【実施例】
【0012】
(構成)
はじめに、
図1を用いて本発明のレーザーカラーマーキング装置1の全体構成を説明する。レーザーカラーマーキング装置1は、金属ワークWにカラー図柄Pを描画するレーザーカラーマーキング装置1であって、レーザービームLBを放出するレーザー発振器21と、レーザービームLBを反射する、少なくとも2軸制御のガルバノミラー22、23と、レーザービームLBを集光する集光レンズ24と、レーザー発振器21を制御する制御部25と、元画像から走査データを計算する画像計算部26と、を備えている。このうち、制御部25は、レーザーコントローラードライバや空冷クーラーとともに、レーザー電源ユニットの一部として構成されるものである。また、画像計算部26は、ディスプレイ、キーボード、マウス等が接続された汎用のコンピュータの機能部として構成されるものである。
【0013】
レーザー発振器21は、ファイバレーザー、固体ロッドレーザー、固体ディスクレーザー、又は炭酸ガスレーザー等のガスレーザーとすることができる。金属表面を加飾するために、レーザー発振器21は、パルスレーザーであることが好ましい。
【0014】
ガルバノミラー22、23は、X軸及びY軸にビームをスキャニングする機構である。それぞれ、例えば、振り振り角最大25度までのスキャニングができる。
【0015】
集光レンズ24は、fθレンズを利用し、照射エリア全域を、一定焦点で集光する。このfθレンズは焦点深度を長く設計しているため、ワークの高さ変化に対し、同一条件で加工ができる。
【0016】
制御部25は、高解像度ガルバのスキャナを使用しているため、微細な位置決めができ、製作画像を忠実な解像度と視認性を持って再現ができる。ソフトウエのアルゴリズムに工夫を凝らし、各色の再現性を正確に行うことが出来る重要部分である。
【0017】
画像計算部26は、市販の画像ソフトウエアの変換(j-peg&bitmap等)が容易であり、繊細画像の色バランスを忠実に再現することが出来るように設計されている。
【0018】
ここにおいて、金属ワークWとしては、例えば、チタン、ステンレス、又は、ニッケルクロム合金であってもよいし、より好ましくは、モリブデン鋼、又は、ダマスカス鋼の包丁やナイフであることが好ましい。
【0019】
(効果)
次に、本発明のレーザーカラーマーキング装置1の奏する効果を列挙して説明する。
【0020】
(1)上述してきたように、本発明のレーザーカラーマーキング装置1は、金属ワークWにカラー図柄Pを描画するレーザーカラーマーキング装置1であって、レーザービームLBを放出するレーザー発振器21と、レーザービームLBを反射する、少なくとも2軸制御のガルバノミラー22、23と、レーザービームLBを集光する集光レンズ24と、レーザー発振器21及びガルバノミラー22、23を制御する制御部25と、元画像から走査データを計算する画像計算部26と、を備え、制御部25は、レーザー発振器21によるレーザービームLBの周波数、及び、ガルバノミラー22、23によるスキャニングスピードを調整することで、所望のカラーを発色させるようにされている。このような構成であるから、金属ワークWに対して、ダイレクトに写真、絵画、文字等をレーザービームLBによって色付け・印字を行うことが可能となる。すなわち、本実施例のレーザーカラーマーキング装置1であれば、レーザーで色を付けることができる。つまり、組織に熱を入れ、酸化被膜の厚みによって色が変わるのである。
【0021】
このようにして、本実施例のレーザーカラーマーキング装置1は、金属に対し、光の応用により、直接ビームをあてることでカラー色を再現できるようにした。レーザーカラーマーキング装置1を用いれば、何十回、何百回加工を行っても、同じ加工状態を再現することができる。また、ビームにて金属表層部位にカラー加飾を行うことにより、よりよい視認性を持もった衛生的なカラー加飾加工を実現する方法である。そして、カラー加飾した画像は、滲みや剥離などがなく、化学系塗料などを一切応用することがない技術である。
【0022】
(2)また、制御部25は、集光レンズ24による焦点位置をさらに調整することで、所望のカラーを発色させるようにされている。このような構成であるから、焦点位置を変えることによって、金属ワークWに対して、より多彩な図柄をレーザービームLBによって色付けできる。
