【課題】ゴムクローラを芯金の一つが埋設された切断小片とするような前処理を必要とすることなくゴムクローラにおける芯金を帯状ゴムから分離させることを可能となし得る、ゴムクローラの新規な廃棄処理方法や廃棄処理装置などを提供すること。
【解決手段】帯状ゴム14の幅方向に延びる細長状の芯金16が、帯状ゴム14の長さ方向に所定間隔で埋設固着されたゴムクローラ12を廃棄処理するに際して、前記芯金16を加熱すると共に、該芯金16における前記帯状ゴム14の長さ方向の端部に沿って該帯状ゴム14に切込み62を形成し、該切込み62へ差し入れた取出具74(34)によって該芯金16を該帯状ゴム14から抜き出して分離させる。
前記帯状ゴムの長さ方向における前記芯金の一方の端部に沿って前記切込みを形成すると共に、該芯金の他方の端部側において、該芯金を外方から押圧することにより、該芯金を該帯状ゴムの長さ方向で傾斜させて該切込みの形成側を相対的に浮き上がらせる請求項1又は2に記載のゴムクローラの廃棄処理方法。
前記芯金の加熱と、前記帯状ゴムへの切込みの形成を、該帯状ゴムにおける長さ方向に連続的に並んだ複数の芯金に対して並行して施す請求項1〜7の何れか一項に記載のゴムクローラの廃棄処理方法。
【背景技術】
【0002】
無限軌道とは、クローラ,トラックベルト,履帯,カタピラなどとも称されるものであり、例えば農業機械や土木建設機械,雪上車などの走行部に用いられている。無限軌道の一種であるゴムクローラは、無端の帯状ゴム体に対して、帯長方向に延びる補強用ワイヤが埋め込まれていると共に、幅方向に延びる細長状の芯金が帯長方向に所定間隔で埋設固着されている。
【0003】
かかるゴムクローラは、使用に伴ってゴム部分の磨耗などもあることから消耗品であり、適宜に交換されることから、廃棄されたゴムクローラの処理が問題になりやすい。
【0004】
使用後の古いゴムクローラは産業廃棄物として処理されるが、その構成要素である芯金やスチールコードが帯状ゴム体に対して強固に一体化されて分離が困難であることから、ゴムクローラは廃棄処理困難物の一つとされており、従来ではそのままの状態で廃棄や保存、山積されているケースが殆どであり、不法投棄されることもあった。社団法人日本建設機械工業会が2000年台初頭に行った推計では、廃棄されたゴムクローラのうち、未処理の積み置きが8割に近かった。
【0005】
なお、特許文献1(特公昭54−015899号公報)に記載の如き切断処理を施して埋め立て処理することも考えられるが、近年の自然環境保全や持続可能な社会の実現などの考え方からすると望ましいものではない。しかも、埋め立て処理する際に規則に従ったサイズにゴムクローラを切断しようとすると、多くの場合に芯金が邪魔になることから切断さえ困難であり、合法的な埋め立て処理も難しかった。
【0006】
そこで、本発明者は、資源の有効利用を図る趣旨から、芯金と帯状ゴム(補強用ワイヤを含む)とを分離して、芯金を鉄材として再利用すると共に、帯状ゴムを熱源材料等として利用することを検討した。要するに、素材別のリサイクルや利用の促進によって持続社会に資する趣旨である。
【0007】
本発明者が具体的に検討したところ、芯金は、例えば鉄材として金属溶解用の電気炉等で製鋼処理することが可能である。また、帯状ゴムは、芯金さえ分離されていれば、補強用ワイヤを含んでいても、例えば自動車廃タイヤ処理などと同様に必要に応じて二次破砕処理工程を経てチップ化して、製紙業やセメント製造業等のボイラ用燃料等の熱源材料として利用することが可能である。なお、芯金を分離させずに熱源材料として利用すると、芯金が燃焼せずに残るために、芯金の取り出しのためにボイラを停止させる必要があり現実的でないことから、熱源材料として利用する際には、事前に帯状ゴムから芯金を分離させることが必要となる。
【0008】
ところが、前述のとおりゴムクローラの帯状ゴムに対して芯金が強固に固着されているために、帯状ゴムから芯金を分離することが非常に難しく、従来では実用的な方法が提供されていなかったのである。
【0009】
なお、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)では、ゴムクローラの帯状ゴムから芯金を分離する研究が国費を投じてなされており、かかる研究成果として、非特許文献1(https://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2007/brain07-01 )には、ゴムクローラの廃棄処理装置が公開されている。
【0010】
しかしながら、かかる農研機構の研究成果物である廃棄処理装置は、事前処理として、非特許文献2(平成18年度共通基盤研究成果情報)に掲載された「使用済み農用ゴムクローラの自動切断装置」を用いて、ゴムクローラを芯金の配設ピッチに相当する所定間隔で切断することにより芯金の一つが埋設された切断小片とする必要があることから、設備が大掛かりで作業工程も多くなることが避けられなかった。しかも、切断小片とした後に芯金を加熱すると共に、帯状ゴムの幅方向中央部分に切り込みを入れて幅方向両側から帯状ゴムを引き剥がすように剥き取るものであることから、強固に固着された帯状ゴムを分離させるために大型の油圧機構などの駆動装置が必要になるという問題もあった。しかも、帯状ゴムを挟むように掴んで芯金の表面に沿って剥きとるものであることから、弾性体である帯状ゴムを確実に掴むこと自体も難しく、且つ、帯状ゴムを掴む部分の耐久性が問題になりやすく、構造的な機構や耐久性にも問題があった。
【0011】
事実、農研機構の説明によると、特殊バネ株式会社に委託するなどして装置を製造したとされているが、現場への普及が確認されておらず、前述のように大量に廃棄されているゴムクローラの処理の問題の解決策とはなっていないのが現実の状況である。
【0012】
また、特許文献2(特開2006−044076号公報)には、ゴムクローラの芯金に外力を及ぼすことで、帯状ゴムから芯金を強制的に剥ぎ取る方法が開示されている。しかし、たとえ消耗したゴムクローラでも、帯状ゴムと芯金の固着は極めて強固であることから、現実的には芯金の分離が難しく、仮に分離できたとしても芯金に多くの帯状ゴムが付着することを避け難いことから、現実的な方法ではない。
【0013】
更にまた、特許文献3(特許第4616143号公報)には、所定の大きさに切断したゴムクローラ切断片を、低温脆化温度以下に冷却した状態で、金型にて圧縮してゴム部を破砕することで、帯状ゴムから芯金を分離させる方法が開示されている。しかし、低温脆化温度以下への冷却には相当の設備が必要であり、且つ、かかる冷却状態下でゴム部を破砕する必要があることから、工程管理もシビアになって実施のハードルが高いために実用化が困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景としてなされたものであって、解決課題とするところは、ゴムクローラを芯金の一つが埋設された切断小片とするような前処理を必要とすることなくゴムクローラにおける芯金を帯状ゴムから分離させることを可能となし得る、ゴムクローラの新規な廃棄処理方法や廃棄処理装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0017】
