【課題】溶接ロボットのマニピュレータ先端に支持される溶接トーチに関し、複数の使用条件に対応して当該溶接トーチの位置を調整可能な溶接トーチの位置調整用ゲージを提供する。
【解決手段】本発明の溶接トーチ位置調整用ゲージA1は、溶接ロボットのマニピュレータ9に着脱可能に取り付けられ、マニピュレータ9の先端に支持される溶接トーチ7の位置を調整する。溶接トーチ位置調整用ゲージA1は、y方向(第1方向)に延びる第1ゲージ部1と、第1ゲージ部1に対してy方向に沿って移動可能に支持され、y方向と交差するx方向(第2方向)に延びる第2ゲージ部2と、第1ゲージ部1に対する第2ゲージ部2の移動を阻止するロック機構と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る溶接トーチの位置調整用ゲージが溶接ロボットに取り付けられた一例を示しており、溶接ロボットの全体斜視図である。同図に示す溶接ロボットB1は、たとえば複数のアームからなる多関節型のマニピュレータ9を備え、アーク溶接ロボットである。マニピュレータ9の先端には、アーク溶接用の溶接トーチ7が支持されている。マニピュレータ9が駆動することにより、所定の作業範囲内において溶接トーチ7が上下前後左右に自在に移動できる。
図1に示した溶接ロボットB1は、たとえば協働ロボットである。協働ロボットでは、作業者がロボットに直接触れる機会が多く、たとえばロボットへのティーチング(教示)等はロボットのブレーキを解除した状態で作業者がロボットを直接操作して行う。なお、本発明に係る溶接トーチの位置調整用ゲージが取り付けられる溶接ロボットは、協働ロボットに限定されない。
【0016】
図2および
図3は、本発明に係る溶接トーチの位置調整用ゲージおよびその周辺部分の一例を示している。
本実施形態の溶接トーチ位置調整用ゲージA1は、第1ゲージ部1および第2ゲージ部2を備える。
図1に示すように、溶接トーチ位置調整用ゲージA1は、取付ブラケット3を介してマニピュレータ9の先端に取り付けられる。本実施形態では、取付ブラケット3は、ネジ締結等の適宜手段によって、マニピュレータ9の先端に着脱可能に取り付けられる。
【0017】
本実施形態において、第1ゲージ部1は、上下方向に延びる略円柱状のシャフトである。第1ゲージ部1の上端は、取付ブラケット3の端部にネジ締結により固定される。
【0018】
第2ゲージ部2は、水平方向に延びる略四角柱棒状であり、第1ゲージ部1に支持されている。
図4、
図5に示すように、第2ゲージ部2の長手方向一端部には、上下方向に貫通する略円形の貫通孔21が形成されている。貫通孔21の内径寸法は第1ゲージ部1の外径寸法よりも僅かに大であり、第1ゲージ部1が貫通孔21に挿通されている。第2ゲージ部2は、上下方向に沿ってスライド移動可能である。第1ゲージ部1下端には、取付ネジ14によりプレート13が取り付けられている。プレート13は円板状であり、当該プレート13の外径寸法は、貫通孔21の内径寸法よりも大である。プレート13によって第2ゲージ部2の下方への移動が規制され、第2ゲージ部2の第1ゲージ部1下端からの脱落が防止される。
【0019】
説明の便宜上、第1ゲージ部1が延びる方向(第1方向)である上下方向をy方向とし、第2ゲージ部2が延びる方向(第2方向)である水平方向をx方向とする。x方向はy方向に交差しており、本実施形態において、x方向はy方向に対して直角である。
【0020】
図4、
図5に示すように、本実施形態において、第1ゲージ部1には、キー溝11が形成されている。キー溝11は、第1ゲージ部1の外周の適所に形成された横断面略矩形状の溝であり、第1ゲージ部1のy方向に延びている。キー溝11は、第1ゲージ部1の下端から所定長さ範囲に形成される。
【0021】
また、第2ゲージ部2には、溝22が形成されている。貫通孔21につながっており、y方向に延びている。溝22は、横断面略矩形状であり、第1ゲージ部1のキー溝11に対応している。上記キー溝11および溝22に跨るように、キー23が配置されている。キー23にはネジ孔が形成されており、当該ネジ孔に取付ネジ24が締結される。これにより、キー23は第2ゲージ部2に固定される。そして、第2ゲージ部2は、第1ゲージ部1に対して、キー溝11のy方向における長さに応じた一定範囲を上下スライド可能である。また、キー23がキー溝11および溝22に跨って配置されているため、第2ゲージ部2は、第1ゲージ部1に対してy方向の周りの相対回転が阻止される。
