部41には、右肘掛部31と左肘掛部33とが設けられている。
【0017】
距離調整部41は、右肘掛部31と左肘掛部33との間の距離が伸縮する方向に、右肘掛部31及び左肘掛部33を移動して相互の距離を調整する機能を有する。
距離調整部41は、ロック解除状態で右肘掛部31及び左肘掛部33とが相対的に移動可能であり、ロック状態で両肘掛部を固定する。
なお、右肘掛部31及び左肘掛部33は出し入れ可能なように所定の回転軸を中心に回転可能な構成にしてもよい。
【0018】
図3は、図1及び図2に示す距離調整部41の分解斜視図及び完成図である。
図3に示すように、距離調整部41は、両端が開口した例えば直方体の調整部本体51と、右肘掛部31と一体化された挿入部61と、左肘掛部33と一体化された挿入部63とを有している。
調整部本体51の両端の開口部は、被挿入部51a,51bの挿入口となっている。
距離調整部41は、ロック解除状態で挿入部61,63が、被挿入部51a,51b内で挿脱方向に移動可能であり、ロック状態で挿入部61,63が被挿入部51a,51b内の所定位置で固定されるロック手段としての機能を有する。
【0019】
調整部本体51は、被挿入部51a側の第1の位置調整用孔53と、被挿入部51b側の第1の位置調整用孔55とを左右対称位置に有する。
挿入部61には、挿脱方向に沿って複数(本実施形態では3つ)の第2の位置調整用孔71が設けられている。
挿入部63には、挿脱方向に沿って複数(本実施形態では3つ)の第2の位置調整用孔73が設けられている。
【0020】
位置調整部材81の凸部85は、第1の位置調整用孔53と、第2の位置調整用孔71とに着脱可能に挿入される。
位置調整部材83の凸部87は、第1の位置調整用孔55と、第2の位置調整用孔73とに着脱可能に挿入される。
【0021】
以下、浴室用椅子1の右肘掛部31と左肘掛部33との調整方法を説明する。
例えば、大柄の男性が使用した状態では、図1図3に示す距離調整部41では、挿入部61の最も右肘掛部31側(外側)の第2の位置調整用孔71に位置調整部材81の凸部85が挿入されて固定されており、挿入部63の最も左肘掛部33側(外側)の第2の位置調整用孔73に位置調整部材83の凸部87が挿入されて固定されている。これにより、右肘掛部31と左肘掛部33との間の幅が最も広く設定されている。
【0022】
上述したように、大柄の男性向けに左右肘掛部の間隔が調整された状態で、次に小柄な女性が浴室用椅子1を使用する場合に、ユーザが手で位置調整部材81,83を被挿入部53,55から抜くことで、挿入部61,63が調整部本体51の被挿入部51a,51b内において挿脱方向に移動可能(非ロック状態)になる。
【0023】
そして、ユーザが手で右肘掛部31及び左肘掛部33を調整部本体51へ寄せる方向に移動させ、挿入部61の最も右肘掛部31から遠い側(内側)の第2の位置調整用孔71と調整部本体51の第1の位置調整用孔53との位置、並びに挿入部63の最も左肘掛部33から遠い側(内側)の第2の位置調整用孔73と調整部本体51の第1の位置調整用孔55との位置を合わせる。
【0024】
そして、当該合わせた第2の位置調整用孔71と第1の位置調整用孔53に位置調整部材81の凸部85を挿入し、第2の位置調整用孔73と第1の位置調整用孔55に位置調整部材83の凸部87を挿入し、右肘掛部31及び左肘掛部33の挿脱方向の移動を制止する(ロック状態にする)。
【0025】
これにより、浴室用椅子1の右肘掛部31と左肘掛部33との幅に、小柄な女性が浴室用椅子1を使用するのに適した幅になる。
【0026】
以上説明したように、浴室用椅子1によれば、距離調整部41を設けたことで、右肘掛部31と左肘掛部33との間の距離が伸縮する方向に、右肘掛部31及び左肘掛部33を移動可能になる。これにより、使用者の体系に合わせて立ち上がる際に手で力を加えやすいように右肘掛部31と左肘掛部33との距離を調整することができる。
そのため、浴室用椅子1を1脚だけ購入すれば複数の体系のユーザで共用してもユーザは左肘掛部と右肘掛部に手を当てて体をバランスを崩すことなく押し上げることができる。これにより、浴室のスペースを有効活用できると共に、購入コストを抑えることが可能になる。
【0027】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0028】
上述した実施形態では、距離調整部41により、右肘掛部31と左肘掛部33との双方が移動可能な構成にしたがいずれか一方が移動可能な構成にしてもよい。
【0029】
また、距離調整部41の構成は、右肘掛部31と左肘掛部33とのいずれか一方の移動を可能にするものであれば、上述した構成に限定されない。
また、上述した実施形態では、位置調整部材81,83の凸部8,87を図中上方向から調整部本体51に挿入する場合を例示したが横方向等、その他の方向から挿入して固定するようにしてもよい。
また、本発明の椅子は、浴室用椅子以外の用途の椅子にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、一例として浴室に使用する椅子の分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…浴室用椅子
11…座部
13…背もたれ部
15…フレーム
21,23…前脚部
25,27…後脚部
31…右肘掛部
33…左肘掛部
41…距離調整部
51…調整部本体
51a,51b…被挿入部
53,55…第1の位置調整用孔
61,63…挿入部
71,73…第2の位置調整用孔
81,83…位置調整部材
85,87…凸部


図1
図2
図3