特開2021-180791(P2021-180791A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鈴木機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000003
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000004
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000005
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000006
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000007
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000008
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000009
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000010
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000011
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000012
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000013
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000014
  • 特開2021180791-卓上用衝立装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-180791(P2021-180791A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】卓上用衝立装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/04 20060101AFI20211029BHJP
   A62B 29/00 20060101ALI20211029BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20211029BHJP
   A47B 17/04 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
   A47B96/04 A
   A62B29/00
   A47B13/00 Z
   A47B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-88134(P2020-88134)
(22)【出願日】2020年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】591051863
【氏名又は名称】鈴木機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】野村 康行
(72)【発明者】
【氏名】小坂 和智
(72)【発明者】
【氏名】西村 正樹
【テーマコード(参考)】
2E185
3B053
【Fターム(参考)】
2E185AA09
3B053NQ02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】卓上の空間を仕切るシールド部材の長さを調整できるようにして、卓体の大きさや卓体に着く人数等の周囲条件に対応させ易くし、汎用性の向上を図るとともに、防護性の向上を図ることができる卓上用衝立装置を提供する。
【解決手段】卓体Tの上面Taに設置され卓体T上の空間を仕切るシールド部材Sを備え、このシールド部材Sを、透明な樹脂製の可撓性シート材料で形成し、卓体Tに設置される基台1を備え、この基台1に設けた回転軸にシールド部材Sを繰り出し及び巻き取り可能に巻回するとともに、シールド部材Sの始端部Saに、シールド部材Sが繰り出された際に卓体Tに設置される支持スタンドFの係止部4に係止されてシールド部材Sを張設する被係止部4を設けた。基台1に、シールド部材Sの被係止部4が係止可能な係止部3を設け、支持スタンドFとしても機能可能にした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓体の上面に設置され該卓体上の空間を仕切る透明なシールド部材を備えた卓上用衝立装置において、
上記シールド部材を、透明な樹脂製の可撓性シート材料で形成し、上記卓体に設置される基台を備え、該基台に軸線を垂直にして回転可能に支持される回転軸を設け、該回転軸に上記シールド部材を繰り出し及び巻き取り可能に巻回するとともに、上記シールド部材の始端部に、該シールド部材が上記回転軸から繰り出された際に上記卓体に設置される支持スタンドの係止部に係止されて該シールド部材を上記回転軸と支持スタンドとの間に張設する被係止部を設けたことを特徴とする卓上用衝立装置。
【請求項2】
上記回転軸に係合部を設け、上記シールド部材の終端部に上記係合部に解除可能に係合する被係合部を設け、上記係合部及び被係合部により上記シールド部材を上記回転軸に対して着脱可能にしたことを特徴とする請求項1記載の卓上用衝立装置。
【請求項3】
上記回転軸を回転させて該回転軸に上記シールド部材を巻き取る回転駆動部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の卓上用衝立装置。
【請求項4】