【0022】
図4、
図6に示すように、第1ゲージ部1には、平坦面12が形成されている。平坦面12は、円柱状の第1ゲージ部1が部分的に切除された形状とされている。平坦面12は、y方向に沿って形成されており、キー溝11に対応したy方向の長さ範囲に形成される。また、第2ゲージ部2において第1ゲージ部1の平坦面12に対応する部位には、固定ビス25が取り付けられている。第2ゲージ部2には、平坦面12に臨むネジ孔が形成されており、固定ビス25は、当該ネジ孔に螺合している。この固定ビス25を締め付けて当該固定ビス25の先端を平坦面12に押圧することで、第1ゲージ部1に対する第2ゲージ部2のy方向の移動が阻止される。上記平坦面12および固定ビス25は、本発明のロック機構の一例に相当する。
【0023】
図2等に示すように、第1ゲージ部1には、第1の目盛り16および第1の表示17が付されている。また、第2ゲージ部2には、第2の目盛り26および第2の表示27が付されている。第1および第2の目盛り16,26と第1および第2の表示17,27の詳細については、後述する。
【0024】
図1〜
図3に示すように、マニピュレータ9の先端には、ブラケット5およびトーチ保持ユニット4が設けられている。溶接トーチ7は、ブラケット5およびトーチ保持ユニット4を介してマニピュレータ9の先端に支持されている。
【0025】
ブラケット5は、固定ベース51、スライドベース52、スライド部材53および取付軸54を有する。固定ベース51は、マニピュレータ9の先端に直接固定される部分であり、たとえばネジ締結によってマニピュレータ9の先端に取り付けられている。スライドベース52は固定ベース51に連結されており、y方向に沿って延びている。スライド部材53は、スライドベース52にネジ締結により取り付けられる。スライドベース52には長手方向に沿う長孔が形成されており、スライドベース52に対するスライド部材53のy方向(上下方向)の取り付け位置を調整可能とされている。スライド部材53には、水平方向に延びる取付穴が形成されており、取付軸54は当該取付穴に嵌挿されている。また、スライド部材53には上記取付穴に通じるスリットが形成されており、ネジの締め込みによって上記取付穴を縮径し取付軸54を保持することが可能である。
【0026】
トーチ保持ユニット4は、第1クランプ部41、第2クランプ部42およびクランプレバー43を有する。第1クランプ部41および第2クランプ部42は、互いが近接する状態で溶接トーチ7を挟持する部分である。詳細な図示説明は省略するが、第1クランプ部41および第2クランプ部42は、その端部どうしが回動可能に連結されている。クランプレバー43は、第1クランプ部41および第2クランプ部42を、保持状態と解放状態とに切り替えるものである。上記保持状態は、第1クランプ部41および第2クランプ部42を近接させて溶接トーチ7を挟み持つ状態である。第1クランプ部41および第2クランプ部42を離反させて溶接トーチ7の保持を解放する状態である。
【0027】
また、図示説明は省略するが、第1クランプ部41の端部には貫通孔が形成されており、ブラケット5の取付軸54が当該貫通孔に挿通されている。たとえば取付軸54の端部にはナットが装着され、当該ナットを締め付けると、スライド部材53、取付軸54および第1クランプ部41が一体的に連結される。このような構成により、第1クランプ部41(トーチ保持ユニット4)は、取付軸54の軸線の周りの所定の回動範囲で姿勢変更が可能であり、トーチ保持ユニット4に保持された溶接トーチ7については、取り付け角度を調整可能である。
【0028】
図1〜
図3に示すように、溶接トーチ7の基端部にはケーブル81が接続されている。溶接ロボットB1により溶接作業を行う際、図示しないワイヤ送給装置からケーブル81を介して溶接トーチ7へ溶接ワイヤが供給される。また、溶接トーチ7には、電力およびシールドガスが供給される。また、本実施形態において、第2クランプ部42にはロボット操作レバー83が取り付けられている。ロボット操作レバー83は、作業者が協働ロボットである溶接ロボットB1を操作する際に握る部位である。
図1、
図2に示すように、普段はケーブル81と溶接トーチ7の接続部位を覆うカバー82が装着されている。カバー82は、トーチ保持ユニット4(第1クランプ部41、第2クランプ部42およびクランプレバー43)を覆っており、メンテナンス時には当該カバー82を取り外すことが可能である。
