特開2021-181183(P2021-181183A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-181183溶融樹脂の射出方法と射出装置、及びこの射出装置を用いた射出延伸ブロー成形機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-181183(P2021-181183A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】溶融樹脂の射出方法と射出装置、及びこの射出装置を用いた射出延伸ブロー成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/48 20060101AFI20211029BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20211029BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20211029BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
   B29C45/48
   B29C45/76
   B29C49/06
   B29C49/42
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-87318(P2020-87318)
(22)【出願日】2020年5月19日
(11)【特許番号】特許第6777958号(P6777958)
(45)【特許公報発行日】2020年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390007179
【氏名又は名称】株式会社青木固研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】青木 茂人
【テーマコード(参考)】
4F206
4F208
【Fターム(参考)】
4F206AG07
4F206AH55
4F206AR11
4F206JA06
4F206JC02
4F206JD03
4F206JL02
4F206JM01
4F206JM04
4F206JM05
4F206JM16
4F206JN03
4F206JN16
4F206JN23
4F206JW41
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG28
(57)【要約】
【課題】射出延伸ブロー成形機の射出成形部に溶融樹脂を送り込む射出装置において、可塑化混練を開始してから射出完了するまでの時間を縮めながら樹脂材料を均一に溶融して射出を行なって、射出延伸ブロー成形機の短縮した射出成形工程に対応する時間に、射出装置の動作が収まるようにして、射出延伸ブロー成形機の中空体の成形サイクルを短縮する。
【解決手段】射出装置の射出サイクルごとの充填Xの開始時に、射出延伸ブロー成形機の次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置で溶融樹脂を射出する方法において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始することを特徴とする溶融樹脂の射出方法。
【請求項2】
充填と保圧と計量との単位時間当たりのスクリュー回転数は可変である請求項1に記載の溶融樹脂の射出方法。
【請求項3】
充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始することを特徴とする溶融樹脂の射出装置。
【請求項4】
充填と保圧と計量との単位時間当たりのスクリュー回転数は可変である請求項3に記載の溶融樹脂の射出装置。
【請求項5】
プリフォームを成形する射出成形部と、成形された前記プリフォームを延伸しブローして中空体を賦形するブロー成形部と、ブロー成形部で賦形された前記中空体を成形機外へ送り出す取り出し部とを有する射出延伸ブロー成形機において、
射出成形部は、射出成形型とこの射出成形型に溶融樹脂を射出する請求項3または4に記載の射出装置を有していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機。
【請求項6】
射出成形部は、
成形サイクルにおける射出成形工程での射出開始と、
次の成形サイクルにおける射出成形工程で射出する溶融樹脂を生成する動作の開始と
を同時に行なう請求項5に記載の射出延伸ブロー成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂の射出方法と射出装置、及びこの射出装置を備えて中空体を成形する射出延伸ブロー成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からPETボトルなどの合成樹脂製中空体を製造する機器に、ホットパリソン方式でプリフォームを中空体に賦形する射出延伸ブロー成形機がある。
この射出延伸ブロー成形機は、射出成形型でプリフォームを成形する射出成形部と、前記プリフォームをブロー成形型に配置し、延伸するとともにブロー(圧縮空気の吹き込み)をして中空体に賦形するブロー成形部と、前記中空体を成形機外へと送り出す取り出し部とを、平面上に円を描くように等間隔で順に配置している。