上記基台に、上記シールド部材の被係止部が係止可能な係止部を設け、上記支持スタンドとしても機能可能にしたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の卓上用衝立装置。
【請求項5】
上記基台を、上記卓体の上面に設置されるベース板と、該ベース板に設けられ上記回転軸を覆う筒状のカバーとを備えて構成し、該カバーに、一方縁及びこれに平行な他方縁を有して開放し上記シールド部材が通過可能なスリットを設けたことを特徴とする請求項4記載の卓上用衝立装置。
【請求項6】
上記スリットの一方縁及び他方縁間の幅をEとし、上記回転軸の軸線からの半径をRJ、上記回転軸に上記シールド部材が全部巻回されたときの上記軸線からシールド部材の外周までの半径をRSとしたとき、E≒RS−RJとし、平面から見て、上記回転軸の軸線を通る中心線と上記スリットの中心を通り上記中心線に平行な平行線との距離をMとしたとき、M≒RJ+0.5(RS−RJ)に設定し、上記スリットを、その中心が上記中心線から上記距離Mだけ離間した位置に形成したことを特徴とする請求項5記載の卓上用衝立装置。
【請求項7】
上記カバーの上部に、上記回転軸を回転自在に軸支する軸受部を設け、該回転軸の上端に、上記軸受部の上面に摺動可能に支承され該回転軸を吊下支持する支承部材を設けたことを特徴とする請求項5または6記載の卓上用衝立装置。
【請求項8】
上記回転軸を回転させて該回転軸に上記シールド部材を巻き取る回転駆動部を設け、上記支承部材を、手で回転させて上記回転軸を回転させる回転駆動部として構成したことを特徴とする請求項7記載の卓上用衝立装置。
【請求項9】
上記ベース板に、上記シールド部材の下縁が臨み上記スリットに対応する開口を有した凹所を形成し、上記シールド部材をその下縁が上記卓体の上面に接触するように設けたことを特徴とする請求項7または8記載の卓上用衝立装置。
【請求項10】
上記シールド部材の始端部側の下端部に、上記係止部と被係止部との係合時に上記ベース板が臨み該ベース板の厚さに対応する高さを有した切欠き部を形成したことを特徴とする請求項9記載の卓上用衝立装置。
【請求項11】
上記回転軸に係合部を設け、上記シールド部材の終端部に上記係合部に解除可能に係合する被係合部を設け、上記係合部及び被係合部により上記シールド部材を上記回転軸に対して着脱可能にし、上記カバーを、上記回転軸を露出させて上記シールド部材を上記回転軸から取り外し可能にする開口部を有したカバー本体と、該カバー本体の開口部を開閉する蓋とを備えて構成したことを特徴とする請求項5乃至10何れかに記載の卓上用衝立装置。
【請求項12】
上記開口部を、上記スリットの一方縁を構成する一側開口縁と、該一側開口縁に平行な他側開口縁とを備えて形成し、上記蓋を、上記開口部の一側開口縁及び他側開口縁に平行な一側縁及び他側縁を備えるとともに、該一側縁側を上記開口部の他側開口縁側に回動可能に支持して回動により開閉可能にし、該蓋の閉時に該蓋の他側縁を上記スリットの他方縁を構成するように形成したことを特徴とする請求項11記載の卓上用衝立装置。
【請求項13】
上記係止部及び被係止部の何れか一方をフックで構成し、上記係止部及び被係止部の何れか他方を上記一方が係止する棒状体で構成したことを特徴とする請求項4乃至12何れかに記載の卓上用衝立装置。
【請求項14】
上記基台に、上記シールド部材の被係止部が係止可能な係止部を設け、上記支持スタンドとしても機能可能にし、上記基台を、上記卓体の上面に設置されるベース板と、該ベース板に設けられ上記回転軸を覆う筒状のカバーとを備えて構成し、上記基台に設けられる係止部を上記カバーに設け、該係止部を、平面から見て、上記カバーから所定間隔離間して設けられるとともに上記回転軸の軸線を中心として上記スリットのある部分を除いて少なくとも180°の範囲に亘って延在する棒状体で構成し、上記被係止部を上記棒状体に係止するフックで構成したことを特徴とする請求項13記載の卓上用衝立装置。
【請求項15】
上記係止部及び被係止部の何れか一方をマグネットで構成し、上記係止部及び被係止部の何れか他方を上記一方が磁着する磁着体で構成したことを特徴とする請求項4乃至12何れかに記載の卓上用衝立装置。
【請求項16】
上記基台に、上記シールド部材の被係止部が係止可能な係止部を設け、上記支持スタンドとしても機能可能にし、上記基台を、上記卓体の上面に設置されるベース板と、該ベース板に設けられ上記回転軸を覆う筒状のカバーとを備えて構成し、上記カバーをマグネットが磁着する磁着体で構成し、上記基台に設けられる係止部を該カバーで構成し、上記被係止部をマグネットで構成したことを特徴とする請求項15記載の卓上用衝立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机やテーブル等の卓体に設置される卓上用衝立装置に係り、特に、会議等で会話をする際に人の吐く息や唾の飛沫を遮断するようにしてウイルスや細菌等の病原体からの感染を防護する卓上用衝立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の卓上用衝立装置としては、例えば、実用新案登録第3152493号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。図13に示すように、この卓上用衝立装置Kaは、机やテーブル等の卓体Tの上面Taに設置される基台100と、この基台100に着脱可能に設けられ卓体T上の空間を仕切る透明なシールド部材101とを備えている。シールド部材101は、アクリル等の樹脂で形成された透明な板材で構成されている。