【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した従来の手法と技術についての課題を考えたとき、本発明者は現行の泥水処理システムの不十分さを感じ、心を込めて研究開発を行った。そして、この産業に長年従事した経験により、逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法を発明するに至った。これにより、長時間濾過効率の維持、濾過材メンテナンス回数の減少、省エネルギー化、メンテナンス作業の簡素化、コスト減少を実現し、また泥を簡単に処理するという目的を達成したのである。
【0006】
本発明の主要目的は前述の課題を解決することができる逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法を提供することである。この逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムでは、主に泥水を泥水濾過タンクに通す際に、軽質濾過砂を用いて、泥水を不純物沈殿方向と逆方向に流し、不純物が濾過材に沈殿することを回避する。これにより、長時間濾過効率の維持、濾過材メンテナンス回数の減少、省エネルギー化、メンテナンス作業の簡素化、コストの減少を図り、さらに泥を簡単に処理することができる。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者は逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを提供する。本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムは、泥水を濾過し、浄水にする目的で使用されるものであって、以下を含む。:
一つの泥水濾過タンク。この泥水濾過タンクはその内部が泥水濾過室となる密閉容器である。泥水濾過タンクの中央より下の所定箇所には泥水を泥水濾過室に供給するための一つの泥水給水管が設けられている。泥水濾過タンクの中央より上の所定箇所には泥水を濾過して得られた浄水を泥水濾過室から外部に排出するための一つの浄水排水管が設けられている。;
多量の軽質濾過砂。多量の軽質濾過砂は泥水濾過室に入れられ、泥水を泥水濾過室に供給したときに水の浮力を利用して泥水濾過室内で浮かべられ上方に集められる。ここで、泥水濾過室に入れられる軽質濾過砂の量は、泥水を泥水濾過タンク内に供給したときに軽質濾過砂の最下部が浄水排水管よりも下に位置するようになる量である。本発明では、軽質濾過砂を泥水に浮かべ(フローティング)、泥水を不純物沈殿方向と逆方向(下から上)に流して軽質濾過砂の中に通すことにより、泥水濾過処理が行われる。;
一つの濾過砂洗浄タンク。この濾過砂洗浄タンクは給砂管を介して泥水濾過タンクの上部に繋がり、濾過砂洗浄タンクの底部は排砂管を介して泥水濾過タンクに繋がる。濾過砂洗浄タンクは軽質濾過砂をサイクル洗浄するために使われる。給砂管は泥水濾過室内の軽質濾過砂を泥水濾過室から濾過砂洗浄タンクに供給するためのものであり、排砂管は濾過砂洗浄タンクで洗浄された軽質濾過砂を濾過砂洗浄タンクから泥水濾過室に排出するためのものである。;
一つの逆洗ノズル部。この逆洗ノズル部は、泥水濾過室内の上部であって浄水排水管よりも上側の位置に配置される。逆洗ノズル部を通じて外部から逆洗用の水を泥水濾過室に注入し、この逆洗用水の流れによって軽質濾過砂に付着した汚れを落とすと共に、その逆洗用水の水圧を利用して軽質濾過砂を給砂管を介して濾過砂洗浄タンクに移動させる。;
一つの泥排出装置。この泥排出装置は泥水濾過タンクの底部に設置され、泥水濾過室に繋がっている。泥排出装置は泥水の濾過処理時に発生した泥の排出に使われる装置である。
【0008】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、軽質濾過砂は水より比重が小さい濾過顆粒である。
【0009】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、システムの自動制御を可能にするため、各管に電動のバルブを設けるようにしてもよい。この場合、具体的に、泥水給水管には泥水の流入を調整する第一バルブが設置される。浄水排水管には浄水の流出を調整する第二バルブが設置される。給砂管には軽質濾過砂の流入を調整する第三バルブが設置される。排砂管には軽質濾過砂の流出を調整する第四バルブが設置される。そして、逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水給水管には逆洗用水の流入を調整する第五バルブが設置される。
【0010】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、泥水濾過室内に引き込まれた浄水排水管の管壁には、浄水だけを通し、軽質砂の侵入を防止する多数の孔、例えばメッシュ孔が形成されていることが望ましい。
【0011】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、逆洗ノズル部には、水だけを通し、軽質砂の侵入を防止する多数の孔、例えばメッシュ孔が形成されていることが望ましい。
【0012】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、泥排出装置は以下を含むものであってもよい。すなわち、泥水濾過タンクの底部に設置された、泥水濾過室の底部に蓄積した泥を運び出すための泥運送機と、泥運送機を介して泥水濾過室に繋がる、泥運送機によって運び出された泥を外部に排出するための泥排出管とである。