【0023】
(3)また、画像計算部26は、レーザービームLBによって金属ワークWの表面に形成される酸化被膜の厚みに基づいて、発色させるカラーを計算するようになっている。このように酸化被膜の厚みに基づいて走査データを計算することで、きわめて鮮明なカラー図柄を形成できる。
【0024】
(4)さらに、画像計算部26は、レーザービームLBによる金属ワークWの表面の1点当たりの温度をコントロールすることで酸化被膜の厚みを調整するようになっていることが好ましい。
【0025】
(5)また、レーザー発振器21は、近赤外光を放出するようにされていることが好ましい。
【0026】
(6)さらに、金属ワークWは、チタン、ステンレス、又は、ニッケルクロム合金であることが好ましい。
【0027】
(7)さらに、金属ワークWは、モリブデン鋼、又は、ダマスカス鋼であることが好ましい。
【0028】
(8)さらに、金属ワークWは、ナイフ、又は、包丁であることが好ましい。
【0029】
(その他の作用・効果)
加えて、本発明のレーザーカラーマーキング装置1には、さらに以下のような作用・効果が認められる。
【0030】
・チタン、ステンレス、ニッケルクロム合金等に対するレーザー発色を繊細に行うことにより将来的には、金属用レーザーカラープリンターにできる技術レベルまで高めた。レーザーのカラー発色においては、ある波長の光を非接触にて、集光レンズにて集光させ、集光させた状態で、指定スピードにて金属表面及び内部に酸化焼き入れを行うことにより、指定のカラーを発色させることを目的とする。最近の発見では、ダマスカス鋼に対するカラー発色がよいことを観察した。
【0031】
・レーザーによる白黒発色切り絵風マーキング技術について:
例えば、日本昔絵、浅草古来切り絵等を包丁の表面に黒色にマーキングすることを目的とする。日本文化を包丁に乗せ世界に発信することが大きな特徴となる。
【0032】
・猫・犬などのペットの写真レーザーカラーマーキングを、常に身近に感じるため、思い出として制作する。お城や寺院などの世界遺産などの画像を、金属商品に加飾することも期待される。
【0033】
・本技術により、錆びない金属に対し、カラー加飾を行うことにより、写真画像や絵を長い時間記録として残すことができる。
【0034】
・本技術応用による実際の加工写真を
図2〜
図3に示す。
【0035】
・画像の加工範囲は任意に設定ができ、必要に応じ、加工範囲サイズの設定ができる。
【0036】
(本技術によって得られるメリット全般について)
・非接触で光のみを金属表面に照射することで、金属表面に色を植え付ける(加飾)することができる。
・光のみの活用により、インクなどの消耗品は一切使用しない。
・光で直接金属に色を焼き付けることにより、保存性の良い印刷ができる。
・インクや焼き付け塗装とは違い、薄釣り的に剥げることがないため衛生的である。
【0037】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0038】
例えば、実施例では、ガルバノミラーは2軸であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、3軸のガルバノミラーであっても本発明のレーザーカラーマーキング装置1を適用できる。
【0039】
また、実施例では、包丁にカラーの図柄Pを描画するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、他の金属製の物の表面にカラーの図柄Pを描画することももちろん可能である。
【0040】
また、応用品としてステンレスではなく、包丁に絵(浮世絵、富士山とか)を入れることが好ましい。
【0041】
さらに、近赤外光=レーザー光は、100ミクロン以下に絞ると、2000度から3000度になる。1点当たりの温度をコントロールすることで焼き具合を調整できる。これは1点あたりの温度を維持しにくいから難しい。ここにおいて、ここは青、ここは黄、などの計算をするのが画像ソフトであり、細かい点ごとに色を認識している。