これにより、卓体Tに着いて会議などで会話をする際に、シールド部材101を挟んで会話をするようにし、このシールド部材101によって吐く息や唾の飛沫を遮断するようにして、ウイルスや細菌等の病原体からの感染を防護するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3152493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来の卓上用衝立装置Kaにあっては、シールド部材101は板材なので、水平方向の長さが限られており、長さ調整することができないことから、卓体Tの大きさや卓体Tに着く人数等の周囲条件に対応させにくく、汎用性に劣り、防護性にも劣るという問題があった。この場合、シールド部材101を複数並べることもできるが、卓体Tからはみ出る場合には実質的に設置できないこともある。また、シールド部材101を基台100に対して着脱可能にしているが、シールド部材101は板材なので、搬送や収納の際に、コンパクトにすることができないという問題もある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みて為されたもので、卓上の空間を仕切るシールド部材の長さを調整できるようにして、卓体の大きさや卓体に着く人数等の周囲条件に対応させ易くし、汎用性の向上を図るとともに、防護性の向上を図った卓上用衝立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明の卓上用衝立装置は、卓体の上面に設置され該卓体上の空間を仕切る透明なシールド部材を備えた卓上用衝立装置において、
上記シールド部材を、透明な樹脂製の可撓性シート材料で形成し、上記卓体に設置される基台を備え、該基台に軸線を垂直にして回転可能に支持される回転軸を設け、該回転軸に上記シールド部材を繰り出し及び巻き取り可能に巻回するとともに、上記シールド部材の始端部に、該シールド部材が上記回転軸から繰り出された際に上記卓体に設置される支持スタンドの係止部に係止されて該シールド部材を上記回転軸と支持スタンドとの間に張設する被係止部を設けた構成としている。
【0007】
この卓上用衝立装置を使用するときは、本装置と支持スタンドとを用意し、本装置と支持スタンドとを、所要の間隔で卓体の上面に設置し、本装置の回転軸からシールド部材を繰り出し、シールド部材の被係止部を支持スタンドの係止部に係止する。また、卓体が大きかったり卓体が複数ある場合、あるいは、人の着座位置の関係等で、一台の卓上用衝立装置では足らないときは、卓上用衝立装置の数を増して設置することができる。支持スタンドも適宜数用意する。この場合、シールド部材は可撓性シート材料で形成され、回転軸に巻回されているので、その繰り出し量を調整することができ、そのため、本装置と支持スタンドとの間隔を調整して、卓上の空間を仕切るシールド部材の長さを調整することができ、従来に比較して汎用性を向上させることができる。
【0008】
これにより、シールド部材が回転軸と支持スタンドとの間に張設される。そして、このシールド部材を繰り出して張設した状態で、卓体に着いて会議などで会話をする。この際には、シールド部材を挟んで会話をすることになるので、このシールド部材によって吐く息や唾の飛沫が遮断されるようになり、ウイルスや細菌等の病原体からの感染が防護されるようになる。この場合、シールド部材は、卓体の大きさや卓体に着く人数等の周囲条件に対応させて張設されているので、防護範囲を確実にカバーできるようになり、従来に比較して防護性を向上させることができる。
【0009】
また、本装置を使用しないときには、シールド部材の被係止部を支持スタンドの係止部から外し、シールド部材を回転軸に巻き取る。この場合、シールド部材は回転軸に巻回されて棒状になるので、極めてコンパクトになり、そのため、搬送や収納を容易にすることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記回転軸に係合部を設け、上記シールド部材の終端部に上記係合部に解除可能に係合する被係合部を設け、上記係合部及び被係合部により上記シールド部材を上記回転軸に対して着脱可能にした構成としている。
これにより、係合部及び被係合部の係合及び係合解除によりシールド部材を回転軸に対して着脱できるので、取付け取外しが容易になり、この点でも汎用性を向上させることができる。特に、シールド部材が使用により汚れてきた場合には、その交換を容易に行うことができ、交換により可能な限りシールド部材を清潔なものにしておくことができるので、衛生面で極めて好ましいものになる。
【0011】
そしてまた、必要に応じ、上記回転軸を回転させて該回転軸に上記シールド部材を巻き取る回転駆動部を設けた構成としている。回転駆動部は、手動及び/または自動で巻き取ることことができるように構成することができる。これにより、巻き取りが容易になり、操作性を向上させることができる。
【0012】
また、必要に応じ、上記基台に、上記シールド部材の被係止部が係止可能な係止部を設け、上記支持スタンドとしても機能可能にした構成としている。これにより、専用の支持スタンドを別途設けなくても本装置自体を支持スタンドとして用いることができる。そのため、本装置を複数用いて、これら間にシールド部材を張設することができ、汎用性をより一層向上させることができる。
【0013】
更に、必要に応じ、上記基台を、上記卓体の上面に設置されるベース板と、該ベース板に設けられ上記回転軸を覆う筒状のカバーとを備えて構成し、該カバーに、一方縁及びこれに平行な他方縁を有して開放し上記シールド部材が通過可能なスリットを設けた構成としている。回転軸をカバーで覆うので、回転軸及びこれに巻回されるシールド部材を保護できるとともに、外観品質を向上させることができる。
【0014】