【0003】
射出延伸ブロー成形機では、射出成形工程とブロー成形工程と取り出し工程とが順に連続する。そして、前記射出成形工程とブロー成形工程と取り出し工程とが連続するサイクルを中空体の成形サイクルとして、中空体の成形サイクルを繰り返すごとに取り出し部から中空体が送り出される。
【0004】
射出成形工程は、射出成形部の射出成形型に、樹脂材料を溶融した溶融樹脂を射出装置から射出し、プリフォームを高温度にして延伸及びブローが可能な状態に成形する工程である。
【0005】
ブロー成形工程では、射出成形部で成形されたプリフォームがリップ型でブロー成形部に移送され、ブロー成形型に配置される。そして、プリフォームに延伸ロッド手段によってプリフォーム長さ方向に延伸する。また、吹き込み機器からの圧縮空気(ブローエア)を吹き込んで膨らませて中空体にする。
【0006】
取り出し工程では、ブロー成形部で賦形された中空体がリップ型で取り出し部に移送される。取り出し部にリップ型が移動すると、リップ型が開いて中空体を落下させるなどして、上述のように成形機外へと中空体を送り出す。
【0007】
取り出し工程の終了後、リップ型は射出成形部へ移動して、射出成形型に組み入れられる。そして、上記溶融樹脂が射出されることで、再びプリフォームが成形されて、リップ型がプリフォームの口部を保持する状態とされ、以降のブロー成形部、取り出し部へプリフォーム、中空体を支持しながら移送する。
【0008】
さらに射出延伸ブロー成形機では、リップ型が、射出成形部とブロー成形部と取り出し部とに対応するように一つの回転板に三か所にして配置されている。回転板が所定角度の回転(120度の回転)と停止、及び昇降を行なうことで、リップ型それぞれが、射出成形部とブロー成形部と取り出し部とを順次移動し、再び射出成形部に戻って、以降、同じ動作を繰り返すように設けられている。
【0009】
射出延伸ブロー成形機の射出装置は、フィードホッパから供給されるチップ状の樹脂材料を可塑化混練して溶融樹脂を射出する装置である。そして、バレルのシリンダにスクリューを回転可能にするとともに前進、後退が可能にして配置したインラインスクリュー方式の射出装置が用いられている。
【0010】
インラインスクリュー方式の射出装置は、スクリューの働きによって射出と保圧と計量とを順に行なうものであり、射出と保圧と計量とを一つの射出サイクルにして、射出サイクルごとに射出成形型に溶融樹脂を射出する。そして、射出延伸ブロー成形機の中空体の成形サイクルの上記射出成形工程に対応した時間内に、射出装置の1射出サイクルの動作が収まるように設けられている。
【0011】
インラインスクリュー方式の射出装置は、上記射出延伸ブロー成形機の射出成形型に接続する装置に限定されるものではない。金型で成形品の最終形態に仕上げてしまう成形機の射出装置としてより多く利用されている。そして、インラインスクリュー方式の射出装置では色々な工夫が提案されている。一つの工夫が特許文献1で示されている。
【0012】
特許文献1においては、バレルのシリンダに配するスクリューを供給部と圧縮部と計量部とに分けて説明している。フィードホッパから供給される樹脂材料が供給部で不連続な状態となり、この不連続な状態で樹脂材料が圧縮部へ送り出され、可塑化した溶融樹脂の樹脂温度が大きく変化することが示されている。さらに、樹脂温度が大きく変化することで可塑化能力が低下して、生産性が向上しないという点を問題としている。
【0013】
特許文献1では、上記問題を解決するために、射出開始時からスクリューを回転かつ前進させ、その前進時の回転で、供給部に樹脂材料の飢餓状態が生じないようにする点が示されている。
【0014】
また、射出時にはスクリューを回転させずに前進させ、保圧終了前にスクリューを回転させながら後退させる点が示されている。そして、この時の回転で、供給部にまばらに存在する樹脂材料を前方に送り出して、供給部を飽和状態にする点が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平09−109200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように射出延伸ブロー成形機に組み合わされる射出装置は、スクリューを配置したシリンダにフィードホッパから樹脂材料を供給し、スクリューの回転と後退で樹脂材料の可塑化混練と計量とをする。そして、スクリューの前進によって溶融樹脂を射出成形型に射出充填し、満注になることでスクリューの前進が止まり、その状態で保圧を行なうようにしている。
【0017】
また、近年の射出延伸ブロー成形機については、射出成形部でプリフォームを早期に離型することで、射出成形工程とブロー成形工程と取り出し工程とに係る時間を短縮して、中空体の生産効率を高める試みがある。
【0018】
しかしながら、上記プリフォームを溶融樹脂の射出から早期に離型できるようにしたとしても、射出成形部の射出成形工程の時間を短縮することが困難である。その点を以下に説明する。
【0019】
射出成形部の射出成形工程の時間は、