【0013】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、泥水濾過タンクには泥水濾過室内の泥水の水位を示す水位計が設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、上記の水位計は、泥水濾過室内の泥水の水位を目視できるように泥水濾過タンクの側面に形成された水位目視窓、或いは、泥水濾過室内の泥水が自由に流通できるように泥水濾過タンクに連結された透明水位管であってもよい。
【0015】
前述の目的を達成するために、本発明者は上記の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法を提供する。本発明の泥水処理方法は、軽質濾過砂を利用して泥水を泥水濾過室で濾過し、浄水に変えて外部に排出する泥水濾過工程と、軽質濾過砂を濾過砂洗浄タンクで洗浄する濾過砂洗浄工程と、泥水濾過室の底部に蓄積された泥を泥排出装置を用いて外部に排出する泥排出工程とを有する。このうち、泥水濾過工程は、泥水濾過処理の手順として以下(a)−(e)に示す手順を含む。
(a)泥水濾過タンクに繋がる浄水排水管のバルブを開け、そして濾過砂洗浄タンクに繋がる給砂管及び排砂管の各バルブを閉め、逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水供給管のバルブを閉め、泥排出装置の排出口を閉める。
(b)泥水濾過タンクに繋がる泥水給水管のバルブを開け、外部の泥水をその泥水給水管を通して泥水濾過タンク内に入れる。
(c)泥水を泥水濾過タンク内に入れ続けることにより、泥水をその水圧で浄水排水管のある上方に流す。
(d)このとき、軽質濾過砂は泥水の浮力によって泥水濾過室の上部に集まり、軽質濾過砂を通して上方に流れる泥水はその軽質濾過砂により濾過されて、その泥水から固体不純物が分離される。その泥水を濾過して得られた浄水は浄水排水管を通して外部に排出される。一方、軽質濾過砂で捕捉された固体不純物が泥水濾過室の底に沈殿し、泥になる。
(e)泥水の濾過処理が終了したときに、泥水給水管及び浄水排水管の各バルブを閉める。
【0016】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法において、濾過砂洗浄工程及び泥排出工程は、以下(f)−(l)に示す手順を含む。
(f)泥水濾過タンクに繋がる泥水給水管と浄水排水管の各バルブを閉め、濾過砂洗浄タンクに繋がる排砂管のバルブを閉める。そして、濾過砂洗浄タンクに繋がる給砂管のバルブを開ける。
(g)逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水用供給管のバルブを開けて逆洗用水を泥水濾過室内に入れる。
(h)こうして逆洗用水の供給を開始した後、引き続き逆洗用水を泥水濾過室内に供給することにより、その逆洗用水で軽質濾過砂を洗浄する。また、逆洗用水の水圧で軽質濾過砂を上に向かって移動させ、給砂管を通して濾過砂洗浄タンクに入れる。
(i)濾過砂洗浄タンクで軽質濾過砂を洗浄する。
(j)濾過砂洗浄タンクに繋がる給砂管のバルブ及び逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水供給管のバルブを閉じ、排砂管のバルブを開ける。
(k)排砂管のバルブを開けた後、泥排出装置を駆動して泥水濾過室の底部に沈殿した泥を排出する。その泥の排出の際、泥水濾過室が負圧状態になることを利用して濾過砂洗浄タンク内の軽質濾過砂を排砂管に通して泥水濾過室に戻す。
(l)こうして泥の排出処理及び軽質濾過砂を泥水濾過室へ戻す処理が終了した後、泥排出装置からの泥の排出を停止すると共に排砂管のバルブを閉める。
【発明の効果】
【0017】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法は、以下(1)−(3)に示す効果を達成できる。
【0018】
(1)本発明では、軽質濾過砂を使用すると共に、逆方向泥水処理構造(すなわち、泥水を下から上に流す構造)を採用し、所定の泥水濾過処理の手順にしたがって泥水を濾過する。すなわち、軽質濾過砂の比重は水の比重より小さいので、軽質濾過砂を泥水濾過タンク内の上部に浮かべて集めることができ、下から上に流れる泥水をその軽質濾過砂で濾過できる。そして、泥水中の固体不純物の比重は水の比重より大きいので、その固体不純物と軽質濾過砂とを確実に分離でき、また固体不純物は自動的に泥水濾過タンク内の底へ沈殿するようになる。このように不純物が濾過材に沈殿するのを回避することができるので、長時間濾過効率の維持、濾過材のメンテナンス回数の減少という効果を達成できる。
【0019】
(2)本発明では、逆洗ノズル部、濾過砂洗浄タンクを設け、所定の濾過砂洗浄処理及び泥排出処理の手順にしたがって軽質濾過砂を洗浄する。すなわち、逆洗ノズル部から噴出する逆洗用水で軽質濾過砂を上方に移動させ、その軽質濾過砂を給砂管を通して濾過砂洗浄タンクに簡単に入れることができる。そして、軽質濾過砂を濾過砂洗浄タンクで洗浄することができる。また、泥排出装置で泥水濾過室の底部に沈殿した泥を排出することにより、泥水濾過室内を負圧状態にすることができる。このため、その負圧を利用すると、濾過砂洗浄タンク内に入っている軽質濾過砂を排砂管を通して自動的に濾過砂洗浄タンクから泥水濾過タンクに取り出すことができるため、軽質濾過砂をポンプ等で送り出す必要がない。これにより、省エネルギー化とメンテナンスコスト減少という効果を達成できる。
【0020】
(3)本発明では、泥排出装置を用いて、泥水濾過室内の底部に沈殿する泥を排出する。これにより、簡単に泥を処理することができるため、メンテナンス作業の簡素化の実現を達成できる。