この場合、上記スリットの一方縁及び他方縁間の幅をEとし、上記回転軸の軸線からの半径をRJ、上記回転軸に上記シールド部材が全部巻回されたときの上記軸線からシールド部材の外周までの半径をRSとしたとき、E≒RS−RJとし、平面から見て、上記回転軸の軸線を通る中心線と上記スリットの中心を通り上記中心線に平行な平行線との距離をMとしたとき、M≒RJ+0.5(RS−RJ)に設定し、上記スリットを、その中心が上記中心線から上記距離Mだけ離間した位置に形成したことが有効である。(RS−RJ)はシールド部材が回転軸に全部巻回されたときの厚さに相当し、スリットの幅Eをこの厚さに対応して設定した。
【0015】
これにより、スリットの幅Eを、シールド部材が回転軸に全部巻回されたときの厚さに相当する寸法(RS−RJ)に定めるとともに、スリットの中心位置を中心線から距離Mだけ離間した位置に定めたので、回転軸に巻回されたシールド部材がその略接線方向に沿って繰り出されるようになり、スリットの開口との摩擦抵抗が極めて少なくなり、繰り出しを円滑に行うことができる。即ち、スリットの中心を回転軸の軸線を通る中心線上に設けた場合には、カバー内部でシールド部材が外周からスリットに向けて傾斜し、スリットの開口部分で折曲されてしまうので摩擦抵抗が大きくなることがあるが、この構成では、抵抗を極めて小さくすることができ、繰り出しを円滑に行うことができる。
【0016】
また、必要に応じ、上記カバーの上部に、上記回転軸を回転自在に軸支する軸受部を設け、該回転軸の上端に、上記軸受部の上面に摺動可能に支承され該回転軸を吊下支持する支承部材を設けた構成としている。回転軸を支承部材に吊下支持して回転させるので、回転軸の回転を円滑に行わせることができる。
【0017】
この場合、必要に応じ、上記回転軸を回転させて該回転軸に上記シールド部材を巻き取る回転駆動部を設け、上記支承部材を、手で回転させて上記回転軸を回転させる回転駆動部として構成している。回転駆動部を支承部材で構成するので、回転駆動部を簡易な構造で構成することができる。
【0018】
そしてまた、必要に応じ、上記ベース板に、上記シールド部材の下縁が臨み上記スリットに対応する開口を有した凹所を形成し、上記シールド部材をその下縁が上記卓体の上面に接触するように設けた構成としている。これにより、シールド部材が繰り出されて卓体上の空間を仕切った際、シールド部材の下縁が卓体の上面に接触するので、隙間がなくなり、そのため、シールド部材の下縁の下から吐く息や唾の飛沫が侵入しにくくなり、より一層防護性を向上させることができる。
【0019】
この場合、上記シールド部材の始端部側の下端部に、上記係止部と被係止部との係合時に上記ベース板が臨み該ベース板の厚さに対応する高さを有した切欠き部を形成したことが有効である。本装置を支持スタンドとして機能させた際、シールド部材の始端部の被係止部を係止部に係止させると、シールド部材の切欠き部がベース板に臨むので、シールド部材の下縁がベース板に乗り上げることがなく、シールド部材のベース板に対する緩衝を回避することができ、それだけ、シールド部材の下縁の下に隙間が形成される事態が防止され、より一層防護性を向上させることができる。
【0020】
また、必要に応じ、上記回転軸に係合部を設け、上記シールド部材の終端部に上記係合部に解除可能に係合する被係合部を設け、上記係合部及び被係合部により上記シールド部材を上記回転軸に対して着脱可能にし、上記カバーを、上記回転軸を露出させて上記シールド部材を上記回転軸から取り外し可能にする開口部を有したカバー本体と、該カバー本体の開口部を開閉する蓋とを備えて構成している。
【0021】
これにより、シールド部材を回転軸に取付け取外しを行うときは、カバー本体の蓋を開けて行う。この場合、被係合部の係合及び係合解除によりシールド部材を回転軸に対して着脱できるので、取付け取外しが容易になり、この点でも汎用性を向上させることができる。特に、シールド部材が使用により汚れてきた場合には、その交換を容易に行うことができ、交換により可能な限りシールド部材を清潔なものにしておくことができるので、衛生面で極めて好ましいものになる。
【0022】
この場合、上記開口部を、上記スリットの一方縁を構成する一側開口縁と、該一側開口縁に平行な他側開口縁とを備えて形成し、上記蓋を、上記開口部の一側開口縁及び他側開口縁に平行な一側縁及び他側縁を備えるとともに、該一側縁側を上記開口部の他側開口縁側に回動可能に支持して回動により開閉可能にし、該蓋の閉時に該蓋の他側縁を上記スリットの他方縁を構成するように形成した構成としている。
これにより、蓋の他側縁をスリットの他方縁を構成するように形成したので、蓋を開けるときには、手をスリットに差し込んで行うことができ、蓋を開けやすくすることができる。また、蓋の他側縁とスリットの他方縁とを兼用したので、スリットを形成しやすくすることができる。
【0023】
また、必要に応じ、上記係止部及び被係止部の何れか一方をフックで構成し、上記係止部及び被係止部の何れか他方を上記一方が係止する棒状体で構成した構成としている。係止部及び被係止部の構造を簡単にすることができる。
【0024】
この場合、上記基台に、上記シールド部材の被係止部が係止可能な係止部を設け、上記支持スタンドとしても機能可能にし、上記基台を、上記卓体の上面に設置されるベース板と、該ベース板に設けられ上記回転軸を覆う筒状のカバーとを備えて構成し、上記基台に設けられる係止部を上記カバーに設け、該係止部を、平面から見て、上記カバーから所定間隔離間して設けられるとともに上記回転軸の軸線を中心として上記スリットのある部分を除いて少なくとも180°の範囲に亘って延在する棒状体で構成し、上記被係止部を上記棒状体に係止するフックで構成したことが有効である。本装置を複数用いて、これら間にシールド部材を張設する際、1つの装置の係止部としての棒状体に対して、スリットのある部分を除いて少なくとも180°の範囲に亘って他の1つ若しくは複数の装置からのシールド部材の被係止部としてのフックを係止することができ、そのため、多様に装置を設置できることから、汎用性をより一層向上させることができる。