(1)射出成形型に溶融樹脂が射出されて充填される射出時間(充填時間+保圧時間)と、
(2)溶融樹脂の射出充填が終了した後、プリフォームを離型できるまで冷却して溶融樹脂の温度を下げる冷却時間と、
(3)型開き、回転、型閉めの射出成形部の機構が動作するドライサイクルと、
の合計となる(射出時間+冷却時間+ドライサイクル)。
【0020】
一方、射出成形部に溶融樹脂を送り込む射出装置は、射出成形工程に対応する時間内に、
(a)スクリューが射出開始位置から前進して溶融樹脂を射出成形型に向けて射出して充填する動作を行ない、
(b)所要量の溶融樹脂が射出充填されると、スクリューが押し切り位置に到達したとしてスクリューの前進の動作が停止して、保圧の動作を行ない、
(c)保圧の後、樹脂材料の可塑化を行ないながら計量の動作を行なう(スクリューが回転しながら後退し、所要量の溶融樹脂をスクリューの前方に送り出す)。
【0021】
射出成形されたプリフォームを早期に離型する場合、(1)の射出時間と(2)の冷却時間との合計時間が短くなる。
そして、上述したように射出成形工程の1サイクルは、
「射出時間(=充填時間+保圧時間)」

「冷却時間」

「ドライサイクル」
であることから、(1)の射出時間と(2)の冷却時間との合計時間が短くなると、射出成形工程の1サイクルの時間を短くすることができる。
【0022】
一方、従来の射出装置の計量は、射出成形部での冷却とドライサイクルとで確保された時間内で行なう。
しかしながら、射出成形工程の時間が短くなると、射出装置における溶融樹脂の射出の開始から計量の終了まで、即ち、「充填」+「保圧」+「計量」となる射出サイクルの1サイクルに要する時間が、射出成形工程の1サイクルの時間に収まらなくなる。(この射出装置において、溶融樹脂を充填するときの動作、及び保圧するときの動作ではスクリューは回転していない)
【0023】
上記不具合を回避するため、例えばドライサイクルに一部遅延を生じさせる設定にして(例えば、タイマーにノズル前進開始を入れて、ノズルタッチ動作に相当する時間を含ませる)、射出装置の動作を、射出成形工程に対応する時間に収めている。従って、プリフォームを早期に離型することの有利な点を十分に活かすことができない。
【0024】
また、他の対策として、単位時間当たりのスクリューの回転数を高くすることが考えられる。
しかし、スクリューの供給部からスクリューの前方側へ樹脂材料が移動する時間が短くなり、バレルに取り付けたヒーターによる加熱が樹脂材料に作用し難くなり、十分には溶融しなくなる。
その結果、溶融不良が生じて、溶融樹脂の溶融状態が不均一になるという問題がある。
更なる対策として、バレル温度設定を上げる方法で改善可能ではあるが、樹脂温度が高くなり過ぎる問題に変わる。これにより、プリフォーム温度は樹脂温度設定を上げた分高温に変化するので、プリフォームを冷やす射出冷却時間を初期設定より長くする時間が必要になり、サイクルが長くなってしまう。
したがって、本発明者にあっては鋭意検討して設定温度を上げない方法にて有効な方策を提供する。
【0025】
そこで本発明は上記事情に鑑み、射出延伸ブロー成形機の射出成形部に溶融樹脂を送り込む射出装置において、射出開始時に次の射出の樹脂の可塑化混練を同時に開始し、早期に計量を終了できるようにし、ドライサイクルに遅延を生じさせないようにすることを課題とし、射出延伸ブロー成形機の中空体の成形サイクルを短縮することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置で溶融樹脂を射出する方法において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始することを特徴とする溶融樹脂の射出方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【0027】
(請求項2の発明)
そして、上記発明において、充填と保圧と計量との単位時間当たりのスクリュー回転数は可変であることが可能である。
【0028】
(請求項3の発明)
また、もう一つの発明は、充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始することを特徴とする溶融樹脂の射出装置を提供して、上記課題を解消するものである。
【0029】
(請求項4の発明)
そして、上記発明において、充填と保圧と計量との単位時間当たりのスクリュー回転数は可変であるものとすることが可能である。
【0030】
(請求項5の発明)
さらに、もう一つの発明は、プリフォームを成形する射出成形部と、成形された前記プリフォームを延伸しブローして中空体を賦形するブロー成形部と、ブロー成形部で賦形された前記中空体を成形機外へ送り出す取り出し部とを有する射出延伸ブロー成形機において、
射出成形部は、射出成形型とこの射出成形型に溶融樹脂を射出する請求項3または4に記載の射出装置を有していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機を提供して、上記課題を解消するものである。
【0031】
(請求項6の発明)
そして、上記発明において、射出成形部は、
成形サイクルにおける射出成形工程での射出開始と、
次の成形サイクルにおける射出成形工程で射出する溶融樹脂を生成する動作の開始と