第一の態様は、帯状ゴムに対して、該帯状ゴムの幅方向に延びる細長状の芯金が、該帯状ゴムの長さ方向に所定間隔で埋設固着されたゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記芯金を加熱すると共に、該芯金における前記帯状ゴムの長さ方向の端部に沿って該帯状ゴムに切込みを形成し、該切込みへ差し入れた取出具によって該芯金を該帯状ゴムから抜き出して分離させることを特徴とするゴムクローラの廃棄処理方法である。
【0018】
本態様方法によれば、芯金の加熱によって芯金の周囲のゴムの軟化が図られることなどにより、芯金が帯状ゴムから分離されやすくなる。かかる状態下で、芯金に沿って設けた切込みを通じて差し入れた取出具で芯金に外力を及ぼすことで、芯金を効率的に帯状ゴムから抜き出すように取り出すことができる。
【0019】
このような方法では、挟持し難い帯状ゴムに外力を及ぼして芯金から帯状ゴムを引っ張って剥離させる場合に比して、芯金に外力を及ぼして帯状ゴムの外へ容易に取り出すことが可能になる。特に、芯金の取り出しに際しては、帯状ゴムを細断して1個の芯金が埋設された切断小片とするような困難な前処理も不要とされ得る。
【0020】
なお、本態様における取出具は、例えばバール状のものを採用することができ、当該バール状取出具の長手先端部分を予め形成された切込みから芯金の底側へ差し入れて、バール状取出具の梃子のようにこじる等して、芯金を上方へ持ち上げる外力を及ぼすことで、当該芯金を帯状ゴムから外方へ抜き出すことができる。その際、芯金の表面が帯状ゴムで覆われていても、当該帯状ゴムは芯金の加熱で軟化或いは脆弱化していることから、取出具で作用せしめられる外力により、表面を覆う帯状ゴムを突き破るようにして或いは切込みから抜き出すようにして帯状ゴムから外方へ芯金を抜き出すことが可能である。
【0021】
或いは、本態様における取出具は、例えば後述する第六の態様に記載の仕切壁を利用して構成することも可能である。具体的には、後述する第六の態様に記載されているように芯金の回りに仕切壁を設けて後述する第二の態様に記載の切込具として利用するに際し、芯金の短手方向(帯状ゴムの長さ方向)で対向位置する仕切壁の両側壁部を帯状ゴムへ押し入れて、当該両側壁部間に芯金を嵌合状態で係止させることにより、帯状ゴムから引き出す仕切壁と共に芯金を取り出すことも可能である。なお、対向位置する仕切壁間距離は、芯金の幅寸法に比して僅かに大きくても、帯状ゴムへ仕切壁が押し込まれる際に厚さ寸法のある芯金が傾くことによって対向位置する仕切壁間に嵌合状態で係止されやすい。そ際、芯金を傾斜させて対向する仕切壁部間へ係止されやすくする目的で、例えば後述する第三の態様に記載のように、芯金の端部を局所的に押圧することなども可能である。また、帯状ゴムから引き出された仕切壁に対して嵌合状態にある芯金は、例えばハンマーなどを用いた衝撃によって仕切壁から離脱させることができる。
【0022】
第二の態様は、第一の態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記帯状ゴムに対して切込具を押し入れることによって、該帯状ゴムに前記切込みを形成するものである。
【0023】
本態様方法によれば、特別な切断装置などを用いることなく帯状ゴムに切込みを形成することができる。特に芯金の加熱状態下で切込具を帯状ゴムへ押し入れるようにすれば、芯金の加熱によって硬度が低下された芯金の周囲付近の帯状ゴムに対して、切込具を容易に押し入れて切込みを形成することが可能であり、切込具の耐久性の確保が図られると共に、切込具の押し入れに必要な駆動力も軽減されて装置構造の簡略化等も容易となる。
【0024】
第三の態様は、第一又は第二の態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記帯状ゴムの長さ方向における前記芯金の一方の端部に沿って前記切込みを形成すると共に、該芯金の他方の端部側において、該芯金を外方から押圧することにより、該芯金を該帯状ゴムの長さ方向で傾斜させて該切込みの形成側を相対的に浮き上がらせるものである。
【0025】
本態様方法によれば、芯金における切込みの形成側を相対的に浮き上がらせることで、例えば前述の如きバール状取出具を採用する場合には、当該バール状取出具の先端部分を切込みから芯金の底側へ差し入れやすくなり、芯金を取り出す作業性の向上が図られ得る。また、例えば前述のように取出具を第六の態様に記載の仕切壁を利用して構成する場合には、芯金を傾斜させることで対向する仕切壁部間へ係止されやすくすることも可能になる。
【0026】
なお、本態様において、芯金を外方から押圧する工程は、帯状ゴムに切込みを形成する工程と共に、芯金の加熱状態下で行うことが望ましく、それによって、芯金の加熱によって硬度が低下された芯金の周囲付近の帯状ゴムに対して切込具を容易に押し入れて切込みを形成することが可能になると共に、外方からの押圧力の作用によって芯金を効率的に傾斜させることも可能になる。
【0027】
第四の態様は、第一〜三の何れかの態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記芯金の加熱をバーナーで行うものである。
【0028】
本態様方法によれば、例えば芯金を誘導加熱(電磁誘導加熱,高周波誘導加熱)する場合に比して、設備や制御のシステムを簡略にすることができて、実用化が容易となるだけでなく、処理するゴムクローラの状態や種類などに応じて、加熱する箇所等の調節変更も容易となり、多様な状態で搬入される各種ゴムクローラの処理への対応も容易に実現可能になる。更に、バーナーの火炎作用によって、芯金に加えて周囲付近の帯状ゴムに対しても温度上昇による硬度低下作用を及ぼしやすくなって、切込みや芯金取り出しの作業の一層の容易化も図られ得る。
【0029】
第五の態様は、第四の態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記芯金の周りに仕切壁を設けた状態で、前記芯金の加熱を前記バーナーで行うものである。
【0030】
本態様方法によれば、仕切壁を設けることでバーナーによる加熱領域を制限して芯金の加熱を優れたエネルギー効率をもって実施することが可能になる。特に芯金の周囲を略全周に亘って囲繞する実質的に周方向で連続した仕切壁を採用すれば、バーナーで加熱されるゴムクローラ表面への空気の流入を制限することができることから、高温への加熱によって帯状ゴムが燃えて燃焼状態になってしまうことを抑制乃至は回避することも可能になり、燃焼や不完全燃焼に起因するガスの発生を抑えることも可能になる。
【0031】