【0025】
また、必要に応じ、上記係止部及び被係止部の何れか一方をマグネットで構成し、上記係止部及び被係止部の何れか他方を上記一方が磁着する磁着体で構成している。係止部及び被係止部の構造を簡単にすることができる。
【0026】
この場合、上記基台に、上記シールド部材の被係止部が係止可能な係止部を設け、上記支持スタンドとしても機能可能にし、上記基台を、上記卓体の上面に設置されるベース板と、該ベース板に設けられ上記回転軸を覆う筒状のカバーとを備えて構成し、上記カバーをマグネットが磁着する磁着体で構成し、上記基台に設けられる係止部を該カバーで構成し、上記被係止部をマグネットで構成したことが有効である。本装置を複数用いて、これら間にシールド部材を張設する際、1つの装置の係止部としての磁着体からなるカバーに対して、あらゆる角度の範囲に亘って他の1つ若しくは複数の装置からのシールド部材の被係止部としてのマグネットを磁着により係止することができ、そのため、多様に装置を設置できることから、汎用性をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明の卓上用衝立装置によれば、卓上の空間を仕切るシールド部材の長さを調整できるので、卓体の大きさや卓体に着く人数等の周囲条件に対応させ易くなり、そのため、汎用性の向上を図ることができるとともに、防護性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を示す別の斜視図であり、その要部拡大斜視図とともに示す。
図3】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置において、シールド部材の回転軸に対する取付け状態を示す要部拡大端面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を示す正面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を示す側面断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を示す拡大横断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を示す図6中A−A線要部断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を卓体に設置した一例を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置を、これと共に使用することのできる専用の支持スタンドの一例とともに示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係り、係止部及び被係止部の別の例を適用した卓上用衝立装置を示す斜視図である。
図11】本発明の実施の形態に係り、係止部及び被係止部の別の例を適用した卓上用衝立装置を、これと共に使用することのできる専用の支持スタンドの一例とともに示す斜視図である。
図12】本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置において、回転駆動部の別の例を示す図である。
図13】従来の卓上用衝立装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置について詳細に説明する。
図1乃至図8に示すように、本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置Kは、卓体Tの上面Taに設置され、卓体T上の空間を仕切る透明なシールド部材Sを備えている。シールド部材Sは、透明な樹脂製の可撓性シート材料で形成されている。シールド部材Sを形成するシート材料の材質は、透明で可撓性を有する材質のものであれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリメタクリル酸メチル,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリスチレン,ポリイミド,ポリアミド,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリビニルアルコール,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,トリアセチルセルロース,ポリウレタン,シクロオレフィンポリマー等を挙げることができる。これらが2種以上含まれていても良い。また、2種以上を積層して用いることもできる。
【0030】
シールド部材Sは、矩形状に形成されている。シールド部材Sにおいては、図2及び図3に示すように、例えば、厚さTが、0.1mm≦T≦2.0mm、高さHが、300mm≦H≦1200mm、長さLが、500mm≦L≦1500mmに設定されている。実施の形態では、T=0.3mm、H=650mm、L=1000mmに設定している。寸法はこれに限定されない。
【0031】
本発明の実施の形態に係る卓上用衝立装置Kは、卓体Tに設置される基台1を備えている。基台1には、軸線Pを垂直にして回転可能に支持される回転軸2が設けられている。回転軸2は中実の棒やパイプで形成することができる。この回転軸2に、上記のシールド部材Sが繰り出し及び巻き取り可能に巻回されている。また、シールド部材Sの始端部Saには、シールド部材Sが回転軸2から繰り出された際に卓体Tに設置される支持スタンドFの係止部3に係止されてこのシールド部材Sを回転軸2と支持スタンドFとの間に張設する被係止部4が設けられている。
【0032】