を同時に行なうものであることが良好である。
【発明の効果】
【0032】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、射出開始位置まで後退していたスクリューが回転しながら前進して溶融樹脂の射出を行なう。そして、回転するスクリューが押し切り位置に達して所要量の溶融樹脂を充填し終えると、回転を止めることなく前記充填に継続してスクリューを回転させながら保圧(金型に射出した溶融樹脂がゲートを通して逆流しないように圧力を加え、ヒケの発生を抑える)を行なう。保圧が終了すると、回転を止めることなく前記保圧に継続してスクリューを回転させながら計量(スクリューを回転させて後退することで、所要量の溶融樹脂をスクリューの前方に送り出す)を行なうようにしている。
【0033】
このように射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進するので、射出開始と同時にスクリューの回転が行われる。
【0034】
そして、射出開始と同時にスクリューが回転しているので、射出開始の時点から、次ショット分の溶融樹脂を生成する可塑化混練が進行する。よって、次ショット分(次射出サイクルの射出分)の溶融樹脂の生成を早期に開始できる。
【0035】
さらに、射出装置での保圧開始からスクリューを回転させて次ショット分の可塑化混練を始める場合に比べて、また、従来通りに保圧が終了してスクリューを後退させる計量開始から次ショット分の可塑化混練を始める場合に比べて、次ショット分の溶融樹脂を早期に生成し終わることができる。
【0036】
よって、充填と保圧と計量とからなる射出装置の射出サイクルの1サイクルの時間(次ショット分の溶融樹脂を生成する…時間)は、早期に終わらせることも、また、従来の方法よりも長くすることも可能である。
【0037】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、連続してスクリューを回転することで、剪断熱を絶えず与え続けることができ、そして充填時と保圧時と計量時とに応じた回転数で回転することで、剪断熱をより良好に与え続けることができ、今までスクリューが回転していない時間をオーバーラップ時間として回転時間に使えるので、同じサイクル内で可塑化混練時間を長くできる。これにより、低温混練分配を促進した(均一な温度斑の無い)樹脂を作ることができる。
【0038】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、射出装置は、射出開始位置まで後退していたスクリューが回転しながら前進して溶融樹脂の射出を行なう。そして、回転するスクリューが押し切り位置に達して所要量の溶融樹脂を充填し終えると、回転を止めることなく前記充填に継続してスクリューを回転させながら保圧を行なう。保圧が終了すると、回転を止めることなく前記保圧に継続してスクリューを回転させながら計量を行なう。
【0039】
このように射出装置は、射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進するので、射出開始と同時にスクリューの回転を行なう。
【0040】
そして、射出開始と同時にスクリューが回転しているので、射出開始の時点から、次ショット分の溶融樹脂を生成する可塑化混練が進行する。よって、次ショット分の溶融樹脂の生成を早期に開始できる。
【0041】
さらに、射出装置での保圧開始からスクリューを回転させて次ショット分の可塑化混練を始める場合に比べて、また、従来通りに保圧が終了してスクリューを後退させる計量開始から次ショット分の可塑化混練を始める場合に比べて、次ショット分の溶融樹脂を早期に生成し終わることができる。
【0042】
よって、充填と保圧と計量とからなる射出サイクルの時間(次ショット分の溶融樹脂を生成する時間)は、早期に終わらせることも、また、従来の方法よりも長くすることも可能である。
【0043】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によれば、連続してスクリューを回転することで、剪断熱を絶えず与え続けることができ、そして充填時と保圧時と計量時とに応じた回転数で回転することで、剪断熱をより良好に与え続けることができ、今までスクリューが回転していない時間をオーバーラップ時間として回転時間に使えるので、同じサイクル内で可塑化混練時間を長くできる。これにより、低温混練分配を促進した(均一な温度斑の無い)樹脂を作ることができる。
【0044】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明によれば、充填と保圧と計量とからなる射出装置の射出サイクルの1サイクルの時間を早期に終了することが可能となるので、射出成形工程の1サイクルに要する時間を短くすることができる。従って中空体の成形サイクルに要する時間を短縮することが可能となり、中空体の生産効率を高めることができる。
【0045】
(請求項6の発明の効果)