尤も、本態様における仕切壁は、芯金の周りを全周に亘って囲む態様に限定されるものでない。例えば芯金の短手方向で対向位置する一対の仕切壁だけを設けることも可能であるし、芯金の長手方向で対向位置する一対の仕切壁を加えて全周に亘って連続した略矩形枠体形状の仕切壁を採用した場合でも、部分的に切欠きや貫通孔などを設けて、バーナーによる加熱状態、バーナーの燃焼効率や温度効率の調節や、温度の極所的又は全体的な滞留、バーナー炎の対流や局所的な作用軽減などを調節することなども可能である。
【0032】
第六の態様は、第二の態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記第五の態様に記載の前記仕切壁を、前記切込具として利用するものである。
【0033】
本態様方法によれば、バーナーで芯金に及ぼされる熱エネルギーが仕切壁の内側領域の帯状ゴムにも及ぼされて帯状ゴムの硬度低下が図られると共に、当該熱エネルギーによって仕切壁自体の昇温も図られる。かかる状況下では、仕切壁を帯状ゴムに向けて押し付ける外力を及ぼすことによって、仕切壁を切込具として利用して、帯状ゴムに対して芯金に沿った切込を効率的に形成することが可能になる。
【0034】
第七の態様は、第一〜六の何れかの態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記芯金の前記帯状ゴムからの抜き出しに際して該帯状ゴムに消火剤を注ぐものである。
【0035】
本態様方法によれば、帯状ゴムの燃焼や不完全燃焼が避けられて、環境汚染の軽減が図られ得る。尤も、第一〜六の何れかの態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法では、芯金が加熱されるものであって、たとえバーナーで芯金を加熱する場合でも芯金は一般に少なくとも部分的に外部露出されていることから、芯金を効率的に加熱することが可能であって、帯状ゴムの燃焼は容易には発生しないことを確認している。特に芯金の周囲に略全周に亘る仕切壁を設けて加熱領域への空気(酸素)の供給を制限することで、帯状ゴムの燃焼は充分に避けることができる。尤も、バーナーを利用した加熱に際しては、加熱条件などによって帯状ゴムが燃焼することもあることから、本態様に従って消化剤を注ぐことが望ましい。
【0036】
採用される消化剤は限定されるものでないが、例えば水を利用しても、帯状ゴムの燃焼を速やかに停止させることができる。また、消化剤の使用で芯金や周囲の帯状ゴムの温度が低下しても、加熱によって帯状ゴムと芯金との固着力が一度低下せしめられ、また帯状ゴムの特性が加熱によって変化せしめられた後であればその後に芯金を帯状ゴムから取り出す場合でも大きな支障はない。それ故、本態様に従って消化剤を注ぐ工程は、例えば帯状ゴムから芯金を取り出した後であっても良いし、芯金を取り出す前や取り出す工程中であっても良い。
【0037】
第八の態様は、第一〜七の何れかの態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法であって、前記芯金の加熱と、前記帯状ゴムへの切込みの形成を、該帯状ゴムにおける長さ方向に連続的に並んだ複数の芯金に対して並行して施すものである。
【0038】
本態様方法によれば、芯金の加熱と帯状ゴムへの切込みの形成の各処理工程を、複数の芯金に対して略同時に行うことによって、一つの帯状ゴムからの複数の芯金の取り出しの作業を、優れた時間効率をもって実施することが可能になり、処理効率の向上が図られ得る。特に、帯状ゴムの長さ方向で連続的に隣り合う芯金に対して並行して加熱処理を施すことにより、全体として連続した領域に対して加熱をすることとなって熱エネルギーの逃げを低減させることで熱効率の向上ひいてはエネルギー効率の向上も図られ得る。
【0039】
第九の態様は、帯状ゴムに対して、該帯状ゴムの幅方向に延びる細長状の芯金が、該帯状ゴムの長さ方向に所定間隔で埋設固着されたゴムクローラの廃棄処理装置であって、(i)前記芯金を加熱する加熱機構と、(ii)該芯金における前記帯状ゴムの長さ方向の端部に沿って該帯状ゴムに切込みを形成する切込手段と、(iii)該帯状ゴムの該切込みへ差し入れられて該芯金を該帯状ゴムから抜き出して分離させる取出手段とを、備えていることを特徴とするゴムクローラの廃棄処理装置である。
【0040】
本態様に係る装置によって、例えば第一〜八の態様に係るゴムクローラの廃棄処理方法を容易に実施することが可能となる。そして、かくの如きゴムクローラの廃棄処理方法を実施することで、前述の如き技術的効果を適宜に享受することが可能になる。
【0041】
なお、本態様における加熱機構としては、例えば前述のようにバーナーが好適に用いられるが、それに限定されるものでなく、例えば誘導加熱装置を採用することも可能である。尤も、誘導加熱装置を加熱機構とする場合に、芯金の周囲に巻回されたコイルを採用しようとすると帯状ゴムを細断して1個の芯金が埋設された切断小片としなければならず余計な作業が必要となることから、例えば、芯金との対向面(芯金における凹凸表面でなく平坦表面との対向面が好適である)において当該対向面上にコイルが巻回された構造の誘導加熱装置を採用することで、帯状ゴムを切断することなく芯金に誘導電流を発生させるようにしたものが望ましい。
【0042】
第十の態様は、第九の態様に係るゴムクローラの廃棄処理装置において、前記切込手段が、前記芯金における前記帯状ゴムの長さ方向の端部に沿って延びる切込先端縁を有しており該帯状ゴムに対して接近及び離隔方向に移動可能とされた切込具と、該切込具に対して該帯状ゴムへの接近方向への押圧力を及ぼして該切込具の該切込先端縁を該帯状ゴムに押し入れる押圧機構とを、有しているものである。
【0043】
本態様における加熱機構では、例えば芯金の加熱によって周囲近傍の帯状ゴムの硬度が低下することを利用して、簡易な装置構造をもって、帯状ゴムに切込みを形成することが可能になる。なお、本態様における切込具としては、例えば第六の態様に記載の如く、第五の態様に記載の前記仕切壁を利用することも可能である。
【0044】
第十一の態様は、帯状ゴムに対して、該帯状ゴムの幅方向に延びる細長状の芯金が、該帯状ゴムの長さ方向に所定間隔で埋設固着されたゴムクローラの廃棄処理用具であって、前記芯金の周囲に配置される周壁部を備えており、該周壁部において前記芯金を挟んで前記帯状ゴムの長さ方向で対向する両側壁部の一方が、該帯状ゴムへ押し入れられて切込みを形成する切込形成部とされていると共に、該周壁部における該両側壁部の他方は、内周側に向けて突出して該芯金の端部に対して外方からの押圧力を及ぼす押圧用突部を有していることを特徴とするゴムクローラの廃棄処理用具である。
【0045】
本態様に係るゴムクローラの廃棄処理用具は、例えば前記第三の態様の実施に際して好適に用いられる。また、本態様に係るゴムクローラの廃棄処理用具は、例えば前記第九又は十の態様に係るゴムクローラの廃棄処理装置の構成部品として好適に用いられ得る。
【0046】