【0029】
図2、
図3、
図6、
図7に示すように、第1ゲージ部1に付された第1の目盛り16は、溶接トーチ7の取り付け位置を調整する際の目印となる標線である。本実施形態においては、第1の目盛り16として、y方向に間隔を隔てて並ぶ複数の標線が設けられている。また、第2ゲージ部2に付された第2の目盛り26は、上記第1の目盛り16と同様に、溶接トーチ7の取付位置を調整する際の目印となる標線である。本実施形態においては、第2の目盛り26として、x方向に間隔を隔てて並ぶ複数の標線が設けられている。
【0030】
第1ゲージ部1に付された第1の表示17は、溶接トーチ7の取り付け角度を示している。本実施形態において、第1の表示17は、第1の目盛り16の各標線に対応しており、溶接トーチ7の種類と当該種類に応じた取り付け角度を表す。第1の表示17のうち、たとえば「RD 0」について、「RD」の表記はトーチボディが湾曲部を有するカーブドトーチ(種類)を意味しており、「0」の表記は基準の取り付け角度であることを意味する。また、第2ゲージ部2に付された第2の表示27は、上記第1の表示17と同様に、溶接トーチ7の7の取り付け角度を示している。第2の表示27の表す意味については、第1の表示17と同様である。なお、
図7以降の図においては、y方向において第1の表示17の付された位置が明瞭となるように、図中右方に第1の表示17を補助的に示す。また、第2の表示27についても当該第2の表示27の付された位置が明瞭となるように、図中下方に第2の表示27を補助的に示す。
【0031】
本実施形態では、
図7に示すように、溶接トーチ7(カーブドトーチ)の取付位置を調整する際、たとえば溶接トーチ7の先端のノズル71から所定長さ突き出るチップゲージ72を装着し、チップゲージ72の先端が所定の位置にくるように溶接トーチ7を位置合わせする。
【0032】
たとえば溶接トーチ7を基準位置「RD 0」の位置に合わせる場合、第2ゲージ部2の上面が「RD 0」の第1の表示17に対応する標線(第1の目盛り16)と合致するように第2ゲージ部2をy方向にスライド移動させる。そして、固定ビス25を締め付けて、第2ゲージ部2のy方向への移動を阻止する。次に、チップゲージ72の先端が第2ゲージ部2の「RD 0」の第2の表示27に対応する標線(第2の目盛り26)と合うように溶接トーチ7の取り付け角度を調整する。
【0033】
本実施形態では、第2ゲージ部2において「RD 0」の第2の表示27に対応する標線(第2の目盛り26)は、マニピュレータ9の先端の回動軸Oxと交差する位置に設定される。このように、溶接トーチ7(カーブドトーチ)は、その先端(チップゲージ72の先端)をx方向とy方向がなす平面に設定された所定の基準点に位置合わせすることができる。なお、溶接トーチ7の位置合わせの基準点は、上記のようなマニピュレータ9先端の回動軸Oxと交差する位置に限定されない。
【0034】
次に、
図7で示した溶接トーチ7(カーブドトーチ)とは異なる取り付け角度で当該溶接トーチ7を取り付ける場合について説明する。たとえば
図8は、
図7に示す状態から、取付軸54を軸心として溶接トーチ7を反時計回りに10°回動させて取り付けた場合を示している。ここで、まず、第2ゲージ部2の上面が「RD −10」の第1の表示17に対応する標線(第1の目盛り16)と合致するように第2ゲージ部2をy方向にスライド移動させる。そして、固定ビス25を締め付けて、第2ゲージ部2のy方向への移動を阻止する。次に、チップゲージ72の先端が第2ゲージ部2の「RD −10」の第2の表示27に対応する標線(第2の目盛り26)と合うように溶接トーチ7の取り付け角度を調整する。このように、溶接トーチ7の取り付け角度を調整する場合においても、第2ゲージ部2を適宜y方向にスライド移動させ、第1ゲージ部1および第2ゲージ部2により設定された所定の点(座標)に溶接トーチ7の先端を位置合わせすることにより、溶接トーチ7(カーブドトーチ)の取り付け角度を調整することが可能である。
【0035】
なお、本実施形態において、第1の表示17および第2の表示27として「RD 0」、「RD 5」、「RD 10」、「RD 15」、「RD −5」、「RD −10」、「RD −15」が表記されている。トーチ保持ユニット4に支持される溶接トーチ7(カーブドトーチ)については、