基台1には、シールド部材Sの被係止部4が係止可能な係止部3が設けられており、本装置Kは、支持スタンドFとしても機能可能に構成されている。これにより、専用の支持スタンドFを別途設けなくても本装置K自体を支持スタンドFとして用いることができる。そのため、本装置Kを複数用いて、これら間にシールド部材Sを張設することができ、汎用性をより一層向上させることができる。専用の支持スタンドFを別途設ける点については、後述する。
【0033】
詳しくは、図2及び図3に示すように、回転軸2には、係合部5が設けられ、シールド部材Sの終端部Sbには、係合部5に解除可能に係合する被係合部6が設けられており、この係合部5及び被係合部6により、シールド部材Sは、回転軸2に対して着脱可能になっている。係合部5は、回転軸2の周方向に沿う板状のバネ部材で構成されており、一端部が回転軸2にビス9で固定され他端側が外側に山形に突出して内側に凹部7を有して形成されている。係合部5は、回転軸2にその軸方向に沿って所定間隔で複数設けられている。一方、被係合部6は、例えばプラスチックで形成され、先端に断面山形の凸条8を有してシールド部材Sの終端部Sbに沿って設けられている。被係合部6の凸条8は、係合部5の弾性力に抗して係合部5と回転軸2との間に挿入されて凹部7に係合させられるとともに、係合部5の弾性力により回転軸2に押え付けられて回転軸2に取付けられる。
【0034】
基台1は、卓体Tの上面Taに設置されるベース板10と、このベース板10に設けられ回転軸2を覆う筒状のカバー11とを備えて構成されている。回転軸2をカバー11で覆うので、回転軸2及びこれに巻回されるシールド部材Sを保護できるとともに、外観品質を向上させることができる。
【0035】
カバー11は、断面略矩形状の筒状に形成されており、図2及び図6に示すように、1つの面に、一方縁12a及びこれに平行な他方縁12bを有して開放しシールド部材Sが通過可能なスリット12が上下方向に亘って設けられている。カバー11は、回転軸2を露出させてシールド部材Sを回転軸2から取り外し可能にする開口部13を有したカバー本体14と、このカバー本体14の開口部13を開閉する蓋15とを備えて構成されている。開口部13は、スリット12が設けられる面に形成されており、スリット12の一方縁12aを構成する一側開口縁13aと、一側開口縁13aに平行な他側開口縁13bとを備えて形成されている。
【0036】
蓋15は、矩形板状に形成され、開口部13の一側開口縁13a及び他側開口縁13bに平行な一側縁15a及び他側縁15bを備えるとともに、一側縁15a側を開口部13の他側開口縁13b側に複数の蝶番16を介して回動可能に支持されてこの回動により開閉可能になっている。そして、この蓋15は、その閉時に、蓋15の他側縁15bがスリット12の他方縁12bを構成するように形成されている。これにより、蓋15の他側縁15bとスリット12の他方縁12bとを兼用したので、スリット12を形成しやすくすることができる。
【0037】
図6に示すように、スリット12の一方縁12a及び他方縁12b間の幅をEとし、回転軸2の軸線Pからの半径をRJ、回転軸2にシールド部材Sが全部巻回されたときの軸線Pからシールド部材Sの外周までの半径をRSとしたとき、E≒RS−RJとし、平面から見て、上記の1つの面に直交し回転軸2の軸線Pを通る中心線Q1とスリット12の中心を通り中心線Q1に平行な平行線Q2との距離をMとしたとき、M≒RJ+0.5(RS−RJ)に設定し、スリット12は、その中心が中心線Q1から距離Mだけ離間した位置に形成されている。(RS−RJ)はシールド部材Sが回転軸2に全部巻回されたときの厚さに相当する。
【0038】
カバー11の上部には、回転軸2を軸支する軸受孔21を有したブロック状の軸受部20が設けられている。この回転軸2の上端には、軸受部20の上面に摺動可能に支承され回転軸2を吊下支持する支承部材22が設けられている。支承部材22は回転軸2と同軸の円柱状に形成されており、回転軸2はビスによって支承部材22に固定されている。
【0039】
本装置Kには、回転軸2を回転させて回転軸2にシールド部材Sを巻き取る手動の回転駆動部23が設けられている。実施の形態では、上記の支承部材22が、手で回転させられて回転軸2を回転させる回転駆動部23として構成されている。回転駆動部23を簡易な構造で構成することができる。
【0040】
また、ベース板10には、シールド部材Sの下縁Scが臨みスリット12に対応する開口24を有した凹所25が形成されている。凹所25はベース板10を上下に貫通して形成されている。凹所25の開口24はスリット12に対応した位置にあってスリット12の幅と同じ幅に形成されている。図5乃至図7に示すように、回転軸2の下端2aはこの凹所25に臨んで卓体Tの上面Taに接触可能になっており、シールド部材Sは、その下縁Scが卓体Tの上面Taに接触するように回転軸2に設けられている。
【0041】
更に、シールド部材Sの始端部Sa側の下端部には、係止部3と被係止部4との係合時にベース板10が臨みベース板10の厚さに対応する高さを有した切欠き部26が形成されている。
【0042】
更にまた、本装置Kにおいて、係止部3及び被係止部4の何れか一方は、フック30で構成され、係止部3及び被係止部4の何れか他方は、一方のフック30が係止する棒状体31で構成されている。係止部3及び被係止部4の構造を簡単にすることができる。詳しくは、係止部3は棒状体31で形成されている。図6及び図7に示すように、棒状体31は、カバー11に設けられており、この棒状体31は、平面から見て、カバー11から所定間隔離間して設けられるとともに回転軸2の軸線Pを中心としてスリット12のある部分を除いて少なくとも180°の角度θの範囲に亘って延在している。棒状体31はカバー11のスリット12のある面以外の3つの面に跨ってカバー11の上下に夫々配置されるとともに、両端を折曲した取付け部を介してカバー11に取付けられている。実施の形態では、θ=210°に設定している。
【0043】