本態様に係るゴムクローラの廃棄処理用具を用いることで、例えば芯金が加熱されることで芯金の周囲で硬度低下等された帯状ゴムに対して、芯金の短手方向の一方の端部に沿って押し込むことで切込みを容易に形成することができる。しかも、かかる押し込みに伴って、当該芯金の短手方向の他方の端部に対して押込方向に向けて押圧力を及ぼすことができ、当該押圧力によって芯金を傾けることができる。この芯金の傾きによって、芯金の帯状ゴムからの離脱(固着力の軽減等)が図られ得ると共に、芯金における切込み側の端部を浮き上がらせるように傾けることで、例えばその後に実施される予定の芯金の取り出しに好適な態様を実現することも可能になる。
【0047】
なお、本態様に係るゴムクローラの廃棄処理用具において、周壁部は、芯金の全周に亘って連続している必要はない。例えば芯金における一対の長辺部分と一対の短辺部分を囲むように、芯金の平面外周形状よりも一回り大きな平面内周形状を有する略矩形枠体の所定高さの周壁形状の周壁部とすることも可能であるが、例えば一方又は両方の短辺部分はなくても良いし、切込形成部とは異なる側の長辺部分もなくても良く、当該異なる側の長辺部分には押圧用突部だけを押し込み方向に延びるロッド形状などをもって形成することも可能である。また、周壁部には、部分的な切欠きや貫通穴などが設けられていても良いし、切込形成部は先端側に向かって厚さ寸法が小さい先細断面形状とされることで、帯状ゴムへの押し込み抵抗力を軽減するようにしても良い。更にまた、切込みは、芯金の長辺部分に沿った全長に設ける必要はなく、例えば当該長辺部分の中央部分にだけ沿って切込みを形成したり、分断状の切込みを形成しても良い。
【0048】
第十二の態様は、第十一の態様に係るゴムクローラの廃棄処理用具であって、前記周壁部では、前記芯金を挟んで前記帯状ゴムの長さ方向で対向する両側壁部の一方における前記切込形成部が、該両側壁部の他方に比して、該帯状ゴムへの当接側に向かう先端部分が突出せしめられているものである。
【0049】
本態様に係るゴムクローラの廃棄処理用具を用いれば、帯状ゴムに対して芯金の一方の側における切込みを優先的に充分な深さで形成しつつ、他方の側の切込みを実質的に無くしたり浅くすることで、周壁部の全体としての帯状ゴムに対する押し込み抵抗力の軽減を図って装置負担を軽減しつつ、切込みの形成の効率化が図られ得る。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、ゴムクローラを芯金の一つが埋設された切断小片とするような前処理を必要とすることなくゴムクローラにおける芯金を帯状ゴムから分離させることを可能と為し得る、ゴムクローラの廃棄処理に関連する新規な技術が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0053】
図1には、本発明方法を実施するのに用いられ得る、本発明に従う構造とされたゴムクローラ廃棄処理装置の一実施形態が示されている。なお、
図1(a)と(b)は同一装置を別アングルから示すものであり、特に(a)は装置の略全体を示し、(b)は装置の処理部を拡大して示している。
【0054】
本実施形態のゴムクローラ廃棄処理装置10は、
図2に示されている如き、例えば農業用機械の走行部に用いられて使用済として廃棄されるゴムクローラ12を対象として処理するものである。具体的には、当該ゴムクローラ12は、ゴム弾性体にて成形されて所定厚さの扁平状の略一定断面をもって周方向へ帯板状に延びる無端の帯状ゴム14によって構成されている。また、帯状ゴム14には、周方向となる長さ方向で略一定の間隔をもって芯金16が略埋設状態で固着されている。なお、帯状ゴム14には、一般に、周方向に延びる多数本の補強用ワイヤ(スチールコード)も埋設固着されているが、本発明の分対象ではなく、例えば熱源材料等として帯状ゴム14に埋設されたままで用いることも可能な場合が多いことから、図示を省略する。
【0055】
かかる芯金16は、
図2に例示されているように、一般に鉄系金属によって形成されており、帯状ゴム14の幅方向に長尺とされて延びる略細い板形状とされている。ゴムクローラによって、帯状ゴム14や芯金16の具体的形状に違いはあるが、帯状ゴム14には、幅方向中央部分に位置してゴム厚方向に貫通する貫通孔が帯状ゴム14の長さ方向に所定ピッチで形成されており、長さ方向で隣り合う貫通孔間にそれぞれ位置して芯金16が埋設固着されている。なお、
図2に例示された芯金16には、長尺方向の中央を挟んだ両側に一対の爪状突起18,18が形成されて、帯状ゴム14の内周側に向かって突出せしめられている。使用済として廃棄されるゴムクローラ12では、一般に、これらの爪状突起18,18や、芯金16において爪状突起18,18間に位置する中央部内面において、被覆する帯状ゴム14が剥がれて芯金16が露呈された状態となっている。
【0056】
本実施形態のゴムクローラ廃棄処理装置10は、かくの如きゴムクローラ12を対象として、帯状ゴム14から芯金16を取り出して分離させる処理を実行するのに用いられ得る。
【0057】
かかるゴムクローラ廃棄処理装置10は、
図1に示されているように、全体として門形のプレス機構20を備えている。かかるプレス機構20は、左右一対の脚部22,22の間に跨がって剛設された梁部24に対して、上下動可能なプレスロッド26が設けられている。そして、梁部24に備える駆動装置28によってプレスロッド26が上下方向に駆動されるようになっている。プレス力が作用せしめられるプレスロッド26の下方には、略水平に広がる支持面を備えたベッド29が設置されており、このベッド29の支持面上に、処理対象としてのゴムクローラ12が、例えば無端の周上の一部で切断されることで長手の短冊状とされた展開状態で載置され得るようになっている。本実施形態では、帯状ゴム14の接地面を下方に向けて、芯金16の爪状突起18が上方に突出する状態で、ゴムクローラ12がベッド29の支持面上に載置されることとなる。
【0058】
尤も、プレス機構20に関して、具体的な構造は限定されるものでなく、C形プレス等の他の躯体構造が採用可能であることは言うまでもなく、駆動装置28としても、油圧駆動や電動駆動、機械駆動、人力駆動などの各種駆動機構が採用可能である。
【0059】
また、
図3に示されているように、プレスロッド26の先端(下端)部分には、本発明に従う構造とされたゴムクローラの廃棄処理用具の一実施形態としての処理用具30が、略ボックス型のアダプタ32を介して、着脱可能に固定されている。
【0060】
本実施形態の処理用具30は、単品状態における複数方向からの斜視が
図4(a),(b)と
図5(a),(b)及び
図6(a),(b)に示されている。これらの図からわかるように、かかる処理用具30は、金属などの剛性材で形成された強度部材であって、全体として矩形枠体形状の周壁部34を備えている。
【0061】