請求項6の発明によれば、中空体の成形サイクルそれぞれでの射出成形工程に要する時間を短くすることができる。従って、中空体の成形サイクルに要する時間を短縮して、中空体の生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】射出延伸ブロー成形機の一例を平面で概略的に示す説明図である。
図2】射出延伸ブロー成形機の成形サイクルの進行を概略的に示す説明図である。
図3】射出装置の一例を概略的に示す説明図である。
図4】射出装置の射出サイクルを概略的に示す説明図である。
図5】試験での実施例と比較例との1サイクルのスクリュー移動位置情報をグラフで示す説明図である。
図6】試験での実施例の成形品重量測定のばらつき確認とボトル採取の間であるショットのばらつき確認とバレル温度とを表で示す説明図である。
図7】試験での比較例の成形品重量測定のばらつき確認とボトル採取の間であるショットのばらつき確認とバレル温度とを表で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(射出延伸ブロー成形機)
つぎに本発明を図1から図7に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は合成樹脂製の中空体を製造する射出延伸ブロー成形機である。射出延伸ブロー成形機1は、図1に示されているように射出成形部2とブロー成形部3と取り出し部4とを平面上で円を描くようにして120℃の角度で順に配置している。
【0048】
射出成形部2は、射出成形型に溶融樹脂を射出し、高温度のプリフォームを成形する。特に本実施の形態の射出延伸ブロー成形機1にあっては、ブロー成形部3で延伸ブローが可能な状態でプリフォームを早期に離型できるように構成されているものである。
【0049】
成形したプリフォームは、射出成形型の一部として組み込まれていたリップ型で保持して離型される。そして、ブロー成形部3に移送してブロー成形型に配置される。ブロー成形部3は、リップ型が保持する前記プリフォームを延伸し、高圧空気などによってブローすることで中空体を成形する。
【0050】
ブロー成形した中空体はリップ型に保持された状態で取り出し部4に移送される。取り出し部4は、ブロー成形部3で賦形された中空体を成形機外へ送り出す部分であり、前記ブロー成形部3からリップ型が取り出し部4に移動すると、リップ型が開いて中空体に対する拘束を解除する。
【0051】
リップ型から外れた中空体は前述のように成形機外へと送り出される。そして、中空体を解放したリップ型は再び射出成形部2へ移動し、プリフォームの射出成形型の一部として組み込まれるようにしている。
【0052】
射出延伸ブロー成形機1は、上述したように射出成形部2で成形したプリフォームをリップ型でブロー成形部3に移送し、ブロー成形部3でブロー成形された中空体をリップ型で取り出し部4に移送し、取り出し部4で前記リップ型が中空体を解放する。
【0053】
(成形サイクル)
射出延伸ブロー成形機1では、図2に示すようにプリフォームを射出成形する射出成形工程a1、b1、c1、…と、射出成形工程a1、b1、c1、…で成形されたプリフォームを上述のようにして中空体にブロー成形するブロー成形工程a2、b2、c2、…と、ブロー成形工程a2、b2、c2、…で成形された中空体を取り出し部で成形機外に送り出す取り出し工程a3、b3、c3、…とが一連に連続する。
そして、射出成形工程a1、b1、c1、…とブロー成形工程a2、b2、c2、…と取り出し工程a3、b3、c3、…とを一連にして中空体の成形サイクルA、B、C、…とする。
【0054】
リップ型が射出成形部2とブロー成形部3と取り出し部4とを順に移動しながら上述の動作が行なわれ、そして、再び射出成形部2へと戻るようにしているので、中空体の成形サイクルA、B、C…は継続する。
【0055】
さらに本射出延伸ブロー成形機1では、リップ型は三か所に設けられていて、射出成形部2とブロー成形部3と取り出し部4との三位置に同時にリップ型が対応できるようにしている。例えば、三か所のリップ型は回転板に組み付けて、回転板を一方向に120度回転させて停止し、その停止時に下降し、射出冷却終了後に上昇し、さらにその後に一方向に120度回転の動作を行なわせて以降同様の動作を繰り返すことで、リップ型の対応位置が順に進むようにしている。
【0056】
そして、射出延伸ブロー成形機1では、三か所のリップ型が同時に対応する位置を変えて順に移動して、中空体の成形サイクルと次成形サイクルとのそれぞれが一工程分ずれて進行する。
【0057】
図2は射出延伸ブロー成形機1における一つの中空体の成形サイクル、例えば図2の成形サイクルAと、次の成形サイクルBが一工程分ズレて進行する状態を概略的に示している。上述したように一つの中空体の成形サイクルAは、射出成形工程a1とブロー成形工程a2と取り出し工程a3とが連続してなるものである。そして、一工程分ずれて進行する次の成形サイクルBは、射出成形工程b1とブロー成形工程b2と取り出し工程b3とが連続してなるものである。さらに、成形サイクルBに対して次の成形サイクルCは、射出成形工程c1とブロー成形工程c2と取り出し工程c3とが連続する。
【0058】
図2に示すように射出延伸ブロー成形機1では中空体の成形サイクルA、B、C、…は順次一工程分ズレて進行しながら、各成形サイクルA、B、C、…ごとで中空体を成形する。