被係止部4は、棒状体31に係止するフック30で構成されている。シールド部材Sの始端部Saには、始端縁に沿って金属製の板状の端末部材32が付設されており、フック30は棒状体31に対応させて端末部材32の上下に夫々設けられている。
【0044】
従って、本卓上用衝立装置Kを用いて、卓体Tの上面Taを仕切るときには、以下のようにする。図8に示すように、今、同じ大きさの矩形の卓体Tを4つ連設し、各卓体Tの境目に沿って十字状に仕切る場合について説明する。この場合、卓体Tが複数あって大きくなり、仕切り方も十字状に仕切るので、一台の卓上用衝立装置Kでは足らないことから、卓上用衝立装置Kを増して設置する。この例では、本装置Kを5つ用意し、中心に1つを設置し、この中心の本装置Kに対して等角度で他の装置を所要間隔で設置する。この場合、中心の本装置Kは支持スタンドFとしても機能する。周囲のいずれか1つの装置(図8では手前の装置)は支持スタンドFとしてのみ機能する。支持スタンドFとして機能させる装置は、適宜に定めてよい。本装置Kのスリット12のある面を、支持スタンドFとして機能させる装置に向けて設置する。
【0045】
そして、本装置Kの始端部Saの端末部材32を持ってシールド部材Sを引っ張って回転軸2からシールド部材Sを繰り出し、シールド部材Sの被係止部4を支持スタンドFとして機能する本装置Kの係止部3に係止する。この場合、シールド部材Sは可撓性シート材料で形成され、回転軸2に巻回されているので、その繰り出し量を調整することができ、そのため、本装置Kと支持スタンドFして機能する本装置Kとの間隔を調整して、卓上の空間を仕切るシールド部材Sの長さを調整することができ、従来に比較して汎用性を向上させることができる。
【0046】
このシールド部材Sの繰り出しにあたっては、ベース板10には、シールド部材Sの下縁Scが臨みスリット12に対応する開口24を有した凹所25が形成されているので、シールド部材Sは、その下縁Scを卓体Tの上面Taに接触させながら繰り出されていく。この場合、回転軸2は支承部材22に吊下支持されて回転するので、回転軸2の回転を円滑に行わせることができ、シールド部材Sの繰り出しを円滑に行わせることができる。
【0047】
また、図6に示すように、スリット12の幅Eを、シールド部材Sが回転軸2に全部巻回されたときの厚さに相当する寸法(RS−RJ)に定めるとともに、スリット12の中心位置を中心線Q1から距離Mだけ離間した位置に定めたので、回転軸2に巻回されたシールド部材Sがその略接線方向に沿って繰り出されるようになり、スリット12の開口との摩擦抵抗が極めて少なくなり、繰り出しを円滑に行うことができる。即ち、スリット12の中心を回転軸2の軸線Pを通る中心線Q1上に設けた場合には、カバー11内部でシールド部材Sが外周からスリット12に向けて傾斜し、スリット12の開口部分で折曲されてしまうので摩擦抵抗が大きくなることがあるが、この構成では、抵抗を極めて小さくすることができ、繰り出しを円滑に行うことができる。
【0048】
更に、係止部3としての棒状体31は、平面から見て回転軸2の軸線Pを中心としてスリット12のある部分を除いて少なくとも180°の角度θの範囲に亘って延在しているので、中心にある1つの装置の係止部3としての棒状体31に対して、他の複数の装置(図8の例では3つの装置)からのシールド部材Sの被係止部4としてのフック30を係止することができ、そのため、装置の設定を多様に対応することができる。また、フック30を棒状体31に引っ掛けて係止するので、係止が容易で確実になる。
【0049】
更にまた、シールド部材Sの被係止部4を係止部3に係止した際には、シールド部材Sの切欠き部26がベース板10に臨むので、シールド部材Sの下縁Scがベース板10に乗り上げることがなく、シールド部材Sのベース板10に対する緩衝を回避することができる。
【0050】
これにより、シールド部材Sが回転軸2と支持スタンドFとの間に張設される。そして、このシールド部材Sを繰り出して張設した状態で、卓体Tに着いて会議などで会話をする。この際には、シールド部材Sを挟んで会話をすることになるので、このシールド部材Sによって吐く息や唾の飛沫が遮断されるようになり、ウイルスや細菌等の病原体からの感染が防護されるようになる。この場合、シールド部材Sは、卓体Tの大きさや卓体Tに着く人数等の周囲条件に対応させて張設されているので、防護範囲を確実にカバーできるようになり、従来に比較して防護性を向上させることができる。
【0051】
特に、シールド部材Sが繰り出されて卓体T上の空間を仕切った際、シールド部材Sの下縁Scが卓体Tの上面Taに接触するので、隙間がなくなり、そのため、シールド部材Sの下縁Scの下から吐く息や唾の飛沫が侵入しにくくなり、より一層防護性を向上させることができる。また、シールド部材Sの切欠き部26がベース板10に臨むので、シールド部材Sの下縁Scがベース板10に乗り上げることがなく、シールド部材Sのベース板10に対する緩衝を回避することができ、それだけ、シールド部材Sの下縁Scの下に隙間が形成される事態が防止され、この点でも、より一層防護性を向上させることができる。
【0052】
また、本装置Kにおいては、シールド部材Sを交換することができる。交換する際には、図2及び図3に示すように、先ず、蓋15を開ける。この場合、手をスリット12に差し込んで行うことができ、蓋15を開けやすくすることができる。次に、蓋15を開けた状態でシールド部材Sを全部繰り出し、シールド部材Sの被係合部6を回動軸2の係合部5から引き抜いて取外す。それから、別に用意したシールド部材Sを展開し、その被係合部6を係合部5と回転軸2との間に押し込む。これにより、係合部5が弾性変形して開き、被係合部6の凸条8が係合部5の凹部7に係合するとともに、係合部5の弾性力により回転軸2に押さえ込まれる。それから、回転駆動部23によりシールド部材Sを回転軸2に巻取り、再び、蓋15を閉じる。