周壁部34は、長手板形状を有する一対の長辺壁部36,38と、短手板形状を有する一対の短辺壁部40,40とが、周方向で相互に一体的に連結されており、全周に亘って連続した周壁を構成している。また周壁部34には、プレスロッド26への装着状態で上側となる上端部分において、一対の長辺壁部36,38の上端に跨がるように固着されてブラケット42が設けられている。
【0062】
また、一対の長辺壁部36,38のうちの一方の長辺壁部36(以下、本実施形態では前側壁部36というが、前後は不問である)は、他方の長辺壁部38(以下、後側壁部38)に比して、プレス機構20への装着状態で下方に向かって所定寸法だけ、延びだしている。換言すれば、後側壁部38の下端縁部は、前側壁部36の下端縁部に対して、所定高さだけ控えて上方に位置せしめられている。
【0063】
特に本実施形態では、前側壁部36と後側壁部38の何れもが、下端縁部が全長に亘って略同じ高さで直線状に延びており、下端縁部の全長に亘って、後側壁部38よりも前側壁部36が下方に突出している。かかる相対的な突出高さは、特に限定されるものでなく、また本発明においては同じ突出高さであっても良いが、例えば後述するように帯状ゴム14に対して芯金16の取出用の切込みを芯金16の一方の側だけに形成することで作業効率の向上やプレス力の軽減などを図ることを考慮すると、前側壁部36と後側壁部38との突出高さの差は、3mm〜30mm程度の範囲内に設定することが望ましい。
【0064】
なお、左右一対の短辺壁部40,40の下端縁部は、前側壁部36の下端縁部の位置から後側壁部38の下端縁部の位置までの間で適宜に設定されることが望ましい。本実施形態では、左右一対の短辺壁部40,40の下端縁部が前側壁部36の下端縁部と略同じ位置となるようにされている。これにより、帯状ゴム14に形成される芯金16の取出用の切込みを、芯金16における短手方向の一方の縁に沿って全長に亘って延びると共に、その両端から屈曲して芯金16の長手方向の両方の縁に沿って延びるようにして、全体として略コ字状の切込みを形成することで、芯金16の取出作業性の向上が図られている。
【0065】
また、周壁部34における少なくとも前側壁部36は、下端縁部が下方の先端側に向かって板厚が次第に小さくされて先細断面形状とされることで、切刃状の刃付き構造とされていることが望ましい。これにより、後述する帯状ゴム14への切込みの形成時の抵抗力の軽減が図られ得る。尤も、前側壁部36の特に下端縁部の耐久性を併せて考慮すると、前側壁部36における下端縁部を含む板厚寸法や刃先角度は、ある程度大きくすることが望ましい。
【0066】
本実施形態では、一対の短辺壁部40,40も、帯状ゴム14への切込みを形成し得るように、前側壁部36と略同じ厚さ寸法や刃先角度をもって形成されている。なお、後側壁部38は、積極的に切込みを形成するものでないことから、前側壁部36の如き切刃状の刃付形状とされる必要はない。
【0067】
さらに、本実施形態では、後側壁部38において内周面上に突出する押圧用突部44が一体的に形成されている。本実施形態では、前側壁部36よりも下方への高さを控えた後側壁部38の内面に対してロッド状の押圧用突部44が固着されており、当該押圧用突部44の突出先端が、後側壁部38の下方の先端縁から突出し、前側壁部36の下方の先端縁と略同じ程度か僅かに至らない程度にまで突出している。
【0068】
そして、かかる周壁部34は、プレスロッド26の下方先端に固定されたアダプタ32に対して、ブラケット42の上端面が重ね合わされてボルト等で着脱可能に取り付けられて固定されている。かかる取付状態では、周壁部34が上下方向に開口しており、周壁部34の下端縁部と、押圧用突部44の先端(下端)が下方に向けられるようになっている。
【0069】
ここにおいて、周壁部34の下方への開口は、処理対象であるゴムクローラ12における芯金16の平面形状よりも一回り大きくされており、例えば
図3からもわかるように、芯金16の周りにおいて帯状ゴム14の内周表面に対して、周壁部34の下端縁部を押し付けるようにして当接せしめられるようになっている。要するに、周壁部34の一対の長辺壁部36,38の対向間距離である周壁部34の短手方向の内法寸法が、芯金16の短手方向の外寸よりも僅かに大きくされていると共に、周壁部34の一対の短辺壁部40,40の対向間距離である周壁部34の長手方向の内法寸法が、芯金16の長手方向の外寸よりも僅かに大きくされている。
【0070】
これにより、本実施形態のゴムクローラ廃棄処理装置10において、プレス機構20によりプレスロッド26を下方に駆動させることで、プレスロッド26の下端に装着された処理用具30が、ベッド29の支持面上に載置されたゴムクローラ12に向けて、下方に移動せしめられる。そして、処理用具30の周壁部34の矩形枠状の下端縁部が、芯金16の周囲において、帯状ゴム14における平坦状に展開された内周面に対して押し付けられるようになっている。
【0071】
なお、ベッド29上のゴムクローラ12に対する処理用具30の相対的な位置合わせは、例えば手作業によって行っても良いし、例えばゴムクローラ12に設けられた貫通孔や形状を認識するセンサや画像認識の手段を用いてベッド29の水平方向位置を調節する自動的な位置合わせ機構を採用しても良い。
【0072】
さらに、本実施形態のゴムクローラ廃棄処理装置10は、加熱手段としてのガス式のバーナー50を備えている。このバーナー50は、処理用具30の周壁部34の下端縁部をゴムクローラ12の帯状ゴム14へ当接させた状態下で、当該周壁部34の内部に向けて炎を噴きつけることで、周壁部34による囲繞領域内で帯状ゴム14から露出された、芯金16の爪状突起18等が存在する内側面に対して直接的に加熱用の炎を吹きつけることができるようになっている。
【0073】
具体的には、例えば
図3に示されているように、処理用具30の周壁部34(一方の短辺壁部40)に対して外方に突出する支持アーム52を固着し、当該支持アーム52によってバーナー50を固定的に支持せしめた構造とされている。このバーナー50の炎の噴出口が、斜め上方から周壁部34の内部に差し入れられることで、当該噴出口からの炎が周壁部34内の芯金16へ噴出されるようになっている。なお、バーナー50は、一つの芯金16の取り出しに際して、所定時間に亘って作動せしめられて芯金16を加熱するのに用いられ、複数の芯金16を順次に取り出す作業に際しては点火と消火を繰り返すことになるから、ボタンやレバー、タイマーなどによって点火と消火を速やかに切り換えることができる自動点火タイプが好ましい。
【0074】
尤も、バーナー50の具体的な種類や構造は限定されるものでなく、例えば複数のバーナーを採用して周壁部34内に複数の噴出口から炎を噴出させることも可能であり、処理用具30に代えてアダプタ32等にバーナー50の支持せしめるようにしても良い。アダプタ32やプレス機構20の本体側にバーナー50を支持させることで、処理用具30の構造の簡略化が図られるし、処理用具30の交換作業なども容易となる。また、バーナー50の支持位置を調節変更可能にしたり、バーナー50の炎の噴出口を蛇腹管などを用いて移動調節可能にしても良い。また、複数の口から吹き出すバーナー炎を、それぞれ適切な部位に向けることが可能であり、例えば図示されているように芯金16の爪状突起18が二つある場合には、各爪状突起18にそれぞれバーナー炎を吹きつけたり、芯金16の長手方向中央部分で露出する芯金16の内側面が存在している場合には当該部位へバーナー炎を吹きつけたりしても良い。