【0059】
上記射出成形部2は、図1に示されているように射出成形型5と、射出成形工程a1、b1、c1、…において射出成形型5に溶融樹脂を射出する射出装置6を有している。
なお、射出成形型5はリップ型と射出コア型と射出キャビティ型とから構成されるものである(ホットランナー装置等も含む)が、図1においては射出キャビティ型が配置されている位置を示して射出成形型5を表現している。そして、移動及び停止して射出キャビティ型の上にセットされる上述のリップ型と、射出キャビティ型の内側に進入する射出コア型は、射出成形部2の配置の説明を容易にするために図示していない。
【0060】
(射出装置)
図3は射出装置6を概略的に示す。射出装置6はバレル(加熱筒)7のシリンダ8の内部にスクリュー9を回転可能で、且つ前進及び後退可能にして配置しているインラインスクリュー方式の装置である。
そして、射出装置6は、フィードホッパ10からチップ状の樹脂材料をスクリュー9の供給部に供給し、供給された樹脂材料をスクリュー9の動きによって圧縮部から計量部に移動させる。
この移動で剪断発熱が生じるとともに、ヒーター11から加熱によって、そして、スクリュー回転によるかき混ぜも加わって樹脂材料が可塑化するとともに混練されて溶融樹脂が生成される。
【0061】
生成された溶融樹脂はスクリュー9の前方に送り出され、このスクリュー9の前方に位置した溶融樹脂を上記射出成形型5に射出するように設けられている。バレル7の外周には、樹脂材料の可塑化を促進し易くするためのヒーター11を配置している。
【0062】
射出装置6は、上記成形サイクルA、B、C、…における射出成形工程a1、b1、c1、…の時間に、射出成形型に溶融樹脂を送り込む充填Xと、射出成形型に送り込んだ溶融樹脂に対して圧を加える状態を保って逆流を抑える保圧Yと、射出成形型に射出するための所要量の溶融樹脂をスクリュー9の前方に送り込む計量Zとを行なう。そして、充填Xと保圧Yと計量Zとを一連に連続して繰り返される射出サイクルとしており、射出サイクルの1サイクルは射出(充填+保圧)+計量となる(図4参照)。さらに、射出サイクルが成形機本体側の進み、即ち、後述するように成形サイクルの進みに合わせて繰り返すように設けられている。
【0063】
(射出成形工程−射出)
中空体の成形サイクルA、B、C、…それぞれの射出成形工程a1、b1、c1、…で充填Xを行なう時、スクリュー9は射出開始位置にある。そして、本実施の形態では、射出装置6の射出開始時に射出開始位置にあるスクリュー9が回転しながら前進する。この回転するスクリュー9の前進によって所要量の溶融樹脂を射出成形型に射出する。
【0064】
射出装置6の充填Xはスクリュー9の前進させるための油圧を加えることで行なわれる。また、溶融樹脂の所要量の充填Xの終了は、計測されるスクリュー位置に基づいて、スクリュー9が保圧切り換え位置に達したと判定されたときに、保圧用の背圧に切り換わる。なお、本射出装置6のスクリュー9は押し切り位置に達した時点で、ストッパーなどの機構によって強制的に停止されるものではない。
【0065】
射出装置6は、例えば成形サイクルAの射出成形工程a1に対応する時点で、上述したようにスクリュー9が射出開始から回転している。このスクリュー9の回転によって、次の成形サイクルBでの射出成形工程b1で充填Xを行なうための溶融樹脂の生成が開始される。即ち、射出開始と次ショット分の溶融樹脂の生成開始とが同時となるように設けられている。
【0066】
充填Xに際し、スクリュー9を前進させる油圧がスクリュー9に加えられる。そして、スクリュー前方の樹脂圧力(射出圧)が高まるので、リングバルブ(スクリュー先端に位置するリング状の流路開閉バルブ)が閉じる。そのため、スクリュー9の回転によって溶融樹脂の生成が開始された状態でも、計量部から溶融樹脂がスクリューの前方へは流動しない。
【0067】
(射出成形工程−保圧)
射出成形工程a1、b1、c1、…で溶融樹脂の充填Xを終了した射出装置6は、前記充填Xの動作から継続してスクリュー9を回転させながら保圧Yを行なう。また、射出成形工程a1、b1、c1、…の射出成形型では射出充填から冷却に移行し、充填された溶融樹脂からなるプリフォームを冷却する。
【0068】
射出装置6において、保圧Y時には保圧用に設定された背圧がスクリュー6に加えられる。そして、スクリュー6は充填Xから継続して回転していて、前記次ショット分の溶融樹脂の生成を継続する。
【0069】
(射出成形工程−計量)
上記射出成形工程a1、b1、c1、…で溶融樹脂の保圧Yを完了した射出装置6は、前記保圧Yでのスクリュー回転動作から継続してスクリュー9を回転させながら後退して、計量Zを行なう。
射出装置6の計量Zの動作は、射出成形部2での型開き、回転、型閉めのドライサイクル時間の内に収まるように設けられている。
【0070】
射出装置6の計量Z時には、スクリュー9が回転しながら上記背圧が加えられた状態で後退する。計量Zは、上述したように樹脂材料を可塑化混練して所要量の溶融樹脂を、スクリュー9の前方に送り出す。そして、所要量の溶融樹脂を前方に送り出しながらスクリュー9が後退して射出開始位置に到達すれば、前記後退が停止するように設けられている。
【0071】