図7に示した基準の取り付け位置から時計回りに5°、10°、15°回動させた場合と反時計回りに5°、10°、15°回動させた場合の各々の取り付け角度調整が可能である。
【0036】
本実施形態では、第1ゲージ部1に付された第1の表示17および第2ゲージ部2に付された第2の表示27として、「PD 0」等が付されている。たとえば「PD 0」について、「PD」の表記はトーチボディが真っ直ぐ延びるストレートトーチ(種類)を意味しており、「0」の表記は基準の取り付け角度であることを意味する。
【0037】
図9に示すように、溶接トーチ7(ストレートトーチ)の取付位置を調整する際、たとえば溶接トーチ7の先端のノズル71から所定長さ突き出るチップゲージ72を装着し、チップゲージ72の先端が所定の位置にくるように溶接トーチ7を位置合わせする。
【0038】
たとえば溶接トーチ7を基準位置「PD 0」の位置に合わせる場合、第2ゲージ部2の上面が「PD 0」の第1の表示17に対応する標線(第1の目盛り16)と合致するように第2ゲージ部2をy方向にスライド移動させる。そして、固定ビス25を締め付けて、第2ゲージ部2のy方向への移動を阻止する。次に、チップゲージ72の先端が第2ゲージ部2の「PD 0」の第2の表示27に対応する標線(第2の目盛り26)と合うように溶接トーチ7の取り付け角度を調整する。
【0039】
本実施形態では、第2ゲージ部2において「PD 0」の第2の表示27に対応する標線(第2の目盛り26)は、マニピュレータ9の先端の回動軸Oxと交差する位置に設定される。このように、溶接トーチ7(ストレートトーチ)は、その先端(チップゲージ72の先端)をx方向とy方向がなす平面に設定された所定の基準点に位置合わせすることができる。なお、溶接トーチ7の位置合わせの基準点は、上記のようなマニピュレータ9先端の回動軸Oxと交差する位置に限定されない。
【0040】
次に、
図9で示した溶接トーチ7(ストレートトーチ)とは異なる取り付け角度で当該溶接トーチ7を取り付ける場合について説明する。たとえば
図10は、
図9に示す状態から、取付軸54を軸心として溶接トーチ7を時計回りに10°回動させて取り付けた場合を示している。ここで、まず、第2ゲージ部2の上面が「PD 10」の第1の表示17に対応する標線(第1の目盛り16)と合致するように第2ゲージ部2をy方向にスライド移動させる。そして、固定ビス25を締め付けて、第2ゲージ部2のy方向への移動を阻止する。次に、チップゲージ72の先端が第2ゲージ部2の「PD 10」の第2の表示27に対応する標線(第2の目盛り26)と合うように溶接トーチ7の取り付け角度を調整する。このように、溶接トーチ7の取り付け角度を調整する場合においても、第2ゲージ部2を適宜y方向にスライド移動させ、第1ゲージ部1および第2ゲージ部2により設定された所定の点(座標)に溶接トーチ7の先端を位置合わせすることにより、溶接トーチ7(ストレートトーチ)の取り付け角度を調整することが可能である。
【0041】
なお、本実施形態において、第1の表示17および第2の表示27として「PD 0」、「PD 5」、「PD 10」、「PD 15」、「PD −5」、「PD −10」、「PD −15」が表記されている。トーチ保持ユニット4に支持される溶接トーチ7(ストレートトーチ)については、
図9に示した基準の取り付け位置から時計回りに5°、10°、15°回動させた場合と反時計回りに5°、10°、15°回動させた場合の各々の取り付け角度調整が可能である。
【0042】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0043】
本実施形態の溶接トーチ位置調整用ゲージA1は、y方向(第1方向)に延びる第1ゲージ部1と、この第1ゲージ部1に対してy方向に沿って移動可能に支持される第2ゲージ部2と、を備える。第2ゲージ部2は、y方向と交差するx方向(第2方向)に延びている。また、第2ゲージ部2にセットされた固定ビス25を締め付けることで、第1ゲージ部1に対する第2ゲージ部2のy方向への移動が阻止される。このような構成によれば、第2ゲージ部2をy方向における適宜位置にスライド移動させることで、x方向とy方向がなす平面に設定された所定位置(座標)に、溶接トーチ7を位置合わせすることが可能である。したがって、複数の使用条件(たとえば取り付け角度)に応じて溶接トーチ7の位置を調整することができるので、溶接トーチ位置調整用ゲージA1の汎用性が向上する。