【0075】
また、本実施形態のゴムクローラ廃棄処理装置10は、消火手段としての消火剤供給機構である注水機構56を備えている。この注水機構56は、バーナー50で加熱される芯金16の付近に存在する帯状ゴム14に対して、消化剤の一種としての水を吹き付けることで冷却して消火したり燃焼を防止乃至は解消させ得るものである。
【0076】
好適には、
図3に示されているように、処理用具30の周壁部34(バーナー50の支持部と反対の短辺壁部40)に対して外方に突出する支持アーム58を固着し、当該支持アーム58によって注水機構56の注水管を固定的に支持せしめた構造とされている。この注水機構56の注水管の吐出口が、斜め上方から周壁部34の内部に差し入れられることで、当該吐出口からの水が周壁部34内の芯金16へ噴出されるようになっている。
【0077】
なお、芯金16の取り出しに際しての芯金16の加熱によって、帯状ゴム14は必ずしも燃えるものではない。仮に燃えたとしても、芯金16の取り出しに支障がでるものでなく、帯状ゴム14の燃焼の回避や解消は主に環境への悪影響への対処である。それ故、注水機構56の如き消火手段は本発明において必須ではない。また、注水機構56を採用する場合でも、芯金16の取り出しの際における注水機構56の稼働(注水作動)は一時的に止まることが一般的であることから、ボタンやレバーなどによって注水と停止を速やかに且つ容易に切り換え可能とされることが望ましい。
【0078】
尤も、消火手段の具体的な種類や構造は限定されるものでなく、例えば複数の注水口を設けたり、水以外の消化剤を採用することも可能であり、バーナー50と同様に処理用具30に代えてアダプタ32等に注水機構56を支持せしめるようにしても良い。アダプタ32やプレス機構20の本体側に注水機構56を支持させることで、処理用具30の構造の簡略化が図られるし、処理用具30の交換作業なども容易となる。
【0079】
上述の如き構造とされたゴムクローラ廃棄処理装置10を用いて、使用済みのゴムクローラ12を廃棄処理するに際しては、先ず、前処理として、ゴムクローラ12を無端の周上の一部で切断することで切り開いて、長尺の短冊状(展開した帯状)とする。
【0080】
その後、
図1(a)に示されているように、当該ゴムクローラ12を、ゴムクローラ廃棄処理装置10のベッド29の支持面上に載置して、接地面(走行面)が下側となって芯金16の爪状突起18が上方に突出する状態でセットする。
【0081】
そして、ゴムクローラ廃棄処理装置10のプレスロッド26に装着された処理用具30の周壁部34に対して、一つの芯金16が下方に対向位置するように、ゴムクローラ12を処理用具30に対して相対的に位置合わせする。
【0082】
かかる位置合わせの後、プレス機構20を作動させて、
図1(b)に示されているように、処理用具30の周壁部34の下端周縁を、帯状ゴム14の上面に対して当接させた状態とする。周壁部34を帯状ゴム14へ当接させるのと時を略同じくして、即ち、当該当接の前、或いは同時、又は後において、バーナー50を点火することで炎を芯金16に向けて噴き付ける。
【0083】
バーナー50の炎を芯金16へ吹き付けている状態を、
図7に示す(炎が見てとれる)。バーナー50の炎を芯金16へ吹き付けて芯金16を加熱している状態では、芯金16の側方が処理用具30の周壁部34によって仕切られていることから、バーナー50による加熱の熱量の拡散が抑えられて、芯金16の加熱が効率的に実行され得る。
【0084】
なお、バーナー50による加熱の熱量の拡散の抑制効果は、芯金16の周囲の少なくとも一部が周壁部34で仕切られることによって、ある程度発揮され得ることとなり、例えば前側壁部36だけを帯状ゴム14へ押し当てたり、前側壁部36に加えて少なくとも一方の短辺壁部40を帯状ゴム14へ押し当てても良い。尤も、本実施形態では、各一対の長辺壁部36,38と短辺壁部40,40の全体、即ち周壁部34の全周の下端縁部を帯状ゴム14へ当接させることによって、芯金16の周りを全周に亘って周壁部34で仕切った状態で、周壁部34で囲まれた内部に位置せしめられた芯金16をバーナー50で加熱するようにされる。
【0085】
特に芯金16の周りを全周に亘って周壁部34で仕切って内部領域を加熱することで、芯金16や近傍の帯状ゴム14を局所的に効率的に加熱できる効果に加えて、外部からの空気(酸素)の流入を制限して、加熱される周壁部34内の帯状ゴム14の燃焼を防止する効果も発揮され得る。
【0086】
また、芯金16の加熱の僅か前、或いは加熱と同時に、又は加熱開始から所定時間遅れて、又は芯金16の加熱後に速やかに、プレス機構20の駆動装置28による下方への駆動力(プレス力)を、プレスロッド26から処理用具30へ及ぼす。これにより、バーナー50で加熱された芯金16を介して加熱され、或いはバーナー50で直接的に加熱されることによって昇温された、芯金16の近傍に位置する帯状ゴム14に対して、周壁部34の先端縁を押し入れる。これにより、帯状ゴム14に対して、芯金16の端縁に沿って長手方向に略平行に延びる切込み62(
図8参照)を形成する。
【0087】
かかる切込み62は、処理用具30の前側壁部36を帯状ゴム14へ押し入れることで形成されるが、芯金16からの伝熱によって、或いはバーナー50の直接的加熱によって、帯状ゴム14の当該部位の硬度が低下されていることから、比較的に容易に且つ速やかに周壁部34を帯状ゴム14へ押し入れて切込み62を形成することができる。特に前側壁部36は、芯金16に近接位置しており、バーナー50で直接的に加熱昇温され得ると共に、本実施形態では周壁部34でバーナー50による加熱領域の全周が囲まれていることにより帯状ゴム14の切込み対象部位や周壁部34も効率的に加熱昇温され得ることから、周壁部34を帯状ゴム14へ押し入れて切込み62を形成する作業がより効率的に実施可能とされる。
【0088】
なお、芯金16の加熱は、芯金16に対する帯状ゴム14の接着力の減少と、芯金16近傍の帯状ゴム14の硬度の低下を生ずる程度に為されれば良い。芯金16や帯状ゴム14の材質や芯金16の大きさなどによっても異なるが、試行的に数個の芯金16の取り出しを行うことで、加熱の時間等の設定は行うことが実用的に可能である。因みに、鉄系金属の芯金16を採用した農機具用のゴムクローラ12を対象として廃棄処理を実際に行ったところ、芯金16の爪状突起18が僅かに赤熱する程度まで加熱することで、目的とする芯金16の取り出し処理を支障なく行うことが可能であった。また、芯金16が赤熱する程度まで加熱した場合でも、帯状ゴム14が容易に燃焼するような材質ではないことや、周壁部34で加熱領域が仕切られることで空気(酸素)の供給が抑えられていることなどから、帯状ゴム14の燃焼は殆ど発生することがなく、少なくとも帯状ゴム14の燃焼が問題になるものではなかった。