本実施の形態では、スクリュー9が射出開始位置に後退すれば、スクリュー9の回転は停止するが、この回転を継続した状態のままとすることも可能である。
【0072】
射出延伸ブロー成形機1の射出成形部2は、中空体の成形サイクルAの射出成形工程a1が終了すれば、次の成形サイクルBの射出成形工程b1が行なわれる。そして、前記射出成形工程b1では再び射出装置6は再び充填X、保圧Y、計量Zの動作を行なう。このときの充填Xに際しても、上述のように次ショット分(次の射出成形工程c1で射出する分)の溶融樹脂の生成のための可塑化混練動作が同時に開始される。
【0073】
本実施の形態の射出装置6では、射出開始の時点から、次ショット分の溶融樹脂を生成する可塑化混練が進行するので、従来の保圧完了後にスクリューを回転する射出装置に比べて、次ショット分の溶融樹脂の生成を早期に開始できる。そして、従来の射出装置に比べて、次ショット分の溶融樹脂を早期に生成し終わることができる。
【0074】
さらに、射出延伸ブロー成形機1では、一工程分ズレて進行する中空体の成形サイクルA、B、C、…それぞれでの射出成形工程a1、b1、c1、…に要する時間が短くできる。従って、中空体の成形サイクルA、B、C、…に要する時間を短縮して、中空体の生産効率が高まる。
【0075】
実施の形態の射出装置6においては、上記スクリュー9が、充填Xと保圧Yと計量Zとにおいて連続して回転するが、単位時間当たりのスクリュー回転数は、充填Xと保圧Yと計量Zとで同一である必要はない。単位時間当たりのスクリュー回転数は、充填Xと保圧Yと計量Zとのそれぞれで可変であり、充填Xと保圧Yと計量Zとのそれぞれで適宜設定することが可能である。
なお、前述の単位時間当たりのスクリュー回転数を充填Xと保圧Yと計量Zとのそれぞれで可変できるようにする点は、勿論、充填Xと保圧Yと計量Zとのそれぞれの中で、単位時間当たりのスクリュー回転数を変化させることも含むものである。
【0076】
(試験)
ボトルを成形する射出延伸ブロー成形機について、本発明を実施する実施例と比較例とを用意して試験を行なった。試験についてつぎに説明する。
【0077】
まず、実施例と比較例との射出延伸ブロー成形機で製造するボトルについて、樹脂材料はPETとした。設定のボトル重量は96.5gとした。また、射出成形型は、実施例と比較例ともに四個取りとした。以下の実施例と比較例との二つの成形法のボトル品質と成形データを取る試験をして、ボトル品質、成形データを比較した。
【0078】
(実施例)
実施例の射出延伸ブロー成形機によって、良好なボトルを成形する上での成形条件出しを行なった。さらに、射出成形部の射出成形工程中で設定した射出時間の開始(射出装置の射出開始)と同時に、スクリューを回転させて樹脂材料を可塑化混練し溶融樹脂を生成する動作を開始させるようにした。
また、ボトルの成形サイクル(中空体の成形サイクル)の射出成形工程に対応する時間に対し、射出装置の1サイクル(射出サイクル)が目一杯使われるように、前記溶融樹脂を生成する動作(スクリューの回転)の時間を取った。具体的にはスクリュー回転数を定めた(38rpm)。
【0079】
(比較例)
比較例は、上記射出延伸ブロー成形機において、従来成形と同じく射出装置の保圧後にスクリューが回転開始する成形機である。即ち、射出装置が保圧後にスクリュー回転による計量を行なう射出延伸ブロー成形機である。
また、比較例では、保圧後の計量のスクリュー回転数を、上記実施例のスクリュー回転数と同じにした(38rpm)。
【0080】
(実施例の結果)
○実施例の射出延伸ブロー成形機の成形サイクルにおける射出成形工程の時間は14.9秒である。その内訳は、射出時間5.50秒+冷却時間5.00秒+ドライサイクル4.40秒である。
○溶融樹脂の生成を行なうスクリュー回転数は上述の38rpmである。
○PET製ボトルは良品であり、透明感があった。
【0081】
○実施例での射出装置は、射出開始と同時にスクリュー回転を始めるが、射出成形部での射出充填時間は、比較例(従来成形法)と同じ1.75秒である。
【0082】
○上述のように射出成形部における実施例の射出充填時間と比較例の射出充填時間とが同じ1.75秒である。よって、実施例では、この間の充填中は溶融樹脂のスクリュー前方への送り込みは生じていないと考えられる。
【0083】
○実施例において、図5のグラフから、射出して押し切り位置(丸囲み数字1)に達したスクリューは、射出完了した直後に後退を始めていると判断できる。そして、スクリューは回転して溶融樹脂の生成の動作を継続していることから、生成された溶融樹脂がスクリューの前方に送り出されていると考えられる。即ち、射出直後に計量の動作が開始されている。
○実施例における射出装置の前記計量する動作の時間(計量時間)は、射出時間から射出充填時間を引いた(5.50−1.75)3.75秒と、冷却時間とドライサイクルの間に計量する8.32秒との合計の、12.07秒になる。図5のグラフ参照。
【0084】
○射出時間中(充填と保圧時間中)に回転するスクリューのスクリューストローク(計量ストローク)は20.5mm(145.7−125.2)であり、射出ストローク57.9mm(183.1−125.2)に対して35%程の計量であった。図5のグラフを参照。
【0085】