【0044】
本実施形態において、第1ゲージ部1に形成されたキー溝11と第2ゲージ部2に形成された溝22とにキー23が跨って配置される。これにより、第1ゲージ部1に対してy方向の周りの相対回転が阻止される。このような構成によれば、x方向とy方向がなす平面に設定された所定位置(座標)に、溶接トーチ7をより正確に位置合わせすることが可能である。
【0045】
第2ゲージ部2が延びるx方向(第2方向)は、第1ゲージ部1が延びるy方向(第1方向)に対して直角である。このような構成によれば、xy直交座標の所定位置(座標)を溶接トーチ7の位置合わせに設定することができ、当該位置合わせが容易かつ正確にできる。
【0046】
第1ゲージ部1にはy方向に並ぶ第1の目盛り16が付されており、第2ゲージ部2にはx方向に並ぶ第2の目盛り26が付されている。このような構成によれば、第1の目盛り16および第2の目盛り26を利用して、x方向とy方向がなす平面に設定された所定位置(座標)に、溶接トーチ7を迅速かつ正確に位置合わせすることができる。
【0047】
本実施形態において、第1ゲージ部1には第1の表示17が付されており、第2ゲージ部2には第2の表示27が付されている。第1の表示17は、第1の目盛り16に対応しており、溶接トーチ7の取り付け角度を示している。また、第2の表示27は、第2の目盛り26に対応しており、溶接トーチ7の取り付け角度を示している。このような構成によれば、第1の表示17および第2の表示27を利用し、溶接トーチ7を所定の軸心周りに回動させて当該溶接トーチ7の位置合わせすることによって、溶接トーチ7の取り付け角度を容易に調整することが可能である。
【0048】
また、本実施形態において、第1の表示17および第2の表示27は、複数種の溶接トーチ7の取り付け角度に応じた表記とされる。このような構成によれば、複数種の溶接トーチ7についての取り付け角度を容易に調整することができ、溶接トーチ位置調整用ゲージA1の汎用性がより向上する。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【0050】
上記実施形態において、第1ゲージ部1に対する第2ゲージ部2の移動を阻止するためのロック機構が、第1ゲージ部1に形成された平坦面12および当該平坦面12に押圧される固定ビス25により構成される場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明のロック機構は、たとえば第2ゲージ部2の貫通孔21に通じるスリットを形成し、当該スリットを挟んで互いに離間する部位をネジ機構等により近接させて上記貫通孔21を縮径させる、いわゆるクランプ機構によって構成してもよい。
【0051】
上記実施形態では、第1ゲージ部1に対して第2ゲージ部2がy方向の周りに回転するのを阻止するための構成として、キー23を採用する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば第1ゲージ部1を角柱状に構成し、第2ゲージ部2に当該角柱形状に対応する貫通孔を形成してよく、他にも種々の構成を採用し得る。
【0052】
上記実施形態では、第1ゲージ部1に、第1の目盛り16および第1の表示17が付され、第2ゲージ部2に第2の目盛り26および第2の表示27が付される場合について説明したが、これら目盛り16,17や表示17,27は必ずしも設ける必要はない。
また、第1の目盛りおよび第2の目盛りとして、一定間隔で並ぶ複数の標線により構成してもよく、この場合、x方向とy方向がなす平面内の所定位置(座標)に溶接トーチ7を簡単に位置合わせすることができる。また、マニピュレータ9に支持される溶接トーチ7の使用条件に応じて、作業者が第1ゲージ部1や第2ゲージ部2に目印を別途付して使用してもよい。
【0053】
上記実施形態において、溶接トーチ位置調整用ゲージA1によって取り付け位置の調整を行う溶接トーチ7がアーク溶接用である場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。溶接トーチの位置調整用ゲージによって取り付け位置調整を行う溶接トーチについては、たとえばTIG溶接用やプラズマ溶接用等の他の溶接トーチであっても適用可能である。