【0089】
尤も、バーナー50を採用することや、帯状ゴム14の加熱に伴うガス発生に備えることも考慮して、ゴムクローラ廃棄処理装置10には、作業領域の排気装置66を備えることが望ましい。
【0090】
例えば、
図1に示されているように、プレス機構20における作業領域を挟んだ一方の側(門形の躯体の一方の脚部側)には、ブロワの吸気口68を設置すると共に、作業領域を挟んだ他方の側(門形の躯体の他方の脚部側)には、ブロワの吸気口68に向けて清浄なエアーを送る圧縮空気の吹出口70や扇風機などの送風機を設置することで、作業領域で発生する燃焼ガスや不完全燃焼ガス等を、熱気を含めて作業領域から排出し、必要に応じてガス浄化処理を経て大気中に放出することが望ましい。或いは、プレス機構20の上方にダクトの吸気口を装備して、昇温に伴って上昇した作業領域のガスを上方において吸引した後、例えば触媒を使用してガス浄化したり、高温や燃焼処理してガス浄化するなどの公知の各種のガス浄化装置を設けることも可能である。
【0091】
このような作業領域の排気装置66を採用することにより、ゴムクローラ廃棄処理装置10を、例えば建屋内に設置した場合に、作業者の環境を良好に確保することも可能になる。
【0092】
而して、上述のように帯状ゴム14に対して目的とする切込み62を形成した後、プレス機構20のプレスロッド26が上昇作動して処理用具30が帯状ゴム14から引き出されて上方に離隔せしめられる。なお、切込み62の深さ寸法、換言すれば処理用具30の周壁部34(特に前側壁部36)の帯状ゴム14への押し込み深さは、芯金16の取り出しを考慮して、芯金16の底面近くにまで達するか、芯金16の底面の深さにまで達し、或いは芯金16の底面を越える深さにまで達することが望ましい。
【0093】
なお、処理用具30を帯状ゴム14から離脱させると、加熱領域から周壁部34が取り除かれて空気(酸素)が加熱領域へ供給可能となることで、加熱領域の帯状ゴム14の燃焼状態が発生したり激しくなったりするおそれがある。もし、帯状ゴム14の燃焼が問題になった場合には、その時点において、必要に応じて注水機構56による注水を開始し、加熱領域へ消化剤としての水などを注ぐことで、かかる燃焼状態を解消させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、切込み62の形成に際して処理用具30の周壁部34が帯状ゴム14へ押し入れられた際に、後側壁部38は前側壁部36に比して帯状ゴム14に対する下端縁の押し入れ深さが小さくされており或いは殆ど押し入れられないが、後側壁部38に突設された押圧用突部44の先端は、帯状ゴム14へ押し入れられる。そして、押圧用突部44の先端が、芯金16に対して、上面の短手方向において前側壁部36側よりも後側壁部38側に偏倚した位置において当接され更に下方へ押し込むように押圧作用せしめられる。
【0095】
その結果、処理用具30の周壁部34が帯状ゴム14へ押し入れられるのに伴って、芯金16は、短手方向において傾動せしめられて、切込み62によって拘束力も軽減された短手方向一方の側(前側壁部36側)が上方に向けて変位すると共に、押圧用突部44の押圧力が及ぼされた短手方向他方の側(後側壁部38側)が下方に向けて変位せしめられる。これにより、芯金16は、昇温によって帯状ゴム14との固着力が減少されることや、帯状ゴム14の硬度が低下されることなどとも相俟って、帯状ゴム14からの離脱が補助的に促進されることなる。なお、前述の注水機構56による注水が実行された場合でも、注水以前に芯金16の加熱や傾動、帯状ゴム14の硬化等の特性変化などが生ぜしめられて芯金16の帯状ゴム14からの離脱が図られていることから、たとえその後に芯金16を取り出しする場合でも、大きな支障はない。
【0096】
このようにして、帯状ゴム14との固着力の軽減が図られた芯金16は、取出工程において、帯状ゴム14から離脱された取出処理される。かかる取出処理は、例えば
図8に示される如き長手ロッド状の先端部分を備えたバール状の取出具74を用いて行うことができる。
【0097】
かかるバール状の取出具74は、金属等の剛性材で形成されており、好適には長手先端がヘラ状に薄くされ、更に必要に応じて当該先端部分が僅かに湾曲乃至は屈曲せしめられている。そして、かかる先端部分を、
図8に示すように、手作業で切込み62から帯状ゴム14へ差し入れて、梃子の作用などを利用して、帯状ゴム14内に残された芯金16の底側へ差し入れた先端部分をこじるように又は引き上げるようにして、帯状ゴム14から外部へ芯金16を抜き出すことができる。実際には、略50cm程の長さのバール状の取出具74を用いることで、大きな力を必要とすることなく、芯金16を開かれた切込み62を通じて外部へ取り出すことができた。
【0098】
或いは、芯金16の帯状ゴム14からの取出処理は、前述のように帯状ゴム14へ処理用具30の周壁部34の先端部分を押し入れて切込み62を形成した後に、当該切込み62の形成と同時に切込み62へ差し込まれた当該処理用具30を取出具として利用して行うことも可能である。即ち、当該処理用具30を帯状ゴム14から引き上げるのと同時に、芯金16を処理用具30へ係止させることなどにより、取出具としての処理用具30と共に芯金16を帯状ゴム14から引き上げるように抜き出して離隔させることによって実行することも可能である。
【0099】
具体的には、例えば処理用具30の周壁部34において、互いに対向して対を為す壁部(一対の長辺壁部36,38や一対の短辺壁部40,40)を、帯状ゴム14に押し入れられる下端から上方に向けて次第に対向間距離(内法寸法)が小さくされた構造とする。これにより、周壁部34の帯状ゴム14への押し入れに伴って、周壁部34内へ入り込む芯金16が、対向して対を為す壁部間に嵌め入れられるようにして、当該壁部間に嵌合せしめられた芯金16を処理用具30と共に帯状ゴム14から引き上げて取り出すことができる。
【0100】
或いは、芯金16は、
図2中の上下方向にある程度の厚さ寸法を有する略長手の矩形ブロック形状とされていることから、前述のように処理用具30の周壁部34を帯状ゴム14へ押し入れると同時に芯金16を傾けることで、当該芯金16を周壁部34の対向して対を為す前後壁部36,38間に引っ掛かるようにして嵌合させることができる。そして、当該壁部間に嵌合せしめられた芯金16は、処理用具30と共に帯状ゴム14から引き上げて取り出すことができる。
【0101】
なお、周壁部34への嵌合などによって処理用具30への係止状態で帯状ゴム14から取り出された芯金16は、例えばハンマーなどを用いた衝撃を芯金16等に及ぼすことにより、
図9に示されているように処理用具30から落下させて離脱させることができる。