なお、品質検査のボトルを連続9ショットして、樹脂圧力変動(バレルノズル内の樹脂圧力変動)の標準偏差(不図示)を算出したが、特別大きなものでなく、安定していると判断できた。
【0086】
(比較例の結果)
○比較例は、射出装置での保圧後にスクリューを回転させて計量を行なう成形法である。
○比較例の射出延伸ブロー成形機の成形サイクルにおける射出成形工程の時間は18.1秒である。スクリュー回転数を上記実施例と同じ38RPMで行なって成形すると、計量が、実施例での射出成形工程での時間内に間に合わない。そのため、射出成形工程の時間は前述したように18.1秒となった。
○ボトル品質は実施例による成形法を用いて成形した場合と同等であった。
【0087】
(グラフについて)(図5
○グラフにおいて、実線は実施例を示す。一点鎖線は比較例を示す。
○グラフ中の実施例の丸囲み数字1はスクリュー押し切り位置、丸囲み数字2は射出時間終了の位置(保圧中にスクリュー移動)、丸囲み数字3はスプリングバック位置(保圧後のスプリングバック量が付加された位置)である。
○実施例の丸囲み数字1〜丸囲み数字3の範囲が、射出時間(充填と保圧時間+スプリングバックした時間)の計量ストローク20.5mmである。
○実施例と比較例とで、スクリュー押し切り位置が同じである。
○実施例の充填中に溶融樹脂に貯えがスクリュー前方に出来ていれば、このスクリュー押し切り位置よりも後方になるはずである。
○実施例と比較例とでスクリュー押し切り位置が同じであるから、充填中はスクリューの前方に送り込みが行なわれていないと推察する。
【0088】
なお、図6図7の表は、連続9ショットの成形データ(ボトル重量のばらつき確認、バレル温度)を示している。図6は実施例を示し、図7は比較例を示している。バレル温度設定において、F部はバレル前部の温度設定値を示し、M部はバレル中央部の温度設定値を示している。また、R部はバレル後部の温度設定値を示している。
【0089】
実施例と比較例との対比から明らかなように、本発明では射出装置の射出サイクルの1サイクルの時間を早期に終了することができる。よって、射出延伸ブロー成形機による中空体の成形サイクルに要する時間を短縮することが可能となり、中空体の生産効率を高めることができる。
【0090】
上述した実施の形態と上記実施例は本発明の一つの形態を例示したものであり、本発明は上記実施の形態、実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0091】
1…射出延伸ブロー成形機
2…射出成形部
5…射出成形型
6…射出装置
7…バレル
8…シリンダ
9…スクリュー
10…フィードホッパ
11…ヒーター
A、B、C…中空体の成形サイクル
a1、b1、c1…射出成形工程
a2、b2、c2…ブロー成形工程
a3、b3、c3…取り出し工程
X…充填
Y…保圧
Z…計量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置で溶融樹脂を射出する方法において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方の空間へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方の空間へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置で溶融樹脂を射出する方法において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方の空間へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
(請求項3の発明)
また、もう一つの発明は、充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方の空間へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出装置を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正書】
【提出日】2020年7月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置で溶融樹脂を射出する方法において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置で溶融樹脂を射出する方法において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
(請求項3の発明)
また、もう一つの発明は、充填と保圧と計量とを行なうインラインスクリュー方式の射出装置において、
射出開始位置にあるスクリューが回転しながら前進して充填を行なった後に、前記充填から継続してスクリューを回転させながら保圧と計量とを順に行なう射出サイクルを備え、
射出サイクルごとの前記充填の開始時に、次射出サイクルで射出する分の溶融樹脂を生成する可塑化混練を開始し、充填中は、前記次射出サイクルで射出する可塑化混練された溶融樹脂をスクリュー前方へ非送出にすることを特徴とする溶融樹脂の射出装置を提供して、上記課題を解消するものである。