【0053】
この場合、係合部5及び被係合部6の係合及び係合解除によりシールド部材Sを回転軸2に対して着脱できるので、取付け取外しが容易になり、この点でも汎用性を向上させることができる。特に、シールド部材Sが使用により汚れてきた場合には、その交換を容易に行うことができ、交換により可能な限りシールド部材Sを清潔なものにしておくことができるので、衛生面で極めて好ましいものになる。
【0054】
本装置Kを使用しないときには、シールド部材Sの被係止部4を支持スタンドFの係止部3から外し、シールド部材Sを回転軸2に巻き取る。この場合、回転駆動部23である支承部材22を、手で回転させる。支承部材22を回転させるだけなので操作が容易であり、操作性も良い。回転駆動部23を簡易な構造で構成することができる。そして、シールド部材Sを巻き取った状態では、シールド部材Sは回転軸2に巻回されて棒状になるので、極めてコンパクトになり、そのため、搬送や収納を容易にすることができる。
【0055】
次に、図9に示すように、専用の支持スタンドF(50)を用いる場合について説明する。この支持スタンドF(50)は、本装置Kのベース板10と同様のベース台板51と、このベース台板51に立設される支柱52とを備えて構成されている。そして、この支柱52に係止部3を設けている。係止部3は、上記と同様の棒状体31で構成され、この棒状体31は、支柱52の全周に亘って延設され、フック30に対応させて支柱52の上下に夫々設けられている。上記の設置例では、中心の本装置Kの周囲のいずれか1つの装置(図8では手前の装置)を支持スタンドFとしてのみ機能させたが、これに代わって、この支持スタンドF(50)を用意して使用することができる。
【0056】
図10には、係止部3及び被係止部4の別の例を示す。これは、係止部3及び被係止部4の何れか一方をマグネット60で構成し、係止部3及び被係止部4の何れか他方を一方のマグネット60が磁着する磁着体61で構成している。係止部3及び被係止部4の構造を簡単にすることができる。詳しくは、基台1のカバー11をマグネット60が磁着する例えば鉄などの金属からなる磁着体61で構成し、係止部3をこのカバー11で構成している。一方、被係止部4は、マグネット60で構成し、シールド部材Sの端末部材32に複数設けている。
【0057】
これにより、本装置Kを複数用いて、これら間にシールド部材Sを張設する際、1つの装置の係止部3としての磁着体61からなるカバー11に対して、あらゆる角度の範囲に亘って他の1つ若しくは複数の装置からのシールド部材Sの被係止部4としてのマグネット60を磁着により係止することができ、そのため、多様に装置を設置できることから、汎用性をより一層向上させることができる。
【0058】
また、図11には、被係止部4をマグネット60で構成した場合の専用の支持スタンドF(70)の例を示している。この支持スタンドF(70)は、本装置Kのベース板10と同様のベース台板71と、このベース台板71に立設される支柱72とを備えて構成されている。そして、この支柱72は、マグネット60が磁着する例えば鉄などの金属からなる磁着体73で構成されており、全体が係止部3として構成されている。この支持スタンドF(70)も適宜用意して使用することができる。
【0059】
図12には、回転駆動部の別の例を示す。この回転駆動部80は、例えば、窓のブラインドとしてのロールシャッター等に用いられる所謂プルコード式と言われる周知の機構であり、パイプで形成された回転軸2内にシールド部材Sの巻き取り方向へ常時付勢するスプリング81と、シールド部材Sをその繰り出し方向へ引っ張ることによりスプリング81の付勢力に抗して回転軸2の回転を許容するとともにこの回転軸2をシールド部材Sが繰り出された所望の回転位置で停止及び停止解除可能にするクラッチ機構82とを備えて構成されている。自動的に、シールド部材Sを巻き取ることができるので、操作性を向上させることができる。
【0060】
尚、上記実施の形態では、本装置Kの使用例として、本装置Kを5つ用いて卓上の空間を十字形に仕切る場合(図8)で説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、1つの卓体Tに本装置Kを2つ用いて仕切り、あるいは、本装置Kを3つ用いて仕切る等、卓体Tの大きさや卓体Tに着く人数等の周囲条件に対応させて適宜数設置してよく、適宜変更して差支えない。また、本装置Kの各部の形状や大きさは上述したものに限定されない。例えば、ベース板10を円形にし、カバー11を円筒状に形成するなど、適宜変更して差支えない。当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
K 卓上用衝立装置
F 支持スタンド
T 卓体
Ta 上面
S シールド部材
Sa 始端部
Sb 終端部
Sc 下縁
1 基台
2 回転軸
2a 下端
3 係止部
4 支持スタンド
5 係合部
6 被係合部
7 凹部
8 凸条
10 ベース板
11 カバー
12 スリット
12a 一方縁
12b 他方縁
13 開口部
13a 一側開口縁
13b 他側開口縁
14 カバー本体
15 蓋
15a 一側縁
15b 他側縁
16 蝶番
20 軸受部
21 軸受孔
22 支承部材
23 回転駆動部
24 開口
25 凹所
26 切欠き部
30 フック(被係止部)
31 棒状体(係止部)
32 端末部材
50 専用の支持スタンド(F)
51 ベース台板
52 支柱
60 マグネット(被係止部)
61 磁着体(係止部)
70 専用の支持スタンド(F)
71 ベース台板
72 支柱
73 磁着体(係止部)
80 回転駆動部
81 スプリング
82 クラッチ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13