【0102】
上述の如き廃棄処理によって、本実施形態では、一つの芯金16を、帯状ゴム14から分離させてゴムクローラ12から取り出すことができる。
図9に示されている如き芯金16の取出後は、
図10に示されているように、帯状ゴム14の長手方向において芯金16の埋設ピッチ分だけ、ベッド29上でゴムクローラ12を送り移動させることで、続いて、次の芯金16の取出作業を順次に行うようにする。
【0103】
なお、かかるゴムクローラ12の送り移動は、手作業による他、移動ベルトなどの間欠的な送り装置を利用することで、又必要に応じて芯金16の位置をセンシングしてアダプタ32の下方に位置合わせする機構を併用して、芯金16の取出処理と同期的に、ゴムクローラ12の順送り的な作動を自動化することも可能である。
【0104】
一方、上述のようにして取り出された芯金16は、必要に応じて冷却処理されて、廃棄金物として例えば金属溶解などの製鋼処理を経て利用することも可能である。また、帯状ゴム14は、
図11に示されているように、ブロック状の金物である芯金16が除去されていることから、例えば必要に応じて裁断して、ボイラ用燃料等の熱源材料として利用することも可能である。
【0105】
なお、取り出された芯金16には多少の帯状ゴム14が付着状態で残っている場合があり、かかるゴム残りが問題になるような場合には、例えば取り出された芯金16に対して簡易な焼却処理を施すことができる。かかる焼却処理は、例えば耐火性の回転駆動せしめられる筐体内に取り出した芯金16の幾つかを投入し、バーナーの炎を噴き当てることによっても、簡易にゴム残りの解消を図ることが可能である。
【0106】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は上述の実施形態や具体的な記載によって限定的に解釈されるものでない。
【0107】
例えば、前記実施形態では芯金16を一つずつ順次に帯状ゴム14から取り出す作業を行う態様の一例を示したが、
図12に示すように複数連装(多連装)の処理用具80を用いることにより、複数の芯金16を取り出す作業の効率化を図ることも可能である。
【0108】
かかる処理用具80は、前記実施形態で例示した処理用具30の周壁部34を、短辺壁部40の長さ方向(処理する帯状ゴム14の長さ方向)に複数個並べて、共通するブラケット42で一体的につないで固着せしめた構造とされている。隣り合う周壁部34,34間のピッチは、処理するゴムクローラ12における芯金16の配設ピッチに合わされている。それ故、当該多連装の処理用具80をプレス機構20のプレスロッド26に装着することにより、帯状ゴム14の長さ方向で連続して埋設固着された複数の芯金16に対して、それぞれ、多連装された複数の周壁部34の各一つずつが対応位置して、各芯金16の上方から周りを囲むようにして帯状ゴム14に当接せしめられ、各周壁部34毎に装着されたバーナー50によって加熱処理が実行され得るようになっている。
【0109】
なお、複数の周壁部34のピッチは、複数の芯金16のピッチに対して正確に適合するように、
図12に記載されたノギス84を用いる等して精度良く設定されている。また、
図12に示された多連装の周壁部34を備えた処理用具80では、共用されたブラケット42に対して、注水機構56を固定するための支持アーム58が設けられている。例えば、かかる支持アーム58で支持された注水管路から分岐した注水管が、各周壁部34の内部に向けて開口するように分岐して配設され得る。
【0110】
また、
図12に例示された多連装の処理用具80では、各芯金16の一つずつに対応した周壁部34を備えていたが、例えば帯状ゴム14の長さ方向で連続する2つ或いは3つ以上の芯金16の配置エリアを全体として囲むように帯状ゴム14の長さ方向に2倍や3倍以上の大きさとされた周壁部を採用して、複数の芯金16の配置エリアを同時に囲繞する周壁部を備えた処理用具とすることも可能である。このような処理用具では、共通する周壁部内に存在する複数の芯金16毎にバーナーなどの加熱装置を設けることも可能であるが、一つの加熱装置によって複数の芯金16を同時に加熱処理するようにしても良い。
【0111】
さらに、加熱手段として前記実施形態のバーナーの如きに代えて、芯金を誘導加熱(電磁誘導加熱,高周波誘導加熱)する機構を採用する場合には、誘導コイルを芯金16の表面に近接して配置することが好ましく、例えば処理用具30を利用して周壁部34によって誘導コイルを支持せしめる等も可能である。周壁部34の内周側において芯金16に近接して誘導コイルを電気絶縁状態で支持せしめれば、芯金16の一つを有する切断小片にゴムクローラを事前に切断加工する必要なく、芯金16の周囲を取り巻くように誘導コイルを近接配置することも可能になる。また、かかる芯金16を誘導加熱する誘導コイルによって、或いは別途の誘導コイルによって処理用具30の周壁部34の少なくとも先端部分を誘導加熱することも可能である。誘導加熱によって芯金16の周囲の帯状ゴム14を直接的に加熱することはできないが、加熱された芯金16や周壁部34からの伝熱によって近接する帯状ゴム14を加熱することができる。更にまた、芯金16の周囲や上方に位置する誘導コイルに代えて又は加えて、芯金16の下面に対面する誘導コイルを、例えばベッド29の表面に設置するようにしても良い。
【0112】
また、周壁部によって切込みを形成することは必ずしも必要でなく、例えば加熱によって軟化する前、或いは後に、帯状ゴム14に対してカッター等の刃先を入れて切込みを形成することも可能である。実施形態のように切込みを形成する手段を兼ねた周壁部34を備えた処理用具30を採用する場合でも、切込みを形成する前側壁部36だけを採用することも可能である。尤も、芯金16を切込みからレバー状の取出具等を用いてほじくりだすように取り出す場合には、取り出しやすさを考慮して前側壁部36と短辺壁部40,40を連続させて略コ字状に切込みを形成することが好適である。後側壁部38まで連続させることも可能であるが、芯金16の取り出し後に芯金16を覆う部分の帯状ゴム14が切り出されてしまわないように、芯金16の周囲で部分的に帯状ゴム14をつなげた状態に残しておくことが望ましく、例えば周りの一辺である後側壁部38は切り込まないか切込深さを浅くして帯状ゴム14を積極的につなげた状態に残しておくことが望ましい。なお、後側壁部38を帯状ゴム14内に切り込まない態様で設けても、或いは後側壁部38を設けなくても、押圧用突部44だけを押し込むようにして設けることは可能である。一方、特に前記実施形態では、押圧用突部44が長辺方向に偏って位置せしめられることで、芯金16が短手方向だけでなく長手方向にも傾斜せしめられてこじられるように傾動することにより、周壁部34に対して一層引っ掛って嵌合状態となり、処理用具と一緒に帯状ゴム14から取り出し易くするようにも図られている。
【0113】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。